JP2002328225A - 散乱異方性を有する高分子フィルムおよびそれを用いた面光源装置 - Google Patents

散乱異方性を有する高分子フィルムおよびそれを用いた面光源装置

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JP2002328225A
JP2002328225A JP2001129219A JP2001129219A JP2002328225A JP 2002328225 A JP2002328225 A JP 2002328225A JP 2001129219 A JP2001129219 A JP 2001129219A JP 2001129219 A JP2001129219 A JP 2001129219A JP 2002328225 A JP2002328225 A JP 2002328225A
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尚 串田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の主たる目的は、偏光バックライト材
料として好適な、散乱異方性を有する高分子フィルムを
提供することにある。 【解決手段】 結晶性高分子化合物のフィルムを延伸し
た高分子フィルムであって、該フィルムは該高分子化合
物のマトリックス中に分散相を有するものであり、下記
式(1)−1または(1)−2を満たし、かつ下記式
(2)及び(3)を満足する散乱異方性を有する高分子
フィルム。 ny>Ny−z>nz (1)−1 ny<Ny−z<nz (1)−2 |Ny−z−(ny+nz)/2|≦0.03 (2) |nx−Nx|>0.05 (3) (ここで、結晶性高分子化合物のマトリックスにおい
て、nxはフィルム平面内でもっとも屈折率が高い方向
の屈折率、nyは平面内でx方向と直行する方向の屈折
率、nzは厚み方向の屈折率であり、分散相において、
Ny−zはy−z平面内の平均屈折率であり、Nxはx
方向の屈折率である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は散乱異方性を有する
高分子フィルムに関し、更に詳しくは、非偏光光をある
一方向に振動する偏光に変換する機能を有する、散乱異
方性を有する高分子フィルムに関する。
【0002】このフィルムは、液晶表示装置のバックラ
イトシステムにおいて、端面入射型の導光板に用いるこ
とにより、偏光性面光源装置とすることが可能であり、
これにより汎用液晶表示装置のように直線偏光を用いる
画像表示装置における光の利用効率を向上させることが
できる。
【0003】
【従来の技術】液晶表示装置は、薄く軽量であり、低電
圧駆動であるため消費電力が少ないといった特徴を有し
ており、有力な画像情報表示装置として急成長してい
る。
【0004】液晶表示素子は一般に、捻じれた液晶を2
つの基板で保持したセルと、その両側に互いに偏光軸を
直交させて配置した偏光板によって構成されている。偏
光板としては例えばPVA-よう素系のような配向した二色
性色素を用いた二色性偏光板が用いられている。この二
色性偏光板は互いに直交する偏光成分のうち一方の直線
偏光成分のみを選択的に吸収し、他方の直線偏光成分の
みを透過する事により、非偏光光を直線偏光に変換して
いる。
【0005】液晶表示装置では、まず、バックライトか
ら出射された非偏光光は、セルの向こう側(バックライ
ト側)の偏光板により直線偏光に変換される。この変換
された光は、液晶セル内を液晶分子の捻じれに沿って旋
光するため、液晶セルの手前(観測者側)の偏光板で吸
収されず表示光として観測される。液晶セルに電圧を印
加すると液晶分子が電界方向に配列して捻じれがなくな
るために、液晶セルを透過した偏光は観測者側偏光板で
吸収される。
【0006】液晶表示装置の光利用効率は、主として
偏光板の光透過率、液晶パネルの開口率、カラーフ
ィルタの光透過率により規制される。光利用効率が低い
場合は映像光のコントラスト(相対輝度)が低くなるた
めに、表示品位が低下してしまう。一方バックライト光
源の出力を増強すれば、映像光のコントラストは増加す
るが、消費電力が増えてしまい、特に携帯機器として用
いる場合に駆動時間が低下するといった問題が生じる。
【0007】また映像光のコントラストを増す目的で、
プリズムシート等を用いて光を集光する方法もあるが、
この場合正面方向のコントラストは向上するもののそれ
以外の角度では輝度が著しく低下し、近年の広視野角化
の流れに相反するものとなる。
