以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。先ず、本発明に係る画像処理方法で生成された画像データを出力する画像形成装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の機構部の全体構成を説明する側面説明図、図2は同機構部の平面説明図である。
この画像形成装置は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材であるガイドロッド1とガイドレール2とでキャリッジ3を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータ4で駆動プーリ6Aと従動プーリ6Bとの間に張架したタイミングベルト5を介して図2で矢示方向(主走査方向)に移動走査する。
このキャリッジ3には、例えば、それぞれカラー記録液であるイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)のインクの液滴、黒色記録液であるブラック(K)のインクの液滴を吐出する液体吐出ヘッドからなる4個の記録ヘッド7y、7c、7m、7k(色を区別しないときは「記録ヘッド7」という。)を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド7を構成する液体吐出ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。
また、各色毎に独立したヘッド構成に限るものではなく、複数の色の液滴を吐出する複数のノズルで構成されるノズル列を有する1又は複数の液体吐出ヘッドで構成することもできる。また、KCMYの4色にレッド(R)、ブルー(B)を加えた6色インクを用いるヘッド構成、KCMYの4色にライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)を加えた6色インクを用いるヘッド構成、KCMYの4色にライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)、レッド(R)を加えた7色インクを用いるヘッド構成、KCMYの4色にライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)、ダークイエロー(DY)を加えた7色インクを用いるヘッド構成などを採用することもできる。
また、キャリッジ3には、記録ヘッド7に各色のインクを供給するための各色のサブタンク8を搭載している。このサブタンク8にはインク供給チューブ9を介して図示しないメインタンク(インクカートリッジ)からインクが補充供給される。
一方、給紙カセット10などの用紙積載部(圧板)11上に積載した用紙12を給紙するための給紙部として、用紙積載部11から用紙12を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙ローラ)13及び給紙ローラ13に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド14を備え、この分離パッド14は給紙ローラ13側に付勢されている。
そして、この給紙部から給紙された用紙12を記録ヘッド7の下方側で搬送するため、用紙12を静電吸着して搬送するための搬送ベルト21と、給紙部からガイド15を介して送られる用紙12を搬送ベルト21との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ22と、略鉛直上方に送られる用紙12を略90°方向転換させて搬送ベルト21上に倣わせるための搬送ガイド23と、押さえ部材24で搬送ベルト21側に付勢された押さえコロ25とを備えている。また、搬送ベルト21表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ26を備えている。
ここで、搬送ベルト21は、無端状ベルトであり、搬送ローラ27とテンションローラ28との間に掛け渡されて、副走査モータ31からタイミングベルト32及びタイミングローラ33を介して搬送ローラ27が回転されることで、図2のベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。なお、搬送ベルト21の裏面側には記録ヘッド7による画像形成領域に対応してガイド部材29を配置している。また、帯電ローラ26は、搬送ベルト21の表層に接触し、搬送ベルト21の回動に従動して回転するように配置されている。
また、図2に示すように、搬送ローラ27の軸には、スリット円板34を取り付け、このスリット円板34のスリットを検知するセンサ35を設けて、これらのスリット円板34及びセンサ35によってロータリエンコーダ36を構成している。
さらに、記録ヘッド7で記録された用紙12を排紙するための排紙部として、搬送ベルト21から用紙12を分離するための分離爪51と、排紙ローラ52及び排紙コロ53と、排紙される用紙12をストックする排紙トレイ54とを備えている。
また、背部には両面給紙ユニット55が着脱自在に装着されている。この両面給紙ユニット55は搬送ベルト21の逆方向回転で戻される用紙12を取り込んで反転させて再度カウンタローラ22と搬送ベルト21との間に給紙する。
さらに、図2に示すように、キャリッジ3の走査方向の一方側の非印字領域には、記録ヘッド7のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構56を配置している。
この維持回復機56は、記録ヘッド7の各ノズル面をキャピングするための各キャップ57と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード58と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け59などを備えている。
このように構成した画像形成装置においては、給紙部から用紙12が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙12はガイド15で案内され、搬送ベルト21とカウンタローラ22との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド23で案内されて押さえコロ25で搬送ベルト21に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、図示しない制御部によってACバイアス供給部から帯電ローラ26に対して正負が交互に繰り返す交番電圧を印加して、搬送ベルト21を交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが交互に所定の幅で繰り返されるパターンで帯電させる。この帯電した搬送ベルト21上に用紙12が給送されると、用紙12が搬送ベルト21に静電力で吸着され、搬送ベルト21の周回移動によって用紙12が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ3を往路及び復路方向に移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド7を駆動することにより、停止している用紙12にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙12を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙12の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙12を排紙トレイ54に排紙する。
また、両面印刷の場合には、表面(最初に印刷する面)の記録が終了したときに、搬送ベルト21を逆回転させることで、記録済みの用紙12を両面給紙ユニット61内に送り込み、用紙12を反転させて(裏面が印刷面となる状態にして)再度カウンタローラ22と搬送ベルト21との間に給紙し、タイミング制御を行って、前述したと同様に搬送ベル21上に搬送して裏面に記録を行った後、排紙トレイ54に排紙する
また、印字(記録)待機中にはキャリッジ3は維持回復機構55側に移動されて、キャップ57で記録ヘッド7のノズル面がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、キャップ57で記録ヘッド7をキャッピングした状態でノズルから記録液を吸引し、増粘した記録液や気泡を排出する回復動作を行い、この回復動作によって記録ヘッド7のノズル面に付着したインクを清掃除去するためにワイパーブレード58でワイピングを行う。また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する空吐出動作を行う。これによって、記録ヘッド7の安定した吐出性能を維持する。
次に、記録ヘッド7を構成している液体吐出ヘッドの一例について図3及び図4を参照して説明する。なお、図3は同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図、図4は同ヘッドの液室短手方向(ノズルの並び方向)の断面説明図である。
この液体吐出ヘッドは、例えば単結晶シリコン基板を異方性エッチングして形成した流路板101と、この流路板101の下面に接合した例えばニッケル電鋳で形成した振動板102と、流路板101の上面に接合したノズル板103とを接合して積層し、これらによって液滴(インク滴)を吐出するノズル104が連通する流路であるノズル連通路105及び圧力発生室である液室106、液室106に流体抵抗部(供給路)107を通じてインクを供給するための共通液室108に連通するインク供給口109などを形成している。
また、振動板102を変形させて液室106内のインクを加圧するための圧力発生手段(アクチュエータ手段)である電気機械変換素子としての2列(図6では1列のみ図示)の積層型圧電素子121と、この圧電素子121を接合固定するベース基板122とを備えている。なお、圧電素子121の間には支柱部123を設けている。この支柱部123は圧電素子部材を分割加工することで圧電素子121と同時に形成した部分であるが、駆動電圧を印加しないので単なる支柱となる。また、圧電素子121には図示しない駆動回路(駆動IC)を搭載したFPCケーブル126を接続している。
そして、振動板102の周縁部をフレーム部材130に接合し、このフレーム部材130には、圧電素子121及びベース基板122などで構成されるアクチュエータユニットを収納する貫通部131及び共通液室108となる凹部、この共通液室108に外部からインクを供給するためのインク供給穴132を形成している。このフレーム部材130は、例えばエポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂或いはポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成している。
ここで、流路板101は、例えば結晶面方位(110)の単結晶シリコン基板を水酸化カリウム水溶液(KOH)などのアルカリ性エッチング液を用いて異方性エッチングすることで、ノズル連通路105、液室106となる凹部や穴部を形成したものであるが、単結晶シリコン基板に限られるものではなく、その他のステンレス基板や感光性樹脂などを用いることもできる。
振動板102は、ニッケルの金属プレートから形成したもので、例えばエレクトロフォーミング法(電鋳法)で作製しているが、この他、金属板や金属と樹脂板との接合部材などを用いることもできる。この振動板102に圧電素子121及び支柱部123を接着剤接合し、更にフレーム部材130を接着剤接合している。
ノズル板103は各液室106に対応して直径10〜30μmのノズル104を形成し、流路板101に接着剤接合している。このノズル板103は、金属部材からなるノズル形成部材の表面に所要の層を介して最表面に撥水層を形成したものである。
圧電素子121は、圧電材料151と内部電極152とを交互に積層した積層型圧電素子(ここではPZT)である。この圧電素子121の交互に異なる端面に引き出された各内部電極152には個別電極153及び共通電極154が接続されている。なお、この実施形態では、圧電素子121の圧電方向としてd33方向の変位を用いて液室106内インクを加圧する構成としているが、圧電素子121の圧電方向としてd31方向の変位を用いて加圧液室106内インクを加圧する構成とすることもできる。また、1つの基板122に1列の圧電素子121が設けられる構造とすることもできる。
