JP2008164114A - 圧力容器及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 圧力容器及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、合成樹脂製ライナー材で形成される内側壁と口金部材との接着力を向上させ、気密シール性が高められた圧力容器及びその圧力容器を簡単な工程で経済的に製造できる製造方法の提供。
【解決手段】合成樹脂製ライナー材で形成された中空容器1と、その中空容器の外層に設けられた補強材2を有し、かつ少なくとも1つの口金部材3を有する圧力容器であって、その口金部材と合成樹脂製ライナー材とが、分子量分布の狭い特定の変性高密度ポリエチレン系樹脂を必須とする接着樹脂(Z)を介して接着または溶着された圧力容器及びその製造方法による。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧力容器及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、合成樹脂製ライナー材で形成される中空容器と口金部材とを、分子量分布の狭い特定の変性高密度ポリエチレン系樹脂を必須とする接着樹脂を介して接着または溶着することにより、中空容器の内側壁と口金部材との接着力を向上させ、気密シール性が高められた圧力容器及びその圧力容器を簡単な工程で経済的に製造できる製造方法に関する。
天然ガス、圧縮天然ガス、酸素や窒素、水素用タンク等の圧力容器では、充填圧力が20MPa〜100MPaという高圧であり、従来では、鋳鉄、鋼鉄製からなる金属製の高圧容器が一般的に使用されてきたが、昨今の燃費の向上のため自動車部品のプラスチック化や地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量の抑制などから水素を利用した燃料電池電気自動車等の普及など、自動車等の軽量化や自動車燃料の多様化、リサイクル化等の環境面の変化から、これら圧力容器においても急速にプラスチック化が行われつつある。
例えば、自動車の燃料としてのLPG、水素を利用した燃料電池が使用され、搭載する圧力容器の軽量化が要望されている。例えば、鋼鉄製の容器に替わるものとして、アルミ製のライナーに炭素繊維で補強したものが使用されているが、さらに軽量化をはかるために、プラスチック製のライナーを使用した樹脂製容器も開発されている。例えば、特許文献1に記載の容器は、ガスバリア性を有する合成樹脂製のライナーが、圧力性の繊維強化プラスチック(FRP)製の外側殻で覆われてなる圧力容器で、本質的に樹脂からなるので金属製のものに比べて軽量であり、燃費の向上が期待できる。
このような圧力容器は、容器内へガスを充填したり、容器内からガスを取出すためのノズルを取付けるために、ノズル取付用の口金部材が設けられる。口金部材は、通常、容器の内側ライナー材と一体的に結合されるが、ノズルを螺合させるための口金部材は通常金属製であり、内側ライナー材は軽量化または製造工程の簡素化の観点から口金部材とは異種のプラスチック材料から構成されるので、容器内側ライナー材と口金部材との結合部または界面部のシール性が要求されている。
特に、圧力容器は、25MPa〜100MPaという高圧ガスが充填されるので、極めて高いガスシール性が要求されている。これら樹脂製圧力容器において、口金部材のガスシール性を改良した技術として、例えば、特許文献2に記載の圧力容器には、内側殻端部の上下リップで口金部材の円盤状フランジ部を受容する構造とすることにより、口金部材のガスシール性を高める構造としているが、内側殻の内壁面に口金部材の端部が露出し、この口金部材の端部に直接ガス内圧がかかるので、圧力容器の製造直後にはガス漏れがなくても、製品容器を長期間使用しているうちに、内側殻の樹脂がクリープを起して収縮し、内側殻と口金部材との界面にすき間が生じ、界面のすき間からガス漏れが発生する恐れがある。
また、特許文献3では、フィラメントを巻き付けた外殻と非金属製内部ライナーとで構成された圧力容器において、ライナーにある相補形のタブと係合するように環状フランジに設けた錠止溝とを有する圧力容器が提案され、口金部材の円盤状フランジ部の上下面に錠止溝を設け、かつ、この上下の錠止溝に合致するタブを内側ライナー端部に形成させて結合することにより、外殻とライナーとの間の漏洩を生じさせるリスクを低減させている。
しかし、この圧力容器も内側殻の内壁面に口金部材の端部が露出し、この口金部材の端部に直接、ガスの内圧がかかるので、上記したと同様の理由でガス漏れが発生する恐れがある。
また、特許文献4では、ガスバリア性を有する内殻と、該内殻を覆うように設けた圧力性の外殻と、該内殻の首部に内装したノズル取付用口金を有するガスボンベであって、該口金にシールリングが嵌着され、該シールリングを押圧することにより、ガス漏れを抑止するものであるが、圧力が高い場合には十分なシール性が発揮されない惧れが生じ、かつ押圧されるので、シーリング材の劣化が著しく、シーリング(Oリング等)の交換が繁雑で不経済であるばかりでなく、交換する場合にも製品容器の分解が必要とするなどの不都合が生じるものである。また同様にリップパッキングを用いたシール機構を有する圧力容器(特許文献5、特許文献6など)、あるいは自己シール部を有する圧力容器(特許文献7)も提案されているが、やはり上記特許文献類と同様の問題点を内在している懸念を有する。
また、特許文献8においては、ガスバリア性の内側殻と圧力性の外側殻を有し、少なくとも一方の端部に口金部材を取付けた圧力容器において、該内側殻のライナー材の肩部と、一端側が円板状に構成された口金部材とを接着樹脂層を介して接着し、該内側殻のライナー材と口金部材との界面のシール性が優れた圧力容器が提案されている。
上記特許文献8における接着樹脂層は、不飽和カルボン酸官能基含有ポリエチレン樹脂が好適で、密度0.88〜0.945g/cm、MFR0.05〜50g/10分のポリエチレン、エチレン−α・オレフィン共重合体が使用されることが示されている(特許文献5、段落[0025]参照)。
さらに特許文献9においては、ブロー成形により、インサート部材を装着し、パリソンを型閉めして、パリソンとインサート部材を一体化させる際に、パリソンとインサート部材間に熱可塑性接着剤を介して行う圧力容器の製造方法が開示されている。
しかしながら、上記特許文献類には、その実施例において、該接着剤の性状等やそれらの具体的な記載が全く示されていない。
昨今の厳しい製品の品質管理、より高圧なガス充填の要求、あるいは、特に従来の圧力容器においては、比較的分子量の大きい天然ガスなどに対しては気密性は発揮するものの、分子量の小さい水素ガスについては十分な耐水素ガス透過性を維持しているとはいい難く、より性能の高い接着性能が要求されている。
特公平5−88665号公報 特開平6−42698号公報 特開平6−137433号公報 特開平8−219387号公報 特開2000−265138号公報 特開2005−9591号公報 特開2004−211763号公報 特開平10−332082号公報 特開2006−161978号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、合成樹脂製ライナー材で形成される中空容器と口金部材とを、分子量分布の狭い特定の変性高密度ポリエチレン系樹脂を必須とする接着樹脂を介して接着または溶着することにより、中空容器の内側壁と口金部材との接着力を向上させ、気密シール性が高められた圧力容器及びその圧力容器を簡単な工程で経済的に製造できる製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、合成樹脂製ライナー材で形成された中空容器と、その中空容器の外層に設けられた補強材を有し、かつ少なくとも1つの口金部材を有する圧力容器であって、前記中空容器と前記口金部材とは、下記(a1)〜(a3)の特性を満足する高密度ポリエチレン系樹脂(イ)30〜100重量部と、下記(b1)および(b2)の特性を満足し、かつ、(イ)と異なるポリエチレン系樹脂(ロ)0〜70重量部とを、下記(a)〜(e)の官能基を有する化合物から選択された少なくとも1種の化合物によりグラフトしてなる、(x1)密度が0.91〜0.97g/cmであり、かつ、(x2)メルトフローレートが0.01〜30g/10分であるグラフト変性ポリエチレン系樹脂(X)を含む接着樹脂(Z)を介して接着または溶着された圧力容器及びその製造方法により、上記課題を解決でき、合成樹脂製ライナー材で形成される内側壁と口金部材との接着力を向上させ、気密シール性が高められた圧力容器及びその圧力容器を簡単な工程で経済的に製造できる製造方法を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
[特性]
(a1)密度0.94g/cm〜0.97g/cm
(a2)メルトフローレート(JIS K6922−1(1997)条件D(温度190℃、荷重21.18Nにて測定))0.01〜30g/10分、
(a3)分子量分布(Mw/Mn)が7以下
(b1)密度0.90〜0.97g/cm
(b2)メルトフローレート0.01〜30g/10分
[官能基]
(a)カルボン酸基またはカルボン酸無水物基
(b)エポキシ基
(c)ヒドロキシル基
(d)アミノ基
(e)シリル基
すなわち、本発明の第1の発明によれば、合成樹脂製ライナー材で形成された中空容器と、該中空容器の外層に設けられた補強材で形成された補強材層とを有し、かつ少なくとも1つの口金部材を有する圧力容器であって、前記中空容器と前記口金部材とは、下記(a1)〜(a3)の特性を満足する高密度ポリエチレン系樹脂(イ)30〜100重量部と、下記(b1)および(b2)の特性を満足し、かつ、(イ)と異なるポリエチレン系樹脂(ロ)0〜70重量部とを、下記(a)〜(e)の官能基を有する化合物から選択された少なくとも1種の化合物によりグラフトしてなる、(x1)密度が0.91〜0.97g/cmであり、かつ、(x2)メルトフローレートが0.01〜30g/10分であるグラフト変性ポリエチレン系樹脂(X)を含む接着樹脂(Z)を介して接着または溶着された圧力容器が提供される。
[特性]
(a1)密度0.94g/cm〜0.97g/cm
(a2)メルトフローレート(JIS K6922−1(1997)条件D(温度190℃、荷重21.18Nにて測定))0.01〜30g/10分、
(a3)分子量分布(Mw/Mn)が7以下
(b1)密度0.90〜0.97g/cm
(b2)メルトフローレート0.01〜30g/10分
[官能基]
(a)カルボン酸基またはカルボン酸無水物基
(b)エポキシ基
(c)ヒドロキシル基
(d)アミノ基
(e)シリル基
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記高密度ポリエチレン系樹脂(イ)の粘度曲線指数(FCI)およびメルトフローレート(MFR)が、さらに、下記の式(1)を満足する圧力容器が提供される。
FCI≦−0.063×log(MFR)+1.10 (1)
また、本発明の第3の発明によれば、第1または2の発明において、前記接着樹脂(Z)が、変性ポリエチレン系樹脂(X)0.5〜100重量%と、下記(A)〜(E)から選ばれる少なくとも1種の未変性ポリエチレン系樹脂または熱可塑性エラストマー(Y)0〜99.5重量%とからなる、(z1)密度0.86〜0.97g/cm、(z2)メルトフローレート0.01〜100g/10分の接着樹脂(Z)である請求項1または2に記載の圧力容器が提供される。
(A):(a1)密度0.94〜0.97g/cm、(a2)メルトフローレート0.01〜100g/10分を有する高密度ポリエチレン系樹脂
(B):(b1)密度0.90〜0.94g/cm未満、(b2)メルトフローレート0.01〜100g/10分の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂
(C):(c1)メルトフローレート0.01〜100g/10分の高圧ラジカル法エチレン(共)重合体
(D):(d1)密度0.86〜0.90g/cm未満、(d2)メルトフローレート0.01〜100g/10分の超低密度ポリエチレン系樹脂
(E):熱可塑性エラストマー
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、前記(イ)、(ロ)、(A)、(B)または(D)の樹脂が、シングルサイト系触媒で製造されたポリエチレン系樹脂である圧力容器が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、前記接着樹脂(Z)が、官能基含有ポリエチレン系樹脂(X)5〜95重量%と、未変性ポリエチレン系樹脂または熱可塑性エラストマー(Y)5〜95重量%とからなる圧力容器が提供される
