JP2008158267A - 無機配向膜と無機配向膜の形成方法と光偏向素子及び液晶装置 - Google Patents

無機配向膜と無機配向膜の形成方法と光偏向素子及び液晶装置 Download PDF

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Abstract

【課題】水平電界によって液晶を駆動する光偏向素子に使用する無機配向膜の帯電を防止して静電気の影響を抑え、水平電界の均一性を高め、光偏向素子の特性を向上させる。
【解決手段】一対の基板2と、各基板2の表面に積層された複数のライン状電極3と、各ライン電極3の端部表面に沿って配置された抵抗膜4と無機配向膜5と、各基板2の無機配向膜5の間隔内でキラルスメクチックC相を形成する液晶層6と、各ライン状電極3に電位を与える電源6とを有する光偏向素子1において、無機配向膜5を二種類の透光性金属酸化物で形成し、複数の金属元素のうち少なくとも2つの元素に対し、一方の元素の膜中に含まれる元素数をA、他方をBとしたとき、0.3≦A/(A+B)≦0.7として表面抵抗率を10Ω/□以上1012Ω/□以下として、良好な配向性と導電性を持たせる。
【選択図】 図1

Description

この発明は、液晶分子の配向特性を支配する無機配向膜とその形成方法と、無機配向膜を使用した光偏向素子及び液晶装置、特に長期間にわたって良好な配向特性の維持に関するものである。
ディスプレイ等の液晶表示装置では、液晶分子の向きを一様に揃えるために基板に対して配向処理が施されている。最も一般的な方法は、基板上に形成したポリイミド膜に対してラビングを行う方法であり、この方法はプロセスが簡易であり、大面積を高速に処理することが可能であることから、ラビング法は工業的に広く用いられている。一方で、ゴミや静電気が発生しやすいことからラビングに代わる配向処理技術の検討も盛んになされている。
ラビング法以外の配向処理技術の一つとして、例えば特許文献1に示すように、SiO或いはSiOを初めとする無機化合物の斜方蒸着/スパッタ膜を配向膜とする方法が知られている。この方法はラビング法の問題点であるゴミや静電気の発生が無いことに加え、配向膜が無機材料からなるために耐久性と耐光性に優れるという利点も有する。しかし、真空での処理が必要となるなど配向膜形成プロセスがラビング法と比べて煩雑であり、また大面積に均一な膜厚の配向膜を形成することが困難である。
これに対して特許文献2や特許文献3には、基材上に無機酸化物前駆体と界面活性剤とを含む溶液を塗布して塗膜を形成し、形成した塗膜を焼成して無機酸化物前駆体を無機酸化物に変化させた無機配向膜が開示されている。この無機配向膜は耐久性と耐光性が高く、形成プロセスも比較的簡易で、基板の大型化にも対応が可能である。
特開昭63−121022号公報 特開2004−69870号公報 特開2005−78034号公報
液晶素子を製造する際或いは使用する際には、静電気の発生によってTFT(薄膜トランジスタ)の破壊や埃の吸着などの不具合が生じうることから、しばしば静電気対策が必要となる。また、強誘電性の液晶を用いている場合などは、特に基板の帯電によって液晶の配向が劣化する場合がある。特許文献2や特許文献3に示された無機配向膜は絶縁材料であるシリコン酸化物で形成されているため、上記の不具合を回避する機能を有していない。
この発明は、このような不具合を解消し、帯電を防止して静電気の影響を抑えることができる無機配向膜とその形成方法を提供することを目的とする。
また、この無機配向膜を水平電界によって液晶を駆動する光偏向素子や液晶装置に使用して電界の均一性を高め、光偏向素子や液晶装置の特性を向上させることを目的とする。
この発明の無機配向膜は、少なくとも二種類の透光性金属酸化物からなり、複数の金属元素のうち少なくとも2つの元素に対し、一方の元素の膜中に含まれる元素数をA、他方をBとしたとき、0.3≦A/(A+B)≦0.7として表面抵抗率を10Ω/□以上1012Ω/□以下としたことを特徴とする。
前記透光性金属酸化物には、酸化インジウムと酸化スズとを有することを特徴とする。