このように構成した液体吐出ヘッドヘッドにおいては、例えば圧電素子121に印加する電圧を基準電位から下げることによって圧電素子121が収縮し、振動板102が下降して液室106の容積が膨張することで、液室106内にインクが流入し、その後圧電素子121に印加する電圧を上げて圧電素子121を積層方向に伸長させ、振動板102をノズル104方向に変形させて液室106の容積/体積を収縮させることにより、液室106内の記録液が加圧され、ノズル104から記録液の滴が吐出(噴射)される。
そして、圧電素子121に印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板102が初期位置に復元し、液室106が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室108から液室106内に記録液が充填される。そこで、ノズル104のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行うこともできる。
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図5のブロック図を参照して説明する。
この制御部200は、本発明に係る輪郭部の補正を行う手段(ジャギー補正を行う手段)を兼ねた、この装置全体の制御を司るCPU211と、CPU211が実行する本発明に係るプログラムを含むプログラム、その他の固定データを格納するROM202と、画像データ等を一時格納するRAM203と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ204と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC205とを備えている。
また、この制御部200は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F206と、記録ヘッド7を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動波形を生成する駆動波形生成手段を含む印刷制御部207と、キャリッジ3側に設けた記録ヘッド7を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)208と、主走査モータ4及び副走査モータ31を駆動するためのモータ駆動部210と、帯電ローラ34にACバイアスを供給するACバイアス供給部212と、エンコーダセンサ43、35からの各検出信号、ドット形成位置のズレを来たす要因としての環境温度を検出する温度センサ215などの各種センサからの検出信号を入力するためのI/O213などを備えている。また、この制御部200には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル214が接続されている。
ここで、制御部200は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト側からの画像データ等をケーブル或いはネットを介してI/F206で受信する。
そして、制御部200のCPU201は、I/F206に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC205にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データをヘッド駆動制御部207からヘッドドライバ208に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成は後述するようにホスト側のプリンタドライバで行っている。
印刷制御部207は、上述した画像データをシリアルデータでヘッドドライバ208に転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、滴制御信号(マスク信号)などをヘッドドライバ208に出力する以外にも、ROMに格納されている駆動信号のパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動波形生成部及びヘッドドライバに与える駆動波形選択手段を含み、1の駆動パルス(駆動信号)或いは複数の駆動パルス(駆動信号)で構成される駆動波形を生成してヘッドドライバ208に対して出力する。
ヘッドドライバ208は、シリアルに入力される記録ヘッド7の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部207から与えられる駆動波形を構成する駆動信号を選択的に記録ヘッド7の液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば前述したような圧電素子)に対して印加することで記録ヘッド7を駆動する。このとき、駆動波形を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴(大ドット)、中滴(中ドット)、小滴(小ドット)など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
また、CPU201は、リニアエンコーダを構成するエンコーダセンサ43からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値及び位置検出値と、予め格納した速度・位置プロファイルから得られる速度目標値及び位置目標値とに基づいて主走査モータ4に対する駆動出力値(制御値)を算出してモータ駆動部210を介して主走査モータ4を駆動する。同様に、ロータリエンコーダを構成するエンコーダセンサ35からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値及び位置検出値と、予め格納した速度・位置プロファイルから得られる速度目標値及び位置目標値とに基づいて副走査モータ31対する駆動出力値(制御値)を算出してモータ駆動部210を介しモータドライバを介して副走査モータ31を駆動する。
次に、印刷制御部207及びヘッドドライバ208の一例について図6を参照して説明する。
印刷制御部207は、上述したように、1印刷周期内に複数の駆動パルス(駆動信号)で構成される駆動波形(共通駆動波形)を生成して出力する駆動波形生成部301と、印刷画像に応じた2ビットの画像データ(階調信号0、1)と、クロック信号、ラッチ信号(LAT)、滴制御信号M0〜M3を出力するデータ転送部302とを備えている。
なお、滴制御信号は、ヘッドドライバ208の後述するスイッチ手段であるアナログスイッチ317の開閉を滴毎に指示する2ビットの信号であり、共通駆動波形の印刷周期に合わせて選択すべき波形でHレベル(ON)に状態遷移し、非選択時にはLレベル(OFF)に状態遷移する。
ヘッドドライバ208は、データ転送部302からの転送クロック(シフトクロック)及びシリアル画像データ(階調データ:2ビット/CH)を入力するシフトレジスタ311と、シフトレジスタ311の各レジスト値をラッチ信号によってラッチするためのラッチ回路312と、階調データと制御信号M0〜M3をデコードして結果を出力するデコーダ313と、デコーダ313のロジックレベル電圧信号をアナログスイッチ315が動作可能なレベルへとレベル変換するレベルシフタ314と、レベルシフタ314を介して与えられるデコーダ313の出力でオン/オフ(開閉)されるアナログスイッチ316とを備えている。
このアナログスイッチ316は、各圧電素子121の選択電極(個別電極)154に接続され、駆動波形生成部301からの共通駆動波形が入力されている。したがって、シリアル転送された画像データ(階調データ)と制御信号MN0〜MN3をデコーダ313でデコードした結果に応じてアナログスイッチ316がオンにすることにより、共通駆動波形を構成する所要の駆動信号が通過して(選択されて)圧電素子121に印加される。
次に、駆動波形の一例について図7及び図8を参照して説明する。
駆動波形生成部301からは1印刷周期(1駆動周期)内に、図7に示すように、基準電位Veから立ち下がる波形要素と、立下り後の状態から立ち上がる波形要素などで構成される、8個の駆動パルスP1ないしP8からなる駆動信号(駆動波形)を生成して出力する。一方、データ転送部302からの滴制御信号M0〜M3によって使用する駆動パルスを選択する。
ここで、駆動パルスの電位Vが基準電位Veから立ち下がる波形要素は、これによって圧電素子121が収縮して加圧液室106の容積が膨張する引き込み波形要素である。また、立下り後の状態から立ち上がる波形要素は、これによって圧電素子121が伸長して加圧液室106の容積が収縮する加圧波形要素である。
そして、データ転送部302からの滴制御信号M0〜M3によって、小滴(小ドット)を形成するときには図8(a)に示すように駆動パルスP1を選択し、中滴(中ドット)を形成するときには図8(b)に示すように駆動パルスP4ないしP6を選択し、大滴(大ドット)を形成するときには図8(c)に示すように駆動パルスP2ないしP8を選択し、微駆動の(滴吐出を伴わないでメニスカスを振動させる)ときには図8(d)に示すように微駆動パルスP2を選択して、それぞれ記録ヘッド7の圧電素子121に印加させるようにする。
次に、前述した画像形成装置で使用する顔料系インク(顔料インク)の一例について説明する。
一般的に使用される顔料系インクには、特に限定されるものではないが、例えば以下に挙げる顔料が好適に用いられる。また、これら顔料は複数種類を混合して用いても良い。
有機顔料としては、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリレン系、イソインドレノン系、アニリンブラック、アゾメチン系、ローダミンBレーキ顔料、カーボンブラック等が挙げられる。
無機顔料として酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、紺青、カドミウムレッド、クロムイエロー、金属粉が挙げられる。
これらの顔料の粒子径は0.01〜0.30μmで用いることが好ましく、0.01μm以下では粒子径が染料に近づくため、耐光性、フェザリングが悪化してしまう。また、0.30μm以上では、吐出口の目詰まりやプリンタ内のフィルターでの目詰まりが発生し、吐出安定性を得ることができない。
ブラック顔料インクに使用されるカーボンブラックとしては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックで、一次粒径が、15〜40ミリミクロン、BET法による比表面積が、50〜300平方メートル/g、DBP吸油量が、40〜150ml/100g、揮発分が0.5〜10%、pH値が2〜9を有するものが好ましい。このようなものとしては、例えば、No.2300、No.900、MCF−88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B(以上、三菱化学製)、Raven700、同5750、同5250、同5000、同3500、同1255(以上、コロンビア製)、Regal400R、同330R、同660R、MogulL、Monarch700、同800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、Monarch1400(以上、キャボット製)、カラーブラックFW1、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、同S150、同S160、同S170、プリンテックス35、同U、同V、同140U、同140V、スペシャルブラック6、同5、同4A、同4(以上、デグッサ製)等を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
カラー顔料の具体例を以下に挙げる。
有機顔料としてアゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリレン系、イソインドレノン系、アニリンブラック、アゾメチン系、ローダミンBレーキ顔料、カーボンブラック等が挙げられ、無機顔料として酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、紺青、カドミウムレッド、クロムイエロー、金属粉等が挙げられる。
色別により具体的には以下のものが挙げられる。
イエローインクに使用できる顔料の例としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、同2、同3、同12、同13、同14、同16、同17、同73、同74、同75、同83、同93、同95、同97、同98、同114、同128、同129、同151、同154等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
マゼンタインクに使用できる顔料の例としては、例えば、C.I.ピグメントレッド5、同7、同12、同48(Ca)、同48(Mn)、同57(Ca)、同57:1、同112、同123、同168、同184、同202等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