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、前記接着樹脂(Z)が、前記(a)〜(e)の少なくとも1種の官能基を、接着樹脂(Z)全体の重量を基準として、0.001〜10重量%含有する圧力容器が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、前記合成樹脂製ライナー材は、少なくとも密度0.920〜0.970g/cmのポリエチレン系樹脂を含む合成樹脂材料である圧力容器が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第1〜7のいずれかの発明において、前記合成樹脂製ライナー材は、樹脂内に、エンジニアリングプラスチック、金属部材および無機充填剤の少なくとも1種が分散された複合材である圧力容器が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第1〜8のいずれかの発明において、前記合成樹脂製ライナー材は、少なくとも熱可塑性樹脂層/接着層/バリア層を含む積層体からなる圧力容器が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第1〜9のいずれかの発明において、前記補強材が、繊維強化材である圧力容器が提供される。
また、本発明の第11の発明によれば、合成樹脂製ライナー材で形成された中空容器と、該中空容器の外層に設けられた補強材で形成された補強材層とを有し、かつ少なくとも1つの口金部材を有する圧力容器の製造方法であって、前記中空容器と前記口金部材とを、下記(a1)〜(a3)の特性を満足する高密度ポリエチレン系樹脂(イ)30〜100重量部と、下記(b1)および(b2)の特性を満足し、かつ、(イ)と異なるポリエチレン系樹脂(ロ)0〜70重量部とを、下記(a)〜(e)の官能基を有する化合物から選択された少なくとも1種の化合物によりグラフトしてなる、(x1)密度が0.91〜0.97g/cmであり、かつ、(x2)メルトフローレートが0.01〜30g/10分であるグラフト変性ポリエチレン系樹脂(X)を含む接着樹脂(Z)を介して接着または溶着する圧力容器の製造方法が提供される。
[特性]
(a1)密度0.94g/cm〜0.97g/cm
(a2)メルトフローレート(JIS K6922−1(1997)条件D(温度190℃、荷重21.18Nにて測定))0.01〜30g/10分、
(a3)分子量分布(Mw/Mn)が7以下
(b1)密度0.90〜0.97g/cm
(b2)メルトフローレート0.01〜30g/10分
[官能基]
(a)カルボン酸基またはカルボン酸無水物基
(b)エポキシ基
(c)ヒドロキシル基
(d)アミノ基
(e)シリル基
また、本発明の第12の発明によれば、第11の発明において、前記中空容器を合成樹脂製ライナー材のブロー成形により形成し、前記接着樹脂(Z)による接着剤層を粉体塗装により口金部材に形成し、該接着剤層を介して中空容器と口金部材とを接着または溶着する圧力容器の製造方法が提供される。
また、本発明の第13の発明によれば、第11または12の発明において、前記口金部材を、予め下地処理剤で処理する圧力容器の製造方法が提供される。
本発明によれば、合成樹脂製ライナー材で形成される内側壁と口金部材との接着力を向上させ、気密シール性が高められた圧力容器が得られ、これは、家庭用液化石油ガス容器、自動車用液化石油ガス容器、圧縮天然ガス(CNG:Compressed Natural Gas)、酸素や窒素などを保管する産業用圧力容器、燃料電池用水素タンク等として使用できる樹脂製の圧力容器である。すなわち、本発明は、特定の接着樹脂を使用して、均一に皮膜形成ができるため、ライナー材の内側面と口金部材との接着力が強固にでき、飛躍的に接着力が向上し、その気密シール性を高めた圧力容器及びその製造方法を提供することができる。また、予め口金部材に静電塗装などの粉体塗装を行うことにより、均一で、接着樹脂層が比較的薄い皮膜でも強固な接着力が得られる。
また、ブロー成形によりライナ−材の外層および/または最内層に接着樹脂層を設ける、あるいはライナー材に直接接着樹脂(Z)を配合した本発明では、ブロー成形等により簡単な製造工程で接着力の高い圧力容器が提供され、製造コストも安く、経済的である。
また、口金部材に線刻および/または溝部を設ける、あるいは下地処理剤で処理を行うことにより、飛躍的に接着力が向上する。
したがって、天然ガス等の低い圧力容器はもちろんのこと、水素ガスのような高圧容器としても好適に使用可能である。
本発明は、前述したように、合成樹脂製ライナー材で形成された中空容器と、該中空容器の外層に設けられた補強材で形成された補強材層とを有し、かつ少なくとも1つの口金部材を有する圧力容器であって、前記中空容器と前記口金部材とは、(a1)〜(a3)の特性を満足する高密度ポリエチレン系樹脂(イ)30〜100重量部と、(b1)および(b2)の特性を満足する(イ)と異なるポリエチレン系樹脂(ロ)0〜70重量部とを、(a)〜(e)の官能基を有する化合物から選択された少なくとも1種の化合物によりグラフトしてなる、(x1)密度が0.91〜0.97g/cmであり、かつ、(x2)メルトフローレートが0.01〜30g/10分であるグラフト変性ポリエチレン系樹脂(X)を含む接着樹脂(Z)を介して接着または溶着された圧力容器である。
また、本発明は、前述したように、合成樹脂製ライナー材で形成された中空容器と、該中空容器の外層に設けられた補強材で形成された補強材層とを有し、かつ少なくとも1つの口金部材を有する圧力容器の製造方法であって、前記中空容器と前記口金部材とを、(a1)〜(a3)の特性を満足する高密度ポリエチレン系樹脂(イ)30〜100重量部と、(b1)および(b2)の特性を満足する(イ)と異なるポリエチレン系樹脂(ロ)0〜70重量部とを、(a)〜(e)の官能基を有する化合物から選択された少なくとも1種の化合物によりグラフトしてなる、(x1)密度が0.91〜0.97g/cmであり、かつ、(x2)メルトフローレートが0.01〜30g/10分であるグラフト変性ポリエチレン系樹脂(X)を含む接着樹脂(Z)を介して接着または溶着する上記圧力容器の製造方法である。
以下に、本発明を各項目毎に詳細に説明する。
1.圧力容器の構造
以下、本発明の圧力容器について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の圧力容器の一例の一部切欠断面図を示すものである。
本発明に係る圧力容器は、図1に示されるように、合成樹脂製ライナー材で形成された中空容器1(内側壁)と、該中空容器1の外側の外層に補強材で形成された補強材層2(外側壁)とで構成され、該中空容器1の少なくとも一方の端部に、高圧ガスの充填、排出用のノズル取付けのための口金部材3が装着され、該合成樹脂製ライナー材で形成された中空容器1の内側の肩部7と該口金部材3の一端に形成された円盤部8とが、ガス漏れを抑止するために、粉体塗装等で形成された接着剤層4を介して接着または溶着してなる圧力容器10である。
2.圧力容器構成部材の材料
以下に本発明で使用される原材料について具体的に詳述する。
(1)合成樹脂製ライナー材
中空容器1を形成する合成樹脂製ライナー材は、圧力容器10に充填された高圧ガスを収納して、漏洩しないガスバリア性を有することが必要であり、その具体例としては、高密度ポリエチレン系樹脂、架橋ポリエチレン、ポリプロピレン樹脂、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS)樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリイミド樹脂等のエンジニアリングプラスチック等が挙げられる。上記合成樹脂製ライナー材は、単層材、積層材、複合材のいずれで構成されていてもよい。これらの中でも高密度ポリエチレン系樹脂が、ガスバリア性、加工性、作業性、経済性等の観点から最も好ましい。
上記ポリエチレン系樹脂を合成樹脂製ライナー材として用いる場合においては、密度が、0.920〜0.970g/cm、好ましくは、0.930〜0.960g/cm、さらに好ましくは、0.940〜0.950g/cmの範囲であることが望ましい。
上記密度が0.920g/cm未満では、剛性が不足しタンク口部強度の剛性が不足し、密度が0.970g/cmを超えるものは耐久性が低下する惧れが生じる。
また、上記ポリエチレン系樹脂においては、ハイロードメルトフローレート:HLMFR(JIS K6922−1(1997)、条件D(温度190℃、荷重211.8Nにて測定)が2〜70g/10分、好ましくは、3〜60g/10分、さらに好ましくは、4〜50g/10分であるものが望ましい。このような範囲であると、特に多層ブロー成形によって、合成樹脂製ライナー材と接着剤とを同時に押出す際に層乱れがなく、表面層が良くなることから好ましい。
上記HLMFRが2g/10分未満では、樹脂圧力が上昇し押出特性が低下し、70g/10分を超える場合では、衝撃性、耐久性が不足する惧れが生じる。
これら合成樹脂製ライナー材は、上記熱可塑性樹脂の単層体、複層体、複合材料とから構成されていても良い。例えば、高密度ポリエチレン系樹脂層内に、エンジニアリングプラスチック、金属部材、無機充填剤が分散された複合材料で、形成されていても良いし、少なくとも熱可塑性樹脂層/接着層/バリア層を含む多層構造からなる積層体としてもよい。
上記エンジニアリングプラスチックとしては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12などの各種ポリアミド(PA)樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVA)などの水酸基含有各種樹脂、ポリエチレンテレフタラート(PET)やポリブチレンテレフタラート(PBT)などの各種ポリエステル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS)、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂(AS)、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂やポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、芳香族ポリエステル樹脂(液晶樹脂)などが挙げられる。
また、上記金属部材としては、鉄、アルミニウム、銅、錫、亜鉛、ニッケル、チタンなどの金属類や、これらを含む各種合金が挙げられる。
また、無機充填剤としては、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、雲母などが挙げられるが、中でも平均粒径が0.5〜10μmの板状晶構造を持つ微粉末タルクや微粉末雲母が好適である。
また、積層構造の合成樹脂製ライナー材としては、上記の高密度ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂層/接着層/バリア層の3種3層構造、熱可塑性樹脂層/接着層/バリア層/接着層/熱可塑性樹脂層の3種5層構造の積層体、熱可塑性樹脂層/リグラインド層/接着層/バリア層/接着層/熱可塑性樹脂層の4種6層構造などの三層以上の積層体が挙げられるほか、熱可塑性層/接着層の2種2層や接着層/バリア層/接着層の2種3層などからなる積層体が挙げられる。
前記バリア材層に好適に使用される材料としては、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂等が挙げられる。
上記積層体において用いられる接着層としては、後述の本発明の接着樹脂(Z)またはエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂等の一般の接着樹脂を使用することができる。
これらのライナー材を用いて容器とする場合には、ブロー成形法、射出成形法、回転成形法、圧縮成形法などの成形法によって製造することができる。中でも、ブロー成形法によるのが好適である。
(2)補強材
補強材層2を形成する補強材は、合成樹脂ライナー材から形成される中空容器1の外層を覆い、圧力容器10の耐圧性能を向上させる役割を担うものであり、アルミニウム、チタン、軽合金等の軽量の金属材で構成しても良いが、成形加工性、軽量化等を考慮した場合においては、繊維強化プラスチック(FRP:fiber reinforced plastics)あるいは繊維強化金属複合材料(FRM:fiber reinforced metal)で構成するのが好適である。すなわち、内側壁を構成する合成樹脂製ライナー材をブロー成形等で成形された筒状の容器の外周壁を覆うようにFRP製の外側壁を形成するためには、上記内側の筒状容器の外周壁に、フィラメントワインディング法やテープワインディング法等によって、ヘリカル巻層、フープ巻層、レーベル巻層など、樹脂を含浸させた補強繊維束の巻層を形成し、ついで樹脂を加熱して溶融または硬化させて成形することによって外側壁の補強材とすることができる。外側壁の強度は、巻層を形成する補強繊維の種類、巻付ける形態、巻付ける厚さ、樹脂の種類、樹脂の厚さなどを種々組合わせることにより、目的に合った好適な範囲の補強材とすることができる。また、織物などのような連続した補強材に熱硬化性樹脂を含浸させて成形するプリプレグ法等他の方法で形成しても良い。
巻層を形成するための補強繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、有機高弾性率繊維(例えばポリアラミド繊維)、無機繊維(金属繊維、ウイスカ、ボロン繊維、チラノ繊維)などが挙げられ、これらは1種類でも2種類以上を併用することもできる。
