JP2011176991A - ローターコア及び電動機 - Google Patents

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    • H02K23/40DC commutator motors or generators having mechanical commutator; Universal AC/DC commutator motors characterised by the arrangement of the magnet circuits

Abstract

【課題】ローターコアを作製する手間を軽減するとともに、電動機の性能低下を抑制すること。
【解決手段】ローターコア10は、磁性材料粉末で形成される胴11と、複数の腕12と、複数の突極13とを有する。胴11は、所定の回転軸Zrを中心として回転可能である。複数の腕12は、それぞれ胴11に設けられるとともに、胴11の径方向外側に向かって突出し、かつコイルが設けられる。突極13は、それぞれの腕12の胴11とは反対側に設けられる。胴11と、複数の腕12と、複数の突極13とは、前記磁性材料粉末を温間プレス成形等することにより、一体で形成される。
【選択図】図3

Description

本発明は、直流電動機に用いるローターコア及び電動機に関する。
整流子及びブラシを備える直流電動機のうち小型のものは、電装、情報・通信、音響・映像、車両等、様々な用途に用いられる。このような直流電動機としては、例えば、磁性鋼板を複数積層したコア本体と、軟磁性粉末を加圧成型してなるティース部とを分割可能に構成した電機子コアを有するものがある(特許文献1)。
特開2009−124921号公報、[0006]
特許文献1に開示された技術は、コア本体と、ティース部とが分割可能であるため、電機子コア(ローターコア)を組み立てる際には、コア本体と、ティース部とを組み合わせる必要があるが、この組み立てに手間を要する。また、特許文献1に開示された技術は、コア本体とティース部とを密着させることが難しいため、磁束の経路がコア本体とティース部とを組み合わせる部分で断たれるおそれが大きく、電動機の性能の低下を招くおそれがある。本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ローターコアを作製する手間を軽減するとともに、電動機の性能低下を抑制することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るローターコアは、軟磁性材料粉末で形成されて、所定の回転軸を中心として回転可能な胴と、前記軟磁性材料粉末で前記胴と一体に形成されるとともに、前記胴の径方向外側に向かって突出し、かつコイルが設けられる複数の腕と、前記軟磁性材料粉末で前記腕と一体に形成され、かつそれぞれの前記腕の前記胴とは反対側に設けられる突極と、を含むことを特徴とする。
このローターコアは、軟磁性材料粉末を用いて胴と腕と突極とを一体で形成する。例えば、ローターコアの形状を転写した成型金型に軟磁性材料粉末を充填し、これをプレス成形することで、胴と腕と突極とが一体となった軟磁性材料粉末のローターコアが得られる。このように、プレス成形でローターコアを成型できるので、複雑な3次元形状であってもローターコアを作製する手間が軽減される。また、胴と腕と突極とが軟磁性材料粉末で一体に形成されるので、得られたローターコアは、磁気等方性を有するとともに、ローターコア内においては磁束の経路が連続する。これによって、電動機の性能低下を抑制することができる。
本発明の望ましい態様としては、前記回転軸と平行な方向の前記腕の寸法は、前記回転軸と平行な方向の前記突極の寸法よりも小さいことが好ましい。これによって、腕の体積を小さくすることができるので、ローターコアの質量を小さくすることができる。その結果、低電流で電動機を起動させることができるとともに、ローターコアの慣性が小さくなるので、加減速特性を向上させることもできる。
本発明の望ましい態様としては、前記回転軸と平行な方向に存在する前記腕の両方の端部は、前記回転軸と平行な方向に存在する前記突極の両方の端部よりも凹んでいることが好ましい。これによって、ローターコアの質量を小さくすることができるとともに、凹んでいる部分にコイルの少なくとも一部を配置できる。その結果、コイルがローターコアから突出する部分を小さくすることができるので、電動機を小型化できる。
本発明の望ましい態様としては、前記腕の両方の端部は、前記腕に設けられるコイルの厚さ以上、前記突極のそれぞれの端部よりも凹んでいることが好ましい。これによって、ローターコアの質量を小さくすることができるとともに、凹んでいる部分にコイルの全体を配置できる。その結果、コイルがローターコアから突出する部分をさらに小さくすることができるので、電動機をさらに小型化できる。
本発明の望ましい態様としては、前記腕は、少なくとも一部に曲面を有することが好ましい。これによって、コイルを形成する電線の急激な曲がりが抑制されるので、電線の耐久性低下を抑制して、電動機の耐久性や信頼性を向上させることができる。
本発明の望ましい態様としては、前記腕は、角柱状の形状であり、角部が面取りされていることが好ましい。これによって、コイルを形成する電線の急激な曲がりが抑制されるので、電線の耐久性低下を抑制して、電動機の耐久性や信頼性を向上させることができる。また、角部の面取りは容易に実現できる。
本発明の望ましい態様としては、前記胴及び前記腕及び前記突極は、前記軟磁性材料粉末及び低融点潤滑剤を含み、前記軟磁性材料粉末に対する相対密度が97.2%以上であることが好ましい。これによって、強度の高い軟磁性材料粉末のローターコアを作製できる。
本発明の望ましい態様としては、前記低融点潤滑剤は、融点が50℃以上170℃以下であることが好ましい。このような低融点潤滑剤を用いることにより、温間プレス成型時の圧力による軟磁性材料粉末の変形を促進することができ、ローターコアの密度を軟磁性材料粉末の理論密度に近づけることができる。その結果、1T磁界(磁束密度が1Tとなる際の磁界H)を十分に低減することができるとともに、ローターコアの強度も向上させることができる。
本発明の望ましい態様としては、前記低融点潤滑剤は、オレイン酸亜鉛と、ステアリン酸銅と、ステアリン酸亜鉛と、ステアリン酸カルシウムと、ステアリン酸アルミニウムと、ステアリン酸アミドと、エルカ酸アミドと、オレイン酸アミドとの少なくとも1つを含むことが好ましい。これによって、成形温度の広い範囲で、高密度化を十分に図ることができ、高密度化、1T磁界の低減を図ることができる。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る電動機は、筐体と、前記筐体の内周部に保持されるステーターと、前記筐体に回転可能に支持されて、前記ステーターの内側で回転する前記ローターコアと、前記ローターコアのそれぞれの腕に設けられるコイルと、を含むことを特徴とする。この電動機は、前記ローターコアを有するので、電動機の性能低下が抑制され、また、ローターコアを簡易に作製することができる。
本発明の望ましい態様としては、前記回転軸と平行な方向に存在する前記ステーターの両端部と、前記回転軸と平行な方向に存在する前記突極の両端部との位置が合っていることが好ましい。これによって、ステーターの作る磁界をローターコアに設けられたコイルが有効に利用することができるので、電動機の性能を向上させることができる。
