JP2008156732A - マグネトロンスパッタリング装置及びそれを用いた成膜方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】安価でかつ簡易な構造の磁界形成部を用いたマグネトロンスパッタリング装置及びそれを用いた成膜方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係るマグネトロンスパッタリング装置によれば、磁界形成部30が1つの磁石によって構成されるため、材料コストの削減を図ることができる。また、磁界形成部30は複雑な構造を有していないため、冷却部の冷却能力を損なうことが無い。更に、磁界形成部30と冷却部とを分離することが可能となり、冷却部の防水措置及び構造の大幅な簡素化、磁界形成部30及びその駆動系の動作信頼性の向上、メンテナンス作業の軽減等を図ることができる。
【選択図】図3

Description

本発明は磁界形成部を小型かつ簡素化したマグネトロンスパッタリング装置及びそれを用いた成膜方法に関するものである。
スパッタリング法は、ガラス、セラミックス、プラスチック、金属、その他の材料表面に金属等の薄膜を形成する技術として一般的なものであり、それを行うスパッタリング装置は光情報記録媒体、半導体デバイス、電気電子部品等の電極膜や機能膜等の成膜はもとより、様々な分野における成膜装置として広く活用されている。
このようなスパッタリング装置の中でも、ターゲット上に磁界を生じさせ、この磁界によりターゲット近傍にプラズマの高密度領域(エロージョン)を形成するマグネトロンスパッタリング装置は、成膜効率に優れ、高い成膜速度が得られるため、近年のスパッタリング装置の主流となっている。
ここで、一般的なマグネトロンスパッタリング装置の構成の概略を、図6を用いて説明する。図6に示す、マグネトロンスパッタリング装置の真空チャンバ10には、真空ポンプが接続され真空チャンバ10内の気体を排気するための排気口11と、アルゴン等の不活性ガスや所定の混合ガス等を導入するためのガス導入路12を有している。
真空チャンバ10内の一方には、基板などのワーク13を取付ることが可能なワーク保持部を有するアノード電極14が設けられる。また、アノード電極14に対向する位置にはカソード電極16が配置される。カソード電極16は磁界形成部20を内在したカソード筺体16aに支持されると共に、ターゲット15をカソード電極16上の平坦な保持面に設置することができる。
カソード筺体16aは真空チャンバ10のカソードシールド部10aに、図示しない絶縁材を介して固定される。このとき、カソード電極16上に設置されたターゲット15を、カソードシールド部10aの開口部から真空チャンバ10内に向け露出するようにする。また、カソード電極16にはカソード筺体16aを介して電源19が接続されると共に、アノード電極14が真空チャンバ10を介して接地されることで、両電極間に電圧を印加することが可能となる。
カソード筺体16a内の磁界形成部20は、ターゲット15が円板である場合には、円板状のヨーク材の中央に柱状の永久磁石22を、その周囲に環状の永久磁石23をそれぞれ固定して形成する。このときの永久磁石22、23の極性は中央の永久磁石22のN極をターゲット15側に、また周囲の永久磁石23のS極をターゲット15側とする。そして、永久磁石22、23によって生じる磁界がターゲット15表面上に漏れるように、磁界形成部20をカソード電極16下に近接して設置する。尚、図6中の破線は磁界形成部20によって生じる磁力線を模式的に表すものである。また、カソード筺体16aにはカソード筺体16a内に冷却水8を流動させ、ターゲット15を冷却する機能を付与する場合もある。
このマグネトロンスパッタリング装置を稼動してワーク13表面に所定の薄膜を成膜するためには、先ず、所定のワーク13をアノード電極14に、また所定のターゲット15をカソード電極16に設置する。次に、真空チャンバ10内の空気を排気口11を通じて排気した後、ガス導入路12から所定のガスを導入することで、真空チャンバ10内を低圧の放電ガス雰囲気とする。次に、電源19からカソード電極16に所定の電力を供給する。これにより、カソード電極16とアノード電極14との間にグロー放電が生じ、真空チャンバ10内にプラズマが発生する。発生したプラズマは磁界形成部20からの磁界によってターゲット15の表面上に閉じ込められて収束し、プラズマの密度が局所的に高いエロージョンを形成する。そして、このプラズマ中の正イオンは陰極であるカソード電極16側に引き寄せられ、カソード電極16上に配置されたターゲット15の表面に衝突する。この衝突によりターゲット15の原子がはじき出され、アノード電極14側に保持されているワーク13の表面に付着、堆積することによってワーク13の表面に所定の薄膜が成膜される。尚、マグネトロンスパッタリング装置では、上記のようにターゲット15の表面上にプラズマの高密度領域(エロージョン)が形成されるため、プラズマ中の正イオンを効率良くターゲット15に衝突させることができる。このため、マグネトロンスパッタリング装置は、成膜効率に優れ、高い成膜速度を有している。