これらの補強繊維は、比強度、比弾性率に優れ、ワインディング時の糸切れや毛羽の発生がほとんどなく、生産性の向上、耐衝撃性能の低下防止などの観点から、炭素繊維が特に好ましい。
補強材の形成用樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ABS樹脂、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイドなどのエンジニアリングプラスチック、ポリプロピレン、ポリ4−メチル−1−ペンテン樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、強度等の性能や経済性等の観点から一般的に熱硬化性樹脂が好ましい。
(3)口金部材
本発明の口金部材3は、高圧ガスの充填、排出用のノズル取付けのために設置されるものであって、例えば一端が円盤部8の形状を有し、圧力容器10の内側の中空容器1と外側の補強材層2で構成される円筒状容器の少なくとも一端に、該圧力容器の中空容器1の内側の半球状の肩部7に、口金部材3の円盤部8が埋設するようにインサートされ、予め施しておいた口金部材3の円盤部8の接着剤4を介し、中空容器1の肩部7と口金部材3の円盤部8とを当接させて接着または溶着するものである。
口金部材3の材料は、金属、樹脂いずれであってもよい。金属としては、アルミニウム、銅、ニッケル、チタンの合金、これらの複合材料、およびクロム・モリブデン合金等が挙げられる。樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルペンテン、ポリカーボネート、官能基含有ポリフェニレンオキサイド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリオキシベンジレン、ポリスルホンなどの高剛性で耐熱性に優れたものが挙げられる。口金部材の材料は、これら例示したものに限定されるものではないが金属材料、特に軽量で比較的安価なアルミニウムが好ましい。
内側の中空容器1の肩部7に埋設される口金部材の円盤部8は、接着剤4との接着力を高めるために、その表面が粗面化、あるいは金属材料の下地処理剤をもって、処理されていることが望ましい。表面の粗面化法としては、サンドブラスト法、ショットブラスト法、グリッドブラスト法などにより、波型形状、三角波形状など任意の形状の粗面とすることができる。該表面の粗さ(JIS B0601:2001に準拠)は、1000μm以下、好ましくは560μm以下、さらに好ましくは0.01〜100μmの範囲で選択されることが望ましい。
(4)下地処理剤
金属材料の下地処理剤としては、特開昭59−132977号公報等に開示されるような陽極酸化処理法、特開平5−9746号公報のような三価クロム処理、あるいは特開平5−51765号公報等に開示されている、水和酸化処理、クロメート処理、交流電解処理、樹脂塗料の塗布等の一般的な処理方法でもよいが、特に特開2006−40595号公報に開示されるように、キトサン及びキトサン誘導体からなる群より選ばれた1種または2種以上のキトサン類と、Ti、Hf、Mo、W、Se、Ce、Fe、Cu、Zn、V及び3価Crからなる群より選ばれた1種または2種以上の金属を含む金属化合物とを含有してなる下地処理剤で前記口金部材の表面を処理することによって形成された皮膜であることが好ましい。
特に分子内にカルボキシル基を少なくとも1個有する有機化合物と金属化合物とを含有している下地処理剤が好ましい。
前記キトサンは、例えばカニやエビ等の甲殻類から抽出される天然高分子キチンを60〜100モル%脱アセチル化することで得られる。また、キトサン誘導体は、例えばキトサンに存在する水酸基又は/及びアミノ基に対して、カルボキシル化、グルコール化、トシル化、硫酸化、リン酸化、エーテル化、アルキル化などして得られた化合物である。中でも、前記キトサン類としては、キトサン、カルボキシメチルキトサン、カチオン化キトサン、ヒドロキシアルキルキトサン及びこれらの酸との塩からなる群より選ばれた1種または2種以上のキトサン類を用いるのが好ましい。
前記分子内にカルボキシル基を少なくとも1個有する有機化合物としては、特に限定されないが、例えば酢酸、蓚酸、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、メリト酸、アジピン酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、セバチン酸、クエン酸、ブタントリカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、エチレンジアミンテトラカルボン酸、トリメリット酸等が挙げられる。
前記金属化合物としては、Ti、Hf、Mo、W、Se、Ce、Fe、Cu、Zn、V及び3価Crからなる群より選ばれた1種または2種以上の金属を含む金属化合物としては、特に限定されるものではないが、例えばこれら金属の金属酸化物、水酸化物、錯体化合物、有機酸塩、無機酸塩などが挙げられる。中でも、3価Crを含む金属化合物を用いるのが好ましく、この場合には、高温条件下での耐電解液性をより向上させることができるし、成形性も向上させることができる。前記3価Crを含む金属化合物としては、例えば硫酸クロム、硝酸クロム、フッ化クロム、蓚酸クロム、酢酸クロム等が挙げられる。
(5)接着樹脂
I 変性ポリエチレン(X)
(i)変性ポリエチレン(X)の材料
[高密度ポリエチレン系樹脂(イ)]
本発明の変性ポリエチレン系樹脂(X)の原料となる高密度ポリエチレン系樹脂(イ)は、下記の特定の(a1)密度、(a2)メルトフローレート(以下、MFRということがある)および(a3)分子量分布(Mw/Mn)が7以下、より好ましくは(a4)粘度曲線指数とMFRが(式1)の性状を満足するエチレン単独重合体あるいはエチレンとα−オレフィンとの共重合体を指す。
上記エチレンとα−オレフィンとの共重合体のα−オレフィンとしては、直鎖または分岐鎖状の炭素数3〜20のオレフィンが好ましく、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンを挙げることができる。またそれらを2種類以上組み合わせて使用しても良い。これら共重合体の中でも、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体が経済性の観点から好適である。これらの範囲であると容易に接着強度、剛性や耐クリープ性等の長期寿命(耐久性)が優れる性能が発揮されるものとなる。
高密度ポリエチレン系樹脂(イ)の(a1)密度は、0.94〜0.97g/cmであり、好ましくは0.945〜0.965g/cmであり、さらに好ましくは0.948〜0.960g/cmである。高密度ポリエチレン系樹脂(イ)の密度が0.94g/cm未満であると、接着力が向上効果が上がらない。また、高密度ポリエチレン系樹脂(イ)の密度が0.97g/cmを超えると接着樹脂の耐衝撃性が著しく低下する惧れが生じる。
ここで、密度は、JIS K6922−2に準拠し測定する値である。
高密度ポリエチレン系樹脂(イ)の(a2)メルトフローレートは、0.01〜30g/10分であり、好ましくは0.05〜20g/10分であり、さらに好ましくは0.1〜10g/10分である。高密度ポリエチレン系樹脂(イ)のMFRが0.01g/10分未満であると、この接着樹脂組成物を用いて容器に加工する際、加工機のモーターに過負荷がかかるために生産効率を著しく低下させる。また高密度ポリエチレン系樹脂(イ)のMFRが30g/10分を超えると、接着樹脂組成物を用いた容器の接着強度が著しく低下する惧れが生じる。
ここで、メルトフローレートは、JIS K6922−2に準拠し、190℃、荷重21.18Nで測定する値である。
上記(a1)の密度は、α−オレフィンの種類及び含有量でコントロールすることができ、該含有量が多くなると密度は低くなる傾向を示し、上記(a2)のメルトフローレート(MFR)は、水素等の連鎖移動剤、プロセス等で制御される。これらの制御は当業者にとって、周知の慣用手段である。
高密度ポリエチレン系樹脂(イ)の(a3)分子量分布(Mw/Mn)は、測定装置:Waters(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー 150Cplusを使用し、カラムには昭和電工(株)社製Shodex HT−806Mを2本直列につなぎ、検出器にはMiran(株)社製示差屈折計 1A型を用いる。測定温度は140℃、溶離液は1,2,4−トリクロロベンゼンに2,4,6−トリメチルフェノールを0.05重量%溶解させたものを使用し、流速1.0ml/分にて運転する。試料は3.0mgを量り取り、溶離液として使用しているものと同じ組成の溶媒3.0mlに150℃で2時間振とう溶解させたものを用、試料溶液の注入量は300μlとする。
カラムの較正は、昭和電工製単分散ポリスチレン(S−7300 S−3900 S−1950 S−1460 S−1010 S−565 S−152 S−66.0 S−28.5 S−5.05 の各0.2mg/ml溶液)で行った。n−エイコサン及びn−テトラコンタンの測定を行い、溶出時間と分子量の対数値を4次式で近似した。なお、ポリスチレンとポリエチレンの分子量の換算には次式を用いた。
PE=0.468×MPS
Mw/Mnは、上記測定により得られた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比から算出される。
本発明の分子量分布(Mw/Mn)は、7以下、好ましくは1.5〜6.5、より好ましくは2.0〜5.5の範囲である。この分子量分布は、数値が大きくなるほど分子量分布が広く、流動特性がよくなり、加工特性も向上するものの、その反面、機械的特性は低下するものとなる。したがって、本発明では両者のバランスを考慮して、この分子量分布が比較的狭い特定の高密度ポリエチレン系樹脂(イ)を選択し、分子量分布をこの範囲にすることにより、飛躍的に接着強度を向上させ、成形加工性も損なわないバランスの良いものとすることを見出したものである。
上記の分子量分布の調整は、触媒とコモノマーの種類、重合プロセス等で制御され、これらの制御も当業者にとって周知の慣用手段である。
本発明ではより好ましくは以下の(a4)粘度曲線指数FCIの式(1)を満足する高密度ポリエチレン系樹脂(イ)を選択することがより確かな接着樹脂の接着力を向上させるものとなる。
高密度ポリエチレン系樹脂(イ)の粘度曲線指数(以下、FCIという。)は、FCIとMFRとの関係が、次式(1)、好ましくは式(2)を満足することが望ましい。
FCI≦−0.063×log(MFR)+1.10 (1)
FCI≦−0.0547×log(MFR)+1.08 (2)
FCIが上記範囲を逸脱すると、接着樹脂の接着強度が従来技術の水準に留まり、改良効果が望めない惧れが生じる。
ここで、(a4)粘度曲線指数FCIとは、回転型レオメータを使用して得られる、190℃での測定周波数0.1rad/sにおける複素粘性率η*0.1の対数と、同じく190℃での測定周波数10rad/sにおける複素粘性率η*10の対数の比で定義され、FCI=log(η*0.1)/log(η*10)で表される。
一般的に粘度曲線指数FCIは、ポリエチレン系樹脂の分子量分布と相関し、分子量分布が広くなるとFCIは大きな値を示し、分子量分布が狭くなるとFCIは小さな値を示す傾向にある。
また、このFCIはコモノマー量や長鎖分岐を変えることで同じ分子量分布でも異なるFCIのサンプルを作製することができ、長鎖分岐については、主に触媒種により容易に変えることが可能である。
本発明の粘度曲線指数FCIの式(1)(2)の導き方は、特公昭55−14084号に記載の方法で重合した高密度ポリエチレン樹脂の試料を用いて、接着樹脂の接着強度を検証し、プロットして得たものであり、プロットを後述の実施例で示した。
本発明に係る高密度ポリエチレン系樹脂(イ)は、上記パラメータを満足すれば特に触媒、プロセス等に限定されるものではなく、成書『ポリエチレン技術読本』(松浦一雄・三上尚孝編著、工業調査会刊行、2001年)のp.123〜160に記載されている方法により製造することが可能である。即ち、チーグラー系触媒、シングルサイト系触媒等や、スラリー法、溶液法、気相法の各重合様式にて、各種重合器、重合条件、触媒にて製造することが可能であるが、本発明の高密度ポリエチレン系樹脂(イ)を製造するためには、好ましくは特公昭55−14084号公報などの特定のチーグラー系触媒あるいはシングルサイト系触媒を用いて重合温度、圧力等の重合条件、助触媒等をコントロールすることにより好適に製造可能である。
[ポリエチレン系樹脂(ロ)]
本発明の変性ポリエチレン系樹脂(X)の原料となるポリエチレン系樹脂(ロ)は、(イ)の高密度ポリエチレンとは異なる樹脂であり、チーグラー系触媒、シングルサイト系触媒、フィリップス触媒等により製造される、下記の特定性状(b1)密度および(b2)MFRをを満足するエチレン単独重合体(高密度ポリエチレン)、エチレン・α−オレフィン共重合体(中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等)が包含される。エチレンとα−オレフィンとの共重合体のα−オレフィンとしては、直鎖または分岐鎖状の炭素数3〜20のオレフィンが好ましく、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンを挙げることができる。またそれらを2種類以上組み合わせて使用しても良い。これら共重合体の中でも、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体が経済性の観点から好適である。