この発明の無機配向膜の形成方法は、基板表面に少なくとも二種類の金属酸化物前駆体を含む溶液を塗布して焼成する無機配向膜の形成方法であって、前記少なくとも二種類の金属酸化物前駆体を含む溶液中に含まれる複数の金属元素のうち少なくとも2つの元素に対し、一方の元素の元素数をA、他方をBとしたとき、0.3≦A/(A+B)≦0.7としたことを特徴とする。
前記前記溶液には少なくとも酸化インジウムと酸化スズの金属酸化物前駆体を含むことを特徴とする。
この発明の光偏向素子は、一対の基板と、各基板の表面に積層された複数の電極と無機配向膜と、各基板の無機配向膜の間隔内でキラルスメクチックC相を形成する液晶層と、前記複数の電極に異なる電位を与える電圧印加手段とを有する光偏向素子において、前記無機配向膜は、表面抵抗率が10Ω/□以上1012Ω/□以下であることを特徴とする。
この発明の液晶装置は、一対の無機配向膜と、該一対の無機配向膜の間に形成された液晶層と、該液晶層に電圧を印加する複数の電極とを有する液晶装置であって、前記無機配向膜は、表面抵抗率が10Ω/□以上1012Ω/□以下であることを特徴とする。
前記光偏向素子と液晶装置を構成する無機配向膜は、少なくとも二種類の透光性金属酸化物からなり、複数の金属元素のうち少なくとも2つの元素に対し、一方の元素の膜中に含まれる元素数をA、他方をBとしたとき、0.3≦A/(A+B)≦0.7であることを特徴とする。
また、前記透光性金属酸化物は、酸化インジウムと酸化スズとを有することを特徴とする。
この発明の無機配向膜は、少なくとも二種類の透光性金属酸化物で形成することにより、焼成時の結晶化の進行を防いで良好な空孔構造を維持することができる。
また、無機配向膜を少なくとも二種類の透光性金属酸化物で形成し、表面抵抗率を10Ω/□以上1012Ω/□以下とすることにより、耐久性が向上して長期間にわたって良好な配向性が得られると共に、導電性を有し、基板が帯電することを防止することができる。
また、無機配向膜を構成する複数の金属元素のうち少なくとも2つの元素に対し、一方の元素の膜中に含まれる元素数をA、他方をBとしたとき、0.3≦A/(A+B)≦0.7とすることにより、無機配向膜の表面抵抗率を10Ω/□以上1012Ω/□以下として導電性を持たせて、帯電防止と電界の均一性を向上させることができる。
さらに、透光性金属酸化物には酸化インジウムと酸化スズとを有することにより、非晶質膜を形成することができ、液晶を配向させるに適した多孔度と所望の抵抗率を得ることができる。
この無機配向膜を光偏向素子や液晶装置に使用することにより、光偏向素子や液晶装置の耐久性を高めるとともに、液晶の配向性を良好にし、不均一な電界による液晶の配向乱れが生じることを防ぐことができ、特性を向上させることができる。
図1はこの発明の光偏向素子の構成を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図である。光偏向素子1は光が通過するとき、吸収される度合いが小さい材料や透明な材料で形成された1対の基板2a,2bの表面には、それぞれ複数本のライン状電極3と抵抗膜4及び無機配向膜5が順に積層して設けられている。複数のライン状電極3は透明導電膜で形成され、基板2を複数区間に分割している。この複数のライン状電極3のうち両端のライン状電極3a,3nは電源6に接続されている。抵抗膜4はサーメットや金属酸化物半導体で構成され、各ライン電極3の端部表面に沿って帯状に配置されている。なお、抵抗膜4の代わりに抵抗体を用いてライン電極3間を接続しても良い。
そして両端のライン状電極3a,3n間に電源6から電圧を印加すると、隣接するライン状電極3間では抵抗膜4の各抵抗により電圧の減衰が生じ、各ライン状電極3には段階的に異なる電位が与えられて、ライン状電極3の長手方向と直交する向に電位勾配が形成され、この電位が変化する方向に基板2の面に沿った水平電界が発生する。この両端のライン状電極3a,3nに印加する電圧の極性を逆にすると、電界の方向を反転させることができる。したがって電源6として交流電源を用いると、周期的に、あるいは任意のタイミングで電界の方向を切り替えることができる。なお、ライン状電極3の数を2本としてそれらを電源7に接続して抵抗膜4を設けなくとも良い。
