JP2008211947A - ラジアル異方性焼結磁石およびその製造方法ならびにそれを備えるブラシレスモータおよび電動パワーステアリング装置 - Google Patents

ラジアル異方性焼結磁石およびその製造方法ならびにそれを備えるブラシレスモータおよび電動パワーステアリング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】配向の不安定な部分があってもブラシレスモータのロータに使用される場合にスキューによるコギング低減効果が十分に発揮されるラジアル異方性焼結磁石を提供する。
【解決手段】本ラジアル異方性焼結磁石の各極にはスキューが施されており、幅Aの配向の不安定な部分はこのスキュー角に沿った方向に分布するよう形成される。これは水平磁場垂直成形装置により与えられる水平磁場が垂直方向での位置に応じてスキュー角だけ変化していることによる。よって配向の不安定な部分を磁石の極間近傍部分(図中の点線近傍部分)のみに重なるよう着磁されることにより、磁束密度が小さくなっているこの極間近傍部分にのみバラツキが生じるためコギングの原因とはならない。またスキュー角に沿って同一の磁束密度となることが前提となるスキューによるコギング低減効果を十分に発揮させることができる。
【選択図】図7

Description

本発明は、ラジアル異方性焼結磁石およびその製造方法と、当該磁石を備えるブラシレスモータと、このブラシレスモータにより車両のステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置とに関する。
従来から、運転者がハンドル(ステアリングホイール)に加える操舵トルクに応じてブラシレスモータなどの電動モータを駆動することによりステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置が用いられている。
このような電動パワーステアリング装置に通常使用されるブラシレスモータは、巻線(コイル)が設けられた固定子(ステータ)と永久磁石が設けられた回転子(ロータ)とを備えた永久磁石電動モータであって、3相電力で駆動されるものが多い。また、この固定子の巻線は、各相毎に通常複数が設けられており、これに応じて永久磁石の極数も通常複数が設けられている。したがって、上記永久磁石は、多極着磁が容易なラジアル異方性を有しており、かつ高性能なブラシレスモータに求められる長尺円筒形状を有する磁石であることが好ましい。
このようなラジアル異方性を有する磁石は、種々の方法により製造可能であるが、近年ではいわゆる水平磁場垂直成形法によりその円筒中心軸に垂直な方向(ラジアル方向)に配向させた焼結磁石に対して着磁のみを多極化することにより製造されることがある。
例えば、円筒形状の磁石を焼結成形する際に磁場中配向を行う従来の水平磁場垂直成形装置がある(特許文献1を参照)。以下、この従来の水平磁場垂直成形装置について図を参照して説明する。
図8は、上記従来の水平磁場垂直成形装置の構成を簡略に説明するための図であり、より詳しくは、図8(a)は上記従来の水平磁場垂直成形装置における要部の水平断面図であり、図8(b)はこの従来の水平磁場垂直成形装置における要部の垂直断面図である。なお、以下では、水平方向とは永久磁石となるべき素材に対して加えようとする水平磁場の方向を指し、垂直方向とは上記素材を成形するため圧力を加える方向を指すものとする。
図8に示されるように、この従来の水平磁場垂直成形装置は、成形機架台901と、成形されて磁石となる充填磁石粉908と、この充填磁石粉908に対して水平磁場を与える配向磁場コイル902およびポールピース909a,909bと、この充填磁石粉908の周囲を囲うダイス903と、この充填磁石粉908の中心に置かれるコア905と、この充填磁石粉908に上方向から圧力を加える上パンチ906と、下方向から圧力を加える下パンチ907とを備えている。
コア905は、強磁性体によって構成されており、充填磁石粉908に配向磁界を印加すると、磁束は強磁性体の表面に対して垂直に入ろうとするためこの磁石の径方向(ラジアル方向という)に近い磁力線を描くことになり、磁石となるべき磁石粉の磁界方向がラジアル方向となる配向に近づけることができる。このような材料を使用したコア905により成形を行うと、ラジアル方向の配向に対する乱れは、磁石の径方向が配向磁場方向に垂直となる部分のみの配向の乱れとなるため、モータのトルクむら及びトルク劣化の少ないロータ用の円筒磁石を製造することができる。もっとも、上記配向の乱れを生じる充填磁石粉908の部分(以下「垂直部分」という)では、配向が不安定となることは避けられない。
