JP2008154328A - 電動機のステータ、電動機のステータの製造方法、及び電動機 - Google Patents

電動機のステータ、電動機のステータの製造方法、及び電動機 Download PDF

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Abstract

【課題】、ステータ内の磁束の流れが阻害されることを抑制することができるステータ及び当該ステータを備える電動機である。
【解決手段】環状のバックヨーク部と、前記バックヨーク部の半径方向に突出する複数のティース部と、を含む電動機のステータであって、前記ティース部は、扁平状磁性粉の成形体であり、且つ前記扁平状磁性粉の長軸が前記バックヨーク部の半径方向に配向し、前記バックヨーク部は、略球状磁性粉の成形体である。
【選択図】図7

Description

本発明は、電動機のステータ、電動機のステータの製造方法、及び電動機の技術に関する。
一般に、電動機は、ステータとロータとを備え、ステータとロータが電磁気的に相互作用することにより、ロータを回転させ、駆動力を発生させる。
図1は、電動機に使用されるステータの模式図である。図1に示すように、ステータ1は、環状のバックヨーク部10と、バックヨーク部10の半径方向に突出する複数のティース部12とを有する。複数のティース部12のそれぞれには、コイル(不図示)が集中巻きされている。図2は、図1に示す点線枠r1におけるステータ1の模式拡大図である。一般的に、ステータ1は、バックヨーク分割部(10a,10b,10c,・・・)とティース部(12a,12b,12c,・・・)とを備えるステータ分割コア(2a,2b,2c,・・・)が環状になるように複数個配置されたものである。上記でも説明したように、ティース部12a,12b,12cそれぞれには、コイル(16a,16b,16c)が集中巻きされている。
図3は、図2に示すステータ分割コア2aの磁束の流れの一例を説明するための図である。図3に示すように、電動機の稼動時には、例えば、ティース部12aのコイル16aに電流を流すことによって、図1に示すステータ1の内周側に配置されているロータ(不図示)からティース部12a内、バックヨーク分割部10a内へと磁束が流れる(図3に示す矢印a)。また、バックヨーク分割部10aでは、ステータ1の円周方向に磁束が流れる。
電動機のステータには、磁性粉を加圧成形等したもの、又は電磁鋼板を積層して一体化したものがある。高周波域では、磁性粉を加圧成形したステータは、電磁鋼板を積層して一体化したステータに比べて、渦電流損失(渦電流の発生に伴うジュール損失)を低減させ、モータのトルクを増加させることができる。したがって、一般的に、電動機のうち、高出力が要求されるハイブリッド自動車、電気自動車等に使用されるモータには、磁性粉を加圧成形したステータが使用されることが好ましい。
また、磁性粉には、アトマイズ磁性粉、扁平状磁性粉、略球状磁性粉がある。略球状磁性粉をステータに使用するより扁平状磁性粉をステータに使用する方が、扁平状磁性粉の幅が小さく、また、扁平状磁性粉の長軸方向の磁束が流れやすいため、渦電流損失を低減させ、また、磁束密度を向上させ、モータのトルクを増加させることができる。したがって、高出力が要求されるハイブリッド自動車、電気自動車等に使用されるモータには、扁平状の磁性粉を加圧成形等したステータを使用することが好ましい。
扁平状磁性粉を加圧成形したステータ内に流れる磁束の一例を以下説明する。
図4は、扁平状磁性粉を加圧成形したものをステータとした場合の、図2に示すB−B線におけるステータ分割コア2aの模式断面図である。図4に示す矢印bは、電動機の稼動時にステータ内に流れる磁束を表している。
扁平状磁性粉21を加圧成形したステータ分割コア2は、図4に示す扁平状磁性粉21の長軸mの方向(矢印y)には磁束が流れやすいが短軸nの方向(矢印z)には、磁束が流れにくい特性を有する。ティース部12a内では、磁束は、扁平状磁性粉21の長軸mの方向に流れるため、磁束の流れはスムーズである。しかし、バックヨーク分割部10a内では、磁束は、ステータの厚さ方向、すなわち、扁平状磁性粉21の短軸nの方向(矢印z)に流れるため、バックヨーク分割部10aが磁壁となり、磁束の流れは阻害される。磁束の流れが阻害される分だけ、磁束密度は減少するため、モータのトルクが低下する。