本発明のポリエチレン系樹脂(ロ)の(b1)密度は、0.90g/cm〜0.97cm、好ましくは0.91〜0.965g/cm、より好ましくは0.915〜0.96g/cmである。密度が0.90g/cm未満であると、容器の剛性が著しく低下する惧れが生じる。また、上限の密度は特に限定されないが、ポリエチレン系樹脂組成物の密度が0.97g/cmを超えると容器の耐衝撃性が低下する惧れがあるためこれらの範囲で選択されることが望ましい。
本発明のポリエチレン系樹脂(ロ)の(b2)MFRは、0.01〜30g/10分、好ましくは0.05〜20g/10分、さらに好ましくは0.1〜10g/10分である。ポリエチレン系樹脂(ロ)のMFRが0.01g/10分未満であると、容器に加工する際、加工機のモーターに過負荷がかかるために生産効率を著しく低下させる。また(ロ)ポリエチレン系樹脂のMFRが30g/10分より大きいと、容器の強度が著しく低下する惧れが生じる。
上記(ロ)ポリエチレン系樹脂は、後述の未変性ポリエチレン系樹脂(Y)と同種のポリエチレン系樹脂で差し支えなく、重複して使用しても差し支えない。
また、上記の高密度ポリエチレン系樹脂(イ)とポリエチレン系樹脂(ロ)とは同種のポリエチレン系樹脂でも良いが同一の樹脂ではないものである((イ)≠(ロ))。
上記ポリエチレン系樹脂(ロ)の高密度ポリエチレン系樹脂あるいは、中密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン等のエチレン・α−オレフィン共重合体は、上記高密度ポリエチレン系樹脂(イ)と同様に、イオン重合で製造され、特に製造触媒、プロセス等に限定されるものではなく、成書『ポリエチレン技術読本』(松浦一雄・三上尚孝編著、工業調査会刊行、2001年のp.123〜160、p.163〜196等)に記載されている方法により製造することが可能である。即ち、チーグラー系触媒、シングルサイト系触媒等や、スラリー法、溶液法、気相法の各重合様式にて、各種重合器、重合条件、触媒にて製造することが可能である。
なお、シングルサイト系触媒の樹脂としては、日本ポリエチレン(株)製の商品名:ハーモレックス、商品名:カーネル、日本エボリュー(株)製の商品名:エボリュー、ダウケミカル(株)製の商品名:エンゲージなどが挙げられる。
(ii)変性ポリエチレン系樹脂(X)の構成
本発明の変性ポリエチレン(X)は、前記高密度ポリエチレン系樹脂(イ)を単独あるいは高密度ポリエチレン系樹脂(イ)30〜100重量部とポリエチレン系樹脂(ロ)0〜70重量部を、下記(a)〜(e)の官能基を有する化合物から選択された少なくとも1種でグラフト反応させて得られる官能基変性ポリエチレン系樹脂(以下単に変性ポリエチレン系樹脂と称す)である。
[官能基]
(a)カルボン酸基またはカルボン酸無水物基
(b)エポキシ基
(c)ヒドロキシル基
(d)アミノ基
(e)シリル基
本発明の変性ポリエチレン系樹脂(X)は、前記高密度ポリエチレン系樹脂(イ)を単独で該官能基含有化合物で変性した変性高密度ポリエチレン系樹脂(X1)を使用しても良いが、上記(X1)は分子量分布が比較的狭いため、成形加工性等の諸物性を調製するために、好ましくはポリエチレン系樹脂(ロ)を官能基含有化合物で変性した変性ポリエチレン系樹脂(X2)を併用することが望ましい。上記変性ポリエチレン系樹脂(X1)と(X2)の割合は(X1)30重量部以上、(X2)70重量部以下、好ましくは(X1)/(X2)は40〜90重量部/60〜10重量部、より好ましくは50〜85重量部/50〜15重量部の範囲で選択される。
これらの組成物は、官能基含有時にドライブレンドしたり、または予めこれらを、ニーダー、ヘンシェルミキサーなどの周知の混合器で混合しておいて、官能基含有化合物をグラフトさせてもよい。
また、(イ)又は(ロ)の少なくとも1種をシングルサイト系触媒で製造されたものであることが、低分子量成分が少なく、接着力、機械的強度のバランスがよく好ましい。
以下上記(a)〜(e)の官能基を有する化合物について詳述する
前記官能基(a)カルボン酸基またはカルボン酸酸無水物基を有する化合物としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸またはこれらの無水物、アクリル酸、メタクリル酸、フラン酸、クロトン酸、ビニル酢酸、ペンテン酸等の不飽和モノカルボン酸等が挙げられる。
前記官能基(b)エポキシ基を有する化合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸ジグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステルおよびα−クロロアクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、フマール酸等のグリシジルエステル類またはビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジルオキシエチルビニルエーテル、スチレン・p−グリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル類、p−グリシジルスチレンなどが挙げられるが、特に好ましいものとしてはメタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテルを挙げることができる。
前記官能基(c)ヒドロキシル基を有する化合物としては、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記官能基(d)アミノ基を有する化合物としては、アミノエチル(メタ)アクリレート、プロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、フェニルアミノエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記官能基(e)シリル基を有する化合物としては、有機シラン化合物であって、一般式RR´SiYn−3で示される化合物である。ここでRは例えばビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基等の不飽和脂肪族炭化水素または不飽和のハイドロカーボンオキシ基であり、末端にビニル基を持つものが望ましい。Yはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、メトキシエトキシ基、アセトキシ基、アルキルアミノ基等任意の加水分解し得る有機基である。R´は任意の有機基であり、RまたはYと同一であってもかまわない。最も好ましいシラン化合物はビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセチルシラン、ビニルトリクロロシラン等の不飽和シラン化合物が挙げられる。
本発明においては上記官能基の中でも上記官能基(a)〜(d)を包含する不飽和カルボン酸またはその誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一種類の化合物が好ましい。特に該不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、一塩基性不飽和カルボン酸、二塩基性不飽和カルボン酸、ならびに、これらの金属塩、アミド、イミド、エステルおよび無水物が挙げられる。一塩基性不飽和カルボン酸の炭素数は、多くとも20個、好ましくは15個以下である。またニ塩基性不飽和カルボン酸の炭素数は、多くとも30個、好ましくは25個以下であり、この誘導体の炭素数は、多くとも30個、好ましくは25個以下である。これら不飽和カルボン酸およびその誘導体の中でも、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸およびその無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸およびその無水物、ならびにメタクリル酸グリシジルが好ましく、特に無水マレイン酸、5−ノルボルネン酸無水物が、ポリエチレン樹脂組成物の接着性能が優れることから好適である。
上記官能基の含有量は、樹脂成分100重量%に対して、0.001〜10重量%、好ましくは0.005〜5重量%、より好ましくは0.01〜3重量%である。該含有量が、0.001重量%未満では本来の目的である接着性能に十分なものが得られず、10重量%より多い場合には未反応モノマーが増加し、ゲル化等が生じるので好ましくない。
(iii)ラジカル開始剤
本願発明においてグラフト化官能基含有に用いるラジカル開始剤としては、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジt−ブチルジパーオキシイソフタレート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレート、アセチルパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられる。
これらの中でも、半減期1分を得るための分解温度が、160〜200℃のものが好ましい。分解温度が低すぎると原料のポリエチレン樹脂が押出機内で十分可塑化しないうちに分解反応が始まるため、反応率が低くなる上にゲルやフィッシュアイが多くなり、逆に分解温度が高すぎると、押出機内等で反応が完結せず、未反応の不飽和カルボン酸およびその誘導体等の官能基含有化合物量が多くなる。
ラジカル開始剤の配合量は、通常1次官能基含有時において、ポリエチレン樹脂を含む樹脂成分の合計100重量部に対して0.005〜0.5重量部、より好ましくは0.01〜0.2重量部の範囲で使われる。0.005重量部未満ではグラフト化反応が十分に行なわれず未反応モノマーが増加するので好ましくない。また、0.5重量部より多い場合には、ゲル、フィッシュアイが多発するため好ましくない。
本願発明において、不飽和カルボン酸またはその誘導体化合物等の官能基含有化合物とラジカル開始剤の比率は、通常、60/1〜10/1の範囲で使われる。ラジカル開始剤の量が少なすぎると未反応モノマーが増加するため好ましくない。逆にラジカル開始剤の量が過剰になると、ゲル、フィッシュアイが多発するため好ましくない。
(iv)官能基変性ポリエチレン樹脂(X)の製造方法
官能基変性ポリエチレン樹脂(X)の製造方法は、前記樹脂(イ)、及び(イ)+(ロ)の少なくとも1種のポリエチレン樹脂、その組成物(以下ポリエチレン系樹脂等と称す)100重量部に、不飽和カルボン酸またはその誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一種類の官能基含有化合物(モノマーとも称す)0.05〜2.0重量部並びにラジカル開始剤0.005〜0.5重量部を加え、単軸押出機及び/または二軸押出機や単数または複数の反応器などを用いて溶融混練または溶媒中で官能基含有することにより達成される。
具体的には、押出機やバンバリーミキサー、ニーダーなどを用いる溶融混練法、適当な溶媒に溶解させる溶液法、適当な溶媒中に懸濁させるスラリー法、あるいはいわゆる気相グラフト法等が挙げられる。
処理温度としては、(イ)または(ロ)の少なくとも1種のポリエチレン系樹脂等の劣化、不飽和カルボン酸やその誘導体の分解、使用する過酸化物の分解温度などを考慮して適宜選択されるが、前記の溶融混練法を例に挙げると、通常190〜350℃であり、とりわけ200〜300℃が好適である。
本発明に係る官能基含有ポリエチレン系樹脂(X)を製造するにあたり、その性能を向上する目的で、特開昭62−10107号公報に記載のごとく既に公知の方法、例えば前記のグラフト官能基含有時あるいは官能基含有後にエポキシ化合物またはアミノ基もしくは水酸基などを含む多官能性化合物で処理する方法、さらに加熱や洗浄などによって未反応モノマー(不飽和カルボン酸やその誘導体)や副生する諸成分などを除去する方法を採用することができる。
上記不飽和カルボン酸およびその誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一種のモノマーのグラフト量は高いほど望ましいが、一般的には0.001〜10重量%の範囲(グラフト量の測定法:赤外線分光光度計による)である。
上記ラジカル開始剤を用いて、ポリエチレン系樹脂等への反応は、グラフト化反応とポリエチレンの微架橋が同時に並行して起こるが、溶融混練時の樹脂温度を250℃以上とすることで、グラフト化反応が優先的に起こり、モノマーの高付加率を実現する。一方、樹脂温度が250℃未満ではポリエチレン系樹脂等の微架橋が優先的に起こることでゲルや樹脂焼けが増加し、得られる官能基含有ポリエチレン樹脂(X)の品質が低下する。また、樹脂温度が310℃を超えるとポリエチレン自体の劣化が加速されるため、ゲルや樹脂焼けなどが激増し、これも品質を低下させる。