図9は、充填磁石粉における上記配向状態を簡易に示す図であり、より詳細には図9(a)は充填磁石粉を水平方向から見た簡略な側面外観図であり、図9(b)はその中央における水平断面図である。この図9(b)は、充填磁石粉908における図9(a)に示されるX−X断面図であり、図中の矢印は上述の配向磁場コイル902による配向磁場による配向方向を示している。また、図中のAは、充填磁石粉908における配向が不安定な垂直部分を示している。図9(a)を参照するとわかるように、この垂直部分は、垂直方向に沿って所定の幅Aで充填磁石粉908に形成されることになる。
以上のような配向磁界を印加されながら、充填磁石粉908は、上下パンチ906,907によってその粒子の方向が揃えられた圧縮体となり、更に周知の焼結、時効処理、加工処理等を施されることにより、着磁前の焼結磁石となる。そして、例えば後述する図6に示されるような着磁装置によりその外周面に着磁され永久磁石となる。
図10は、このようにして製造された永久磁石における上記着磁状態を簡易に示す図であり、より詳細には図10(a)は永久磁石を水平方向から見た簡略な側面外観図であり、図10(b)はその中央における水平断面図である。
この図10(a)に示されるように、上記永久磁石の各極は、垂直方向に対して所定の角度で傾けられる、いわゆるスキューが施されている。なおこの角度はスキュー角と呼ばれる。このようにブラシレスモータのロータに使用される永久磁石にスキューを施すことにより、モータのコギングを低減することができることが知られている。
以上のような従来の水平磁場垂直成形装置および着磁装置により成形された永久磁石を使用したブラシレスモータは、コギングトルクが小さく、このようなブラシレスモータを使用した電動パワーステアリング装置は操作者に良好な操作フィーリングを与えることができる。
特開2004−153867号公報
しかし、上記従来の水平磁場垂直成形装置により成形される永久磁石における配向の不安定な上記垂直部分は、スキューによるコギングトルクの低減効果を阻害するという問題点を有している。
すなわち、図10(a)を参照するとわかるように、垂直方向に沿って形成される幅Aの配向の不安定な上記垂直部分は、永久磁石の極間近傍部分(図中の点線近傍部分)以外の部分にも渡っている。ここでこの永久磁石の極間近傍部分は、磁束密度が小さくなっているため、この部分が上記垂直部分と重なることによりバラツキが生じていても特に問題とはならないが、極間近傍部分以外に位置すると、磁束密度にバラツキが生じコギングの原因となる。
特に、永久磁石にスキューが施されている場合、上記垂直部分は、永久磁石のスキュー角に沿った方向とは異なる垂直方向に分布するため、スキュー角に沿って同一の磁束密度となることが前提となっているスキューによるコギングトルクの低減効果は十分に発揮されることがない。
そこで本発明は、配向の不安定な部分を有していても、ブラシレスモータのロータに使用される場合にスキューによるコギングトルクの低減効果が十分に発揮されるラジアル異方性焼結磁石およびその製造方法と、当該磁石を備えるブラシレスモータと、このブラシレスモータを備える電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、円筒状に形成されており、当該円筒の中心軸方向に対して所定のスキュー角を有するよう着磁されている極であって周方向に沿って配置される複数の極を有するラジアル異方性焼結磁石であって、
円筒表面から中心軸へ向かうラジアル方向に対して所定角未満の角度をなす方向に安定的に配向される過半を占める第1の部位と、
前記第1の部位とは異なる部位であって、前記ラジアル方向に対して前記所定角以上の角度をなす方向に不安定的に配向される第2の部位とを備え、
前記第2の部位は、前記複数の極のうちの隣り合う2つの極間のいずれか近傍に配置され、前記スキュー角に沿った方向に分布することを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明に記載のラジアル異方性焼結磁石を製造する方法であって、
中心に配置される円柱状の強磁性体コアと、外周に配置される円筒状の金属ダイスとの間に前記ラジアル異方性焼結磁石となるべき充填磁石粉を充填するステップと、