例えば、特許文献1には、ステータ内を流れる磁束方向に、磁性粉の磁化容易軸(単結晶鉄粉の場合、結晶方位の(001)方向)を配向させることによって、磁束の流れを向上させるステータが提案されている。
また、例えば、特許文献2には、扁平状磁性粉の長軸を磁束の流れる方向に配向させた電磁アクチュエータが提案されている。
特開2004−282832号公報 特開2001−115809号公報
しかし、特許文献1のステータでは、バックヨーク部及びティース部が、同一形状の磁性粉で構成されているため、ティース部及びバックヨーク部に流れる磁束方向にそれぞれ同一形状の磁性粉の磁化容易軸を配向させることは困難であり、ティース部からバックヨーク部への磁束の流れは阻害される。
また、特許文献2の電磁アクチュエータでは、バックヨーク部及びティース部が、同一形状の磁性粉で構成されているため、ティース部及びバックヨーク部に流れる磁束方向にそれぞれ同一形状の磁性粉の長軸を配向させることは困難であり、ティース部からバックヨーク部への磁束の流れは阻害される。
本発明は、ステータ内の磁束の流れが阻害されることを抑制することができるステータ及び当該ステータを備える電動機である。
本発明は、環状のバックヨーク部と、前記バックヨーク部の半径方向に突出する複数のティース部とを含む電動機のステータであって、前記ティース部は、扁平状磁性粉の成形体であり、且つ前記扁平状磁性粉が前記バックヨーク部の半径方向に配向し、前記バックヨーク部は、前記ティース部の厚み方向に突出する突出部を備え、前記突出部を備えるバックヨーク部は、略球状磁性粉の成形体である。
また、本発明は、環状のバックヨーク部と、前記バックヨーク部の半径方向に突出する複数のティース部とを含む電動機のステータであって、前記ティース部は、扁平状磁性粉の成形体であり、且つ前記扁平状磁性粉が前記バックヨーク部の半径方向に配向し、前記バックヨーク部は、前記ティース部の厚み方向に突出する突出部を備え、前記突出部を備えるバックヨーク部は、略球状磁性粉と扁平状磁性粉との成形体であり、且つ前記バックヨーク部の扁平状磁性粉が前記バックヨーク部の半径方向に対して傾斜している。
また、本発明は、環状のバックヨーク部と、前記バックヨーク部の半径方向に突出する複数のティース部とを含む電動機のステータの製造方法であって、扁平状磁性粉を加圧成形してティース部を成形するティース部成形工程と、略球状磁性粉を加圧成形してバックヨーク部を成形するバックヨーク部成形工程とを有し、前記加圧成形の際に前記扁平状磁性粉又は前記略球状磁性粉を予圧成形する。
また、本発明は、環状のバックヨーク部と、前記バックヨーク部の半径方向に突出する複数のティース部とを含む電動機のステータを有する電動機であって、前記ティース部は、扁平状磁性粉の成形体であり、且つ前記扁平状磁性粉が前記バックヨーク部の半径方向に配向し、前記バックヨーク部は、略球状磁性粉の成形体である。
本発明によれば、バックヨーク部が略球状磁性粉の成形体であることによって、ステータ内の磁束の流れが阻害されることを抑制することができるステータ及び当該ステータを備える電動機を提供することができる。
本発明の実施の形態について以下説明する。
図5は、本発明の実施形態に係るステータの構成の一例を示す模式図である。図5に示すように、ステータ3は、環状のバックヨーク部22と、バックヨーク部22の半径方向に突出する複数のティース部24とを備えている。
ステータ3は、バックヨーク分割部と、ティース部とを備えるステータ分割コアが環状になるように複数個配置されたものでも、環状に一体成形されたバックヨーク部に、複数のティース部が配置されたものであってもよく、特に制限されるものではない。本実施形態では、ステータ分割コアが環状になるように複数個配置されたものを例として以下説明する。
図6は、図5に示す点線枠r2におけるステータ3の模式拡大図である。図6に示すようにステータ分割コア4は、バックヨーク分割部22aと、ティース部24aとを備えている。また、ティース部24aには、巻線が集中巻きされたコイル26aを有する。
図7は、図6に示すB−B線におけるステータ分割コア4の模式断面図である。図7に示す矢印bは、磁束の流れを示している(図4に示す矢印bと同様)。図7に示すように、ティース部24aは、扁平状磁性粉21の成形体であり、扁平状磁性粉21の長軸(長径)m1がバックヨーク部(又はステータ)の半径方向(図7に示す矢印y)に配向している。扁平状磁性粉21は、長軸m1の方向に磁束を流しやすい性質を有する。ここで、扁平状磁性粉21とは、図7に示す扁平状磁性粉21の長軸(長径)m1と扁平状磁性粉21の短軸(短径)n1との割合(アスペクト比=m1/n1)が、1.5より大きいものを言う。扁平状磁性粉21の長軸m1及び短軸n1は、顕微鏡(オリンパス社製)により測定することができる。また、扁平状磁性粉21の長軸(長径)m1がバックヨーク部の半径方向に配向しているか否かは、光学顕微鏡により確認することができる。