この基板2a,2bの無機配向膜5側を内側にしてスペーサ7により一定間隔をおいて貼り合わされている。この基板2a,2bは発生する電界の均一性を向上させるために、各基板2a,2bのライン状電極3を半ピッチずらした状態にしている。そして対向して配置した無機配向膜5間にキラルスメクチックC相を形成可能な液晶を充填して液晶層8を設けている。無機配向膜5は液晶分子を基板2a,2b面に対して垂直方向に配向させる。キラルスメクチックC相を形成する液晶分子の層構造の層法線方向は基板2の面に対してほぼ垂直となるように構成されている。
ここで液晶層8について詳細に説明する。スメクチック液晶は液晶分子の長軸方向を層状に配列してなる液晶層である。このような液晶に関し、層の法線方向(層法線方向)と液晶分子の長軸方向とが一致している液晶をスメクチックA相、法線方向と一致していない液晶をスメクチックC相という。スメクチックC相よりなる強誘電性液晶は、一般的に外部電界が働かない状態において各層毎に液晶ダイレクタ方向が螺旋的に回転しているいわゆる螺旋構造をとり、キラルスメクチックC相と呼ばれる。また、キラルスメクチックC相の反強誘電液晶は各層毎に液晶ダイレクタが対向する方向を向く。これらのキラルスメクチックC相よりなる液晶は、不斉炭素を分子構造に有し、これによって自発分極しているため、この自発分極Psと外部電界Eにより定まる方向に液晶分子が再配列することで光学特性が制御される。
ここで光偏向素子1の液晶層8として強誘電性液晶を使用した場合について説明するが、反強誘電液晶も同様に使用することができる。キラルスメクチックC相よりなる強誘電液晶の構造は、主鎖、スペーサ、骨格、結合部、キラル部などよりなる。主鎖構造としてはポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシロキサン、ポリオキシエチレンなどが利用可能である。スペーサは分子回転を担う骨格と結合部及びキラル部を主鎖と結合させるためのものであり、適当な長さのメチレン鎖等が選ばれる。また、カイラル部とビフェニル構造など剛直な骨格とを結合する結合部には(−COO−)結合等が選ばれる。キラルスメクチックC相よりなる強誘電性液晶層8は無機配向膜5により基板2a,2b面に垂直に分子螺旋回転の回転軸が向いており、いわゆるホメオトロピック配向をなす。
この光偏向素子1の基板2a,2bの両端のライン状電極3a,3n間に電源6から電圧を印加して水平電界を発生させると、液晶層8の平均的な光学軸の傾斜方向が変化し、ライン状電極3に平行な方向に直線偏光した入射光は、液晶層8の厚さ及び液晶分子の常光/異常光屈折率に応じた光路シフトを受ける。印加電圧の極性を切り換えると、水平電界の方向が切換わり、光路は逆方向にシフトし、図1(b)に示すように、基板2に垂直に入射した光は、電界方向に応じて第一出射光と第二出射光の光路をとることができる。
この光偏向素子1に使用する無機配向膜5は、表面に空孔を有することによって液晶分子を配向させるものであり、導電性を有する。この無機配向膜5の表面形状に関して空孔という表現を用いるが、配向膜として機能する表面形状は孔構造に限られるものではなく、表面の窪みや凹凸、段差、溝などであっても良い。また、その構造の規則性はあっても無くても良い。孔構造の場合は、径が数nmから数十nm、深さが数十nmから数百nmのときに良好な配向性が得られる。このような構造は特に、液晶分子を基板2a,2b面に対して略垂直に配向させるのに適している。
この無機配向膜5は、溶液の塗布・焼成によって形成され、無機材料のみで構成されるため、従来の塗布型無機配向膜と同様に、耐久性の高さや大面積基板への均一成膜が可能である等の利点を持つ。これに加えて導電性を有することによる帯電防止の効果を兼ね備える。この帯電防止の効果を有効に発揮するためには、無機配向膜5の表面抵抗率を1014Ω/□以下、好ましくは1012Ω/□以下とする必要がある。一方、表面抵抗率が低過ぎると無機配向膜5を流れる電流量が増加し、素子の動作に影響を与えたり発熱を生じたりすることから、表面抵抗率は106Ω/□以上であることが望ましい。