前記充填磁石粉に対して前記第2の部位が前記スキュー角に沿った方向に分布するよう、前記中心軸方向に対して垂直に延びる水平面に沿った水平磁場であって前記中心軸方向における位置に応じて前記水平面における方向が変化する水平磁場を与えるステップと、
前記水平磁場を与えながら前記充填磁石粉を前記中心軸方向に圧縮し焼結するステップと、
焼結された充填磁石粉に対して、前記第2の部位が前記隣り合う2つの極間のいずれか近傍に配置されるように、前記スキュー角を有するよう前記複数の極を着磁するステップと
を含む。
第3の発明は、第1の発明に記載のラジアル異方性焼結磁石を含む回転子と、
前記回転子の外側に配される円環状の固定子と
を備えるブラシレスモータである。
第4の発明は、第3の発明に記載のブラシレスモータを備え、
前記ブラシレスモータは、車両操舵のための操作手段による操作に応じて駆動されることにより当該車両のステアリング機構に操舵補助力を与えることを特徴とする、電動パワーステアリング装置である。
上記第1の発明によれば、不安定的に配向される第2の部位が隣り合う2つの極間のいずれか近傍に配置され、かつスキュー角に沿った方向に分布するよう成形されているので、配向の不安定な部分を有していても、ブラシレスモータのロータに使用される場合に磁束密度が小さくなっている極間近傍部分にのみバラツキが生じるためコギングの原因とはならず、またスキュー角に沿って同一の磁束密度となることが前提となっているスキューによるコギングトルクの低減効果を十分に発揮させることができる。
上記第2の発明によれば、上記第1の発明と同様の効果を奏するラジアル異方性焼結磁石の製造方法を提供することができる。
上記第3の発明によれば、上記第1の発明と同様の効果を奏するラジアル異方性焼結磁石を回転子として使用したブラシレスモータを提供することができる。
上記第4の発明によれば、上記第3の発明と同様の効果を奏するブラシレスモータを備える電動パワーステアリング装置を提供することができるので、操舵フィーリングを向上させることができる。。
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
<1. 全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成を、それに関連する車両構成と共に示す概略図である。この電動パワーステアリング装置は、操舵のための操作手段としてのハンドル(ステアリングホイール)100に一端が固着されるステアリングシャフト102と、そのステアリングシャフト102の他端に連結されたラックピニオン機構104と、ハンドル100の回転位置を示す舵角を検出する舵角センサ12と、ハンドル100の操作によってステアリングシャフト102に加えられる操舵トルクを検出するトルクセンサ13と、ハンドル操作(操舵操作)における運転者の負荷を軽減するための操舵補助力を発生させるブラシレスモータ16と、その操舵補助力をステアリングシャフト102に伝達する減速ギヤ17と、車載バッテリ18からイグニションスイッチ19を介して電源の供給を受け、舵角センサ12や、トルクセンサ13、車速センサ14からのセンサ信号に基づきブラシレスモータ16の駆動を制御する電子制御ユニット(ECU)15とを備えている。
このような電動パワーステアリング装置を搭載した車両において運転者がハンドル100を操作すると、その操作による操舵トルクがトルクセンサ13によって検出されると共に舵角が舵角センサ12によって検出され、検出された操舵トルクおよび舵角と車速センサ14によって検出された車速とに基づいてECU15によりブラシレスモータ16が駆動される。これによりブラシレスモータ16は操舵補助力を発生し、この操舵補助力が減速ギヤ17を介してステアリングシャフト102に加えられることにより、操舵操作における運転者の負荷が軽減される。すなわち、ハンドル操作によって加えられる操舵トルクとブラシレスモータ16の発生する操舵補助力によるトルクとの和が、出力トルクとして、ステアリングシャフト102を介してラックピニオン機構104に与えられる。これによりピニオン軸が回転すると、その回転がラックピニオン機構104によってラック軸の往復運動に変換される。ラック軸の両端はタイロッドおよびナックルアームから成る連結部材106を介して車輪108に連結されており、ラック軸の往復運動に応じて車輪108の向きが変わる。
<2. ブラシレスモータの構成>
