JP2008158462A - 拡散偏光子及びそれを含む光学素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 透明樹脂と、短径方向の屈折率と長径方向の屈折率とのいずれか一方が前記透明樹脂マトリックスの屈折率と実質的に一致している複屈折性の無機針状フィラーとを含む塗料を、前記透明樹脂マトリックス内で前記無機フィラーが一定方向に配向して分散するように塗工することにより得られる、等方性透明樹脂マトリックス内で無機針状フィラーが一定方向に配向して分散している拡散偏光子。
【選択図】 なし
Description
本発明の拡散偏光子は、等方性透明樹脂マトリックス中に、複屈折性の無機針状フィラーが一方方向に分散・配向しており、その針状フィラーの短径方向の屈折率と長径方向の屈折率のいずれか一方が前記等方性透明樹脂マトリックスの屈折率と実質的に一致していることを特徴とするものであり、これにより入射光のうちの一方向の偏光成分を透過し、それと直交する偏光成分を強く拡散する特性を示すことが出来る。図1に基づいて、この拡散偏光発現の機構について簡単に説明する。図1は、本発明の拡散偏光子、及びこれに細い直線光を垂直入射させた時の透過光の拡散状態を模式的に示す図であり、便宜上、針状フィラーの長軸方向をx軸、拡散偏光子の面をxy平面、拡散偏光子の厚さ方向をz軸としてある。この拡散偏光子中に含まれる複屈折性の針状フィラーの屈折率は、各光学軸に沿った方向の屈折率をnx、ny、nz、更に透明樹脂マトリックスの屈折率をn0とする。ここで、例えば透明樹脂マトリックスの屈折率n0と針状フィラーの長軸方向の屈折率nxが実質的に一致し、かつ透明樹脂マトリックスの屈折率n0と針状フィラーの短軸方向の屈折率ny、nzとは、一定の差がある場合、このフィルムに入射する光のx軸方向の偏光成分はフィルムを透過し、短軸方向y軸方向の偏光成分は針状フィラーと透明樹脂マトリックスとの界面により拡散されることになる。
このフィルムを透過拡散した光は、図1の下方に示されるように針状フィラーの配向方向と直交する方向に延びた長円形や直線状を示すが、その中心部においてはx軸方向の偏光成分が多く、それを中心に両端に伸びる拡散光部分にはy軸方向の偏光成分が多いことになる。
なお、ここで針状フィラーの屈折率のうち、短軸方向のnyとnzは透明マトリックス中でその向きを制御することも区別することも出来ないため、実質的にはその平均値であるnw=(ny+nz)/2を短軸方向の屈折率とすべきである。また、針状フィラーの長軸方向の屈折率をnl=nxと再定義すると、この拡散偏光子の光学特性は、nl、nw、n0の3つの屈折率の関係で表現することが出来る。すなわち、|nl−n0|<|nw−n0|の場合、針状フィラーの配向方向と一致する偏光成分が拡散されずに透過する割合が多く、不等号の向きが逆の場合は針状フィラーの配向方向と直交する偏光成分の直線透過量が大きいことになる。本発明では、例えば針状フィラーのいずれかの方向の屈折率と透明樹脂マトリックスの屈折率が実質的に同じであることを必須条件として挙げているが、その実質的に同じとは両者の屈折率差が0.05以下、好ましくは0.03以下、より好ましくは0.01以下であることを意味し、逆に針状フィラーの他方の屈折率と透明樹脂マトリックスの屈折率との差は0.05以上、好ましくは0.1以上であることが必要である。式で表現すれば、
|nl−n0|<0.05<|nw−n0|
となる。なお、ここでは、針状フィラーの長軸方向をx軸とし、針状フィラーの屈折率を(nx,ny,nz)と表しているが、一般には、針状フィラーの長軸方向をcとして(na,nb,nc)と表される場合もある。このときの各々の関係は(nx,ny,nz)=(nc,na,nb)である。また、本明細書において、フィラーの屈折率は、偏光顕微鏡を用いた浸液法に基づいて測定されるものとする。尚、当該浸液法の測定方法は、当該分野の教科書的文献、例えば、岩石学I 偏光顕微鏡と造岩鉱物(共立出版株式会社発行、都城秋穂、久城育夫著)の「第7章 屈折率の測定法」の「7・5 主屈折率の決定 A.一軸性正の鉱物」に記載されている。
