JP2008153086A - 試料検査装置及び試料検査方法並びに試料検査システム - Google Patents

試料検査装置及び試料検査方法並びに試料検査システム Download PDF

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Abstract

【課題】 膜に保持された試料に一次線として電子線等の荷電粒子線を、該膜を介して試料に照射し、これによって試料検査を行う際に、該膜に保持された試料に刺激を与えることのできる試料検査装置、試料検査方法、及び試料検査システムを提供する。
【解決手段】 本発明における試料検査装置は、膜32を介して試料20に一次線7を照射する一次線照射手段1と、一次線7の照射に応じて試料20から発生する二次的信号を検出する信号検出手段4とを備え、20試料に接近又は接触可能な先端部を具備するマニピュレータ26と、試料20の光学像を取得する光学像取得手段27と、一次線照射手段1、信号検出手段4、マニピュレータ26及び光学像取得手段27の各動作を制御する制御手段28とを有する。
【選択図】図1

Description

この発明は、膜に保持された試料に荷電粒子線等の一次線を照射して、当該試料の検査を行うことのできる試料検査装置、試料検査方法、及び試料検査システムに関する。特に、試料が生体細胞であり、その細胞に刺激を与えた際の反応の観察及び検査に関する。
生命科学や、製薬分野では、細胞に刺激(電気、化学物質、薬等)を与え、その反応を観察することが重要となっている。従来、このような観察には光学顕微鏡が用いられていたが、観察すべき重要な箇所は光学顕微鏡では観察不可能な0.1μm以下の微小領域であることも多い。
例えば、細胞間の情報伝達物質のやり取りが正常に行えなくなることに起因する病気に高血圧症、尿崩症、不整脈、筋肉疾患、糖尿病、うつ病等がある。この細胞間の物質のやり取りは細胞膜にある10nm程度の大きさの膜蛋白分子(リセプターやイオンチャンネル等)により行われる。このような膜蛋白分子は、光学顕微鏡では観察困難である為、分解能の高い走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」という)を用いた観察が望まれていた。
しかし、SEMの構成を備える検査装置において、検査対象となる試料は、通常、真空引きにより減圧された試料室内に配置される。そして、このように減圧雰囲気とされた試料室内に配置された試料に電子線(荷電粒子線)が照射され、当該照射により試料から発生する二次電子や反射電子(後方散乱電子)等の二次的信号が検出される。
このようなSEMによる試料検査では、試料が減圧雰囲気に晒されることとなる。よって、試料から水分が蒸発して細胞が死んでしまい、刺激に対する反応を観察することは不可能であった。
従って、試料に水分が含まれた状態で検査を行う際には、試料から水分が蒸発しないように、試料を減圧雰囲気に晒されることがないようにする必要がある。このように試料が減圧雰囲気に晒されることなくSEMを用いて検査を行う例の一つとして、膜により開口(アパーチャ)が密封された試料容器(サンプルチャンバ)の内部に試料を配置し、減圧雰囲気とされたSEMの試料室内に、この試料容器を設置する手法が考えられている。
ここで、試料が配置される試料容器の内部は減圧されない。そして、試料容器に形成された当該開口を覆う膜は、SEMの試料室内の減圧雰囲気と試料容器内部の減圧されていない雰囲気(例えば、大気圧雰囲気)との間の圧力差に耐えられるとともに、電子線が透過するものとなっている(特許文献1参照)。
試料検査を行う際には、減圧雰囲気とされたSEMの試料室内に配置された試料容器の当該膜を介して、試料容器の外部から試料容器内の試料に電子線が照射される。電子線が照射された試料からは反射電子が発生し、この反射電子は試料容器の当該膜を通過して、SEMの試料室内に設けられた反射電子検出器によって検出される。これにより、SEMによる像(SEM像)が取得されることとなる。しかしながら、この発明では試料は閉じた空間内に封入させるので、マニピュレータを用いて細胞に刺激を与えることは不可能であった。
なお、このように真空と大気圧との圧力差に耐えられる膜を介して試料に電子線を照射し、試料から発生する反射電子を検出してSEM像を取得する例は、非特許文献1(当該文献のChapter1 Introduction)にも記載されている。
また、このような膜を対向して設置して一対の膜を構成し、該一対の膜の間に試料を配置して透過型電子顕微鏡による像を取得する例は、特許文献2及び特許文献3に記載されている。特に、特許文献2には、このような一対の膜を利用して、その間に配置された試料のSEM像を取得する場合についても述べられている。
特表2004−515049号公報 特開昭47−24961号公報 特開平6−318445号公報 「Atmospheric scanning electron microscopy」 Green、 Evan Drake Harriman、 Ph.D.、 Stanford University、 1993
マニピュレータを用いて細胞に刺激を与えた後の細胞の反応に基づいて生ずる構造変化は、細胞内の微小領域で生じる為、光学顕微鏡では観察不可能でSEMによる観察が必須となる。液体を保持したまま細胞をSEMで観察する為には、試料(細胞)を試料容器に封入し、試料容器に形成された膜を介して電子線を試料に照射することで像を得ていた。しかし、試料容器は閉じた空間である為、刺激を与える為のマニピュレータを用いることが不可能であった。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、膜に保持された試料に一次線として電子線等の荷電粒子線を、該膜を介して試料に照射し、これによって試料検査を行う際に、該膜に保持された試料に刺激を与えることのできる試料検査装置、試料検査方法、及び試料検査システムを提供することを目的とする。
また、試料(細胞)にマニピュレータで刺激を与えた際、変化の生ずる部位は刺激を与えた部分近傍が主となる。その領域をすばやくSEM像の視野に入れることも細胞への放射線ダメージ低減や使い易さの点から重要であり、本発明での課題となる。
本発明に基づく第1の試料検査装置は、膜を介して試料に一次線を照射する一次線照射手段と、該一次線の照射に応じて該試料から発生する二次的信号を検出する信号検出手段とを備える試料検査装置において、該試料に接近又は接触可能な先端部を具備するマニピュレータと、該試料の光学像を取得する光学像取得手段と、該一次線照射手段、該信号検出手段、該マニピュレータ及び該光学像取得手段の各動作を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
本発明に基づく第2の試料検査装置は、第1の面に試料が保持される膜と、該膜の第2の面に接する雰囲気を減圧する真空室と、該真空室に接続され、該膜を介して該試料に一次線を照射する一次線照射手段と、該一次線の照射に応じて該試料から発生する二次的信号を検出する信号検出手段とを備える試料検査装置において、該試料に接近又は接触可能な先端部を具備するマニピュレータと、該試料の光学像を取得する光学像取得手段と、該一次線照射手段、該信号検出手段、該マニピュレータ及び該光学像取得手段の各動作を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
