JP2010122310A - 直線偏光選択性反射型スクリーン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】配向フィルム(1)及び配向フィルムに積層されている光吸収性層(2)を少なくとも有し;配向フィルムが、配向している高分子マトリックス、及び高分子マトリックス中に分散している高分子微粒子を有することによって、直線偏光に対して散乱が最も大きくなる散乱軸、及び直線偏光に対して散乱が最も小さくなる透過軸を面内に有し;且つ配向フィルムが、特定の光学的性質を有する、直線偏光選択性反射型スクリーン(10)とする。この直線偏光選択性反射型スクリーン(10)は、偏光によって画像を投射する映像プロジェクタ(20)と共に使用することができる。
【選択図】図1
Description
前記配向フィルムが、配向している高分子マトリックス、及び前記高分子マトリックス中に分散している高分子微粒子を有することによって、直線偏光に対して散乱が最も大きくなる散乱軸、及び直線偏光に対して散乱が最も小さくなる透過軸を面内に有し;且つ
前記配向フィルムが、下記の式(1)〜(4)を満たしている、
直線偏光選択性反射型スクリーン:
|Ntrans−ntrans|≦0.050 (1)
0.080≦|Nscat−nscat| (2)
Hscat/Htrans>1.50 (3)
Hscat−Htrans≧30.0 (4)
(Ntrans:高分子マトリックスの透過軸方向の屈折率、
Nscat:高分子マトリックスの散乱軸方向の屈折率、
ntrans:高分子微粒子の透過軸方向の屈折率、
nscat:高分子微粒子の散乱軸方向の屈折率
Hscat:配向フィルムの散乱軸方向のヘイズ値
Htrans:配向フィルムの透過軸方向のヘイズ値)。
〈2〉前記配向フィルムが、更に下記の式(5)を満たしている、上記〈1〉項記載のスクリーン:
1.510≦n≦1.580 (5)
[n:高分子微粒子の平均屈折率{(ntrans+nscat)/2}]
〈3〉前記光吸収性層が、偏光選択性を有さない、上記〈1〉又は〈2〉項記載のスクリーン。
〈4〉前記配向フィルム中の高分子微粒子の含有量が、高分子マトリックス100重量部に対して、0.01〜40重量部である、上記〈1〉〜〈3〉項のいずれかに記載のスクリーン。
〈5〉前記高分子微粒子がコア−シェル構造を有する微粒子である、上記〈1〉〜〈4〉項のいずれかに記載のスクリーン。
〈6〉前記高分子マトリックスがポリエチレンテレフタレートで構成されている、上記〈1〉〜〈5〉項のいずれかに記載のスクリーン。
|Ntrans−ntrans|≦0.050 (1)
0.080≦|Nscat−nscat| (2)
Hscat/Htrans>1.50 (3)
Hscat−Htrans≧30.0 (4)
(Ntrans:高分子マトリックスの透過軸方向の屈折率、
Nscat:高分子マトリックスの散乱軸方向の屈折率、
ntrans:高分子微粒子の透過軸方向の屈折率、
nscat:高分子微粒子の散乱軸方向の屈折率
Hscat:配向フィルムの散乱軸方向のヘイズ値
Htrans:配向フィルムの透過軸方向のヘイズ値)。
1.510≦n≦1.580、好ましくは1.520≦n≦1.580 (5)
[n:高分子微粒子の平均屈折率{(ntrans+nscat)/2}]
本発明の直線偏光選択性反射型スクリーン(10)で用いられる配向フィルム(1)は、図1で示しているように、光吸収性層(2)と積層されている。この配向フィルムは、配向している高分子マトリックス、及び高分子マトリックス中に分散している高分子微粒子を有することによって、直線偏光に対して散乱が最も大きくなる偏光方向(散乱軸)、及び直線偏光に対して散乱が最も小さくなる偏光方向(透過軸)を面内に有している。すなわち、偏光を散乱軸に一致させた場合には、配向フィルムにおける散乱によって、偏光が配向フィルムの反対側に透過しにくく且つ/又は散乱透過する。他方で、偏光を透過軸に一致させた場合には、配向フィルムにおける散乱が少なく、したがって偏光が散乱されずに配向フィルムの反対側に透過しやすい。