シアンインクに使用できる顔料の例としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1、同2、同3、同15:3、同15:34、同16、同22、同60、C.I.バットブルー4、同60等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
又、本発明で使用する各インクに含有される顔料は、本発明のために新たに製造されたものでも使用可能である。
以上に挙げた顔料は高分子分散剤や界面活性剤を用いて水性媒体に分散させることでインクジェット用記録液とすることができる。このような有機顔料粉体を分散させるための分散剤としては、通常の水溶性樹脂や水溶性界面活性剤を用いることができる。
水溶性樹脂の具体例としては、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマール酸、フマール酸誘導体等から選ばれた少なくとも2つ以上の単量体からなるブロック共重合体、あるいはランダム共重合体、又はこれらの塩等が挙げられる。これらの水溶性樹脂は、塩基を溶解させた水溶液に可溶なアルカリ可溶型樹脂であり、これらの中でも重量平均分子量3000〜20000のものが、インクジェット用記録液に用いた場合に、分散液の低粘度化が可能であり、かつ分散も容易であるという利点があるので特に好ましい。
高分子分散剤と自己分散型顔料を同時に使うことは、適度なドット径を得られるため好ましい組合せである。その理由は明らかでないが、以下のように考えられる。
つまり、高分子分散剤を含有することで記録紙への浸透が抑制される。その一方で、高分子分散剤を含有することで自己分散型顔料の凝集が抑えられるため、自己分散型顔料が横方向にスムーズに拡がることができる。そのため、広く薄くドットが拡がり、理想的なドットが形成できると考えられる。
また、分散剤として使用できる水溶性界面活性剤の具体例としては、下記のものが挙げられる。例えば、アニオン性界面活性剤としては、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルアリル及びアルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩等が挙げられる。又、カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、テトラアルキルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。更に両性界面活性剤としては、ジメチルアルキルラウリルベタイン、アルキルグリシン、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。又、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。
また、顔料は親水性基を有する樹脂によって被覆し、マイクロカプセル化することで、分散性を与えることもできる。
水不溶性の顔料を有機高分子類で被覆してマイクロカプセル化する方法としては、従来公知のすべての方法を用いることが可能である。従来公知の方法として、化学的製法、物理的製法、物理化学的方法、機械的製法などが挙げられる。具体的には、次のような製法がある。
・界面重合法(2種のモノマーもしくは2種の反応物を、分散相と連続相に別々に溶解しておき、両者の界面において両物質を反応させて壁膜を形成させる方法);
・in−situ重合法(液体または気体のモノマーと触媒、もしくは反応性の物質2種を連続相核粒子側のどちらか一方から供給して反応を起こさせ壁膜を形成させる方法);
・液中硬化被膜法(芯物質粒子を含む高分子溶液の滴を硬化剤などにより、液中で不溶化して壁膜を形成する方法);
・コアセルベーション(相分離)法(芯物質粒子を分散している高分子分散液を、高分子濃度の高いコアセルベート(濃厚相)と希薄相に分離させ、壁膜を形成させる方法);
・液中乾燥法(芯物質を壁膜物質の溶液に分散した液を調製し、この分散液の連続相が混和しない液中に分散液を入れて、複合エマルションとし、壁膜物質を溶解している媒質を徐々に除くことで壁膜を形成させる方法);
・融解分散冷却法(加熱すると液状に溶融し常温では固化する壁膜物質を利用し、この物質を加熱液化し、その中に芯物質粒子を分散し、それを微細な粒子にして冷却し壁膜を形成させる方法);
・気中懸濁被覆法(粉体の芯物質粒子を流動床によって気中に懸濁し、気流中に浮遊させながら、壁膜物質のコーティング液を噴霧混合させて、壁膜を形成させる方法);
・スプレードライング法(カプセル化原液を噴霧してこれを熱風と接触させ、揮発分を蒸発乾燥させ壁膜を形成させる方法);
・酸析法(アニオン性基を含有する有機高分子化合物類のアニオン性基の少なくとも一部を塩基性化合物で中和することで水に対する溶解性を付与し色材と共に水性媒体中で混練した後、酸性化合物で中性または酸性にし有機化合物類を析出させ色材に固着せしめた後に中和し分散させる方法);
・転相乳化法(水に対して分散能を有するアニオン性有機高分子類と色材とを含有する混合体を有機溶媒相とし、前記有機溶媒相に水を投入するかもしくは、水に前記有機溶媒相を投入する方法)、などが挙げられる。
マイクロカプセルの壁膜物質を構成する材料として使用される有機高分子類(樹脂)としては、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリウレア、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、多糖類、ゼラチン、アラビアゴム、デキストラン、カゼイン、タンパク質、天然ゴム、カルボキシポリメチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリスチレン、(メタ)アクリル酸の重合体または共重合体、(メタ)アクリル酸エステルの重合体または共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アルギン酸ソーダ、脂肪酸、パラフィン、ミツロウ、水ロウ、硬化牛脂、カルナバロウ、アルブミンなどが挙げられる。
これらの中ではカルボン酸基またはスルホン酸基などのアニオン性基を有する有機高分子類を使用することが可能である。また、ノニオン性有機高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートまたはそれらの(共)重合体)、2−オキサゾリンのカチオン開環重合体などが挙げられる。特に、ポリビニルアルコールの完全ケン物は、水溶性が低く、熱水には解け易いが冷水には解けにくいという性質を有しており特に好ましい。
また、マイクロカプセルの壁膜物質を構成する有機高分子類の量は、有機顔料またはカーボンブラックなどの水不溶性の色材に対して1重量%以上20重量%以下である。有機高分子類の量を上記の範囲にすることによって、カプセル中の有機高分子類の含有率が比較的低いために、有機高分子類が顔料表面を被覆することに起因する顔料の発色性の低下を抑制することが可能となる。有機高分子類の量が1重量%未満ではカプセル化の効果を発揮しづらくなり、逆に20重量%を越えると、顔料の発色性の低下が著しくなる。さらに他の特性などを考慮すると有機高分子類の量は水不溶性の色材に対し5〜10重量%の範囲が好ましい。
すなわち、色材の一部が実質的に被覆されずに露出しているために発色性の低下を抑制することが可能となり、また、逆に、色材の一部が露出せずに実質的に被覆されているために顔料が被覆されている効果を同時に発揮することが可能となるのである。また、本発明に用いる有機高分子類の数平均分子量としては、カプセル製造面などから、2000以上であることが好ましい。ここで「実質的に露出」とは、例えば、ピンホール、亀裂などの欠陥などに伴う一部の露出ではなく、意図的に露出している状態を意味するものである。
さらに、色材として自己分散性の顔料である有機顔料または自己分散性のカーボンブラックを用いれば、カプセル中の有機高分子類の含有率が比較的低くても、顔料の分散性が向上するために、十分なインクの保存安定性を確保することが可能となるので本発明にはより好ましい。
なお、マイクロカプセル化の方法によって、それに適した有機高分子類を選択することが好ましい。例えば、界面重合法による場合は、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリビニルピロリドン、エポキシ樹脂などが適している。in−situ重合法による場合は、(メタ)アクリル酸エステルの重合体または共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミドなどが適している。液中硬化法による場合は、アルギン酸ソーダ、ポリビニルアルコール、ゼラチン、アルブミン、エポキシ樹脂などが適している。コアセルベーション法による場合は、ゼラチン、セルロース類、カゼインなどが適している。また、微細で、且つ均一なマイクロカプセル化顔料を得るためには、勿論前記以外にも従来公知のカプセル化法すべてを利用することが可能である。
マイクロカプセル化の方法として転相法または酸析法を選択する場合は、マイクロカプセルの壁膜物質を構成する有機高分子類としては、アニオン性有機高分子類を使用する。転相法は、水に対して自己分散能または溶解能を有するアニオン性有機高分子類と、自己分散性有機顔料または自己分散型カーボンブラックなどの色材との複合物または複合体、あるいは自己分散性有機顔料または自己分散型カーボンブラックなどの色材、硬化剤およびアニオン性有機高分子類との混合体を有機溶媒相とし、該有機溶媒相に水を投入するか、あるいは水中に該有機溶媒相を投入して、自己分散(転相乳化)化しながらマイクロカプセル化する方法である。上記転相法において、有機溶媒相中に、記録液用のビヒクルや添加剤を混入させて製造しても何等問題はない。特に、直接記録液用の分散液を製造できることからいえば、記録液の液媒体を混入させる方がより好ましい。
一方、酸析法は、アニオン性基含有有機高分子類のアニオン性基の一部または全部を塩基性化合物で中和し、自己分散性有機顔料または自己分散型カーボンブラックなどの色材と、水性媒体中で混練する工程および酸性化合物でpHを中性または酸性にしてアニオン性基含有有機高分子類を析出させて、顔料に固着する工程とからなる製法によって得られる含水ケーキを、塩基性化合物を用いてアニオン性基の一部または全部を中和することによりマイクロカプセル化する方法である。このようにすることによって、微細で顔料を多く含むアニオン性マイクロカプセル化顔料を含有する水性分散液を製造することができる。
また、上記に挙げたようなマイクロカプセル化の際に用いられる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルキルアルコール類;ベンゾール、トルオール、キシロールなどの芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;クロロホルム、二塩化エチレンなどの塩素化炭化水素類;アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類などが挙げられる。なお、上記の方法により調製したマイクロカプセルを遠心分離または濾過などによりこれらの溶剤中から一度分離して、これを水および必要な溶剤とともに撹拌、再分散を行い、目的とする本発明に用いることができる記録液を得る。以上の如き方法で得られるカプセル化顔料の平均粒径は50nm〜180nmであることが好ましい。
このように樹脂被覆することによって顔料が印刷物にしっかりと付着することにより、印刷物の擦過性を向上させることができる。
本発明の記録液を所望の物性にするため、あるいは乾燥による記録ヘッドのノズルの詰まりを防止するためなどの目的で、色材の他に、水溶性有機溶媒を使用することが好ましい。水溶性有機溶媒には湿潤剤、浸透剤が含まれる。湿潤剤は乾燥による記録ヘッドのノズルの詰まりを防止することを目的に添加される。湿潤剤の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、グリセリン、1,2,6−へキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエ−テル額;N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノ−ル等の含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン等である。これらの溶媒は、水とともに単独もしくは複数混合して用いられる。