本発明に基づく第1の試料検査方法は、前記何れか記載の試料検査装置を用いて試料の検査を行うことを特徴とする。
本発明に基づく第2の試料検査方法は、一次線照射手段から膜を介して試料に一次線を照射して、これに基づく該試料の情報(第1の情報)を取得し、該試料に物理的又は電気的若しくは化学的作用を加え、該作用が加えられた後の該試料に該膜を介して該一次線を照射し、これに基づく該試料の情報(第2の情報)を取得し、これら第1の情報及び第2の情報の対比を行うことを特徴とする。
本発明に基づく第3の試料検査方法は、前記何れか記載の試料検査装置を用いて前記試料からの二次的信号を検出し、該二次的信号に基づく試料の情報から該試料についての判定を行うことを特徴とする。
本発明に基づく試料検査システムは、前記何れか記載の試料検査装置を備え、該試料検査装置により検出された前記試料からの二次的信号に基づく情報から、該試料についての判定を行う情報処理手段を有することを特徴とする。
本発明において、膜の第1の面側に、試料の観察やマニピュレータの位置確認の為の光学像取得手段を配置すると、装置の操作が便利である。
また、試料や膜の一次線に対するダメージを防止する為、一次線の照射量を極力低減させることが必要となる。その為に、マニピュレータの位置情報や光学像取得手段の視野の位置情報を取得し、該位置情報を基に一次線の照射領域を設定するとよい。
さらにマニピュレータが膜を破壊した場合の装置内汚染を防止する為、該膜と該一次線照射手段との間の空間を仕切るための開閉バルブを設け、マニピュレータが膜に接した場合、もしくは接する直前に該バルブを閉じるようにするとよい。
本発明においては、膜を介して試料に一次線を照射し、一次線の照射に応じて試料から発生する二次的信号を検出できるとともに、マニピュレータによる試料へのマニピュレーション動作並びに試料の光学像の取得をすることができる。
このとき、試料を常圧雰囲気(大気圧雰囲気)に配置することにより、試料を取り囲む液体を蒸発させること無くSEM観察ができ、かつ、マニピュレータを用いて試料への刺激を行い、その反応も観察することが可能になる。
また、マニピュレータの位置情報を用いて、マニピュレータにより試料に刺激を与えた周囲に一次線の照射範囲を限定することで、膜や試料への一次線の照射量も最小にすることができ、膜や試料への一次線によるダメージを低減できる。
さらに、膜と一次線照射手段との間の空間を仕切るための開閉バルブを設けることにより、マニピュレータにより膜が破壊された場合でも装置内汚染を防止することができる。
以下、図面を参照して、本発明における実施の形態について説明する。
図1は、本発明における検査装置の第1実施例を示す概略構成図である。この図において、一次線照射手段である鏡筒1には、電子銃(電子源)2が配置されている。電子銃2から加速された状態で放出された一次線としての電子線(荷電粒子線)7は、集束レンズ(対物レンズ)3により集束される。
これにより集束された電子線7は、試料保持体18を構成する試料保持膜32に保持された試料20に、該試料保持膜32を介して照射される。このとき、電子線7は図示しない偏向手段により偏向され、これにより電子線7は当該試料20を走査する。なお、鏡筒1の先端側は真空室11に接続されている。また、電子銃2が設けられた鏡筒1の基端側は真空室11の下方に位置している。試料保持膜32の上面(第1の面)には試料20が配置(保持)され、また、試料保持膜32の下面(第2の面)に接する雰囲気は真空室11により減圧される。
電子銃2から放出された電子線7は、鏡筒1内を上方向に進み、鏡筒1の先端に設けられた開口1aを介して真空室11内の空間、及び試料保持膜32を通過後、試料20に到達する。このように、この鏡筒1は、一次線照射手段を構成し、本実施例では倒立型鏡筒となっている。真空室11内であって鏡筒1の先端側には、反射電子検出器(信号検出手段)4が設けられている。反射電子検出器4は、例えばPN接合を利用した半導体型検出器やYAG結晶を用いたシンチレータ型検出器が用いられる。
鏡筒1内は排気手段8により真空引きされて、所定の圧力(例えば、10−4〜10−5Pa)まで減圧される。また、真空室11内は、図示しない排気手段により真空引きされ、これにより所定の圧力(例えば、10−3〜10−4Pa)まで減圧される。ここで、真空室11は、除振装置13を介して、架台10に載置されている。
真空室11の上部には、試料保持体載置部12が設けられている。試料保持体載置部12には、電子線7が通過するための孔12aが形成されている。この試料保持体載置部12には、Oリング(図示せず)を介して、試料保持体18が載置されている。これにより、試料保持体18は真空室11に着脱自在に支持される。また、0.5mm程度であれば真空室11が真空の状態であっても水平方向に移動も可能であり、光学顕微鏡像やSEM像に対して試料の位置調整を行うことが出来る。
真空室11の上側部分には、開閉バルブ14が設置されている。この開閉バルブ14は、真空室11内において、試料保持体18の試料保持膜32と鏡筒(一次線照射手段)1の先端部との間の空間19を仕切るためのものである。図1は、開閉バルブ14が開かれた状態である。開閉バルブ14を閉じると、図2のように真空室11内の当該空間19が仕切られることとなる。
このように開閉バルブ14により仕切られた当該空間19が仕切られることにより、開閉バルブ14と試料保持膜32との間において密閉された空間部19aが形成される。この空間部19aは、開閉バルブ14を境として試料保持体18側に位置する空間となる。
当該空間部19aに連通して排気手段(減圧手段)9が設けられている。この排気手段9は、当該空間部19aを個別に排気できる。また、当該空間部19aには、図示しないガス供給手段が接続されている。このガス供給手段は、窒素やエアー等のガスを当該空間部19aに供給し、この空間部19a内を減圧状態から常圧(大気圧)状態に復帰させる。これにより、当該空間部19aは、独立して減圧状態からの常圧復帰が可能となる。
さらに、当該空間部19aには、図示しない洗浄手段が接続されている。この洗浄手段は、当該空間部19a内に洗浄剤を供給し、当該空間部19aを洗浄する。これにより、当該空間部19aを構成する壁面は洗浄される。
このとき使用される洗浄剤としては、洗剤、エタノール、アルコール、アセトン、過酸化水素水の少なくとも一つからなる洗浄液、又はこれらの物質の蒸気を使用できる。当該空間部19aに供給された洗浄剤は、この空間部19aの洗浄を実施後、排出管15により該空間部19aから排出される。排出管15には、開閉弁16が設けられている。この開閉弁16が開放されることにより、洗浄剤は排出管15を介して外部に排出される。なお、後述する試料の検査を実行する際には、開閉弁16は閉じられる。
また、上記洗浄剤を用いずに、当該空間部19aに紫外光を照射することにより、当該空間部19aの殺菌を行うこともできる。
試料保持体18は、図3(B)のように試料保持膜32を備えている。この試料保持膜32の第1の面32a(図3(B)では下面、図1では上面)は露出されている。この試料保持膜32の第1の面32aには、液体を含んだ試料20が供給される。第一の面32aは大気圧下(大気圧雰囲気)にあるので水分の蒸発を極力抑えることができる。また、試料保持体18は、試料保持膜32の第2の面32b(図3(B)では上面、図1では下面)に設けられた本体部34を備えている。
