JP2008169998A - 組合せ玉軸受及び複列玉軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】玉軸受で、軸方向の省スペース化で冠形保持器を採用した場合に、保持器の軸方向の外れを防止し且つ玉の摩耗や損傷及び保持器を破損させることなく安定した回転性能を発揮させる。
【解決手段】幅狭玉軸受100A,100Bを2列組合せて組合せ玉軸受100を構成し、各幅狭玉軸受は、リング部111を組合せ面側として、他方側に玉103を保持する所要数のポケット部113を形成した冠形の玉案内保持器110を備え、ポケット部113は、リング部111とは反対側の先端部に形成した玉の抜け出しを防止する玉係止部114を有し、ポケット部113の曲率中心と玉係止部先端との軸方向距離Lに対して、ポケット部113の曲率中心と玉曲率中心とを一致させたときの対向する2つの保持器におけるリング部端部間の軸方向すきまΔGに、ポケット部113のポケット面113aと玉103との軸方向すきまΔPを加えた値が小さくなるように設定した。
【選択図】図12

Description

本発明は、例えば産業機械、ロボットの関節部や旋回機構部、工作機械の回転テーブルや主軸旋回機構部、医療機器、半導体/液晶製造装置、光学及びオプトエレクトロニクス装置等に用いられる組合せ玉軸受や複列玉軸受に関し、特にラジアル荷重と両方向のアキシアル荷重、特に大きなモーメント荷重が負荷として作用される用途に使用される玉軸受に関する。
通常、玉軸受、例えば深みぞ玉軸受などでは、図21に示すように、内輪2及び外輪1の軌道面間に玉3が回転自在に挟持され、封入グリースの保持及び外部への洩れ防止、あるいは外部から軸受内部への異物侵入防止等の目的で、内輪2及び外輪1間の軸方向端面にシール5を装着している。また、玉3を保持する玉案内保持器4としては、図22に示すように、リング部6aに所要数のポケット部6bを形成した冠形(片持ちリング構造)の玉案内合成樹脂保持器が標準的に採用されている。
この玉案内保持器4は、図22に示すように、通常、玉3を保持するポケット内面6cは、玉3の曲率より僅かに大きな曲率を持った球面形状に形成されており、保持器4の半径方向の動き量は、図23に示すように、玉3とポケット内径側端面間のすきまΔR1、又は玉3とポケット外径側端面間のすきまΔR2の何れか小さい方で位置決めされる。
また、保持器4の軸方向の動き量は、図24に示すように、一方向はリング側ポケット内面6cと玉3とのすきまΔS1で位置決めされ、もう一方向は、ポケット柱部6dの先端に形成した玉係止部6eと玉3とのすきまΔS2によって位置決めされる。
また、保持器4は、通常、射出成形で製作されるが、型から保持器を分離する時は、軸方向に離形する構成(所謂アキシャルドロー型)となっている。このとき、ポケット面の内径φdPと、一対の玉係止部6e間の距離即ち口元径寸法Hとの関係がφdP>Hとなるため、離型時に玉係止部6eはポケットを形成するための成形型部材(球面状の部材)が通過する際、変形を伴う。所謂無理抜きの形を取らざるを得ない。
したがって、玉係止部6eは離型の際、破損や亀裂、あるいは機能上問題となる大きな塑性変形を残さないような柔軟性を保持することが必要である。
また、玉係止部6eは、その対向する玉係止部6e間の口元外径Hに対する玉径φDaがφDa>Hの関係でもあり、軸受に保持器4を組込む際即ち玉3をポケット部6bに挿入する際に、玉係止部6e間を通過する時も、玉係止部6eの破損や欠け等が生じないことが必要であり、組込後は保持器4が軸方向に玉3から抜けないような構造としている。
通常の一般的な回転条件では、保持器4が玉3から抜ける可能性は少ないが、軸受回転中の振動が大きい条件、あるいはモーメント荷重やその他の要因による外輪1及び内輪2間の傾き等で、保持器4の玉係止部6eに偏荷重が加わる用途では、外れやすくなるため、保持器4の軸方向の脱落(抜け)を抑制する強度を保持することが必要である。
仮に、少なくとも一部のポケット部6bで、軸方向に玉3が外れた場合、円周方向の隣り合う玉同士が接触し、玉間の滑り接触により発熱が生じたり摩耗が発生し、場合によっては焼き付き・玉の破損に至る。保持器4にも脱落個所の偏当りにより、損耗や欠けが発生するなどの不具合が生じる。
上述したような用途において、両者の相反する要求を満足するためには、適正な保持器樹脂材料の選定・ガラス繊維などの強化材の含有量の選定や最適な玉係止部6eの口元径寸法Hの選定など、最終的な仕様設計確立に至るまでにはいくつかの問題点を解決する必要がある。
一方、アンギュラ玉軸受の場合、図25及び図26に示すように、一般的には両側リング構造の所謂もみぬき保持器7が使用されることが多いが、最近、特許文献1に示すような幅狭玉軸受の場合には、玉軸受の軸方向の幅をより狭くするための方策として、冠形片持ちリング構造の玉案内保持器が提案されている。
特開2004−333588号公報(第1頁、図1)
しかしながら、特許文献1に開示されている幅狭のアンギュラ玉軸受では、軸方向省スペース化の目的で軸受の軸方向幅を狭くするという理由から、特に玉径が小さくならざるを得ず、保持器の断面肉厚も薄く、リング部の円環強度が小さくなり保持器が変形し易いため、上述した軸方向への保持器の抜けが生じやすいという未解決の課題がある。