本発明は、ローターコアを作製する手間を軽減するとともに、電動機の性能低下を抑制できる。
図1は、本実施形態に係るローターコアを備える電動機の構造を示す断面図である。 図2は、本実施形態に係るローターコアを備える電動機の構造を示すスケルトン図である。 図3は、本実施形態に係るローターコアの斜視図である。 図4は、本実施形態に係るローターコアの正面図である。 図5は、本実施形態に係るローターコアにコイル及び動力伝達シャフトを取り付けた状態を示す斜視図である。 図6は、本実施形態に係るローターコアにコイル及び動力伝達シャフトを取り付けた状態を示す正面図である。 図7は、ケイ素鋼板を積層して作製したローターコアを示す斜視図である。 図8は、本実施形態に係るローターコアを用いた電動機と、複数のケイ素鋼板を積層して作製されたローターコアを用いた電動機との性能特性を示す図である。 図9は、本実施形態に係るローターコアが有する腕の変形例を示す断面図である。 図10は、本実施形態に係るローターコアが有する腕の変形例を示す断面図である。 図11は、本実施形態に係るローターコアが有する腕の変形例を示す断面図である。 図12は、本実施形態に係るローターコアが有する腕の変形例を示す断面図である。 図13は、本実施形態の変形例に係るローターコアを示す斜視図である。 図14は、本実施形態の変形例に係るローターコアにコイル及び動力伝達シャフトを取り付けた状態を示す斜視図である。 図15は、本実施形態に係るローターコアにコイル及び動力伝達シャフトを取り付けた状態を示す正面図である。 図16は、本実施形態の変形例に係るローターコアにコイルを取り付けた状態の断面図である。 図17は、本実施形態に係るローターコアにコイルを取り付けた状態の断面図である。 図18は、本変形例に係るローターコアでの磁束の経路を示す模式図である。 図19は、ケイ素鋼板を積層したローターコアでの磁束の経路を示す模式図である。 図20は、ケイ素鋼板を積層したローターコアでの磁束の経路を示す模式図である。 図21は、本実施形態の変形例の他の例に係るローターコアにコイルを取り付けた状態の断面図である。 図22は、本実施形態の変形例の他の例に係るローターコアの断面図である。 図23は、突極をスキューさせて配置したローターコアを示す斜視図である。 図24は、突極をスキューさせて配置したローターコアを示す平面図である。 図25は、温間プレス成型時における軟磁性材料粉末と低融点潤滑剤との関係を示す模式図である。 図26は、比較例の温間プレス成型時における軟磁性材料粉末と高融点潤滑剤との関係を示す模式図である。 図27は、ローターコアの製造方法を示すフローチャートである。
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
図1は、本実施形態に係るローターコアを備える電動機の構造を示す断面図である。図2は、本実施形態に係るローターコアを備える電動機の構造を示すスケルトン図である。図1、図2に示す電動機1は、整流子7と、これに接するブラシ5A、5Bとを有する直流(DC:Direct Current)電動機であり、整流子電動機と呼ばれるものである。電動機1は、筐体2と、ローターコア10と、コイル8と、整流子7と、ブラシ5A、5Bと、ブラシホルダ4A、4Bと、ステーター3S、3Nとを含む。ローターコア10と、コイル8と、整流子7とが電機子となる。
筐体2は、円筒形状の構造体であり、ローターコア10を回転可能に支持するとともに、ステーター3S、3Nを内周面に支持する。筐体2は磁性体(例えば、電磁軟鉄やケイ素鋼等)で作られており、ステーターヨークを兼ねる。ステーター3S、3Nは界磁用の永久磁石である。ステーター3SがS極であり、ステーター3NがN極である。図2に示すように、筐体2は、動力伝達シャフト6の回転軸Zrと平行な方向における両端部に、動力伝達シャフト6を2箇所で回転可能に支持する一対の軸受9A、9Bを有する。
動力伝達シャフト6は、ローターコア10に取り付けられる。ローターコア10は、動力伝達シャフト6及び一対の軸受9A、9Bを介して、筐体2によって回転可能に支持される。これによって、ローターコア10は、回転軸Zrを中心として動力伝達シャフト6とともに回転する。ローターコア10には整流子7が取り付けられており、整流子7は、ローターコア10とともに回転軸Zrを中心として回転する。
ローターコア10は、回転軸Zrを中心として回転可能な胴11と、胴11の外周部に設けられる複数の腕12と、それぞれの腕12の先端に設けられる突極13とを有する。腕12は、コイル8が設けられる。隣接する腕12同士の空間はスロット14である。スロット14は、コイル8を収納する空間となる。本実施形態において、ローターコア10は3本の腕12を備えるので、ローターコア10には3個のコイル8が備えられる。腕12及びコイル8の数は3個に限定されるものではなく、これらの数は、電動機1の仕様によって適宜変更できる。
整流子7は、円環状の構造体であり、導体部7Cと絶縁部7Iとが周方向に向かって交互に配置される。導体部7Cと絶縁部7Iとは、それぞれコイル8の数だけ用意される。コイル8は、整流子7の導体部7Cと電気的に接続される。整流子7の表面には、ブラシ5A、5Bが接触している。ブラシ5A、5Bは、それぞれ弾性を有し、かつ導電性を有するブラシホルダ4A、4Bと電気的に接続されて、支持されている。ブラシホルダ4A、4Bは、ブラシ5A、5Bを整流子7の表面に押し付ける。
ブラシホルダ4A、4Bは、電源と電気的に接続されている。ブラシホルダ4A、4Bは、前記電源の電力を、ブラシ5A、5B及び整流子7を介してそれぞれのコイル8へ供給する。すると、ステーター3S、3Nによって発生している磁界の中に電流が流れることにより、コイル8には力が発生し、この力がローターコア10を回転させる。ローターコア10を回転させる力(回転力)は、動力伝達シャフト6から電動機1の外部へ取り出される。整流子7は、ブラシ5A、5Bを介して供給される電流の向きを切り替えて、コイル8が設けられたローターコア10を常に一定の方向へ回転させるように機能する。次に、ローターコア10についてより詳細に説明する。
図3は、本実施形態に係るローターコアの斜視図である。図4は、本実施形態に係るローターコアの正面図である。図5は、本実施形態に係るローターコアにコイル及び動力伝達シャフトを取り付けた状態を示す斜視図である。図6は、本実施形態に係るローターコアにコイル及び動力伝達シャフトを取り付けた状態を示す正面図である。
図3、図4に示すように、ローターコア10は、胴11と、複数の腕12と、突極13とを含む。それぞれの腕12は、一端部が胴11に設けられるとともに、胴11の径方向外側、すなわち、回転軸Zrと直交し、かつ回転軸Zrから遠ざかる方向に向かって胴11から突出する。突極13は、それぞれの腕12の先端、すなわち、それぞれの腕12の胴11とは反対側に設けられる。
