JP4108249B2 - 偏光性面光源装置およびそれを用いた液晶表示素子 - Google Patents

偏光性面光源装置およびそれを用いた液晶表示素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は偏光性面光源装置に関し、更に詳しくは特定の偏光を出射する端面入射型の偏光性面光源装置に関するものである。かかる偏光性面光源装置を用いることにより汎用液晶表示装置のように直線偏光を用いる画像表示装置における光の利用効率を向上させる事ができる。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、薄く軽量であり、低電圧駆動であるため消費電力が少ないといった特徴を有しており、有力な画像情報表示装置として急成長している。
【0003】
液晶表示素子は捻じれた液晶を基板で保持したセルとその両側に直交に配置した偏光板によって構成されている。偏光板としては例えばPVA-よう素系のような配向した二色性色素を用いた二色性偏光板が用いられている。この二色性偏光板は互いに直交する偏光成分のうち一方の直線偏光性分のみを選択的に吸収し、他方の直線偏光性分のみを透過する事により、非偏光光を直線偏光に変換している。
【0004】
液晶表示装置ではバックライトにより出射された非偏光光は偏光板により直線偏光に変換され、液晶セル内を液晶分子の捻じれに沿って旋光するため出射側の偏光板で吸収されず表示光として出射される。反対にセルに電圧を印加すると液晶分子が電界方向に配列して捻じれがなくなるために、セルを透過した偏光は出射側偏光板で吸収される。
【0005】
液晶表示装置の光利用効率は、主として▲1▼偏光板の光透過率、▲2▼液晶パネルの開口率、▲3▼カラーフィルタの光透過率により規制される。ここで光利用効率が低い場合は映像光のコントラスト(相対輝度)が低くなるために、表示品位が低下してしまう。一方光源の出力を増強すれば、映像光のコントラストは増加するが、消費電力が増えてしまい、特に携帯機器として用いる場合に駆動時間が低下するといった問題が生じる。
【0006】
また映像光のコントラストを増す目的で、プリズムシート等を用いて光を集光する方法もあるが、この場合正面方向のコントラストは向上するもののそれ以外の角度では輝度が著しく低下し、近年の広視野角化の流れに相反するものとなる。
【0007】
光の利用効率の点で最も規制を受けるのは偏光板の光透過率である。光源光(非偏光光)から直線偏光を偏光板により抽出する過程では、理論上光の50%以上が失われる。そこで光源光を直線偏光に変換し、この振動面を偏光板を透過する直線偏光の振動面を一致させると、光の利用効率は著しく向上する。
【0008】
例えばUSP 3,610,729号公報、USP 5,094,788号公報、USP 5,486,949号公報、WO95/17303号公報、WO95/17691号公報、WO95/17692号公報、WO95/17699号公報、等において2種類のフィルムを多層に積層した光学フィルムを用いて、一方の直線偏光のみを分離し、直交方向の直線偏光を反射、再利用する方法が開示されている。また特開平1−133003号公報、特開平3−45906号公報、特開平10−3079号公報およびD.J.Broer, J.A.M.M.van.Haaren, G.N.Mol, F.Leenhouts; Asia Display '95, 735(1995)等において、コレステリック液晶と1/4波長板を用いる事により、一方の円偏光のみを選択的に透過し、他方を反射、再利用する事により光の利用効率を高める方法が開示されている。
【0009】
これらの方法は偏光への変換効率、光の利用効率向上といった点では効果が高いものの、厳密な高次構造を要求される事から製造が難しく、従って高価であるといった問題点がある。
【0010】
また特開平9−265010号公報、特開平9−274109号公報およびF.M.Weber; SID 93 DIGEST, 669(1993)においてブリュースター角を利用して、偏光分離を行う方式が開示されている。これらの方式は比較的安価に製造可能であるものの、偏光変換効率が不十分であり、更には偏光出射角の角度依存性が大きく、また得られる直線偏光の種類が限定されるといった問題がある。
【0011】