特に、上述した用途では、大きなモーメント荷重が負荷として作用して運転する場合が多く、各玉の負荷荷重のバラツキにより各玉公転速度に違いが生じ、その結果、保持器への偏荷重が加わり保持器が変形、玉係止部への荷重負荷により保持器が軸方向に抜ける可能性が懸念される。保持器強度を極端に大きくすると、上述したように、成形型からの離型の際や、保持器組込みの際における玉の係止部通過時の変形荷重により、係止部の破損や亀裂の発生や塑性変形を生じてしまう。
そこで、本発明は上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、軸方向の省スペース化の目的で冠形保持器を採用した場合に、保持器の軸方向の外れを発生させることがないと共に、玉の摩耗や損傷及び保持器を破損させることなく安定した回転性能を発揮することができる玉軸受を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1に係る組合せ玉軸受は、幅狭玉軸受を2列組合せて構成され、各幅狭玉軸受は、片側にリング部を有し、当該リング部の他方側に玉を保持する所要数のポケット部を形成した冠形の玉案内保持器をそのリング部側を組合せ面側に配置してなる組合せ玉軸受であって、前記ポケット部は、前記リング部とは反対側の先端部に形成した玉の抜け出しを防止する玉係止部を有し、前記ポケット部の曲率中心と前記玉係止部先端との軸方向距離に対して、前記ポケット部の曲率中心と玉曲率中心とを一致させた状態における対向する2つの保持器におけるリング部端部間の軸方向すきまに、前記ポケット部のポケット面と玉との軸方向すきまを加えた値が小さくなるように設定したことを特徴としている。
また、請求項2に係る組合せ玉軸受は、請求項1に係る発明において、前記玉案内保持
器は、合成樹脂材料で成形されていることを特徴としている。
さらに、請求項3に係る組合せ玉軸受は、請求項1又は2に係る発明において、前記各幅狭玉軸受は、前記玉案内保持器のリング部側と玉を介して反対側における内外輪軸方向端面部に環状シール体が配設されていることを特徴としている。
さらにまた、請求項4に係る組合せ玉軸受は、請求項3に係る発明において、前記環状シール体は、前記幅狭玉軸受の外輪及び内輪の少なくとも一方に接触されていることを特徴としている。
なおさらに、請求項5に係る複列玉軸受は、幅狭の複列玉軸受の構成を有し、夫々の列には、片側にリング部を有し、当該リング部の他方側に玉を保持する所要数のポケット部を形成した冠形の玉案内保持器をそのリング部側を軸受の軸方向内側に対向させて配置してなる複列玉軸受であって、
前記ポケット部は、前記リング部とは反対側の先端部に形成した玉の抜け出しを防止する玉係止部を有し、前記ポケット部の曲率中心と前記玉係止部先端との軸方向距離に対して、前記ポケット部の曲率中心と玉曲率中心とを一致させた状態における対向する2つの保持器におけるリング部端部間の軸方向すきまに、前記ポケット部のポケット面と玉との軸方向すきまを加えた値が小さくなるように設定したことを特徴としている。
また、請求項6に係る複列玉軸受は、請求項5に係る発明において、前記玉案内保持器は、合成樹脂材料で成形されていることを特徴としている。
さらに、請求項7に係る複列玉軸受は、請求項5又は6に係る発明において、前記複列玉軸受は、前記玉案内保持器のリング部側と玉を介して反対側における内外輪軸方向端面部に環状シール体が配設されていることを特徴としている。
さらに、請求項8に係る複列玉軸受は、請求項7に係る発明において、前記環状シール体は、前記幅狭玉軸受の外輪及び内輪の少なくとも一方に接触されていることを特徴としている。
本発明によれば、幅狭玉軸受を2列組合せた組合せ軸受、あるいは幅狭の複列玉軸受において、前記ポケット部の曲率中心と前記玉係止部先端との軸方向距離に対して、前記ポケット部の曲率中心と玉曲率中心とを一致させた状態における対向する2つの保持器におけるリング部端部間の軸方向すきまに、前記ポケット部のポケット面と玉との軸方向すきまを加えた値が小さくなるように設定したので、モーメント荷重による内外輪傾き等で、保持器が軸方向に移動した場合に、組み合わせた他方の軸受の保持器端面に接触することにより、玉の大径部が玉係止部を越えるまでずれることがなくなるので、玉及び保持器が相対的に脱落することを確実に防止することができるという効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態を図を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態を示す単列玉軸受を2列組み合わせた状態を示す要部断面図、図2は断面寸法比(B/H)と半径方向の内外輪の変形量との関係を示すグラフ図、図3は断面寸法比(B/H)と断面2次モーメントIとの関係を示すグラフ図、図4は内輪の半径方向の変形量を説明するための説明図、図5は内輪の断面2次モーメントの計算方法を説明するための説明図、図6は断面寸法比(B/H)と半径方向の内外輪の変形量との関係を示すグラフ図、図7は断面寸法比(B/H)と断面2次モーメントIとの関係を示すグラフ図、図8は本発明品と従来のクロスローラ軸受とのモーメント剛性の比較を示すグラフ図、図9は各種軸受での計算モーメント剛性の比較を示すグラフ図、図10は玉案内保持器を示す断面図、図11は保持器を径方向内側から見た部分斜視図、図12は図10の矢印Y方向から見た矢視図、図13は図10のZ−Z線断面図、図14は保持器が軸方向に移動した場合の作用を説明する説明図、図15は保持器を示す図であって、(a)は図10の矢印X方向から見た矢視図、(b)その変形例を示す矢視図、(c)は(b)に示す保持器の変形例を示す拡大図、(d)は保持器の干渉状態を示す図、(e)は保持器の干渉回避状態を示す図である。