また、浸透剤は記録液と被記録材の濡れ性を向上させ、浸透速度を調整する目的で添加される。浸透剤としては、下記一般式(I)〜(IV),(A)で表されるものが好ましい。すなわち、下記式(I)のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系界面活性剤、式(II)のアセチレングリコール系界面活性剤、下記式(III)のポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤、式(IV)のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル系界面活性剤、(A)のフッ素系界面活性剤は、液の表面張力を低下させることができるので、濡れ性を向上させ、浸透速度を高めることができる。
(Rは分岐していても良い炭素数6〜14の炭化水素鎖、kは5〜20)
(Rは分岐していても良い炭素数6〜14の炭化水素鎖、nは5〜20)
(Rは炭素数6〜14の炭化水素鎖、m、nは20以下の数)
(mは、0〜10の整数、nは、1〜40の整数を表す)。
前記式(I)〜(IV)、(A)の化合物以外では、例えばジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体等のノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、エタノール、2−プロパノール等の低級アルコール類を用いることができるが、特にフッ素系界面活性剤が好ましい。
フッ素系界面活性剤の例としては、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物等が挙げられ、前記一般式(A)で示した構造のものが特に信頼性の観点からも特に好ましい。さらにフッ素系化合物として市販されているものを挙げると、サーフロンS−111,S−112,S−113,S121,S131,S132,S−141,S−145(旭硝子社製)、フルラードFC−93,FC−95,FC−98,FC−129,FC−135,FC−170C,FC−430,FC−431、FC−4430(住友スリーエム社製),メガファックF−470、F−1405、F−474(大日本インク化学工業社製)、ゾニールFS−300、FSN、FSN−100、FSO(デュポン社製)、エフトップEF−351,352,801,802(ジェムコ社製)等が簡単に入手でき本発明に用いることができる。この中でも,特に信頼性と発色向上に関して良好なゾニールFS−300,FSN,FSN−100,FSO(デュポン社製)が好適に使用できる。
また、本発明に係る画像形成方法などで使用する記録液(インク)の表面張力は、35mN/m以下であることがさらに好ましい。
また、本発明に係る画像形成方法などで使用する記録液(インク)の粘度は、1.0〜20.0cPであることが好ましく、吐出安定性の観点からは3.0〜10.0cPであることがさらに好ましい。
また、本発明に係る画像形成方法などで使用する記録液(インク)のpHは、3〜11であることが好ましく、接液する金属部材の腐食防止の観点からは6〜10であることがさらに好ましい。
また、記録液には防腐防黴剤を含有することができる。防腐防黴剤を含有することによって、菌の繁殖を抑えることができ、保存安定性、画質安定性を高めることができる。防腐防黴剤としてはベンゾトリアゾール、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、イソチアゾリン系化合物、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が使用できる。
また、記録液には防錆剤を含有することができる。防錆剤を含有することによって、ヘッド等の接液する金属面に被膜を形成し、腐食を防ぐことができる。防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等が使用できる。
また、記録液には酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤を含有することによって、腐食の原因となるラジカル種が生じた場合にも酸化防止剤がラジカル種を消滅させることで腐食を防止することができる。
酸化防止剤としては、フェノール系化合物類、アミン系化合物類が代表的であるがフェノール系化合物類としては、ハイドロキノン、ガレート等の化合物、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のヒンダードフェノール系化合物が例示され、アミン系化合物類としては、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、N,N’−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニルエチレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、4,4’−テトラメチル−ジアミノジフェニルメタン等が例示される。
また、後者としては、硫黄系化合物類、リン系化合物類が代表的であるが、硫黄系化合物としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルβ,β’−チオジブチレート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイド等が例示され、リン系化合物類としては、トリフェニルフォスファイト、トリオクタデシルフォスファイト、トリデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、ジフェニルイソデシルフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールフォスファイト等が例示される。
また、記録液にはpH調整剤を含有することができる。pH調整剤としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、ジエタノールアミン、トリエタノ−ルアミン等のアミン類、硼酸、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸等を用いることができる。
以下に具体的なインクの例について説明するが、これに限るものではない。
〈ブラックインク〉
キャボット製カーボンブラック分散体(スルホン基付加型自己分散タイプ)を用いて、以下の処方で混合攪拌後、0.8μmポリプロピレンフィルターにて濾過しインクを作製した。
ブラック分散体 40重量部
CAB-O-JET 200(スルホン基付加型 キャボット製)
アクリルシリコン系樹脂エマルジョン 8重量部
ナノクリルSBCX-2821(東洋インキ製)
1,3-ブタンジオール 18重量部
グリセリン 9重量部
2-ピロリドン 2重量部
エチルヘキサンジオール 2重量部
フッ素系界面活性剤FS-300(Du Pont社製) 2重量部
前記一般式(A)m=6〜8 n=26以上
プロキセルLV(アビシア社製) 0.2重量部
イオン交換水 20.8重量部
〈カラーインク〉
特開2001−139849号公報の調製例3を参考に、銅フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散液を追試調製した。
まず始めに、ポリマー溶液の調製として、機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えた1Lフラスコ内を十分に窒素ガスで置き換えした後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー(東亜合成(株)製、商品名:AS−6)4.0g及びメルカプトエタノール0.4gを仕込み、65℃に昇温した。次にスチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー(東亜合成(株)製、商品名:AS−6)36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスジメチルバレロニトリル2.4g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内に、メチルエチルケトン364gを添加し、濃度が50%のポリマー溶液800gを得た。
前述で得られたポリマー溶液28g、銅フタロシアニン顔料26g、1mol/L水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g及びイオン交換水30gを十分に攪拌した。その後、3本ロールミル((株)ノリタケカンパニー製、商品名:NR−84A)を用いて20回混練した。得られたペーストをイオン交換水200gに投入し、十分に攪拌した後、エバポレーターを用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、固形分量が20.0wt%のシアン色のポリマー微粒子分散液160gを得た。
この分散液を用いて以下の処方で混合攪拌後、0.8μmポリプロピレンフィルターにて濾過しインクを作製した。
シアンポリマー微粒子分散体 45重量部
1,3-ブタンジオール 21重量部
グリセリン 8重量部
エチルヘキサンジオール 2重量部
フッ素系界面活性剤FSN-100(Du Pont社製) 1重量部
前記一般式(A)m=1〜9 n=0〜25
プロキセルLV(アビシア社製) 0.5重量部
イオン交換水 23.5重量部
次に、上記の画像形成装置によって印刷画像を出力するための本発明に係る画像形成方法をコンピュータに実行させる本発明に係るプログラムを搭載した画像処理装置及び上記画像形成装置について図9以下を参照して説明する。
この印刷システム(画像形成システム)は、パーソナルコンピュータ(PC)などからなる1又は複数台の画像処理装置400と、インクジェットプリンタ500とが、所定のインターフェイス又はネットワークで接続されて構成されている。
画像処理装置400は、図10に示すように、CPU401と、メモリ手段である各種のROM402やRAM403とが、バスラインで接続されている。このバスラインには、所定のインターフェイスを介して、ハードディスクなどの磁気記憶装置を用いた記憶装置406と、マウスやキーボードなどの入力装置404と、LCDやCRTなどのモニタ405と、図示しないが、光ディスクなどの記憶媒体を読み取る記憶媒体読取装置が接続され、また、インターネットなどのネットワークやUSBなどの外部機器と通信を行なう所定のインターフェイス(外部I/F)407が接続されている。
画像処理装置400の記憶装置406には、本発明に係るプログラムを含む画像処理プログラムが記憶されている。この画像処理プログラムは、記憶媒体から記憶媒体読取装置により読み取って、あるいは、インターネットなどのネットワークからダウンロードするなどして、記憶装置406にインストールしたものである。このインストールにより画像処理装置400は、以下のような画像処理を行なうために動作可能な状態となる。なお、この画像処理プログラムは、所定のOS上で動作するものであってもよい。また、特定のアプリケーションソフトの一部をなすものであってもよい。
ここで、画像処理装置400側のプログラムで本発明に係る画像処理方法を実行する例について図11の機能ブロック図を参照して説明する。
画像処理装置400(PC)側の本発明に係るプログラムであるプリンタドライバ411は、アプリケーションソフトなどから与えられた画像データ410をモニタ表示用の色空間から記録装置(画像形成装置)用の色空間への変換(RGB表色系→CMY表色系)を行なうCMM(Color Management Module)処理部412、CMYの値から黒生成/下色除去を行なうBG/UCR(black generation/ Under Color Removal)処理部413、記録制御信号となるCMYK信号に対し画像形成装置が画像形成できる記録色材の最大総量値に応じてCMYK信号を補正する総量規制部414、記録装置の特性やユーザーの嗜好を反映した入出力補正を行なうγ補正部415、図示しないが画像形成装置の解像度に合わせて拡大処理を行なうズーミング(Zooming)処理、画像データを画像形成装置から噴射するドットのパターン配置に置き換える多値・少値マトリクスを含む中間調処理部(多値・少値マトリクス)416、中間調処理で得られた印刷画像データであるドットパターンデータを各スキャン毎のデータに分割し、更に記録を行なう各ノズル位置に合わせてデータ展開するラスタライジング部417を含み、ラスタライジング部417の出力418をインクジェットプリンタ500に送出する。
このような画像処理のうちの一部をインクジェットプリンタ500側で実行することもできる。この例について図12の機能ブロック図を参照して説明する。