【0008】光の利用効率の点で最も規制を受けるのは
偏光板の光透過率である。光源光(非偏光光)から直線
偏光を偏光板により抽出する過程では、理論上光の50
%以上が失われる。そこで光源光を直線偏光に変換し、
この直線偏光の振動面を偏光板を透過する直線偏光の振
動面を一致させることができれば、光の利用効率は著し
く向上する。
【0009】例えばUSP3,610,729号公報に
は、2種類のフィルムを多層に積層した光学フィルムを
用いて、一方の直線偏光のみを分離し、直交方向の直線
偏光を反射、再利用する方法が開示されている。またE
P606940A2、D.J.Broer, J.A.M.M.van.Haaren,
G.N.Mol, F.Leenhouts; Asia Display '95, 735(1995)
には、コレステリック液晶と1/4波長板を用いる事に
より、一方の円偏光のみを選択的に透過し、他方を反
射、再利用する事により光の利用効率を高める方法が開
示されている。
【0010】これらの方法は偏光への変換効率、光の利
用効率向上といった点では効果が高いものの、厳密な高
次構造を要求される事から製造が難しく、従って高価で
あるといった問題点がある。
【0011】またWO92/22838、F.M.Weber; S
ID 93 DIGEST, 669(1993)には、ブリュースター角を利
用して、偏光分離を行う方式が開示されている。これら
の方式は比較的安価に製造可能であるものの、偏光変換
効率が不十分であり、更には偏光出射角の角度依存性が
大きく、また得られる直線偏光の種類が限定される。
【0012】特開平6−331824号公報、特開平9
−292530号公報には屈折率異方性を有する層を導
光板に用いることにより、偏光方向により界面の屈折率
差が異なることを利用して偏光分離を行う方法が開示さ
れている。これらの方法も偏光変換効率が不十分であ
り、従って光の利用効率が高くない。また屈折率異方性
が材料により限定されるという問題もある。
【0013】またO.A.Aphonin, et al.; Liq. Cryst.,
15, 3, 395(1993)、O.A.Aphonin; Liq. Cryst., 19, 4,
469(1995)、特開平8−76114号公報、特開平9−
274108号公報には、高分子と液晶との複合体を延
伸する事により液晶を配向させた異方性散乱体を散乱型
偏光板として用いる方法が開示されている。またWO9
7/32222号公報、WO97/32224号公報、
WO97/32226号公報、WO97/32227号
公報、USP5,867,316号公報、H.Yagt, et a
l.; Adv. Mater., 10, 2, 934(1998)、M.Miyatake, et
al.; IDW'98, 247(1998)には、非相溶系の高分子ブレン
ドフィルムを延伸することにより同様に散乱型偏光板と
する方法が開示されている。
【0014】また特開平9−297204号公報には、
異方散乱を発現させる成分としてアスペクト比が1以上
の酸化チタンが一方向に配列した延伸フィルムからなる
異方性散乱素子が開示されている。この素子上で偏光板
を回転すると、偏光軸と散乱軸(延伸方向)が一致した
ときもっとも暗く、直交した場合(透過軸と一致)もっ
とも明るくなることが記載されている。
【0015】これらの技術は、延伸等により屈折率の一
致した方向(透過軸)の偏光を透過し、屈折率が不一致
の方向(散乱軸)の偏光を後方散乱することにより偏光
を分離する方法を用いたもので、いわゆる散乱型偏光板
を利用したものである。その偏光分離の原理は、本発明
で対象とする光源装置とは根本的に相違する。またこれ
らの技術の場合散乱軸方向の偏光を前方散乱させること
なく後方散乱させる必要があるため、散乱因子を増やし
て多重散乱させる等の必要があり、その結果透過軸方向
の透過率を高く保つことが難しくなるといった問題があ
る。また輝度を向上させるためには後方散乱光を偏光解
消して再利用する必要性があるが、この散乱型偏光板の
場合散乱による散逸光が多いため、再利用光率が低く偏
光度の割に輝度向上率が低い。
【0016】WO97/32222号公報、WO97/
41484号公報等には、散乱による透過/非透過を利
用して偏光分離を行う光学フィルム(散乱型偏光フィル
ム)が記載されている。この光学フィルムによって、散
乱軸方向の直線偏光を後方散乱により非透過にし、透過
軸方向の直線偏光を透過させて偏光分離を行っている。
したがってより偏光分離能を大きくするためには透過率
の差をできるだけ大きく取る必要があり、理想的にはT