ティース部24aは、永久磁石から流れる磁束をバックヨーク分割部22aに流すものであるため、磁束を一定の方向に流すことができる構造であることが好ましい。したがって、本実施形態のように、ティース部24aに扁平状磁性粉21を使用し、扁平状磁性粉21の長軸m1をバックヨーク部の半径方向に配向させることによって、永久磁石から流れる磁束をバックヨーク分割部22aに効率的に流すことができる。これによって、モータのトルクの低下を抑制することができる。
一方、バックヨーク分割部22aは、略球状磁性粉26の成形体である。略球状磁性粉26は、磁束を流しやすい一定の方向を有さず、いずれの方向にも磁束を流す性質を有する。ここで、略球状磁性粉26とは、図7に示す略球状磁性粉26の長軸(長径)m2と略球状磁性粉26の短軸(短径)n2との割合(アスペクト比=m2/n2)が、1.5以下であるものを言う。バックヨーク分割部22a内の略球状磁性粉26の長軸m2及び短軸n2(又はアスペクト比)は、顕微鏡(オリンパス社製)により測定することができる。
上記でも説明したように、バックヨーク分割部22aに流れる磁束は、ステータの厚さ方向に流れる。すなわち、ティース部24a内に流れる磁束の方向とバックヨーク分割部22a内に流れる磁束の方向とは異なる。そのため、バックヨーク分割部22aでは、ティース部24aに流れる磁束を受け取り、ティース部24aの磁束の流れを阻害させることなく、バックヨーク分割部22aに流れる磁束の方向、すなわちステータの厚さ方向へ切り替えて、磁束を流す必要ある。したがって、バックヨーク分割部22aでは、どの方向からでも磁束を受け取りやすく、どの方向へでも磁束を流すことできる3次元的な磁束回路を有することが好ましい。本実施形態のバックヨーク分割部22aは、略球状磁性粉26の成形体である。上記でも説明したように略球状磁性粉26は、どの方向にも磁束を流すことができるため、バックヨーク分割部22aは、3次元的な磁束回路を有する。したがって、磁束の流れが阻害されることを抑制することができ、モータのトルクの低下を抑制することができる。
図7に示すように、バックヨーク分割部22aは、ステータ分割コア4の厚み方向(矢印z)に突出する突出部28a,28bを備える。図7に示すように、バックヨーク分割部22aに突出部28a,28bを設けることによって、突出部28a,28bに流れる磁束を利用することができる。本実施形態において、突出部28a,28bは、略球状磁性粉26の成形体であるため、突出部28a,28bへの磁束の流れが阻害されることを抑制することができる。したがって、バックヨーク分割部22aは、突出部28a,28bへ流れる磁束を効率的に利用することができるため、モータの出力を向上させることができる。
以下、略球状磁性粉26及び扁平状磁性粉21について具体的に説明する。まず、バックヨーク分割部22aに用いられる略球状磁性粉26について説明する。
略球状磁性粉26のアスペクト比は、1.5以下の範囲が好ましい。上記範囲外であると、磁束をどの方向にも流しやすい性質を有さず、所定の方向、例えば略球状磁性粉26の長軸m2の方向に流しやすい性質を有する場合がある。また、略球状磁性粉26の体積平均粒径は、5μm〜500μmの範囲が好ましい。
略球状磁性粉26としては、例えば、純Fe系、Fe−Si系、Fe−Co系、Fe−Cr系、Fe−Cr−Ni系、Fe−Si−Al系等のFe系金属(合金)の粒子等が挙げられる。
略球状磁性粉26は、上記粒子等に焼鈍処理をしたものであってもよい。焼鈍処理の条件は、特に制限されるものではないが、結晶粒径粗大化の点で、真空下において、1000℃〜1300℃、1〜4時間であることが好ましい。
さらに、略球状磁性粉26は、上記粒子等又は上記粒子等に焼鈍処理をしたものに、シリコン樹脂、フェノール樹脂等の絶縁剤をコーティングしたものであってもよい。絶縁剤の含有量は、特に制限されるものではないが、磁束密度向上の点で、略球状磁性粉の総重量に対して0.2〜0.5重量%の範囲であることが好ましい。