上記のようなマグネトロンスパッタリング装置の例として、下記[特許文献1]に開示された考案では、特殊な構造の磁界形成部を設計し、ターゲットの表面上に強いトロイダル磁界を形成して成膜効率を更に向上させている。
また、下記[特許文献2]に開示された発明では、図7に示すように、ターゲット15のサイズよりも小さい磁界形成部20(特許文献2における第1磁石、第2磁石)を支持台25の中心O1から所定の距離eずらして固定し、磁界形成部20を支持台25の中心O1を軸に偏心運動させる機構を備えている。この機構により[特許文献2]に開示された発明は、エロージョン形成位置を変化させることが可能となり、ターゲット15が局所的に削られることを防止して、ターゲット15の利用効率を向上させることができる。
実開平05−20303号公報
特開平05−179441号公報
このように、マグネトロンスパッタリング装置はエロージョンを生じさせるために、ターゲット15の表面上に充分な磁界を形成しなければならない。ターゲット15の表面上にエロージョン生じさせるに足る充分な磁界を形成するためには、磁界形成部をターゲット15に近接して配置することに加え、磁界形成部にFeNdB(鉄・ネオジム・ボロン)、CoSm(コバルト・サマリウム)等の高価な希土類磁石等を用いることが好ましい。
しかしながら、[特許文献1]、[特許文献2]に開示された考案及び発明で用いられるヨーク型の磁界形成部20には、使用する永久磁石が2個以上必要であり、これに高価な希土類磁石等を用いるとコスト増加に繋がるため、これに替わる安価な磁界形成部が望まれる。
また、ターゲット15が設置されたカソード電極16下のカソード筺体16a内には、冷却水を流動させてターゲット15を冷却する冷却部が設けられる場合が多い。従って、磁界形成部をターゲット15に近接配置するためには、磁界形成部を冷却部内、即ち冷却水中に設置する必要がある。しかしながら、冷却水中に磁界形成部を設置する場合、[特許文献1]に開示された考案のように、磁界形成部20が大きいとターゲット15を冷却するに足る充分な水量が確保できない場合がある。また、[特許文献2]に開示された発明のように、磁石部を駆動させる機構を設ける場合は、駆動軸部分の長期擦動により、シール部のパッキンなどが摩耗して冷却水が漏れる等の不具合が起こりやすくなるため、その改善が望まれる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、安価で簡易な構造の磁界形成部を用いたマグネトロンスパッタリング装置及びそれを用いた成膜方法を提供することを目的とする。
本発明は、
マグネトロンスパッタリング装置において、
真空チャンバ10と、
前記真空チャンバ10内に設けられて、所定の材料からなるターゲット15を保持する平坦な保持面を有するカソード電極16と、
前記保持面と所定の間隙を有して対向配置されたアノード電極14と、
前記カソード電極16における前記アノード電極14とは反対側に設けられて所定の磁界を形成する磁界形成部30と、
を有し、
前記磁界形成部30は、前記保持面に対して略直交する方向に沿う磁軸を有する磁石を備えると共に、前記ターゲット15を前記保持面で保持した際に、前記磁石の一方の磁極から発生した磁力線が、前記ターゲット15を通過して前記磁石の他方の磁極に収束するように配置したことを特徴とするマグネトロンスパッタリング装置を提供することにより、上記課題を解決する。
また、前記磁軸の方向を維持した状態で前記磁界形成部30を前記保持面に沿って移動する移動手段を、
備えたことを特徴とする上記のマグネトロンスパッタリング装置を提供することにより、上記課題を解決する。
また、前記カソード電極16における前記アノード電極14とは反対側に、冷却水8が流動する冷却水路8cを、前記磁界形成部30を囲うように設けたことを特徴とする上記のマグネトロンスパッタリング装置を提供することにより、上記課題を解決する。