Tmax ≫ TTmin〜0である。WO97/32
222号公報には、散乱軸方向の拡散反射率が30%以
上であることが記載されている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主たる目的
は、偏光バックライト材料として好適な、散乱異方性を
有する高分子フィルムを提供することにある。
【0018】本発明の他の目的は、上記フィルムを用い
た、偏光出射性導光体、偏光出射性面光源装置及び液晶
表示装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、分散相を
含有する高分子フィルムにおいて、該フィルム面内に対
して斜め入射する偏光に対して高い散乱異方性を示す必
要があること、そして、該フィルム面内の一方向でなく
y−z平面内で高分子マトリックスと分散相の屈折率が
一致することが重要であるという知見に基づき本発明を
完成するに至った。
【0020】すなわち本発明は次の通りのものである。 1.結晶性高分子化合物のフィルムを延伸した高分子フ
ィルムであって、該フィルムは該高分子化合物のマトリ
ックス中に分散相を有するものであり、下記式(1)−
1または(1)−2を満たし、かつ下記式(2)及び
(3)を満足する散乱異方性を有する高分子フィルム。 ny>Ny−z>nz (1)−1 ny<Ny−z<nz (1)−2 |Ny−z−(ny+nz)/2|≦0.03 (2) |nx−Nx|>0.05 (3)
【0021】(ここで、結晶性高分子化合物のマトリッ
クスにおいて、nxはフィルム平面内でもっとも屈折率
が高い方向の屈折率、nyは平面内でx方向と直行する
方向の屈折率、nzは厚み方向の屈折率であり、分散相
において、Ny−zはy−z平面内の平均屈折率であ
り、Nxはx方向の屈折率である。) 2.分散相の割合が、結晶性高分子化合物のマトリック
ス100重量部に対し0.01から30重量部である、
上記1の高分子フィルム。 3.全光線透過率(TT)が50%以上である、上記
1、2の高分子フィルム。 4.分散相が独立あるいは凝集した微粒子からなり、該
微粒子の1次粒子の粒径rが、下記式 0.01μm<r<10μm を満たす上記1〜3の高分子フィルム。 5.分散相が架橋高分子からなるコアとそれを包む高分
子シェルからなるコアシェル型粒子である上記4の高分
子フィルム。 6.分散相が、結晶性高分子化合物Aのマトリックスの
海の中に、平均径0.1〜400μmの島状の高分子化
合物Bとして存在したものである上記4の高分子フィル
ム。 7.透明媒体からなる端面入射型導光板に、上記1〜6
の散乱異方性を有するフィルムを粘着層あるいは接着層
を介して貼付してなる偏光出射性導光体。 8.上記7の偏光出射性導光体、該導光体の端面に装着
した光源、および該導光体の出射面と反対側に設置され
た正反射板を主要な構成要素とする偏光出射性面光源装
置。 9.上記8の偏光出射性面光源装置を用いた液晶表示装
置。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0023】本発明は散乱異方性を有する高分子フィル
ム(以下散乱異方性フィルムということがある)に関す
るものであり、該フィルムを導光体表面に貼付して用い
る偏光性面光源装置に特に好適である。そこでまず本発
明の偏光性面光源装置の原理について説明する。
【0024】ここでその偏光バックライトを簡単に説明
する。図3のような導光体にそれの端面から光が全反射
角度でより浅い角度入射した場合、この光は導光板と空
気の界面で反射を繰り返しながら進んでいくため、光は
通常端面以外から出射することはない。
【0025】しかし本発明では例えば図1および図2の
ように、導光体表面に、散乱異方性層として散乱異方性
を有する高分子フィルムを有する。本発明では、この散
乱異方性層の入射面内方向における異方性の方向を変え
ることにより、所望の直線偏光を任意に選択することが
できる。ここでは例として散乱の異方性が、図4におい
て、紙面に垂直な電界の振動面を持つ直線偏光に対して
散乱が大きく、紙面と平行な電界の振動面を持つ直線偏
光に対して散乱が小さい場合を挙げて説明する。導光体
内を進む非偏光光のうち紙面に垂直な偏光成分は、散乱
異方性層における散乱異方性因子によって前方へ散乱す
る。そして散乱光の一部は散乱異方性層と空気との界面
に、臨界角より深い角度で入射するため全反射を受けず
導光体より偏光光として出射する。一方、紙面と平行な
偏光成分は、散乱異方性因子による散乱をほとんど受け
ない。したがってこれまで通り臨界角より浅い角度でヘ