本発明の拡散偏光子に使用される透明樹脂マトリックス材料は、光学的透明性が高く、拡散偏光子としての物理的強度を有する高分子樹脂が使用可能である。また、この拡散偏光子を透明基材や光学素子上に直接積層する場合は、この高分子樹脂には透明基材や光学素子との高い密着性が求められる。使用可能な高分子樹脂の具体例としては、アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩ビ−酢ビ共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、シクロオレフィン樹脂、ノルボルネン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられ、これらの単独もしくは混合物を使用することが出来る。更に、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂も使用可能であり、更にゾル−ゲル法等の技術を活用して作製される有機と無機のハイブリッド系樹脂も使用できる。更にガラス転移点(Tg)の低い粘着剤(主にアクリル系粘着剤)でも屈折率の条件を満たせば使用できる。
本発明で使用される複屈折性のフィラーは、針状、棒状、繊維状の高アスペクト比を有し、無色又は白色の無機の針状結晶であり、ウイスカーと呼ばれるものが好ましい。この針状結晶の短径方向の2つの結晶軸方向の屈折率差は小さく、長径方向の屈折率と短径方向の屈折率の差が大きいものが好ましい。なお、先に述べたように短径方向の屈折率は実質的に2つの結晶軸方向の屈折率の平均値として働くことになる。具体的な複屈折結晶の種類としては、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸マグネシウム、炭酸マンガン、炭酸コバルト、炭酸亜鉛、炭酸バリウム等の炭酸塩、酸化チタン、塩基性硫酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム等の針状結晶が使用可能である。
好ましい複屈折結晶として、炭酸カルシウム(鉱物名:アラゴナイト)と炭酸ストロンチウム(鉱物名:ストロンチアナイト)を例に挙げると、前者の屈折率は(na,nb,nc)=(1.681,1.685,1.530)、後者は(na,nb,nc)=(1.520,1.666,1.669)である。針状結晶の長径は結晶系のc軸と一致するため、先述のnl,nwを使って表現すれば、炭酸カルシウムの場合(nl,nw)=(1.530,1.683)、炭酸ストロンチウムの場合(nl,nw)=(1.669,1.593)となり、かなり大きな複屈折率を示していることが分かる。
針状フィラーと透明樹脂マトリックスの組み合わせとしては、例えば、針状フィラーとして炭酸カルシウム(鉱物名:アラゴナイト)を選定した場合、これを分散させる透明樹脂としては通常n1又はnwのいずれかと実質的に一致している屈折率n0を有するものを選定することが好ましく、使用可能で取り扱いの容易な透明樹脂としては、具体的には、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。
針状フィラーのサイズとしては、長径が2〜5000μm、短径が0.1〜30μmであることが好ましく、長径が10〜300μm、短径が0.3〜5μmであることが特に好ましい。長径が2μm未満或いは5000μm超では、透明樹脂マトリックス中に針状フィラーを良好に分散・配向させることが困難となり、拡散偏光特性を発現させることが出来なくなる恐れがあるため、好ましくない。一方、短径が0.1μm未満では、針状フィラーを良好に分散・配向させることが困難であると共に、拡散偏光特性が低下する恐れがあり、短径が30μm超では、拡散光がぎらぎらの強いものとなるため、好ましくない。
