JP2004238438A - 接着用変性ポリオレフィン組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)低結晶性もしくは非晶性エチレン・α−オレフィン共重合体…5〜30重量%、(B)粘着付与剤…1〜20重量%、
(C)不飽和カルボン酸またはその誘導体でグラフト変性された変性ポリエチレン…1〜20重量%、
(D)高圧法低密度ポリエチレン…1〜25重量%、(E)直鎖状低密度ポリエチレン…5〜92重量%からなることを特徴とする接着用変性ポリオレフィン組成物。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着用変性ポリオレフィン組成物に関し、さらに詳しくは、特に押出ラミネート時に高速で加工可能な接着用変性ポリオレフィン組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
包装資材用フィルムはガスバリヤー性、水蒸気バリヤー性、耐油性を付与するために、エチレン酢酸ビニル共重合体鹸化物(EVOH)、ポリアミド(Ny)、ポリエステル(PET)、ポリプロピレン(PP)などの樹脂から成る多層フィルムが使用されている。多層化の方法としては、共押出成形が一般的であるが、包装用フィルムとしてよりバリヤー性が優れ、腰のある2軸あるいは1軸延伸フィルム、または遮光性、高度のバリヤー性が要求される用途にはアルミニウム箔(Al箔)あるいは、Al蒸着フィルムが使用されることがある。
こうした2軸あるいは1軸延伸フィルム、Al箔、Al蒸着フィルムを多層フィルムの中に加える場合は予め成型されたフィルムもしくは箔をドライラミ接着剤により貼りあわせることが一般的に行なわれている。しかしながらドライラミ接着では、残留溶剤の毒性、工程の煩雑化などの問題点がある。こうした問題点を避ける方法として、押出ラミあるいはサンドラミによる多層化が行なわれているが、基材フィルムと強固な接着力を得るためにはアンカー剤などの処理が必要であった。
【0003】
本出願人は、特許文献1において、(A)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体、(B)粘着付与剤、(C)不飽和カルボン酸またはその誘導体でグラフト変性された変性ポリエチレン、(D)高圧法低密度ポリエチレンとからなる接着用変性ポリオレフィン組成物を提案した。
【0004】
【特許文献1】
特公平7−53812号公報
【0005】
この接着用変性ポリオレフィン組成物はまた種々の基材の上に押出ラミネートを施す場合の接着用樹脂として、有効なことが分かったが、押出ラミネート法によって種々の基材を積層する際に、基材の引取速度が高速になると溶融樹脂が切れる、いわゆるドローダウン性が低いという問題点があることが、本発明者によって見出された。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、種々の基材に対して優れた接着性を示すとともに、特に押出ラミネート時のドローダウン性を改良できるような、接着用変性ポリオレフィン組成物を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る接着用変性ポリオレフィン組成物は、
(A)メルトフローレート:0.1〜15g/10分、
密度:0.850〜0.900g/cm3、
エチレン含有量:30〜95モル%X線による結晶化度:40%以下、
であるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体…5〜30重量%、
(B)粘着付与剤…1〜20重量%、
(C)グラフト量:0.01〜10重量%、
密度:0.850〜0.980 g/cm3、
である不飽和カルボン酸またはその誘導体でグラフト変性された変性ポリエチレン…1〜20重量%、
(D)メルトフローレート:0.1〜50g/10分、密度:0.905〜0.940 g/cm3である高圧法低密度ポリエチレン…1〜25重量%、
(E)メルトフローレート:1〜50g/10分、密度:0.900〜0.940 g/cm3である直鎖状低密度ポリエチレン…5〜92重量%からなることを特徴としている。
((A)、(B)、(C)、(D)、(E)の合計を100重量%とする。)
【0008】
本発明に係る接着用変性ポリオレフィン組成物は、(A)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体、(B)粘着付与剤、(C)不飽和カルボン酸またはその誘導体でグラフト変性された変性ポリエチレン、(D)高圧法低密度ポリエチレンに加えて、(E)特定の直鎖状ポリエチレンを含んでいるので、種々の基材に対して優れた接着性を示すとともに、特に押出ラミネート時のドローダウン性を改良することができる。
【0009】
【発明の具体的説明】
以下本発明に係る接着用変性ポリオレフィン組成物を構成する各成分について、具体的に説明する。
