以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。先ず、本発明に係る画像処理方法で生成された画像データを出力する画像形成装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の機構部の全体構成を説明する側面説明図、図2は同機構部の平面説明図である。
この画像形成装置は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材であるガイドロッド1とガイドレール2とでキャリッジ3を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータ4で駆動プーリ6Aと従動プーリ6Bとの間に張架したタイミングベルト5を介して図2で矢示方向(主走査方向)に移動走査する。
このキャリッジ3には、例えば、それぞれイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)のインク滴を吐出する液体吐出ヘッドからなる4個の記録ヘッド7y、7c、7m、7k(色を区別しないときは「記録ヘッド7」という。)を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド7を構成する液体吐出ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。また、各色毎に独立したヘッド構成に限るものではなく、複数の色の液滴を吐出する複数のノズルで構成されるノズル列を有する1又は複数の液体吐出ヘッドで構成することもできる。
また、キャリッジ3には、記録ヘッド7に各色のインクを供給するための各色のサブタンク8を搭載している。このサブタンク8にはインク供給チューブ9を介して図示しないメインタンク(インクカートリッジ)からインクが補充供給される。
一方、給紙カセット10などの用紙積載部(圧板)11上に積載した用紙12を給紙するための給紙部として、用紙積載部11から用紙12を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙ローラ)13及び給紙ローラ13に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド14を備え、この分離パッド14は給紙ローラ13側に付勢されている。
そして、この給紙部から給紙された用紙12を記録ヘッド7の下方側で搬送するため、用紙12を静電吸着して搬送するための搬送ベルト21と、給紙部からガイド15を介して送られる用紙12を搬送ベルト21との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ22と、略鉛直上方に送られる用紙12を略90°方向転換させて搬送ベルト21上に倣わせるための搬送ガイド23と、押さえ部材24で搬送ベルト21側に付勢された押さえコロ25とを備えている。また、搬送ベルト21表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ26を備えている。
ここで、搬送ベルト21は、無端状ベルトであり、搬送ローラ27とテンションローラ28との間に掛け渡されて、副走査モータ31からタイミングベルト32及びタイミングローラ33を介して搬送ローラ27が回転されることで、図2のベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。なお、搬送ベルト21の裏面側には記録ヘッド7による画像形成領域に対応してガイド部材29を配置している。また、帯電ローラ26は、搬送ベルト21の表層に接触し、搬送ベルト21の回動に従動して回転するように配置されている。
また、図2に示すように、搬送ローラ27の軸には、スリット円板34を取り付け、このスリット円板34のスリットを検知するセンサ35を設けて、これらのスリット円板34及びセンサ35によってロータリエンコーダ36を構成している。
さらに、記録ヘッド7で記録された用紙12を排紙するための排紙部として、搬送ベルト21から用紙12を分離するための分離爪51と、排紙ローラ52及び排紙コロ53と、排紙される用紙12をストックする排紙トレイ54とを備えている。
また、背部には両面給紙ユニット55が着脱自在に装着されている。この両面給紙ユニット55は搬送ベルト21の逆方向回転で戻される用紙12を取り込んで反転させて再度カウンタローラ22と搬送ベルト21との間に給紙する。
さらに、図2に示すように、キャリッジ3の走査方向の一方側の非印字領域には、記録ヘッド7のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構56を配置している。
この維持回復機56は、記録ヘッド7の各ノズル面をキャピングするための各キャップ57と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード58と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行なうときの液滴を受ける空吐出受け59などを備えている。
このように構成した画像形成装置においては、給紙部から用紙12が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙12はガイド15で案内され、搬送ベルト21とカウンタローラ22との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド23で案内されて押さえコロ25で搬送ベルト21に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、図示しない制御部によってACバイアス供給部から帯電ローラ26に対して正負が交互に繰り返す交番電圧を印加して、搬送ベルト21を交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが交互に所定の幅で繰り返されるパターンで帯電させる。この帯電した搬送ベルト21上に用紙12が給送されると、用紙12が搬送ベルト21に静電力で吸着され、搬送ベルト21の周回移動によって用紙12が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ3を往路及び復路方向に移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド7を駆動することにより、停止している用紙12にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙12を所定量搬送後、次の行の記録を行なう。記録終了信号又は用紙12の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙12を排紙トレイ54に排紙する。
また、両面印刷の場合には、表面(最初に印刷する面)の記録が終了したときに、搬送ベルト21を逆回転させることで、記録済みの用紙12を両面給紙ユニット61内に送り込み、用紙12を反転させて(裏面が印刷面となる状態にして)再度カウンタローラ22と搬送ベルト21との間に給紙し、タイミング制御を行って、前述したと同様に搬送ベル21上に搬送して裏面に記録を行った後、排紙トレイ54に排紙する
また、印字(記録)待機中にはキャリッジ3は維持回復機構55側に移動されて、キャップ57で記録ヘッド7のノズル面がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、キャップ57で記録ヘッド7をキャッピングした状態でノズルから記録液を吸引し、増粘した記録液や気泡を排出する回復動作を行い、この回復動作によって記録ヘッド7のノズル面に付着したインクを清掃除去するためにワイパーブレード58でワイピングを行なう。また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する空吐出動作を行なう。これによって、記録ヘッド7の安定した吐出性能を維持する。
次に、記録ヘッド7を構成している液体吐出ヘッドの一例について図3及び図4を参照して説明する。なお、図3は同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図、図4は同ヘッドの液室短手方向(ノズルの並び方向)の断面説明図である。
この液体吐出ヘッドは、例えば単結晶シリコン基板を異方性エッチングして形成した流路板101と、この流路板101の下面に接合した例えばニッケル電鋳で形成した振動板102と、流路板101の上面に接合したノズル板103とを接合して積層し、これらによって液滴(インク滴)を吐出するノズル104が連通する流路であるノズル連通路105及び圧力発生室である液室106、液室106に流体抵抗部(供給路)107を通じてインクを供給するための共通液室108に連通するインク供給口109などを形成している。
また、振動板102を変形させて液室106内のインクを加圧するための圧力発生手段(アクチュエータ手段)である電気機械変換素子としての2列(図6では1列のみ図示)の積層型圧電素子121と、この圧電素子121を接合固定するベース基板122とを備えている。なお、圧電素子121の間には支柱部123を設けている。この支柱部123は圧電素子部材を分割加工することで圧電素子121と同時に形成した部分であるが、駆動電圧を印加しないので単なる支柱となる。
また、圧電素子121には図示しない駆動回路(駆動IC)を搭載したFPCケーブル126を接続している。
そして、振動板102の周縁部をフレーム部材130に接合し、このフレーム部材130には、圧電素子121及びベース基板122などで構成されるアクチュエータユニットを収納する貫通部131及び共通液室108となる凹部、この共通液室108に外部からインクを供給するためのインク供給穴132を形成している。このフレーム部材130は、例えばエポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂或いはポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成している。