画像処理装置400(PC)側のプリンタドライバ421は、上述したγ補正までの処理を行なって生成した画像データをインクジェットプリンタ500に送出する。
一方、インクジェットプリンタ500のプリンタコントローラ511(制御部200)は、図示しないが画像形成装置の解像度に合わせて拡大処理を行なうズーミング(Zooming)部、画像データを画像形成装置から噴射するドットのパターン配置に置き換える多値・少値マトリクス(ディザマスク)を含む中間調処理部(多値・少値マトリクス)416、中間調処理で得られる印刷画像データのドットパターンデータを各スキャン毎のデータに分割し、更に記録を行なう各ノズル位置に合わせてデータ展開するラスタライジング部417を含み、ラスタライジング部517の出力を印刷制御部207に与える。
本発明に係る画像処理方法は、図11及び図12のいずれの構成であっても好適に適用することができる。ここでは、図11に示す構成のように、インクジェット記録装置側では、装置内に画像の描画又は文字のプリント命令を受けて実際に記録するドットパターンを発生する機能を持たない例で説明する。すなわち、ホストとなる画像処理装置400で実行されるアプリケーションソフトなどからのプリント命令は、画像処理装置400(ホストコンピュータ)内にソフトウェアとして組み込まれたプリンタドライバ411で画像処理されてインクジェットプリンタ500が出力可能な多値のドットパターンのデータ(印刷画像データ)が生成され、それがラスタライズされてインクジェットプリンタ500に転送され,インクジェットプリンタ500が印刷出力される例で説明する。
具体的には、画像処理装置400内では、アプリケーションやオペレーティングシステムからの画像の描画又は文字の記録命令(例えば記録する線の位置と太さと形などを記述したものや、記録する文字の書体と大きさと位置などを記述したもの)は描画データメモリに一時的に保存される。なお、これらの命令は、特定のプリント言語で記述されたものである。
そして、描画データメモリに記憶された命令は、ラスタライザによって解釈され、線の記録命令であれば、指定された位置や太さ等に応じた記録ドットパターンに変換され、また、文字の記録命令であれば画像処理装置(ホストコンピュータ)400内に保存されているフォントアウトラインデータから対応する文字の輪郭情報を呼びだし指定された位置や大きさに応じた記録ドットパターンに変換され、イメージデータであれば、そのまま記録ドットのパターンに変換される。
その後、これらの記録ドットパターン(画像データ410)に対して画像処理を施してラスタデータメモリに記憶する。このとき、画像処理装置400は、直交格子を基本記録位置として、記録ドットパターンのデータにラスタライズする。画像処理としては、上述したように、例えば色を調整するためのカラーマネージメント処理(CMM)やγ補正処理、ディザ法や誤差拡散法などの中間調処理、さらには下地除去処理、インク総量規制処理などがある。そして、ラスタデータメモリに記憶された記録ドットパターンがインタフェースを経由してインクジェット記録装置500へ転送されるものである。
そこで、本発明に係る画像処理方法について説明する。なお、
先ず、黒インク以外の色を用いて黒を再現し、又は黒インクに黒インク以外のカラーインクを混在させて黒を再現する方法について説明する。前述したように、インクジェット記録では、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色、あるいは、より高画質を求めた場合には、フォトインクと呼ばれる濃度の低いインク、例えばフォトシアン(PC)、フォトマゼンタ(PM)などを併用した6〜7色にて色再現が行われる。
黒の再現には基本的に黒インクが使用されるが、シアンドット、マゼンタドット及びイエロードット(これらを「CMYドット」とも表記する。)を組み合わせることによって、擬似的に黒を再現することが可能である。これは、色を重ねる毎に明度、彩度が減少していく減法混色法の特性によるものである。
なお、以下では、CMYドットの組み合わせで(CMYの各インクを使用して)再現した黒を「コンポジットブラック」といい、黒インクのみを使用して再現した黒を「リアルブラック」、黒インクにCMYを加えて4色で再現した黒を「4色混合ブラック」という。また、説明に用いる図では、図13に示すように、CMYのカラーインクはそれぞれ所要の面種で、Kは黒塗りつぶしの面種で、コンポジットブラックは各色のドットを区別するための面種を組み合わせた面種で、4色混合ブラックは黒塗り潰しの外周に拍車状の突起を付記した面種でそれぞれ表記するが、これらの表記はドットの形状や濃度を示しているものではない。
コンポジットブラックは、図14に示すように、CMYの各ドットを合成することで形成されるものであるが、CMYの各ドットの重なり具合によって、青みがかった黒や赤みがかった黒などに変化することになる。これは、CMYの3色のドットの重複によって発生するコンポジットブラックドット(以下、このドットを「3Kドット」と称する。)が、色再現上好ましくない濁りとして画質に悪影響を及ぼす、あるいは、単独のCMYのドットよりも目につきやすい3Kドット(黒ドットを含む)が混じることによって粒状性が低下するのを防ぐ目的で、意図的にドット配置をずらしていることによる。
具体的には、図15に示すように、CMY各色の中間調処理において、3Kドットが発生しにくいようにドット配置パターンが調整される。なお、図15では、単一のドット発生パターン(Bayer型のディザ処理)を色毎に適用する座標を変えることで、低階調レベルにおけるドットの重複を極力回避している。この他、発生パターンを回転させる、全く異なる発生パターンを適用するといった方法も良く利用されている。
また、誤差拡散処理の場合、たった一画素の違いでも発生するドット配置パターンは全く異なってくるため、乱数ノイズ重畳等の処理を加えることで、3Kドットの発生をある程度抑制することが可能となる。
さらに、前述したCMMやγ補正によって、たとえ「R=G=B」という入力データであっても、必ずしも「C=M=Y」という変換データになるとは限らないため、実際に発生する単位面積当たりのドット数が色毎に異なることもあり、このドット数の不均衡もグレーバランスが変動し画像品質を低下させる一因となっている。
また、モノクロ画像のようにグレーバランスの変動が許容されない場合は、通常リアルブラックのみによって階調が再現される。この場合、カラーの記録ヘッドのノズルにおいては、ノズル付近のインクの乾燥が進み、目詰まりが発生しやすくなる。この目詰まりを防ぐため頻繁にメンテナンスを行う必要があり、メンテナンス動作により記録速度への影響が、また、メンテナンスによるインク消費により記録コストへの影響が大きくなっている。
そこで、本発明に係る画像処理方法では、入力された画像が黒色のとき、黒インクで画像を形成させるとともに、当該画像にカラーインクを使用させる画像データを生成するようにしている。つまり、図16に示すように、入力された画像が黒色のとき、黒インクで画像を形成させるとともに、これに少なくとも1つのカラーインクを使用することで、カラーの記録ヘッドのノズルの目詰まりを防止する。この図16の例では、CMYのすべてを使用することによってコンポジットブラックとすることでカラーインクを使用した場合の黒ドットの色づきを抑えるようにしている。
この場合、黒画像形成にKインクと少なくとも1色のカラーインクを含めた2色以上を使用し、単位面積当たりのKインク使用量を、Kインク単色を使用し同濃度の画像を記録する場合の20〜100%の量とし、単位面積当たりのK以外の各色のインク使用量をKインク単色を使用し同濃度の画像を記録する場合の5〜35%の量とし、かつ、Kインク及びカラーインクのドットを同じ位置に形成する。Kインク及びカラーインクの使用量をこのような量的範囲とすることによって、黒画像の色づきを抑えることができる。
また、黒画像形成にKインクと少なくとも1色のカラーインクを含めた2色以上を使用し、単位面積当たりの総インク量をKインク単色を使用し同濃度を画像を記録する場合の80〜130%の量とし、かつ、Kインク及びカラーインクのドットを同じ位置に形成する。Kインク及びカラーインクの量をこのような量的範囲に規定することによって、黒画像の色づきを抑えることができる。
また、黒画像形成にKインクと少なくとも1色のカラーインクを含めた2色以上を使用し、Kインク単色を使用し同濃度の画像を記録する場合との濃度の誤差は±10%であり、かつ、Kインク及びカラーインクのドットを同じ位置に形成する。Kインク及びカラーインクによって形成する場合の濃度をこのような誤差範囲に規定することによって、黒画像の色づきを抑えることができる。
さらに、これらに加えて、90%以上の階調にてK以外の色のドットをKドットが配置される位置の1/2以上にドットを配置するようにすることができる。
これらの一例について図17を参照して説明する。
この図17においては、同図(a)は100%黒の例、同図(b)は75%黒の例、同図(c)は50%黒の例を示している。
ここで、リアルブラック時には、100%黒の例ではすべてにドットが配置されインク使用量は最大Kmaxとなり、75%黒の例では3/4にドットが配置されインク使用量は最大Kmax・3/4となり、50%黒の例では1/2にドットが配置されインク使用量は最大Kmax・1/2となる。
これに対して、4色混合ブラック時には、ドット配置はリアルブラックの場合と同じであるが、100%黒の例ではCMYのインク使用量をKmax・15%とし、Kのインク使用量をKmax・90%とし、全体でのインク使用量をKmax・135%としている。同様に、75%黒の例ではCMYのインク使用量をKmax・10%とし、Kのインク使用量をKmax・80%とし、全体でのインク使用量をKmax・115%としている。50%黒の例ではCMYのインク使用量をKmax・10%とし、Kのインク使用量をKmax・70%とし、全体でのインク使用量をKmax・100%としている。
この例においては、CMYKが重なったドットのみで形成されているため、表現される黒は、コンポジットブラックドットの色相に常に固定され、グレーバランスが階調レベル毎に変動することはなくなる。カラー画像中の黒画像の場合、上述したように、実際には、CMMやγ補正を通ったデータであるため、CMYKが重なったドットにならずに、CMYKの1次色ドット、あるいはRGBの2次色ドットになったものが混入する場合もあるが、元々が「R=G=B」のデータであるため、混入比率は非常に小さく、黒の色相を左右するまでには至らない。
このように、黒を再現する場合、黒インクと黒インク以外の色を混在させ、被記録媒体に画像を形成するとき、黒画像形成にKインクを含めた2色以上を使用し、単位面積当たりのKインク使用量を、Kインク単色を使用し同濃度を記録する場合の20〜100%の量とし、単位面積当たりのK以外の各色のインク使用量をKインク単色を使用し同濃度を記録する場合の5〜35%の量とし、かつ、Kを含む各色のドットを同じ位置に形成する構成、または、黒画像形成にKインクを含めた2色以上を使用し、単位面積当たりの総インク量をKインク単色を使用し同濃度を記録する場合の80〜130%の量とし、かつ、Kを含む各色のドットを同じ位置に形成する構成、または、黒画像形成にKインクを含めた2色以上を使用し、Kインク単色を使用し同濃度を記録する場合の濃度の誤差は±10%であること、かつ、Kを含む各色のドットを同じ位置に形成する構成(このような画像データを生成する構成)とすることによって、ドット分布ズレに起因する色ムラの発生を低減することができて、黒インクのみで黒を再現する場合のインク使用量の130%かそれ以下のインク使用量で、色調の均一な黒の再現が可能となるとともに、黒画像形成時にカラーインクも併せて使用することによって、カラーインクについては実質的に空吐出を行ったのと同じ効果が得られ、カラーインク用ノズルの目詰まりなどを防止できる。
また、黒インクと黒インク以外のインク(カラーインク)のインク付着量(使用量)の取り方に応じて、インク付着量(使用量)を黒インク単色の場合と同等にすることができ、この場合には、インクのコストを増加することなく、目詰まりなどを防止できる。
本発明における画像処理方法では、黒画像比率の違いによりドットの配置方法を変えることが好ましい。例えば、図18に示すように、全画像に占める黒画像の比率はカラー文字モード(カラー画像・モノクロ画像が常に存在するード)、モノクロ写真モード、カラー写真モードによって異なる。つまり、カラー文字モード(カラー文字を含むモード)では、平均階調70%、カラー画像比率20%、黒画像比率80%であるのに対し、モノクロ写真モードでは、平均階調50%、カラー画像比率0%、黒画像比率100%となり、カラー写真モードでは、平均階調50%、カラー画像比率70%、黒画像比率30%となる。