イズ異方性層と空気との界面に入射し、従って全反射さ
れ導光体の中を伝達して行く。従って図4の上面、ある
いは下面から出射する光は常に紙面と垂直な電界の振動
面を持つ直線偏光となり、非偏光光から特定の直線偏光
を分離することが可能となる。また出射しなかった偏光
は、導光体あるいは散乱異方性層の持つ複屈折性により
偏光解消され、再び非偏光光として再利用される。
【0026】このように、本発明の散乱異方性を有する
高分子フィルムを具備した光源装置は、散乱の大きい方
向(散乱軸)の偏光を散乱させ入射角度を変え、導光体
の全反射を破って出射させる原理を利用することにより
偏光を得るものである。従って散乱方向は前方散乱でも
後方散乱でも問題なく、むしろかかる散乱異方性を有す
る高分子フィルム自体の高い透過率を保つため前方散乱
性が高い方が好ましい。また利用されなかった散乱の小
さい方向(透過軸)の偏光は界面への入射角度が変わら
ないため導光体表面で全反射を繰り返し導光板中に閉じ
込められたままであるため散逸する恐れがなく、更には
散乱異方性を有する高分子フィルム自体の強い複屈折性
により偏光解消され再利用される。
【0027】本発明の散乱異方性を有する高分子フィル
ムは、結晶性の高分子化合物を通常一軸方向に延伸した
フィルムであり、該結晶性の高分子化合物が構成する高
分子マトリックスの中に、マトリックスとは実質的に相
溶しない多数の相が分散している。かかる高分子フィル
ムにおいて、高分子マトリックスの屈折率nx,ny,
nz(ここでnxはフィルム平面内でもっとも屈折率が
高い方向の屈折率、nyは平面内でx方向と直交する方
向の屈折率、nzは厚み方向の屈折率である)と分散相
のy−z平面内の平均屈折率Ny−zは、下記式(2) |Ny-z−(ny+nz)/2|≦0.03 (2) を満たしかつ、分散相のx方向の屈折率Nxが、下記式
(3) |nx−Nx|>0.05 (3) を満足する。この高分子フィルムはx方向の振動面をも
つ直線偏光を強く散乱し、x方向と直交する振動面をも
つ直線偏光に対して散乱が弱い。特にx−y平面に対し
て浅い角度で入射するx方向と直交する振動面をもつ直
線偏光に対して散乱が弱くなる。
【0028】上記式(2)において、|Ny-z−(ny
+nz)/2|>0.03の場合は、マトリックスであ
る結晶性高分子と分散相の屈折率の一致が不十分である
ため、非散乱軸の散乱が増加し偏光度が低下することが
ある。
【0029】上記式(3)において、また|nx−Nx
|≦0.05の場合は散乱軸の散乱が不十分となり、必
要である偏光の出射が低下し、これも偏光性面光源装置
としての偏光度を低下させることとなる。ただし|nx
−Nx|の値は大きすぎると後方散乱性が増加するため
全光線透過率が低下し、光の取り出し効率の点で好まし
くない結果をもたらすことがある。したがって上記式
(3)は、より好ましくは 0.05<|nx−Nx|≦0.25 (3)−1 である。
【0030】本発明の散乱異方性を有する高分子フィル
ムは、フィルム面内の一方向でなくy−z平面内でマト
リックスと分散相の屈折率がほぼ一致することにより、
導光体中を透過する光の中で最も多く存在するフィルム
面内に対して斜め入射する偏光に対して高い散乱異方性
を示す。すなわち、下記式(1)−1及び(1)−2 ny>Ny−z>nz (1)−1 ny<Ny−z<nz (1)−2 を満足し、光源装置に用いる場合に特に大きな効果を示
す。
【0031】本発明の散乱異方性を有する高分子フィル
ムにおける高分子マトリックスを構成する高分子は、フ
ィルムを延伸したときの高分子鎖が配向しやすい結晶性
あるいは半結晶性の透明高分子が好ましい。非晶性高分
子の場合、フィルムを延伸する際の高分子鎖の配向が難
しいため、分散層との屈折率差を大きく取ることが難し
く、したがって、十分な散乱異方性を得ることが難しく
なる。
【0032】このような結晶性高分子としては特に限定
はないが、例えばポリエチレンテレフタレートやポリエ
チレンナフタレート等のポリエステルフィルム、シンジ
オタクチックポリスチレンフィルム、ポリエチレンフィ
ルム、ポリプロピレンフィルムなど、実質的に透明もし
くは半透明である結晶性高分子からなるフィルムを挙げ
ることができる。好ましくはポリエステルフィルムであ
る。
【0033】本発明の高分子フィルムは、どちらか1軸
方向に強く延伸された配向フィルムであるものが好まし
い。したがって、例えばいわゆる1軸延伸フィルムのほ
か等幅1軸延伸および縦横の延伸比が1.5以上の2軸
延伸フィルムを含む。
【0034】高延伸倍率方向の延伸倍率は1.5倍以上