胴11は、略円筒形状であるが、胴11の形状はこれに限定されるものではない。図3、図4に示すように、胴11は、回転軸Zr方向における両端部を貫通する貫通孔15を有しており、図1に示す動力伝達シャフト6は貫通孔15に取り付けられる。本実施形態において、腕12は、その突出方向(図4の矢印Yで示す方向)と直交する平面で切った場合の形状が長方形形状である。すなわち、腕12は、角柱形状であるが、腕12の形状はこれに限定されるものではない。突極13は、回転軸Zrと直交する平面で切ったときの形状が円弧状であり、ローターコア10の周方向に向かって腕12から張り出している。ローターコア10、より具体的には、突極13及び腕12及び胴11は、磁束の通路となる。
図6に示すように、それぞれの腕12の外周部には、表面が絶縁体で被覆された電線が複数回巻き付けられて、コイル8となる。図6に示すように、腕12に設けられたコイル8は、突極13と胴11との間に配置される。このような構造により、ローターコア10が回転し、コイル8に遠心力が作用してローターコア10の径方向外側へ移動しても、突極13によってコイル8が押さえられる。その結果、ローターコア10の回転中にローターコア10からコイル8が脱落することを回避できる。図5、図6に示すように、コイル8及び動力伝達シャフト6を備えたローターコア10は、断面が円弧形状であるアーチ形状のステーター3S、3Nの間に配置されて、回転軸Zrを中心として回転する。
本実施形態において、胴11と、複数の腕12と、複数の突極13とは、それぞれ軟磁性材料粉末で形成される。このとき、複数の腕12は胴11と一体に形成され、複数の突極13は、対応するそれぞれの腕12と一体に形成される。すなわち、ローターコア10は、胴11と複数の腕12と複数の突極13とが、軟磁性材料粉末で一体に形成される。本実施形態において一体とは、胴11と複数の腕12と複数の突極13とが同一材料(同一の軟磁性材料粉末)で一体に形成されるものであり、それぞれを別部品として作製した上で何らかの接合手段や締結手段によって連結して一体にするものではない。本実施形態では、プレス成形、例えば、軟磁性材料粉末を成型金型等に充填し、常温よりも高く加温するとともに加圧する方法(温間プレス成型)によって、胴11と複数の腕12と複数の突極13とを一体としてローターコア10を成型する。なお、ローターコア10の作製方法は温間プレス成型に限られるものではない。
図7は、ケイ素鋼板を積層して作製したローターコアを示す斜視図である。図7に示すように、一般に、ローターコア110は、複数のケイ素鋼板116を回転軸Zrと平行な方向に積層して作製される。このようなローターコア110は、製造に手間を要し、また、複雑な形状とすることは難しかった。本実施形態では、胴11と複数の腕12と複数の突極13とを一体に形成してローターコア10とすることにより、上述したような温間プレス成型によってローターコア10を作製することができる。このため、複雑な3次元形状であっても、簡易かつ迅速にローターコア10を作製できる。
ローターコア10は、磁界内を回転するため、コアロス(高周波損失)が発生する。コアロスの原因は、ローターコア10に誘導される渦電流が挙げられる。渦電流は周波数依存性が強く、高周波になるほどコアロスは大きくなる。本実施形態では、絶縁体で被覆された軟磁性材料粉末でローターコア10を形成するため、それぞれの軟磁性材料粉末内に発生する渦電流損失を小さくできる。その結果、ローターコア10は、図7に示す複数のケイ素鋼板116を積層して作製されたローターコア110と比較してコアロスを低減できるので、性能向上を図ることができる。次に、ローターコア10の性能特性を評価した結果を、ケイ素鋼板116を積層したローターコア110との比較で説明する。
図8は、本実施形態に係るローターコアを用いた電動機と、複数のケイ素鋼板を積層して作製されたローターコアを用いた電動機との性能特性を示す図である。図8の横軸は電動機のトルク、左側の縦軸は電動機の回転速度(単位時間あたりの回転数や回転角)、右側の縦軸は電動機を流れる電流である。図8中の右下がりの直線が回転速度とトルクとの関係を示し、右上がりの直線がトルクと電流との関係を示す。トルク、回転速度、電流は、ケイ素鋼板を積層したローターコアの電動機を基準とした相対値である。図8の点線は、図7に示す、複数のケイ素鋼板116を積層したローターコア110の評価結果であり、実線は、図3から図6に示すローターコア10の評価結果である。
ケイ素鋼板116を積層したローターコア110と、軟磁性材料粉末で一体成型したローターコア10とは、形状及び寸法を同一とした。また、図5に示すローターコア10に設けたコイル8と、図7に示すローターコア110に設けたコイル8とは、同一材料かつ同一直径の電線を同一巻数とすることで作製した。これにより、ローターコア10を用いた電動機と、ローターコア110を用いた電動機との間で、コイル8の電気抵抗値が同一になるようにした。評価にあたっては、図5、図7に示すように、ローターコア10及びローターコア110にコイル108及び動力伝達シャフト106及び図1に示す整流子7を設けて電機子とし、これを図1に示す筐体2に組み込んで電動機とした。
図8から、ローターコア10を用いた電動機(便宜上電動機Aという)は、ローターコア110を用いた電動機(便宜上電動機Bという)と比較して、最大トルク(回転速度〜0のときのトルク)が大きいことが分かる。同じ電流であれば、電動機Aの方が大きいトルクが得られ、電動機Aの方が電動機Bよりも低い電流で同じ大きさのトルクが得られる。このように、電動機Aは、電動機Bと比較して性能、及びエネルギー変換効率が高いといえる。ローターコア10を軟磁性材料粉末で形成したことにより、ローターコア10のコアロスが低減され、また、ローターコア10が磁気等方性を有するようになっている。このために、電動機Aは、電動機Bと比較して性能及びエネルギー変換効率が向上したと考えられる。
なお、最高回転速度は電動機Bの方が電動機Aよりも高いが、電動機Aのローターコア10を温間プレス成型で作製する際にローターコア10に欠けが発生したことが原因と考えられる。ローターコア10に欠けが発生しない場合、最高回転速度はローターコア110と同等以上で、性能及びエネルギー変換効率はさらに向上すると予測される。
図9から図12は、本実施形態に係るローターコアが有する腕の変形例を示す断面図である。これらの図には、図4に示すローターコア10の腕12を、その突出方向(図4の矢印Yで示す方向)と直交する平面で切ったときの断面形状を示している。図9に示す腕12aは、角柱状(より具体的には略四角柱状)の形状であって、角部12K(本実施形態ではすべての角部12K)が半径R1の円形状に形成される。図10に示す腕12bは、角柱状(より具体的には四角柱状)の形状であって、角部12K(本実施形態ではすべての角部12K)が面取りされている(面取り寸法はC)。図11に示す腕12cは、回転軸Zrと平行な方向における両端部が半径R2の円形状に形成される。図12に示す腕12dは、前記断面形状が楕円形状であり、長径が回転軸Zrと平行になっている。
図9、図11、図12に示す腕12a、12c、12dのように、本実施形態において、ローターコア10の腕12は、その側面の少なくとも一部に曲面を有していてもよい。このようにすれば、表面が絶縁体で被覆された電線を腕12a、12c等に巻き付けてコイル8を形成する場合、角部で電線が急激に折れ曲がることによる絶縁体の耐久性低下を大幅に抑制できる。その結果、絶縁体の耐久性低下に起因する短絡等のおそれは極めて低くなるので、電動機1の耐久性や信頼性は大幅に向上する。さらに、腕の側面の少なくとも一部に曲面を設けることにより、電線の急激な曲がりを低減できるので、電線を腕の表面に沿って巻き付けやすくなる。その結果、電線を確実に腕に巻き付けることができるので、電線の緩みを効果的に抑制できる。また、電線と腕との間の隙間が低減され、電線を腕に密着させた状態で巻き付けやすくなるので、前記隙間の分、多くの電線を腕に巻き付けることもできる。さらに、太い電線であっても腕に巻き付けやすくなる。図10に示す腕12bのように、角部12Kを面取りした場合、上記効果はやや低減されるが、製造が容易になるという利点が得られる。