本発明の組合せ軸受100は、図1に示すように、2つの単列アンギュラ玉軸受100A及び100Bを接触角がハの字を表すように2列背面組合せた構成を有する。
ここで、単列アンギュラ球軸受100A及び100Bの夫々は、図1に示すように、外輪101の軌道溝101aと内輪102の軌道溝102aとの間に多数の玉103が転動自在に配設された幅狭軸受の構成を有する。
また、内輪102、外輪101及び玉103の材料は、標準的な使用条件では軸受鋼(例えば、SUJ2、SUJ3など)とするが、使用環境に応じて、耐食材料であるステンレス系材料(例えば、SUS440C等のマルテンサイト系ステンレス鋼材やSUS304等のオーステナイト系ステンレス鋼材、SUS630等の析出硬化系ステンレス鋼材など)、チタン合金やセラミック系材料(例えば、Si34、SiC、Al2 3、ZrO2等)を採用してもよい。
潤滑方法も特に限定されず、一般的な使用環境では、鉱油系グリースや合成油系(例えば、リチウム系、ウレア系等)のグリースや油を使用でき、高温環境用途などではフッ素系グリース又はフッ素系の油、或いはフッ素樹脂、MoS2などの固体潤滑剤を使用することができる。
また、幅狭軸受とは、国際標準化機構(ISO)で規定されている標準アンギュラ玉軸受(78××、79××、70××、72××、73××シリーズ等)に当てはまらないサイズの軸受であって、軸方向断面幅Bと半径方向断面高さH(=(外輪外径D−内輪内径d)/2)との断面寸法比(B/H)を(B/H)<0.63とする軸受である。
また、幅狭の複列玉軸受とは、軸方向断面幅B2と半径方向断面高さH2(=(外輪外径D2−内輪内径d2)/2との断面寸法比(B2/H2)が(B2/H2)<1.2とする幅狭の複列アンギュラ高玉軸受である。
例えば、従来の玉軸受として、7208A(接触角30度のアンギュラ玉軸受)の場合、内輪内径φ40mm、外輪外径φ80mm、軸方向断面幅(軸受単体幅)Bが18mmであるので、断面寸法比(B/H)=0.9である。
したがって、本実施形態のアンギュラ玉軸受100A及び100Bでは、断面寸法比(B/H)=0.45(内輪内径及び外輪外径はそのままで、軸方向断面幅(軸受単体幅)を9mmとした)としている。これにより、ラジアル荷重と両方向のアキシアル荷重、モーメント荷重を受けることができると共に、軸方向寸法で1/2の省スペース化が図れ、単列の7208Aと置き換えが可能となり、且つ低トルク化及び更なる高剛性化を図ることができる。
もちろん、必要に応じて、アンギュラ玉軸受100の断面寸法比(B/H)を0.45未満或いは0.45を超える(但し(B/H)<0.63)ように設定してもかまわない。
このように、B/H<0.63とする理由は以下の通りである。
図2及び図3はそれぞれ標準的に使用されている極薄肉玉軸受(軸受内径:φ38.1mm,軸受外径:φ47.625mm,軸受幅:4.762mm,前記断面寸法比(B/H)=1)を基準とし、軸受外径及び軸受幅を変えずに、軸受内径を変化させた場合(即ち、(B/H)の値を変化させた場合)の内外輪リングの半径方向の変形特性(図4参照:内輪を例示)及び半径方向の断面2次モーメントI(図5参照:I=bh3/12で計算)を比較した結果を示している。
また、図6及び図7についてもそれぞれ標準的に使用されている極薄肉玉軸受(軸受内径:φ63.5mm,軸受外径:φ76.2mm,軸受幅:6.35mm,前記断面寸法比(B/H)=1)を基準とし、軸受外径及び軸受幅を変えずに、軸受内径を変化させた場合(即ち、(B/H)の値を変化させた場合)の内外輪リングの半径方向の変形特性及び半径方向の断面2次モーメントIを比較した結果を示している。
何れの軸受も(B/H)=0.63未満で、剛性の増加率勾配の変化が顕著に出ている。すなわち、断面2次モーメントIの増加は顕著になり、半径方向の内外輪リングの変形量の減少は飽和状態となる。
従って、本実施形態では、従来の極薄肉軸受で問題となる内外輪製作時の旋盤加工や研磨加工時の加工力による軸受変形を防止することができ、真円度や偏肉等の軸受精度を向上させることができる。
また、軸やハウジングに組み込んだ場合(特に、軸やハウジングとすきま嵌合で組み込んだ場合)、内輪押えや外輪押え等で軸受を固定した時の内外輪の変形(特に真円度の悪化)を抑制することができると共に、変形によって生じるトルク不良や回転精度不良、あるいは、発熱増大、摩耗や焼付き等の不具合を防止することができる。
なお、単列玉軸受は、1列では、予圧をかけたりモーメント荷重を負荷することは困難であるが、2列以上の多列組合せとすることで、ラジアル荷重、アキシアル荷重及びモーメント荷重を負荷することが可能となる。
また、各玉が内外輪の軌道溝に対して常に2点で接触するので、4点接触玉軸受のように、玉の大きなスピンによるトルクの増加を抑制することができ、更には、クロスローラ軸受に比べて転がり抵抗が低くなるので低トルク化を実現することができる。