図2は、ブラシレスモータ16の回転軸に対する垂直断面図である。図2に示されるように、このブラシレスモータ16は回転軸であるモータ軸66の軸回りに回転するロータ(回転子)65と、このロータ65を囲むように狭い隙間(エアギャップ)を空けて設けられるステータ(固定子)61とを備えている。
ロータ65は、その周方向に10極を有するリング状の永久磁石651が1つ配されることにより、周方向に10極を有する状態となっている。この永久磁石651は、後述する装置により成形される配向方向がラジアル方向の異方性を有するラジアル異方性焼結磁石であって、径方向(ラジアル方向)に着磁されており、周方向にN極とS極とが交互に配されている。また、この永久磁石651はコギングトルクを軽減するためのいわゆるスキューが形成されるよう着磁されている。詳しくは後述する。
ステータ61は、筒状のヨーク615と、このヨーク615の内周面からモータ軸66に向かって突き出すように設けられる12個のティース(突極)611a〜611lとを含む。これらのティース611a〜611lには、対応する巻線612a〜612lが巻き付けられており、これらの巻線に所定の電流が流れることにより、ステータ61はその周方向に12極を有する状態となる。したがって、本ブラシレスモータ16は10極12スロットのモータである。
ここで巻線612a〜612lは、具体的には4つずつ3組の巻線がU相、V相、またはW相の電力により駆動されるよう、図示されない三相電力源に適宜接続されている。上記三相電力源は、例えば上記各相に対応してそれぞれパルス幅を制御された電圧信号であるパルス幅変調(PWM)信号を出力することにより、ブラシレスモータ16の回転を制御する。
<3. 永久磁石の製造装置の構成>
ここで、上記ブラシレスモータ16における永久磁石651は、水平磁場垂直成形装置および着磁装置により成形・製造される。まず、水平磁場垂直成形装置の構成について、図3を参照して説明する。なお、以下では、水平方向とは永久磁石651となるべき素材に対して加えようとする水平磁場の方向を指し、垂直方向とは上記素材を成形するため圧力を加える方向を指すものとする。
図3は、上記水平磁場垂直成形装置の構成を簡略に説明するための図であり、より詳しくは、図3(a)は上記水平磁場垂直成形装置における要部の水平断面図であり、図3(b)はこの水平磁場垂直成形装置における要部の横方向から見た外観図であり、図3(c)はこの水平磁場垂直成形装置における要部の垂直断面図である。
図3に示されるように、この水平磁場垂直成形装置は、成形機架台1と、成形されて永久磁石651となる素材である充填磁石粉8と、この充填磁石粉8に対して全体として水平方向に与えられる磁場を形成する配向磁場コイル2と、当該磁場を充填磁石粉8に伝えるポールピース9a,9bと、この充填磁石粉8の周囲を囲うダイス3と、この充填磁石粉8の中心に置かれるコア5と、この充填磁石粉8に垂直方向上側から圧力を加える上パンチ6と、下側から圧力を加える下パンチ7とを備えている。
この水平磁場垂直成形装置は、図8に示した従来の水平磁場垂直成形装置とほぼ同様の構成要素を有しているが、ポールピースの形状が大きく異なる。図4は、本水平磁場垂直形成装置に備えられるポールピース9bの形状を簡易に示す斜視図である。図4に示されるように、ポールピース9bは、ポールピース9aに対向する面が垂直方向から所定の角度だけ傾いており、またこの面のダイス3に対向する辺がダイス3の表面を垂直方向から所定の角度だけ傾いた角度で上下方向に縦断するような曲線となっている。この角度は後述する着磁装置により形成されるスキュー角に相当する角度となっており、成形される永久磁石651における配向が不均一な部分にこの角度が付されることになる。詳しくは後述する。
コア5は、その少なくとも一部、好ましくは全体を飽和磁束密度5kG以上、好ましくは5〜24kG、更に好ましくは10〜24kGの強磁性体によって構成される。その材質としては、Fe系材料、Co系材料及びそれらの合金材料等の素材を用いた強磁性体が挙げられる。このように、飽和磁束密度5kG以上有する強磁性体をコアに使用すると、充填磁石粉8に配向磁界を印加する場合、磁束は強磁性体の表面に対して垂直方向(ラジアル方向ともいう)に入ろうとするためラジアルに近い磁力線を描くことになり、磁石となるべき磁石粉の磁界方向をラジアル方向の配向に近づけることができる。なお、コア5の中央部がパーメンジュールなどの強磁性体であり、その外周部が(WC−Ni−Co系などの)弱い強磁性体であってもよい。