図7に示すケイ素鋼板116を積層して作製されるローターコア110は、腕の角部のバリを取り除く工程が必要であり、製造に手間を要する。しかも、角部のバリを取り除いた程度では、角部における電線の急激な折れ曲がりを抑制するには不十分である。角部における電線の急激な折れ曲がりを抑制するために、腕の側面の少なくとも一部を曲面としたり、角部を面取りしたりすることは、ローターコア110を作製した後に新たな加工が必要になるため、製造に多大な手間を要する。
本実施形態では、ローターコア10を軟磁性材料粉末で形成する。このため、ローターコア10は、図9から図12に示すような複雑な形状の腕12aから12dを有していても、容易に作製できる。また、腕の形状を、さらに複雑な形状とすることも可能である。このように、本実施形態では、ローターコア10を軟磁性材料粉末で形成することにより、ローターコア10の設計の自由度が向上するので、ローターコア10の性能を追求することに対して極めて好適である。
[ローターコアの変形例]
図13は、本実施形態の変形例に係るローターコアを示す斜視図である。図14は、本実施形態の変形例に係るローターコアにコイル及び動力伝達シャフトを取り付けた状態を示す斜視図である。図15は、本実施形態に係るローターコアにコイル及び動力伝達シャフトを取り付けた状態を示す正面図である。以下においては、回転軸Zrと平行な方向における寸法を、必要に応じて回転軸方向寸法というものとする。
図13に示すローターコア10Aは、上述したローターコア10(図3等参照)と略同様であるが、回転軸Zrと平行な方向に存在する腕12Aの両端部が、回転軸Zrと平行な方向に存在する突極13Aの両端部よりもローターコア10Aの内側に入り込んでいる点が異なる。他の点は、ローターコア10と同様である。
このような構造により、ローターコア10Aは、回転軸Zrと平行な方向に存在する突極13Aの両端部が、回転軸Zrと平行な方向に向かって腕12Aから張り出している。すなわち、ローターコア10Aは、回転軸Zrと平行な方向に存在する腕12Aの両端部が、回転軸Zrと平行な方向に存在する突極13Aの両端部よりも凹んでいる。
図14、図15に示すように、コイル8は、電線を腕12Aに巻き付けることによってそれぞれの腕12Aに設けられる。腕12Aの両端部は、突極13Aの両端部よりも凹んでいるので、ローターコア10Aにコイル8を設けると、図14に示すように、コイル8の少なくとも一部は、突極13Aに覆われることになる。これによって、ローターコア10Aの回転軸方向寸法が、上述したローターコア10(図3等参照)と同じであれば、コイル8が回転軸Zrと平行な方向に突出しない分、電機子の回転軸方向寸法を小さくできる。これによって、電動機1を小型化することができる。
図16は、本実施形態の変形例に係るローターコアにコイルを取り付けた状態の断面図である。図17は、本実施形態に係るローターコアにコイルを取り付けた状態の断面図である。ステーター3S、3Nの回転軸方向寸法をL1、突極13Aの回転軸方向寸法をL2、腕12Aの回転軸方向寸法をL3とし、回転軸Zr方向における突極13Aの一方の張り出し寸法をt1とする。また、回転軸Zr方向に存在する腕12Aの両方の端部12TA、12TB側におけるそれぞれのコイル8の回転軸方向寸法(コイル8の厚さに相当する)をt2とする。
L1は、回転軸Zr方向に存在するステーター3S、3Nの両方の端部3TA、3TB間の距離である。L2は、回転軸Zr方向に存在する突極13Aの両方の端部13TA、13TB間の距離であり、L3は、腕12Aの両方の端部12TA、12TB間の距離である。腕12Aの両方の端部12TA、12TBは、それぞれ突極13Aの両方の端部13TA、13TBよりも凹んでいるので、突極13Aの一方の張り出し寸法t1は、腕12Aの一方の端部の凹み寸法であるともいえる。L2とL3とt1との間には、L2=2×t1+L3の関係がある。
本変形例では、L1>L2としており、回転軸Zrと平行な方向においては、ステーター3S、3Nの全領域に突極13Aが重なるようになっている。また、本変形例ではt2>t1としており、コイル8は、腕12Aの両方の端部12TA、12TB側で、突極13Aの両方の端部13TA、13TBから回転軸Zrと平行な方向に向かって張り出している。本変形例においては、L1=2×t2+L3としてあるので、ステーター3S、3Nの両方の端部3TA、3TBと、回転軸Zrと平行な方向におけるコイル8の両方の端部とは、回転軸Zrと平行な方向において同じ位置になる。
図17は、上述した実施形態のローターコア10を用いた場合を示しており、コイル8の厚さt2は、本変形例のローターコア10Aに設けたコイル8の厚さt2(図16参照)と同じ大きさとしてある。ローターコア10に対するステーター3S、3Nの回転軸方向寸法L1も、本変形例のローターコア10Aに対するステーター3S、3Nの回転軸方向寸法L1と同じ大きさとしてある。また、ローターコア10が有する突極13の回転軸方向寸法L2も、本変形例のローターコア10Aが有する突極13Aの回転軸方向寸法L2と同じ大きさとしてある。なお、この例では、L1<2×t2+L2である。
本変形例では、腕12Aの両方の端部12TA、12TBを、突極13Aの両方の端部13TA、13TBよりも凹ませることにより、コイル8の少なくとも一部を腕12Aの凹みに配置できる。これによって、ローターコア10Aの突極13Aの回転軸方向寸法L2が、図17に示すローターコア10の突極13の回転軸方向寸法L2と同じ大きさであれば、ローターコア10Aに設けられたコイル8の回転軸方向寸法をより小さくすることができる。その結果、本変形例は、ローターコア10Aを搭載した電動機を小型化できる。
図17に示すローターコア10は、L1<2×t2+L2であるため、回転軸Zrと平行な方向において、コイル8がステーター3S、3Nの外側に張り出してしまい、その分、ステーター3S、3Nが作る磁界を有効に利用できなかった。本変形例のローターコア10Aは、上述した理由により、コイル8の少なくとも一部を腕12Aの凹みに配置できる。このため、ローターコア10Aは、L1=2×t2+L3とすることにより、回転軸Zrと平行な方向においては、ステーター3S、3Nの全領域と、コイル8の全領域とを一致させることができる。このとき、ステーター3S、3Nの両方の端部3TA、3TBと、回転軸Zrと平行な方向におけるコイル8の両方の端部とは、回転軸Zrと平行な方向において同じ位置になる。