図8は、単列の本発明品(接触角がハの字形となる2列背面組合わせ軸受)とクロスローラ軸受についてそれぞれの軸受にモーメント荷重を負荷した場合の内外輪相対傾き角の比較データである。
ここで、測定軸受の主要寸法は、
本発明品:
内輪内径 :φ170
外輪外径 :φ215
単体幅 :13.5mm
転動体ピッチ円直径:φ192.5
接触角35°
(B/H=0.60)
クロスローラ軸受:
内輪内径 :φ130
外輪外径 :φ230
組立幅 :30mm
転動体ピッチ円直径:φ189.7
である。
この図8から明らかなように、転動体のピッチ円直径が略同一となる本発明品及びクロスローラ軸受の両者について、モーメント剛性の比較データは、本発明品がクロスローラ軸受に対して、約1.3倍のモーメント剛性を保持していることが確認された。
また、上記の実験に加えて、本発明品及びクロスローラ軸受を軸及びハウジングに組込んだ後、モータ(ベルト駆動)により低速で回転させたが、本発明品は、回転ムラもなくスムーズに回転したが、クロスローラ軸受の場合はトルク変動による回転ムラが実際に確認された。
更に、幅寸法が従来の標準単列玉軸受の約半分となることで、玉径も従来の玉軸受の半分程度となるが、逆に1列あたりの玉数が増加し、軸受剛性は従来の玉軸受に対して増加する。また、旋回ロボットのアーム継ぎ手部分等に適用する場合では、低速の揺動回転がほとんどであるので、玉径を小さくしたことにより軸受の負荷容量が低下しても、転がり疲れ寿命時間が実用上で問題となることはない。
その他の産業機械、ロボットの関節部や旋回機構部、工作機械の回転テーブルや主軸旋回機構部、医療機器、半導体/液晶製造装置、光学及びオプトエレクトロニクス装置などでも、回転数が低い用途や揺動回転用途が多いので、転がり疲れ寿命時間が問題となることはほとんどない。
図9は、各種軸受の計算モーメント剛性の比較である。同一サイズ(計算例は、軸受名番7906A(接触角30°)相当で、内外径寸法が同じ場合:内輪内径φ30mm、外輪外径φ47mm)では、請求項1に係る2列組合せの幅狭アンギュラ玉軸受(接触角30°:軸受の計算例)において、且つ内外輪の軌道溝曲率半径(Daは玉径)を変化させた本発明例A〜Eは、何れもクロスローラ軸受、標準2列組合せアンギュラ玉軸受及び4点接触玉軸受に比べてモーメント剛性が高くなっており、例えば本発明例Bは、クロスローラ軸受の2.4倍、従来の標準2列組合せアンギュラ玉軸受の1.9倍、4点接触玉軸受の3.3倍のモーメント剛性を保持させることが可能である。
なお、それぞれの設計予圧すきまは、本発明例A〜E、標準2列組合せアンギュラ玉軸受及び4点接触玉軸受は−0.010mm、クロスローラ軸受は−0.001mmと実用上の標準的な値として計算している。
また、本実施形態における幅狭玉軸受の適正な玉径は、シール等の装着有無により変化するが、剛性を増加させるため、極端に玉径を小さくすると、玉と内外輪の軌道溝との接触部間の面圧が増加し、耐圧痕性が低下する虞れがあるため、概ね、軸受幅(B)の30〜90%が望ましい。
なお、接触角θは、大きなモーメント荷重を負荷した際に、内外輪みぞ肩部への玉と内外輪みぞ接触部の乗り上げを抑えるため、概ね60°以下、望ましくは50°以下、さらに望ましくは40°以下がよいが、20°未満の場合は、逆に許容アキシアル荷重や許容モーメント荷重が低下するので好ましくない。
そして、本実施形態では、単列アンギュラ玉軸受100A及び100Bの組合せ面側に多数の玉103を円周方向に位置決めする玉案内保持器110を配設し、組合せ面とは反対側に環状シール体120を配設している。
玉案内保持器110は、例えば、図10〜図12に示すように、リング部111と、このリング部111の一端部に周方向に略等間隔で複数箇所軸方向に突設された柱部112と、各柱部112間に形成されて玉103を周方向に転動可能に保持する多数のポケット部113と、このポケット部113のリング部111とは反対側の先端部に形成された玉103の抜け出しを防止する一対の玉係止部114とを備えた柔軟性のある冠形保持器の構成を有する。この保持器110の材質は、例えば、ポリアミド、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド等の合成樹脂材とし、必要に応じて、合成樹脂材にガラス繊維や炭素繊維等の補強材を混入した材料を用いる。
そして、玉案内保持器110が、図1に示すように、単列アンギュラ玉軸受100A及び100Bに、リング部111が組合せ面側となるように配置されている。
ここで、図13に示すように、ポケット部113の曲率中心Oと玉係止部114の先端との軸方向距離Lに対して、ポケット部113曲率中心Oと玉103の曲率中心とを一致させた状態における対向する2つの保持器110におけるリング部111の端部間の軸方向すきまΔGに、ポケット部113のポケット面113aと玉103の軸方向すきまΔPを加えた値ΔG+ΔPが下記(1)式で表されるように小さくなるように設定されている。
L>ΔG+ΔP …………(1)
このような寸法構成とすることで、モーメント荷重による内外輪傾き等で、図14に示すように、一方の単列アンギュラ玉軸受例えば100Aで保持器110が鎖線図示の状態から実線図示の状態に軸方向に移動した際に、そのリング部111が組合せた他方の単列アンギュラ玉軸受100Bの保持器110のリング部111に当接することにより、玉103の大径部が玉係止部114の先端を越えることがなく(すなわち、図14中のΔが正の値となる)、保持器110の脱落即ち玉103がポケット部113から外れることを確実に防止することができる(すなわち、図14中のΔだけ余裕代が残る)。