(A)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体は、メルトフローレート(MFR2: ASTM D 1238、E)が0.1〜15g/10分、好ましくは0.2〜10g/10分であり、密度が0.850〜0.900g/cm3、好ましくは0.855〜0.895g/cm3であり、エチレン含有量が30〜95モル%、好ましくは40〜95モル%であり、X線による結晶化度が40%以下、好ましくは30%以下である。
メルトフローレートが上記範囲以内であると、成形性がよく、接着強度が高いため好ましい。また、密度が、0.900g/cm3以下であると、EVOHなどの基材との接着強度が高いので好ましい。さらにX線による結晶化度が40%以下であると、EVOHなどの基材との接着強度が高いので好ましい。
【0010】
本発明のエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(A)を構成するα−オレフィンとしては、通常炭素数3〜20のα−オレフィン、具体的にはたとえばプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−オクタデセンなどが用いられ、それぞれ単独あるいは二種以上の混合して用いられる。
本発明のエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(A)は、前述のように、低結晶性もしくは非晶性のポリオレフィンであり、低結晶性の共重合体はその融点(ASTM D 3418)が通常100℃以下である。
このようなエチレン・α−オレフィンランダム共重合体は、本発明に係る接着用組成物中に、5〜30重量%好ましくは10〜20重量%の量で用いられる。
ランダム共重合体の量がこの範囲であると、基材の接着性、成形性が良好であり、好ましい。
【0011】
(B)粘着付与剤
本発明で用いられる粘着付与剤は固体の非晶性ポリマーであり、通常粘着付与樹脂として粘着テープ、塗料、およびホットメルト接着剤用分野に用いられており、重合されるモノマー源の違いにより次の様な樹脂を列挙することができる。たとえば、石油、ナフサなどの分解によって得られるC4留分、C5留分、これらの混合物あるいはこれらの任意の留分、たとえばC5留分中のイソプレンおよび1,3−ペンタジエンなどを主原料とする脂肪族系炭化水素樹脂、石油、ナフサなどの分解によって得られるC9留分中のスチレン誘導体およびインデン類を主原料とする芳香族系炭化水素樹脂、C4・C5留分の任意の留分とC9留分を共重合した脂肪族・芳香族共重合炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂を水素添加した脂環族系炭化水素樹脂、脂肪族、脂環族および芳香族を含む構造をもつ合成テルペン系炭化水素樹脂、テレピン油中のα,β−ピネンを原料とするテルペン系炭化水素樹脂、コールタール系ナフサ中のインデンおよびスチレン類を原料とするクマロンインデン系炭化水素樹脂、低分子量スチレン系樹脂およびロジン系炭化水素樹脂などである。
【0012】
これらの粘着付与剤(B)の中でも脂肪族系炭化水素樹脂および芳香族系炭化水素樹脂を水素添加した脂環族系炭化水素樹脂が、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体などの分散性が良いので好ましく、更には軟化点(環球法)が70〜150℃、好ましくは80〜140℃および芳香族核への水素添加率が80%以上、好ましくは85%以上の脂環族系炭化水素が特に好ましい。
【0013】
このような粘着付与剤は、本発明に係る接着用組成物中に1〜20重量%好ましくは5〜15重量%の量で用いられる。この粘着付与剤の量が1重量%以上であると、EVOHなどの基材に対する接着性が良好であり、20重量%以下であると流動性が高くなりすぎず、成形性が良好である。
【0014】
(C)変性ポリエチレン
本発明で用いられる変性ポリエチレンは不飽和カルボン酸またはその誘導体のグラフト量が0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%であり、密度が0.850〜0.980g/cm3、好ましくは0.870〜0.970g/cm3である、グラフト変性ポリエチレンである。不飽和カルボン酸などのグラフト量が0.01重量%以上であると、特にEVOHなどの基材との接着性が良く、10重量%以下であると、架橋による分散性の低下がないため、やはりEVOHなどの基材と接着性が良好となる。
密度が0.850g/cm3以上であると、製品ペレットがブロッキングしにくいので好ましい。
【0015】
本発明に用いる変性ポリエチレン(C)のベースとなるポリエチレンとしては、通常メルトフローレート(MFR2)が0.01〜100g/10分であり、密度が0.850〜0.980g/cm3のエチレンの単独重合体あるいはエチレンと少量の他の1種以上のα−オレフィン、具体的にはたとえばプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどとの共重合体が用いられる。