本体部34の中央には開口34aが形成されており、試料保持膜32における第2の面32bの中央部は該開口34aを介して真空室11の内部雰囲気に露出されている。また、試料保持膜32は、第一の面32aが大気圧雰囲気に、第二の面32bが真空雰囲気に晒されることとなるので、この圧力差に絶える為に、必要に応じて格子35で補強されている。
次に、試料保持体18の作成方法について説明する。
まず、図3(A)に示すように、シリコン層33と、該シリコン層33の一方の面(同図では下面)に設けられた窒化シリコン膜36とを有する基板を用意する。このとき窒化シリコン膜36の第1の面(同図では下面)は露出されており、窒化シリコン膜36の第2の面はシリコン層33に覆われている。シリコン層33は、試料保持体18の本体部34を構成することとなる。また、窒化シリコン膜36は、試料保持体18の試料保持膜32を構成することとなる。
次いで、図3(A)におけるシリコン層33の他方の面(上面)の中央部33aを選択的にエッチングする。これにより、シリコン層33の中央部33aには、図3(B)に示すように、開口34aが形成される。これにより、窒化シリコン膜36における第2の面の一部が該開口34aにより露出される。このとき、該開口34a内において、窒化シリコン膜36の補強のため、複数のシリコンの柱35を残しておく。窒化シリコン膜36が十分な強度を持つ場合、当該柱35は必要ない。
該開口34a内で、当該柱35が設けられていない部分では、窒化シリコン膜36の第2の面が露出されている。窒化シリコン膜36は試料保持体18の試料保持膜32を構成し、シリコン窒化膜36の第2の面は試料保持膜32の第2の面32bに対応する。これにより、試料保持体18が作成される。
このようにして作成された試料保持体18は、図3(B)の状態から上下反転され、試料保持膜32である窒化シリコン膜36の第1の面を上面とする。この窒化シリコン膜36の上面である第1の面は、試料保持体18における試料保持面32の第1の面32aとなる。なお、第2の面32bを上面にすることも可能である。
ここで、窒化シリコン膜36の厚みは、10〜1000nmの範囲に設定される。なお、試料保持体18の試料保持膜32として用いられる膜としては、窒化シリコン膜の他に、酸化シリコン、窒化ボロン、ポリマー、ポリエチレン、ポリイミド、ポリプロピレン、若しくはカーボンからなる膜を用いても良い。これらの膜を用いた場合でも、その膜厚は10〜1000nmに設定される。上述した素材からなる試料保持膜32は、電子線7が透過するが気体や液体は透過しないものとなる。さらに、膜の両面で少なくとも一気圧の圧力差に耐えうると使い勝手が向上する。
なお、このような試料保持膜32は、その厚さが薄ければ電子線7の散乱が少なくなるので分解能が向上するが破損しやすくなり、また、その厚さが厚くなれば電子線7の散乱が増加して分解能が低下するが破損しにくくなる。好適な膜厚としては、上記の各素材について20〜200nmとなる。
次に、図1に戻って、検査装置の構成をさらに説明する。反射電子検出器4により検出された検出信号は、真空室11の外部に配置された画像形成装置22に送られる。画像形成装置22は、当該検出信号に基づいて、画像データを形成する。この画像データは、SEM画像に対応する画像データとなる。
当該画像データは、表示装置23に送られる。表示装置23は、送られた画像データに基づく画像を表示する。表示された画像は、SEM画像となる。
また、画像形成装置22により形成された画像データは、必要に応じてコンピュータ25に送られる。コンピュータ25は、画像処理を当該画像データに対して施すとともに、当該画像処理の結果に基づく判定を実行する。
ここで、鏡筒1及び真空室11を備える電子線装置部29(試料保持体18より下に位置する構成部であって、真空室11、鏡筒1及び反射電子検出器4を含む)は電子線制御部24により制御される。
試料保持体載置部12には、試料20に刺激(電圧、化学物質、薬等による物理的又は電気的若しくは化学的作用)を与えるとともに、必要に応じて試料20を移動させるためのマニピュレータ26と、試料20の観察やマニピュレータ26の先端部の位置を確認する光学顕微鏡27(光学像取得手段)が載置されている。これらは制御部(制御手段)28で制御されている。ここで、マニピュレータ26は、試料20に接近又は接触可能な先端部を具備しており、当該先端部を介して、試料20に刺激として上記作用が加えられることとなる。また、鏡筒1と光学顕微鏡27とは、試料保持膜32を間に介して対向配置されている。
本発明における試料検査装置は、電子線装置部29、マニピュレータ26、光学顕微鏡27、電子線制御部24、制御部28、画像形成装置22、及び表示装置23を備えており、各部とコンピュータ25が接続され、各部の情報がやり取りされることにより、本発明における試料検査システムが構成される。そして、これにより制御部28は、鏡筒1、反射電子検出器4、マニピュレータ26及び光学顕微鏡27の各動作を制御することができる。
本装置では、試料20にマニピュレータ26の先端部により刺激を与える前後での試料20の反応を、電子線装置部29によりSEM像として取得することができる。該試料20が反応する位置はマニピュレータ26の先端部の近傍となり、該位置の近傍を電子線装置部29により観察することが必要となる。
ここで、マニピュレータ26の先端部は試料保持膜32から離間しており、試料保持膜32を通過(透過)した電子線7は徐々に減衰して当該先端部まで到達するのが困難であり、また、たとえ到達しても当該先端部から発生する反射電子が試料保持膜32を通過することは困難であるため、SEM像ではその位置を確認することが出来ない。
そこで、マニピュレータ26の先端部により試料20に刺激を与えた位置の情報は、該マニピュレータ26の先端部の位置情報に対応し、マニピュレータ26の移動制御情報や光学顕微鏡27により得られた光学像に基づいて取得できる。その位置情報は、制御部28を介して電子線制御部24に入力され、該位置を含む領域のみを照射領域として、該領域に電子線7を走査させることが可能になっている。また、光学顕微鏡27の視野の位置情報は、制御部28を介して電子線制御部24に入力され、該視野の一部もしくは全てを含む領域を照射領域として、該領域に電子線7を走査させることが可能になっている。これらにより、SEMで観察したい領域を探す手間が省け、試料20への電子線7照射量を最低限にすることができ、試料20の電子線によるダメージを軽減することができる。
次に、本発明における試料検査方法について図1及び図2を用いて説明する。
試料保持膜32の第一の面32aにフィブロネクチンやコラーゲン等の細胞接着分子を吸着させ、試料20として神経等の細胞を試料保持膜32の第一の面32aに吸着(培養)させた。細胞接着分子は細胞を試料保持膜32の第一の面32aに近接させるための接着剤の役割を果たす。その後、試料保持体載置部12に試料保持体18を載置した。このとき、開閉バルブ14は閉じられており、図2の状態になっている。この開閉バルブ14と試料保持膜32との間において密閉された空間部19aは、常圧である大気圧雰囲気となっている。また、真空室11内において、開閉バルブ14の下側に位置する空間は所定の真空状態(減圧状態)となっている。さらに、当該空間に連通する鏡筒1内は、真空排気手段8により排気されて減圧され、所定の真空状態となっている。