また、このような高温で反応を行なうため、押出機や反応器などの内部への空気の混入はできるだけ抑える必要があり、また溶融混練では、押出機内などでの樹脂の長時間滞留も避けなければならない。このため、原料樹脂投入口付近での窒素フィードを行なうことは、極めて好ましい。
本発明の官能基含有ポリエチレン系樹脂(X)の製造においては、ポリオレフィン系樹脂材料を複数次にわたって官能基含有することが好ましく、それにより比較的に高価なモノマーである、不飽和カルボン酸及びその誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一種の官能基含有モノマーの官能基含有率を充分に高めて経済性を向上させ、比較的に少量の官能基含有モノマーにて高い官能基含有率を達成することを実現し、接着性能が非常に優れて、未反応官能基含有モノマーが残留せず、ゲルや樹脂焼けなども生じない、高品質の官能基含有ポリオレフィン樹脂(X)を製造することができる。
このような溶融混練での官能基含有方法で得られるグラフト官能基含有率(測定法:赤外線分光光度計による)は、一般的に0.2〜2.5重量%程度の範囲であり、最終次の官能基含有ポリエチレン系樹脂(A)のグラフト官能基含有率での上限は高いほど望ましいが、一般的には0.55重量〜3重量%の範囲である。しかし、特にこの範囲に限定されるものではなく、より高い官能基含有率にすることが望ましい。
II 未変性ポリエチレン系樹脂(Y)
(i)未変性ポリエチレン系樹脂(Y)の構成
本発明で用いられる未変性ポリエチレン樹脂または熱可塑性エラストマー(Y)(以下これらを単に未変性ポリエチレン系樹脂(Y)とも称す)は、(a1)密度0.94〜0.97g/cm、(a2)メルトフローレート0.01〜100g/10分を有する高密度ポリエチレン樹脂(A)、(b1)密度0.90〜0.94g/cm未満、(b2)メルトフローレート0.01〜100g/10分の直鎖状低密度ポリエチレン(B)、(c1)メルトフローレート0.01〜100g/10分の高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂(C)及び、(d1)密度0.86〜0.89g/cm未満、(d2)メルトフローレート0.01〜100g/10分の超低密度ポリエチレン(D)、熱可塑性エラストマー(E)から選択される少なくとも1種の未変性ポリエチレン樹脂または熱可塑性エラストマーである。
上記(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)は、上記の変性ポリエチレン系樹脂の(ロ)で使用した樹脂と同じものでもよいが、(A+B)、(A+C)、(A+D)、(A+E)、(B+C)、(B+D)、(B+E)、(C+D)、(D+E)、(A+B+C),(A+B+D)、(A+B+E)、(A+C+D)、(A+C+E)、(B+C+D)、(B+C+E)、(B+D+E)、(C+D+E)、(A+B+C+D)、(A+B+C+E)、(A+C+D+E)、(B+C+D+E)、(A+B+C+D+E)等の少なくとも1種の未変性ポリエチレン樹脂、熱可塑性エラストマー、その組成物とを混合してもよい。
上記(Y)成分は必須ではないが、前記変性ポリエチレン系樹脂(X)が単独の場合には、成形時に過度の樹脂劣化や、ゲル等が惹起する場合も起こり得るという弊害が生じる懸念があることやMFR、密度の調節、耐熱性、機械的特性、剛性、柔軟性等の機能の調節等が容易にできる、あるいは経済的であるということから上記の(Y)成分を使用することが好ましい。
また、上記変性または未変性樹脂に使用される(A)、(B)及び(D)の少なくとも1種がシングルサイト系触媒で製造されたものであることが、低分子量成分が少なく、樹脂劣化、ゲルの発生を抑制すること、機械的性能に優れることからも好ましい。
(ii)未変性ポリエチレン系樹脂(Y)の材料
[高密度ポリエチレン系樹脂(A)]
本発明に係る高密度ポリエチレン系樹脂(A)は、一般的にはイオン重合で製造される高密度ポリエチレン系樹脂であって、エチレン単独重合体あるいはエチレンとα−オレフィンとの共重合体を指すものであり、(a1)密度0.94〜0.97g/cm、好ましくは密度0.945〜0.965g/cm、より好ましくは0.95〜0.96g/cmの範囲である。(a2)メルトフローレート(MFR)は0.01〜100g/10分、好ましくは、0.05〜50g/10分、より好ましくは0.1〜30g/10分の範囲である。これらの範囲であると容易に接着強度、剛性や耐クリープ性等の長期寿命(耐久性)が優れる性能が発揮されるものとなる。
上記密度はJIS K6922−1(1997)の試験方法に基づいて測定した。
また、本発明において、メルトフローレート(MFR)はJIS K6922−1(1997)の試験法に基づいて条件D(温度190℃、荷重21.18N)で測定したものである。
[直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(B)]
本願明に係る直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(B)は、一般的にはイオン重合で製造される直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂であって、エチレンとα−オレフィンとの共重合体を指すものであり、(b1)密度0.90〜0.94g/cm、好ましくは密度0.91〜0.935g/cm、より好ましくは0.92〜0.93g/cmの範囲である。(b2)メルトフローレート(MFR)は0.01〜100g/10分、好ましくは、0.05〜50g/10分、より好ましくは0.1〜30g/10分の範囲である。これらの範囲であると容易に接着強度、剛性や耐クリープ性等の長期寿命(耐久性)が優れる性能が発揮されるものとなる。
上記(A)成分及び(B)成分のα−オレフィンとしては、直鎖または分岐鎖状の炭素数3〜20のオレフィンが好ましく、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンを挙げることができる。またそれらを2種類以上組み合わせて使用しても良い。これら共重合体の中でも、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体が経済性の観点から好適である。
上記イオン重合で製造される高密度ポリエチレン系樹脂(A)または直鎖状低密度ポリエチレン(B)は、特に製造触媒、プロセス等に限定されるものではなく、非特許文献1(成書『ポリエチレン技術読本』(松浦一雄・三上尚孝編著、工業調査会刊行、2001年)のp.123〜160、p.163〜196等)に記載されている方法により製造することが可能である。即ち、チーグラー系触媒、シングルサイト系触媒等や、スラリー法、溶液法、気相法の各重合様式にて、各種重合器、重合条件、触媒にて製造することが可能である。シングルサイト系触媒の樹脂としては、日本ポリエチレン(株)製の商品名:ハーモレックス、商品名:カーネル、日本エボリュー(株)製の商品名:エボリュー、ダウケミカル(株)製の商品名:エンゲージなどが挙げられる。
上記密度はJIS K6922−1(1997)の試験方法に基づいて測定した。
また、メルトフローレート(MFR)はJIS K6922−1(1997)の試験法に基づいて条件D(温度190℃、荷重21.18N)で測定した。
また、上記(a1)、(b1)の密度は、α−オレフィンの種類及び含有量でコントロールすることができ、該含有量が多くなると密度は低くなる傾向を示し、上記(a2)または(b2)のメルトフローレート(MFR)は、水素等の連鎖移動剤、プロセス等で制御される。これらの制御は当業者にとって、周知の慣用手段である。
[高圧ラジカル法エチレン(共)重合体(C)]
本発明の高圧ラジカル法エチレン(共)重合体(C)とは、(c1)メルトフローレート0.01〜100g/10分の、高圧ラジカル重合法によるエチレン単独重合体(低密度ポリエチレン系樹脂)、エチレン・ビニルエステル共重合体およびエチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体等が挙げられ、これら低密度ポリエチレン系樹脂等は公知の高圧ラジカル重合法により製造され、チューブラー法、オートクレーブ法のいずれの方法で製造してもよい。
上記低密度ポリエチレン系樹脂では、密度0.91〜0.935g/cm、メルトフローレート0.05〜100g/10分、好ましくは0.1〜50g/10分の範囲のものが好適に使用される。
エチレン・ビニルエステル共重合体は、エチレンを主成分とし、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニルなどのビニルエステル単量体との共重合体である。これらの中でも特に好ましいものとしては、酢酸ビニルを挙げることができる。エチレン50〜99.5重量%、ビニルエステル0.5〜50重量%、他の共重合可能な不飽和単量体0〜49.5重量%からなる共重合体が好ましい。さらにビニルエステル含有量は3〜20重量%、特に好ましくは5〜15重量%の範囲で選択される。
エチレンとα,β−不飽和カルボン酸エステルとの共重合体の代表的な共重合体としては、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・メタクリル酸エチル共重合体等のエチレン・(メタ)アクリル酸またはそのアルキルエステル共重合体;エチレン・無水マレイン酸・酢酸ビニル共重合体、エチレン・無水マレイン酸・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・無水マレイン酸・アクリル酸エチル共重合体等の二元共重合体又は多元共重合体等が挙げられる。
すなわち、これらのコモノマーとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−n−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル等を挙げることができる。この中でも特に好ましいものとして(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等のアルキルエステルを挙げることができる。特に(メタ)アクリル酸エステル含有量は3〜30重量%、好ましくは5〜20重量%の範囲である。
[超低密度ポリエチレン系樹脂(D)]
本発明に係る超低密度ポリエチレン系樹脂(D)とは、(d1)密度0.86〜0.90g/cm未満、好ましくは0.87〜0.89g/cmの範囲、(d2)MFRが0.01〜100g/10分、好ましくは0.1〜50g/10分の範囲のエチレンと炭素3〜12のα−オレフィン共重合体であり、結晶性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体、微結晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体が挙げられる。
[熱可塑性エラストマー(E)]
本発明の熱可塑性エラストマーとは、ポリオレフィン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリブタジエン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等が挙げられるが、これらの中でも、ポリオレフィン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマーが、ライナー材料との相溶性、経済性等から好ましい。
ポリオレフィン系エラストマーとしては、エチレンープロピレン共重合体ゴム(EPR)、エチレンープロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)等のエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムが挙げられる。また、ポリプロピレン系樹脂とEPR,EPDM,所望により超低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂などのポリエチレン樹脂あるいはオイル及び架橋剤の存在下で、動的に部分架橋や完全架橋して得られるポリオレフィン系エラストマー(TPO)を包含する。
また、ポリスチレン系エラストマーとしては、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレン等のうちから1種または2種以上の芳香族ビニル化合物と、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のうちから1種または2種以上が選ばれ共役ジエン化合物とのブロック共重合体、及び/またはその水添物が挙げられる。
上記のポリスチレン系エラストマーの具体例としては、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレンーイソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)等が挙げられる。上記ブロック共重合体の製造方法としては数多くの方法が提案されているが、代表的な方法としては、例えば特公昭40−23798号公報に記載された方法により、リチウム触媒またはチーグラー型触媒を用い、不活性媒体中でブロック重合させて得ることができる。