ここで、アンギュラ玉軸受100A及び100Bの保持器110はともに略同一速度で公転しており、両保持器110の相対滑り速度は極めて小さく、且つ両者は平坦な面での接触となるので、接触部分の摩耗や破損は生じにくい。
上記構成は、単列で軸受を使用する場合には効果を発揮することができないが、アンギュラ玉軸受の場合、構造上から、単列では一方向のアキシャル荷重しか負荷できないため、2列以上の組合せで使用されることが殆どであり、実施した場合の適用頻度は高い。
組合せ軸受100で、上記(1)式の関係を有するように保持器110を配置することにより、保持器110の玉103からの抜けを確実に防止することができると共に、保持器110の玉係止部114の形状設計の選択範囲を広げることができ、設計も容易となる。
また、この実施形態では、軸受の負荷容量や剛性を上げるために、隣合う玉103間の円周方向ピッチをできるだけ組合せ側端面の反対側にずらし(図1:X1>X2)、保持器110のリング部111が軸受組合せ端面側になるように配置しており、モーメント剛性を上げるための作用点間距離を大きくとれるようにしている。
また、図15(b)は図15(a)と基本構造は同様な冠形保持器110であるが、リング部111の少なくとも円周方向の一箇所で互いに隣り合うポケット部113間を予め切断して、各切断面間に所定のすき間ΔRを持たせた構造としている。
このような構造を採用することで、保持器110と内外輪との熱膨張係数差及び保持器の寸法精度や真円度のばらつきにより、転動体ピッチ円径と保持器のピッチ円径がずれた場合でも、片持ち形状であることによる半径方向の柔軟性と、各切断面間のすき間ΔRによる円周方向の弾力的変形(円周方向の柔軟性)を兼ね備えることとなるため、玉103とポケット部113間の突っ張り力を緩衝して、保持器110の損傷や摩耗を防止すると共に、玉103とポケット部113内面とのすべり接触抵抗によるトルクむらや発熱をより軽減することができる。
また、本発明の玉軸受は、構造上、使用玉径が小さくなるため、保持器110のリング部111の半径方向の厚みは厚くできず(図1からも理解できるように、保持器110は内輪外径と外輪内径との間の空隙部に適度なすき間を設けて位置決めさせる必要があり、この内輪外径と外輪内径との間の空隙部は玉径と略比例関係にあるので狭い)、更に、幅狭構造により、軸方向の間隙部も狭く、軸方向厚みも薄くせざるを得ない。このため、標準サイズの軸受より保持器110のリング部111が極めて小さく、真円度等の寸法精度を出しにくくなるので、リング部111を図15(b)のようにした保持器構造は、特に上述した保持器の損傷や摩耗防止効果及びトルクむらや発熱の軽減効果が得られる。
さらに、図15(b)に示す保持器構造においては、図15(c)のように、切断された面と、保持器リング部の側面との隅部に、対向する保持器間の円周方向の干渉を防止するガイド機構として例えばC面取り部115を設けることが好ましい。
このようにC面取り部115を設けることにより、モーメント荷重などの外部荷重が軸受に作用した際、内外輪の相対的傾きや内外輪の変形などによって、組合せた各軸受列間の玉及び保持器の公転速度が異なり、保持器110が軸方向に相対変形し、保持器110同士が図15(d)に示すように円周方向に干渉して突っ張り合い、保持器110に負荷を与える場合があり得る。
そこで、上記のような面取り部を形成することで、図15(e)に示すように、各列の保持器110間の円周方向の干渉を回避でき、回転トルクの増加、保持器110の磨耗や損傷などの不具合をなくすことが可能となる。C面取り部115の傾斜角度βは特に定めないが、接触部の摩擦係数などを考慮すると、傾斜角βは45°以下が望ましい。また、幅Cは、対向する保持器110のギャップΔGや保持器110の軸方向動き量などに合わせて適正な値を選定する。
また、干渉を回避するための形状は、C面取り部115に限らず、R面取り部などの干渉を回避できる構造であれば、特に問わない。
さらに、図15(b)のように、リング部111の一箇所に隙間ΔRを持たせた構造とした保持器110において、ポリアミドなどの樹脂保持器を使用する場合、切断部のすき間ΔRは以下のように設定することが好ましい。
今、軸受周辺の温度変化や使用中の昇温に際して、内輪及び玉と保持器の線膨張係数の差から生じる、玉ピッチ円径上での円周方向相対膨張量をE1とし、軸受の周囲の環境状況によって発生する、保持器中への水分や油分などの含浸による保持器の玉ピッチ円径上での円周方向膨張量をE2としたとき、切断部のすき間ΔRは
ΔR≧E1+E2 …………(2)
に設定する。
例えば、図8の本発明品(以下の条件)に適用すると、以下のとおりである。
・内輪、外輪及び玉材質(SUJ2):線膨張係数……12.5×10-6
・保持器材質(ポリアミド66) :線膨張係数……80×10-6
・玉ピッチ円径 :192.5(mm)
・軸受温度最大上昇値 :100(℃)(常温が20℃とした場合、軸受温度としては120℃である)
・樹脂の吸水膨張率 :0.3(%)
設計例