また、前記磁界形成部30を前記保持面に離接する方向に沿って移動する移動手段を、
備えたことを特徴とする上記のマグネトロンスパッタリング装置を提供することにより、上記課題を解決する。
更に、上記のいずれかのマグネトロンスパッタリング装置を用いた成膜方法であって、
前記アノード電極14は、前記カソード電極16側にワーク13を保持するワーク保持部を有し、
前記ワーク保持部で前記ワーク13を保持した状態で、前記ターゲット15から前記ワーク13の表面に前記所定の材料を成膜するマグネトロンスパッタリング装置を用いた成膜方法を提供することにより、上記課題を解決する。
本発明に係るマグネトロンスパッタリング装置及びそれを用いた成膜方法は、上記のような構成のため、
(1)永久磁石の個数が減少することでコスト削減を図れるとともに、磁界形成部の構造を簡素化することができる。
(2)磁界形成部の構造が単純なため、冷却水中に磁界形成部を設置しても冷却水の流動を妨げず、冷却部の冷却能力を損なうことが無い。
(3)磁界形成部の形成する磁界は磁界形成部の外側にも生じるため、磁界形成部はターゲットの外縁下部を移動する必要が無い。よって、そのスペースに冷却部を設けることが可能となり、磁界形成部を冷却水中に設置せずとも、ターゲットの冷却と磁界形成部のターゲットへの近接配置を両立することができる。これにより、冷却部の防水対策にかかるコストや磁界形成部等のメンテナンス作業を軽減することができる。
(4)本発明に係るマグネトロンスパッタリング装置を用いた成膜方法は、低コストなマグネトロンスパッタリング装置を用いながら、良好な膜を効率良く成膜することができる。
本発明に係る光情報記録媒体の製造方法の実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は本発明に係るマグネトロンスパッタリング装置の第1の形態の概略構成図である。図2は本発明に係るマグネトロンスパッタリング装置の第2の形態の概略構成図である。図3は本発明に係るマグネトロンスパッタリング装置の第3の形態の概略構成図である。図4は本発明に係るマグネトロンスパッタリング装置の第4の形態の概略構成図である。図5は本発明に係るマグネトロンスパッタリング装置による成膜を説明する図である。尚、ここで示す各実施の形態の磁界形成部に関わる以外の部位に関しては、基本的に図6に示した従来技術と同等なため詳細な説明は省略する。また、従来技術と同様の部材に関しては同符号に示す。
図1に示す本発明に係る第1の形態のマグネトロンスパッタリング装置は、カソード筺体16a内のカソード電極16下に、ひとつの永久磁石からなる磁界形成部30がターゲット15に近接して設置される。このとき、磁界形成部30を構成する磁石の磁軸を、ターゲット15面の垂直方向に対して略同一な方向とすることで、磁界形成部30により生じる磁力線(図1中の破線)は、磁界形成部30のターゲット15側の磁極から、ターゲット15面上を通って磁界形成部30の側方に到達し、更に磁界形成部30の側方から磁界形成部30のターゲット15と反対面側の磁極へと収束する。この磁界形成部30からの磁界により、本発明に係るマグネトロンスパッタリング装置は、ターゲット15上にエロージョンを形成することができ、従来の装置と同様、高い成膜速度による薄膜形成が可能となる。また、磁界形成部30に用いる磁石の個数が少ないため、磁界形成部30のコスト削減を図ることができる。
尚、図1及び後述する図2〜図5中では、磁界形成部30のN極をターゲット15側としたが、S極をターゲット15側としても良い。また、図1及び後述する図2〜図5中では、磁界形成部30を永久磁石とした例を示したが、磁界形成部30を構成する磁石を電磁石とすることもできる。磁界形成部30を電磁石とすれば、エロージョン形成のための磁界の強度を電気的に制御することが可能となる。
また、カソード筺体16aはターゲット15の冷却部を兼ねており、給水管8aからカソード筺体16a内に冷却水8を供給するとともに排水口8bから排出することで、カソード筺体16a内を冷却水8で満たしつつ所定の流量で流動させ、ターゲット15をカソード電極16を介して冷却する。
このような場合でも、カソード筺体16a内に設置される磁界形成部30は、構造が単純で凹部や大きな隙間等が存在しないため、充分な水量の冷却水8を停留なく流動することが可能となり、冷却部によるターゲット15への冷却能力を損なうことがない。
尚、磁界形成部30は後述する第3の形態のように、ターゲット15外縁部下に設けられた冷却水路間のカソード電極16下に近接配置して、磁界形成部30を冷却水中に設置しない構成としても良い。