ここで、流路板101は、例えば結晶面方位(110)の単結晶シリコン基板を水酸化カリウム水溶液(KOH)などのアルカリ性エッチング液を用いて異方性エッチングすることで、ノズル連通路105、液室106となる凹部や穴部を形成したものであるが、単結晶シリコン基板に限られるものではなく、その他のステンレス基板や感光性樹脂などを用いることもできる。
振動板102は、ニッケルの金属プレートから形成したもので、例えばエレクトロフォーミング法(電鋳法)で作製しているが、この他、金属板や金属と樹脂板との接合部材などを用いることもできる。この振動板102に圧電素子121及び支柱部123を接着剤接合し、更にフレーム部材130を接着剤接合している。
ノズル板103は各液室106に対応して直径10〜30μmのノズル104を形成し、流路板101に接着剤接合している。このノズル板103は、金属部材からなるノズル形成部材の表面に所要の層を介して最表面に撥水層を形成したものである。
圧電素子121は、圧電材料151と内部電極152とを交互に積層した積層型圧電素子(ここではPZT)である。この圧電素子121の交互に異なる端面に引き出された各内部電極152には個別電極153及び共通電極154が接続されている。なお、この実施形態では、圧電素子121の圧電方向としてd33方向の変位を用いて液室106内インクを加圧する構成としているが、圧電素子121の圧電方向としてd31方向の変位を用いて加圧液室106内インクを加圧する構成とすることもできる。また、1つの基板122に1列の圧電素子121が設けられる構造とすることもできる。
このように構成した液体吐出ヘッドヘッドにおいては、例えば圧電素子121に印加する電圧を基準電位から下げることによって圧電素子121が収縮し、振動板102が下降して液室106の容積が膨張することで、液室106内にインクが流入し、その後圧電素子121に印加する電圧を上げて圧電素子121を積層方向に伸長させ、振動板102をノズル104方向に変形させて液室106の容積/体積を収縮させることにより、液室106内の記録液が加圧され、ノズル104から記録液の滴が吐出(噴射)される。
そして、圧電素子121に印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板102が初期位置に復元し、液室106が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室108から液室106内に記録液が充填される。そこで、ノズル104のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行なうこともできる。
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図5のブロック図を参照して説明する。
この制御部200は、この装置全体の制御を司るCPU211と、CPU211が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM202と、画像データ等を一時格納するRAM203と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ204と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行なう画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC205とを備えている。
また、この制御部200は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行なうためのI/F206と、記録ヘッド7を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動波形を生成する駆動波形生成手段を含む印刷制御部207と、キャリッジ3側に設けた記録ヘッド7を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)208と、主走査モータ4及び副走査モータ31を駆動するためのモータ駆動部210と、帯電ローラ34にACバイアスを供給するACバイアス供給部212と、エンコーダセンサ43、35からの各検出信号、環境温度を検出する温度センサなどの各種センサからの検出信号を入力するためのI/O213などを備えている。また、この制御部200には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行なうための操作パネル214が接続されている。
ここで、制御部200は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト側からの画像データ等をケーブル或いはネットを介してI/F206で受信する。
そして、制御部200のCPU201は、I/F206に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC205にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行ない、この画像データをヘッド駆動制御部207からヘッドドライバ208に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成は後述するようにホスト側のプリンタドライバで行なっている。
印刷制御部207は、上述した画像データをシリアルデータでヘッドドライバ208に転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、滴制御信号(マスク信号)などをヘッドドライバ208に出力する以外にも、ROMに格納されている駆動信号のパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動波形生成部及びヘッドドライバに与える駆動波形選択手段を含み、1の駆動パルス(駆動信号)或いは複数の駆動パルス(駆動信号)で構成される駆動波形を生成してヘッドドライバ208に対して出力する。
ヘッドドライバ208は、シリアルに入力される記録ヘッド7の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部207から与えられる駆動波形を構成する駆動信号を選択的に記録ヘッド7の液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば前述したような圧電素子)に対して印加することで記録ヘッド7を駆動する。このとき、駆動波形を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴(大ドット)、中滴(中ドット)、小滴(小ドット)など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
また、CPU201は、リニアエンコーダを構成するエンコーダセンサ43からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値及び位置検出値と、予め格納した速度・位置プロファイルから得られる速度目標値及び位置目標値とに基づいて主走査モータ4に対する駆動出力値(制御値)を算出してモータ駆動部210を介して主走査モータ4を駆動する。同様に、ロータリエンコーダを構成するエンコーダセンサ35からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値及び位置検出値と、予め格納した速度・位置プロファイルから得られる速度目標値及び位置目標値とに基づいて副走査モータ31対する駆動出力値(制御値)を算出してモータ駆動部210を介しモータドライバを介して副走査モータ31を駆動する。
次に、この画像形成装置で用いている記録液(インク)について説明する。
記録液は、色材として、顔料、染料のいずれでも用いることができ、混合して用いることもできる。染料・顔料インクとしては、例えば、特開2002−220545号公報、特開2003−96371号公報、特開2001−152060号公報に記載されているものなどがある。
<顔料>
記録液に用いる顔料として特に限定はないが、例えば以下に挙げる顔料が好適に用いられる。また、これら顔料は複数種類を混合して用いても良い。
有機顔料としては、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリレン系、イソインドレノン系、アニリンブラック、アゾメチン系、ローダミンBレーキ顔料、カーボンブラック等が挙げられる。
無機顔料として酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、紺青、カドミウムレッド、クロムイエロー、金属粉が挙げられる。
これらの顔料の粒子径は0.01〜0.30μmで用いることが好ましく、0.01μm以下では粒子径が染料に近づくため、耐光性、フェザリングが悪化してしまう。また、0.30μm以上では、吐出口(ノズル)の目詰まりや装置内のフィルタでの目詰まりが発生し、吐出安定性を得ることができないことがある。
ブラック顔料インクに使用されるカーボンブラックとしては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックで、一次粒径が、15〜40ミリミクロン、BET法による比表面積が、50〜300平方メートル/g、DBP吸油量が、40〜150ml/100g、揮発分が0.5〜10%、pH値が2〜9を有するものが好ましい。このようなものとしては、例えば、No.2300、No.900、MCF−88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B(以上、三菱化学製)、Raven700、同5750、同5250、同5000、同3500、同1255(以上、コロンビア製)、Regal400R、同330R、同660R、MogulL、Monarch700、同800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、Monarch1400(以上、キャボット製)、カラーブラックFW1、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、同S150、同S160、同S170、プリンテックス35、同U、同V、同140U、同140V、スペシャルブラック6、同5、同4A、同4(以上、デグッサ製)等を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