これによって、ローターコア10Aは、ローターコア10との比較において、L2の寸法がローターコア10と同一、かつL1が同一のステーター3S、3Nを用いた場合には、回転軸Zrと平行な方向において、コイル8がステーター3S、3Nの外側に張り出すことを回避できる。その結果、ローターコア10Aを用いれば、ステーター3S、3Nの作る磁界をコイル8が有効に利用することができる。このため、ローターコア10Aは、ローターコア10と同じステーター3S、3Nを用いた場合であっても、さらに電動機の性能を向上させることができる。また、ローターコア10Aを用いれば、ステーター3S、3Nの回転軸方向寸法L1内にコイル8が収まるので、電動機の回転軸方向寸法も小さくすることができる。さらに、ローターコア10Aは、腕12Aの両方の端部12TA、12TBが凹んでいる分、軽量化できる。このため、ローターコア10Aを用いた電動機は、低い電流で回転を開始し、かつトルクも向上し、さらに、慣性モーメントは小さくなるので加減速しやすく、かつ制御しやすいという利点もある。なお、シミュレーションによる評価によれば、ローターコア10Aは、ローターコア10よりも大きい最大トルクが得られ、また、より低い電流で同じ大きさのトルクが得られ、さらに、エネルギー変換効率はより向上したという結果が得られている。
図18は、本変形例に係るローターコアでの磁束の経路を示す模式図である。図19、図20は、ケイ素鋼板を積層したローターコアでの磁束の経路を示す模式図である。突極13Aの両方の端部13TA、13TBを回転軸Zrと平行な方向に向かって張り出させれば、コイル8をローターコア10Aに取り付けた状態において、電機子の回転軸方向寸法を小さくすることができる。図19に示すように、複数のケイ素鋼板116を積層させて、突極113の端部113TA、113TBを回転軸Zrと平行な方向に向かって張り出させることもできるが、異なる形状のケイ素鋼板116を積層させる必要があり、製造に手間を要する。また、張り出す部分は接合面積が小さくなるので、接合強度が低下するおそれもある。
本変形例においては、上述した実施形態と同様に、軟磁性材料粉末を用いてローターコア10Aを形成する。このため、腕12Aの両方の端部12TA、12TBを凹ませたり、突極13Aの両方の端部13TA、13TBを回転軸Zrと平行な方向に向かって大きく張り出させたりする等の複雑な3次元形状も容易に実現できる。また、ローターコア10Aの張り出す部分は、腕12Aや突極13Aの張り出さない部分と一体で形成されるので、強度も確保できる。
突極13Aの両方の端部13TA、13TBを回転軸Zrと平行な方向に向かって張り出させることで、ステーター3S、3Nの作る磁束を、突極13Aを介して効率よくローターコア10A内に導くことができるので、電動機の性能を向上させることができる。このとき、図18に示すように、ステーター3S、3Nの両方の端部3TA、3TBからの磁束MLは、両方の端部13TA、13TBから突極13A内に入る。
ローターコア10Aは、突極13Aも含めて、軟磁性材料粉末で一体に形成される。これにより、ローターコア10Aは、磁気等方性を有するので、両方の端部13TA、13TBから突極13A内へ入った磁束MLは、突極13A内及び腕12Aを通り、ローターコア10A内を通過する。このように、本変形例では、ローターコア10Aを軟磁性材料粉末で一体に形成しているので、ローターコア10A内には、磁束の経路を確実に形成することができる。その結果、ローターコア10Aに入り込んだ磁束を有効に利用することができる。
一方、図19に示すローターコア110が有するケイ素鋼板116は、板面と平行な方向(図20の矢印で示す方向)には磁束が通過しやすいが、板面と直交する方向には磁束が通過しにくい。このように、ケイ素鋼板116は、磁気異方性を有する。このため、図19に示すように、ステーター3S、3Nの磁束MLが突極113の両方の端部113TA、113TBから入ったとしても、ケイ素鋼板116の板面と垂直な方向、すなわち、回転軸Zrと平行な方向には磁束MLはほとんど伝わらない。その結果、ローターコア110は、突極113の両方の端部113TA、113TBから入った磁束MLを有効に利用できない。また、ケイ素鋼板を積層させる場合、隣接するケイ素鋼板同士を密着させることは困難で、この部分でも磁束の経路が断たれてしまう。
上述したように、本変形例のローターコア10Aは、磁気等方性を有しているため、両方の端部13TA、13TBから突極13A内へ入った磁束MLもローターコア10A内を通過させることができる。また、ローターコア10Aは、軟磁性材料粉末を一体成型して作製されるので、ローターコア10Aは全体にわたって磁気特性は一様であり内部を磁束が通りやすい。その結果、ローターコア10Aは、磁束を有効に利用することができるので、ローターコア10Aを用いた電動機は、性能が向上する。
図21は、本実施形態の変形例の他の例に係るローターコアにコイルを取り付けた状態の断面図である。このローターコア10Aaは、上述した図16に示すローターコア10Aと略同様であるが、次の点が異なる。すなわち、突極13Aの一方の張り出し寸法t1を、コイル8の厚さt2以上(t1≧t2)とした点、及び、突極13Aの回転軸方向寸法L2をステーター3S、3Nの回転軸方向寸法L1と同じ大きさとした点である。
これによって、腕12Aの端部12TA、12TBは、腕12Aに設けられるコイル8の厚さt2以上、突極13Aのそれぞれの端部13TA、13TBよりも凹む。その結果、回転軸Zrと平行な方向においては、突極13Aの領域内にコイル8を配置することができる。また、ステーター3S、3Nの両方の端部3TA、3TBと、突極13Aの両方の端部13TA、13TBとは、回転軸Zrと平行な方向において同じ位置になる。これによって、ステーター3S、3Nの作る磁束を、突極13Aを介してさらに効率よくローターコア10Aa内に導き、通過させることができるので、電動機の性能を向上させることができる。
図22は、本実施形態の変形例の他の例に係るローターコアの断面図である。このローターコア10Abは、回転軸Zrと平行な方向に存在する胴11Aの両方の端部11TA、11TBを、回転軸Zrと平行な方向におけるローターコア10Abの外側に向かって突出させたものである。これにより、腕12Aの両方の端部12TA、12TBは、突極13Aの両方の端部13TA、13TB及び胴11Aの両方の端部11TA、11TBよりも凹む。凹んだ部分が凹部17である。
胴11Aの回転軸方向寸法(回転軸Zrと平行な方向における端部11TA、11TB間の距離)をL4とし、回転軸Zr方向における突極13Aの一方の張り出し寸法(腕12Aの端部12TA、12TBと胴11Aの端部11TA、11TBとの距離)をt3とする。この例においては、腕12Aの回転軸方向寸法L3と胴11Aの回転軸方向寸法L4とを等しくし、t1=t3とする。したがって、2×t1+L2=2×t3×L3となり、胴11Aのそれぞれの端部11TA、11TBと突極13Aのそれぞれの端部13TA、13TBとは、同一平面に存在する(面一となる)ことになる。
ローターコア10Abは、胴11Aのそれぞれの端部11TA、11TBが腕12Aのそれぞれの端部12TA、12TBよりも回転軸Zrと平行な方向に向かって突出し、凹部17が形成されるので、凹部17に図21等に示すコイル8を収めることができる。すなわち、コイル8は、胴11Aのそれぞれの端部11TA、11TBと突極13Aのそれぞれの端部13TA、13TBとで規制されるので、ローターコア10Abの径方向における位置決め精度が向上する。これにより、ローターコア10Abの回転バランスが向上するため、このローターコア10Abを使用した電動機は、振動や騒音等が抑制される。