そこで、このような各モードにおける黒画像比率などに対応して図19に示すようにドット配置方法(ここではドット数)を異ならせる。この図19においては、同図(a)はカラー文字モード(階調25%)の例、同図(b)はモノクロ写真モード(階調25%)の例、同図(c)はカラー写真モード(階調25%)の例を示している。
この場合、リアルブラック時には、カラー文字モード、モノクロ写真モード、カラー写真モードのいずれの場合も4ドットが配置されインク使用量はKmax・1/4となる。
一方、4色混合ブラック時には、カラー文字モードでは、CMYについて3ドットを配置しCMYのインク使用量をKmax・1/4・7.5%とし、Kについて4ドットを配置しKインク使用量をKmax・1/4点65%とし、全体でのインク使用量をKmax・1/4・87.5%としている。
これに対して、モノクロ写真モードでは、CMYについても4ドットを配置しCMYのインク使用量をKmax・1/4・10%とし、Kについて4ドットを配置しKインク使用量をKmax・1/4点60%とし、全体でのインク使用量をKmax・1/4・90%としている。つまり、カラー文字モードに比べて黒画像比率が高い(100%になる)全面が黒画像のモノクロ写真モードでは、カラーインクが使用されないことになってカラー用記録ヘッドの目詰まりが生じ易くなるので、相対的にカラードットの使用比率を増やすことで、カラー用記録ヘッドのノズルの乾燥を防止することが可能となる。
また、カラー写真モードでは、CMYについては2ドットを配置しCMYのインク使用量をKmax・1/4・5%とし、Kについて4ドットを配置しKインク使用量をKmax・1/4点70%とし、全体でのインク使用量をKmax・1/4・85%としている。つまり、カラー文字モードに比べて黒画像比率が低く、カラー画像比率が高くなるカラー写真モードでは、黒色インクの使用率が低下することになって黒色用記録ヘッドの目詰まりが生じ易くなるので、黒色ノズルの使用量を増やすことで、黒色用記録ヘッドのノズルの乾燥を防止することが可能となる。
このように、画像の種類によって本発明によって得られる効果が異なることから、印字モード毎に各色のインク使用量、ドット形成位置のいずれか或いは両方を切り替える、また、入力された画像データのオブジェクトに応じて各色のインク使用量、ドット形成位置のいずれか或いは両方を切り替える、また、90%以上の階調にてK以外の色のドットをKのドットが配置される位置の1/2以上にドットを配置することによって、常にノズルの目詰まりを防止できるようになる。
また、黒画像使用比率に応じて各色のインク使用量、ドット形成位置のいずれか或いは両方を切り替えることによっても、常にノズルの目詰まりを防止できるようになる。
また、前述したように、画像データは、CMM処理部、γ補正部、中間調処理部にて色毎での処理をされるが、本発明において、黒画像の品質は、CMYのドット配置方法に依存しないので、K以外の色のドットの配置位置、ドットのサイズを同一とする処理、また、各色で同一のディザマスク(ディザマトリクスと同義)を使用してドットを配置する処理を行うことで、ノズルの乾燥を防止しながら、データ処理の負荷を軽減することができる。
また、各色のドット形成位置を同じにすることが好ましくない結果を生じる場合がある。例えば、白地に近いハイライトの階調では、黒とカラーの混合ドットは非常に目立ちやすく、粒状感を悪化させる要因となる。そのため、写真画像において、極めて白地に近い階調レベルにおいてはドット位置を同じにする処理を行わない方が、粒状感を良好とすることができる。カラー写真などの記録において黒の色調の均一性よりも粒状感が重要となる場合においては、外部からの指示に応じて黒を再現するときに各色のドット形成位置を同じくするか否かを切替えられるようにすることで、ノズルの乾燥を防止しながら、良好な画像を得ることが可能となる。
次に、本発明における画像処理方法の流れについて従来技術との対比で図20ないし図22を参照して説明する。
先ず、従来技術の画像処理の流れを示す図20を参照して、CMYKの各ドット形成位置を同じにする処理を行わない場合について説明する。この場合には、入力データに対してCMM処理等を施してシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)に変換し、C、M、Y、Kそれぞれについてγ補正を行い、C、M、Y、Kそれぞれについて中間調処理を行った後、出力データを出力する。このため、C、M、Y、Kそれぞれ別の中間調処理をする必要があり、メモリの負荷、データ処理の負荷が高くなる。
次に、本発明における画像処理の流れの一例について図21を参照して、中間調処理にディザ法を使用し、各色のドット形成位置を同じにする処理を行う場合について説明する。ディザ法では、閾値マトリクスで規定された配置でドットが再現されるため、CMYKに共通のディザマスクを使用することで、各ドット形成位置を同じにすることができて、自動的に4色混合ブラックのドット(CMYKが重なったドット)が生成されることになる。つまり、この場合には、入力データに対してCMM処理等を施してシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)に変換し、C、M、Y、Kそれぞれについてγ補正を行った後、C、M、Y、Kに共通のディザマトリクスを使用した中間調処理を行った後、出力データを出力する。
次に、本発明における画像処理の流れの他の例について図22を参照して、中間調処理に誤差拡散法を使用し、各色のドット形成位置を同じにする処理について説明する。誤差拡散の場合、たった一画素分のノイズが混じるだけで、形成されるドット配置パターンが異なるものになってしまう。そこで、この場合には、例えば、マゼンタ(M)のデータを代表値として処理し、それをシアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)にコピーすることで、ドット位置の整合をとっている。また、ブラックに関しては、別の処理にて形成したドット配置パターンを上記のマゼンタのデータで処理されたブラックドット配置パターンに合成することで、カラーに対して比率を高くしている。この図22の処理は誤差拡散法だけでなく、上述したディザ法の場合に適用することもできる。
つまり、この場合には、入力データに対してCMM処理を施してマゼンタ(M)に変換して(C、Yは省略)、Mについてγ補正を行い、Mについて中間調処理を行った後、各色にコピーしてC、M、Y、Kのデータを生成し、KについてKγ補正部によってγ補正を行い、Kについて中間調処理部によって中間調処理を行った後、上記のMについて処理されKデータとしてコピーされたKのデータと合成する。こうして生成されたC、M、Y、Kのデータを出力する。
次に、上述した本発明に係る画像処理について図23のフロー図を参照して説明する。
まず、入力画像のデータについて、入力がR=G=Bか否かを判別し、入力がR=G=Bでなければ(カラーであれば)第1中間調処理(中間調処理1と表記)を行う。この中間調処理1は、前述した図20で説明した処理と同様に、CMYKの各色を別々の中間調処理で処理する。
これに対して、入力画像がモノクロ画像、或いはカラー画像においてR=G=Bの黒画像であれば、第2中間調処理(中間調処理2と表記)を行う。この第2中間調処理は、前述した図21又は図22で説明したのと同様に、4色混合ドットを形成するための中間調処理である。
具体的には、入力がモノクロ画像、或いはカラー画像においてR=G=Bの黒画像であれば、文字画像か否かを判別し、文字画像でなければ切替えレベルKL=V1とし、文字画像であれば、写真画像が否かを判別し、写真画像でなければ切替えレベルK=V2とし、写真画像であれば切替えレベルLK=V3とした後、CMM処理、γ補正処理を行う。なお、切替えレベルKLは、定数であって、黒画像使用比率での判定結果に相当する(各画像種類毎に独立しているレベルである。)。この切替えレベルKLを用いて各色のインク使用量、ドット形成位置の少なくともいずれかの切り替えを行う。
そして、入力値(RGB)がLKより大きい(RGB>LK)か否かを判別して、(RGB>LK)であれば第2中間調処理を行い、(RGB>LK)でなければ第1中間調処理を行って、出力する。
なお、C、M、Y、Kインクがすべて顔料系インクである組合せ、黒インクが顔料インク、CMYの各インクが染料インクである組合せ、或いは黒インクが普通紙用に調製された顔料インク、CMYの各インクが専用紙(光沢紙含む)用に調製されたインクである組合せなど、いずれの場合でも同様の効果を得られる。
また、本発明に係る画像処理方法は、前述したように、インクの組成と特定の用紙の組合せにて条件を切替えることがより効果的であるので、事前にこの組合せが判明している場合、あるいは、画像形成装置に搭載されている用紙の種類を判別する用紙種別判別手段によって、本発明による画像処理を適用することが有効であると判別された場合に、自動的に切替えを行うことができる。つまり、被記録媒体の種類及び記録方法に応じて決定される記録モードに連動して、黒を再現するときに、最適な画像処理が適用されることになり、また、ユーザーがわざわざ選択する手間を省くことができる。
また、ユーザーの好みは千差万別であり、ユーザーによっては本発明による画像処理ではなく、通常のコンポジットブラックを望む場合も存在する。そこで、本発明による画像処理を強制的に自動実行するだけでなく、ユーザーの指定によってON/OFFを切り替えられるようにする手段をも設けることによって、幅広いニーズに対応することが可能となる。
このユーザーの指定によってON/OFFを切り替えられるようにする手段、つまり外部からの指示に応じて本発明に係る画像処理を行うか否かを切り替える手段は、画像形成装置側であれば、例えば前述した操作部に設けることができ、ホスト側(情報処理装置ないし画像処理装置側)であればプリンタドライバによる印刷モードの設定画面でユーザーが選択できるようするなどの構成を採用することで対応することができる。
また、上述した画像処理方法は、例えば前述した、図11に示すように、全てをプログラム(プリンタドライバ)としてコンピュータ上で処理しても良く、また、図12に示すように、一部をプログラム化してコンピュータ上で処理し、残りをハードウェア化して画像形成装置側で処理しても良い。あるいは、全ての処理をハードウェア化して、画像形成装置側で行う構成とすることもできる。
なお、上述した実施形態では、黒画像についてKインクとともにCMYインクを使用する例で説明しているが、使用させるカラーインクは1色でも良い。また、複数の滴サイズの液滴を吐出できる場合には、カラーインクは黒インクに対して常に相対的に小さなサイズの滴(ただし、黒インクが最小サイズの場合には同じ)を吐出させるようにすることでもノズルの目詰まりを防止することができる。
次に、上述した本発明に係る画像処理においてグレーを除く黒文字を再現する場合に、文字の階段状変化部を補正するジャギー補正を行う処理について図24を参照して説明する。
ここでは、黒文字の入力データに対して4色混合ブラックを生成する処理と並行してジャギー補正の処理を行い、各々処理されたデータを合成することで4色混合ブラックにジャギー補正を施したデータを生成する。このようなデータを出力することで、吐出安定性を確保しつつ、文字品位を向上させることができるようになる。
この場合、ジャギー補正パターンは、リアルブラック(Kインクのみ)でドットを形成するようにしても、あるいは、4色混合ブラックでドットを形成するようにしてもよい。また、4色混合ブラックに対するジャギー補正のパターンは単色文字に対するジャギー補正パターンと同一パターンとすることもできるし、4色混合ブラック文字用のジャギー補正パターンを別途備えることもできる。単色文字と4色混合ブラック文字とでジャギー補正パターンを使い分けることで、単色文字のパターンの輪郭が強調される、輪郭と文字部の色に差が生じることを抑制することができる。
次に、4色混合ブラック文字を太らせる太字化処理について図25を参照して説明する。
上述した4色混合ブラックにジャギー補正を施す処理のジャギー補正パターン部を太らせパターン(太字化パターン)とすることで、4色混合ブラック文字に太字化処理を施したデータを生成する。太字化処理を施すことで、Kインク単色に比較して濃度が低下していても文字視認性を向上することができる。
この場合、太らせパターンは、リアルブラック(Kインクのみ)でドットを形成するようにしても、あるいは、4色混合ブラックでドットを形成するようにしてもよい。また、4色混合ブラックに対する太らせパターンは単色文字に対する太らせパターンと同一パターンとすることもできるし、4色混合ブラック文字用の太らせパターンを別途備えることもできる。