カラー顔料の具体例しては次に挙げるようなものがある。
有機顔料としてアゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリレン系、イソインドレノン系、アニリンブラツク、アゾメチン系、ローダミンBレーキ顔料、カーボンブラック等が挙げられ、無機顔料として酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、紺青、カドミウムレッド、クロムイエロー、金属粉等が挙げられる。
色別により具体的には次のものが挙げられる。
イエローインクに使用できる顔料の例としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、同2、同3、同12、同13、同14、同16、同17、同73、同74、同75、同83、同93、同95、同97、同98、同114、同128、同129、同151、同154等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
マゼンタインクに使用できる顔料の例としては、例えば、C.I.ピグメントレッド5、同7、同12、同48(Ca)、同48(Mn)、同57(Ca)、同57:1、同112、同123、同168、同184、同202等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
シアンインクに使用できる顔料の例としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1、同2、同3、同15:3、同15:34、同16、同22、同60、C.I.バットブルー4、同60等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
また、記録液に含有される顔料は、画像形成装置のために新たに製造されたものでも使用可能である。
以上に挙げた顔料は高分子分散剤や界面活性剤を用いて水性媒体に分散させることでインクジェット用記録液とすることができる。このような有機顔料粉体を分散させるための分散剤としては、通常の水溶性樹脂や水溶性界面活性剤を用いることができる。
水溶性樹脂の具体例としては、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマール酸、フマール酸誘導体等から選ばれた少なくとも2つ以上の単量体からなるブロック共重合体、あるいはランダム共重合体、又はこれらの塩等が挙げられる。これらの水溶性樹脂は、塩基を溶解させた水溶液に可溶なアルカリ可溶型樹脂であり、これらの中でも重量平均分子量3000〜20000のものが、インクジェット用記録液に用いた場合に、分散液の低粘度化が可能であり、かつ分散も容易であるという利点があるので特に好ましい。
高分子分散剤と自己分散型顔料を同時に使うことは、適度なドット径を得られるため好ましい組み合わせである。その理由は明かでないが、以下のように考えられる。つまり、高分子分散剤を含有することで記録紙への浸透が抑制される。その一方で、高分子分散剤を含有することで自己分散型顔料の凝集が抑えられるため、自己分散型顔料が横方向にスムーズに拡がることができる。そのため、広く薄くドットが拡がり、理想的なドットが形成できると考えられる。
また、分散剤として使用できる水溶性界面活性剤の具体例としては、次のものが挙げられる。例えば、アニオン性界面活性剤としては、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルアリル及びアルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩等が挙げられる。又、カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、テトラアルキルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。更に、両性界面活性剤としては、ジメチルアルキルラウリルベタイン、アルキルグリシン、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。又、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。
また、顔料は親水性基を有する樹脂によって被覆し、マイクロカプセル化することで、分散性を与えることもできる。
水不溶性の顔料を有機高分子類で被覆してマイクロカプセル化する方法としては、従来公知のすべての方法を用いることが可能である。従来公知の方法として、化学的製法、物理的製法、物理化学的方法、機械的製法などが挙げられる。具体的には、次の方法が知られている。
・界面重合法(2種のモノマーもしくは2種の反応物を、分散相と連続相に別々に溶解しておき、両者の界面において両物質を反応させて壁膜を形成させる方法);
・in−situ重合法(液体または気体のモノマーと触媒、もしくは反応性の物質2種を連続相核粒子側のどちらか一方から供給して反応を起こさせ壁膜を形成させる方法);
・液中硬化被膜法(芯物質粒子を含む高分子溶液の滴を硬化剤などにより、液中で不溶化して壁膜を形成する方法);
・コアセルベーション(相分離)法(芯物質粒子を分散している高分子分散液を、高分子濃度の高いコアセルベート(濃厚相)と希薄相に分離させ、壁膜を形成させる方法);
・液中乾燥法(芯物質を壁膜物質の溶液に分散した液を調製し、この分散液の連続相が混和しない液中に分散液を入れて、複合エマルションとし、壁膜物質を溶解している媒質を徐々に除くことで壁膜を形成させる方法);
・融解分散冷却法(加熱すると液状に溶融し常温では固化する壁膜物質を利用し、この物質を加熱液化し、その中に芯物質粒子を分散し、それを微細な粒子にして冷却し壁膜を形成させる方法);
・気中懸濁被覆法(粉体の芯物質粒子を流動床によって気中に懸濁し、気流中に浮遊させながら、壁膜物質のコーティング液を噴霧混合させて、壁膜を形成させる方法);
・スプレードライング法(カプセル化原液を噴霧してこれを熱風と接触させ、揮発分を蒸発乾燥させ壁膜を形成させる方法);
・酸析法(アニオン性基を含有する有機高分子化合物類のアニオン性基の少なくとも一部を塩基性化合物で中和することで水に対する溶解性を付与し色材と共に水性媒体中で混練した後、酸性化合物で中性または酸性にし有機化合物類を析出させ色材に固着せしめた後に中和し分散させる方法);
・転相乳化法(水に対して分散能を有するアニオン性有機高分子類と色材とを含有する混合体を有機溶媒相とし、前記有機溶媒相に水を投入するかもしくは、水に前記有機溶媒相を投入する方法)、などが挙げられる。
マイクロカプセルの壁膜物質を構成する材料として使用される有機高分子類(樹脂)としては、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリウレア、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、多糖類、ゼラチン、アラビアゴム、デキストラン、カゼイン、タンパク質、天然ゴム、カルボキシポリメチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリスチレン、(メタ)アクリル酸の重合体または共重合体、(メタ)アクリル酸エステルの重合体または共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アルギン酸ソーダ、脂肪酸、パラフィン、ミツロウ、水ロウ、硬化牛脂、カルナバロウ、アルブミンなどが挙げられる。
これらの中ではカルボン酸基またはスルホン酸基などのアニオン性基を有する有機高分子類を使用することが可能である。また、ノニオン性有機高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートまたはそれらの(共)重合体)、2−オキサゾリンのカチオン開環重合体などが挙げられる。特に、ポリビニルアルコールの完全ケン物は、水溶性が低く、熱水には解け易いが冷水には解けにくいという性質を有しており特に好ましい。
また、マイクロカプセルの壁膜物質を構成する有機高分子類の量は、有機顔料またはカーボンブラックなどの水不溶性の色材に対して1重量%以上20重量%以下である。有機高分子類の量を上記の範囲にすることによって、カプセル中の有機高分子類の含有率が比較的低いために、有機高分子類が顔料表面を被覆することに起因する顔料の発色性の低下を抑制することが可能となる。有機高分子類の量が1重量%未満ではカプセル化の効果を発揮しづらくなり、逆に20重量%を越えると、顔料の発色性の低下が著しくなる。さらに他の特性などを考慮すると有機高分子類の量は水不溶性の色材に対し5〜10重量%の範囲が好ましい。
すなわち、色材の一部が実質的に被覆されずに露出しているために発色性の低下を抑制することが可能となり、また、逆に、色材の一部が露出せずに実質的に被覆されているために顔料が被覆されている効果を同時に発揮することが可能となるのである。また、本発明に用いる有機高分子類の数平均分子量としては、カプセル製造面などから、2000以上であることが好ましい。ここで「実質的に露出」とは、例えば、ピンホール、亀裂などの欠陥などに伴う一部の露出ではなく、意図的に露出している状態を意味するものである。
さらに、色材として自己分散性の顔料である有機顔料または自己分散性のカーボンブラックを用いれば、カプセル中の有機高分子類の含有率が比較的低くても、顔料の分散性が向上するために、十分なインクの保存安定性を確保することが可能となるのでより好ましい。