次に、ティース部24aに用いられる扁平状磁性粉21について説明する。
扁平状磁性粉21のアスペクト比は、3〜15の範囲が好ましく、6〜10の範囲がより好ましい。扁平状磁性粉21のアスペクト比が3より小さいと、扁平状磁性粉21の長軸m1の方向に磁束が流れ難くなる場合がある。
扁平状磁性粉21は、上記略球状磁性粉26を例えば、ロール加工機、ボールミル粉砕機等により扁平加工したものである。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
図8は、図6に示すB−B線における他の実施形態に係るステータ分割コア4の模式断面図である。図8に示すように、ティース部24aは、上記と同様の構成を有するものである。一方、バックヨーク部22aは、扁平状磁性粉21の成形体であり、扁平状磁性粉21の長軸m1が、バックヨーク部の半径方向(図8に示す矢印y)に対して傾斜しているものである。
扁平状磁性粉21の長軸m1が半径方向に対して傾斜しているとは、扁平状磁性粉21の長軸m1が、バックヨーク部の半径方向(図8に示す矢印y)に対して、30°〜45°の範囲の傾斜角を有することをいう。上記傾斜角は、レーザ顕微鏡によって測定することができる。傾斜角が上記範囲外であると、バックヨーク分割部22aが磁壁となり、バックヨーク分割部22a内の磁束の流れを阻害する場合がある。
図8に示すように、バックヨーク分割部22a全体の扁平状磁性粉21の長軸m1が、バックヨーク部の半径方向に対して傾斜しているものであっても、一部が半径方向に対して傾斜しているものであってもよい。図9は、図6に示すB−B線における他の実施形態に係るステータ分割コア4の模式断面図である。バックヨーク分割部22aの一部が半径方向に対して傾斜しているとは、例えば、図9に示すように、バックヨーク分割部22aの突出部28a,28bの扁平状磁性粉21の長軸m1が半径方向に対して傾斜しているものである。これらの構成とすることによっても、突出部28a,28bの磁束の流れが阻害されることを抑制することができる。
図10は、図6に示すB−B線における他の実施形態に係るステータ分割コア4の模式断面図である。図10に示すように、ティース部24aは、上記と同様の構成を有するものである。一方、バックヨーク分割部22aは、略球状磁性粉26と扁平状磁性粉21との成形体である。また、上記同様に、扁平状磁性粉21の長軸が、バックヨーク部の半径方向に対して傾斜しているものである。
バックヨーク分割部22aを構成する略球状磁性粉26及び扁平状磁性粉21によって、効率的にティース部24aからの磁束を受け取り、バックヨーク分割部22aに流れる磁束の方向に切り替えることができる。すなわち、バックヨーク分割部22aの磁束の流れ(図10の矢印bに示す突出部の磁束の流れ、及びステータの円周方向の磁束の流れ(不図示))が阻害されることを抑制することができる。また、バックヨーク分割部22aを上記構成にすることによって、扁平状磁性粉21の長軸m1がバックヨーク部の半径方向に対して傾斜しているバックヨーク分割部(図8,9に示す)より、磁束を効率的に流すことができる。
本実施形態に係るステータ1は、図7,8,9,又は10に示すステータ分割コア4を環状に配置した後に、外周を非磁性リング等により固定し、焼きばめし、一体化させることによって得られる。また、本実施形態に係るステータ1は、図7,8,9,又は10に示すステータ分割コア4をそれぞれ組み合わせて、環状に配置した後に、上記同様に一体化させることによって得られるものであってもよい。
このように、本実施形態に係るステータは、バックヨーク部を構成する磁性粉の形状及び長軸方向のうち少なくともいずれか1つが、ティース部を構成する磁性粉と異なることによって、バックヨーク部内の磁束の流れを阻害することを抑制することができる。したがって、本実施形態に係るステータが、高出力が要求されるモータに使用される場合でも、モータのトルクの低下を抑制することができる。
次に、本実施形態に係るステータの製造法について説明する。
図11は、本実施形態に係るステータの製造方法の一例を説明するための図である。図11に示す金型30は、本実施形態に係るステータを形成するための金型の厚さ方向から見た一部断面を示すものである。金型30は、バックヨーク部を形成するためのバックヨーク形成部32及びティース部を形成するためのティース形成部34を有する。