であることが好ましい。また好適な延伸倍率はポリマー
の種類、延伸温度、延伸速度等の条件によって異なって
くるが、例えばポリエステル系フィルムの場合3倍以上
であることが好ましい。
【0035】ところで、これまで類似の機能を用いるフ
ィルムとして散乱型偏光フィルムがWO97/3222
2号公報、WO97/41484号公報等で開示されて
いる。これらの散乱型偏光フィルムはフィルム面内のマ
トリックスと分散相の屈折率の一致・不一致を用いてい
る。
【0036】一方本発明の偏光性面光源装置では、光は
散乱異方性を有する高分子フィルム内をその全反射角よ
り浅い角度で透過するため、該フィルム面に対して浅い
角度の光に対する散乱の異方性が重要である。特に、y
−z平面でのマトリックスと分散相の屈折率マッチング
が重要である。
【0037】また本発明の散乱異方性フィルムは全光線
透過率TTが TT>50% である。このフィルムを偏光性面光源装置に用いる場
合、散乱の方向が前方散乱、後方散乱によらず偏光分離
機能は得られる。しかし得られた直線偏光を有効に活用
するためにも全光線透過率は高い方が好ましい。より好
ましくはTT>60%であり、更に好ましくはTT>7
0%である。
【0038】この全光線透過率の条件を満たすことによ
り、偏光の振動方向により散乱効率が大きく異なるが、
散乱が前方散乱であるため全光線透過量は偏光面による
影響を受けない。従って上記の様な偏光バックライト用
の散乱異方性を有するフィルムとして好適である。
【0039】ところで、散乱型偏光子であるWO97/
32222号公報等に記載のフィルムは、散乱による透
過/非透過を利用して偏光分離を行う光学フィルムであ
る。したがって基本的にフィルムに対して直交方向から
の光に対しての散乱の異方性が重要であり、本発明のよ
うに斜め入射に対する異方性を要求されるフィルムとは
根本的に相違する。またこの光学フィルムによって、散
乱軸方向の直線偏光を後方散乱により非透過にし、透過
軸方向の直線偏光を透過させて偏光分離を行っている。
したがってより偏光分離能を大きくするためには透過率
の差をできるだけ大きく取る必要があり透過率の低下が
好ましくない本発明のフィルムとは相違する。
【0040】本発明では高分子マトリックスに対する分
散相の比率は、該マトリックス100重量部に対し0.
01〜30重量部である。本発明においては分散相を増
やすことにより多重に散乱させて出射光を正面方向に立
ち上げること、あるいは分散相を減らすことにより多重
散乱を減らしシャープな出射パターンを得る等のコント
ロールが可能である。ただし分散相が30重量部より多
い場合は、過度の多重散乱のため偏光分離効果が低下す
る傾向にあり、また0.01重量部より少ない場合は面
光源装置としての十分な輝度を得ることが難しくなる。
【0041】本発明において、上記高分子化合物のマト
リックス中に含有される分散相としては、例えば (i) 1次粒子径が0.01〜10μmである微粒子、あ
るいはその凝集体 (ii) 高分子化合物 から構成されるものを挙げることができる。
【0042】(i)1次粒子径が0.01〜10μmで
ある微粒子、あるいはその凝集体としては、基本的に透
明な有機あるいは無機フィラーであれば特に制限は無
い。好ましくはフィルムを延伸したときにボイドの生じ
にくい有機系フィラーである。本発明の微粒子の1次粒
径は0.01〜10μmである。ここで1次粒径という
のは粒子の最小単位の大きさである。1次粒径が0.0
1以下の場合は光学的効果が生じない可能性が高く、1
0μmを越える場合は延伸時にボイドが生じやすくなる
ため好ましくない。
【0043】本発明における分散相は1次粒子単独で
も、その凝集体でも良い。特に1次粒子がサブミクロン
オーダーの微粒子の場合、表面エネルギーの影響で凝集
体になりやすく、その凝集体として好ましい光学特性を
得ることができる。
【0044】本発明に用いる微粒子としては、例えば、
アクリル微粒子、スチレン微粒子、シリコーン微粒子、
スチレン−ブタジエンゴム微粒子、アクリル−アクリル
コアシェル型微粒子、アクリル−スチレン−ブタジエン
コアシェル微粒子等を例示することが出来る。特にコア
シェル型微粒子はゴム弾性を有するため延伸によるボイ
ドの生成等の悪影響が少なく好ましい。
【0045】(ii) 分散相が高分子化合物の場合、高分
子のマトリックス中に分散相の高分子が島状に分散して
いる。分散相の形態としては一般に延伸方向に長軸を持
つ楕円球であるが、その平均径としては0.1〜400
μmが好ましい。平均径が0.1μm未満の場合は、光
学的な作用を生じないことがあり、また400μmより