なお、マイクロカプセル化の方法によって、それに適した有機高分子類を選択することが好ましい。例えば、界面重合法による場合は、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリビニルピロリドン、エポキシ樹脂などが適している。in−situ重合法による場合は、(メタ)アクリル酸エステルの重合体または共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミドなどが適している。液中硬化法による場合は、アルギン酸ソーダ、ポリビニルアルコール、ゼラチン、アルブミン、エポキシ樹脂などが適している。コアセルベーション法による場合は、ゼラチン、セルロース類、カゼインなどが適している。また、微細で、且つ均一なマイクロカプセル化顔料を得るためには、勿論前記以外にも従来公知のカプセル化法すべてを利用することが可能である。
マイクロカプセル化の方法として転相法または酸析法を選択する場合は、マイクロカプセルの壁膜物質を構成する有機高分子類としては、アニオン性有機高分子類を使用する。転相法は、水に対して自己分散能または溶解能を有するアニオン性有機高分子類と、自己分散性有機顔料または自己分散型カーボンブラックなどの色材との複合物または複合体、あるいは自己分散性有機顔料または自己分散型カーボンブラックなどの色材、硬化剤およびアニオン性有機高分子類との混合体を有機溶媒相とし、該有機溶媒相に水を投入するか、あるいは水中に該有機溶媒相を投入して、自己分散(転相乳化)化しながらマイクロカプセル化する方法である。上記転相法において、有機溶媒相中に、記録液用のビヒクルや添加剤を混入させて製造しても何等問題はない。特に、直接記録液用の分散液を製造できることからいえば、記録液の液媒体を混入させる方がより好ましい。
一方、酸析法は、アニオン性基含有有機高分子類のアニオン性基の一部または全部を塩基性化合物で中和し、自己分散性有機顔料または自己分散型カーボンブラックなどの色材と、水性媒体中で混練する工程および酸性化合物でpHを中性または酸性にしてアニオン性基含有有機高分子類を析出させて、顔料に固着する工程とからなる製法によって得られる含水ケーキを、塩基性化合物を用いてアニオン性基の一部または全部を中和することによりマイクロカプセル化する方法である。このようにすることによって、微細で顔料を多く含むアニオン性マイクロカプセル化顔料を含有する水性分散液を製造することができる。
また、上記に挙げたようなマイクロカプセル化の際に用いられる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルキルアルコール類;ベンゾール、トルオール、キシロールなどの芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;クロロホルム、二塩化エチレンなどの塩素化炭化水素類;アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類などが挙げられる。なお、上記の方法により調製したマイクロカプセルを遠心分離または濾過などによりこれらの溶剤中から一度分離して、これを水および必要な溶剤とともに撹拌、再分散を行い、目的とする本発明に用いることができる記録液を得る。以上の如き方法で得られるカプセル化顔料の平均粒径は50nm〜180nmであることが好ましい。
このように樹脂被覆することによって顔料が印刷物にしっかりと付着することにより、印刷物の擦過性を向上させることができる。
<染料>
記録液に用いられる染料としては、カラーインデックスにおいて酸性染料、直接性染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料に分類される染料で耐水、耐光性が優れたものが用いられる。これら染料は複数種類を混合して用いても良いし、あるいは必要に応じて顔料等の他の色材と混合して用いても良い。これら着色剤は、必要な範囲で添加される。
(a)酸性染料及び食用染料として、次のものが挙げられる。
C.I.アシッド・イエロー 17,23,42,44,79,142
C.I.アシッド・レッド 1,8,13,14,18,26,27,35,37,42,52,82,87,89,92,97,106,111,114,115,134,186,249,254,289
C.I.アシッド・ブルー 9,29,45,92,249
C.I.アシッド・ブラック 1,2,7,24,26,94
C.I.フード・イエロー 3,4
C.I.フード・レッド 7,9,14
C.I.フード・ブラック 1,2
(b)直接染料として、次のものが挙げられる。
C.I.ダイレクト・イエロー 1,12,24,26,33,44,50,86,120,132,142,144
C.I.ダイレクト・レッド 1,4,9,13,17,20,28,31,39,80,81,83,89,225,227
C.I.ダイレクト・オレンジ 26,29,62,102
C.I.ダイレクト・ブルー 1,2,6,15,22,25,71,76,79,86,87,90,98,163,165,199,202
C.I.ダイレクト・ブラック 19,22,32,38,51,56,71,74,75,77,154,168,171
(c)塩基性染料として、次のものが挙げられる。
C.I.ベーシック・イエロー 1,2,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,40,41,45,49,51,53,63,64,65,67,70,73,77,87,91
C.I.ベーシック・レッド 2,12,13,14,15,18,22,23,24,27,29,35,36,38,39,46,49,51,52,54,59,68,69,70,73,78,82,102,104,109,112
C.I.ベーシック・ブルー 1,3,5,7,9,21,22,26,35,41,45,47,54,62,65,66,67,69,75,77,78,89,92,93,105,117,120,122,124,129,137,141,147,155
C.I.ベーシック・ブラック 2,8
(d)反応性染料として、次のものが挙げられる。
C.I.リアクティブ・ブラック 3,4,7,11,12,17
C.I.リアクティブ・イエロー 1,5,11,13,14,20,21,22,25,40,47,51,55,65,67
C.I.リアクティブ・レッド 1,14,17,25,26,32,37,44,46,55,60,66,74,79,96,97
C.I.リアクティブ・ブルー 1,2,7,14,15,23,32,35,38,41,63,80,95
<染料・顔料共通の添加剤、物性>
記録液を所望の物性にするため、あるいは乾燥による記録ヘッドのノズルの詰まりを防止するためなどの目的で、色材の他に、水溶性有機溶媒を使用することが好ましい。水溶性有機溶媒には湿潤剤、浸透剤が含まれる。
湿潤剤は乾燥による記録ヘッドのノズルの詰まりを防止することを目的に添加される。湿潤剤の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、グリセリン、1,2,6−へキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエ−テル額;N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノ−ル等の含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン等である。これらの溶媒は、水とともに単独もしくは複数混合して用いられる。
また、浸透剤は記録液と被記録材の濡れ性を向上させ、浸透速度を調整する目的で添加される。浸透剤としては、次の式(I)〜(IV)で表されるものが好ましい。すなわち、式(I)のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系界面活性剤、式(II)のアセチレングリコール系界面活性剤、式(III)のポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤ならびに式(IV)のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル系界面活性剤は、液の表面張力を低下させることができるので、濡れ性を向上させ、浸透速度を高めることができる。
(Rは分岐していても良い炭素数6〜14の炭化水素鎖、kは5〜20)
(m、nは0〜40)
(Rは分岐していても良い炭素数6〜14の炭化水素鎖、nは5〜20)
(Rは炭素数6〜14の炭化水素鎖、m、nは20以下の数)
上記式(I)〜(IV)の化合物以外では、例えばジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体等のノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、エタノール、2−プロパノール等の低級アルコール類を用いることができるが、特にジエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましい。
記録液の表面張力は、20〜60dyne/cmであることが好ましく、被記録材との濡れ性と液滴の粒子化の両立の観点からは30〜50dyne/cmであることがさらに好ましい。
記録液の粘度は、1.0〜20.0cPであることが好ましく、吐出安定性の観点からは3.0〜10.0cPであることがさらに好ましい。
記録液のpHは3〜11であることが好ましく、接液する金属部材の腐食防止の観点からは6〜10であることがさらに好ましい。
記録液は防腐防黴剤を含有することができる。防腐防黴剤を含有することによって、菌の繁殖を抑えることができ、保存安定性、画質安定性を高めることができる。防腐防黴剤としてはベンゾトリアゾール、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、イソチアゾリン系化合物、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が使用できる。