図23は、突極をスキューさせて配置したローターコアを示す斜視図である。図24は、突極をスキューさせて配置したローターコアを示す平面図である。コギングを低減するため、図23、図24に示すローターコア10Bのように、突極13Bをスキュー(斜め配置)させる。この場合、隣接する突極13Bの周方向側端部13TLは、互いに平行に配置されるとともに、図24に示すように、平面視において回転軸Zrに対して所定の角度θだけ傾斜する。
突極13Bのスキュー配置はコギングの低減に有効であるが、複数のケイ素鋼板を積層してローターコアを作製する場合、積層するケイ素鋼板を徐々に周方向に向かってずらしながら一体化する必要がある。このため、ケイ素鋼板を積層してローターコアを作製する場合、製造に手間を要するとともに、寸法精度の確保が困難である。
このローターコア10Bは、例えば、軟磁性材料粉末を成型金型に充填した後、温間プレス成型によって一体で成型されるので、突極13Bをスキューさせたような複雑な3次元形状であっても、簡易に作製できる。このため、コギングを改善するために複雑な形状を採用した場合でも、比較的容易にローターコアを作製できる。次に、ローターコア10、10A、10Aa、10Ab、10Bを構成する軟磁性材料粉末について説明する。
[ローターコアを構成する軟磁性材料粉末]
ローターコア10、10A、10Aa、10Ab、10B(以下、適宜ローターコア10等という)は、少なくとも軟磁性材料粉末に低融点潤滑剤を添加し、低融点潤滑剤が添加された軟磁性材料粉末を常温よりも高く加温するとともに加圧して任意の形状に成型する温間プレス成型を行うことにより製造されるものである。すなわち、本実施形態に係るローターコア10等は、軟磁性材料粉末及び低融点潤滑剤を含むものである。
図25は、温間プレス成型時における軟磁性材料粉末と低融点潤滑剤との関係を示す模式図である。図26は、比較例の温間プレス成型時における軟磁性材料粉末と高融点潤滑剤との関係を示す模式図である。図25及び図26において、21は軟磁性材料粉末であり、22は低融点潤滑剤であり、23は高融点潤滑剤である。高融点潤滑剤23は、例えば、融点が180℃のステアリン酸ベリリウム(以下、単に「St−Be」と称する場合がある)や、融点が220℃のステアリン酸リチウム(以下、単に「St−Li」と称する場合がある)等、一般的に融点が170℃を超える潤滑剤をいう。
軟磁性材料粉末21は、ローターコア10等の主成分となるものである。軟磁性材料粉末21は、鉄(純鉄及び不可避的不純物を含む鉄が含まれる)を主成分とするものである。軟磁性材料粉末21は、鉄のみ、鉄に元素(例えば、Si、P、Co、Ni、Cr、Al、Mo、Mn、Cu、Sn、Zr、B、V、Zn等)を積極的に少量添加した組成物、パーマロイあるいはセンダスト等があり、これらのいずれか1つのみ、あるいは2以上の組み合わせから構成されている。
軟磁性材料粉末21は、鉄を主成分とする粒子(粉末)である鉄基粉により構成されている。鉄基粉の粒径は、後述する軟磁性材料粉末21に対する相対密度(以下、単に「相対密度」と称する場合がある)及び1T(テスラ)磁界に影響を与え、粒径が小さいと温間プレス成型時の圧力により軟磁性材料粉末21が変形しにくくなる。このため、鉄基粉の粒径が小さいことは好ましくなく、例えば平均粒径200μm程度が好ましい。軟磁性材料粉末21は、例えば、ガスアトマイズ法、水アトマイズ法、回転アトマイズ法、鋳造粉砕法等の公知の粉末製造方法で製造できる。
低融点潤滑剤22は、温間プレス成型時における軟磁性材料粉末21の流動性を確保するとともに、軟磁性材料粉末21間に介在する絶縁層として機能する。低融点潤滑剤22は、ローターコア10等を製造する際に用いられる潤滑剤のうち、融点が低く、絶縁性を有する潤滑剤である。ここで、融点が低いとは、融点が50℃以上170℃以下であることをいう。すなわち、低融点潤滑剤22は、融点が50℃以上170℃以下の潤滑剤である。融点が50℃以上170℃以下の潤滑剤は、例えば、融点が78℃のオレイン酸亜鉛(以下、単に「Ore-Zn」と称する場合がある)、融点が125℃のステアリン酸銅(以下、単に「St−Cu」と称する場合がある)、融点が127℃のステアリン酸亜鉛(以下、単に「St−Zn」と称する場合がある)、融点が150℃のステアリン酸カルシウム(以下、単に「St−Ca」と称する場合がある)、融点が160℃のステアリン酸アルミニウム(以下、単に「St−Al」と称する場合がある)、融点が100℃のステアリン酸アミド(以下、単に「St−アミド」と称する場合がある)、融点が80℃のエルカ酸アミド(以下、単に「EL−アミド」と称する場合がある)、あるいは融点が74℃のオレイン酸アミド(以下、単に「Ore−アミド」と称する場合がある)等である。低融点潤滑剤22は、これらのいずれか1つのみ、あるいは2以上を組み合わせる。
低融点潤滑剤22の融点を50℃以上とするのは、次の(1)、(2)の理由による。すなわち、(1)融点が50℃未満の潤滑剤では、常温時に後述の固相状態から中間状態に変化するおそれがあり、軟磁性材料粉末21に添加する際に、潤滑剤が軟磁性材料粉末21に均一に行き渡らないおそれがある。(2)潤滑剤が温間プレス成型時に成型金型に付着しやすくなり、抜き圧(成型金型から温間プレス成型後の軟磁性材料粉末21(ローターコア10等)を取り外すための圧力)が増加し、成型しにくくなるおそれがある。
低融点潤滑剤22の融点を170℃以下とするのは、融点が170℃を超える潤滑剤は、後述するように、温間プレス成型時に固相状態から中間状態に十分に変化することができず、軟磁性材料粉末21間に十分に入り込まないおそれがあるからである。低融点潤滑剤22としては、融点の低い潤滑剤が良好であり、上記融点が50℃以上170℃以下の潤滑剤のうち、オレイン酸亜鉛やオレイン酸アミドが好適である。
次に、温間プレス成型時における軟磁性材料粉末21と潤滑剤との関係について説明する。上述のように、温間プレス成型時には、潤滑剤が添加された軟磁性材料粉末21が常温よりも高く加温されつつ加圧される。したがって、軟磁性材料粉末21に添加された潤滑剤は、温間プレス成型時に温度が融点に近づくために形態が変化する。具体的には、融点よりも−50℃以下では層状の規則正しい結晶構造を保持しているが、融点よりも−30℃以上となると層状の規則正しい結晶構造に緩みが生じ、限られた大きさの円盤状に変化すると考えられている。すなわち、潤滑剤は、温度が融点に向かって上昇することで固相状態から固相と液相との間の中間状態となり、その後、温度が融点以上となることで最終的に液相状態に変化すると考えられている。このことから、潤滑剤は、温度が融点に近づくにともない流動性が向上し、軟磁性材料粉末21間に入り込みやすくなると考えられる。
低融点潤滑剤22よりも融点が高い高融点潤滑剤23は、温間プレス成型時の成型温度(潤滑剤が添加された軟磁性材料粉末21が充填される成型金型の温度)と融点との温度差が大きい。このため、高融点潤滑剤23は、温間プレス成型時に固相状態から中間状態に十分に変化することができないと考えられる。したがって、図26に示すように、高融点潤滑剤23が添加された軟磁性材料粉末21の温間プレス成型時には、高融点潤滑剤23の流動性が向上せず、高融点潤滑剤23が軟磁性材料粉末21間に十分に入り込むことができない。このため、鉄基粉の周囲を十分に囲める状態にならないと考えられる。その結果、高融点潤滑剤23が添加された軟磁性材料粉末21の温間プレス成型時においては、鉄基粉同士の滑りを向上することができないので、軟磁性材料粉末21の十分な流動性を確保することができないと考えられる。