この導電性を有する無機配向膜5は透光性金属酸化物で構成することができる。特に、酸化物半導体として知られるSnO,TiO,GeO,CuO,AgO,In,ZnO,BaTiO,SrTiO,LaCrO,WO,EuO,Al,PCrO等を用いると、膜の酸化度や添加物の量を変えることによってキャリア数を制御でき、所望の抵抗率の膜を得やすい。また、塗布・焼成によって金属酸化物膜を形成する際には、焼成の段階において有機成分が除去されその部分が空孔となる。しかし、酸化物の種類によっては焼成の際に結晶化が進行し、原子の再配列が起こって孔構造が崩れ、良好な配向が得られない場合がある。そこで、無機配向膜5を二種類の金属酸化物からなる混合膜とし、一方の金属元素の膜中に含まれる数をA、他方をBとしたとき、A/(A+B)の値を0.3以上0.7以下とすれば、加熱時の結晶化の進行を防いで空孔構造を保持することができる。さらに、無機配向膜5を構成する酸化物は三種類以上でもよく、その場合は少なくとも2つの金属元素に対し、0.3≦A/(A+;B)≦0.7が成り立っていれば良い。特に、単体で存在するときの結晶構造が異なる酸化物どうしを混ぜた場合に、結晶化抑制の効果が高い。この無機配向膜5を焼成する工程以外にも、光偏向素子1の製造工程等において熱が加えられることが多々あるが、上記の条件を満たす混合酸化物膜であれば、酸化物単体の結晶化温度以上に加熱された場合でも結晶化せず、耐熱性の高い無機配向膜5を得ることができる。
特に、酸化インジウムと酸化スズで無機配向膜5を構成し、スズSnとインジウムInの比{Sn/(In+Sn)}を0.3以上0.7以下とした場合に、焼成後も空孔構造の保持された非晶質膜を形成することができる。すなわち酸化インジウム単体の膜では結晶構造が立方晶の対照性を持つのに対し、酸化スズは斜方晶であり、確実に非晶質膜を形成することができる。また、無機配向膜5の抵抗率は、膜中の酸素空孔量或いは格子間金属量に対応したキャリア数と多孔度に依存する。酸化インジウム・酸化スズ混合膜はキャリア数を変えることで抵抗率を容易に制御でき、液晶を配向させるのに適した多孔度と所望の抵抗率を得ることができる。
この多孔質の無機配向膜5を形成する方法としては、二種類以上の金属酸化物前駆体を含む溶液を基板に塗布し焼成する方法が好ましい。この方法によれば、焼成の過程で有機成分が除去されて空孔が形成されるため、成膜後に孔を形成する加工を行う必要がない。金属酸化物前駆体としては、アルコキシドやカルボン酸等の有機酸の金属塩、硝酸等の無機酸の金属塩、金属塩化物等の無機化合物を用い、これらを有機溶媒等に溶解したものを溶液として利用することができる。また、必要に応じて、錯化剤や溶解を促進する添加剤を加えても良い。さらに、多孔度を高めたり、空孔構造に規則性を持たせたりするためには、界面活性剤や親水性高分子と疎水性高分子のブロック共重合体の添加が有効である。基板への塗布はスピンコート法、ディップ法、印刷法、スプレー法等によって行う。焼成の際は、有機成分が完全に除去されるように温度を設定する。また、溶液に二種類以上の金属酸化物前駆体を含むことにより、前述のような混合酸化物膜が容易に得ることができる。この溶液に含まれる金属元素の比と、焼成後の膜中の金属元素の比はほぼ一致するので、溶液中の金属元素A,Bの比を0.3≦A/(A+B)≦0.7とすることで、所望の割合で混ざった混合酸化物膜が形成できる。