またO.A.Aphonin, et al.; Liq. Cryst., 15, 3, 395(1993)、O.A.Aphonin; Liq. Cryst., 19, 4, 469(1995)、特開平8−76114号公報、特開平9−274108号公報において高分子と液晶の複合体を延伸する事により添加物を配向させた異方性散乱体を散乱型偏光板として用いる方法が開示されている。またH.Yagt, et al.; Adv. Mater., 10, 2, 934(1998)、M.Miyatake, et al.; IDW'98, 247(1998)等で非相溶系の高分子ブレンドフィルムを延伸することにより同様に散乱型偏光板とする方法が開示されている。これらの方法は複合体の屈折率が液晶成分または高分子成分により限定されること、散乱効果を十分に取るには多重散乱させる必要がありその結果透過方向の透過率が低下すること等により大きな偏光効率を得る事が難しい。また散乱であるため光が散逸してしまい好ましくない。更には製造時に相分離等の技術を用いる必要があり、安定した製造が難しい。
【0012】
一方特開平9−297204号公報においては異方散乱を発現させる成分としてアスペクト比が1以上の繊維状あるいは板状の無機物を配列させたフィルムが開示されている。この方法で十分な異方散乱性を得るには、大量の無機物を添加する必要があり力学物性上非常に問題がある。従って大面積化や連続生産性に非常に問題がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、平易かつ安価な方法で偏光分離を行うことができる偏光性面光源装置を得ることであり、更にはそれにより液晶表示装置における光の利用効率を向上させる事で高コントラストかつ低消費電力という相反する2点を満たす事である。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、ヘイズ異方性を有するライトガイドを用いる事により、特定偏光のみを散乱出射させる偏光性面光源となる事を明らかにし本発明に至った。更には本発明の偏光性面光源を用いる事により、液晶表示装置としての光利用効率を向上させる事ができる。
【0015】
すなわち本発明は、端面入射型のライトガイド、該ライトガイドの出射面と反対側に設置された正反射板、及び該ライトガイドの端面に装着した棒状の光源灯を主要な構成要素とする偏光性面光源装置において、ライトガイドとして直線偏光の振動方向によりヘイズの値が異なるヘイズ異方性を有する、単一の層からなるポリマーシートであるライトガイド(ヘイズ異方性ライトガイド)を用いることにより、該ヘイズ異方性ライトガイド中を伝送する非偏光光のうち、ヘイズの値が最も大きい振動方向の直線偏光を散乱させ、出射せしめる偏光性面光源装置である。かかる偏光性面光源装置は、ヘイズ異方性を有するライトガイドを用いることにより、該ライトガイド中を伝送される非偏光光から特定の直線偏光を散乱し、その結果該偏光の界面への入射角が臨界角より大きくなることにより、該偏光を選択的に出射せしめる偏光分離を行う方法を利用したものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明について詳細に説明する。
本発明の偏光性面光源装置は図1に示す通り、端面入射型のライトガイド、該ライトガイドの端面に装着した棒状の光源灯、および該ライトガイドの裏面に装着した光反射層を主要な構成要素とする面光源装置において、該ライトガイドがヘイズ異方性を有する事を特徴とする偏光性面光源装置である。
【0017】
本発明はヘイズに異方性を有する、単一の層からなるポリマーシートであるライトガイドを用いることを特徴とする。ヘイズとは下記式
【0018】
【数5】
H(%) = Td/Tt x 100
で表わされる値である。ここでTdは拡散光透過率、Ttは全光線透過率である。つまりヘイズとは透過光に対する拡散光の割合を示しており、値が大きいほど光が散乱され易い。本発明におけるヘイズの異方性とは、直線偏光を入射光とする場合に、その直線偏光の振動方向により、散乱の効率が異なる現象を言う。
【0019】
本発明で用いるヘイズ異方性ライトガイドは、直線偏光の偏光面を面内で回転させてヘイズ測定を行った場合、最も高いヘイズの値をHMAX、最も低い値をHMINとした場合、HMAX/HMINの値が大きいほど好ましい。特にHMIN〜0であることが理想である。
【0020】
以下本発明の偏光分離の原理を説明する。図2の様なライトガイドに端面から光を入射した場合、入射光はライトガイドと空気の界面で反射を繰り返しながら進んでいくため、光は端面以外から出射することはない。
【0021】