この状態で、排気手段9を用いて上記空間部19aを減圧して真空にした。真空にする際、大気圧状態からの急激な圧力変化による試料保持膜32の破損を防ぐ為、図示しないニードルバルブ等を用いて1秒〜100秒の間の時間かけて、大気圧である1気圧(101325Pa)から1/2気圧〜1/10気圧程度の圧力(50kPa〜10kPa)にまで減圧した。この工程で、試料保持体18の試料保持膜32が破壊されないことの確認を行う。
上記工程により試料保持膜32の破壊がないことの確認をした後、光学顕微鏡27で神経細胞とマニピュレータ26の位置を確認した。マニピュレータ26の先端部には微小電極と微小管が設置してあり、微小電極により電圧の印加が、微小管により液体の流出(供給)及流入(排出)が可能になっている。また、マニピュレータ26の移動により、当該先端部は、試料20である神経細胞に対して接近又は接触が可能となっている。
光学顕微鏡27で光を試料20に照射して観察しながら神経細胞とガラス微小電極が近接するようにマニピュレータ26を移動させた。その後、マニピュレータ26の先端部の微小管に負の圧力を掛けて細胞膜と密着させた。これにより、電位応答が測定可能になった。
以上のようなマニピュレータ26の移動の際、誤ってマニピュレータ26により試料保持膜32を破損させることがあっても、開閉バルブ14が閉まっているので、試料20の拡散による汚染は当該空間部19a内のみで済む。万が一にも試料保持膜32が破壊されて、当該空間部19a内が試料20の拡散により汚染された場合、上述したように、当該空間部19aの洗浄は実施可能である。そして、洗浄で用いた洗浄剤である液体又は蒸気は、開閉弁16を開けることにより、排出管15を介して排出及び廃棄可能である。なお、当該空間部19aを構成する壁面を、窒化ボロンもしくは、フッ素樹脂でコーティング(被膜)することにより、汚染されにくくすることができる。
当該空間部19aが減圧(真空)状態において、試料20が載置された試料保持膜32が破壊されないことを確認した後、開閉バルブ14を開けた。これにより、真空室11内の空間の仕切りが解除され、真空室11内の下側の空間と当該空間部19aとが連通される。その後、光が試料保持膜32を介して反射電子検出器4に入射しないようにする為に、光学顕微鏡の光の照射を止め、図示しない遮蔽手段により他の外光の遮蔽を行った。この遮蔽は、試料保持体18や試料20に電子線7が照射した際に発生する放射線防護の役目も果たしている。
次に、図1のように鏡筒1から電子線7を試料20に向けて照射して撮像を行った。電子線7は試料保持体18の試料保持膜32を透過して試料20に照射され、当該照射に基づいて試料20から発生する反射電子(後方散乱電子)は反射電子検出器4で検出される。反射電子検出器4からの検出信号は、画像形成装置22に送られる。画像形成装置22は、当該検出信号に基づいて、画像データを形成する。この画像データに基づいて、表示装置23が画像(SEM画像)を表示する。このときの画像データは、マニピュレータ26により試料20に印加される後述の刺激を加える前における第1の情報として取得されて、コンピュータ25の記憶領域に記憶される。
このとき、マニピュレータ26により試料(神経細胞)20に刺激を与えることとなる位置の情報は、マニピュレータ26の移動情報等に基づいて求められ、制御部28を介して電子線制御部24に入力されている。したがって、該位置、すなわち試料20に刺激を加える位置を含む領域のみに電子線7を走査させることが可能で、観察すべき領域を探す手間が省け電子線7の照射による試料ダメージも低減させることができる。
該領域は、観察すべき細胞の大きさが数十μmであるので、例えば200μm四方(200μm×200μm)にすると、細胞の刺激に対する反応の生ずる領域を確実に視野内に収めることが可能になる。なお、検査対象(観察対象)の大きさに応じて該領域を設定すればよく、200μm以下に設定することができる。
上述のようにして第1の情報を取得した後、神経細胞である試料20にマニピュレータ26の先端部に設置してある微小電極を用いて電気刺激を加え、上記のごとく試料20に刺激を加える位置を含む領域のみに電子線7を走査させて、試料20のSEM画像を取得し、刺激に対する試料20の応答性を確認することができた。このときの電子線7の走査領域の位置は、マニピュレータ26により試料20に刺激を与えた位置情報に基づいて決定され、該走査領域の範囲は200μm四方又はそれ以下に設定される。
このとき取得される画像データは、電気刺激の印加後での第2の情報となる。この第2の情報もコンピュータ25の記憶領域に記憶される。コンピュータ25は、上述した第1の情報とこの第2の情報とを対比することにより、該細胞の応答性等を詳細に確認することができる。
試料20への刺激の印加後での撮像(第2の情報の取得)を行った後は、開閉バルブ14を閉じることにより、試料保持膜32が破壊された場合の鏡筒1への汚染を防止した。なお、上述した試料20への刺激の印加前の撮像(第1の情報の取得)をした後に、一旦開閉バルブを閉じて、この状態でマニピュレータ26による試料20への刺激の印加を行い、その後開閉バルブ14を開放してから第2の情報を取得するようにしてもよい。
また、上記のように細胞に刺激を与えた後の変化をSEMで観察する前に、光学顕微鏡27で観察する場合もある。その際も、開閉バルブ14を閉じておくと、膜が破れた際の汚染のリスクを低減できる。いずれにせよ、電子線7を試料20に照射させない時は開閉バルブ14を閉じる等、試料検査中における開閉バルブ14の開放時間を短縮することで、装置内部の汚染確率を低減させることができる。
刺激に対する細胞の反応速度が遅い場合、一旦開閉バルブ14を閉じ、反応した頃合を見計らって再度開放バルブ14を開放し、電子線7による撮像を行っても良い。反応の確認は光学顕微鏡27で行うことができる。
マニピュレータ26の先端部には、化学物質や薬物を散布可能な機構を設置することができ、SEMで細胞を観察しながら化学物質や薬物に対する細胞の挙動を観察することができる。また、マニピュレータ26には、液体の流出機能を設置することもでき、これにより散布した物質の回収も可能になる。
マニピュレータ26の操作において、誤って試料保持膜32を破壊した場合の鏡筒1への汚染を防止する必要が有る。そのために、以下の方法を用いた。試料保持膜32の位置情報を例えば光学顕微鏡やレーザー測定装置(図示せず)を用いて測定し、かつマニピュレータ26の位置情報をマニピュレータ26の移動制御情報を基に取得し、試料保持膜32とマニピュレータ26の位置が重ならないようにした。重なりそうになった場合、警告の表示(発信)、マニピュレータ26の操作停止、もしくは/かつ開閉バルブ14を閉じた。
別の方法では、試料保持膜32とマニピュレータ26との間に電圧を印加し、試料保持膜32とマニピュレータ26の間の電圧変化、電流変化、もしくは抵抗変化を測定する。試料保持膜32とマニピュレータ26が接触する際に生ずる電圧変化、電流変化もしくは抵抗変化を感知し、警告の表示(発信)、マニピュレータ26の操作停止、もしくは/かつ開閉バルブ14を閉じた。これら方法により、試料保持膜26の破壊の確立が低減でき、破壊された場合でも鏡筒1への汚染を防ぐことが出来た。