このような材料を使用したコア5により成形を行うと、ラジアル方向の配向に対する乱れは、磁石の径方向が配向磁場方向に垂直となる部分のみの配向の乱れとなるため、モータのトルクむらおよびトルク劣化が低減されたロータ用の円筒磁石を製造することができる。
また、上記のように成形を行う際、水平磁場垂直成形装置で発生させる磁場は0.5〜12kOeであることが好ましい。もし磁場が大きい場合にはコア5が飽和してしまうため磁石の磁場垂直方向での配向がラジアル方向の配向とはならなくなる。そのため、磁場は12kOe以下が好ましい。また強磁性体を用いると磁束がコア5に集中するため、コア5周辺ではコイルによる磁場より大きな磁場が得られるが、磁場があまりに小さいとコア5周辺においても配向に十分な磁場が得られなくなるため、0.5kOe以上が好ましい。さらに上記磁場は1〜10kOeの範囲内であることがより好ましい。
また、充填磁石粉8の材料は、Nd−Fe−B系の円筒磁石、フェライト磁石、Sm−Co系希土類磁石、各種ボンド磁石等の製造において使用される周知の材料等を特に限定無く使用可能であるが、平均粒径0.1〜100μm、特に0.3〜50μmの合金粉であることが好ましい。
ところで、コア5表面からその中心に向かう方向が、配向磁場コイル2による水平方向の配向磁場方向に対し90°近傍となるコア5表面に接する充填磁石粉8部分(以下「垂直部分」という)では、ラジアル方向の配向とならない場合がある。磁場中に強磁性体がある場合、磁束は強磁性体に対して垂直に入るよう強磁性体に引き寄せられるため、水平の磁場方向に対して垂直な強磁性体の面では磁束密度が上昇し、水平な面では磁束密度が低下するからである。このため、コア5に強磁性を配した場合、充填磁石粉8における垂直部分ではあまり配向しない(配向が不安定となる)。なお、この垂直部分は例えばラジアル方向から30°以上傾いた方向に不安定的に配向されており、少なくとも全体の50%未満、典型的には数%を占めている。
図5は、充填磁石粉における上記配向状態を簡易に示す図であり、より詳細には図5(a)は充填磁石粉を水平方向から見た簡略な側面外観図であり、図5(b)はその中央における水平断面図である。この図5(b)は、充填磁石粉8における図5(a)に示されるX−X断面図であり、図中の矢印は上述の配向磁場コイル2による水平方向の配向磁場によって配向される方向を示している。また、図中のAは、充填磁石粉8における配向が不安定な垂直部分を示している。
図5(a)を参照すると、この配向が不安定な垂直部分は、垂直方向に対して所定の角度だけ傾いている。これは、図4で前述したようにポールピース9b(およびポールピース9a)の面のダイス3に対向する辺がダイス3の表面を垂直方向から所定の角度(ここでは後述するスキュー角に相当する角度)だけ傾いており、充填磁石粉8周囲の水平磁場が垂直方向での位置に応じた所定の角度を有するよう変化(すなわちコア5の中心軸を中心として所定角度だけ回転)するよう設定されているからである。すなわち上記配向が不安定な垂直部分は、垂直方向での位置に応じた所定の角度を有する水平磁場に対してコア5表面からその中心に向かう方向が90°近傍となるコア5表面に接する部分であるから、垂直方向での位置に応じて上記水平磁場の水平面における方向が変化すれば、これに合わせて上記配向が不安定な垂直部分は垂直方向から所定の角度(ここではスキュー角)だけ傾いた方向に分布することになる。このように配向が不安定な垂直部分を上記スキュー角に相当する角度だけ傾いて分布するように充填磁石粉8を成形することにより、製造された永久磁石651を使用したブラシレスモータ16のコギングトルクを低減することができる。詳しくはさらに後述する。
なお、上記垂直部分の不安定な配向をできるだけ安定したものにするため、充填磁石粉8を配向磁場コイル2による配向磁場に対し相対的に回転させ、不安定な配向となっている垂直部分を強い磁場で再度配向する構成としてもよい。そうすれば良好な磁石が得られる。ここで充填磁石粉8を回転させる構成は、配向磁場コイル2、コア5、ダイス3、上下パンチ6,7のいずれかを回転させればよい。このうち、充填磁石粉8を回転させる際、コア5又は充填磁石粉8の残留磁化を50G以上、特に200G以上存在させておけば、充填磁石粉8とコア5との間に磁気的な吸引力が発生するため、コア5を回転させるだけで充填磁石粉8を回転させることができる。またその回転角度は、好ましくは10〜170°、特に60〜120°の範囲、典型的には90°前後であればよい。