また、針状フィラーのアスペクト比としては、2〜1000の範囲が好ましく、より好ましくは10〜300である。アスペクト比が2未満では針状フィラーの配向性が不十分になり、また1000以上では分散時に絡み合いが多くこれが凝集欠点となるため好ましくない。
本発明の拡散偏光子は、透明基材上に直接積層することが出来るが、ここで使用可能な透明基材としては、透明性は高いもの程良好であって、全光線透過率(JIS K7361−1)が80%以上、より好ましくは85%以上、最も好ましくは90%以上のもの、また、ヘイズ値(JIS K7136)が3.0以下、より好ましくは1.0以下、最も好ましくは0.5以下のものが好適に使用できる。透明なプラスチックフィルムやガラス板等が使用可能であるが、薄く、軽く、割れ難く、生産性に優れる点でプラスチックフィルムが好適である。具体的にはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリイミド(PI)、芳香族ポリアミド、ポリスルホン(PS)、ポリエーテルスルホン(PES)、セロファン、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリビニルアルコール(PVA)、シクロオレフィン樹脂、ノルボルネン系樹脂等が挙げられ、これらの単独又は混合、更には積層したものを用いることが出来る。また基材の厚さは、用途や生産性を考慮すると1μm〜5mm、好ましくは10〜500μm、より好ましくは、50〜200μmである。
ここで、フィラーの内、複屈折性の無機針状フィラーの含有量は、全フィラーの合計質量に対して、70質量%以上が好適であり、90質量%以上がより好適である。ここで、無機針状フィラーの割合が全フィラーを基準として70質量%未満では、拡散偏光特性を十分に示すことが困難になる。
次に、本発明の拡散偏光子の偏光特性を詳述する。まず、本発明の拡散偏光子は、塗布により製造されるので、複屈折性の無機針状フィラーを略一方向に配向させ易い。更に、フィラーが配されている透明樹脂マトリックスが等方性であるため、当該マトリックス部分で偏光解消が生じない。
そして、針状フィラーが略一方向に配向した結果、当該配向の向きと同一方向に振動する偏光成分(長径方向の屈折率がマトリックス樹脂の屈折率と略同一の場合)又は当該配向の向きと垂直方向に振動する偏光成分(短径方向の屈折率がマトリックス樹脂の屈折率と略同一の場合)を透過させる一方、当該成分と垂直方向に振動する偏光成分(長径方向の屈折率がマトリックス樹脂の屈折率と略同一の場合)又は当該成分と水平方向に振動する偏光成分(短径方向の屈折率がマトリックス樹脂の屈折率と略同一の場合)を拡散させる。この結果、拡散した偏光成分を透過させるような向き・拡散した偏光成分を透過させないような向き、といった具合に、偏光板の向きを変えることにより(加えて、針状フィラーを適宜選択したり、針状フィラーとマトリックス樹脂との組み合わせを変えることにより)、偏光板からの透過光の広さや強度を所望の程度に調整することが可能になる。
本発明の拡散偏光子は、前記透明樹脂成分を含む塗料中に複屈折性の無機針状フィラーを分散させた樹脂組成物を調製し、これを透明基材や離型シート、各種光学素子上に、針状フィラーが一定方向に配向するように塗工した後、溶剤を乾燥除去することにより作製される。
また、フィラーの透明樹脂中への分散性を向上するために、予めフィラー表面に油脂類、界面活性剤、シランカップリング剤等の分散性向上剤を作用させ、フィラー表面を改質しておいてもよい。なお、かかる分散性向上剤は、フィラーの表面に付着させる代わりに、フィラー含有塗料に配合することもできる。更に、フィラー含有塗料には、必要に応じて着色染料、蛍光染料、増粘剤、界面活性剤、レベリング剤等を添加することもできる。