上記水添物の具体例としては、スチレン−エチレン・ブテン共重合体(SEB)、スチレン−エチレン・プロピレン共重合体(SEP)、スチレン−エチレン・ブテン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体(部分水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、SBBS)等を挙げることができる。
他の好ましい熱可塑性エラストマーの例としてはポリブタジエン、ブタジエンーアクリロニトリルゴム、アクリロニトリルーブタジエンースチレン共重合体ゴム、イソブチレンーイソプレンゴム、クロロプレンゴム等が挙げられる。
III 接着樹脂(Z)
本発明の接着樹脂(Z)は、合成樹脂製ライナー材の内側の肩部と該口金部材の一端に形成された円盤部とを、ガス漏れを抑止するために、この接着樹脂(Z)を介して接着または溶着するのに用いられるものであり、特に、特定の高密度ポリエチレン樹脂を含む変性ポリエチレン系樹脂(X1)を必須とすることにより、接着強度が、顕著に向上させることができたものである。
すなわち本発明の接着樹脂(Z)は、(a1)密度0.94〜0.97g/cm、(a2)メルトフローレート0.01〜30g/10分を有する高密度ポリエチレン系樹脂(イ)30〜100重量部と、(b1)密度0.90〜0.97g/cm、(b2)メルトフローレート0.01〜30g/10分のポリエチレン系樹脂(ロ)0〜70重量部を、官能基(a)〜(e)を有する化合物の少なくとも1種でグラフト変性した変性ポリエチレン系樹脂(X)0.5〜100重量%と、
(a1)密度0.94〜0.97g/cm、(a2)メルトフローレート0.01〜100g/10分を有する高密度ポリエチレン系樹脂(A)、
(b1)密度0.90〜0.94g/cm未満、(b2)メルトフローレート0.01〜100g/10分の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(B)、
(c1)メルトフローレート0.01〜100g/10分の高圧ラジカル法エチレン(共)重合体(C)、
(d1)密度0.86〜0.90g/cm未満、(d2)メルトフローレート0.01〜100g/10分の超低密度ポリエチレン系樹脂(D)、
及び熱可塑性エラストマー(E)から選択される少なくとも1種の未変性ポリエチレン系樹脂(Y)0〜99.5重量%とからなる、(z1)密度0.86〜0.97g/cm、(z2)メルトフローレート0.01〜100g/10分の接着樹脂(Z)である。
より具体的には、変性ポリエチレン系樹脂(X)と、未変性ポリエチレン系樹脂(Y)の(A)〜(E)の1種から選択された樹脂または熱可塑性エラストマーとの混合物である。
該接着樹脂(Z)の密度(Z1)は0.86〜0.97g/cm、好ましくは0.90〜0.96g/cm、より好ましくは0.91〜0.95g/cmの範囲である。
該密度が0.86g/cm未満では接着強度が低下し、0.97g/cmを超える場合には、工業的に大量生産が難しく、かつ、耐久性等が低下し、接着樹脂(Z)の性能が低下する懸念を生じる。
また、(z2)メルトフローレートは、0.01〜100g/10分、好ましくは0.05〜50g/10分、より好ましくは0.1〜30g/10分の範囲である。MFRが0.01g/10分未満では成形加工性に難点が生じ、100g/10分を超える場合では製品の中空容器の衝撃強度の低下を招く惧れが生じる。
また、本発明の接着樹脂(Z)は、変性ポリエチレン(X)は、単独で使用しても良いが、成形加工性や機械的強度等の諸物性の調整、経済性等から、未変性ポリエチレン系樹脂とブレンドして使用することが望ましい。
上記変性ポリエチレン系樹脂(X)と未変性ポリエチレン系樹脂(Y)との配合割合(X)/(Y)は、100〜0.5/0〜99.5重量%、好ましくは95〜5/5〜95重量%、より好ましくは90〜10/10〜90重量%の範囲で選択されることが望ましい。該変性ポリエチレン系樹脂(X)が0.5重量%未満では、目的の接着強度が発揮されない。
該接着樹脂(Z)は、上述の特定の性状を満足するものであり、初期接着強度や、高圧ガスを充填、排出する際の、内側の合成樹脂製ライナー材が収縮、膨張などや、温度変化への対応性、これらが繰り返される経時変化、耐内容物への抵抗性等の耐久性が優れるものであり、これらの接着樹脂(Z)は、フィルム、シート、粉体塗装等で、予め該口金部材の一端に形成された円盤部に塗膜層(接着樹脂層)を形成させる等して使用される。特に粉末塗装によって塗膜形成して、加熱炉で溶融して接着樹脂層を設けることが、溶剤が不要であること、均一な塗膜が形成され、比較的薄い塗膜で接着強度等の性能が発揮されるので好ましい。
また、本発明の接着樹脂(Z)は、(1)合成樹脂製ライナー材の外層および/または最内層に接着樹脂(Z)層を形成し、その接着樹脂層を介して合成樹脂製ライナー材と口金部材とを接着または溶着する方法、(2)合成樹脂製ライナー材で形成された中空容器と、その中空容器の外層に設けられた補強材とを有し、かつ少なくとも1つの口金部材を有する圧力容器の製造方法であって、該口金部材に線刻および/または溝部を設け、その線刻および/または溝部に接着樹脂を埋没させて接着樹脂層を形成し、その接着樹脂層を介して合成樹脂製ライナー材と口金部材とを接着または溶着する方法、(3)合成樹脂製ライナー材に上記接着樹脂(Z)を直接配合し、該合成樹脂製ライナー材と口金部材とを接着または溶着する方法等、種々の方法で適用することができる。
また、上記予め該口金部材の円盤部に接着樹脂(Z)を塗膜、積層、接着する際に、該口金部材の円盤部の一部または全面に、上述の粗面化処理などの表面処理を行っておくことが望ましい。
該粉体塗装とは、静電粉末塗装法、流動浸漬法、溶射法等が一般的に挙げられるが、本発明では特に限定されないが、中でも静電塗装法が好ましい。該静電粉末塗装法では、プラスチック粉末を噴射ガンの出口で負に帯電させ、接地された被塗膜製品に向けて噴射すると、プラスチック粉末は静電的な引力で、製品の表面に均等に付着し、これを加熱炉に送り、粉末を溶融させて均一な塗膜を形成させる噴射ガンを使用する方法や静電流動浸漬法などがあるがいずれの方法でもよい。
上記粉体塗装に用いられる接着樹脂の粉末は、中位粒度は、90〜150メッシュ(標準ふるい:JIS Z8801)、好ましくは100〜140メッシュ、より好ましくは110〜130メッシュ、嵩比重(JIS K8721に準拠)0.20〜0.50g/cc、好ましくは0.25〜0.40、より好ましくは0.30〜0.35の範囲である。
また、該粉末の静止摩擦係数(JIS K8721に準拠)は0.7〜0.9、好ましくは0.75〜0.85の範囲であることが望ましい。これら粉末の粒径、嵩比重、静止摩擦係数が上記範囲を逸脱する場合には、均一な塗膜や、錠止溝等の細部の個所までうまく塗装ができない場合が生じる。
また、本発明の接着樹脂(Z)の厚み、フィルム、シート、ライナー材の内外層等に使用される場合には、10μm以上、好ましくは10μm〜5mm、より好ましくは、50μm〜3mm、さらに好ましくは100μm〜1mmぐらいの範囲で選択される。
厚みが10μm未満では接着強度が十分でなく、繰り返しの収縮運動等で、ガス漏れが起きる懸念が生じる。また厚み5mmを超える場合には接着強度はそれ以上向上せず、経済性を損ねるものとなる。
また、上記の粉体塗装の場合の接着樹脂(Z)の厚みは10μm〜2mm、好ましくは50μm〜1.5mm、より好ましくは、300μm〜1mmの範囲である。また、粉体塗装では2mm以上では厚すぎて、塗膜回数を重ねることとなり、実用的ではなく、かつ場合には気泡が生じたり、接着樹脂層を起点にタンク破壊の惧れが生じる。
3.圧力容器の製造方法
本発明に係る圧力容器は、前述の通り、図1に示されるように、内側の合成樹脂製ライナー材で形成された中空容器1(内側壁)と、外側の補強材層2(外側壁)とで構成され、該容器の少なくとも一方の端部に、高圧ガスの充填、排出用のノズル取付けのための口金部材3が装着され、該容器の合成樹脂製ライナー材で形成された中空容器1の内側の肩部7と該口金部材3の一端に形成された円盤部8とを、ガス漏れを抑止するために、特定の性状を満足する接着樹脂(Z)4を介して接着または溶着してなる圧力容器10である。
本発明の圧力容器の製造方法において、合成樹脂製ライナーの製造方法は、ブロー成形法に限定されるものではなく、射出成形、回転成形、圧縮成形等によって製造しても良いが、製造時に口金部材が一体化でき、製造工程が簡単で、製造コストも安く、経済的であるため、ブロー成形法を採用することが好ましい。
ブロー成形による製造方法としては、合成樹脂製ライナー材をブロー成形によって筒状に成型し、次いで予め口金部材の円盤状端部上に接着樹脂(Z)の膜を形成した口金部材を、該筒状の合成樹脂製ライナー材の少なくとも1方の端部にインサートし、型閉めすることにより合成樹脂製ライナー材の端部を縮径させて、口金部材の円盤状端部と該容器の合成樹脂製ライナー材の内側の肩部とを、該接着樹脂(Z)を介して、溶着する方法が気密性の点から好ましい。
以下に本発明の圧力容器の製造方法の一例について具体的に詳述する。
図2は本発明の好ましい製造方法の一例であるブロー成形法の主要部の断面図を示したものである。
図2において、少なくとも金型と口金の支持部材と支持台を具備したブロー成形装置を用いて、予め粉体塗装等で接着樹脂4、4´を口金部材3の一端の円盤部8に塗装された口金部材3、3´を支持台15に係属する支持部14の上下に設置後、ブロー成形機(図示せず)のダイス11から合成樹脂製ライナー材を形成する筒状のパリソン12(a,b)を押出し、金型13(a,b)間に垂下させ、該パリソン12(a,b)で金型内に設置された口金部材3、3´の一端部に形成された円盤部8を覆い、次いで、まだ十分パリソンパリソン12(a,b)がやわらかい状態で該金型13(a,b)を型閉めし、該パリソン12(a,b)を縮径させ、口金部材3、3´の首部をパリソン12(a,b)と同時にピンチし、密閉された金型に空気等の気体を吹込んで、パリソン12(a,b)を金型13(a,b)壁に押圧して中空容器を形成させ、同時に合成樹脂製ライナー材1の内側の肩部と、口金部材3、3´の円盤状部に予め塗布された接着樹脂4、4´とが内圧により融着され、口金部材が装着された中空容器が作製される。次いで合成樹脂製ライナー材で形成される中空容器1の外周を、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた、カーボンファイバー糸や束、ガラス繊維糸や束等の繊維糸、束、マット等により、被覆して、硬化させて繊維強化材(CFRP、GFRP等)層2を形成し、圧力容器10を製造するものである。
4.圧力容器の用途
本発明に係る圧力容器は、これに充填されるガスの種類は制限されるものではなく、天然ガス、液化石油ガス、窒素、酸素、水素、ヘリウムガス、アルゴンガス、ロケット燃料などが挙げられ、口金部材と合成樹脂製ライナー材との接着力が高く、気密性が優れるなどの点からいずれにも好適に使用できる圧力容器である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限りこれら実施例によって制約をうけるものではない。なお、実施例および比較例において、物性の評価は次の通りである。
1.測定法
MFR(単位:g/10分):JIS K6922−1(1997)、条件D(温度190℃、荷重21.18N)に準拠して測定した。
(2)ハイロードメルトフローレート=HLMFR(単位:g/10min):JIS K6922−1(1997)、条件D(温度190℃、荷重211.8N)に準拠して測定した。
(3)中位粒度:JIS Z8801(標準ふるい)に準拠して測定した。
(4)嵩比重:JIS K8721に準拠して測定した。
(5)静止摩擦係数:JIS K8721に準拠して測定した。
(6)塗装膜厚:静電塗装により接着樹脂を塗装した口金部材の円盤状部の任意箇所(5箇所)を選択し、下記厚み計((株)キーエンス社製EX―V)を用いて塗装膜厚を測定した(測定値は5点の平均値)。
[厚み計]
デジタル変位センサによる高精度過電流式:対象物とセンサヘッドの距離が近づくにつれ、過電流が大きくなり、発信振幅は小さくなる。この発信振幅を整流して直流電圧の変化とする。整流された信号と距離とはほぼ比例関係にあって、リニアライズ回路で直線性の補正を行い、距離と比例したリニアな出力を得る。厚みはデジタルで表示される。
(7)塗装性:静電塗装により接着樹脂を塗装した口金部材の円盤状部に形成された塗装膜の表面平滑性および表面状態を目視で観察した。
(8)接着強度:口金平面部の樹脂層のみをカッターを用いて幅10mm、長さ3cm程度捲(めくり)出し、テンシロンを用いて、テンシロンの引張速度50mm/分、長さ5cm、180度剥離で接着強度を測定した(測定値は5点の平均値)。
(9)ガス漏れテスト:圧力容器10に30MPaの水素ガスを充填し、60℃で、60日間放置後のタンク内圧力の経時変化による。○はガス漏れなし、×はガス漏れあり。
2.実施例
<使用材料>
高密度ポリエチレン樹脂は、表1に記載のものを使用した。
Figure 2008164114