図11に示すように、本実施形態に係るステータの製造方法は、金型30のティース形成部34に上記説明した扁平状磁性粉21を投入し、加圧成形してティース部を成形する(ティース部成形工程)際に、予圧成形する。次に、バックヨーク形成部32に上記説明した略球状磁性粉26を投入し、加圧成形してバックヨーク部と(バックヨーク部成形工程)、ティース部とを同時に成形するものである。または、バックヨーク形成部32に略球状磁性粉26を投入して、予圧成形し、ティース形成部34に扁平状磁性粉21を投入して、加圧成形するものであってもよい。
予圧成形する圧力は、100MPa以上が好ましい。加圧成形する圧力は、700〜1600MPaの範囲が好ましい。図11に示すように、扁平状磁性粉21の長軸m1は、圧力方向に対して略直角になるように配向する。
また、予圧成形又は加圧成形する際の温度は、例えば、常温から150℃の範囲であることが好ましい。また、圧粉体(加圧成形したもの)を焼鈍する際の温度又は時間等は、例えば、400℃〜750℃の温度で30分焼鈍することが好ましい。
次に、本実施形態に係るステータを構成するティース部及びバックヨーク部に、扁平状磁性粉を用いた場合を例として、以下説明する。
図12は、本実施形態に係るステータの製造方法の他の一例を説明するための図である。図12に示す金型31は、バックヨーク形成部33の先端部36が、テーパー状になっている以外は、図11に示す金型と同様の構成を有するものである。先端部36が、テーパー状になっていることで、バックヨーク形成部33に投入される扁平状磁性粉21の長軸をバックヨーク部の半径方向に対して傾斜させることができる。
図12に示すテーパー角度θは、バックヨーク分割部を構成する扁平状磁性粉の長軸の傾斜角が、上記範囲となるように設定されていればよく、テーパー角度θは、30°〜45°の範囲である。
先端部36がテーパー状になっている金型31を用いて、ステータを製造する方法は、上記方法と同様である。また、ステータを構成するバックヨーク部が、上記説明した扁平状磁性粉及び略球状磁性粉の成形体(図10に示す)の場合も、先端部36がテーパー状になっている金型31を用いて、上記同様の方法で製造することができる。
次に本実施形態に係るステータを備える電動機について説明する。
図13は、本実施形態に係る電動機の構成の一例を示す模式図である。電動機は、ACモータ、SRモータ、クローポール型モータ等のパルスモータ等特に制限されるものでない。本実施形態では、SRモータ(以下単にモータと呼ぶ)を例に以下説明する。図13に示すように、モータ6は、ステータ40、ロータ42、ステータ40及びロータ42を収容する枠体(不図示)を備えている。ステータ40は、上記説明したステータ(例えば、図5に示すステータ3)と同様の構成を有し、ティース部(50a,50b,・・・)を備えるものである。また、ステータ40は、枠体の内側に固定されている。
ロータ42は、シャフト44、ロータコア46を備えるものである。図13に示すようにロータ42は、中央に配設されたシャフト44の周りにロータコア46が固定されている。また、ロータ42は、ステータ40との間に所定のギャップを有するように挿入配置されている。
ロータコア46には、複数の永久磁石(48a,48b・・・)が設けられている。また、ロータコア46は、プレス装置により打ち抜き加工された複数の上記電磁鋼板を積層して一体化すること等により構成されている。ロータコア46の構成はこれに限定されるものではなく、上記磁性粉を金型に投入し加圧成形されたものであってもよい。シャフト44は、枠体にベアリング(不図示)を介して支持されている。
次に、本実施形態に係るモータ6の稼動について説明する。例えば、ステータ40のティース部50aのコイル(不図示)に電流を流すことによって、永久磁石48aからティース部50a内へ磁束が流れ、永久磁石48aがティース部50aに引きつけられる。さらに、別のティース部50bのコイル(不図示)に電流を流すことによって、他の永久磁石48bがティース部50bに引き付けられる。これを連続的に行うことによってロータ42が回転し、トルクが発生する。