しかし本発明では以下の図1のように、ライトガイドがヘイズ異方性を有している。本発明ではヘイズ異方性を有する方向により、好適な偏光を任意に選択することが可能であるが、ここでは例としてヘイズの異方性が、紙面に垂直な電界の振動面を持つ直線偏光に対してヘイズが高く、紙面と平行な電界の振動面を持つ直線偏光に対してヘイズが低い場合を挙げて説明する(図3)。この場合ライトガイド内を進んできた非偏光光のうち紙面に垂直な偏光成分はガイドライド中の散乱異方性因子によって散乱され、一部は前方方向に散乱されてライトガイドと空気の界面に臨界角より深い角度で入射するため反射を受けず透過し、偏光光として出射する。一方紙面と平行な偏光成分は散乱されないためこれまで通り臨界角より浅い角度でライトガイドと空気の界面に入射し、従って全反射されライトガイドの中を伝播して行く。従って図の上面、あるいは下面から出射する光は常に紙面と垂直な電界の振動面を持つ直線偏光となり、非偏光光から特定の直線偏光を分離することが可能となる。また出射しなかった偏光は、ライトガイドの複屈折性により偏光解消され、再び非偏光光として再利用される。
【0022】
上記説明では簡単のため、紙面に垂直な電界の振動面を持つ直線偏光に対してヘイズが高く、紙面と平行な電界の振動面を持つ直線偏光に対してヘイズが低い場合を挙げて説明した。しかし本発明の特徴としてはヘイズの高い方向の偏光が常に出射することが挙げられる。従ってヘイズ異方性を示す方向を変えることにより、出射する偏光の向きを自由に選択することが可能であり、45°方向の偏光が要求されるTN型液晶表示装置にも対応可能である。
【0023】
図3及び上記説明では平板型のライトガイドを例に挙げて説明を行ったが、面光源装置として用いる場合のライトガイドであるライトガイドの形状に制限はなく、予め出射特性が制御された楔型ライトガイド、プリズム付ライトガイド、マイクロレンズ付ライトガイド、ドット印刷付ライトガイド等を用いることも可能である。また両端入射等、複数の端面より光を入射するタイプの面光源装置に用いることも可能である。
【0024】
本発明におけるヘイズに異方性ライトガイドは、ポリマーを原料とするものである。そしてポリマーをヘイズ異方性を有する単一の層からなるフィルムまたはシート状としたものである。
【0025】
ポリマーのフィルムまたはシートにヘイズ異方性を与える方法としては特に限定はないが、例えば結晶性高分子のシートを配向させる方法、高分子分散型液晶を延伸あるいは電界等を用いて配向させる方法、アスペクト比が1.5以上であるフィラーを分散した高分子シートを配向させる方法、2種類以上の高分子をブレンドした樹脂組成物のブレンドフィルムを延伸等により配向させる方法、およびフィラーを添加した高分子フィルムを配向させる方法等を例示することができる。
【0026】
結晶性高分子を配向させる方法では、例えば樹脂シートを1軸に強く延伸することにより配向結晶化が生じ、その配向結晶およびフィブリル構造とそれ以外の非晶部分との屈折率の差異によりヘイズの異方性が生じる。例えばPETのように正の複屈折性を示す高分子フィルムの場合、延伸方向に電界の振動面を持つ直線偏光に対してヘイズが高く、それと直交する直線偏光に対してヘイズが低くなる。
【0027】
この様に本発明に用いる結晶性高分子としては特に限定はないが、ポリエステル、シンジオタクティックポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等基本的に透明もしくは半透明である結晶性高分子を例示することができる。特にポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等、結晶と非晶部分の屈折率差が大きいものが好ましい。
【0028】
高分子分散型液晶を用いる方法、つまり液晶を高分子中に分散させ配向させる方法は、屈折率の異方性を有する液晶分子を延伸あるいは電界等を加えることにより配向させ、高分子マトリックスとの屈折率差によってヘイズの異方性を生じる。例えば延伸配向の場合は一般に正の複屈折を有する液晶と正の複屈折を有する高分子マトリックスを用いると、延伸方向と平行な電界の振動面を持つ直線偏光に対してヘイズが高くなる。
ここで延伸条件としては特定の直線偏光に対して、下記式
【0029】
【数6】
n1A≒n1B
(ここでn1A、n1Bはそれぞれある偏光に対する高分子マトリックスA、液晶層Bの屈折率である)
を満たし、かつそれと直交する直線偏光に対し、下記式
【0030】
【数7】
n2A≠n2B