本発明の粘度曲線指数FCIの導き方は、特公昭55−14084号に記載の方法で重合した高密度ポリエチレン樹脂の試料を用いて、接着樹脂の接着強度を検証し、プロットして得たものであり、本発明の好ましいFCIの式(2)の例について表2及び図3に示した。
Y=−00547X+1.08 (2)
Figure 2008164114
<実施例1>
[変性ポリエチレン系樹脂(X1)の製造]
高密度ポリエチレン系樹脂(密度:0.956g/cm、MFR:0.8g/10分、Mw/Mn:5.5、FCI:1.09、日本ポリエチレン(株)製 A1と称す)80重量部と直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(密度:0.926g/cm、MFR:0.8g/10分、日本ポリエチレン(株)製 B1と称す)20重量部からなる粉末状のポリエチレン系樹脂(A1+B1)100重量部に、無水マレイン酸0.8部および2,5−ジメチル−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.02部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合した後、モダンマシナリー(株)製50mm単軸押出機を用いて、スクリュー回転数50rpm、樹脂温度280℃の条件で溶融混練し、MFR0.2g/10分、密度0.950g/cm、グラフトモノマー量0.5重量%の変性ポリエチレン系樹脂(X1)を得た。
[接着樹脂粉体(Z1)の製造]
変性ポリエチレン系樹脂(X1)20重量%と直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(密度:0.924g/cm、MFR:9g/10分、銘柄:Z50MG、日本ポリエチレン(株)製 Y1と称す)80重量%を90メッシュふるいをセットした機械式粉砕機を用いて、粉砕した後、平滑処理をして、表3に示したような性状を有する接着樹脂粉体(Z1)を作製した。接着樹脂(Z1)としての密度及びMFRは、それぞれ、表3に示すとおりの値であった。
[静電塗装]
静電塗装機(GEMA社製)を用いて、静電塗装ガンで、加電圧45KVで上記接着樹脂粉体を図1に示されるような一端に円盤状部を有する口金の円盤状部に表3に示すような塗膜厚300μmに静電塗布後、200℃のオーブンに30分間入れ、塗布された口金を得た。その結果(接着強度、塗面平滑性等)を表3に示した。
[圧力容器の製造]
図2に示すように、上記塗装された口金を支持台15に係属する支持部材14にインサートし、口金部材3、3´を設置して、(株)日本製鋼所製NB150連続多層中空成形機を用い、下記条件で、ブロー成形機(図示せず)のダイス11から筒状のパリソン12(a,b)を押出し、金型13(a,b)間に垂下させ、まだ十分パリソンがやわらかい状態で該金型13(a,b)を型閉めし、該パリソン12(a,b)を縮径し、口金部材3の首部をパリソン12と同時にピンチして、空気をブローしてパリソン12を金型13壁に押圧してライナー材で形成される中空容器1を形成する。一方、中空容器1の肩部7と、口金部材3の円盤状部の上部8に予め塗布された接着樹脂4とは内圧により、口金部材3(ロッド)が中空容器1の肩部に押圧されて、融着され、容積30リットルの口金部材が装着された中空容器1を作製した。次いで中空容器の外周を、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を含浸させた、カーボンファイバー束を被覆巻回した後、エポキシ樹脂を硬化させてカーボンファイバー繊維強化材2(CFRP)層を形成し、圧力容器10を製造した。
この圧力容器10を用いて、30MPaの水素ガスを充填し、ガス漏れの有無を確認した。ガス漏れの有無については、60℃で、60日間放置後のタンク内圧力の経時変化により行った。その結果を表3に示した(○はガス漏れなし、×はガス漏れあり)。
[ブロー成形条件]
成形温度210℃、ブロー圧力1.4MPa、金型温度20℃、吹込時間130secの条件で、外層側から高密度ポリエチレン層/リグライン層/接着材層/ガスバリヤ−層(EVOH層)/接着材層/高密度ポリエチレン層(最内層)の4種6層(層厚:0.7mm(最外層)/2.0mm/0.1mm/0.15mm/0.1mm/2.0mm(最内層))の円筒状の中空容器を製造した。具体的な層構成は以下のとおりである。
<層構成>
[内外の高密度ポリエチレン系樹脂層]
商品名:ノバテックHD HB111R、日本ポリエチレン(株)製、密度=0.945g/cm、HLMFR(測定温度190℃、荷重211.8N)=6g/10分
[リグラインド材層]
高密度ポリエチレン系樹脂、接着材、エチレン−ビニルアルコール共重合体の組成比率は、各々87.2重量%、6.5重量%、6.3重量%である。
[接着材層]
商品名:アドテックス FT61AR3、日本ポリエチレン(株)製、密度0.933g/cm、MFR0.6g/10分。
[ガスバリヤ−層]
エチレン−ビニルアルコール共重合体層(EVOH層)商品名:エバールF101B(株)クラレ製)
上記の原材料の物性、圧力容器の評価結果等を表3に示した。
<実施例2>
[変性ポリエチレン系樹脂(X2)の製造]
高密度ポリエチレン系樹脂(密度:0.956g/cm、MFR:0.8g/10分、MW/MN:5.5、FCI:1.09、日本ポリエチレン(株)製 A1と称す)100重量部に、無水マレイン酸0.8部および2,5−ジメチル−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.02部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合した後、モダンマシナリー(株)製50mm単軸押出機を用いて、スクリュー回転数50rpm、樹脂温度280℃の条件で溶融混練し、MFR0.2g/10分、密度0.956g/cm、グラフトモノマー量0.5重量%の変性ポリエチレン系樹脂(X2)を得た。
[接着樹脂粉体(Z2)の製造]
変性ポリエチレン系樹脂(X2)20重量%と直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(密度:0.924g/cm、MFR:9g/10分、銘柄:Z50MG、日本ポリエチレン(株)製 Y1と称す)80重量%を、90メッシュふるいをセットした機械式粉砕機を用いて粉砕後、平滑処理して、表3に示したような性状を有する接着樹脂粉体(Z2)を作製した。接着樹脂(Z2)としての密度及びMFRは、それぞれ、表3に示すとおりの値であった。
上記接着樹脂粉体(Z2)を用いて、実施例1と同様に口金部材の円盤状部に静電塗装を行い、厚み塗膜300μmの口金部材を作製し、その物性を表3に示した。次いでこの口金部材を使用して実施例1と同様に圧力容器を製造し、評価した結果を表3に示した。
<実施例3>
[変性ポリエチレン系樹脂(X3)の製造]
高密度ポリエチレン系樹脂(密度:0.956g/cm、MFR:0.8g/10分、MW/MN:5.5、FCI:1.09、日本ポリエチレン(株)製 A1と称す)30重量部と直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(密度:0.926g/cm、MFR:0.8g/10分、日本ポリエチレン(株)製 B1と称す)70重量部からなる粉末状のポリエチレン系樹脂(A1+B1)100重量部に、無水マレイン酸0.8部および2,5−ジメチル−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.02部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合した後、モダンマシナリー(株)製50mm単軸押出機を用いて、スクリュー回転数50rpm、樹脂温度280℃の条件で溶融混練し、MFR0.2g/10分、密度0.935g/cm、グラフトモノマー量0.5重量%の変性ポリエチレン系樹脂(X3)を得た。
[接着樹脂粉体(Z3)の製造]
変性ポリエチレン系樹脂(X3)20重量%と直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(密度:0.924g/cm、MFR:9g/10分、銘柄:Z50MG、日本ポリエチレン(株)製 Y1と称す)80重量%を、90メッシュふるいをセットした機械式粉砕機を用いて粉砕後、平滑処理して表3に示したような性状を有する接着樹脂粉体(Z3)を作製した。接着樹脂(Z3)としての密度及びMFRは、それぞれ、表3に示すとおりの値であった。
上記接着樹脂粉体(Z3)を用いて、実施例1と同様に口金部材の円盤状部に静電塗装を行い、厚み塗膜300μmの口金部材を作製し、その物性を表3に示した。次いでこの口金部材を使用して実施例1と同様に圧力容器を製造し、評価した結果を表3に示した。
<実施例4>
[接着樹脂粉体(Z4)の製造]
変性ポリエチレン系樹脂(X1)100重量%を、90メッシュふるいをセットした機械式粉砕機を用いて粉砕後、平滑処理して表3に示したような性状を有する接着樹脂粉体(Z4)を作製した。接着樹脂(Z4)としての密度及びMFRは、それぞれ、表3に示すとおりの値であった。
上記接着樹脂粉体(Z4)を用いて、実施例1と同様に口金部材の円盤状部に静電塗装を行い、厚み塗膜300μmの口金部材を作製し、その物性を表3に示した。次いでこの口金部材を使用して実施例1と同様に圧力容器を製造し、評価した結果を表3に示した。
<実施例5>
[接着樹脂粉体(Z5)の製造]
変性ポリエチレン系樹脂(X1)0.6重量%と直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(密度:0.924g/cm、MFR:9g/10分、銘柄:Z50MG、日本ポリエチレン(株)製 Y1と称す)99.4重量%を、90メッシュふるいをセットした機械式粉砕機を用いて粉砕後、平滑処理して表3に示したような性状を有する接着樹脂粉体(Z5)を作製した。接着樹脂(Z5)としての密度及びMFRは、それぞれ、表3に示すとおりの値であった。
上記接着樹脂粉体(Z5)を用いて、実施例1と同様に口金部材の円盤状部に静電塗装を行い、厚み塗膜300μmの口金部材を作製し、その物性を表3に示した。次いでこの口金部材を使用して実施例1と同様に圧力容器を製造し、評価した結果を表3に示した。
Figure 2008164114
<実施例6〜8>
接着樹脂粉体(Z6)として、実施例1で使用した変性ポリエチレン系樹脂(X1)の20重量%と、未変性ポリエチレン(Y)として低密度ポリエチレン(密度:0.919g/cm、MFR:8.5g/10分、銘柄:LC607A、日本ポリエチレン(株)製 Y2:Cと称す)80重量%を溶融混練し、90メッシュふるいをセットした機械式粉砕機を用いて粉砕後、平滑処理して表4に示したような性状を有する接着樹脂粉体(Z6)を作製した。上記接着樹脂粉体(Z6)を用いて、実施例1と同様に口金部材の円盤状部に静電塗装を行い、厚み塗膜300μmの口金部材を作製し、その物性を表4に示した。
また、接着樹脂粉体(Z7)については実施例1で使用した変性ポリエチレン系樹脂(X1)の50重量%と、未変性ポリエチレン(Y)として直鎖状超低密度ポリエチレン(密度:0.870g/cm、MFR:5g/10分、銘柄:エンゲージ8200、ダウケミカル日本(株)製 Y3:Dと称す)50重量%を90メッシュふるいをセットした機械式粉砕機を用いて、表4に示したような性状を有する接着樹脂粉体(Z7)を作製した。
さらに、接着樹脂粉体(Z8)については、実施例1で使用した変性ポリエチレン系樹脂(X1)の50重量%と、エラストマー(密度:0.870g/cm、MFR:5g/10分、銘柄:タフマーP−0180、三井化学(株)製)50重量% Y4(E)と称す)を、90メッシュふるいをセットした機械式粉砕機を用いて粉砕後、平滑処理して表4に示したような性状を有する接着樹脂粉体(Z8)を作製した。
上記接着樹脂粉体(Z6)〜(Z8)を用いて、実施例1と同様に口金部材の円盤状部に静電塗装を行い、厚み塗膜300μmの口金部材を作製し、その物性を表4に示した。
またこれらの口金部材を使用して実施例1と同様に圧力容器を製造し、評価した結果を表4に示した。
<実施例9>
変性ポリエチレン系樹脂(X1)20重量%と直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(密度:0.924g/cm、MFR:9g/10分、銘柄:Z50MG、日本ポリエチレン(株)製 Y1 B2と称す)80重量%を、単軸押出機を用いて200℃にて溶融混練後、Tダイ成型機にて500umのシートを作成し、200℃のオーブンにて30分間予熱した口金に圧着させることにより作製した口金部材の接着強度は実施例1の粉体塗装のものと同じであった。圧着後の接着材層の厚みは300umであった。この部材を実施例1と同様に圧力容器を製造し、評価した結果、ガス漏れは確認されなかった。評価結果を表4に示した
Figure 2008164114
<比較例1>
[変性ポリエチレン系樹脂(X4)の製造]