また、太字化処理を行うか否か(ON/OFF)の切替えを外部からユーザーが設定ないし指示できるようにすることもできる。また、太字化処理を行うか否か(ON/OFF)は、文字サイズにより切り替えるようにすることもできる。例えば、文字サイズが6ポイント以下の文字に対しては太字化処理をすることで、インク滲みにより文字視認性が低下してしまうため、太字化処理をしないようにする。この場合、切替えサイズ(閾値となる文字サイズ)をユーザーが設定ないし指示できるようにすることもできる。
次に、4色混合ブラック文字を太らせるとともにジャギー補正をかける太字化ジャギー補正(太らせジャギー補正)を施す処理について図26を参照して説明する。
ここでは、上述した4色混合ブラックにジャギー補正を施す処理のジャギー補正パターンを、文字を太らせてジャギー補正を行う太らせジャギー補正パターンとすることで、4色混合ブラックの文字に太らせジャギー補正処理を施したデータを生成する。太らせジャギー補正を施すことで、文字品位向上及び文字視認性を図ることができる。
この場合、太らせジャギー補正パターンは、リアルブラック(Kインクのみ)でドットを形成するようにしても、あるいは、4色混合ブラックでドットを形成するようにしてもよい。また、4色混合ブラックに対する太らせジャギー補正パターンは単色文字に対する太らせパターンと同一パターンとすることもできるし、4色混合ブラック文字用の太らせジャギー補正パターンを別途備えることもできる。
また、太字化ジャギー補正処理を行うか否か(ON/OFF)の切替えを外部からユーザーが設定ないし指示できるようにすることもできる。また、太字化ジャギー補正処理を行うか否か(ON/OFF)は、文字サイズにより切り替えるようにすることもできる。前述したように、文字サイズが6ポイント以下の文字については、太字化処理をすることで、インク滲みにより文字視認性が低下してしまうため、太字化処理をしないようにする。この場合、切替えサイズをユーザーが設定ないし指示できるようにすることもできる。
そこで、上述したジャギー補正処理、太字化処理、太字化ジャギー補正(太らせジャギー補正)処理を行う場合の画像処理について図27のフロー図を参照して説明する。
先ず、入力データがあるとき、入力データについて前述したように4色混合ブラック文字の画像データを生成する処理を行う。
それとともに、太らせジャギー補正処理を行うか否か(ONになっているかOFFになっているか)を判別する。このとき、太らせジャギー補正処理がOFFであれば、通常のジャギー補正処理を行ってジャギー補正パターンを生成する。これに対して、太らせジャギー補正処理がONであれば、文字サイズが所定サイズ以下(前述したように例えば6ポイント以下)か否かを判別する。そして、文字サイズが所定以下であれば太字化処理を行うことは好ましくないので、通常のジャギー補正処理を行ってジャギー補正パターンを生成する。これに対して、文字サイズが所定サイズを超えていれば、太らせジャギー補正処理を行って太字化処理を伴ったジャギー補正パターンを生成する。
その後、4色混合ブラック文字のパターンと得られたジャギー補正パターンとを合成して(組み合わせて)当該画像の出力データとする。
ここで、上述したようなジャギー補正処理を行う場合のインク使用量について図28を参照して説明する。黒文字をKインク単色で再現する場合に対して、4色混合ブラックではKインクの使用量を落とすことで総インク使用量を同等以下に落とすことができる。つまり、上述したジャギー補正、太字化処理により、インク使用量を増加させることなく、文字品位向上、および、文字視認性向上を実現することができる。
次に、上述したジャギー補正処理、太字化処理、太らせジャギー補正処理の具体的処理について図29以降をも参照して説明する。なお、図29以降で使用するドットの表記には図13で説明した表記を用いないで、単に画像ドット(塗り潰し)と空白ドット(白抜き)で説明する。
ジャギー補正のように、文字を形成するドットの横あるいは下に大滴(あるいは、中滴、小滴)を付加する方法としては、パターンマッチングが高速で処理できるという点で優れている。
図29(a)は、パターンマッチングに用いられるウインドウの例である。ウインドウサイズとしては、横m、縦n(m×n)のサイズである。ここでは、mとnは同じ値であり、図29(b)に示すように、m=3、n=3のウインドウで行った例について説明する。
文字フォントデータは、プリンタドライバソフトで、ビットマップデータに展開される。ビットマップデータはフォントを形成するドットを示したものである。フォントデータとしてのビットマップデータに対して、各ビットを前述のウインドウ単位でパターンマッチングを実施する。
そこで、パターンマッチング処理について太字化処理を一例にして図30を参照して説明する。
先ず、フォントデータの先頭に注目画素をセットする。注目画素を中心に、ウインドウに相当するフォントデータのビットマップデータを取得する。この場合、取得したビットマップデータは3×3の9ドット分のデータである。パターンマッチングにより、取得したデータと、あらかじめ設定していた画像ドットを付加するパターン(以下「参照パターン」という。)のデータとを比較し、マッチした場合に、注目画素を大滴(又は中滴)を示す画像ドットのデータに置換する。
これらの処理は、1画素を1バイトのデータとして扱ってもよいし、1ビットのデータとして扱っても良い。1バイトのデータとして扱う場合は、9ドット分のデータを表すには9バイト必要であるのに対して、1ビットのデータとして扱う場合は、9ドット分のデータを表すには2バイトのデータ量で済むので、1ビットのデータとして扱ったほうが、処理するデータ数が小さく、メモリの節約、処理速度の向上が図れるため、好ましい。
このパターンマッチングの例について図31及び図32を参照して具体的に説明する。
図31(a)〜(c)は参照パターンの一例を示している。この参照パターンを用いて図32(a)に示すフォントデータとパターンマッチングを行った場合、図32(a)に示すように、フォントデータの画素位置(ドット位置)D45を注目画素としたときのウインドウWに含まれるドットの状態は、図31(c)の参照パターンと一致することになるので、注目画素D45が図32(b)に示すように空白データから画像ドットのデータに置換される。
同様に、ウインドウWが1つ右に移動して、注目画素がD46となった場合、図31(b)の参照パターンと一致するので、注目画素D46が空白のデータから画像ドットデータに置換され、更にウインドウWが1つ右に移動して、注目画素がD47となった場合、図31(a)の参照パターンと一致するので、注目画素D47が空白のデータから画像ドットデータに置換される。
画像ドットデータの生成において、画像ドットを示すデータは、元のフォントデータがビットマップデータのように0(空白)と255(印字データ)で表されるときには、空白データを示す「0」を画像ドットデータを示す「255」に変更する。また、0(空白)、1(印字データ)のように2値で表されるときには、空白データを示す「0」を印字データを示す「1」に変更する。
パターンマッチングにより生成した大滴を示すデータで構成されたフォントデータ(前者の場合)、あるいは小滴用2値(0、1)データと元の2値(0、1)フォントデータ(後者の場合)に応じて、大滴(又は中、小滴)を印字することにより、文字の太文字化を実現することができる。
なお、上記の具体例では、副走査方向に大滴のドットを付加する例で説明しているが、副走査方向には中滴(又は小滴)のドットを付加し、主走査方向には大滴のドットを付加する場合には、参照パターンとして副走査方向用と主走査方向用をそれぞれ別個に作成して、同様にパターンマッチングを行うことによって、主走査方向と副走査方向で、大きさの異なる種類の画像ドットを付加する(置換する)ことができる。
次に、太字化処理(太らせ処理)をジャギー補正によって行う方法について説明する。
文字を形成するドットの横あるいは下に、小滴、又は中滴、若しくは大滴を付加する方法としては、上述したように、パターンマッチングが高速で処理できる。ウインドウサイズとしては、上述したように、横m、縦n(m×n)のサイズであるが、ここでは、主走査方向に平行な線に近い斜線ではジャギー補正を行い、副走査方向に平行な線に近い斜線ではジャギー補正を行わないので、mとnは異なった値となる。すなわち、横線に近い斜線の階段状変化点及びその近傍の空白ドットが検出できるようにmは大きく、逆に、縦線に近い斜線の階段状変化点近傍は検出する必要がないため、nは小さな値となる。ここでは、m=9、n=3のウインドウを用いて行う。
この場合の処理について図33を参照して説明すると、注目画素が空白データであるときには、注目画素を中心に、ウインドウに相当するフォントデータのビットマップデータを取得する。したがって、取得したビットマップデータは、9×3の27ドット分のデータである。パターンマッチングにより、取得したデータと、あらかじめ設定していた小さな滴を付加或いは置換する参照パターンのデータとを比較し、マッチした場合に、注目画素を小さな滴を示すデータに置換する。
これらの処理は、1画素を1バイトのデータとして扱ってもよいし、1ビットのデータとして扱っても良い。1バイトのデータとして扱う場合は、27ドット分のデータを表すには27バイト必要であるのに対して、1ビットのデータとして扱う場合は、27ドット分のデータを表すには4バイトのデータ量で済むので、1ビットのデータとして扱ったほうが、処理するデータ数が小さく、メモリの節約、処理速度の向上が図れるため、好ましい。
この場合のパターンマッチングの例を図34及び図35により具体的に説明する。図34(a)〜(e)の参照パターンを用いて図35に示すパターンとパターンマッチングを行ったとき、図35(a)に示すように、フォントデータのドットD45を注目画素としたとき、両者のドットのパターンは一致するため、図35(b)示すように、注目画素D45の位置が空白のドットから小さな滴の画像ドットに置換される。
この場合も、上述したと同様に、小さな滴データの生成において、小さな滴を示すデータは、元のフォントデータがビットマップデータのように0(空白)と255(印字データ)で表されるとき、あるいは0(空白)、1(印字データ)のように2値で表されるときに、いったん0(空白)、255(印字データ)のように変換したときには、空白データ、フォントを形成するデータそのものを小さな滴を表すデータ(例えばそれぞれ85)に置換してもよい。また、0と1のまま処理するときには、フォントデータと同じサイズの別のメモリ(小さな滴データ用メモリ)設け、その中の小さな滴をつける位置に印字データを表す「1」を生成すればよい。パターンマッチングにより生成した小さな滴、大滴を示すデータで構成されたフォントデータ(前者の場合)、あるいは小さな滴用2値(0、1)データと元の2値(0、1)フォントデータとで(後者の場合)、小さな滴、大滴を印字することにより、太文字化を実現することができる。
このように、9×3のウインドウ及び参照パターンを用いることにより、変化点を中心に前後4ドットの空白(すべてのドットを注目画素とする場合には空白及び画像ドット)に対して小さな滴に置換するかどうかの判別が可能となる。変化点の前後4ドット分に対して実施可能な理由は、例えば図35(a)中のドットDeの位置を注目画素としたときには変化点がウインドウの外になるため、変化点を検出できないためである。これを解消して、ドットDeの位置にも小滴を付加する場合には、ウインドウ及び参照パターンを11×3のサイズにすることにより可能となる。
すなわち、ウインドウのサイズ、参照パターンのサイズを大きくすることにより、水平あるいは垂直に近い斜線の変化点を検出でき、その傾きに応じた小滴を付加することが可能となり、それらの斜線品質をよりいっそう最適にすることができる。つまり、前述したように、ウインドウ及び参照パターンのサイズは上記の例で使用したものに限らず、小さな滴への置換をどこまで実施する必要があるか、処理時間が印字速度に対して間に合うかによって決まる。さらに言うと、このサイズが大きくなるとパターンマッチングするデータが大きくなるため、パターンマッチングに時間を要する。そのため、処理時間からは、そのサイズとしてはできるだけ小さいほうがよい。一方、変化点の前後いくつのドットを小さな滴にすれば良いかは、ジャギー補正による文字品質から決まるので、処理速度と、文字品質から最適なサイズを決定する必要がある。
前述のようなインクを用いた場合、インクの広がりによる隣接ドットとの凹凸の低減から、通常4ドット、好ましくは6ドットの小さな滴付加でも、十分文字品質の向上が図れることがわかり、また、処理速度も、10PPM以上のスループットを達成することができる。したがって、ウインドウのサイズとしては、主走査方向には6ドットが検出できるm≦13、副走査方向にはn=3のサイズが適している。
次に、図36ないし図42を参照して他の太文字化の例について説明する。これらの例は、小さな滴として、小滴と中滴の2種類のサイズの滴を用いて、かつ、付加するドット数を異ならせた例である。