したがって、軟磁性材料粉末21及び高融点潤滑剤23を含むローターコア10等では、温間プレス成型時の圧力による軟磁性材料粉末21の変形を促進することができず、高密度化を十分に図ることができない。また、高融点潤滑剤23が添加された軟磁性材料粉末21の温間プレス成型時においては、上述のように、絶縁性を有する高融点潤滑剤23が鉄基粉の周囲を十分に囲める状態にならないと考えられる。このため、高融点潤滑剤23が絶縁性を有していても、高融点潤滑剤23が軟磁性材料粉末21間に絶縁層として十分に介在することができないと考えられる。したがって、軟磁性材料粉末21及び高融点潤滑剤23を含むローターコア10等では、絶縁性を向上することができない。
一方、高融点潤滑剤23よりも融点が低い低融点潤滑剤22は、温間プレス成型時における成型温度と融点との温度差が小さいため、低融点潤滑剤22が温間プレス成型時に固相状態から中間状態に十分に変化することができると考えられる。特に、低融点潤滑剤22は、高融点潤滑剤23と比較して、温間プレス成型時の初期段階においては、温間プレス成型時の圧力により鉄基粉同士が滑ることで鉄基粉の隙間が小さくなる。その後、さらに圧力が増加することによって鉄基粉が変形し、低融点潤滑剤22が添加された軟磁性材料粉末21がローターコア10等としての任意の形状に成型される前には、低融点潤滑剤22は固相状態から中間状態に変化することができると考えられる。
したがって、図25に示すように、低融点潤滑剤22が添加された軟磁性材料粉末21の温間プレス成型時、特に初期段階で、低融点潤滑剤22の流動性が向上する。これによって、低融点潤滑剤22は、軟磁性材料粉末21間に十分に入り込むことができ、鉄基粉の周囲を十分に囲める状態になると考えられる。その結果、低融点潤滑剤22が添加された軟磁性材料粉末21の温間プレス成型時においては、鉄基粉同士の滑りが向上するので、軟磁性材料粉末21の十分な流動性を確保することができると考えられる。
したがって、軟磁性材料粉末21及び低融点潤滑剤22を含むローターコア10等では、温間プレス成型時の圧力による軟磁性材料粉末21の変形を促進することができ、ローターコア10等の密度を軟磁性材料粉末の理論密度に近づける、すなわち真密度に近づけることができ、高密度化を十分に図ることができる。また、高密度化を十分に図ることができるので、1T磁界(ここでは、磁束密度が1T(B=1〔T〕)となる際の磁界H〔A/m〕)を十分に低減することができる。この高密度化により、成型体であるローターコア10等の強度も向上するので、特に、回転力を受けるローターコア10等には好適である。成型体であるローターコア10等の密度は、軟磁性材料粉末21に対する相対密度(成型体の密度/軟磁性材料粉末の密度)が97.2%以上であることが好ましい。この範囲であれば、ローターコア10等として、十分な強度が得られる。
さらに、低融点潤滑剤22が添加された軟磁性材料粉末21の温間プレス成型時においては、上述のように、絶縁性を有する低融点潤滑剤22が鉄基粉を十分に囲める状態となると考えられるので、低融点潤滑剤22が軟磁性材料粉末21間に絶縁層として十分に介在することができると考えられる。したがって、軟磁性材料粉末21及び低融点潤滑剤22を含むローターコア10等では、絶縁性を向上することができ、コアロス(ローターコア10等の損失)の低減を図ることができる。
また、軟磁性材料粉末21に低融点潤滑剤22を添加するまでに、軟磁性材料粉末21に絶縁処理がされる。軟磁性材料粉末21は、絶縁処理されると、鉄基粉の周囲を囲む絶縁膜が形成され、絶縁性が向上する。しかし、鉄基粉の周囲を囲む絶縁膜は、温間プレス成型する際の加圧により絶縁処理がされた軟磁性材料粉末21が変形することで、割れが発生し、鉄基粉自体の表面が露出するおそれがある。しかし、上述のように、低融点潤滑剤22は、軟磁性材料粉末21間に十分に入り込むことができ、鉄基粉の周囲を十分に囲むことができる。その結果、鉄基粉の周囲を囲む絶縁膜が劣化しても、軟磁性材料粉末21間に絶縁層として十分に介在するので、絶縁処理された軟磁性材料粉末21の絶縁性能の低下を抑制できる。
[ローターコアの製造方法]
次に、ローターコア10等の製造方法について説明する。ローターコア10等は、上述のように、少なくとも軟磁性材料粉末21に低融点潤滑剤22を添加し、低融点潤滑剤22が添加された軟磁性材料粉末21を温間プレス成型することにより製造される。
図27は、ローターコアの製造方法を示すフローチャートである。本実施形態では、絶縁処理されていない軟磁性材料粉末21(ステップS1)からローターコア10等(ステップS7)を製造する場合は、次のステップS2からS6の各工程を含む。
(1)ステップS2:絶縁処理されていない軟磁性材料粉末21を絶縁処理する工程。
(2)ステップS3:絶縁処理された軟磁性材料粉末21に低融点潤滑剤22を添加する工程。
(3)ステップS4:低融点潤滑剤22が添加された軟磁性材料粉末21を混錬する工程。
(4)ステップS5:混錬された軟磁性材料粉末21を温間プレス成型する工程。
(5)ステップS6:温間プレス成型された軟磁性材料粉末21を熱処理する工程。
また、予め絶縁処理された軟磁性材料粉末21(ステップS8)からローターコア10等(ステップS7)を製造する場合は、次のステップS3からステップS6の各工程を含む。
(1)ステップS3:絶縁処理されている軟磁性材料粉末21に低融点潤滑剤22を添加する工程。
(2)ステップS4:低融点潤滑剤22が添加された軟磁性材料粉末21を混錬する工程。
(3)ステップS5:混錬された軟磁性材料粉末21を温間プレス成型する工程。
(4)ステップS6:温間プレス成型された軟磁性材料粉末21を熱処理する工程。
次に、各工程について、より詳細に説明する。
絶縁処理されていない軟磁性材料粉末21を絶縁処理する工程(ステップS2)では、低融点潤滑剤22を添加する前に予め軟磁性材料粉末21を絶縁処理し、鉄基粉の周囲を囲む絶縁膜を形成する。絶縁処理としては、例えばリン酸処理がある。リン酸処理は、リン酸及びリン酸塩を主体とする水溶液で、軟磁性材料粉末21を処理し、鉄基粉の周囲にリン酸塩化被膜を形成するものである。リン酸処理等の水溶液による絶縁処理後は、低融点潤滑剤22を添加する前に軟磁性材料粉末21を乾燥させる。乾燥方法としては、リン酸処理後の軟磁性材料粉末21をホットプレートにより70℃の環境下で乾燥させる方法がある。軟磁性材料粉末21は、乾燥される過程で、鉄基粉の周囲を囲む絶縁膜が形成されて、鉄基粉間に絶縁膜が介在することになる。このため、ローターコア10等の絶縁性が向上する。
絶縁処理されていない軟磁性材料粉末21、又は予め絶縁処理されている軟磁性材料粉末21に低融点潤滑剤22を添加する工程(ステップS3)では、軟磁性材料粉末21に対して所定の添加量の低融点潤滑剤22を添加する。本実施形態においては、軟磁性材料粉末21に添加する低融点潤滑剤22として、融点が50℃以上170℃以下の金属石鹸と、脂肪酸アミドとの少なくとも一方を含む潤滑剤を用いる。融点が50℃以上170℃以下の金属石鹸は、例えば、オレイン酸亜鉛、ステアリン酸銅、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等である。融点が50℃以上170℃以下の脂肪酸アミドは、例えば、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド等である。金属石鹸は、これらのうち少なくとも一つを含むことが好ましい。このようにすれば、成形温度の広い範囲で、高密度化を十分に図ることができ、高密度化、1T磁界の低減を十分に図ることができることができる。