本実施例では、試料20を試料保持膜32に吸着させる為に、フィブロネクチンを用いているが、それ以外にもポリLリジンやコラーゲンを用いても良い。
上記において、像(SEM像)を形成するために検出される電子として、反射電子を用いた。反射電子は原子番号に比例した信号強度を持つ。その為、生物試料のようにほぼ全体が低原子番号の物質で構成されている場合、像のコントラストが非常に弱く、分解能を向上させることが困難である。そこで、細胞の挙動で注目すべき部位に、金などの重金属を吸着させると良い。具体的には、該部位(抗原)に吸着する性質を持つ金粒子を標識した抗体を細胞に散布することで、抗原抗体反応を利用して、その部位(抗原)に該抗体を介して金を吸着させる。また、予め、電子線が照射されると発光する蛍光物質(蛍光色素や量子ドット(例えばSiのナノ粒子))を細胞の特定部位に吸着させ発光を光学顕微鏡で観察しても良い。
以上のように、本発明を用いることで、従来技術では不可能であった生きた細胞の刺激に対する反応を、SEMを用いて高分解能で観察(検査)が可能になった。
上記例では神経細胞を用いたが、それ以外にも副腎皮質細胞、心筋細胞、胃や腸、血管の細胞等さまざまな組織細胞を観察可能である。さらに、製薬における細胞に対する薬の反応検査システムにも応用可能である。その例を次に示す。
1.高血圧
高血圧症の人の血圧を低下させるには、血管にあるイオンチャンネル(ここではその中のカリウムチャンネル)の働きを妨げて、血管を広げる必要がある。このような効果を有する薬の開発では、薬の散布に対するカリウムチャンネルの反応を直接観察することが重要である。本発明を用いた観察例について示す。まず、血管の細胞(試料20)を試料保持膜32上に培養させた。観察すべきカリウムチャンネルの大きさは7〜9nmと小さく、かつ該チャンネルを構成する原子の原子番号が小さいので、前述したように反射電子像ではコントラストが付き難く観察困難である。そこで、コントラストを向上させる為に、予め金マーカーの付いた抗体(カリウムチャンネル細胞外ループに対する抗体)をカリウムチャンネル(抗原)に抗原抗体反応を利用して吸着させた。金の反射電子放出効率は高いので、カリウムチャンネルの位置をSEMで観察することが容易になった。その後、該細胞にマニピュレータ26の先端部を近接させ、薬液を散布した。薬液の散布前後において、走査させた電子線7を、試料保持膜32を介して細胞に照射させ、発生する反射電子を検出器7で検出した。検出信号を画像形成装置22に送り、画像表示部23にSEM画像を表示することができた。これにより薬液に対するカリウムチャンネルの凝集を観察できた。また、カリウムチャンネルの働きと凝集との間には深い関係があることが知られており、ここで開発された方法により製薬に貢献も可能になった。
その他にもイオンチャンネルは不整脈、筋肉疾患など多くの病気に関係する。これら細胞を用い同様にして製薬開発に利用できる。腎臓の異常により起こる尿崩症は、尿細管にある水チャンネルが反応しなくなる為に起こが、これに対しても同様な方法で観察や製薬開発への応用が可能である。
2.糖尿病
糖尿病は、濃度が高くなった血糖を細胞内に取り込んで低下させる糖輸送体GLUT4(glucose transporter-4)の膜輸送の異常により発生する。この糖輸送体は筋肉および脂肪組織に特異的に発現しているものである。本発明を用いて、この糖輸送体に薬物を与え細胞内で起こる形状変化を観察し、糖尿病の新しい薬や治療法の発見に利用できる。まず、脂肪組織(試料20)を試料保持膜32上に培養させた。光学顕微鏡27で観察しながら培養させた該細胞にマニピュレータ26の先端部を近接させ、該マニピュレータ26の先端部から薬液を散布した。薬液の散布前後において、走査させた電子線7を、試料保持膜32を介して該細胞に照射し、発生する反射電子を検出器7で検出した。検出信号を画像形成装置22に送り、画像表示部23にSEM画像を表示することができた。これにより薬物に対する該細胞の反応を観察することができた。このようにして、糖尿病に有効な薬の開発に貢献できる。
3.インフルエンザ
インフルエンザウイルスは細胞表面のリセプターに吸着することで感染する。インフルエンザ特効薬はこの吸着を防止させるものである。従来、この吸着を直接観察することは困難であり、特効薬開発に膨大な時間を要していた。例えば、インフルエンザウイルスに蛍光マーカーをつけて、光学顕微鏡で観察する方法があった。この方法では、細胞がインフルエンザウイルスを食べる食細胞作用(感染ではない)なのか、インフルエンザが細胞に吸着した(感染)のかを区別することが出来なかった。しかし、本発明を用いれば、その区別が可能になる。まず、細胞(試料20)を試料保持膜32に培養させた。マニピュレータ26先端から金粒子を標識したインフルエンザウイルスを細胞に散布した。その後、別のマニピュレータで薬液を該細胞に散布した。この状態で走査させた電子線7を、試料保持膜32を介して該細胞に照射し、発生する反射電子を検出器7で検出した。検出信号を画像形成装置22に送り、画像表示部23にSEM画像を表示することができた。この画像により、インフルエンザの細胞への吸着具合を確認することができた。薬が有効な場合には、インフルエンザの細胞への吸着が無いことを確認することができる。また、細胞がインフルエンザを食べた場合(食細胞作用)でも、分解能が高いSEM画像が得られており、インフルエンザウイルスと細胞の位置確認が可能で感染と食細胞作用の区別ができた。このようにして、インフルエンザの特効薬開発に貢献できる。
4.うつ病
うつ病は神経細胞からの神経間伝達物質の分泌が不調になることが原因である。神経間伝達物質の分泌は、細胞膜内側の電位がCa(2+)イオン(+2価のカルシウムイオン)が流入することで+側に変化することで細胞内にある小胞が細胞膜と融合することにより生じている。従って、細胞(試料20)を試料保持膜32に培養させ、マニピュレータ26の先端部を細胞に近接させ、該マニピュレータを用いて細胞に電気刺激を加えながらSEMで観察した。これにより、細胞内小胞の挙動を解明できる。また、膜蛋白質に作用する薬品を散布し、その変化等も観察することで製薬開発に貢献できる。このような神経間伝達物質の分泌や、それ以外にも伝達物質放出の異常は、様々な病気に関連し、医学や製薬開発に貴重な情報となる。
上記実施例において、通常用いられる金マーカーは10〜30nmの粒径である。しかし、抗体と金マーカーとの吸着力が弱く、10〜30nmの金マーカーを付けられないこともある。その場合には、まず粒径数nmと非常に小さな金(ナノゴールド)を抗体に付ける。このままでは金が小さすぎ、SEMでの観察は困難であるが、銀増感を利用して該金の周りに銀を吸着させることで、SEMで検出し易くする方法を用いても良い。
さらに、上記画像形成装置22により形成された画像データに基づいて、コンピュータ25が画像処理し、形状等の特徴の抽出を行い、当該画像処理によって明らかになった特徴(形状)と、予め用意された薬が有効であった場合の細胞形状のデーターベースと比較することによって、病気に効果のある薬を選別する検査システムを構成することができる。