記録液は防錆剤を含有することができる。防錆剤を含有することによって、ヘッド等の接液する金属面に被膜を形成し、腐食を防ぐことができる。防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等が使用できる。
記録液は酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤を含有することによって、腐食の原因となるラジカル種が生じた場合にも酸化防止剤がラジカル種を消滅させることで腐食を防止することができる。酸化防止剤としては、フェノール系化合物類、アミン系化合物類が代表的であるがフェノール系化合物類としては、ハイドロキノン、ガレート等の化合物、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のヒンダードフェノール系化合物が例示され、アミン系化合物類としては、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、N,N’−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニルエチレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、4,4’−テトラメチル−ジアミノジフェニルメタン等が例示される。また、後者としては、硫黄系化合物類、リン系化合物類が代表的であるが、硫黄系化合物としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルβ,β’−チオジブチレート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイド等が例示され、リン系化合物類としては、トリフェニルフォスファイト、トリオクタデシルフォスファイト、トリデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、ジフェニルイソデシルフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールフォスファイト等が例示される。
記録液はpH調整剤を含有することができる。pH調整剤としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、ジエタノールアミン、トリエタノ−ルアミン等のアミン類、硼酸、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸等を用いることができる。
次に、上記の画像形成装置によって印刷画像を出力するための本発明に係る画像形成方法をコンピュータに実行させる本発明に係るプログラムを搭載した画像処理装置及び上記画像形成装置についてについて以下に説明する。
次に、本発明に係る画像処理装置と上述した画像形成装置であるインクジェットプリンタ(インクジェット記録装置)とで構成した本発明に係る画像形成システムの一例について図6を参照して説明する。
この印刷システム(画像形成システム)は、パーソナルコンピュータ(PC)などからなる1又は複数台の画像処理装置400と、インクジェットプリンタ500とが、所定のインターフェイス又はネットワークで接続されて構成されている。
画像処理装置400は、図7に示すように、CPU401と、メモリ手段である各種のROM402やRAM403とが、バスラインで接続されている。このバスラインには、所定のインターフェイスを介して、ハードディスクなどの磁気記憶装置を用いた記憶装置406と、マウスやキーボードなどの入力装置404と、LCDやCRTなどのモニタ405と、図示しないが、光ディスクなどの記憶媒体を読み取る記憶媒体読取装置が接続され、また、インターネットなどのネットワークやUSBなどの外部機器と通信を行なう所定のインターフェイス(外部I/F)407が接続されている。
画像処理装置400の記憶装置406には、本発明に係るプログラムを含む画像処理プログラムが記憶されている。この画像処理プログラムは、記憶媒体から記憶媒体読取装置により読み取って、あるいは、インターネットなどのネットワークからダウンロードするなどして、記憶装置406にインストールしたものである。このインストールにより画像処理装置400は、以下のような画像処理を行なうために動作可能な状態となる。なお、この画像処理プログラムは、所定のOS上で動作するものであってもよい。また、特定のアプリケーションソフトの一部をなすものであってもよい。
ここで、画像処理装置400側のプログラムで本発明に係る画像処理方法を実行する例について図8の機能ブロック図を参照して説明する。
これはほとんどの画像処理を画像処理装置としてのPCのようなホストコンピュータで行なう場合である。り、比較的安い廉価機のインクジェット記録装置で好適に用いられている構成である。
画像処理装置400(PC)側の本発明に係るプログラムであるプリンタドライバ411は、アプリケーションソフトなどから与えられた画像データ410をモニタ表示用の色空間から記録装置(画像形成装置)用の色空間への変換(RGB表色系→CMY表色系)を行なうCMM(Color Management Module)処理部412、CMYの値から黒生成/下色除去を行なうBG/UCR(black generation/ Under Color Removal)処理部413、記録装置の解像度に合わせて拡大処理を行なうズーミング(Zooming)部414、画像データを記録装置から噴射するドットのパターン配置に置き換える多値・少値マトリクスを含む中間調処理部(多値・少値マトリクス)415、記録装置の特性やユーザーの嗜好を反映した入出力補正を行なう本発明に係るγ補正処理部416、中間調処理で得られた印刷画像データであるドットパターンデータを各スキャン毎のデータに分割し、更に記録を行なう各ノズル位置に合わせてデータ展開するラスタライジング部417を含み、ラスタライジング部417の出力418をインクジェットプリンタ500に送出する。
次に、インクジェットプリンタ500側で本発明に係る画像処理方法の一部を実行する例について図9の機能ブロック図を参照して説明する。
これは、高速で処理することができるため、高速機で好適に用いられている構成である。
画像処理装置400(PC)側のプリンタドライバ421は、アプリケーションソフトなどから与えられた画像データ410をモニタ表示用の色空間から記録装置用の色空間への変換(RGB表色系→CMY表色系)を行なうCMM(Color Management Module)処理部422、CMYの値から黒生成/下色除去を行なうBG/UCR(black eneration/ Under Color Removal)処理部423とを有し、このBG/UCR処理部423で生成した画像データをインクジェットプリンタ500に送出する。
一方、インクジェットプリンタ500のプリンタコントローラ511(制御部200)は、記録装置の解像度に合わせて拡大処理を行なうズーミング(Zooming)部514、画像データを記録装置から噴射するドットのパターン配置に置き換える多値・少値マトリクスを含む中間調処理部(多値・少値マトリクス)515、記録装置の特性やユーザーの嗜好を反映した入出力補正を行なう本発明に係るγ補正処理部516、中間調処理で得られる印刷画像データのドットパターンデータを各スキャン毎のデータに分割し、更に記録を行なう各ノズル位置に合わせてデータ展開するラスタライジング部517を含み、ラスタライジング部517の出力を印刷制御部207に与える。
本発明に係る画像処理方法は、図8及び図9のいずれの構成であっても好適に適用することができる。ここでは、図8に示す構成のように、インクジェット記録装置側では、装置内に画像の描画又は文字のプリント命令を受けて実際に記録するドットパターンを発生する機能を持たない例で説明する。すなわち、ホストとなる画像処理装置400で実行されるアプリケーションソフトなどからのプリント命令は、画像処理装置400(ホストコンピュータ)内にソフトウェアとして組み込まれたプリンタドライバ411で画像処理されてインクジェットプリンタ500が出力可能な多値のドットパターンのデータ(印刷画像データ)が生成され、それがラスタライズされてインクジェットプリンタ500に転送され,インクジェットプリンタ500が印刷出力される例で説明する。
具体的には、画像処理装置400内では、アプリケーションやオペレーティングシステムからの画像の描画又は文字の記録命令(例えば記録する線の位置と太さと形などを記述したものや、記録する文字の書体と大きさと位置などを記述したもの)は描画データメモリに一時的に保存される。なお、これらの命令は、特定のプリント言語で記述されたものである。
そして、描画データメモリに記憶された命令は、ラスタライザによって解釈され、線の記録命令であれば、指定された位置や太さ等に応じた記録ドットパターンに変換され、また、文字の記録命令であれば画像処理装置(ホストコンピュータ)400内に保存されているフォントアウトラインデータから対応する文字の輪郭情報を呼びだし指定された位置や大きさに応じた記録ドットパターンに変換され、イメージデータであれば、そのまま記録ドットのパターンに変換される。
その後、これらの記録ドットパターン(画像データ410)に対して画像処理を施してラスタデータメモリに記憶する。このとき、画像処理装置400は、直交格子を基本記録位置として、記録ドットパターンのデータにラスタライズする。画像処理としては、上述したように、例えば色を調整するためのカラーマネージメント処理(CMM)やγ補正処理、ディザ法や誤差拡散法などの中間調処理、さらには下地除去処理、インク総量規制処理などがある。そして、ラスタデータメモリに記憶された記録ドットパターンがインタフェースを経由してインクジェット記録装置500へ転送されるものである。
次に、画像処理装置400側のプリンタドライバ(プログラム)による画像処理の流れについて図10に示すブロック図を参照して説明する。