フィラーの樹脂組成物中への分散は、通常デイスパー、アジター、ホモジナイザー、ボールミル、アトライター等の各種混合・攪拌装置、分散装置等を用いて行うことができるが、針状フィラーの形状を維持したまま分散するためには、ビーズを使わずに強い剪断力を発生させる装置を使用する方が好ましい。調製した樹脂組成物は、基材に塗工する前にあらかじめ脱泡しておくことが好ましい。
なお、本発明の拡散偏光子は、このように塗工により作製されるため、透明樹脂には延伸工程で発生するような光学異方性は生じない。すなわち、透明樹脂マトリックス自体には位相差がなく等方性であるため、基本的に偏光を乱すことがない。
本発明では、複屈折性無機針状フィラー含有塗料を透明基材上に直接塗工して拡散偏光子を設けた拡散偏光子積層フィルムを得ることが出来るが、離型フィルムや接着力の低い他の基材や金属、セラミックス等の基材上に塗工・乾燥した後に、これを剥離して単層の拡散偏光子とすることも出来る。更に、これらの拡散偏光子や拡散偏光子積層フィルムは、透過、反射、偏光、屈折及び拡散のいずれかの機能を持つ光学素子と積層することが出来る(複屈折性無機針状フィラー含有塗料を光学素子に直接塗工してもよい)。
ここで、透過機能を示す光学素子としては、透明ガラス板や透明樹脂板が挙げられる。液晶表示装置においては、前者は液晶セルのガラス基板に、後者は導光板に該当する。また、反射機能を示す光学素子としては反射板が、偏光機能を示す光学素子としては吸収型の偏光子や反射型の偏光子が、屈折機能を示す光学素子としてはプリズムシートが、拡散機能を示す光学素子としては等方性の拡散フィルム又は拡散板が挙げられる。
なお、偏光素子には、特定の偏光のみを透過し他の光を吸収する通常の「光吸収型偏光素子」の他、特定の偏光のみを透過し他の光を反射する「光反射型偏光素子」が含まれるものとする。光反射型偏光素子としては、例えば、延伸した際に延伸方向の屈折率が異なる2種類のポリエステル樹脂(PEN及びPEN共重合体)を、押出成形技術により数百層交互に積層し延伸した構成の3M社製「DBEF」や、コレステリック液晶ポリマー層と1/4波長板とを積層してなり、コレステリック液晶ポリマー層側から入射した光を互いに逆向きの2つの円偏光に分離し、一方を透過、他方を反射させ、コレステリック液晶ポリマー層を透過した円偏光を1/4波長板により直線偏光に変換させる構成の日東電工社製「ニポックス」やメルク社製「トランスマックス」等が市販されている。これらはいずれも本発明の拡散偏光子と積層して使用することが出来る。
安価な材料を組み合わせて、高額の設備が必要な延伸工程を経ることなく、安価な塗工技術により、容易に製造可能な拡散偏光子を作製することが出来る。また、偏光板等の光学部材上に直接塗工できることで、バックライトの製造工程を簡略化できる。更に、本発明の拡散偏光部材は、偏光だけでなく光拡散性も有するため、既存の拡散フィルムを省略することも出来る。
本発明の拡散偏光子は、液晶表示装置用バックライトに使用することが出来、特に冷陰極管を使った直下型のバックライトの拡散フィルムとして、光源の形状に起因する空間的な輝度のムラを拡散機能により解消して均一化すると共にその拡散偏光機能により輝度向上を図るのに有効である。また、拡散フィルムと反射偏光子を組み合わせ、本発明の拡散偏光子で代替することによる、部材点数の削減や薄型化にも寄与することが出来る。更に、導光板、光反射素子、光拡散素子、プリズム素子、偏光素子、位相差素子、視野角拡大素子から選ばれる光学素子と組み合わせて配置したり、両者を積層することにより、更に両者の機能を高めあったり、単なる組み合わせ以上の機能を発現することが期待される。
(実施例1)