【0016】
前記ポリエチレンにグラフトする不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、アクリル酸、マレイン酸、フマール酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸(商品名)(エンドシス−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸)などの不飽和カルボン酸、またはこれらの誘導体、たとえば酸ハライド、アミド、イミド、無水物、エステルなどが挙げられ、具体的には、塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエートなどが例示される。これらの中では、不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物が好適であり、とくにマレイン酸、ナジック酸またはこれらの酸無水物が好適である。
【0017】
該不飽和カルボン酸またはその誘導体から選ばれるグラフトモノマーを前記ポリエチレンにグラフト共重合して変性物を製造するには、従来公知の種々の方法を採用することができる。たとえば、ポリエチレンを溶融させグラフトモノマーを添加してグラフト共重合させる方法あるいは溶媒に溶解させグラフトモノマーを添加してグラフト共重合させる方法がある。いずれの場合にも、前記グラフトモノマーを効率よくグラフト共重合させるためには、ラジカル開始剤の存在下に反応を実施することが好ましい。グラフト反応は、通常60〜350℃の温度で行われる。ラジカル開始剤の使用割合は、ポリエチレン100重量部に対して通常0.001〜1重量部の範囲である。
【0018】
ラジカル開始剤としては、有機ペルオキシド、有機ペルエステル、たとえばベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシドベンゾエート)ヘキシン−3、1,4−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルペルアセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルペルフェニルアセテート、tert−ブチルペルイソブチレート、tert−ブチルペル−sec−オクトエート、tert−ブチルペルピバレート、クミルペルピバレートおよびtert−ブチルペルジエチルアセテート、その他アゾ化合物、たとえばアゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレートが用いられる。これらのうちではジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,4−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどのジアルキルペルオキシドが好ましい。
【0019】
本発明に用いる変性ポリエチレン(C)は、前記ポリエチレンにより一部が希釈されていてもよいが、その場合は不飽和カルボン酸などのグラフト量は全体で前記範囲内である必要がある。
このような変性ポリエチレンは、本発明に係る接着用組成物中に、1〜20重量%の量で用いられる。変性ポリエチレンの量がこの範囲内であるとEVOHなどの基材に対する接着性が良好であるため好ましい。
【0020】
(D)高圧法低密度ポリエチレン
本発明で用いられる高圧法低密度ポリエチレンは、メルトフローレートMFR2が0.1〜50g/10分、好ましくは1〜20g/10分であり、密度が0.905〜0.940g/cm3好ましくは0.910〜0.935g/cm3である。MFR2が50g/10分以下のものは、ネックインの改良効果が大きく、一方MFR2が0.1g/10以上のものは、成形性が良好であり好ましい。
上記のような高圧法低密度ポリエチレンを、本発明に係る接着用変性ポリオレフィン組成物中に含有させることによって、この組成物をラミネート時に用いた際に、ネックイン現象を著しく低減させることができるようになる。
このような高圧法低密度ポリエチレンは、本発明に係る接着用組成物中に、1〜25重量%好ましくは5〜20重量%の量で用いられる。高圧法低密度ポリエチレンの量が1重量以上では、ラミネート時のネックイン現象を充分に低減することができるため好ましい。一方25重量%以下であると基材に対する接着性が高いので好ましい。
【0021】
本発明で用いられる高圧法低密度ポリエチレンは、公知のチューブラー反応機、オートクレーブ反応機等にて、エチレンをラジカル重合開始剤の存在下、高圧の下でラジカル重合されて製造される長鎖分岐を有する分岐の多いポリエチレン樹脂であって、必要に応じ、他の重合性単量体が少量共重合されていてもよい。このような重合性単量体としては、たとえばα− オレフィン、酢酸ビニル、アクリル酸エステルなどが挙げられる。本発明で用いられる高圧法低密度ポリエチレン(A)としては、具体的には、エチレン単独重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体などが挙げられる。