この無機配向膜5を用いて光偏向素子1を構成すれば、無機配向膜5が無機材料のみからなり、導電性を有するから、耐久性・耐光性が高く、静電気による配向不良が抑制される。良好な配向性を長期にわたって確保して耐久性の高い光偏向素子1を得ることができる。また、基板2a,2bに設けたの複数のライン状電極3に異なる電位を与え、その電位差(電位勾配)によって基板2a,2b面に対して略水平な電界を形成し、この電界で垂直配向をしている液晶を駆動するとき、無機配向膜5は電界の均一性を向上させる効果も有する。すなわち、本来電位はライン状電極3にのみ離散的に与えられているが、無機配向膜5は表面抵抗率が106Ω/□以上で1012Ω/□以下と導電性を有するために、ライン状電極3間の無機配向膜5も電位を持つことにより電位勾配が連続的となり、局所的にも均一な電界が形成される。したがって不均一な電界による液晶の配向の乱れ及び動きの乱れの発生を防ぐことができる。特に、基板2a,2b面に対して略水平な電界の強度と方向に応じて液晶層8の平均的な光学軸の傾斜方向を変化させて直線偏光の透過光路を偏向する光偏向素子1では、電界の強度と方向が光偏向量(シフト量)と光偏向方向(シフト方向)に直接結びつくため、無機配向膜5を用いて電界の均一性を確保することにより、光偏向素子1の光学特性の面内ばらつきを抑えることができる。さらに、無機配向膜5を流れる電流量が大きいと発熱が生じ、液晶層8の温度が上昇してしまうおそれがあるが、無機配向膜5の表面抵抗率が106Ω/□以上であれば流れる電流量を抑えることができ液晶層8が温度上昇することを抑制できる。また、無機配向膜5の表面抵抗率が1012Ω/□以下であるから、帯電防止効果と電界の均一性向上の効果を十分に得ることができる。
前記説明では無機配向膜5を使用した光偏向素子1について説明したが、液晶装置にも同様に使用することができる。液晶装置に利用した場合は、先の説明と同様に、1対の基板のそれぞれに無機配向膜5を形成する。液晶層は、これらの無機配向膜5と間に設け、液晶を駆動させる電圧を印加する複数の電極を設ける。このように液晶装置に対して、この無機配向膜5を利用することにより、帯電防止を可能とし、耐久性の向上や液晶の配向を向上させるなどの効果が得られる。
[実施例1] 酸化インジウムと酸化スズの前駆体として、インジウムイソプロポキシドとスズt-ブトキシドを用い、これをイソプロパノールに分散させ、加熱しながら撹拌して塗布溶液を得た。前駆体の濃度は8wt.%とし、溶液中のインジウムとスズの比を変えてSn/(Sn+In)=10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%とした溶液を9種類用意した。この溶液をガラス基板上にスピンコートによって塗布し、150℃で10分間乾燥させた後、500℃で30分間焼成した。
X線回折実験により、酸化インジウム・酸化スズ混合膜の結晶性を評価した。その結果、スズ濃度Sn/(Sn+In)が10%及び20%の溶液で形成された膜では、酸化インジウムの立方晶ビックスバイト構造の(222)及び(400)に対応したピークがはっきりと観測された。また、スズ濃度が30%以上になるとこれらのピーク強度が減少していき、60%のときに殆どピークが観測されず膜がほぼ非晶質であることが確かめられた。また、スズ濃度70%では、酸化スズの斜方晶ルチル構造の(110)と(101)に対応した弱いピークが観測され、80%以上ではこれらのピークが非常にはっきりと現れていた。
2枚のガラス基板の配向膜形成面を向かい合わせ、接着剤にスペーサーを混入したもので両基板を接着した。次に、基板を加熱した状態で、二枚の基板間にネマティック液晶を毛管法で注入した。室温まで冷却し、液晶の配向性を評価した。その結果、スズ濃度が30%以上70%以下の配向膜において、全体にわたって液晶が垂直配向していることが確認できた。それ以外の濃度では、一部或いは全体が白濁しており、良好な配向性は得られなかった。そしてスズ濃度が30%以上70%以下の配向膜の表面抵抗率を測定したところ、スズ濃度30%の膜は10Ω/□台の抵抗率を持ち、スズ濃度の増加と共に抵抗率は単調に増加して70%では約10Ω/□であった。また、液晶の配向状態は経時的な劣化を示さず、静電気の影響も見られなかった。