透明樹脂マトリックスとして後述するイソシアネート系硬化剤を添加して作製される、硬化皮膜の屈折率が1.50になるアクリルポリオール樹脂を選定し、メチルエチルケトンとトルエンの混合溶剤に全固形分濃度30%で溶解した溶液を調製した。このアクリルポリオール樹脂溶液230質量部に、針状フィラーとしてアラゴナイト系炭酸カルシウム{長径20〜30μm、短径0.5〜1.0μm、屈折率(na,nb,nc)=(1.681,1.685,1.530)}30質量部を添加し、さらに、希釈溶剤としてトルエンを40質量部添加し、アジターで30分間攪拌して針状フィラーを分散させた。この分散液に、イソシアネート系硬化剤5質量部を添加して十分に混合し、塗料組成物を調製した。
この組成物を、80μm厚のTACフィルム上に、アプリケーターを用いて塗工し、100℃で3分間乾燥し、本実施例に係る拡散偏光子積層フィルムを作製した。形成された拡散偏光子の厚さは19μmであった。
光学顕微鏡で観察したところ、針状フィラーは長軸が塗工方向にほぼ沿うように配向していることが確認された。また、得られた拡散偏光子積層フィルムを白い紙から10cmの間隔をおいて平行に配置し、その上からフィルムにレーザーポインターから光を垂直入射させたところ、針状フィラーの長軸方向と直交する向きに伸びた楕円形状の光像が紙上に投射された(図1参照)。
また、ゴニオフォトメーターを使用して図2に示すように、光源、サンプル台上にセットされた拡散偏光子積層フィルム、拡散偏光子積層フィルムと密接配置した偏光板、その後方でサンプル台を中心に水平方向に回転できる受光器、を同一平面内に配置し、受光器を回転することで拡散と偏光の特性を測定した。拡散偏光子積層フィルムは、針状フィラーの配向する軸方向をMD、これと垂直の軸方向をTDとし、偏光板の偏光透過軸をTM、それと垂直な吸収軸をABとして、そのいずれかの向きを装置の水平方向と一致させた状態で、受光器を水平方向に回転させ、透過率を測定した。その結果を図3に示す。これにより、指向性を持った拡散透過光の偏光状態を立体的にイメージすることが出来る。
図3では、表1に示す、装置内で水平方向に向いている拡散偏光子の2つの軸と、その背後にある偏光板の2つの軸を組み合わせた4通りのグラフが描かれている。
図3から分かるように、1−MD/TMと1−TD/ABのグラフは、非常に大きくかつ拡散性が弱い(ピークが狭い)透過率を示している。これは、針状フィラーの配向方向に振動する偏光成分は、拡散偏光子で拡散されずに偏光板に到達し、偏光板をそのまま通過するためである。尚、1−TD/ABは、1−MD/TMと比較するとやや幅広である。これは、針状フィラーの軸方向に偏光する光は拡散され難いが、その中でも針状フィラーの軸と垂直な方向に光が拡散し易いことを示している。
(2)1−TD/TM
図3から分かるように、1−TD/TMのグラフは、小さくかつ拡散性が強い(ピークが幅広)透過率を示している。これは、針状フィラーの配向方向と垂直な方向に振動する偏光成分は、拡散偏光子で左右方向に拡散された状態で偏光板に到達し、偏光板をそのまま通過するためである。
(3)1−MD/AB
図3から分かるように、1−MD/ABのグラフは、小さくかつ拡散性が低い(ピークが狭い)透過率を示している。これは、針状フィラーの配向方向と垂直な方向に振動する偏光成分は、拡散偏光子で上下方向に拡散された状態で偏光板に到達し、偏光板をそのまま通過するためである。
実施例1の透明樹脂マトリックスを、環状オレフィンコポリマーであるTOPAS−8007(屈折率1.53)に変更したほかは、実施例1と同条件で塗料組成物を調製し、これを75μm厚の透明基材上に、実施例1と同様の方法で塗工・乾燥した。形成された拡散偏光子の厚さは27μm厚であり、透明基材であるPETフィルムから容易に剥離することが出来た。
実施例2の拡散偏光子のゴニオフォトメーターでの評価結果を図4に示す。図4からも分かるように、実施例1とほぼ同様のグラフが得られた。
Claims (27)
- 等方性透明樹脂マトリックスと、前記等方性樹脂マトリックス内で一定方向に配向して分散している、短径方向の屈折率と長径方向の屈折率とのいずれか一方が前記等方性透明樹脂マトリックスの屈折率と実質的に一致している複屈折性の無機針状フィラーとを含む、拡散偏光子。