配向フィルムのために用いられる配向している高分子マトリックス、すなわち偏光に対して屈折率異方性を有する高分子マトリックスは、任意の高分子材料、特に光学的に透明な任意の高分子材料で作ることができる。したがって例えば高分子マトリックスのための材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のような結晶性の芳香族ポリエステルを挙げることができ、より好ましくはポリエチレンテレフタレートを挙げることができる。このような結晶性高分子を用いることは、透過軸と散乱軸との屈折率差が出やすい点で好ましい。
配向フィルムのために用いられる高分子微粒子は、任意の高分子材料、特に光学的に透明な任意の高分子材料で作ることができ、好ましくは高分子マトリックスのための材料と実質的に相溶しない高分子材料で作ることができる。したがって例えば高分子微粒子のための材料としては、ポリメチルメタクリレート樹脂、メタクリルスチレン樹脂(MS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)などのアクリル類、シンジオタクチックスチレン樹脂などのポリスチレン類、ポリブタジエン類などの熱可塑性高分子を挙げることができる。また、高分子微粒子のための材料としては、架橋アクリル樹脂、架橋ポリスチレン樹脂等の架橋性の高分子材料を挙げることができる。
配向フィルムの製造は、任意の方法で行うことができる。したがって例えば、配向フィルムは、高分子マトリックスを構成する所定量の高分子材料、及び所定量の高分子微粒子を、溶融混練により混合したのち、得られた混合物を溶融押出等の方法を用いてフィルム化し、そしてその後で、得られたフィルムを一方向、例えばフィルムの押出(縦)方向(MD方向)又は押出方向と垂直な幅(横)方向(TD方向)に一軸延伸することによって得ることができる。
本発明の直線偏光選択性反射型スクリーン(10)で用いられる光吸収性層(2)は、図1で示しているように、配向フィルム(1)に積層されている。この光吸収性層により、環境光のうちの配向フィルムを透過する分、すなわち環境光のうちの配向フィルムの透過軸方向の偏光を吸収することができる。これによれば、コントラスト、特に明所コントラストを大きくすることができる。
なお、配向フィルムと光吸収性層とは、随意に接着剤、粘着剤等を用いて、直接に積層することができるが、配向フィルムと光吸収性層との間に他の層、例えば偏光選択性反射型スクリーンの補強等のため補強層を配置することもできる。このような補強層としては、板状体、布帛等を用いることができる。また例えば、本発明の偏光選択性反射型スクリーンに自立性を提供するために更に基材を用いる場合、基材を用いて配向フィルムとは反対側の面で光吸収性層に積層することができる。この場合の基材としては例えば、厚さが0.5〜10mmの高分子材料の板を用いることができる。
本発明の偏光選択性反射型スクリーンに画像を投射するために用いる映像プロジェクタとしては、偏光によって画像を投射する任意の映像プロジェクタ、特に液晶プロジェクタを用いることができる。なお、映像プロジェクタの偏光方向が投射される色(例えばRGBの3色)で揃っていない場合、それらの色の偏光方向を揃える必要があり、これは例えばカラーリンク社のカラーセレクトフィルム等を用いて行うことができる。
ヘイズ値は、光線透過率、散乱光透過率、平行光透過率等を測定する日本電色工業(株)製のデジタル濁度計NDH−2000(Digital Haze Meter NDH−2000)を用いて測定した。