(ここでn2A、n2Bはそれぞれ上記n1方向と直交する直線偏光に対する高分子マトリックスA、液晶層Bの屈折率である)
を満たすような条件で延伸することが重要である。
【0031】
つまりこの条件は、ライトガイド面内にマトリックスとドメインの屈折率が一致する方向が存在する事を示しており、それによってヘイズの異方性が発現している。
【0032】
ここでn1Aとn1Bは基本的に一致している必要があるが、少なくとも|n1A-n1B|<0.01であるのがよい。またn2Aとn2Bの差は大きい方が好ましいが、少なくとも|n2A-n2B|>0.01であるのがよい。
【0033】
アスペクト比が1.5以上の大きいフィラーを含む高分子シートを配向させる方法としては、例えば特開平9−297204号公報に開示されているような方法を用いる事ができる。この場合フィラーの短軸方向を光学オーダー以下、長軸方向を光学オーダー以上にすることによりヘイズの異方性を発現させることができる。この場合も上記の方法と同様に延伸方向と平行な電界の振動面を持つ直線偏光に対してヘイズが高くなる。
【0034】
2種類以上の高分子をブレンドした樹脂組成物のフィルムを用いる場合、基本的に透明な高分子化合物Cにこれと実質的に相溶しない透明な高分子化合物Dを0.01〜49重量%をブレンドした樹脂組成物を延伸等により配向させた延伸高分子ブレンドシートであり、かつ特定の直線偏光に対して、下記式
【0035】
【数8】
n1C≒n1Dかつn2C≠n2D
(ここで、n1C、n1Dはそれぞれ特定の直線偏光に対する高分子化合物C及びDの屈折率である。またn2Cおよびn2Dはそれぞれ上記直線偏光と直交する直線偏光に対する高分子化合物A及びBの屈折率である。)
を満たすことによりヘイズの異方性を発現させたものである。
【0036】
ここでn1Cとn1Dはライトガイド面内のある特定の方向の屈折率である。つまりライトガイド面内にマトリックスとドメインの屈折率が一致する方向が存在することを示している。一方n2Cとn2Dはn1Cとn1Dと直交する方向のそれぞれマトリックスとドメインの屈折率である。
【0037】
ここでn1Cとn1Dは基本的に一致している必要があるが、少なくとも|n1C-n1D|<0.01であるのがよい。
【0038】
一方n2Cとn2Dの差は大きい方が好ましいが、少なくとも|n2C-n2D|>0.01であるのがよい。
【0039】
高分子化合物Cに対するDのブレンド量は0.01〜49重量%である。0.01重量%より少ない場合は、生じるヘイズの異方性が十分でない。好ましくは0.05〜30重量%である。
【0040】
この延伸高分子ブレンドシートのライトガイドは高分子化合物Cのマトリックス中に、高分子化合物Dが島状に分散している。高分子化合物Dの形態としては一般に延伸方向に長軸を持つ楕円球であるが、その平均径は0.4〜100μmである。平均径が0.4μm以下の場合は、光学的な作用を生じないことがあり、また100μmより大きい時はヘイズの異方性が不十分となることがある。より好ましくは1〜30μmである。
【0041】
高分子化合物Cとしては特に制限はないが、好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂等比較的Tgの高い透明樹脂を好ましく例示できる。
【0042】
高分子化合物Dとしては高分子Cの延伸温度よりTgの低い透明樹脂であり、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂及びそれらの共重合体等を好ましく例示することができる。この時高分子樹脂組成物を延伸した時、既に説明したn1C≒n1Dかつn2C≠n2Dの条件を満たすことが可能な屈折率範囲の高分子化合物C、Dを選ぶ必要がある。
【0043】
さらに本発明のヘイズ異方性ライトガイドはフィラーを1ppm〜30重量部分散した高分子を延伸した物でもよい。この場合、特定の直線偏光に対して、下記式
【0044】
【数9】
n1E≒n1F かつ n2E≠n2F
(ここで、n1E、n1Fはそれぞれ特定の直線偏光に対する高分子化合物E及びフィラーFの屈折率である。またn2Eおよびn2Fはそれぞれ上記直線偏光と直交する直線偏光に対する高分子化合物E及びフィラーFの屈折率である。)
を満たすことによりヘイズの異方性を発現させたものである。
【0045】
ここでn1Eとn1Fはフィルム面内のある特定の方向の屈折率である。つまりライトガイド面内にマトリックスとフィラーの屈折率が一致する方向が存在することを示している。一方n2Eとn2Fはn1Eとn1Fと直交する方向のそれぞれマトリックスとドメインの屈折率である。
