JP5314317B2 - 検査方法及び試液 - Google Patents

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Description

本発明は、培養された細胞等を含む液体の試料の観察又は検査を効率良く行うことのできる検査方法及びそれに用いられる試液に関する。
我々生物は多細胞動物であり、細胞間の情報伝達が正常に行えなくなる事や、ウイルスや化学物質が細胞に取り付く事によって病気が発症する。このようなことから、分子生物学や、製薬分野では、生体から剥離した細胞をシャーレ上で培養し、その細胞に刺激(電気、化学物質、薬等)を与え、その反応を細胞レベルで観察することで研究を行っている。
従来、このような観察には光学顕微鏡が、細胞の刺激にはマニピュレータやピペットが用いられていたが、観察すべき重要な箇所は光学顕微鏡では観察不可能な0.1μm以下の微小領域であることも多い。例えば、細胞間の物質のやり取りが正常に行えなくなることに起因する病気に高血圧症、尿崩症、不整脈、筋肉疾患、糖尿病、うつ病等がある。この細胞間の物質のやり取りは細胞膜にある10nm程度の大きさのイオンチャンネルにより行われる。このようなイオンチャンネルは、光学顕微鏡では観察困難である為、分解能の高い走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」(Scanning Electron Microscope)という)を用いた観察が望まれていた。
しかし、SEMの構成を備える検査装置において、検査対象となる試料は、通常、真空引きにより減圧された試料室内に配置される。そして、このように減圧雰囲気とされた試料室内に配置された試料に電子線(荷電粒子線)が照射され、当該照射により試料から発生する二次電子や反射電子(後方散乱電子)等の二次的信号が検出される。このようなSEMによる試料検査では、試料が減圧雰囲気に晒されることとなる。よって、試料から水分が蒸発して細胞が死んでしまい、生きた状態の細胞における刺激に対する反応を観察することは不可能であった。
従って、試料に水分が含まれた状態で検査を行う際には、試料から水分が蒸発しないように、試料を減圧雰囲気に晒されることがないようにする必要がある。このように試料が減圧雰囲気に晒されることなくSEMを用いて検査を行う例の一つとして、膜により開口(アパーチャ)が密封された試料容器(サンプルカプセル、もしくは密封型サンプルカプセル)の内部に試料を配置し、減圧雰囲気とされたSEMの試料室内に、このサンプルカプセルを設置する手法が考えられている。
ここで、試料が配置されるサンプルカプセルの内部は減圧されない。そして、サンプルカプセルに形成された当該開口を覆う膜は、SEMの試料室内の減圧雰囲気とサンプルカプセル内の減圧されていない雰囲気(例えば、大気圧雰囲気)との間の圧力差に耐えられるとともに、電子線が透過するものとなっている(特許文献1参照)。
試料検査を行う際には、まずサンプルカプセル内に細胞と共に培地を入れ、該膜上で細胞を培養させる。その後、減圧雰囲気とされたSEMの試料室内にサンプルカプセルを配置し、サンプルカプセルの当該膜を介して、サンプルカプセルの外部からサンプルカプセル内の試料に電子線を照射する。電子線が照射された試料からは反射電子が発生し、この反射電子はサンプルカプセルの当該膜を通過して、SEMの試料室内に設けられた反射電子検出器によって検出される。これにより、SEMによる像(SEM画像)が取得されることとなる。
しかしながら、この発明では試料は閉じた空間内に封入させるので、マニピュレータやピペットを用いて細胞に刺激を与えることは不可能であった。さらに、サンプルカプセル内に入れられる培地の量は15μl程度なので培地の蒸発にともなう塩濃度上昇により、細胞培養は困難であり、その細胞を生きた状態で観察・検査をする場合には問題があった。
この問題は、サンプルカプセルを大きくし、中に入れられる容量を増加させることで解決可能である。しかし、膜が電子線や機械的な刺激に対し破壊された場合、装置内が大量の培地で汚染されるという新たな問題が発生する。
なお、このように真空と大気圧との圧力差に耐えられる膜を介して試料に電子線を照射し、試料から発生する反射電子を検出してSEM画像を取得する例は、非特許文献1(当該文献のChapter1 Introduction)にも記載されている。