熱膨張差による円周方向相対膨張量E1は
E1=(80×10-6−12.5×10-6)×100×192.5×π=4.08(mm)
吸水による円周方向膨張量E2は、
E2=0.3/100×192.5×π=1.81(mm)
に設定する。
上記(2)式より、ΔR≧4.08+1.81=5.89(mm)となり、四捨五入してΔR≧6(mm)とする。
このような設定にすることにより、軸受が回転時に昇温した際や、湿度の高い環境条件下で使用されても、すき間ΔRが負にならずに、保持器110が円周方向に突っ張ることがなくなり、玉103と保持器ポケット部113の干渉や突っ張りによる発熱やトルク増加及びポケットの摩耗や破損などの不具合を防止することができる。
ただし、すき間ΔRを必要以上に大きく設定すると、玉の不等配の影響で、軸受の円周方向の剛性が不均一となり、保持器の公転周期での非回転同期成分(NRRO値)の増大が発生する可能性がある。
工作機械の旋削加工を行なう際など、加工物を保持する円テーブル装置に本軸受を使用する場合では、NRRO値が増加し、加工物の真円度や引き目などの表面品位が悪化する要因となる。
図16は、図8の本発明品において、玉等配状態から玉を一個抜いた時に、軸受の円周方向剛性の差によって発生する内輪の半径方向振れ回り量の計算結果である。
軸受の設定予圧すき間が大きくなるほど(つまり設定予圧荷重が大きくなるほど)振れ回り量が大きくなるが、加工精度に影響を及ぼすと考えられる0.1μm以下に抑えるには、予圧すき間−30μm程度以下に抑えるのが好ましい。
また、本発明品では、玉径寸法は6.35mmを採用しているので、すき間ΔRを、前記(2)式を満足し、且つ使用する玉径以下の値(本設定では、6mm)にしておけば、適正な予圧すきまの選定により、振れ回り量を実用上問題とならない0.1μm以下に抑えることが可能となる。
本設定は、樹脂材料に限らず、内輪及び玉と保持器材料の線膨張係数差が大きい材料を使用する場合に適用可能である。
また、本例では、保持器の線膨張係数が内輪及び玉より大きく、軸受の温度が上昇する側の場合を例に挙げたが、逆に使用する保持器の線膨張係数が小さく、かつ軸受の温度が常温より低下する場合も同様のすき間ΔRの減少が生じるので、その場合にも適用可能である。
次に、図17に示すように、環状シール体120は、この環状シール体120が挿入される側に対応する内輪102、又は外輪101に対して、接触又は非接触の構成とされている。この環状シール体120は、両単列アンギュラ玉軸受100A及び100Bの保持器110のリング部111と玉103を介して反対側の内外輪軸方向端面部に配設されている。
この環状シール体120は、外輪101及び内輪102の軸方向端面部に形成されたシール収容溝121及び122に収容されている。
環状シール体120は外輪101のシール収容溝121に形成された嵌合溝121aに押し込んで挿入する非接触型(内輪102と非接触)で、逆L状の金属芯金125で補強した補強タイプのゴムシール(例えばニトリルゴム・アクリルゴムやフッ素ゴム)126で構成されている。
ここで、単列アンギュラ玉軸受100Aのゴムシール126は、嵌合溝121aに嵌合される嵌合部126aと、この嵌合部126aから軸方向外側に湾曲しながら内輪102側に延長する環状板部126bとを有する。また、単列アンギュラ玉軸受100Bのゴムシール126は単列アンギュラ玉軸受100Aのゴムシール126と組合せ面を挟んで面対称形状とされている。
このように、環状シール体120のゴムシール126を形成することにより、環状シール体120と玉103との間の内部空間容積が保持でき、図17に示すように玉103の近傍に相当量のグリースを封入することが可能である。また、玉103とシール表面の距離も近いのでシールに付着したグリースも回転によって循環され、転がり接触部の潤滑に寄与できる。
また、単列アンギュラ玉軸受100A及び100Bの組合せ面側では、保持器110のリング部111によって、外輪101の内径面とリング部111の外径面間及び内輪102の外径面とリング部111の内径面間の開口部が狭くなっており、ラビリンス機構を兼ねている。このため、グリースの組合せ面への洩れを防止することができ、軸受を機械に組込むまでの軸受の取扱が容易であると共に、上記実施形態の構成では、軸受組込後はシール装着側が外端面、保持器110のリング部111側が2個の軸受の対向面となるのでグリースの洩れや軸受内部への異物・塵埃の侵入を確実に防ぐことができる。
なお、上記実施形態では、2つの単列アンギュラ玉軸受100A及び100Bを接触角がハの字形となる背面組合せする場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図18に示すように、接触角が逆ハの字形となる正面組合せするようにしてもよい。
また、上記実施形態では、環状シール体120が内輪シール収容溝122と接触しない非接触型である場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図19に示す内輪シール収容溝122に接触するリップ部127を有する接触型の環状シール体や外輪シール溝に加締める金属シールを適用することができる。また、上記の実施例とは逆に内輪102側に環状シール体120を嵌合させ、外輪に対して接触又は非接触の構造としてもよい。