永久磁石48aから発生する磁束は、ティース部50a内を通り、バックヨーク部52へと流れる。上記でも説明したように、ティース部50a及びバックヨーク部52内の磁束方向は、異なる。そのため、バックヨーク部52では、ティース部50aの磁束を受け取り、バックヨーク部52に流れる磁束方向に切り替える必要がある。本実施形態に係るモータ6は、バックヨーク部52が、略球状磁性粉及び半径方向に対して傾斜した扁平状磁性粉の成形体であるため、ティース部50aの磁束を受け取り、バックヨーク部52に流れる磁束方向に切り替えやすく、バックヨーク部内の磁束の流れが、阻害されることを抑制することができる。したがって、モータのトルクの減少を抑えることができる。
以上、図13により本実施形態に係るモータについて説明したが、モータの構成は、これに限定されるものではなく、例えば、永久磁石がロータコア内に埋め込まれた埋め込み型モータ等であってもよく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更があっても、それらは、本発明に含まれるものである。
電動機に使用されるステータの模式図である。 図1に示す点線枠r1におけるステータ1の模式拡大図である。 図2に示すステータ分割コア2aの磁束の流れの一例を説明するための図である。 扁平状磁性粉を加圧成形したものをステータとした場合の、図2に示すB−B線におけるステータ分割コア2aの模式断面図である。 本発明の実施形態に係るステータの構成の一例を示す模式図である。 図5に示す点線枠r2におけるステータ3の模式拡大図である。 図6に示すB−B線におけるステータ分割コア4の模式断面図である。 図6に示すB−B線における他の実施形態に係るステータ分割コア4の模式断面図である。 図6に示すB−B線における他の実施形態に係るステータ分割コア4の模式断面図である。 図6に示すB−B線における他の実施形態に係るステータ分割コア4の模式断面図である。 本実施形態に係る分割ステータコアの製造方法の一例を説明するための図である。 本実施形態に係る分割ステータコアの製造方法の他の一例を説明するための図である。 本実施形態に係る電動機の構成の一例を示す模式図である。
符号の説明
1,3,40 ステータ、2,4 ステータ分割コア、6 モータ、10,22 バックヨーク部、10a,10b,10c,22a バックヨーク分割部、12,12a,12b,12c,24,24a、50a、50b ティース部、16a,16b,16c,26a コイル、21 扁平状磁性粉、26 略球状磁性粉、28a,28b 突出部、30,31 金型、32,33 バックヨーク形成部、34 ティース形成部、36 先端部、42 ロータ、44 シャフト、46 ロータコア、48a,48b 永久磁石。

Claims (4)

  1. 環状のバックヨーク部と、前記バックヨーク部の半径方向に突出する複数のティース部とを含む電動機のステータであって、
    前記ティース部は、扁平状磁性粉の成形体であり、且つ前記扁平状磁性粉が前記バックヨーク部の半径方向に配向し、前記バックヨーク部は、前記ティース部の厚さ方向に突出する突出部を備え、前記突出部を備えるバックヨーク部は、略球状磁性粉の成形体であることを特徴とする電動機のステータ。
  2. 環状のバックヨーク部と、前記バックヨーク部の半径方向に突出する複数のティース部とを含む電動機のステータであって、
    前記ティース部は、扁平状磁性粉の成形体であり、且つ前記扁平状磁性粉が前記バックヨーク部の半径方向に配向し、前記バックヨーク部は、前記ティース部の厚さ方向に突出する突出部を備え、前記突出部を備えるバックヨーク部は、略球状磁性粉と扁平状磁性粉との成形体であり、且つ前記バックヨーク部の扁平状磁性粉が前記バックヨーク部の半径方向に対して傾斜していることを特徴とする電動機のステータ。
  3. 環状のバックヨーク部と、前記バックヨーク部の半径方向に突出する複数のティース部とを含む電動機のステータの製造方法であって、
    扁平状磁性粉を加圧成形してティース部を成形するティース部成形工程と、略球状磁性粉を加圧成形してバックヨーク部を成形するバックヨーク部成形工程とを有し、前記加圧成形の際に前記扁平状磁性粉又は前記略球状磁性粉を予圧成形することを特徴とする電動機のステータの製造方法。
  4. 環状のバックヨーク部と、前記バックヨーク部の半径方向に突出する複数のティース部とを含む電動機のステータを有する電動機であって、
    前記ティース部は、扁平状磁性粉の成形体であり、且つ前記扁平状磁性粉が前記バックヨーク部の半径方向に配向し、前記バックヨーク部は、略球状磁性粉の成形体であることを特徴とする電動機。
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