- 透明樹脂と、短径方向の屈折率と長径方向の屈折率とのいずれか一方が前記透明樹脂マトリックスの屈折率と実質的に一致している複屈折性の無機針状フィラーとを含む塗料を、前記透明樹脂マトリックス内で前記無機フィラーが一定方向に配向して分散するように塗工することにより得られる拡散偏光子。
- 透明樹脂と、短径方向の屈折率と長径方向の屈折率とのいずれか一方が前記透明樹脂マトリックスの屈折率と実質的に一致している複屈折性の無機針状フィラーとを含む塗料を、前記透明樹脂マトリックス内で前記無機フィラーが一定方向に配向して分散するように塗工することにより得られる、等方性透明樹脂マトリックス内で無機針状フィラーが一定方向に配向して分散している拡散偏光子。
- 前記無機針状フィラーは、長径が2〜50μm、短径が0.1〜5μm、アスペクト比が5以上のものである、請求項1〜3のいずれか一項記載の拡散偏光子。
- 前記無機針状フィラーは、その長軸方向の屈折率が前記透明樹脂の屈折率と実質的に一致する、請求項1〜4のいずれか一項記載の拡散偏光子。
- 前記無機針状フィラーは、アラゴナイト系炭酸カルシウムである、請求項1〜5のいずれか一項記載の拡散偏光子。
- 前記透明樹脂が、溶剤可溶の熱可塑性樹脂である、請求項1〜6のいずれか一項記載の拡散偏光子。
- 前記熱可塑性樹脂が、環状ポリオレフィンを主成分とする、請求項7記載の拡散偏光子。
- 前記熱可塑性樹脂が、スチレンアクリル共重合体を主成分とする、請求項7記載の拡散偏光子。
- 前記熱可塑性樹脂が、粘着剤である、請求項7記載の拡散偏光子。
- 前記透明樹脂が、硬化前は溶剤可溶又は無溶剤の熱硬化性樹脂である、請求項1〜6のいずれか一項記載の拡散偏光子。
- 前記透明樹脂が、硬化前は溶剤可溶又は無溶剤のUV硬化型樹脂である、請求項1〜6のいずれか一項記載の拡散偏光子。
- 前記UV硬化型樹脂が、硬化により粘着剤として機能するものである、請求項12記載の拡散偏光子。
- 前記透明樹脂は、その屈折率が1.48〜1.58である、請求項1〜13のいずれか一項記載の拡散偏光子。
- 請求項1〜14のいずれか一項記載の拡散偏光子が透明基材上に積層されている拡散偏光子積層フィルム。
- 前記拡散偏光子は、塗工方法により前記透明基材上に直接的に積層されているものである、請求項15記載の拡散偏光子積層フィルム。
- 請求項1〜14のいずれか一項記載の拡散偏光子或いは請求項15又は16記載の拡散偏光子積層フィルムが、透過、反射、偏光、屈折及び拡散のいずれかの機能を持つ光学素子上に積層されている光学部材。
- 透過機能を示す光学素子が、透明ガラス板、透明樹脂フィルム、透明樹脂板のいずれかである、請求項17記載の光学部材。
- 前記透明樹脂板が、導光板である、請求項18記載の光学部材。
- 反射機能を示す光学素子が、反射板である、請求項17記載の光学部材。
- 偏光機能を示す光学素子が、吸収型の偏光子である、請求項17記載の光学部材。
- 偏光機能を示す光学素子が、反射型の偏光子である、請求項17記載の光学部材。
- 屈折機能を示す光学素子が、プリズムシートである、請求項17記載の光学部材。
- 拡散機能を示す光学素子が、粒子分散型の拡散フィルムである、請求項17記載の光学部材。
- 拡散機能を示す光学素子が、拡散要素を含む導光板である、請求項17記載の光学部材。
- 前記拡散偏光子は、塗工方法により前記光学素子上に直接的に積層されているものである、請求項17〜25のいずれか一項記載の光学部材。
- 請求項1〜14のいずれか一項記載の拡散偏光子或いは請求項15又は16記載の拡散偏光子積層フィルムが前記光学素子上に粘着剤又は接着剤を介して積層されているものである、請求項17〜25のいずれか一項記載の光学部材。
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