図36に示す例は変化点の前の1ドットの空白部に小滴(D61、D71)を付加した例、図37に示す例は変化点の前の2ドットの空白部に中滴(D61、D71)と小滴(D60、D72)を付加した例、図38に示す例は変化点の前の3ドットの空白部に中滴(D61、D71)と小滴(D60、D59、D72、D73)を付加した例、図39に示す例は変化点の前の4ドットの空白部に中滴(D61、D60、D71、D72)と小滴(D59、D58、D73、D74)を付加した例である。
また、図40ないし図42に示す例は変化点の前の4ドットの空白部に小滴(D61〜D58、D71〜D74)を付加した上で、図40に示す例は変化点の後の1ドットの文字部を中滴(D62、D70)に置換した例、図41に示す例は変化点の後の2ドットの文字部を中滴(D62、D70)と小滴(D63、D69)に置換した例、図42に示す例は変化点の後の3ドットの文字部を中滴(D63、D64、D69、D68)と小滴(D62、D70)に置換した例、図43に示す例は変化点の後の4ドットの文字部を中滴(D64、D65、D68、D67)と小滴(D62、D63、D70、D69)に置換した例である。
これらの各例について、処理速度の点から比較すると、図36の例が最も速く、図37、図38…図43の例の順に遅くなる。これは、1つには、処理方法が、図36ないし図39の例では注目画素が空白の場合のみにパターンマッチングを実行すればよいのに比べ、図40ないし図43の例では、空白の場合及び画像ドットの場合の両方(すなわちすべてのフォントデータ)でパターンマッチングを行う必要があるためである。言い換えれば、空白にのみ小さな滴を付加することにより、高速にジャギーを改善したフォントデータを作成することができる。また、画像ドットのみを小さな滴に置換することにより、高速にジャギーを改善したフォントデータを作成することができるが太字化するときには好ましくない。
2つ目としては、必要な参照パターンの数が、図36、図37、……図43の例の順に多くなるためである。これは、図37の例を実施するには、図36の例の参照パターンにさらに空白2ドット目を判断する参照パターンが必要であり、図40に示す例では、さらに文字を構成するドット1つ目を判断する参照パターンが必要であり、図41に示す例では、さらにドット2つ目を判断するための参照パターンが必要となるためである。このように、図36に示す例から図43に示す例に行くにしたがって、判断するための参照パターンの数が増え、パターンマッチングの回数が増えるためである。
次に、上述した上述したジャギーを持つ文字輪郭部を検出し、ドットを記録するドット位置及びそこに記録すべきドットサイズからなる輪郭補正パターンに従い、検出された文字輪郭部に対するドットの付加又は置き換えを行うことによるジャギー補正処理の課題及びその解決手段について以下に説明する。
つまり、上述したジャギー補正では、グレー文字のような階調を下げ、濃度の薄くなった文字であっても、片面印刷時の濃度用のジャギー補正ドットが合成されることになるので、文字の縁のみ濃度が濃くなり、文字が縁取られたようになり、文字品質が劣化し、読みづらい文字となる。
そこで、ここでは、例えば両面印刷時のインク付着量を落とし濃度が薄くなったグレー文字に対して、最適な濃度のジャギー補正処理を施し、ジャギーの目立たない視認性の高い黒文字やグレー文字という無彩色文字を印刷できるようにする。
先ず、ジャギー補正について前述した方法とは別の方法について図46ないし図49を参照して説明する。
ここでは、図46に示す参照パターンを用いてパターンマッチング行い、参照パターンとマッチングしたときには、中心の空白部の位置の注目画素を、小ドットを生成する所定の階調の画素に置換する。例えば、図46の参照パターンを用いて図47のパターンとパターンマッチングを行った場合、例えばドットD80の画素が注目画素になったときにマッチングすることになるので、ドットD80を図48に示すように、ドットD80を小ドットを生成する所定の階調の画素に置換する。
このように画素を置き換えることによりジャギー補正を行う場合、ジャギー補正用のデータ形式は、各画素を複数ビットで表現し、例えば、図49に示すように、入力階調が1から90階調までは小滴で埋め、91から180階調までは中滴で埋め、181から255階調までは大滴で埋めるような中間調処理を行なっている場合、ジャギー補正で置換する画素は中間調処理にて必ず小ドットとなる値(90階調)の画素とする処理をするようにしている。
これにより、ジャギー補正を行って置換する画素には小ドットが形成されることになる。
次に、無彩色文字(黒又はグレー文字)に対するジャギー補正処理の一例について図50を参照して説明する。
まず、文字に対して、ジャギーを持つ文字輪郭部を検出して、輪郭補正パターンに従ってジャギー補正用画素を付加するジャギー補正を行った文字を作成する。そして、その後に中間調処理を行うことで、黒又はグレー文字にジャギー補正処理を施した文字を形成する。このとき、付加するジャギー補正画素の階調値は、小滴、中滴のドットを付加したい場合は、それぞれ、中間調処理にて指定したドットが発生するような階調値とする。
つまり、ここでは、ジャギー補正用の画素を付加した文字に対して中間調処理を施して無彩色文字を形成する。
次に、無彩色文字に対する文字太らせ処理(太文字化処理)の一例について図51を参照して説明する。
まず、文字に対して、文字輪郭部を検出し、検出された文字輪郭部に対して太らせ用補正画素を付加する太らせ処理を行った文字を作成する。そして、その後に中間調処理を行うことで、グレー文字に太らせ処理を施した文字を形成する。このとき、付加する太らせ用の画素の階調値は、文字と同じ階調とする。もしくは、輪郭部を濃く表現するため、文字の階調値よりも大きな階調値としてもよい。
この場合、文字太らせ処理をユーザーによってON/OFFの切り替えを設定できるようにするともできる。この場合、切り替え方法は、文字サイズにより切り替えるようにすることも可能である。例えば、文字サイズが6ポイント以下の文字に対しては太らせをすることで、インク滲みにより文字視認性が低下してしまうため、文字太らせをしないようにする。このとき、切り替えサイズをユーザーが設定できるようにしておいてもよい。
つまり、ここでは、太らせ補正用の画素を付加した文字に対して中間調処理を施して無彩色文字を形成する。
次に、グレー文字に対する文字輪郭強調処理の一例について図52を参照して説明する。
まず、文字に対して、文字輪郭部を検出し、検出された文字輪郭部に対して文字部よりも大きい階調の画素に置き換えることで文字輪郭部を強調する文字輪郭強調用の画素を付加して文字輪郭強調処理を行った文字を作成する。その後に中間調処理を行うことでグレー文字に太らせ処理を施した文字を形成する。
このとき、上述したように付加する文字輪郭強調用の画素の階調値は輪郭部を濃く表現して強調するため文字の階調値よりも大きな階調値とする。また、文字輪郭強調処理をユーザーがON/OFFの切り替えを設定できるようにすることもできる。この場合、切り替え方法は、文字サイズにより切り替えるようにすることも可能である。例えば、文字サイズが6ポイント以下の文字に対しては文字輪郭強調処理をすることで、インク滲みにより文字視認性が低下してしまうため、文字輪郭強調処理をしないようにする。このとき、切り替えサイズをユーザーが設定できるようにしておいてもよい。
つまり、ここでは、文字輪郭強調用の画素に置き換えた文字に対して中間調処理を施して無彩色文字を形成する。
次に、グレー文字に対する文字太らせジャギー補正処理の一例について図53を参照して説明する。
まず、文字に対して文字太らせ用の画素を付加した文字を作成し、その後、中間調処理を施すことで太らせたグレー文字を形成する。一方、ベタの文字に対してジャギー補正パターンを適用してジャギー補正ドットを形成し、そのジャギー補正ドットを、形成したグレー文字に適用することで、グレー文字に太らせジャギー処理を施した(ジャギー補正ドットを付加した)文字を形成する。
つまり、ここでは、文字輪郭部を検出し、検出された文字輪郭部に対して画素を付加することで文字を太らせる処理を施し、この文字太らせ用の画素を付加した文字に対して中間調処理を施し、その後、ジャギー補正用のドットを付加又は置き換えを行って無彩色文字を形成する。
次に、グレー文字に対する文字太らせジャギー補正処理の他の例について図54を参照して説明する。
まず、文字に対して文字太らせ用の画素を付加し、さらにジャギー補正用の画素を付加して太らせジャギー補正処理を行った文字を作成する。その後に、中間調処理を行うことで黒またはグレー文字に太らせジャギー補正処理を施した文字を形成する。
このとき、文字太らせ処理をユーザーがON/OFFの切り替えを設定できるようにすることもできる。この場合、切り替え方法は、文字サイズにより切り替えるようにすることも可能である。例えば、文字サイズが6ポイント以下の文字に対しては太らせをすることで、インク滲みにより文字視認性が低下してしまうため、文字太らせをしないようにする。このとき、切り替えサイズをユーザーが設定できるようにしておいてもよい。
つまり、ここでは、文字輪郭部を検出し、検出された文字輪郭部に対して画素を付加することで文字を太らせる処理を施し、この文字太らせ用の画素を付加した文字に対してジャギー補正用の画素を付加又は置き換えを行なった後、中間調処理を施して無彩色文字を形成する。
次に、グレー文字に対する文字輪郭強調ジャギー補正処理の一例について図55を参照して説明する。
まず、文字に対して文字輪郭強調用の画素を置き換え所定の係数をかけて両面用に階調値を落とした両面印刷用文字を作成し、その後、中間調処理を施すことで両面印刷用文字を形成する。一方、ベタの文字に対してジャギー補正パターンを適用してジャギー補正ドットを形成し、そのジャギー補正ドットを、形成した両面印刷用文字に適用することで、両面印刷用文字にジャギー補正ドットを付加した文字輪郭強調処理を施した両面印刷用文字を形成する。
つまり、ここでは、文字輪郭部を検出し、検出された文字輪郭部に対して文字部よりも大きい階調の画素に置き換えることで文字輪郭を強調する処理を行い、文字輪郭強調用の画素を付加した文字に対して、中間調処理を施し、その後、ジャギー補正用のドットを付加又は置き換えを行った文字を形成する。
次に、グレー文字に対する文字輪郭強調ジャギー補正処理の他の例について図56を参照して説明する。
まず、文字に対して文字輪郭強調用の画素を付加し、さらにジャギー補正用の画素を付加して文字輪郭強調ジャギー補正処理を行った文字を作成する。その後、中間調処理を行うことで文字輪郭強調ジャギー補正処理を施した文字を形成する。
このとき、文字輪郭強調処理をユーザーがON/OFFの切り替えを設定できるようにすることもできる。この場合、切り替え方法は、文字サイズにより切り替えるようにすることも可能である。例えば、文字サイズが6ポイント以下の文字に対しては文字輪郭強調をすることで、インク滲みにより文字視認性が低下してしまうため、文字太らせをしないようにする。このとき、切り替えサイズをユーザーが設定できるようにしておいてもよい。
つまり、ここでは、文字輪郭部を検出し、検出された文字輪郭部に対して文字部よりも大きい階調の画素に置き換えることで文字輪郭を強調する処理を行い、文字輪郭強調用の画素を付加した文字に対して、ジャギー補正用のドットを付加又は置き換えを行い、その後中間調処理を施して文字を形成する。
上述したジャギー補正、太字化処理、太らせジャギー補正処理、文字輪郭強調処理、文字輪郭強調ジャギー補正処理は、例えば図44に示すように、全てをプログラム(プリンタドライバ)としてコンピュータ上で処理しても良く、また、図45に示すように、ジャギー補正などの一部をプログラム化してコンピュータ上で処理し、残りをハードウェア化して画像形成装置側で処理しても良い。さらに、全ての処理をハードウェア化して、画像形成装置側で行う構成とすることもできる。
なお、上述した画像処理方法をコンピュータに実行させるプログラムは、記憶媒体に記録することによって、容易に大量配布や複製が可能となり、プログラムの保存の点でも、不揮発性の記憶媒体に保存することで長期の保存が可能となる。更に、現在のコンピュータは、フロッピディスクドライブやCD/DVDドライブといった外部記憶媒体読み取り手段を標準若しくはオプションで備えているため、これらの記憶媒体を用いて簡易にコンピュータに導入することが可能となる。さらに、インターネットを用いたダウンロード方法によって画像処理装置側や画像形成装置に提供することもできる。
また、上記実施形態においては、本発明をインクジェット記録装置に適用した例で説明したが、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機などにも適用することができ、また、インク以外の記録液を用いた画像形成装置やこの画像形成装置に印刷データ(画像データ)を与える画像処理装置及びこの画像処理装置に搭載されるプリンタドライバなどのプログラムにも適用することができる。