なお、上記実施形態では、玉103のピッチ円直径は次式(3)のとおりとしているが、軸受1列あたりの玉数を増やして更にモーメント剛性を増加させたい場合は、次式(4)を採用して、玉103のピッチ円直径を外輪側にずらした構造としてもよいし、必要に応じて次式(5)を採用して逆に玉103のピッチ円直径を内輪102側にずらしてもよい(図示せず)。
玉のピッチ円直径=(内輪内径+外輪外径)/2 …(3)
玉のピッチ円直径>(内輪内径+外輪外径)/2 …(4)
玉のピッチ円直径<(内輪内径+外輪外径)/2 …(5)
また、必要に応じて、組み合わされる左右の玉軸受の玉ピッチ円直径を同―値とせずともよいし、組み合わされる左右の玉軸受の玉103の径を同一値としなくてもよい。加えて、組み合わせる2個の玉軸受の断面寸法比(B/H)は同一でなく、例えば玉径の小さい方を(B/H)=0.28、玉径の大きい方を(B/H)=0.62としても構わない。更に、玉103の軸方向ピッチも軸方向中心でなくともよく、シールや保持器の装着有無やモーメントの作用点間距離の確保等のために玉103の軸方向ピッチを軸方向にずらしてもよい。
また、前記の実施例では、モーメント剛性を大きくするため予圧すきまの組合せアンギュラ玉軸受としているが、剛性や精度がさほど要求されない場合(逆にさらなる低トルクや低昇温が要求される場合など)、必要に応じてすきまの組合せアンギュラ玉軸受としてもよい。
次に、図20を参照して、本発明の第2の態様(請求項5に対応)の実施形態の一例である複列アンギュラ玉軸受を説明する。
この複列アンギュラ玉軸受200は、外輪201の複列軌道溝201aと互いに別体に形成された2個の内輪202A及び202Bの軌道溝202aとの間に多数の玉203が保持器210によって転動自在に保持され、軸方向断面幅B2と半径方向断面高さH2(=(外輪外径D2−内輪内径d2)/2)との断面寸法比(B2/H2)が(B2/H2)<1.2とされている。
ここで、保持器210は前述した第1の実施形態と同様の構成を有する冠形保持器とされ、第1の実施形態との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略するが、前述した第1の実施形態における図13に示すように、ポケット部113の曲率中心Oと玉係止部114の先端との軸方向距離Lに対して、ポケット部113曲率中心Oと玉203の曲率中心とを一致させた状態における対向する2つの保持器210におけるリング部111の端部間の軸方向すきまΔGに、ポケット部113のポケット面113aと玉203の軸方向すきまΔPを加えた値ΔG+ΔPが小さくなるように設定されている(L>ΔG+ΔP)。
そして、外輪201と内輪202A及び202Bとの軸方向左右側端面に、夫々第1の実施形態と同様のシール収容溝221と222とが左右対称に形成され、これらのシール収容溝221及び222に環状シール体220が左右対称に収容されている。
この環状シール体220は、保持器210のリング部111とは玉203を介して反対側の内外輪軸方向端面部に配設されている。
環状シール体220は外輪201のシール収容溝221に形成された嵌合溝221aに押し込んで挿入する非接触型(内輪202A,202Bと非接触)で、逆L状の金属芯金225で補強した補強タイプのゴムシール(例えばニトリルゴム・アクリルゴムやフッ素ゴム)226で構成されている。
ここで、ゴムシール226は、嵌合溝221aに嵌合される嵌合部226aと、この嵌合部226aから軸方向外側に湾曲しながら内輪202A,202B側に延長する環状板部226bとを有する。
ここで、この第2の実施の形態では、複列アンギュラ玉軸受200を7208A(接触角30°)の2列組合せアンギュラ玉軸受と置き換えた場合を例に採る。
7208Aは、内輪内径φ40mm、外輪外径φ80mm、軸方向断面幅(軸受単体幅)Bが18mmであるので、断面寸法比(B/H)=0.9である。したがって、本実施形態の複列アンギュラ玉軸受200では、断面寸法比(B2/H2)=0.90(内輪軸方向断面幅(軸受単体幅)B2を18mmとした)としている。
これにより、第1の実施形態と同様の効果が得られ、ラジアル荷重と両方向のアキシャル荷重、モーメント荷重を受けることができるのは勿論のこと、軸方向寸法で1/2の省スペース化、低トルク化及び更なる高剛性化を図ることができる。
勿論、必要に応じて、断面寸法比(B2/H2)を0.90未満或いは0.90を超える(但し、B2/H2)<1.2)ように設定してもよい。
そして、前述した第1の実施形態と同様に、前記ポケット部113の曲率中心と前記玉係止部114の先端との軸方向距離Lに対して、ポケット部113の曲率中心と玉203の曲率中心とを一致させた状態における対向する2つの保持器210におけるリング部111の端部間の軸方向すきまに、ポケット部113のポケット面と玉203との軸方向すきまを加えた値が小さくなるように設定したので、モーメント荷重による内外輪傾き等の影響で、玉及び保持器が相対的に脱落することを確実に防止することができる。
なお、この第2の実施形態でも、モーメント剛性を上げるため、複列アンギュラ玉軸受で玉ピッチ円直径を外輪外径側にずらしたり、複列アンギュラ玉軸受で各列の玉径や玉ピッチ円直径を変えたりしてもよい。