また、このような膜を対向して設置して一対の膜を構成し、該一対の膜の間に試料を配置して透過型電子顕微鏡による像を取得する例は、特許文献2及び特許文献3に記載されている。特に、特許文献2には、このような一対の膜を利用して、その間に配置された試料のSEM画像を取得する場合についても述べられている。
さらに、特許文献4には、膜に保持された試料の試料交換を迅速に行うこと及び真空室内の汚染を防止すること等を目的として、真空室内において、膜と一次線照射手段との間の空間を仕切るための開閉バルブを備える試料検査装置が示されている。
特表2004−515049号公報 特開昭47−24961号公報 特開平6−318445号公報 特開2007−292702号公報 「Atmospheric scanning electron microscopy」 Green, Evan Drake Harriman, Ph.D., Stanford University, 1993
細胞の微小領域を観察するためには光学顕微鏡では分解能不足で、SEMを用いた観察が必要である。液体を保持したまま細胞をSEMで観察する為には、シャーレ上で培養していた試料(細胞)をサンプルカプセルに封入し、サンプルカプセルに備えられた膜を介して電子線を試料に照射することで像を得ていた。
しかし、サンプルカプセルは狭く閉じた空間である為、外部からマニピュレータやピペット等を用いて刺激を与えた直後の様子を観察することが不可能であるという課題があった。さらに、サンプルカプセル内では、カプセル内の容量が少ないことから、水分の蒸発に伴う塩濃度上昇により細胞の長時間培養が困難で、細胞の長時間観察には問題があった。
なお、特許文献4においては、試料交換を行う際に、上記開閉バルブにより、膜と一次線照射手段との間の空間を仕切り、この状態で該膜側の空間部のみを常圧復帰させる点の記載がある。そして、試料の検査中に該膜が破損したときには、該開閉バルブを閉じることにより、真空室内の空間を仕切り、真空室内の汚染を防止する点の記載がある。
しかしながら、特許文献4における開閉バルブでは、当該真空室内部の空間を仕切ることとなるので、一次線照射手段が位置する側の空間部の汚染を防止することは可能であるが、該膜側の空間部の汚染を防止することは困難であった。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、液体の試料を保持している膜の損傷が発生した場合において、該膜と一次線照射手段との間に位置する真空室内全体の液体試料による汚染を極力小さくすることにより、検査装置のメンテナンスを容易にし、これにより液体の試料の観察又は検査を効率良く行うことのできる検査方法を提供することを目的とする。
本発明に基づく検査方法は、枠状部材の開口を覆う膜の第一の面に、検査対象物と該検査対象物を包含する試液とを含む試料を保持し、該膜の第二の面から該膜を介して該試料に一次線を照射し、該一次線の照射により該試料から発生する二次的信号を検出する検査方法であって、該試液には、該開口の少なくとも一部を塞ぐことのできる大きさを備える閉塞物質が混入されていることを特徴とする。
また、本発明に基づく他の検査方法は、枠状部材の開口を覆う膜の第一の面に、検査対象物と該検査対象物を包含する試液とを含む試料を保持する工程と、該開口の少なくとも一部を塞ぐことのできる大きさを備える閉塞物質を該試液に混入させる工程と、該膜の第二の面から該膜を介して該試料に一次線を照射する工程と、該一次線の照射により該試料から発生する二次的信号を検出する工程とを有することを特徴とする。
ここで、枠状部材は、その開口内部に格子構造を有してもよく、その場合、試液に該格子構造の格子内部の少なくとも一部を塞ぐ大きさの閉塞物質を混入させると良い。また、該閉塞部材は、該格子構造の格子内部を通過しない大きさとすることもできる。
一次線は、電子線若しくはイオン線であり、二次的信号は、反射電子、二次電子、X線、若しくはカソードルミネッセンス光、又は吸収電流とすることができる。
閉塞物質は、ポリテトラフルオルエチレン、ラテックス、アルミナ、ポリスチレン、ポリメチルメタルクリレート、シリカ、又はガラスを用いると良い。閉塞物質の密度は、試液の液体成分密度の0.9倍〜1.1倍の間であるとさらに良い。閉塞物質の試液中における濃度が、0.001個/μl〜1個/μlであると適切に効果を発揮する。