[比較例] 大きさが50mm×60mmで、厚さ1mmのガラス板を基板とし、一方の面上の光路を含む領域にライン状のITO導電膜を成膜して電極を形成した。次に、スパッタ法によりサーメット抵抗膜を形成し、電極の端部と抵抗膜とを積層することで複数本の電極を電気的に直列につないだ。その上に、ポリイミド系の垂直配向膜を形成した。接着剤に50μm粒子径のスペーサを混入したもので両基板を接着した。この接着するとき、素子の有効面積が40mm×40mm以上となるように、スペーサ部材及び接着剤を有効領域の周囲に配置した。次に、基板を90度に加熱した状態で、二枚の基板間に強誘電性液晶を毛管法で注入し、図1に類似の光偏向素子を得た。この液晶は有効領域の全体にわたって垂直配向していた。上下基板の両端の電極に±2kV、60Hzの交流電圧を印加して素子を駆動したところ、有効領域内の殆どの場所で正常な光路シフトが確認できたが、一部において液晶が白濁した。この白濁は電極の端に沿って発生しており、電極が形成されている箇所と形成されていない箇所の境界において電位が急激に変化しているために生じた不均一な電界により、液晶の配向が乱されて白濁したと考えられる。
[実施例2] 配向膜を実施例1と同様の手順で形成した多孔質無機配向膜とした以外は、比較例と同様に光偏向素子を作製した。溶液のスズ濃度は60%とした。有効領域の全体にわたって液晶は垂直配向しており、経時劣化は見られず、静電気による影響も無かった。比較例1と同様に±2kV、60Hzの交流電圧で素子を駆動した。電極の端に沿った白濁は発生せず、有効領域の全体において平均5μmの十分に均一なシフト量が得られた。これは配向膜が導電性を有していたことにより、電位勾配が連続的なものとなり、局所的にも均一な電界が形成できたと考えられる。
この発明の光偏向素子の構成図である。
符号の説明
1;光偏向素子、2;基板、3;ライン状電極、4;抵抗膜、5;無機配向膜、
6;電源、7;スペーサ、8;液晶層。

Claims (10)

  1. 少なくとも二種類の透光性金属酸化物からなり、複数の金属元素のうち少なくとも2つの元素に対し、一方の元素の膜中に含まれる元素数をA、他方をBとしたとき、0.3≦A/(A+B)≦0.7として表面抵抗率を10Ω/□以上1012Ω/□以下としたことを特徴とする無機配向膜。
  2. 前記透光性金属酸化物には、酸化インジウムと酸化スズとを有する請求項1記載の無機配向膜。
  3. 基板表面に少なくとも二種類の金属酸化物前駆体を含む溶液を塗布して焼成する無機配向膜の形成方法であって、
    前記少なくとも二種類の金属酸化物前駆体を含む溶液中に含まれる複数の金属元素のうち少なくとも2つの元素に対し、一方の元素の元素数をA、他方をBとしたとき、0.3≦A/(A+B)≦0.7としたことを特徴とする無機配向膜の形成方法。
  4. 前記溶液には、少なくとも酸化インジウムと酸化スズの金属酸化物前駆体を含む請求項3記載の無機配向膜の形成方法。
  5. 一対の基板と、各基板の表面に積層された複数の電極と無機配向膜と、各基板の無機配向膜の間隔内でキラルスメクチックC相を形成する液晶層と、前記複数の電極に異なる電位を与える電圧印加手段とを有する光偏向素子において、
    前記無機配向膜は、表面抵抗率が10Ω/□以上1012Ω/□以下であることを特徴とする光偏向素子。
  6. 前記無機配向膜は、少なくとも二種類の透光性金属酸化物からなり、複数の金属元素のうち少なくとも2つの元素に対し、一方の元素の膜中に含まれる元素数をA、他方をBとしたとき、0.3≦A/(A+B)≦0.7である請求項5記載の光偏向素子。
  7. 前記透光性金属酸化物には、酸化インジウムと酸化スズとを有する請求項6記載の光偏向素子。
  8. 一対の無機配向膜と、該一対の無機配向膜の間に形成された液晶層と、該液晶層に電圧を印加する複数の電極とを有する液晶装置であって、
    前記無機配向膜は、表面抵抗率が10Ω/□以上1012Ω/□以下であることを特徴とする液晶装置。
  9. 前記無機配向膜は、少なくとも二種類の透光性金属酸化物からなり、複数の金属元素のうち少なくとも2つの元素に対し、一方の元素の膜中に含まれる元素数をA、他方をBとしたとき、0.3≦A/(A+B)≦0.7である請求項8記載の液晶装置。
  10. 前記透光性金属酸化物には、酸化インジウムと酸化スズとを有する請求項9記載の液晶装置。
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