【0046】
n1Eとn1Fは基本的に一致している必要があるが、少なくとも|n1E-n1F|<0.01であるのがよい。
【0047】
一方n2Eとn2Fの差は大きい方が好ましいが、少なくとも|n2E-n2F|>0.01であるのがよい。
【0048】
ここでこの方法が上述のアスペクト比が1.5以上であるフィラーを添加した場合と異なるのは、上述のアスペクト比が1.5以上であるフィラーを用いる方法は散乱因子の大きさの違いによりヘイズの異方性を生じさせたのに対し、この方法はフィラーとマトリックスの方向により屈折率差の違いを生じさせることによりヘイズの異方性を発現させている。
【0049】
高分子化合物Eに対するフィラーFのブレンド量は1ppm〜30重量%である。1ppmより少ない場合は、生じるヘイズの異方性が十分でなく、また30%以上の場合は多重散乱によりヘイズの異方性が不十分になる。好ましくは10重量%以下である。
【0050】
本発明の偏光性面光源装置はヘイズの異方性を用いているが、例えば特開平8−76114号公報、特開平9−297204号公報に開示されている様な方法とは、偏光変換機構が基本的に異なっている。これまでの方法はヘイズの異方性による透過−非透過を用いている。従ってヘイズの高い方向と平行な電界の振動面を有する直線偏光は反射され、ヘイズの低い方向と平行な振動面を持つ直線偏光が透過する。この際ヘイズの高い方向の散乱は後方散乱として起こることが必須となる。しかし一部の散乱は前方散乱するため漏れ光となり偏光度を低下させる原因となる。また多重散乱等により後方散乱性を高めた場合は透過軸方向の透過率を保つことが難しく、光の利用効率が低下する。
【0051】
一方本発明の偏光性面光源装置は、ヘイズ異方性ライトガイドを用いるにより特定の偏光をより強く散乱し、その結果その散乱光を出射し易くしている。この場合、異方性ヘイズフィルムを反射型偏光板として用いる場合と比較して、高い偏光度を得る事ができる。また前方散乱を有効に利用しているため、光の透過率が高く輝度を向上させ易いといった利点がある。
【0052】
本発明の偏光性面光源装置は、常にライトガイドのヘイズの高い方向に電界の振動面を有する直線偏光が選択的に出射する。この点で前述の特開平8−76114号公報、特開平9−297204号公報に開示の方法とは本質的に異なっている。
【0053】
本発明の偏光性面光源装置を液晶表示装置に用いる場合、高コントラストかつ低消費電力化することができる。この場合偏光性面光源の偏光軸と2色性偏光板の偏光軸を一致させる必要がある。それにより光源光の利用効率を向上させる事が可能である。
【0054】
【発明の効果】
本発明の偏光性面光源装置は、通常の端面入射型面光源装置のライトガイドとしてヘイズ異方性を有するライトガイドを用いる事により、非偏光光を偏光に効率よく変換する事ができる。このヘイズ異方性ライトガイドは偏光分離素子としての機能を有し、本発明の偏光性面光源を液晶表示装置に用いた場合、本発明の偏光性面光源の偏光軸と二色性偏光板の偏光軸を一致させる事により光の利用効率を高める事ができ、それにより高輝度・高コントラストを達成する事が可能となる。
【0055】
【実施例】
以下実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0056】
[実施例1]
ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂(帝人(株)製 FK−OM)に添加剤として真球状シリカ(日本触媒製 シーホースターKE−E30)を0.05重量%加えて混練押し出しした後、100℃にて3.6倍に1軸延伸し、厚さ2mmのシートを得た。
【0057】
このフィルムのシートの異方性は日本電色工業(株)製 デジタル濁度計NDH−20Dを用い、MD方向に電界の振動面を持つ直線偏光を入射光として測定した場合(HMD)とTD方向に電界の振動面を持つ直線偏光を入射光として測定した場合(HTD)を表1に示した。
【0058】
このヘイズ異方性シートを80mm x 80mm に切り出し、更に図1に示すように、管径3mm、管長100mm、中心輝度1万cd/m2の棒状の光源灯(冷陰極管)を端面に装着しライトガイドとした。この際冷陰極管と貼付したシートのMD方向が平行となるようにした。また光源灯のライトガイドに対面していない部分と、ライトガイドの光入射面以外の端面、およびライトガイドの出射面の裏面をアルミ蒸着フィルムで被服した。