更に、磁界形成部30に用いる磁石の端面形状は、ターゲット15が円形の場合には円形が、ターゲット15が角型形状の場合には同様に角型形状が好ましい。ただし、これに限定する必要は無く、多角形、楕円、棒形状、放射形状等、任意の形状とすることができる他、複数の形を組み合わすことも可能である。磁界形成部30に用いる磁石の端面形状を、生じる磁界を考慮して設計すれば、磁界を外側に偏らせたり、磁界の形成範囲をある程度拡大もしくは縮小したり、特定の領域に磁界を生じさせる等のことが可能となり、エロージョンの形成位置をある程度制御することができる。また、磁界形成部30の端面形状、配置位置、磁界形成部30が円形でない場合にはターゲット15面の水平方向における角度、等を変えることによりエロージョンの形成位置をその都度変化させ、ターゲット15の利用効率を向上させることも可能である。
次に、本発明に係るマグネトロンスパッタリング装置の第2の形態を図2に示す。第2の形態のマグネトロンスパッタリング装置は、カソード筺体16a下部のターゲット15の中心軸と略同一の位置に所定の径の軸穴を有しており、その軸穴に回転軸34が可動な状態で嵌入される。このとき、軸穴には図示しないパッキン等の防水措置が施され、カソード筺体16a内を流動する冷却水8の漏水を防止する。
回転軸34の上端にはベース板32が固定され、ベース板32上には磁界形成部30である永久磁石が設置される。このとき磁界形成部30は、磁界形成部30の中心を回転軸34の中心からずらすとともに、磁界形成部30の外側の磁力線Aがターゲット15の外縁部にかかるような位置に設置する。
回転軸34の下端は回転運動が可能なように駆動装置36に接続される。そして、駆動装置36が稼動することで回転軸34、ベース板32が回転する。ベース板32が回転すると、磁界形成部30はカソード電極16下をターゲット15面に対して略平行に、回転軸34の中心からずれた距離だけ偏心して回転する。この磁界形成部30の回転運動によりターゲット15表面上に形成される磁界の位置も回転し、それに伴ってエロージョンの形成位置も移動する。このため、プラズマ中の正イオンが衝突して削られるターゲット15の位置が分散し、ターゲット15の利用効率を向上させることができる。
上記の第2の形態においても、第1の形態同様、磁界形成部30の構造の簡素化と使用する永久磁石の個数の削減を図ることができる。
尚、図2においては、ターゲット15が円形の例を示したが、ターゲット15が角型形状の場合には、磁界形成部30が設置されたベース板32をターゲット15面と平行な方向に移動もしくは遥動することで、同様にターゲット15の利用効率の向上を図ることができる。
次に、本発明に係る第3の形態のマグネトロンスパッタリング装置を図3に示す。第3の形態のマグネトロンスパッタリング装置では、ターゲット15の外縁下部に冷却水8が流動する冷却水路8cを設けたカソード筺体16bを用いて、磁界形成部30及びその駆動系と冷却部とを分離した構成としている。
従来のヨーク型の磁界形成部20は、中央の永久磁石22と外側の永久磁石23との間に磁界を形成するため、エロージョンは磁界形成部20上の領域に形成される。従って、ターゲット15の全面を有効利用してスパッタリングを行うためには、磁界形成部20をターゲット15下の全領域に亘って移動させる必要がある。
しかしながら、本発明に係るマグネトロンスパッタリング装置では、磁界形成部30の磁極面(端面)から生じる磁力線は磁界形成部30の外側を通過するため、エロージョンはターゲット15上における磁界形成部30の磁極面の外側の領域にも形成される。よって、エロージョン形成位置がターゲット15上を逸脱しないように磁界形成部30を移動させるためには、磁界形成部30の移動範囲をターゲット15の外縁部より内側としなければならない。よって、カソード筺体のターゲット15の外縁下部にはスペースが生じることとなり、このスペースに冷却水8の冷却水路8cを設けることで、ターゲット15の冷却と磁界形成部30のターゲット15への近接配置を両立しながら、磁界形成部30と冷却部とを分離することが可能となる。これにより、磁界形成部30及びその駆動系を冷却水8と分離して設置することができ、本発明に係る第3の形態のマグネトロンスパッタリング装置では、永久磁石の個数削減に伴うコスト低下に加え、冷却部の防水措置及び構造の大幅な簡素化、磁界形成部30及びその駆動系の動作信頼性の向上、磁界形成部30及びその駆動系のメンテナンス作業の軽減等を図ることができる。