試料保持膜32の耐性が十分である場合には、開閉バルブ14を省略した図4のような検査装置を用いることもできる。装置の構造が簡単になり、装置の価格を下げることができる。また、試料と鏡体1の距離(ワーキングディスタンス)を縮めることができ、分解能の向上や、反射電子の検出効率の向上につながり、より高画質な像の撮影が可能になった。
図5のように真空室11において、開閉バルブ14と試料保持体載置部12との間に、蛇腹構造を備える移動駆動手段17を設けた。これにより、試料保持体18及びこれに備えられた試料保持膜32が、光学顕微鏡27および鏡筒1とは独立に垂直方向及び水平方向に移動可能となった。したがって、電子線7の照射が可能な領域と試料20の観察領域の位置が大きくずれた場合であっても、試料保持体18を移動させることによって該観察領域に該照射領域を重ねることが可能になった。
さらに、光学顕微鏡27の光軸と鏡筒1の光軸とを50μm以下の範囲内で一致させる、もしくは、光学顕微鏡27の視野中心(光学像の中心)とSEM像の視野中心(電子線7の照射領域の中心)とを50μm以下の範囲内で一致させておけば、試料保持体18を移動して光学顕微鏡27で観察対象を確認することで、同時にSEM像もその観察対象を捉えることになり便利である。
観察すべき細胞の大きさは約数十μmであるので、光軸もしくは視野中心のずれは50μm以内であると便利である。この構成を用いない場合、実施例1で述べたように、光学顕微鏡27の視野座標やマニピュレータ26の位置情報を、制御部28を介して電子線制御部24に入力し、該位置を含む領域のみに電子線7を走査させればよい。
また、この移動駆動手段17を用いた試料保持体18の回転若しくは傾斜を行って検査を行うことにより、検査対象物の三次元構造も確認できる。なお、これらの場合、試料20から発生する二次電子や反射電子を、二つ以上の検出器で検出するとさらに明確な三次元構造の確認をすることができる。
次に、本発明における第4実施例として、試料保持膜32の破壊発生確率を低減させる為に、図6に示すごとく、試料保持体載置部12上に圧力調整室50と、当該圧力調整室50に接続される真空排気可能な圧力調整手段51を設けた。この圧力調整室50は、着脱可能になっている。これにより、試料保持体18は圧力調整室50内に位置し、試料保持膜32の第1の面32aに接する雰囲気の圧力は減圧可能に調整される。また、この圧力調整室は、電子線照射に伴い発生する放射線の防護、および外部からの光の遮蔽にも用いられる。
このような構成の装置を用いた検査においては、まず、開閉バルブ14は、閉じた状態になっており、この開閉バルブ14と試料保持膜32との間において密閉された空間部19aは、常圧である大気圧雰囲気となっている。このとき、圧力調整室50は、試料保持体載置部12上から外された状態となっている。
また、真空室11内において、開閉バルブ14の下側に位置する空間は所定の真空状態(減圧状態)となっている。さらに、当該空間に連通する鏡筒1内は、真空排気手段8により排気されて減圧され、所定の真空状態となっている。
この状態で、試料保持体18の試料保持膜32の上面32aに試料20を培養(吸着)して載置した後、圧力調整室50を試料保持体載置部12上に配置する。これにより、試料保持体18の試料保持膜32上に載置された試料20は、圧力調整室50の内部に位置することとなる。
次に、上記空間部19aを排気手段9により真空に引くと同時に、圧力調整室50内を圧力調整手段51により減圧する。圧力調整室50内の雰囲気の気圧を、例えば1/2気圧程度(約50kPa)にすることで、当該空間部5aと当該雰囲気との間の圧力差が低くなる。それにより、当該圧力差に起因する試料保持膜32に加わる外力を減らし、試料保持膜32の破損頻度を低減できる。この圧力調整室の圧力は水蒸気圧以上にすることによって試料20に含まれる水分の蒸発を防ぐことができる。水蒸気圧を低下させる為に、必要に応じて試料20を冷却しても良い。
以上、上述した各実施例1〜4において、細胞を生きた状態でSEM観察でき、さらに該細胞に刺激を与えることにより生ずる反応を検査することができた。なお、上記実施例では二次的信号として反射電子を用いたが、それ以外でも試料20への電子線7の照射により生ずる二次電子、X線、もしくはカソードルミネッセンス光、及び試料20への吸収電流を検出することにより、試料20の情報を得ることが可能である。なお、吸収電流の測定はマニピュレータ26を用いると便利である。
本実施例では試料保持膜32として窒化シリコンを用いたが、この膜は少なくとも一気圧の圧力差に耐えると便利であり、気体や液体の流入出がないことを特徴とする。具体な物質として、ポリマー、ポリエチレン、ポリイミド、ポリプロピレン、カーボン、酸化シリコン、窒化シリコン、又は窒化ボロンのうちの少なくとも一つを含み、該膜の厚さが10〜1000nmであることを特徴とする。さらに、この試料保持膜32にアルミニウム等の軽元素金属を例えば40nm蒸着させることによって遮光性を持たせ、反射電子検出器4に外部から光の照射を防止し、光学顕微鏡とSEMとを同時に観察可能にさせることができた。
また、上記各実施例においては、一次線として電子線を用いたが、試料保持膜32が他の荷電粒子線(ヘリウムイオンビーム等)の照射に対する耐衝撃性及び強度が十分に高ければ、当該他の荷電粒子線を用いた場合でも適用可能である。本発明では倒立型SEMを用いたが、通常の正立型でも問題は無い。
このように本発明の試料検査装置は、膜32を介して試料20に一次線7を照射する一次線照射手段1と、一次線7の照射に応じて試料20から発生する二次的信号を検出する信号検出手段4とを備える試料検査装置において、試料20に接近又は接触可能な先端部を具備するマニピュレータ26と、試料20の光学像を取得する光学像取得手段27と、一次線照射手段1、信号検出手段4、マニピュレータ26及び光学像取得手段27の各動作を制御する制御手段28とを有することを特徴としている。
また、本発明の試料検査装置は、第1の面に試料が保持される膜32と、膜32の第2の面に接する雰囲気を減圧する真空室11と、真空室11に接続され、膜32を介して試料20に一次線7を照射する一次線照射手段1と、一次線7の照射に応じて試料20から発生する二次的信号を検出する信号検出手段4とを備える試料検査装置において、試料20に接近又は接触可能な先端部を具備するマニピュレータ26と、試料20の光学像を取得する光学像取得手段27と、一次線照射手段1、信号検出手段4、マニピュレータ26及び光学像取得手段27の各動作を制御する制御手段28とを有することをも特徴としている。
このとき、膜32の第1の面が膜32の上面となっており、膜32の第2の面が膜32の下面となっている。しかし、一次線照射手段1が倒立型となっていない場合には、当該第1の面を膜32の下面とし、当該第2の面を膜32の上面としてもよい。
また、真空室11内において、膜32と一次線照射手段1との間の空間を仕切る開閉バルブ14をさらに有しており、一次線照射手段1と光学像取得手段27とが、膜32を間に介して対向配置されている
さらに、制御手段28が、マニピュレータ26の先端部の位置情報に基づいて一次線照射手段1からの一次線7の照射領域を決定し、これによりマニピュレータ26の先端部近傍に位置する試料20の部分に一次線7を照射することができる。
そして、制御手段28が、光学像取得手段27により取得された光学像を基にマニピュレータ26の先端部の位置情報を求めるとともに、該位置情報に基づいて一次線照射手段1からの一次線7の照射領域を決定し、これによりマニピュレータ26の先端部近傍に位置する試料20の部分に一次線7を照射することができる。