所定の添加量は、0.02質量%以上0.2質量%以下とし、好ましくは0.1質量%である。所定の添加量を0.02質量%以上とするのは、所定の添加量が0.02質量%未満であると、軟磁性材料粉末21に対する低融点潤滑剤22が少なすぎ、軟磁性材料粉末21に低融点潤滑剤22を添加しても、低融点潤滑剤22が軟磁性材料粉末21に均一に行き渡らないおそれがあるためである。また、所定の添加量を0.2質量%以下とするのは、所定の添加量が0.2質量%を超えると、効果が飽和するだけでなく、ローターコア10等における軟磁性材料粉末21の含有率の低下により高密度化及び1T磁界の低減を図ることができなくなるおそれがあるためである。
低融点潤滑剤22が添加された軟磁性材料粉末21を混錬する工程(ステップS4)では、添加された低融点潤滑剤22を軟磁性材料粉末21に均一に行き渡らせるために、軟磁性材料粉末21と低融点潤滑剤22の混合物を混練する。この混錬には、混合機(例えばアトライタ、振動ミル、ボールミル、Vミキサー等)又は造粒機(例えば、流動造粒機、転動造粒機等)が用いられる。
混錬された軟磁性材料粉末21を温間プレス成型する工程(ステップS5)では、低融点潤滑剤22が添加された軟磁性材料粉末21を常温よりも高い温度に加温するとともに、加圧する。これによって、低融点潤滑剤22を添加した軟磁性材料粉末21が、任意の形状に成型される。温間プレス成型では、任意の形状のキャビティーを有する成型金型に低融点潤滑剤22が添加された軟磁性材料粉末21が充填される。次に、成型金型を成型温度まで加熱し、充填された軟磁性材料粉末21を圧縮する際の圧力である成型圧力により、低融点潤滑剤22が添加された軟磁性材料粉末21を圧縮成型する。
成型温度は80℃以上200℃以下とし、好ましくは130℃である。成型温度を80℃以上とするのは、成型温度が80℃未満であると、低融点潤滑剤22の融点に対する成型温度が低すぎ、低融点潤滑剤22が温間プレス成型時に固相状態から中間状態、中間状態から液相状態に十分に変化することができず、軟磁性材料粉末21間に十分に入り込むことができないおそれがあること、また、温間プレス成型による高密度化及び1T磁界の低減を図ることができないことが理由である。
成型温度を200℃以下とするのは、成型温度が200℃を超えると、温間プレス成型時において軟磁性材料粉末21の酸化が促進され、軟磁性材料粉末21の特性が低下するおそれがあること、また、成型金型の加温に必要なエネルギーが増加することで製造コストが増加するおそれがあることが理由である。
成型圧力は、6ton/cm以上12ton/cm以下とし、好ましくは10ton/cmである。成型圧力を6ton/cm以上とするのは、成型圧力が6ton/cm未満であると、温間プレス成型による高密度化及び1T磁界の低減を図ることができないためである。また、成型圧力を12ton/cm以下とするのは、成型圧力が12ton/cmを超えると、効果が飽和するだけでなく、低融点潤滑剤22が添加された軟磁性材料粉末21の加圧に必要なエネルギーが増加することで製造コストが増加するおそれがあるからである。また、成型圧力が12ton/cmを超えると、成型金型の耐久性が低下するおそれがあるためである。
温間プレス成型された軟磁性材料粉末21を熱処理する工程(ステップS6)では、温間プレス成型時に加圧されることで鉄基粉に発生した歪みを解放し、コアロス(特に、ヒステリシス損失)を低減する。熱処理としては、例えばアニール処理がある。アニール処理は、温間プレス成型により任意の形状に成型された軟磁性材料粉末21をアニール炉において加熱する処理である。アニール処理時の炉の雰囲気は、大気雰囲気、アルゴンや窒素等による低酸素雰囲気、水素雰囲気、炭酸ガス雰囲気、あるいは真空のいずれであってもよい。上述した工程により、軟磁性材料粉末21によってローターコア10等を一体で作製することができる。
以上のように、本発明に係るローターコア及び電動機は、整流子付きの直流電動機に有用である。
1 電動機
2 筐体
3N、3S ステーター
4A、4B ブラシホルダ
5A、5B ブラシ
6 動力伝達シャフト
7 整流子
8 コイル
10、10A、10Aa、10Ab、10B、110 ローターコア
11、11A 胴
12、12A、12a、12b、12c、12d 腕
12K 角部
13、13A、13B、113 突極
14 スロット
15 貫通孔
17 凹部
21 軟磁性材料粉末
22 低融点潤滑剤
23 高融点潤滑剤
116 ケイ素鋼板

Claims (11)

  1. 軟磁性材料粉末で形成されて、所定の回転軸を中心として回転可能な胴と、
    前記軟磁性材料粉末で前記胴と一体に形成されるとともに、前記胴の径方向外側に向かって突出し、かつコイルが設けられる複数の腕と、
    前記軟磁性材料粉末で前記腕と一体に形成され、かつそれぞれの前記腕の前記胴とは反対側に設けられる突極と、
    を含むことを特徴とするローターコア。
  2. 前記回転軸と平行な方向の前記腕の寸法は、前記回転軸と平行な方向の前記突極の寸法よりも小さい請求項1に記載のローターコア。
  3. 前記回転軸と平行な方向に存在する前記腕の両方の端部は、前記回転軸と平行な方向に存在する前記突極の両方の端部よりも凹んでいる請求項2に記載のローターコア。
  4. 前記腕の両方の端部は、前記腕に設けられるコイルの厚さ以上、前記突極のそれぞれの端部よりも凹んでいる請求項3に記載のローターコア。
  5. 前記腕は、少なくとも一部に曲面を有する請求項1から4のいずれか1項に記載のローターコア。
  6. 前記腕は、角柱状の形状であり、角部が面取りされている請求項1から4のいずれか1項に記載のローターコア。
  7. 前記胴及び前記腕及び前記突極は、前記軟磁性材料粉末及び低融点潤滑剤を含み、前記軟磁性材料粉末に対する相対密度が97.2%以上である請求項1から6のいずれか1項に記載のローターコア。
  8. 前記低融点潤滑剤は、融点が50℃以上170℃以下である請求項7に記載のローターコア。
  9. 前記低融点潤滑剤は、オレイン酸亜鉛と、ステアリン酸銅と、ステアリン酸亜鉛と、ステアリン酸カルシウムと、ステアリン酸アルミニウムと、ステアリン酸アミドと、エルカ酸アミドと、オレイン酸アミドとの少なくとも1つを含む請求項7又は8に記載のローターコア。
  10. 筐体と、
    前記筐体の内周部に保持されるステーターと、
    前記筐体に回転可能に支持されて、前記ステーターの内側で回転する請求項1から9のいずれか1項に記載のローターコアと、
    前記ローターコアのそれぞれの腕に設けられるコイルと、
    を含むことを特徴とする電動機。
  11. 前記回転軸と平行な方向に存在する前記ステーターの両端部と、前記回転軸と平行な方向に存在する前記突極の両端部との位置が合っている請求項10に記載の電動機。
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