以上のような配向磁界を印加されながら、充填磁石粉8は、上下パンチ6,7によって一般的な成形圧0.5〜2.0t/cm2 で成形されることによりその粒子の方向が揃えられた圧縮体となり、更に周知の焼結、時効処理、加工処理等を施されることにより、永久磁石651となるべき着磁前の焼結磁石となる。
次に、このようにして製造された永久磁石651となるべき着磁前の焼結磁石に対して着磁する着磁装置20について説明する。図6は、この着磁装置の構成を簡単に説明するための水平断面図である。図6に示される着磁装置20は、焼結磁石(図では説明の便宜のため着磁後の永久磁石651として示されている)の外周面を多極着磁するための10個の磁極歯23a〜23jが設けられている。またこれらの磁極歯23a〜23jには、対応する巻線24a〜24jが巻き付けられており、これらの巻線に所定の電流を流すことにより、図6に示されるように周方向に10極が形成されるので、これら10極に合わせて焼結磁石が着磁されることにより周方向に10極を有する永久磁石651が製造される。
また、上記10個の磁極歯23a〜23jは垂直方向に対して所定の角度(スキュー角)だけ傾けられており、永久磁石651に対してスキューを施した着磁を行うことができる。このようなスキュー着磁を行う着磁装置20の構成は周知であるので、その詳しい説明は省略する。
図7は、このようにして製造された永久磁石における上記着磁状態を簡易に示す図であり、より詳細には図7(a)は永久磁石を水平方向から見た簡略な側面外観図であり、図7(b)はその中央における水平断面図である。
この図7(a)に示されるように、上記永久磁石の各極は、垂直方向に対して所定の角度で傾けられる、いわゆるスキューが施されている。このようにブラシレスモータのロータに使用される永久磁石にスキューを施すことにより、モータのコギングを低減することができる。
また、本実施形態の水平磁場垂直成形装置により成形される永久磁石は、従来の水平磁場垂直成形装置により成形される永久磁石の場合と同様、配向の不安定な上記垂直部分を有するが、従来の場合とは異なってこの垂直部分によってはスキューによるコギングトルクの低減効果が阻害されないか、少なくともほとんど阻害されない。
すなわち、図7(a)を参照するとわかるように、幅Aの配向の不安定な上記垂直部分は、垂直方向に沿って分布するわけではなく、スキュー角に沿った方向に分布するよう形成される。これは、図4で前述したようにポールピース9b(およびポールピース9a)の面のダイス3に対向する辺がダイス3の表面を垂直方向からスキュー角に相当する角度だけ傾けられるなどの前述の構成により、与えられる水平磁場が垂直方向での位置に応じてスキュー角だけ変化しているからである。
したがって、配向の不安定な上記垂直部分を永久磁石の極間近傍部分(図中の点線近傍部分)のみに重なるよう着磁装置20により着磁することにより、磁束密度が小さくなっているこの極間近傍部分にのみバラツキが生じるためコギングの原因とはならない。また、スキュー角に沿って同一の磁束密度となることが前提となっているスキューによるコギングトルクの低減効果を十分に発揮させることができる。
<4. 効果>
以上のように、本実施形態では、水平磁場垂直成形装置によって永久磁石651における配向の不安定な部分をスキュー角に合わせた角度で傾いて分布するよう成形し、着磁装置によって上記配向の不安定な部分を永久磁石の極間近傍部分のみに重なるよう着磁することにより、配向の不安定な部分を有していても、ブラシレスモータのロータに使用される場合にスキューによるコギングトルクの低減効果が十分に発揮されるラジアル異方性焼結磁石を提供することができる。また同様の効果を有する上記磁石の製造方法と、当該磁石を備えるブラシレスモータと、このブラシレスモータを備えることにより操作者に良好な操作フィーリングを与える電動パワーステアリング装置を提供することができる。
<5. 変形例>
上記実施形態では、図4で前述したようにポールピース9b(およびポールピース9a)の面のダイス3に対向する辺がダイス3の表面を垂直方向から所定の角度(ここでは後述するスキュー角に相当する角度)だけ傾いているが、充填磁石粉8における配向が不安定な垂直部分をスキュー角に相当する角度だけ傾けるために充填磁石粉8周囲の水平磁場が垂直方向での位置に応じて所定の角度を有するよう変化(回転)するよう設定される構成であれば、ポールピース9a,9bの形状等に限定はない。例えば、上記配向が不安定な垂直部分をスキュー角に相当する角度だけ傾けた方向に分布させるよう、図8に示される従来の水平磁場垂直成形装置に備えられるポールピースのダイス903に接する面を適宜の曲面形状とする構成であってもよい。また、本実施形態における水平磁場垂直形成装置には必ずしもポールピースが使用されなくてもよい。