大きい時は散乱の異方性が不十分となることがある。よ
り好ましくは0.5〜50μmである。
【0046】分散相に用いる高分子化合物としては基本
的に透明なものであり、マトリックスに用いる上記結晶
性高分子化合物と基本的に非相溶であるものであれば制
限は無い。ただし屈折率が上記式(1)〜(3)の関係
を満たすように選択する必要がある。
【0047】例えば高分子マトリックスとしてポリエチ
レンナフタレートを用いた場合は、分散相に用いる高分
子化合物としては、ポリスチレン、シンジオタクチック
ポリスチレン、メタクリレート−スチレン共重合体、ア
クリロニトリル−スチレン共重合体等を例示できる。ま
たマトリックスがポリエチレンテレフタレートの場合
は、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、メタ
クリレート−スチレン共重合体等が例示できる。
【0048】また本発明の散乱異方性フィルムは、後述
のように延伸して製造するため、延伸温度で分散相を構
成する高分子もある程度弾性を有し、延伸に追随できる
ものが好ましい。
【0049】本発明の散乱異方性フィルムの製造方法と
しては、結晶性高分子化合物と分散相を形成する材料,
例えば上記微粒子またはその凝集体、もしくは上記高分
子化合物との所定量を秤量後、溶融混合し押出し製膜す
る。分散性を高めるため予め高濃度のマスターバッチを
用いる事も好ましい。溶融製膜後、1軸あるいは2軸に
延伸を行う。延伸温度はマトリックスに用いる結晶性高
分子により異なるが、例えばポリエチレンテレフタレー
トの場合は80℃〜120℃、ポリエチレンナフタレー
トの場合は90℃〜150℃程度である。
【0050】本発明の散乱異方性フィルムの厚さとして
は、0.1μm〜200μm、好ましくは10〜200
μmである。このフィルム厚が薄い場合は出射角度がよ
りシャープになる。一方厚い場合は多重散乱により出射
ピークが正面に立ち上がる。
【0051】本発明の散乱異方性フィルムは、透明媒体
からなる端面入射型導光板の出射面あるいは反対面に、
粘着層あるいは接着層を介して貼付することにより偏光
分離能を有する導光体である偏光出射性導光体を提供す
る。ここで粘着あるいは接着というのは導光体と散乱異
方性フィルムの間に実質的に空気層を挟まないと言う意
味である。接着方法としてはUV接着剤等の接着剤、あ
るいは光学用粘着剤等を用いる事が出来る。偏光を乱さ
ないため、この粘着層あるいは接着層は複屈折を持って
いないことが好ましい。この層の厚みとしては5〜10
0μmである。
【0052】しかして本発明によれば、上記偏光出射性
導光体を備えた偏光バックライトを与える。すなわち、
上記偏光出射性導光体を用い、該導光体の端面に装着し
た光源、および該導光体の出射面と反対側に設置された
正反射板を主要な構成要素とする偏光出射性面光源装置
が提供される。光源としては特に制限は無く、通常用い
られている冷陰極管や発光ダイオードを用いることが出
来る。また光源を設置する端面も特に制限は無い。また
正反射板は偏光を乱さない意味で複屈折をもたないこと
が好ましい。
【0053】また本発明の偏光出射性面光源装置は、導
光体と、該導光体の表面上の散乱異方性フィルムとの接
着部位のみを通して偏光が出射するという特徴を有する
ため、接着部位の形状、面積、比率をコントロールする
ことにより面内輝度の均斉化を測ること可能である。接
着部位の形状、面積、比率をコントロールする方法とし
ては接着剤自身をディッピング、スクリーン印刷等によ
りパターン化する方法や導光板、あるいはフィルムに凹
凸の加工を行ったものを張り合わせることにより、フィ
ルムと導光板の接触位置をコントロールする方法等が考
えられる。図5に接着層がパターニングされた面光源装
置の概念図を示す。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、分散相を有する延伸高
分子フィルムのy−z平面内でマトリックスと分散相の
屈折率をほぼ一致させることにより、偏光性面光源装置
として好適な前方散乱性の高い散乱異方性フィルムを得
ることが出来る。このフィルムを具備する偏光性面光源
装置は、偏光光が必要な液晶表示の輝度を向上させ、低
消費電力化することが可能である。
【0055】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明を詳しく説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。 1.全光線透過率は日本電色工業(株)製 デジタル濁度