パーソナルコンピュータなどのデータ処理装置上で動作するアプリケーションソフトから「印刷」指示が出されると、プリンタドライバにおいては、入力600に対してオブジェクト判定処理601でオブジェクトの種類を判定し、オブジェクト毎、つまり文字の画像データ602、線画の画像データ603、グラフィックスの画像データ604、イメージの画像データ605毎にデータが渡され、それぞれのルートを通って処理が行われる。
つまり、文字602、線画603、グラフィックス604については、カラー調整処理606を行なう。そして、文字についてはカラーマッチング処理607、BG/UCR処理609、総量規制処理611を行い、更に文字ディザ処理(中間調処理)615を行なう。また、線画及グラフィックスについてはカラーマッチング処理608、BG/UCR処理610、総量規制処理612を行い、更にグラフィックスディザ処理(中間調処理)616を行なう。
一方、イメージ605については、色判定及び圧縮方式判定処理621を行って、通常の場合には、カラー調整処理622、カラーマッチング処理623を行なった後、BG/UCR処理624、総量規制処理625を行い、更に誤差拡散処理(中間調処理)627を行なう。また、2色以下の場合には、イメージ間引き処理631、カラー調整処理632、カラーマッチング処理233a又はインデックスレス処理(カラーマッチングを行なわない処理)633bを行なった後、BG/UCR処理624、総量規制処理625を行い、更に誤差拡散処理(中間調処理)627を行なう。
そして、各中間調処理615、616、627の結果について共通のγ補正パラメータを使用したγ補正617を行う。
なお、線画及びグラフィックスについてはカラー調整処理606に至る前に分岐してROP処理641を経てイメージの場合のカラーマッチング処理632に移行することもある。
このようにしてオブジェクト毎に処理された画像データは、また元の一つの画像データに合成され、図示しないがラスタライジング処理を経て画像形成装置へと渡されることになる。
本発明に係る画像処理方法は、この内の「中間調処理」と「γ補正処理」に関するものである。
ここで、本発明との比較のために入力画像をよりレベル数の少ない濃度階調と面積階調との組み合わせで表現する中間調処理方法を複数種類持ち、選択的に使用する画像処理方法について図11を参照して説明する。
この画像処理例では、8ビットの入力画像701に対して中間調処理部702で中間調処理を行なうことによって2ビットの画像データ703として出力している。このとき、中間調処理部702は、ディザ法で中間調処理を行なう第1中間調処理部711と、誤差拡散法で中間調処理を行なう第2中間調処理部712と、これらを選択する選択部713とを備え、ディザ法(第1中間調処理部711)を選択した場合には出力画像A、誤差拡散法(第2中間調処理部712)を選択した場合には出力画像Bが得られる。
この場合、画像Aと画像Bは中間調処理方法が異なるため見た目の濃度や色見は必ずしも一致しない。結果として、複数種類の中間調処理方法をもち、選択的に使用できる画像処理方法で、中間調処理方法を切り替えた場合の出力画像の色および濃度は一致せず、使用者に色の再現性が悪い印象を与えることになる。
これに対し、本発明における画像処理方法について図12を参照して説明する。
ここでは、8ビットの入力画像801に対して中間調処理部802で中間調処理を行なうことによって2ビットの画像データ803として出力している。中間調処理部802は、ディザ法で中間調処理を行なう第1中間調処理部811と、誤差拡散法で中間調処理を行なう第2中間調処理部812と、これらを選択する選択部813と、第1中間調処理部811と第2中間調処理部812の処理結果に対して共通のγ補正パラメータを用いたγ補正処理を施すγ補正処理部814とを備えている。
ここで、ディザ法(第1中間調処理部811)を選択した場合には出力画像A、誤差拡散法(第2中間調処理部812)を選択した場合には出力画像A´が得られる。このとき、第1中間調処理部811と第2中間調処理部812は、それぞれ出力画像A、A´の色及び濃度が、相互に、実質的に同じになるディザ処理、誤差拡散処理を行なう。そこで、この実質的に同じ中間調処理となる異なる第1中間調処理部811と第2中間調処理部812の処理結果に対して共通のγ補正パラメータを用いたγ補正処理をγ補正処理部814によって施しても出力結果の実質的な同一性を維持することができる。
ここでは、誤差拡散処理を行なう第2中間調処理部812の階調特性がディザ処理を行なう第1中間調処理部811の階調特性と実質的に同じになるようにするため、第2中間調処理部812には、8ビットの入力画像を14ビットに変換する多ビット変換テーブル821と、多ビット変換テーブル821からの14ビットの画像データ822に対して多ビット誤差拡散法で中間調処理を施して2ビットで画像データを出力する多ビット誤差拡散処理部823とを備えている。
ここで、多ビット変換テーブル821は、誤差拡散法による出力特性を任意の特性に調整するためのルックアップテーブルである。このテーブル821によって誤差拡散法による出力特性がディザ法(第1中間調処理部811)による出力特性と同じになるように変換している。また、その変換により階調数の低下を防ぐため、変換後の出力822は入力値(8ビット)より大きい多ビット(この例では14ビット)としており、誤差拡散処理は多ビット誤差拡散処理部823によって多ビットで行っている。
この結果、誤差拡散法による出力画像A’はディザ法による出力画像Aと実質的に同じような色及び濃度となり、使用者から見て中間調処理方法による色差の無い出力画像を得ることができ、画像品質が向上する。
そこで、「多ビット誤差拡散法」と「多ビット変換テーブル」の組み合わせにより階調特性をディザ法による階調特性と実質的に同じする設定方法について図13を参照して説明する。
ここでは、入力階調は256階調を表現可能な8ビットとする。また、画像形成装置側では、小滴、中滴、大滴の3種類の大きさの液滴と液滴を吐出しない場合を合わせた4段階、即ち2ビットによる擬似階調表現とする。さらに、小滴をすべて打ち込んだ状態を「小ベタ」、中滴をすべて打ち込んだ状態を「中ベタ」、大滴をすべて打ち込んだ状態を「大ベタ」というものとする。
図13に線aで示す「(ねらいの)明度特性」はここではディザ法によって得られる階調特性である。また、線bで示す「誤差拡散の明度特性」は、本発明における多ビット変換テーブルを用いないで2ビットのまま誤差拡散法を適用した場合の階調特性である。つまり、この線bで示す階調特性は、前述した図11の誤差拡散法の特性であり、階調表現に小滴、中滴、大滴を使用する各階調区間ごとにドットゲイン等に起因する明度特性の変局点をもつ階調特性となっている。このような階調特性はディザ法による階調特性とは異なるものであり、ディザ法による出力特性と誤差拡散法による出力特性が異なる要因となっている。
そこで、誤差拡散の階調特性を、線aで示す「ねらいの明度特性」にするために、多ビット変換テーブル421を設定する。多ビット変換テーブル821は、入力(8ビット)を多ビット(14ビット)に変換するときに、ねらいの明度特性が得られるように、矢印に示すように入力値をシフトする。シフトされた値は多ビット(14ビット)誤差拡散処理され、階調数を低下させることなく、ねらいの明度特性を出力として得ることができる。このようにして、誤差拡散処理を行なう。
ここでは、ねらいの明度特性(線a)は、説明上、直線的な特性で示しているがこれに限ったものではなく、任意のカーブを描く特性に対しても、多ビット変換テーブル821により対応することができる。これによりディザ法による階調特性がどのような特性であっても、誤差拡散法においてディザ法の階調特性に一致させた誤差拡散処理を行うことができる。
このように、複数種類の中間調処理は、出力画像の色及び濃度が、相互に、実質的に同じになる値に設定されたルックアップテーブル(又は関数式若しくはその組合せ)を用いて行なうことによって、高速かつ少ないメモリ使用量で、複数種類の中間調処理相互間での出力画像の色及び濃度が実質的に同じになる、つまり実質的に同じ階調特性になる複数の中間調処理を行なうことができる。
更に、誤差拡散法による中間調処理で用いるルックアップテーブル又は関数式は色毎に個別に設定するようにすれば、色毎に特性が異なる場合においても最適な調整が可能であり、グレーバランスをも考慮した特性の合わせこみを行うことができる。
また、画像出力装置の特性等により図13中の「誤差拡散の特性」は様々であり、同様にディザの特性も変わるため「ねらいの明度特性」もさまざまである。そこで、最終的な出力画像の特性を光学測定器等により測定し、誤差拡散の特性とディザの特性を得て、図13に示す変換の概念に従って多ビット変換テーブル821を作成することにより、誤差拡散法とディザ法による出力画像を一致させ、各中間調処理方法による出力画像の色及び濃度が実質的に同じになるようにすることができる。
また、図13において、「小ベタ」「中ベタ」にあたる階調では他の階調と比べて粒状性が大きく異なるため画像的に違和感を生じる場合がある。そのため、本実施形態では、多ビット変換テーブル821を作成するときに、丁度「小ベタ」あるいは「中ベタ」となる階調を使用せず、数階調ずらした階調を使用するようにしている。このような微調整を行った場合でも階調範囲が多ビット(ここでは14ビット)であるため、明度の誤差は問題とならない。
つまり、誤差拡散法による中間調処理で用いるルックアップテーブルは、最大階調及び最小階調を除く中間の階調について、面積階調表現における使用濃度が一定になる階調(上記の例では小ベタ、中ベタ)を出力階調として使用していないことにより、粒状性が異なることによる画像的な違和感を低減することができる。
前述した図10に示す処理では、文字については文字ディザ処理(中間調処理)、線画及グラフィックスについてはグラフィックスディザ処理(中間調処理)、イメージについては誤差拡散処理(中間調処理)を行なうようにしている。このように、同一画像中に画像部分に対してオブジェクトの種類(文字、グラフィック、イメージなど)に応じて異なる中間調処理を行なった場合でも、出力画像の色及び濃度がオブジェクトによって異なることが低減して、画像品質が向上する。