本発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成をそれに関連する車両構成と共に示す概略図である。 上記実施形態におけるブラシレスモータの回転軸に対する垂直断面図である。 上記実施形態における水平磁場垂直成形装置の構成を簡略に説明するための図である。 上記実施形態における水平磁場垂直形成装置に備えられるポールピースの一方の形状を簡易に示す斜視図である。 上記実施形態における充填磁石粉の配向状態を簡易に示す図である。 上記実施形態における着磁装置の構成を簡単に説明するための水平断面図である。 上記実施形態において製造された永久磁石における着磁状態を簡易に示す図である。 従来の水平磁場垂直成形装置の構成を簡略に説明するための図である。 従来の充填磁石粉における配向状態を簡易に示す図である。 従来の装置により製造された永久磁石における着磁状態を簡易に示す図である。
符号の説明
1…成形機架台、2…配向磁場コイル、3…ダイス、5…コア、6…上パンチ、7…下パンチ、8…充填磁石粉、9…ポールピース、12…舵角センサ、13…トルクセンサ、14…車速センサ、15…電子制御ユニット(ECU)、16…ブラシレスモータ、20…着磁装置、23…磁極歯、24…巻線、61…ステータ、65…ロータ、66…モータ軸、611a〜611l…ティース、612a〜612l…巻線、615…ヨーク、651…永久磁石、A…配向が不安定な垂直部分の幅

Claims (4)

  1. 円筒状に形成されており、当該円筒の中心軸方向に対して所定のスキュー角を有するよう着磁されている極であって周方向に沿って配置される複数の極を有するラジアル異方性焼結磁石であって、
    円筒表面から中心軸へ向かうラジアル方向に対して所定角未満の角度をなす方向に安定的に配向される過半を占める第1の部位と、
    前記第1の部位とは異なる部位であって、前記ラジアル方向に対して前記所定角以上の角度をなす方向に不安定的に配向される第2の部位とを備え、
    前記第2の部位は、前記複数の極のうちの隣り合う2つの極間のいずれか近傍に配置され、前記スキュー角に沿った方向に分布することを特徴とする、ラジアル異方性焼結磁石。
  2. 請求項1に記載のラジアル異方性焼結磁石を製造する方法であって、
    中心に配置される円柱状の強磁性体コアと、外周に配置される円筒状の金属ダイスとの間に前記ラジアル異方性焼結磁石となるべき充填磁石粉を充填するステップと、
    前記充填磁石粉に対して前記第2の部位が前記スキュー角に沿った方向に分布するよう、前記中心軸方向に対して垂直に延びる水平面に沿った水平磁場であって前記中心軸方向における位置に応じて前記水平面における方向が変化する水平磁場を与えるステップと、
    前記水平磁場を与えながら前記充填磁石粉を前記中心軸方向に圧縮し焼結するステップと、
    焼結された充填磁石粉に対して、前記第2の部位が前記隣り合う2つの極間のいずれか近傍に配置されるように、前記スキュー角を有するよう前記複数の極を着磁するステップと
    を含むラジアル異方性焼結磁石の製造方法。
  3. 請求項1に記載のラジアル異方性焼結磁石を含む回転子と、
    前記回転子の外側に配される円環状の固定子と
    を備えるブラシレスモータ。
  4. 請求項3に記載のブラシレスモータを備え、
    前記ブラシレスモータは、車両操舵のための操作手段による操作に応じて駆動されることにより当該車両のステアリング機構に操舵補助力を与えることを特徴とする、電動パワーステアリング装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012005218A (ja) * 2010-06-16 2012-01-05 Meidensha Corp ブラシレスモータ
CN112967861A (zh) * 2021-03-02 2021-06-15 东莞市粤海磁电科技有限公司 一种用于磁铁充磁的自动多极充磁设备

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