次に、本発明に係る第4の形態のマグネトロンスパッタリング装置を図4に示す。尚、本発明に係る第4の形態のマグネトロンスパッタリング装置は磁界形成部30の移動方向を、ターゲット15面と平行な方向に加えターゲット15面と垂直な方向にも移動可能としたものである。また、図4中では上記の構成を第3の形態のマグネトロンスパッタリング装置に適用した例を示すが、この構成は第2の形態のマグネトロンスパッタリング装置にも適用可能である。
第4の形態のマグネトロンスパッタリング装置の駆動装置36aは、接続された回転軸34を回転させると共に、回転軸34をその軸方向、即ちターゲット15面と垂直な上下方向にも移動可能な機構を有している。そして、駆動装置36aは、成膜時には磁界形成部30をターゲット15面と平行に移動するように回転軸34を回転させ、ターゲット15の利用効率を向上させる。
また、ターゲット15のエロージョン形成位置の厚みが長期に亘る使用により削られて薄くなった場合、駆動装置36aは回転軸34をその削られた分だけ下降させ、ターゲット15表面から磁界形成部30までの距離を略一定に維持する。これにより、本発明に係る第4の形態のマグネトロンスパッタリング装置によれば、磁界形成部30の位置を上下方向に調整することにより、ターゲット15の厚み変化に伴う成膜レートの変動を抑制することが可能となる。
また、ターゲット15が磁性体材料の場合には、ターゲット15が磁界形成部30の磁力によりカソード電極16に密着し、ターゲット15の交換時等に取り外すことが困難となる。このようなときには、駆動装置36aは回転軸34を大きく下降させて磁界形成部30とターゲット15間の距離を広げ、磁界形成部30の磁力によるターゲット15の密着強度を低下させることで、ターゲット15の取り外しを容易に行う事が可能となる。
次に、図5に本発明に係るマグネトロンスパッタリング装置を用いた成膜方法を、第4の形態のマグネトロンスパッタリング装置を用いた光記録媒体用スタンパの導電層の成膜を例として説明する。
光記録媒体用スタンパの導電層の成膜は、先ず、真空チャンバ10内のアノード電極14に、ワークとして一面側にフォトリソグラフィ法等により所定の凹凸パターンが螺旋状もしくは同心円状に形成されたガラス基板13aを、ガラス基板13aの凹凸パターンがカソード電極16側を向くように設置する。また、カソード電極16には厚み約4mmの磁性体材料であるNi(ニッケル)製のターゲット15を設置する。
次に、排気口11に接続された真空ポンプを稼動させて真空チャンバ10内の空気を排気した後、ガス導入路12から不活性ガスを所定流量導入して低圧力状態とする。次に、電源19からカソード電極16に所定の電力を供給することで、カソード電極16とアノード電極14との間にプラズマを発生させる。発生したプラズマはターゲット15上に磁界形成部30で形成された磁界によって閉じ込められて収束し、エロージョンを生成する。主に、このエロージョン中の正イオンがカソード電極16側に引き寄せられて、ターゲット15と衝突しNi原子を飛散させる。このNi原子がアノード電極14側に保持されているガラス基板13aの凹凸パターンに沿って付着、堆積することにより導電層としてのNi膜が成膜される。
このとき、磁界形成部30は駆動装置36aによりターゲット15下を回転移動するため、エロージョンの形成位置もそれに伴って移動する。よって、ターゲット15表面上のスパッタ位置が分散し、ターゲット15の利用効率が向上する。
また、スパッタリングによってターゲット15に生じる熱は、カソード筺体16bに設けられた冷却水路8cを流れる冷却水8によって効果的に冷却され、ターゲット15の発熱による成膜効率の低下も生じることはない。
上記の手順によって、所定の厚みのNi膜がガラス基板13aの凹凸パターン上に成膜されると、電源19からの電力供給を停止し、真空チャンバ10を常圧とした後に、ガラス基板13aを取り出す。取り出されたガラス基板13aは、凹凸パターン上のNi膜を導電層として、この導電層上に電鋳法等により厚いNi層を形成した後、このNi層及び導電層をガラス基板13aから剥離する。剥離したNi層は裏面研磨、内外径加工された後、金型に取り付けられて光記録媒体用スタンパとして光記録媒体用基板の作製に用いられる。
スパッタリングによってターゲット15のエロージョン形成位置の厚みが薄くなっている場合には、駆動装置36aにより回転軸34をその分だけ下方向に移動させるようにすることで、ターゲット15の厚みの変化によって生ずる成膜レートの変動を抑制することができる。また、ターゲット15を交換する時に、ターゲット15が本例のように磁性体材料の場合には、駆動装置36aは回転軸34を大きく下降させる。これにより、ターゲット15をカソード電極16から容易に取り外すことができる。