【0059】
上記ライトガイド上に偏光板を置きそれを回転させながら輝度計(ミノルタカメラ(株)製 LS−110)にて測定し、その輝度から偏光度を以下の式で計算した。
【0060】
【数10】
偏光度δ(%)=(S−P)/(S+P) x 100
ここでSは光源灯と平行な電界の振動面を持つ偏光光の輝度、Pはそれと直交する振動面を持つ偏光光の輝度である。
結果を表1に示した。
【0061】
[実施例2]
ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂(帝人(株)製 FK−OM)に添加剤として真球状シリカ(日本触媒製 シーホースターKE−E30)を0.05重量%加えて混練押し出しした後、100℃にて4.0倍に1軸延伸した以外は実施例1と同様に評価を行った。
【0062】
[実施例3]
ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂(帝人(株)製 FQ−QBA)に添加剤として真球状シリカ(日本触媒製 シーホースターKE−E30)を40ppm加えて混練押し出しした後、145℃にて4.0倍に1軸延伸し、厚さ2mmのシートを得た。
評価法に関しては実施例1と同様にして行った。結果は表1に示す。
【0063】
[実施例4]
ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂(帝人(株)製 FQ−QBA)を添加剤を加えずにシートとした以外は[実施例3]と同様にしてサンプルを作製し、測定を行った。作製したフィルムの厚さは2mmであった。結果は表1にまとめる。
【0064】
[実施例5]
ポリスチレン樹脂(電気化学工業(株)製 デンカスチロール)1重量部、ポリエチレンナフタレート樹脂(帝人製 FQ−QBA)99重量部を池貝鉄鋼(株)製2軸押し出し混練機 PCM−30を用いて300℃で溶融混練し、製膜した。得られたシートを130℃で1cm/秒の速度で5倍に1軸延伸してヘイズ異方性ライトガイドを作成した。またポリスチレンのMD方向の屈折率をn1MD、TD方向の屈折率をn1TD、ポリエチレンナフタレートのMD方向の屈折率をn2MD、TD方向の屈折率をn2TDとして測定を行った。(表2に示す)
このライトガイドを用いて実施例1と同様にしてサンプルを作製し測定を行った。結果は表1にまとめる。
【0065】
[実施例6]
シンジオタクティックポリスチレン樹脂(出光化学(株)製 ザレック81AC)0.6重量部、ポリエチレンナフタレート樹脂(帝人製 FQ−QBA)99.4重量部を池貝鉄鋼(株)製2軸押し出し混練機 PCM−30を用いて300℃で溶融混練し、製膜した。得られたシートを135℃で1cm/秒の速度で4倍に1軸延伸してヘイズ異方性ライトガイドを作成した。またシンジオタクティックポリスチレンのMD方向の屈折率をn1MD、TD方向の屈折率をn1TD、ポリエチレンナフタレートのMD方向の屈折率をn2MD、TD方向の屈折率をn2TDとして測定を行った。(表2に示す)
このライトガイドを用いて実施例1と同様にしてサンプルを作製し測定を行った。結果は表1にまとめる。
【0066】
[実施例7]
シンジオタクティックポリスチレン樹脂(出光化学(株)製 ザレック141AC)0.6重量部、ポリエチレンナフタレート樹脂(帝人製 FQ−QBA)99.4重量部を池貝鉄鋼(株)製2軸押し出し混練機 PCM−30を用いて300℃で溶融混練し、製膜した。得られたシートを135℃で1cm/秒の速度で4倍に1軸延伸してヘイズ異方性ライトガイドを作成した。またシンジオタクティックポリスチレンのMD方向の屈折率をn1MD、TD方向の屈折率をn1TD、ポリエチレンナフタレートのMD方向の屈折率をn2MD、TD方向の屈折率をn2TDとして測定を行った。(表2に示す)
このライトガイドを用いて実施例1と同様にしてサンプルを作製し測定を行った。結果は表1にまとめる。
【0067】
[実施例8]
MS樹脂(新日鐵化学(株)製 エスチレンMS−800)0.6重量部、ポリエチレンテレフタレート樹脂(帝人製 FK−OM)99.4重量部を池貝鉄鋼(株)製2軸押し出し混練機 PCM−30を用いて300℃で溶融混練し、製膜した。得られたシートを115℃で1cm/秒の速度で5倍に1軸延伸してヘイズ異方性ライトガイドを作成した。またMS樹脂のMD方向の屈折率をn1MD、TD方向の屈折率をn1TD、ポリエチレンテレフタレートのMD方向の屈折率をn2MD、TD方向の屈折率をn2TDとして測定を行った。(表2に示す)