また、制御手段28が、光学像取得手段27の視野に基づいて一次線照射手段1からの一次線7の照射領域を決定し、これにより該視野に対応した領域に一次線7を照射することもできる。
このとき、一次線照射手段1の光軸と光学像取得手段27の光軸とが50μm以下の範囲内で一致し、若しくは一次線照射手段1による一次線7の照射領域の中心と光学像取得手段27により得られる光学像の中心とが50μm以下の範囲内で一致するようにするとよい。
そして、膜32を移動するための移動駆動機構(膜移動手段)17をさらに設けることができ、また、マニピュレータ26により、試料20に対する接触動作又は吸引動作、試料20への液体の供給又は排出、若しくは試料20への電気供給のうちの少なくとも一つを行うことができる。
ここで、膜32は、ポリマー、ポリエチレン、ポリイミド、ポリプロピレン、カーボン、酸化シリコン、窒化シリコン、若しくは窒化ボロンのうちの少なくとも一つを含み、その膜厚が10〜1000nmの範囲に設定されている。
また、一次線7は電子線以外にもイオンビーム等の他の荷電粒子線とすることができ、二次的信号は、反射電子、二次電子、吸収電流、カソードルミネッセンス光、若しくはX線のうちの少なくとも一つとすることができる。
さらに、一次線7の照射領域は、200μm四方(200μm×200μm)以下とすることができ、また、マニピュレータ26を介して試料20の吸収電流を検出することができる。
ここで、試料20には生体を構成する要素である抗原が含まれており、該抗原には、金属若しくは蛍光物質が標識された抗体が結合されているようにすることもできる。
本発明の試料検査方法は、上記試料検査装置を用いて試料の検査を行うことを特徴としている。
さらに本発明の試料検査方法は、一次線照射手段1から膜32を介して試料20に一次線7を照射して、これに基づく試料20の情報(第1の情報)を取得し、試料20に物理的又は電気的若しくは化学的作用を加え、該作用が加えられた後の試料20に膜32を介して一次線7を照射し、これに基づく試料20の情報(第2の情報)を取得し、これら第1の情報及び第2の情報の対比を行うことをも特徴としている。
このとき、マニピュレータ26を用いて試料20に物理的又は電気的若しくは化学的作用を加えることができ、試料20に物理的又は電気的若しくは化学的作用を加えるときには、膜32と一次線照射手段1との間の空間を開閉バルブ14により仕切ることができる。
本発明の試料検査システムは、上記試料検査装置を備え、該試料検査装置により検出された試料20からの二次的信号に基づく情報から、試料20についての判定を行うコンピュータ(情報処理手段)25を有している。
さらに、本発明の試料検査方法では、上記試料検査装置を用いて試料20からの二次的信号を検出し、該二次的信号に基づく試料20の情報から試料20についての判定を行うことができる。
ここで、上記試料検査システム及び試料検査方法において、マニピュレータ26を用いて試料20に物理的又は電気的若しくは化学的作用を加え、該作用が加えられた後の試料20の情報を基に、試料20についての判定を行うことができる。
また、マニピュレータ26を用いて試料20に物理的又は電気的若しくは化学的作用を加える前後における試料20の各情報の対比を基に、試料20についての判定を行うことができる。
このとき、試料20に生物の一部が含まれている場合に、マニピュレータ26により化学物質を試料20に供給し、該化学物質が供給された後の試料20の情報を基に、該化学物質の該生物への有効性を判定することができる。
また、試料20に生物の一部が含まれている場合に、該生物の病気についての判定を行うことができる。
ここで、上記において、試料20の情報は、試料20の画像データとしている。
本発明においては、膜32を介して試料20に一次線7を照射し、一次線7の照射に応じて試料20から発生する二次的信号を検出できるとともに、マニピュレータ26による試料20へのマニピュレーション動作並びに試料の光学像の取得をすることができる。
このとき、試料20を常圧雰囲気に配置することにより、試料20を取り囲む液体を蒸発させること無くSEM観察ができ、かつ、マニピュレータ26を用いて試料20への刺激を行い、その反応(刺激の印加前後での反応を含む)も観察することが可能になる。
また、マニピュレータ26の位置情報を用いて、マニピュレータ26により試料20に刺激を与えた周囲に一次線7の照射範囲を限定することで、膜32や試料20への一次線7の照射量も最小にすることができ、膜32や試料20への一次線7によるダメージを低減できる。
さらに、膜32と一次線照射手段1との間の空間を仕切るための開閉バルブ14を設けることにより、マニピュレータ26により膜32が破壊された場合でも装置内汚染を防止することができる。
本発明における試料検査装置の第1実施例を示す概略構成図である。 本発明における試料検査装置の第1実施例を示す概略構成図である。 本発明における試料保持体の作成方法を示す図である。 本発明における試料検査装置の第2実施例を示す概略構成図である。 本発明における試料検査装置の第3実施例を示す概略構成図である。 本発明における試料検査装置の第4実施例を示す概略構成図である。
符号の説明
1…鏡筒(一次線照射手段)、2…電子銃、3…集束レンズ、4…反射電子検出器、7…電子線(一次線)、8…排気手段、9…排気手段、10…架台、11…真空室、12…試料保持体載置部、13…除震装置、14…開閉バルブ、15…排出管、16…開閉弁、17…移動駆動機構、18…試料保持体、19…空間、19a…空間部、20…試料、22…画像形成装置、23…表示装置、24…電子線制御部、25…コンピュータ、26…マニピュレータ、27…光学顕微鏡、28…制御部(制御手段)、29…電子線装置部、32…試料保持膜、32a…第1の面、32b…第2の面、33…シリコン層、33a…中央部、34…本体部、35…格子、36…窒化シリコン膜、50…圧力調整室、51…圧力調整手段

Claims (34)

  1. 膜を介して試料に一次線を照射する一次線照射手段と、該一次線の照射に応じて該試料から発生する二次的信号を検出する信号検出手段とを備える試料検査装置において、該試料に接近又は接触可能な先端部を具備するマニピュレータと、該試料の光学像を取得する光学像取得手段と、該一次線照射手段、該信号検出手段、該マニピュレータ及び該光学像取得手段の各動作を制御する制御手段とを有することを特徴とする試料検査装置。
  2. 第1の面に試料が保持される膜と、該膜の第2の面に接する雰囲気を減圧する真空室と、該真空室に接続され、該膜を介して該試料に一次線を照射する一次線照射手段と、該一次線の照射に応じて該試料から発生する二次的信号を検出する信号検出手段とを備える試料検査装置において、該試料に接近又は接触可能な先端部を具備するマニピュレータと、該試料の光学像を取得する光学像取得手段と、該一次線照射手段、該信号検出手段、該マニピュレータ及び該光学像取得手段の各動作を制御する制御手段とを有することを特徴とする試料検査装置。
  3. 前記膜の第1の面が該膜の上面となっており、前記膜の第2の面が該膜の下面となっていることを特徴とする請求項2記載の試料検査装置。