屈折率は、(株)アタゴ(ATAGO Co., LTD)製のアッベ屈折率計2−T(ATAGO Abbe refractmeter 2−T)を用いて測定した。なお、実施例及び比較例で用いた高分子微粒子では、透過軸方向の屈折率と散乱軸方向の屈折率とが同じであった(n=ntrans=nscatの関係であった)。
液晶プロジェクタ(PLUS製 U4−131)にカラーリンク社製カラーセレクトを設置し、スクリーンに対し下側20度の角度から投影した。コントラストは、角度0度において、プロジェクタの白表示及び黒表示の輝度を輝度計(ミノルタカメラ(株)製、LS−110)にて測定し、白輝度/黒輝度により求めた。ここで、暗所コントラストは暗室内で測定した。また、明所コントラストは、照明を点灯させ、スクリーン面の照度が500ルクスになる条件にて測定した。
目視官能試験は、明所コントラスト測定と同条件で、目視による表示品位の試験を行い○(良好)及び×(不良)で評価した。
色度差(色ズレ)及び視野角特性に関しては、autronic−MELCHERS製CONOSCOPEにて評価を行った。ここで、色度差は、上下左右±80°の範囲を5°刻みに測定した色度座標の差で示した。また、視野角特性は、左右±80°の範囲を5°刻みで輝度測定を行い、正面輝度に対し50%以上の輝度を示す範囲を視野角とした。
高分子マトリックスを構成する高分子材料としてのポリエチレンテレフタレート(以下「PET」として言及する)(帝人(株)製)85重量部と、高分子微粒子としてのコア−シェル微粒子(三菱レイヨン製、W−300A(平均屈折率1.530)、一次粒子径0.15μm)15重量部を、一軸混練押出機を用いて280℃で混練し、溶融押出法により製膜し、そのまま連続で押出方向と垂直な幅方向(TD方向)に80℃にて4.5倍に横一軸延伸し、120℃で熱固定処理を行い、厚さ100μmの配向フィルムを得た。
高分子マトリックスを構成する高分子材料としてのPET85重量部と、高分子微粒子としてのコア−シェル微粒子(呉羽化学製、パラロイドBTA712J(平均屈折率1.540)、一次粒子径0.10μm)15重量部を、一軸混練押出機を用いて280℃で混練し、溶融押出法により製膜し、そのまま連続で押出方向と垂直な幅方向に80℃にて4.5倍に一軸延伸し、120℃で熱固定処理を行い、厚さ110μmの配向フィルムを得た以外は、実施例1と同様に実施した。
高分子マトリックスを構成する高分子材料としてのPET85重量部と、高分子微粒子としてのコア−シェル微粒子(呉羽化学製、パラロイドBTA712J(平均屈折率1.540)、一次粒子径0.10μm)15重量部を、一軸混練押出機を用いて280℃で混練し、溶融押出法により製膜し、そのまま連続で押出方向と垂直な幅方向に80℃にて4.5倍に一軸延伸し、120℃で熱固定処理を行い、厚さ80μmの配向フィルムを得た以外は、実施例1と同様に実施した。
一般的な白色プロジェクタースクリーン(サンワサプライ製、PR−SC61)を比較のために用いた。
高分子マトリックスを構成する高分子材料としてのポリエチレンナフタレート樹脂(帝人(株)製)90重量部と、分散相を形成する材料としてのシンジオタクチックポリスチレン(出光石化(株)製、ザレック141AC(屈折率1.582))10重量部を、一軸混練押出機を用いて300℃で混練し、溶融押出法により製膜し、余熱120℃、延伸温度135°で押出方向と垂直な幅方向に4.5倍に一軸テンター延伸し、170℃で熱固定処理を行い、厚さ80μmの配向フィルムを得た以外は、実施例1と同様に実施した。ここで得られた配向フィルムは、ポリエチレンナフタレート樹脂中にシンジオタクチックポリスチレンの相が分散する構造(海島構造)を有するポリマーアロイであった。