【0022】
(E)直鎖状低密度ポリエチレン
本発明で用いられる直鎖状低密度ポリエチレンは、メルトフローレートMFR2が1〜50g/10分、好ましくは5〜30g/10分であり、密度が0.900〜0.940g/cm3好ましくは0.910〜0.935g/cm3である。MFR2が50g/10分以下であると、ネックインが小さい傾向にあり、一方MFR2が1g/10分以上のものは、ドローダウン性が高いので好ましい。
【0023】
本発明で用いる直鎖状低密度ポリエチレン中のエチレン含有量は、好ましくは90〜99モル%、より好ましくは95〜98モル%である。
エチレンと共重合する炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン等の炭素数3〜20のα−オレフィンなどが例示できる。
直鎖状低密度ポリエチレンの具体的なものとしては、エチレン・1−ブテンランダム共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテンランダム共重合体、エチレン・1−オクテンランダム共重合体などがあげられるが、好ましくは、エチレン・4−メチル−1−ペンテンランダム共重合体である。このような直鎖状低密度ポリエチレン(A)は1種単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
【0024】
直鎖状低密度ポリエチレンは、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン系触媒などの公知の触媒の存在下に、モノマーを気相法、バルク法、スラリー法などの公知の重合法により重合させることにより製造することができる。
特にメタロセン系触媒を用いて重合させることにより得られるものが好ましい。
直鎖状低密度ポリエチレンの製造方法については、例えば特開昭60−35007号公報等に記載されている。
上記のような直鎖状低密度ポリエチレンを、本発明に係る接着用変性ポリオレフィン組成物中に含有させることによって、この組成物をラミネート時に用いた際に、ドローダウン性を著しく改良することができるようになる。
【0025】
このような直鎖状低密度ポリエチレンは、本発明に係る接着用組成物中に、5〜92重量%好ましくは5〜50重量%の量で用いられる。
この直鎖状低密度ポリエチレンの量が5重量%以上では、ラミネート時のドローダウン性を充分に改良することができ、一方92重量%以下では、基材に対する接着性が良好であるので好ましい。
【0026】
本発明の組成物を得るには、前記(A)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体と、(B)粘着付与剤と、(C)変性ポリエチレンと、(D)高圧法低密度ポリエチレンと、(E)直鎖状低密度ポリエチレンを前記範囲で種々公知の方法、たとえばヘンシェルミキサー、v−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラブレンダーなどで混合する方法、あるいは混合後、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどで溶融混練後、造粒あるいは粉砕する方法を採用すればよい。
本発明の組成物には、前記成分に加えて、必要に応じて、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、顔料、染料、発錆防止剤などを本発明の目的を損わない範囲で配合しておいてもよい。
【0027】
本発明の組成物を用いて、積層体を得る方法としては、たとえば、予め成形したEVOH、Ny、PET、PPなどの1軸あるいは2軸延伸フィルムもしくは、Al箔、Al蒸着フィルムなどを基材とし、本発明の組成物、および積層体を構成する他の1種もしくは2種以上の樹脂を、それぞれ別個の押出機で溶融し、溶融後、2層もしくは3層以上の構造のダイに別々に供給し、前記基材上に、本発明の組成物が基材側に来るように共押出ラミする方法、あるいは、予め成形した前記基材2層の間に組成物を溶融押出するいわゆるサンドイッチラミネート法などが上げられる。ここで用いられるダイはいわゆるフラットダイで、ブラックボックスを使用したシングル・マニホールド形式、あるいはマルチ・マニホールド形式の何れを用いても良い。
なお本発明に係る接着用変性ポリオレフィン組成物を用いて、基材を積層して積層体を製造する際には、接着剤層は0.005〜1mmの範囲であることが好ましい。
【0028】