  4. 前記真空室内において、前記膜と前記一次線照射手段との間の空間を仕切る開閉バルブをさらに有することを特徴とする請求項2又は3記載の試料検査装置。
  5. 前記一次線照射手段と前記光学像取得手段とが、前記膜を間に介して対向配置されていることを特徴とする請求項1乃至4何れか記載の試料検査装置。
  6. 前記制御手段が、前記マニピュレータの先端部の位置情報に基づいて前記一次線照射手段からの一次線の照射領域を決定し、これにより該マニピュレータの先端部近傍に位置する該試料の部分に該一次線が照射されることを特徴とする請求項1乃至5何れか記載の試料検査装置。
  7. 前記制御手段が、前記光学像取得手段により取得された光学像を基に前記マニピュレータの先端部の位置情報を求めるとともに、該位置情報に基づいて前記一次線照射手段からの一次線の照射領域を決定し、これにより該マニピュレータの先端部近傍に位置する該試料の部分に該一次線が照射されることを特徴とする請求項1乃至5何れか記載の試料検査装置。
  8. 前記制御手段が、前記光学像取得手段の視野に基づいて前記一次線照射手段からの一次線の照射領域を決定し、これにより該視野に対応した領域に該一次線が照射されることを特徴とする請求項1乃至5何れか記載の試料検査装置。
  9. 前記一次線照射手段の光軸と前記光学像取得手段の光軸とが50μm以下の範囲内で一致している、若しくは該一次線照射手段による一次線の照射領域の中心と該光学像取得手段により得られる光学像の中心とが50μm以下の範囲内で一致していることを特徴とする請求項1乃至8何れか記載の試料検査装置。
  10. 前記膜を移動するための膜移動手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至9何れか記載の試料検査装置。
  11. 前記マニピュレータにより、前記試料に対する接触動作又は吸引動作、前記試料への液体の供給又は排出、若しくは前記試料への電気供給のうちの少なくとも一つを行うことを特徴とする請求項1乃至10何れか記載の試料検査装置。
  12. 前記膜は、ポリマー、ポリエチレン、ポリイミド、ポリプロピレン、カーボン、酸化シリコン、窒化シリコン、若しくは窒化ボロンのうちの少なくとも一つを含み、その膜厚が10〜1000nmの範囲にあることを特徴とする請求項1乃至11何れか記載の試料検査装置。
  13. 前記一次線は電子線又はイオンビームであり、前記二次的信号は、反射電子、二次電子、吸収電流、カソードルミネッセンス光、若しくはX線のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1乃至12何れか記載の試料検査装置。
  14. 前記一次線の照射領域は、200μm四方(200μm×200μm)以下であることを特徴とする請求項1乃至12何れか記載の試料検査装置。
  15. 前記マニピュレータを介して前記試料の吸収電流を検出することを特徴とする請求項13又は14記載の試料検査装置。
  16. 前記試料には生体を構成する要素である抗原が含まれており、該抗原には、金属若しくは蛍光物質が標識された抗体が結合されていることを特徴とする請求項1乃至15何れか記載の試料検査装置。
  17. 請求項1乃至16何れか記載の試料検査装置を用いて試料の検査を行うことを特徴とする試料検査方法。
  18. 一次線照射手段から膜を介して試料に一次線を照射して、これに基づく該試料の情報(第1の情報)を取得し、該試料に物理的又は電気的若しくは化学的作用を加え、該作用が加えられた後の該試料に該膜を介して該一次線を照射し、これに基づく該試料の情報(第2の情報)を取得し、これら第1の情報及び第2の情報の対比を行うことを特徴とする試料検査方法。
  19. マニピュレータを用いて前記試料に物理的又は電気的若しくは化学的作用を加えることを特徴とする請求項18記載の試料検査方法。
  20. 前記試料に物理的又は電気的若しくは化学的作用を加えるときには、該膜と該一次線照射手段との間の空間を開閉バルブにより仕切ることを特徴とする請求項18又は19記載の試料検査方法。
  21. 前記一次線は電子線又はイオンビームであり、前記二次的信号は、反射電子、二次電子、吸収電流、カソードルミネッセンス光、若しくはX線のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項17乃至20何れか記載の試料検査方法。
  22. 前記試料には生体を構成する要素である抗原が含まれており、該抗原には、金属若しくは蛍光物質が標識された抗体が結合されていることを特徴とする請求項17乃至21何れか記載の試料検査方法。
  23. 請求項1乃至16何れか記載の試料検査装置を備え、該試料検査装置により検出された前記試料からの二次的信号に基づく情報から、該試料についての判定を行う情報処理手段を有することを特徴とする試料検査システム。
  24. 前記マニピュレータを用いて前記試料に物理的又は電気的若しくは化学的作用を加え、該作用が加えられた後の該試料の情報を基に、該試料についての判定を行うことを特徴とする請求項23記載の試料検査システム。
  25. 前記マニピュレータを用いて前記試料に物理的又は電気的若しくは化学的作用を加える前後における該試料の各情報の対比を基に、該試料についての判定を行うことを特徴とする請求項23記載の試料検査システム。
  26. 前記試料には生物の一部が含まれており、前記マニピュレータにより化学物質を該試料に供給し、該化学物質が供給された後の該試料の情報を基に、該化学物質の該生物への有効性を判定することを特徴とする請求項23乃至25何れか記載の試料検査システム。
  27. 前記試料には生物の一部が含まれており、該生物の病気についての判定を行うことを特徴とする請求項23乃至25何れか記載の試料検査システム。
  28. 前記試料の情報は、該試料の画像データであることを特徴とする請求項23乃至27何れか記載の試料検査システム。
  29. 請求項1乃至16何れか記載の試料検査装置を用いて前記試料からの二次的信号を検出し、該二次的信号に基づく試料の情報から該試料についての判定を行うことを特徴とする試料検査方法。
  30. 前記マニピュレータを用いて前記試料に物理的又は電気的若しくは化学的作用を加え、該作用が加えられた後の該試料の情報を基に、該試料についての判定を行うことを特徴とする請求項29記載の試料検査方法。
  31. 前記マニピュレータを用いて前記試料に物理的又は電気的若しくは化学的作用を加える前後における該試料の各情報の対比を基に、該試料についての判定を行うことを特徴とする請求項29記載の試料検査方法。
  32. 前記試料には生物の一部が含まれており、前記マニピュレータにより化学物質を該試料に供給し、該化学物質が供給された後の該試料の情報を基に、該化学物質の該生物への有効性を判定することを特徴とする請求項29乃至31何れか記載の試料検査方法。
  33. 前記試料には生物の一部が含まれており、該生物の病気についての判定を行うことを特徴とする請求項29乃至31何れか記載の試料検査方法。
  34. 前記試料の情報は、該試料の画像データであることを特徴とする請求項29乃至33何れか記載の試料検査方法。
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