ここで、試液は、水、リン酸緩衝液、液体培地のうちの少なくとも何れか一つを含むようにすることができる。
本発明に基づく検査方法においては、試料を保持するための膜により覆われた枠状部材の開口の少なくとも一部を塞ぐことのできる大きさを有する閉塞物質が、試料を構成する試液に混入されている。
本発明においては、このような構成により、検査対象物と試液とを含む液体試料の検査において、試料を保持している膜の損傷が発生しても、当該損傷による膜の穴の部分に閉塞物質が吸い込まれて移動し、この閉塞物質により当該穴を塞ぐことが可能となる。
これにより、当該膜の損傷が生じても、検査装置への当該試料の侵入量を大幅に低減させることができる。よって、従来では、膜が損傷する度に装置内部(真空室内部)の洗浄が必要であったが、本発明を採用することにより、膜の損傷が十数回生じても、装置の洗浄は不要となる。
従って、検査装置のメンテナンスを軽減して容易にし、液体試料の観察又は検査を効率的に行うことが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明における検査方法及びそれに用いられる試液について説明する。
図1は、本発明において使用される試料検査装置の一実施例を示す概略構成図である。構成の主部分は、光学顕微鏡27、マニピュレータ26、及び電子線装置部29(試料保持体40より下の部分)である。この図において、一次線照射手段である鏡筒1には、電子銃(電子源)2が配置されている。電子銃2から加速された状態で放出された一次線としての電子線(荷電粒子線)7は、集束レンズ(対物レンズ)3により集束される。
これにより集束された電子線7は、試料保持体40に形成された試料保持膜32(後述)を介して、試料保持体40に保持された液状試料(液体試料)20に照射される。本実施例では、この液状試料20には、検査対象物となる細胞と、該細胞を包含する試液としての培地とが含まれている。
鏡筒1の先端側は真空室11に接続されている。また、電子銃2が設けられた鏡筒1の基端側は真空室11の下方に位置している。この構成により、電子銃2から放出された電子線7は、鏡筒1内を上方向に進み、真空室11内の空間及び試料保持膜32を通過し、液状試料20に到達する。
当該照射時において、電子線7は図示しない偏向手段により偏向され、これにより電子線7は液状試料20を走査する。このときには、液状試料20に含まれる検査対象物である細胞も電子線7により走査される。
このように、この鏡筒1は、一次線照射手段を構成し、本実施例では倒立型鏡筒となっている。真空室11内であって鏡筒1の先端側には、反射電子検出器4が設けられている。反射電子検出器4は、電子線7が液状試料20内の検査対象物に照射された際に発生する反射電子を検出するものである。反射電子検出器4は、例えばPN接合を利用した半導体型検出器やYAG結晶を用いたシンチレータ型検出器が用いられる。反射電子検出器4により検出された検出信号は、真空室11の外部に配置された画像形成装置22に送られる。
画像形成装置22は、当該検出信号に基づいて、画像データを形成する。この画像データは、SEM画像に対応する画像データとなる。当該画像データは、表示装置23に送られる。表示装置23は、送られた画像データに基づく画像を表示する。表示された画像は、SEM画像となる。また、画像形成装置22により形成された画像データは、必要に応じてコンピュータ25に送られる。コンピュータ25は、画像処理を当該画像データに対して施すとともに、当該画像処理の結果に基づく判定を実行する。
鏡筒1内は排気手段8により真空引きされて、所定の圧力まで減圧される。また、真空室11内は、図示しない排気手段により真空引きされ、これにより所定の圧力まで減圧される。ここで、真空室11は、除振装置13を介して、架台10に載置されている。
真空室11の上部には、試料保持体載置部12が設けられている。試料保持体載置部12には、電子線7を試料保持膜32に照射させるための孔が形成されている。この試料保持体載置部12には、Oリング(図示せず)を介して、試料保持体40が載置されている。これにより、試料保持体40は真空室11に着脱自在に支持される。
また、真空室11の上側部分には、開閉バルブ14が設置されている。この開閉バルブ14は、真空室11内において、試料保持体40と鏡筒(一次線照射手段)1の先端部との間の空間19を仕切るためのものである。