計NDH−20D(Degital Haze Meter NDH-20D)を用
いて測定した。 2.屈折率は(株)アタゴ製(ATAGO Co., LTD)製 アッ
ベ屈折率計2−T(ATAGOAbbe refractmeter 2-T)を用い
て測定した。 3.輝度はミノルタカメラ(株)(MINOLTA Co., LTD)製
輝度計LS−110(Luminance meter LS-110)を用いて
測定した。導光板の出射面上に偏光板を置き、該偏光板
を回転させながら、導光板より出射する直線偏光の輝度
を測定し、その輝度から偏光度を下記式で計算した。
【0056】偏光度δ(%)=(最大輝度−最小輝度)
/(最大輝度+最小輝度)x100 ここで最大輝度は面内で偏光板を回転させた時輝度が最
大になる位置(角度)における輝度、最小輝度は輝度が
最低となる位置(角度)における輝度である。 4.用いたポリマーは以下の通りである。 (1)帝人(株)製 ポリエチレンテレフタレート(P
ET) (2)帝人(株)製 ポリエチレンナフタレート(PE
N) (3)出光化学(株)製 シンジオタクチックポリスチレ
ン(sPS) 「ザレック」41AC
【0057】[実施例1]結晶性高分子としてPET 9
7.5重量部と、分散相を構成する成分として三菱レイ
ヨン製コアシェル微粒子「メタプレン」C−132
2.5重量部を(株)東洋精機製作所製 二軸混練押し出
し機「ラボプラストミル」を用いて280℃で混練し、
溶融押し出し法により製膜した。このサンプルを延伸部
の面積50mmx120mmで、80℃にて4.5倍に
1軸延伸し厚さ100μmのフィルムを得た。このフィ
ルムの光線透過率を測定した。
【0058】次にこの1軸延伸フィルムを、粘着剤(綜
研化学(株)製 「SKダイン」1811L)を用いて8
0mm x 80mm x 2mmのアクリル板の上面
に貼付し導光板とした。粘着層の厚みは10μmであっ
た。ついで図1に示すように、管径3mm、管長100
mm、中心輝度1万cd/m2の棒状の光源灯(冷陰極
管)を、光を入射させる該導光板の端面に装着した。こ
の際冷陰極管の長さ方向と貼付した上記フィルムの延伸
方向が平行になるようにした。また光源灯の導光板に対
面していない部分と、導光板の光入射面以外の端面、お
よび導光板の出射面である上記フィルム設置面の反対面
をアルミ蒸着フィルムで被覆した。
【0059】このようにして作成した面光源装置を用い
て輝度を測定し偏光度を求めた。測定結果を表に示す。
【0060】[実施例2]分散相を三菱レイヨン製コアシ
ェル微粒子「メタブレン」C−201とした以外は実施
例1と同様に実施した。
【0061】[実施例3]分散相を三菱レイヨン製コアシ
ェル微粒子「メタブレン」C−223とした以外は実施
例1と同様に実施した。
【0062】[実施例4]分散相を三菱レイヨン製コアシ
ェル微粒子「メタブレン」W−300Aとした以外は実
施例1と同様に実施した。
【0063】[実施例5]分散相を呉羽化学工業製コアシ
ェル微粒子「パラロイド」EXL−712とした以外は
実施例1と同様に実施した。
【0064】[実施例6]分散相を呉羽化学工業製コアシ
ェル微粒子「パラロイド」EXL−731とした以外は
実施例1と同様に実施した。
【0065】[比較例1]PET 99.7重両部にカオ
リン 0.3重量部を加えて1軸混練機で280℃で混
練・製膜し、そのまま連続でTD方向(ここで初めて
「TD方向」という語が出てきます。できれば他の語に
して下さい)に140℃で4倍に1軸延伸した。このフ
ィルムを用いた以外は実施例1と同様に実施した。
【0066】[比較例2]PET 99.9重両部に架橋
ポリスチレン粒子 0.1重量部を加えて1軸混練機で
280℃で混練・製膜し、そのまま連続でTD方向に1
40℃で4倍に1軸延伸した。このフィルムを用いた以
外は実施例1と同様に実施した。
【0067】[比較例3]PET 99.7重量部とシリ
カ微粒子 0.3重量部を(株)東洋精機製作所製 二軸
混練押し出し機 ラボプラストミル を用いて280℃
で混練製膜した以外は、実施例1と同様に実施した。分
散相のNy−zが、上記式(1)−1及び(1)−2の
いずれも満足せず、上記式(3)も満たしていないの
で、偏光度が小さくなってしまった。
【0068】
【表1】
【0069】以上の結果より、本発明の偏光面光源装置
に用いる散乱異方性を有するフィルムとしては、面内の
一方向の屈折率のマッチングよりy−z平面での屈折率
マッチングが重要である事は明白であり、WO97/3
2222号公報等に記載されている散乱型偏光フィルム
とは異なるものである。特に比較例1,2を参照された