このライトガイドを用いて実施例1と同様にしてサンプルを作製し測定を行った。結果は表1にまとめる。
【0068】
[比較例1]
実施例1と同様の装置を用いて、アクリルライトガイドのみを用いた結果を比較例として示す。
【0069】
【表1】
Figure 0004108249
【0070】
【表2】
Figure 0004108249

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の偏光性面光源装置の基本構成の一例である。
【図2】本発明における偏光分離機構の説明の図である。
【図3】本発明における偏光分離機構の説明の図である。
【符号の説明】
1:透明媒体
2:光反射板
3:散乱異方性因子
4:光源灯
5:ランプリフレクター
6:光の進行方向
7:直線偏光

Claims (9)

  1. 端面入射型のライトガイド、該ライトガイドの出射面と反対側に設置された正反射板、及び該ライトガイドの端面に装着した棒状の光源灯を主要な構成要素とする偏光性面光源装置において、
    直線偏光の振動方向によりヘイズの値が異なるヘイズ異方性を有する、単一の層からなるポリマーシートであるライトガイド(ヘイズ異方性ライトガイド)を用いることにより、該ヘイズ異方性ライトガイド中を伝送する非偏光光のうち、ヘイズの値が最も大きい振動方向の直線偏光を散乱させ、出射せしめる偏光性面光源装置。
  2. ヘイズ異方性は、直線偏光を入射光としてヘイズの測定を行った場合、該直線偏光の振動方向によりヘイズの値H
    (ここで、ヘイズの値Hは
    Figure 0004108249
    であらわされる。ここでTdは拡散光透過率、Ttは全光線透過率である。)
    が最も大きい振動方向の直線偏光を散乱させ、該ライトガイドから出射させる機能を有する、請求項1記載の偏光性面光源装置。
  3. ヘイズ異方性ライトガイドが、結晶性高分子の延伸シートである請求項1または2に記載の偏光性面光源装置。
  4. ヘイズ異方性ライトガイドが、高分子分散型液晶を配向させたシートであり、かつ特定の直線偏光に対して下記式
    Figure 0004108249
    (式中、n1、n1はそれぞれ特定の直線偏光に対する高分子化合物A及び液晶相Bの屈折率であり、n2およびn2はそれぞれ上記直線偏光と直交する直線偏光に対する高分子化合物A及び液晶層Bの屈折率である。)
    を満たすことによりヘイズの異方性を発現させたシートである請求項1または2に記載の偏光性面光源装置。
  5. ヘイズ異方性ライトガイドが、基本的に透明な高分子化合物Cにこれと実質的に相溶しない透明な高分子化合物Dを0.01〜49重量%含有する樹脂組成物を配向させたシートであり、かつ特定の直線偏光に対して下記式
    Figure 0004108249
    (式中、n1、n1はそれぞれ特定の直線偏光に対する高分子化合物C及びDの屈折率であり、n2およびn2はそれぞれ上記直線偏光と直交する直線偏光に対する高分子化合物C及びDの屈折率である。)
    を満たすことによりヘイズの異方性を発現させたものである請求項1または2に記載の偏光性面光源装置。
  6. 樹脂組成物が、マトリックスとなる高分子化合物Aの海の中に、平均径0.4〜100μmの島状の高分子化合物Bが分散したものである請求項5記載の偏光性面光源装置。
  7. ヘイズ異方性ライトガイドが、高分子中に基本的に透明なフィラーを1ppm〜30重量%分散し延伸したシートであって、かつ特定の直線偏光に対して下記式
    Figure 0004108249
    (式中、n1、n1はそれぞれ特定の直線偏光に対する高分子化合物E及びフィラーFの屈折率であり、n2およびn2はそれぞれ上記直線偏光と直交する直線偏光に対する高分子化合物E及びフィラーFの屈折率である。)
    を満たすことによりヘイズの異方性を発現させたシートである請求項1または2に記載の偏光性面光源装置。
  8. ヘイズ異方性ライトガイドが、高分子中にアスペクト比が1.5以上のフィラーを分散し配向させたシートである請求項1または2に記載の偏光性面光源装置。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の偏光性面光源装置を用いた液晶表示素子。
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