この例では、上述したように、パーソナルコンピュータなどの画像処理装置上で動作するアプリケーションソフトから「印刷」指示が出されると、プリンタドライバにおいては、入力600に対してオブジェクト判定処理601でオブジェクトの種類を判定して異なる中間調処理が行なわれるようにしているが、ユーザーが中間調処理と当該中間調処理を行なう画像部分を指定できるようにすることもできる。これは、例えばプリンタドライバ91のユーザーインタフェースによって、上述したようなオブジェクトの種類(文字、グラフィック、イメージなど)、或いは色域、あるいは座標範囲(領域)と、当該画像部分に適用する中間調処理を指定するようにすればよい。このような場合でも各画像部分について出力画像の色及び濃度が指定した中間調処理によって異なることが低減して実質的に同じ階調が得られるので、γ補正を共通化することができる。
なお、図14にも同一画像中の異なる画像部分毎に異なる中間調処理を選択的に使用する例を示している。この例では、文字901及び細線902の部分にはディザ法を使用し、グラフィック903部分には誤差拡散法を使用する。このように同一画像中で複数の中間調処理法を切り替えて使用しても、上述したように、実質的に同じ階調特性が得られるので、γ補正を共通化することができる。
次に、中間調処理が異なる場合のγ補正の共通化について具体的に説明する。
先ず、上述した構成などによって、複数の異なる中間調処理による出力特性を一致(実質的に同じ階調特性が得られるように)させる。ここでは、所謂万線型ディザと誤差拡散の2種類の中間調処理について、出力特性を一致させた場合について説明する。
図15ないし図18、ディザパラメータと誤差拡散パラメータのそれぞれを使用して、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)それぞれ単色インクにてパッチを印写したときの各中間調処理における濃度の差を示したものである。なお、図15はC、図16はM、図17はY、図18はBkについての結果を示している。印刷するときの条件として、γスルー(実質的にγ補正を行わないこと)としている。測定は全256階調のうち、0、16、32、…、240、255という具合に、16階調飛ばしで測定した。ただし、最大階調の部分のみ15階調飛ばしとしている。測定にはX-Rite社のX-Rite939(商品名)を用いた。なお、図15ないし図18中、黒三角記号を結んだグラフは、ディザと誤差拡散で処理した各出力結果を測定したときの実測濃度差を示し、黒丸記号を結んだグラフは、印写ムラや測定機器における測定誤差などを考慮した場合に、出力特性が完全に一致している場合でもそれらの誤差要因によって生じる可能性があることがわかっている最大の濃度差であり、その濃度差の値を実測濃度差の許容範囲とした(以下、その最大値を「許容濃度差」として示す。)。
つまり、 実測濃度差 ≦ 許容濃度差、を満たす場合には出力特性が一致していると考える。
ここで許容濃度差の決定方法は、次のとおりである。先ず、測定機器についてのみ考慮した場合、測定機器による読み取り誤差が生じる。この値は測定機器として上記X-Rite社のものを使用した場合、当該測定機器に付属の取扱説明書に仕様として記載されている「OD≦0.005」という値を基本値とする(OD:濃度)。2つの中間調処理の出力結果を測定するということから、上記の最大2倍の幅で測定値がずれるといえるので、純粋な測定機器による測定誤差は「OD≦0.010」とみなすことができる。このように算出した値を測定誤差Aとする。
続いて、インクジェット記録装置における印写ばらつきも考慮する必要がある。なぜならば、本来同じ階調特性となる2つの中間調処理の出力が存在し、測定の誤差がない場合でも、印写の際のばらつきにより、印刷された2つの画像では測定結果が異なってしまうことになるからである。
この印写ばらつきを知るためには、同じ中間調処理による出力を複数回行い、それらの測定を行う。ここでは、ディザと誤差拡散に関してそれぞれ5回の印写を行った。そこで、ディザ出力結果5枚の測定値を用いた標準偏差と、誤差拡散出力結果5枚の測定値を用いた標準偏差を算出し、それらの値を加算したものを、印写のばらつき幅とする。各階調におけるその値を図19に示している。このように算出した値を印写ばらつきBとする。
ここで、測定誤差A及び印写ばらつきBを共に考慮する必要があるが、それぞれの値を、各階調における濃度差の許容値とみなすと考えると、測定誤差A及び印写ばらつきBの値のうち、大きい値を最大の許容値と考えることができる。
つまり、濃度許容差 = MAX(測定誤差、印写ばらつき)、となる。ここでMAX( )は、( )内に含む値のうち、最大の値を返す関数としている。
したがって、図19に示した印写ばらつきBを考慮したときの各階調における濃度許容差に加え、測定誤差Aを考慮すると、図20のような濃度許容差の値を得ることができる。
よって、2つの中間調処理の出力結果における実測の濃度差が、この濃度許容差の値以下となっている場合には、階調特性が一致していると扱うことができる。
ここでは、このようにして許容範囲(図15ないし図18では「許容濃度差」と表記している。)を決定した。
ここで、実測の濃度差を測定した結果を数値化すると図21に示すようになる。各階調に関し、これらの値が図20に示す濃度許容差の値以下となっていることが確認された。つまり、許容濃度差の範囲内に実測濃度差が収まっていることにより、それらの出力特性が一致していることが確認された。これをグラフ化したものが図15ないし図18に示した結果であり、2つの異なる中間調処理の出力特性(階調特性)は一致していることが確認できる。
次に、これらの中間調処理を施した後に、同一のγ補正処理を行い、従来、個別にγ補正処理を施していた場合と同じ要件を達成することができれば、γ補正パラメータを複数の中間調処理に対して共通のものとすることが可能となる。その要件の一つに色空間のハイライト部においてグレーバランスを保持するという項目があるので、その例をここでは取り上げる。
図22及び図23は、ディザと誤差拡散の中間調処理を施し、且つ、共通のγ補正を施した場合の出力結果の色相の一例である。ここで、図22がディザの場合、図23が誤差拡散の場合の結果である。いずれの場合も設計の規格内に収まっており、個別にγ補正パラメータを設計していたときと同じ結果を達成できていることが確認された。
以上のことより、異なる種類の中間調処理でも、その出力特性を一致させておくことで、各中間調処理についてγ補正処理を共通化することができる。
このように、実質的に同じ階調特性となる複数の中間調処理を行うとともに、各中間調処理に共通のγ補正パラメータを用いたγ補正処理を行なうことによって、γ補正パラメータの設計工数の削減、必要メモリサイズの縮小、処理の単純化による処理速度の向上を図ることができる。
そして、この場合、出力特性が完全に一致しているときに誤差要因によって生じうる最大の濃度差を許容濃度としたとき、複数の中間調処理で得られる出力結果における実測濃度差が許容差濃度以下である関係にあるときに実質的に同じ階調特性となる中間調処理であるとすることによって、許容できる測定誤差や印写ばらつきの範囲内でγ補正パラメータの共通化を図れる。
なお、ここでは、複数の中間調処理が万線型ディザと誤差拡散である例で説明しているが、これに限るものではない。ただし、FM型(分散型:ベイヤーディザ、誤差拡散など)とAM型(集中型:万線型ディザ、集中型ディザなど)との組合せの場合に出力画像の色や濃度に違いが生じるので、実質的に同じ階調特性になるようにしてγ補正を共通化することで、当該画像に最適な中間調処理を行ないながらγ補正の共通化によるγ補正パラメータの設計工数の削減、必要メモリサイズの縮小、処理の単純化による処理速度の向上を図ることができる。
また、前述した各色相についての評価結果に基づくと、γ補正の共通化に関しては、特定の色に因らず、複数色の記録液を使用する場合に、各色の階調特性に対応したγ補正パラメータを共通化することもできる。
したがって、ある中間調処理に対するγ補正パラメータとして設計したときの複数色のγ補正パラメータ群を、異なる中間調処理に対するγ補正パラメータとして使用することもできる。
次に、印写シーケンスの異なる複数の印刷モードにおけるγ補正の共通化について説明する。
前述した図15ないし図18の出力結果を得た印写シーケンス(これを「印写シーケンス1」という。)と同様にして、印写シーケンス1とはパス数、インタレース数などを変更し印写シーケンス2で印刷したときの出力結果についても評価を行った。この印写シーケンス2の場合の濃度差の結果を図24ないし図27に、グレーバランスの結果を図28及び図29に示している。なお、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの色順に、図24、図25、図26、図27に示している。また、図28がディザの場合、図29が誤差拡散の場合の結果である。
これらの結果から、同一の被記録媒体に対する記録を行う場合に、パス数やインタレース数などの異なる複数の印写シーケンスの印刷モードであっても、実質的に同じ階調特性の複数の中間調処理を行うことで共通のγ補正を行うことができる。
また、ヘッドが変わることでインクの吐出が変化してしまうことに対し、複数のγ補正パラメータを準備しておき、その中から該インクジェットヘッドに最適であるγ補正パラメータを選択する方法が知られている(特開2004−160970号公報参照)。この場合にも、中間調処理の如何に関わらず、同一のγ補正パラメータ群を用意しておき、そのインクジェット記録装置に応じたγ補正パラメータを選択すればよい。
また、各中間調処理の出力特性を一致させておけば、共にγスルーの処理を施しても最終出力の特性は一致する。したがって、中間調処理の出力特性で最終的に理想とするものを作り上げておき、また、複数の中間調処理でその特性を一致させておけば、共にγスルーの処理を行えばよいことになる。つまり、実質上、γ補正を行う必要性をなくすことができる。