本発明に用いる基材としては、フィルム形成能を有する任意の重合体あるい紙、アルミニウム箔、セロハンなどを使用することができる。このような重合体としては、たとえば、高密度ポリエチレン、中、低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテンなどのオレフィン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリルなどのビニル共重合体、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン7、ナイロン10、ナイロン1、ナイロン12、ナイロン610、ポリメタキシレンアジパミドなどのポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネートなどを挙げることができる。
これらの基材は目的、被包装物により適宜選択することができる。たとえば、被包装物が腐食しやすい食品の場合には、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエステルの如く、透明性、剛性、ガス透過抵抗性に優れた樹脂が選択される。菓子や繊維包装などに対しては、透明性、剛性、水透過抵抗性の良好なポリプロピレンなどを外層として選択することができる。また基材が重合体であれば一軸または二軸に延伸されていてもよい。
【0029】
【発明の効果】
本発明に係る接着用変性ポリオレフィン組成物は、(A)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体、(B)粘着付与剤、(C)不飽和カルボン酸またはその誘導体でグラフト変性された変性ポリエチレン、(D)高圧法低密度ポリエチレンに加えて、(E)特定の直鎖状低密度ポリエチレンを含んでいるので、種々の基材に対して優れた接着性を示すとともに、特に押出ラミネート時のドローダウン性を改良することができる。
【0030】
【実施例】
以下本発明を実施例による説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜2と比較例1)
エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR−I;エチレン含有量80モル%、MFR2= 1.2g/10min、密度0.88g/cm3、結晶化度6%)と、無水マレイン酸グラフト高密度ポリエチレン(MAH−HDPE;無水マレイン酸グラフト率0.5g/100gポリマー、MFR2=2.4g/10min、密度0.885g/cm3)と、脂環族系水添石油樹脂(商品名 アルコンP125、軟化点125℃、臭素価2、荒川化学(株)製)と、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE−1;MFR2=9.5g/10min、密度0.917g/cm3)と、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE−1;MFR2=20.0g/10min、密度0.918g/cm3)とを表1に示すような割合でタンブラーで混合し、200℃に設定した40mmφ一軸押出機(ダルメージスクリュー)で混練造粒し、接着用樹脂用組成物を得た。
【0031】
続いて、クラフト紙が貼着された9μm厚のAl箔上に、上記のように得られた接着用樹脂組成物(20μm厚)を下記条件下で押出ラミネートした。
接着用樹脂組成物用:65mmφ310℃、ダイ幅:500mm
ドローダウン性:50m/分から基材引取速度を徐々に上げ、溶融膜が切れる速度を測定した。結果を表1に示す。
また得られた積層体のAl箔層と接着用樹脂組成物層との界面接着力[Fa]g/15mm幅を、剥離速度300mm/分でT型剥離して求めた。
結果を表1に示す。
【0032】
(比較例2)
実施例1で用いたLLDPE−1の代わりに直鎖状低密度ポリエチレンLLDPE−2(MFR2=0.5g/分、密度0.918g/cm3)を用いて表1に示すような割合で混合した以外は、実施例1と同様に行った。
【0033】
【表1】
Claims (1)
- (A)メルトフローレート:0.1〜15g/10分、
密度:0.850〜0.900g/cm3、
エチレン含有量:30〜95モル%、
X線による結晶化度:40%以下、
であるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体…5〜30重量%、
(B)粘着付与剤…1〜20重量%、
(C)グラフト量:0.01〜10重量%、
密度:0.850〜0.980g/cm3、
である不飽和カルボン酸またはその誘導体でグラフト変性された変性ポリエチレン…1〜20重量%、
(D)メルトフローレート:0.1〜50g/10分、
密度:0.905〜0.940g/cm3、
である高圧法低密度ポリエチレン…1〜25重量%、
(E)メルトフローレート:1〜50g/10分、
密度:0.900〜0.940g/cm3
である直鎖状低密度ポリエチレン…5〜92重量%
からなることを特徴とする接着用変性ポリオレフィン組成物。
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