高分子マトリックスを構成する高分子材料としてのPET85重量部と、高分子微粒子としてのコア−シェル微粒子(ロームアンドハース社製、パラロイドEXL2311(平均屈折率1.470)、一次粒子径0.4μm)15重量部を、一軸混練押出機を用いて280℃で混練し、溶融押出法により製膜し、そのまま連続で押出方向と垂直な幅方向に80℃にて4.5倍に横一軸延伸し、120℃で熱固定処理を行い、厚さ100μmの配向フィルムを得た以外は、実施例1と同様に実施した。ここで得られた配向フィルムは、実施例の配向フィルムと比較して、散乱軸方向のヘイズ値と透過軸方向のヘイズ値との比及び差が小さかった。
実施例2と同様に、高分子マトリックスを構成する高分子材料としてのPET85重量部と、高分子微粒子としてのコア−シェル微粒子(呉羽化学製、パラロイドBTA712J(平均屈折率1.540)、一次粒子径0.1μm)15重量部を、一軸混練押出機を用いて280℃で混練し、溶融押出法により製膜し、未延伸のまま厚さ110μmの配向フィルムを得た以外は、実施例1と同様に実施した。ここで得られた配向フィルムは、延伸をされていないので配向していなかった。
高分子マトリックスを構成する高分子材料としてのPET97重量部と、高分子微粒子としてのコア−シェル微粒子(呉羽化学製、パラロイドBTA712J(平均屈折率1.540)、一次粒子径0.1μm)3重量部を、一軸混練押出機を用いて280℃で混練し、溶融押出法により製膜し、そのまま連続で押出方向と垂直な幅方向に80℃にて4.5倍に一軸延伸し、120℃で熱固定処理を行い、厚さ80μmの配向フィルムを得た以外は、実施例1と同様に実施した。ここで得られた配向フィルムは、実施例の配向フィルムと比較して、散乱軸方向のヘイズ値と透過軸方向のヘイズ値との差が小さかった。
2 光吸収性層
10 本発明の直線偏光選択性反射型スクリーン
20 偏光によって画像を投射する映像プロジェクタ
30 観測者
Claims (6)
- 配向フィルム及び前記配向フィルムに積層されている光吸収性層を少なくとも有し;
前記配向フィルムが、配向している高分子マトリックス、及び前記高分子マトリックス中に分散している高分子微粒子を有することによって、直線偏光に対して散乱が最も大きくなる散乱軸、及び直線偏光に対して散乱が最も小さくなる透過軸を面内に有し;且つ
前記配向フィルムが、下記の式(1)〜(4)を満たしている、
直線偏光選択性反射型スクリーン:
|Ntrans−ntrans|≦0.050 (1)
0.080≦|Nscat−nscat| (2)
Hscat/Htrans>1.50 (3)
Hscat−Htrans≧30.0 (4)
(Ntrans:高分子マトリックスの透過軸方向の屈折率、
Nscat:高分子マトリックスの散乱軸方向の屈折率、
ntrans:高分子微粒子の透過軸方向の屈折率、
nscat:高分子微粒子の散乱軸方向の屈折率
Hscat:配向フィルムの散乱軸方向のヘイズ値
Htrans:配向フィルムの透過軸方向のヘイズ値)。 - 前記配向フィルムが、更に下記の式(5)を満たしている、請求項1に記載のスクリーン:
1.510≦n≦1.580 (5)
[n:高分子微粒子の平均屈折率{(ntrans+nscat)/2}] - 前記光吸収性層が、偏光選択性を有さない、請求項1又は2に記載のスクリーン。
- 前記配向フィルム中の高分子微粒子の含有量が、高分子マトリックス100重量部に対して、0.01〜40重量部である、請求項1〜3のいずれかに記載のスクリーン。
- 前記高分子微粒子がコア−シェル構造を有する微粒子である、請求項1〜4のいずれかに記載のスクリーン。
- 前記高分子マトリックスがポリエチレンテレフタレートで構成されている、請求項1〜5のいずれかに記載のスクリーン。
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