なお、上記実施形態においては、本発明に係るプログラムとしてのプリンタドライバが本発明に係る画像処理方法をコンピュータに実行させるようにして画像処理装置を構成したが、画像形成装置自体が上述した画像処理方法を実行する手段を備えるようにすることもできる。また、本発明に係る画像処理方法を実行する特定用途向け集積回路(ASIC)を画像形成装置に搭載することもできる。
ここで、インクジェット記録装置の機能と複写機能とを複合した画像形成装置(複合機)の一例について図30を参照して説明する。なお、図30は同画像形成装置の全体構成を示す概略構成図である。
この画像形成装置は、装置本体1001の内部(筺体内)に、画像を形成するための画像形成部(手段)1002及び副走査搬送部(手段)1003(両者を併せてプリンタエンジンユニットという。)等を有し、装置本体1001の底部に設けた給紙部(手段)1004から被記録媒体(用紙))1005を1枚ずつ給紙して、副走査搬送部1003によって用紙1005を画像形成部1002に対向する位置で搬送しながら、画像形成部1002によって用紙1005に液滴を吐出して所要の画像を形成(記録)した後、排紙搬送部1006を通じて装置本体1001の上面に形成した排紙トレイ1007上に用紙1005を排紙する。
また、この画像形成装置は、画像形成部1002で形成する画像データ(印刷データ)の入力系として、装置本体1001の上部で排紙トレイ1007の上方には画像を読み取るための画像読取部(スキャナ部)1011を備えている。この画像読取部1011は、照明光源1013とミラー1014とを含む走査光学系1015と、ミラー1016、1017を含む走査光学系1018とが移動して、コンタクトガラス1012上に載置された原稿の画像の読み取りを行い、走査された原稿画像がレンズ1019の後方に配置した画像読み取り素子1020で画像信号として読み込まれ、読み込まれた画像信号はデジタル化され画像処理され、画像処理した印刷データを印刷することができる。なお、コンタクトガラス1012上には原稿を押えるための圧板1010を備えている。
さらに、この画像形成装置は、画像形成部1002で形成する画像のデータ(印刷画像データ)の入力系として、外部のパーソナルコンピュータ等の画像処理装置である情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト側からの印刷画像データを含むデータ等をケーブル或いはネットワークを介して受信可能であり、受信した印刷データを処理して印刷することができる。
ここで、画像形成部1002は、前述したインクジェット記録装置(画像形成装置)と略同様に、ガイドロッド1021で案内されて主走査方向(用紙搬送方向と直交する方向)に移動可能なキャリッジ1023上に、それぞれ異なる複数の色の液滴を吐出するノズル列を有する1又は複数の液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド1024を搭載し、キャリッジ1023をキャリッジ走査機構によって主走査方向に移動させ、副走査搬送部1003によって用紙1005を用紙搬送方向(副走査方向)に送りながら記録ヘッド1024から液滴を吐出させて画像形成を行うシャトル型としている。なお、ライン型ヘッドを備えることでライン型とすることもできる。
記録ヘッド1024は、それぞれブラック(Bk)インク、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクを吐出するノズル列を有し、キャリッジ1023に搭載したサブタンク1025からそれぞれ各色のインクが供給される。サブタンク1025には装置本体1001内に着脱自在に装着されるメインタンクである各色のインクカートリッジ1026から図示しないチューブを介してインクが補充供給される。
副走査搬送部1003は、下方から給紙された用紙1005を略90度搬送方向を転換させて画像形成部1002に対向させて搬送するための、駆動ローラである搬送ローラ1032と従動ローラ1033間に架け渡した無端状の搬送ベルト1031と、この搬送ベルト1031の表面を帯電させるためのACバイアスが印加される帯電ローラ1034と、搬送ベルト1031を画像形成部702の対向する領域でガイドするガイド部材1035と、用紙1005を搬送ローラ1032に対向する位置で搬送ベルト1031に押し付ける押さえコロ(加圧コロ)1036と、画像形成部1002によって画像が形成された用紙1005を排紙搬送部1006に送り出すための搬送ローラ1037を備えている。
この副走査搬送部1003の搬送ベルト1031は、副走査モー1131からタイミングベルト1132及びタイミングローラ1133を介して搬送ローラ1032が回転されることで、副走査方向に周回するように構成している。
給紙部1004は、装置本体1001に抜き差し可能で、多数枚の用紙1005を積載して収納する給紙カセット1041と、給紙カセット1041内の用紙1005を1枚ずつ分離して送り出すための給紙コロ1042及びフリクションパッド1043と、給紙される用紙1005を副走査搬送部1003に対して搬送するレジストローラとなる給紙搬送ローラ1044とを有している。給紙コロ1042は図示しない給紙クラッチを介してHB型ステッピングモータからなる給紙モータ1141によって回転され、また給紙搬送ローラ1044も給紙モータ1141によって回転駆動される。
排紙搬送部1006は、画像形成が行われた用紙1005を搬送する排紙搬送ローラ対1061、1062と、用紙1005を排紙トレイ1007へ送り出すための排紙搬送ローラ対1063及び排紙ローラ対1064とを備えている。
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図31のブロック図を参照して説明する。
この制御部1200は、CPU1201と、CPU1201が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM1202と、画像データ等を一時格納するRAM1203と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための不揮発性メモリ(NVRAM)1204と、入力画像に対して中間調処理を含む本発明に係る画像処理を施すASIC1205とを含む、この装置全体の制御を司る主制御部1210を備えている。
また、この制御部1200は、画像処理装置となる情報処理装置などのホスト側と主制御部1210との間に介在して、データ、信号の送受を行なうための外部I/F1211と、記録ヘッド1024を駆動制御するためのヘッドドライバを含む印刷制御部1212と、キャリッジ1023を移動走査する主走査モータ1027を駆動するための主走査駆動部(モータドライバ)1213と、副走査モータ1131を駆動するための副走査駆動部1214と、給紙モータ1141を駆動するための給紙駆動部1215と、排紙部1006の各ローラを駆動する排紙モータ1103を駆動するための排紙駆動部1216と、図示しない両面ユニットの各ローラを駆動する両面再給紙モータ1104を駆動するための両面駆動部1217と、維持回復機構を駆動する維持回復モータ1105を駆動するための回復系駆動部1218と、帯電ローラ1034にACバイアスを供給するACバイアス供給部1219とを備えている。
さらに、制御部1200は、各種のソレノイド(SOL)類1106を駆動するソレノイド類駆動部(ドライバ)1222と、給紙関係の電磁クラック類1107などを駆動するクラッチ駆動部1224と、画像読取部1011を制御するスキャナ制御部1225とを備えている。
また、主制御部に1210は、前述した搬送ベルト1031の温度を検出する温度センサ1108の検出信号を入力する。なお、主制御部1210には、その他の図示しない各種センサの検出信号も入力されるが図示を省略している。また、主制御部1210は、装置本体1001に設けたテンキー、プリントスタートキーなどの各種キー及び各種表示器を含む操作/表示部1109との間で必要なキー入力の取り込み、表示情報の出力を行なう。
さらに、この主制御部1210には、キャリッジ1023の移動量及び移動速度を検出するためのリニアエンコーダ1101からの出力信号(パルス)と、搬送ベルト1031に移動速度及び移動量を検出ためのロータリエンコーダ1102からの出力信号(パルス)とが入力され、主制御部1210は、これらの各出力信号及び各出力信号の相関関係に基づいて主走査駆動部1213、副走査駆動部1214を介して主走査モータ1027、副走査モータ1131を駆動制御することでキャリッジ1023を移動させ、搬送ベルト1031を移動させて用紙1005を搬送する。
このように構成した画像形成装置における画像形成動作について簡単に説明すると、ACバイアス供給部1219から帯電ローラ1034に交番電圧である正負極の矩形波の高電圧を印加することによって、帯電ローラ1034は搬送ベルト1031の絶縁層(表層)に当接しているので、搬送ベルト1031の表層には、正と負の電荷が搬送ベルト1031の搬送方向に対して交互に帯状に印加され、搬送ベルト1031上に所定の帯電幅で帯電が行われて不平等電界が生成される。
そこで、給紙部1004などから用紙1005が給紙されて搬送ローラ1032と押えコロ1036との間の、正負極の電荷が形成されることによって不平等電界が発生している搬送ベルト1031上へと送り込まれると、用紙1005は電界の向きにならって瞬時に分極し、静電吸着力で搬送ベルト1031上に吸着され、搬送ベルト1031の移動に伴って搬送される。
そして、この搬送ベルト1031で用紙1005を間歇的に搬送しながら、用紙1005上に印刷データに応じて記録ヘッド1024から記録液の液滴を吐出して画像を形成(印刷)し、画像形成が行なわれた用紙1005の先端側を分離爪で搬送ベルト1031から分離して排紙搬送部1006によって、排紙トレイ1007に排紙する。
このような画像形成装置においてもスキャナ部1011で読み取った原稿画像を入力画像として、例えば前述したように画像部分に応じて複数種類の中間調処理を施した場合でも、出力画像の色及び濃度の差が低減して実質的に同じ階調特性が得られることから、γ補正を共通化することができる。