高密度ポリエチレン系樹脂(密度:0.956g/cm、MFR:0.8g/10分、Mw/Mn:5.5、FCI:1.09、日本ポリエチレン(株)製 A1と称す)20重量部と直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(密度:0.926g/cm、MFR:0.8g/10分、日本ポリエチレン(株)製 B1と称す)80重量部からなる粉末状のポリエチレン系樹脂(A1+B1)100重量部に、無水マレイン酸0.8部および2,5−ジメチル−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.02部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合した後、モダンマシナリー(株)製50mm単軸押出機を用いて、スクリュー回転数50rpm、樹脂温度280℃の条件で溶融混練し、MFR0.2g/10分、密度0.932g/cm、グラフトモノマー量0.5重量%の変性ポリエチレン系樹脂(X4)を得た。
[接着樹脂粉体(Z9)の製造]
変性ポリエチレン系樹脂(X4)20重量%と直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(密度:0.924g/cm、MFR:9g/10分、銘柄:Z50MG、日本ポリエチレン(株)製 (Y1:B2))80重量%を、90メッシュふるいをセットした機械式粉砕機を用いて粉砕後、平滑処理して表5に示したような性状を有する接着樹脂粉体(Z9)を作製した。接着樹脂(Z9)としての密度及びMFRは、それぞれ、表5に示すとおりの値であった。
上記接着樹脂粉体(Z9)を用いて、実施例1と同様に口金部材の円盤状部に静電塗装を行い、厚み塗膜300μmの口金部材を作製し、その物性を表5に示した。次いでこの口金部材を使用して実施例1と同様に圧力容器を製造し、評価した結果を表5に示した。
<比較例2>
[変性ポリエチレン系樹脂(X5)の製造]
高密度ポリエチレン系樹脂(密度:0.956g/cm、MFR:0.8g/10分、MW/MN:7.5、FCI:1.15、日本ポリエチレン(株)製 A2と称す)80重量部と直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(密度:0.926g/cm、MFR:0.8g/10分、日本ポリエチレン(株)製 B1と称す)20重量部からなる粉末状のポリエチレン系樹脂(A+B)100重量部に、無水マレイン酸0.8部および2,5−ジメチル−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.02部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合した後、モダンマシナリー(株)製50mm単軸押出機を用いて、スクリュー回転数50rpm、樹脂温度280℃の条件で溶融混練し、MFR0.2g/10分、密度0.950g/cm、グラフトモノマー量0.5重量%の変性ポリエチレン系樹脂(X5)を得た。
[接着樹脂粉体(Z10)の製造]
変性ポリエチレン系樹脂(X5)20重量%と直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(密度:0.924g/cm、MFR:9g/10分、銘柄:Z50MG、日本ポリエチレン(株)製 (Y1:B2))80重量%を、90メッシュふるいをセットした機械式粉砕機を用いて粉砕後、平滑処理して表5に示したような性状を有する接着樹脂粉体(Z10)を作製した。接着樹脂(Z10)としての密度及びMFRは、それぞれ、表5に示すとおりの値であった。
上記接着樹脂粉体(Z10)を用いて、実施例1と同様に口金部材の円盤状部に静電塗装を行い、厚み塗膜300μmの口金部材を作製し、その物性を表5に示した。次いでこの口金部材を使用して実施例1と同様に圧力容器を製造し、評価した結果を表5に示した。
<比較例3、4>
[変性ポリエチレン系樹脂(X6)の製造]
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.924g/cm、MFR:9g/10分、銘柄:Z50MG、日本ポリエチレン(株)製 B2と称す)からなる粉末状のポリエチレン系樹脂(B:LLDPE)100重量部に、無水マレイン酸0.8部および2,5−ジメチル−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.02部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合した後、モダンマシナリー(株)製50mm単軸押出機を用いて、スクリュー回転数50rpm、樹脂温度280℃の条件で溶融混練し、MFR4g/10min、密度0.925g/cm、グラフトモノマー量が0.5重量%の官能基含有ポリエチレン系樹脂(X2)を得た。
[接着樹脂粉体(Z11)の製造]
変性ポリエチレン樹脂(X6)20重量%と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.924g/cm、MFR:9g/10分、銘柄:Z50MG、日本ポリエチレン(株)製(Y1:B2と称す))80重量%を、90メッシュふるいをセットした機械式粉砕機を用いて粉砕後、平滑処理して、表5に示したような性状を有する接着樹脂粉体(Z11)を作製した。接着剤(Z11)としての密度及びMFRは、それぞれ、表5に示すとおりの値であった。
上記接着樹脂粉体(Z11)を用いて、実施例3と同様に口金部の円盤部に静電塗装を行い、厚み塗膜300μmの口金部材を作製し、その物性を表5に示した。次いでこの口金部材を使用して実施例1と同様に圧力容器を製造し、評価した結果を表5に示した。
また、比較例4は、表5に示すとおりの内容で、実施例1と同様に圧力容器を製造し、評価した結果を表5に示した。
Figure 2008164114
3.評価結果
本発明の実施例1〜8は口金部材に本発明による接着樹脂層を静電塗装法で形成したものであり、実施例9はシートで形成したものであるが、いずれも良好な結果であった。
一方、比較例1は、変性ポリエチレン(X)の原料である(イ)高密度ポリエチレンの使用量が本発明の範囲外では、接着強度が上がらず、分子量分布及びFCIが外れる場合もガス漏れテストに不合格であった。比較例3は、変性直鎖状低密度ポリエチレン樹脂単独であり、比較例4は、変性ポリエチレン(X)の使用量が本発明の範囲外であって、いずれも接着強度、ガス漏れテストが不合格であった。
図1は、本発明の圧力容器の一例の一部切欠断面図である。 図2は、本発明の好ましい製造方法の一例であるブロー成形法の主要部の断面図である。 図3は、実施例及び比較例における、本発明の好ましい粘度曲線指数FCIの式を導くためのプロットの一例である。
符号の説明
1 合成樹脂製ライナー材から形成される中空容器(内側壁)
2 外側の耐圧性の補強材(外側壁)
3、3´ 口金部材
4、4´ 接着樹脂
5 外側口金部材
6 Oリング
7 ライナー材の肩部
8 口金の円盤部
10 圧力容器
11 押出しダイス
12a パリソンa
12b パリソンb
13a 金型a
13b 金型b
14 支持部
15 支持台

Claims (13)

  1. 合成樹脂製ライナー材で形成された中空容器と、該中空容器の外層に設けられた補強材で形成された補強材層とを有し、かつ少なくとも1つの口金部材を有する圧力容器であって、前記中空容器と前記口金部材とは、下記(a1)〜(a3)の特性を満足する高密度ポリエチレン系樹脂(イ)30〜100重量部と、下記(b1)および(b2)の特性を満足し、かつ、(イ)と異なるポリエチレン系樹脂(ロ)0〜70重量部とを、下記(a)〜(e)の官能基を有する化合物から選択された少なくとも1種の化合物によりグラフトしてなる、(x1)密度が0.91〜0.97g/cmであり、かつ、(x2)メルトフローレートが0.01〜30g/10分であるグラフト変性ポリエチレン系樹脂(X)を含む接着樹脂(Z)を介して接着または溶着された圧力容器。
    [特性]
    (a1)密度0.94g/cm〜0.97g/cm
    (a2)メルトフローレート(JIS K6922−1(1997)条件D(温度190℃、荷重21.18Nにて測定))0.01〜30g/10分、
    (a3)分子量分布(Mw/Mn)が7以下
    (b1)密度0.90〜0.97g/cm
    (b2)メルトフローレート0.01〜30g/10分
    [官能基]
    (a)カルボン酸基またはカルボン酸無水物基
    (b)エポキシ基
    (c)ヒドロキシル基
    (d)アミノ基
    (e)シリル基
  2. 前記高密度ポリエチレン系樹脂(イ)の粘度曲線指数(FCI)およびメルトフローレート(MFR)が、さらに、下記の式(1)を満足する請求項1に記載の圧力容器。
    FCI≦−0.063×log(MFR)+1.10 (1)
  3. 前記接着樹脂(Z)が、変性ポリエチレン系樹脂(X)0.5〜100重量%と、下記(A)〜(E)から選ばれる少なくとも1種の未変性ポリエチレン系樹脂または熱可塑性エラストマー(Y)0〜99.5重量%とからなる、(z1)密度0.86〜0.97g/cm、(z2)メルトフローレート0.01〜100g/10分の接着樹脂(Z)である請求項1または2に記載の圧力容器。
    (A):(a1)密度0.94〜0.97g/cm、(a2)メルトフローレート0.01〜100g/10分を有する高密度ポリエチレン系樹脂
    (B):(b1)密度0.90〜0.94g/cm未満、(b2)メルトフローレート0.01〜100g/10分の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂
    (C):(c1)メルトフローレート0.01〜100g/10分の高圧ラジカル法エチレン(共)重合体
    (D):(d1)密度0.86〜0.90g/cm未満、(d2)メルトフローレート0.01〜100g/10分の超低密度ポリエチレン系樹脂
    (E):熱可塑性エラストマー
  4. 前記(イ)、(ロ)、(A)、(B)または(D)の樹脂が、シングルサイト系触媒で製造されたポリエチレン系樹脂である請求項1〜3のいずれかに1項に記載の圧力容器。
  5. 前記接着樹脂(Z)が、官能基含有ポリエチレン系樹脂(X)5〜95重量%と、未変性ポリエチレン系樹脂または熱可塑性エラストマー(Y)5〜95重量%とからなる請求項1〜4のいずれかに1項に圧力容器。
  6. 前記接着樹脂(Z)が、前記(a)〜(e)の少なくとも1種の官能基を、接着樹脂(Z)全体の重量を基準として、0.001〜10重量%含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の圧力容器。
  7. 前記合成樹脂製ライナー材は、少なくとも密度0.920〜0.970g/cmのポリエチレン系樹脂を含む合成樹脂材料である請求項1〜6のいずれか一項に記載の圧力容器。
  8. 前記合成樹脂製ライナー材は、樹脂内に、エンジニアリングプラスチック、金属部材および無機充填剤の少なくとも1種が分散された複合材である請求項1〜7のいずれか一項に記載の圧力容器。
  9. 前記合成樹脂製ライナー材は、少なくとも熱可塑性樹脂層/接着層/バリア層を含む積層体からなる請求項1〜8のいずれか一項に記載の圧力容器。
  10. 前記補強材が、繊維強化材である請求項1〜9のいずれか一項に記載の圧力容器。
  11. 合成樹脂製ライナー材で形成された中空容器と、該中空容器の外層に設けられた補強材で形成された補強材層とを有し、かつ少なくとも1つの口金部材を有する圧力容器の製造方法であって、前記中空容器と前記口金部材とを、下記(a1)〜(a3)の特性を満足する高密度ポリエチレン系樹脂(イ)30〜100重量部と、下記(b1)および(b2)の特性を満足し、かつ、(イ)と異なるポリエチレン系樹脂(ロ)0〜70重量部とを、下記(a)〜(e)の官能基を有する化合物から選択された少なくとも1種の化合物によりグラフトしてなる、(x1)密度が0.91〜0.97g/cmであり、かつ、(x2)メルトフローレートが0.01〜30g/10分であるグラフト変性ポリエチレン系樹脂(X)を含む接着樹脂(Z)を介して接着または溶着する圧力容器の製造方法。
    [特性]
    (a1)密度0.94g/cm〜0.97g/cm
    (a2)メルトフローレート(JIS K6922−1(1997)条件D(温度190℃、荷重21.18Nにて測定))0.01〜30g/10分、
    (a3)分子量分布(Mw/Mn)が7以下
    (b1)密度0.90〜0.97g/cm
    (b2)メルトフローレート0.01〜30g/10分
    [官能基]
    (a)カルボン酸基またはカルボン酸無水物基
    (b)エポキシ基
    (c)ヒドロキシル基
    (d)アミノ基
    (e)シリル基
  12. 前記中空容器を合成樹脂製ライナー材のブロー成形により形成し、前記接着樹脂(Z)による接着剤層を粉体塗装により口金部材に形成し、該接着剤層を介して中空容器と口金部材とを接着または溶着する請求項11に記載の圧力容器の製造方法。
  13. 前記口金部材を、予め下地処理剤で処理する請求項11または12に記載の圧力容器の製造方法。
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