い。また該フィルムを用いた偏光性面光源装置は偏光変
換能に優れ、液晶表示装置等に用いた場合に、その輝度
を著しく向上させる事が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の散乱異方性を用いた偏光出射性面光源
装置の概念図の一例である。
【図2】本発明の散乱異方性を用いた偏光出射性面光源
装置の概念図の一例である。
【図3】従来の面光源装置の概念図である。
【図4】本発明の面光源装置における偏光変換の原理を
説明する概念図である。
【図5】実施例1の接着層がパターニングされた面光源
装置の概念図である。
【符号の説明】
1:導光体 2:散乱異方性層 3:反射板 4:冷陰極管 5:ランプリフレクター 6:非偏光光(自然偏光) 7:直線偏光の振動方向 8:異方散乱因子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 6/00 331 G02B 6/00 331 G02F 1/13357 G02F 1/13357 G09F 9/00 336 G09F 9/00 336J // C08L 101:00 C08L 101:00 F21Y 103:00 F21Y 103:00 Fターム(参考) 2H038 AA55 BA06 2H049 BA05 BA44 BB44 BB63 BC03 BC22 2H091 FA08Z FA41Z FD06 LA16 LA18 LA19 4F071 AA15 AA20 AA22 AA33 AA34 AA44 AE18 AF35 AH12 BA01 BB06 BB07 BC01 5G435 AA03 BB12 BB15 FF03 FF05 FF08 HH01 KK07

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶性高分子化合物のフィルムを延伸し
    た高分子フィルムであって、該フィルムは該高分子化合
    物のマトリックス中に分散相を有するものであり、下記
    式(1)−1または(1)−2を満たし、かつ下記式
    (2)及び(3)を満足する散乱異方性を有する高分子
    フィルム。 ny>Ny−z>nz (1)−1 ny<Ny−z<nz (1)−2 |Ny−z−(ny+nz)/2|≦0.03 (2) |nx−Nx|>0.05 (3) (ここで、結晶性高分子化合物のマトリックスにおい
    て、nxはフィルム平面内でもっとも屈折率が高い方向
    の屈折率、nyは平面内でx方向と直行する方向の屈折
    率、nzは厚み方向の屈折率であり、分散相において、
    Ny−zはy−z平面内の平均屈折率であり、Nxはx
    方向の屈折率である。)
  2. 【請求項2】 分散相の割合が、結晶性高分子化合物の
    マトリックス100重量部に対し0.01から30重量
    部である、請求項1記載の高分子フィルム。
  3. 【請求項3】 全光線透過率(TT)が50%以上であ
    る、請求項1または2記載の高分子フィルム。
  4. 【請求項4】 分散相が独立あるいは凝集した微粒子か
    らなり、該微粒子の1次粒子の粒径rが、下記式 0.01μm<r<10μm を満たす請求項1〜3のいずれかに記載の高分子フィル
    ム。
  5. 【請求項5】 分散相が架橋高分子からなるコアとそれ
    を包む高分子シェルからなるコアシェル型粒子である請
    求項4記載の高分子フィルム。
  6. 【請求項6】 分散相が、結晶性高分子化合物Aのマト
    リックスの海の中に、平均径0.1〜400μmの島状
    の高分子化合物Bとして存在したものである請求項4記
    載の高分子フィルム。
  7. 【請求項7】 透明媒体からなる端面入射型導光板に、
    請求項1〜6のいずれかに記載の散乱異方性を有するフ
    ィルムを粘着あるいは接着層を介して貼付してなる偏光
    出射性導光体。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の偏光出射性導光体を用
    い、該導光体の端面に装着した光源、および該導光体の
    出射面と反対側に設置された正反射板を主要な構成要素
    とする偏光出射性面光源装置。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の偏光出射性面光源装置を
    用いた液晶表示装置。
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