尚、ターゲット15に磁性体材料を用いる場合には、磁界形成部からの磁力線がターゲット15内を通過し易く、磁界がターゲット15表面上に漏れにくい。このため、磁界形成部には強い磁力を有する高価な希土類磁石等を用いる必要がある。本発明の磁界形成部30では前述のように使用する永久磁石が一つであるため、高価な希土類磁石等を用いても材料コストは大幅に増加することはない。尚、ターゲット15に磁性体材料を用いる際には、ターゲット15の厚みを磁界形成部30に応じて最適化することが好ましい。
以上のことから、本発明に係るマグネトロンスパッタリング装置によれば、磁界形成部30が1つの磁石によって構成されるため、構造が簡素化すると同時に、磁石の個数が減少しコストの削減を図ることができる。また、磁界形成部30は複雑な構造を有していないため、冷却水8中に設置しても冷却水8の流動を妨げず、冷却部の冷却能力を損なうことが無い。
更に、磁界形成部30からの磁界は磁界形成部30の外側にも形成されるため、磁界形成部30の移動範囲はターゲット15の直径よりも小さくなる。よって、このターゲット15の外縁部下のスペースに冷却部を設置することで、磁界形成部30と冷却部とを分離することが可能となり、冷却部の防水措置及び構造の大幅な簡素化、磁界形成部30及びその駆動系の動作信頼性の向上、磁界形成部30及びその駆動系のメンテナンス作業の軽減等を図ることができる。
本発明に係るマグネトロンスパッタリング装置の第1の形態の概略構成図である。 本発明に係るマグネトロンスパッタリング装置の第2の形態の概略構成図である。 本発明に係るマグネトロンスパッタリング装置の第3の形態の概略構成図である。 本発明に係るマグネトロンスパッタリング装置の第4の形態の概略構成図である。 本発明に係るマグネトロンスパッタリング装置による成膜を説明する図である。 従来のマグネトロンスパッタリング装置の概略構成図である。 従来のマグネトロンスパッタリング装置の磁界形成部の概略構成図である。
符号の説明
8c 冷却水路
15 ターゲット
16 カソード電極
16a、16b カソード筺体
30 磁界形成部
32 ベース板
34 回転軸
36、36a 駆動装置

Claims (5)

  1. マグネトロンスパッタリング装置において、
    真空チャンバと、
    前記真空チャンバ内に設けられて、所定の材料からなるターゲットを保持する平坦な保持面を有するカソード電極と、
    前記保持面と所定の間隙を有して対向配置されたアノード電極と、
    前記カソード電極における前記アノード電極とは反対側に設けられて所定の磁界を形成する磁界形成部と、
    を有し、
    前記磁界形成部は、前記保持面に対して略直交する方向に沿う磁軸を有する磁石を備えると共に、前記ターゲットを前記保持面で保持した際に、前記磁石の一方の磁極から発生した磁力線が、前記ターゲットを通過して前記磁石の他方の磁極に収束するように配置したことを特徴とするマグネトロンスパッタリング装置。
  2. 前記磁軸の方向を維持した状態で前記磁界形成部を前記保持面に沿って移動する移動手段を、
    備えたことを特徴とする請求項1記載のマグネトロンスパッタリング装置。
  3. 前記カソード電極における前記アノード電極とは反対側に、冷却水が流動する冷却水路を、前記磁界形成部を囲うように設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のマグネトロンスパッタリング装置。
  4. 前記磁界形成部を前記保持面に離接する方向に沿って移動する移動手段を、
    備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のマグネトロンスパッタリング装置。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のマグネトロンスパッタリング装置を用いた成膜方法であって、
    前記アノード電極は、前記カソード電極側にワークを保持するワーク保持部を有し、
    前記ワーク保持部で前記ワークを保持した状態で、前記ターゲットから前記ワークの表面に前記所定の材料を成膜するマグネトロンスパッタリング装置を用いた成膜方法。
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