何れの場合も、環状シール体220の構造や装着の有無、保持器等の構造等に関する適用例は、上記第1の実施形態で記載した単列玉軸受に準ずる。また、上記第1の態様の実施の形態と同様に、予圧及びすきまの何れの条件で使用してもよい。
本発明の第1の態様(請求項1に対応)の実施の形態の一例である背面組合せとした組合せ玉軸受を説明するための要部断面図である。 断面寸法比(B/H)と半径方向の内外輪の変形量との関係を示すグラフ図である。 断面寸法比(B/H)と断面2次モーメントIとの関係を示すグラフ図である。 内輪の半径方向の変形量を説明するための説明図である。 内輪の断面2次モーメントの計算方法を説明するための説明図である。 断面寸法比(B/H)と半径方向の内外輪の変形量との関係を示すグラフ図である。 断面寸法比(B/H)と断面2次モーメントIとの関係を示すグラフ図である。 本発明品と従来のクロスローラ軸受とのモーメント剛性の比較を示すグラフ図である。 各種軸受での計算モーメント剛性の比較を示すグラフ図である。 保持器の径方向に沿う断面図である。 保持器を径方向内側から見た部分斜視図である。 図10の矢印Y方向から見た矢視図である。 図10のZ−Z線上の断面図である。 保持器が軸方向移動した場合の作用を説明する説明図である。 (a)は図10の矢印X方向から見た矢視図、(b)は(a)の変形例を示す矢視図、(c)は(b)に示す保持器の変形例を示す拡大図、(d)は保持器の干渉状態を示す図、(e)は保持器の干渉回避状態を示す図である。 予圧すき間と玉一個抜き振れ周り量との関係を示す特性線図である。 図1にグリースを封入した状態を示す要部断面図である。 正面組合せとした組合せ軸受を示す要部断面図である。 環状シール体の他の例を示す要部断面図である。 本発明の第2の態様(請求項5に対応)の実施の形態の一例である複列アンギュラ玉軸受を説明するための要部断面図である。 従来の深みぞ玉軸受を示す断面図である。 図21の保持器を示す斜視図である。 図21のB−B線上の断面図である。 図21のA−A線上の断面図である。 従来のアンギュラ玉軸受を示す断面図である。 図25の保持器を示す側面図である。
符号の説明
100 組合せ玉軸受
100A,100B 単列アンギュラ玉軸受
101 外輪
101a 外輪軌道溝
102 内輪
102a 内輪軌道溝
103 玉
110 玉案内保持器
111 リング部
112 柱部
113 ポケット部
114 玉係止部
115 C面取り部
120 環状シール体
121,122 シール収容溝
200 複列アンギュラ玉軸受
201 外輪
201a 外輪軌道溝
202A,202B 内輪
202a 内輪軌道溝
230 玉
220 環状シール体
221,222 シール収容溝

Claims (8)

  1. 幅狭玉軸受を2列組合せて構成され、各幅狭玉軸受は、片側にリング部を有し、当該リング部の他方側に玉を保持する所要数のポケット部を形成した冠形の玉案内保持器をそのリング部側を組合せ面側に配置してなる組合せ玉軸受であって、
    前記ポケット部は、前記リング部とは反対側の先端部に形成した玉の抜け出しを防止する玉係止部を有し、前記ポケット部の曲率中心と前記玉係止部先端との軸方向距離に対して、前記ポケット部の曲率中心と玉曲率中心とを一致させた状態における対向する2つの保持器におけるリング部端部間の軸方向すきまに、前記ポケット部のポケット面と玉との軸方向すきまを加えた値が小さくなるように設定したことを特徴とする組合せ玉軸受。
  2. 前記玉案内保持器は、合成樹脂材料で成形されていることを特徴とする請求項1に記載の組合せ玉軸受。
  3. 前記各幅狭玉軸受は、前記玉案内保持器のリング部側と玉を介して反対側における内外輪軸方向端面部に環状シール体が配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の組合せ玉軸受。
  4. 前記環状シール体は、前記幅狭玉軸受の外輪及び内輪の少なくとも一方に接触されていることを特徴とする請求項3に記載の組合せ玉軸受。
  5. 幅狭の複列玉軸受の構成を有し、夫々の列には、片側にリング部を有し、当該リング部の他方側に玉を保持する所要数のポケット部を形成した冠形の玉案内保持器をそのリング部側を軸受の軸方向内側に対向させて配置してなる複列玉軸受であって、
    前記ポケット部は、前記リング部とは反対側の先端部に形成した玉の抜け出しを防止する玉係止部を有し、前記ポケット部の曲率中心と前記玉係止部先端との軸方向距離に対して、前記ポケット部の曲率中心と玉曲率中心とを一致させた状態における対向する2つの保持器におけるリング部端部間の軸方向すきまに、前記ポケット部のポケット面と玉との軸方向すきまを加えた値が小さくなるように設定したことを特徴とする複列玉軸受。
  6. 前記玉案内保持器は、合成樹脂材料で成形されていることを特徴とする請求項5に記載の複列玉軸受。
  7. 前記複列玉軸受は、前記玉案内保持器のリング部側と玉を介して反対側における内外輪軸方向端面部に環状シール体が配設されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の複列玉軸受。
  8. 前記環状シール体は、前記幅狭玉軸受の外輪及び内輪の少なくとも一方に接触されていることを特徴とする請求項7に記載の複列玉軸受。
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