図1は、開閉バルブ14が開かれた状態である。開閉バルブ14を閉じると、図2のように真空室11内の当該空間19が仕切られることとなる。このように開閉バルブ14により仕切られた当該空間19が仕切られることにより、開閉バルブ14と試料保持膜32との間において密閉された空間部19aが形成される。この空間部19aは、開閉バルブ14を境として試料保持体40側に位置する空間となる。
当該空間部19aに連通して排気手段(減圧手段)9が設けられている。この排気手段9は、当該空間部19aを個別に排気できる。また、当該空間部19aには、図示しないガス供給手段が接続されている。このガス供給手段は、窒素やエアー等のガスを当該空間部19aに供給し、この空間部19a内を減圧状態から常圧(大気圧)状態に復帰させる。これにより、当該空間部19aは、独立して減圧状態からの常圧復帰が可能となる。
さらに、当該空間部19aには、図示しない洗浄手段が接続されている。この洗浄手段は、当該空間部19a内に洗浄剤を供給し、当該空間部19aを洗浄する。これにより、当該空間部19aを構成する壁面は洗浄される。
このとき使用される洗浄剤としては、洗剤、エタノール、アルコール、アセトン、過酸化水素水の少なくとも一つからなる洗浄液、又はこれらの物質の蒸気を使用できる。当該空間部19aに供給された洗浄剤は、この空間部19aの洗浄を実施後、排出管15により該空間部19aから排出される。排出管15には、開閉弁16が設けられている。この開閉弁16が開放されることにより、洗浄剤は排出管15を介して外部に排出される。なお、後述する試料の検査を実行する際には、開閉弁16は閉じられる。
また、当該空間部19aに紫外光や放射線を照射することにより、当該空間部19aの殺菌を行うこともできる。
ここで、鏡筒1及び真空室11を備える電子線装置部29は電子線制御部24により制御される。また、試料保持体載置部12には、検査対象物に刺激(電圧、化学物質、薬等)を与え、必要に応じて検査対象物を移動させるマニピュレータ26と、検査対象物の観察やマニピュレータ26の位置を確認する光学顕微鏡27が載置されている。これらは制御部28で制御されている。
なお、光学顕微鏡27と電子線7の光軸は一致しており、もしくは、光学顕微鏡27とSEM画像の視野中心は一致しており、光学顕微鏡の観察領域がSEM画像にほぼ一致させることができる。さらに、SEM画像の視野と光学顕微鏡27の視野調整は、マニピュレータ26や、試料保持体40が搭載されている試料保持体載置部12を移動させる(移動機構は図示していない)ことによって行う。
本発明における試料検査装置は、電子線装置部29、マニピュレータ26、光学顕微鏡27、電子線制御部24、制御部28、画像形成装置22、及び表示装置23を備えており、各部とコンピュータ25が接続され、各部の情報がやり取りされることも可能である。
試料保持体40は、図3のような構成となっている。この試料保持体40は、プラスチック又はガラスからなる皿状の本体部37と、電子線7が透過する試料保持膜32が設けられた膜保持体(枠状部材)18とから構成される。本体部37の内側に位置する凹部の底面は、試料保持面37aを構成する。この試料保持面37aは、開放されている。
本体部37の試料保持面37aの一部(図3の例では中央部)には、貫通孔37bが形成されている。この孔37bの試料保持面37a側には、段差部37cが設けられている。この段差部37cに、膜保持体18が配置されている。膜保持体18は試料保持膜32を備えており、この試料保持膜32の第1の面32aは試料保持面37aを構成し、本体部37の試料保持面37aとほぼ面一となっている。これにより、試料保持体40の試料保持面37aの少なくとも一部は試料保持膜32により構成されている。
また、孔37bの試料保持面37a側の反対側には、テーパ部37dが設けられている。このテーパ部37dは、試料保持面37aの反対側の面に向けて広がるように開いているテーパ構造となっており、その開き角度は90度〜120度に設定されている。
さらに、試料保持体40の下面で真空雰囲気に晒され、電子線7が照射される可能性のある領域には、電子線7の照射に伴う帯電を防止するため導電膜301が形成されている。導電膜301は膜保持体18に接しており、電子線7の照射により蓄積された電荷を膜保持体18(シリコン製)を介して液状試料20へ逃がすことができる。この導電膜301があることにより試料保持体40の下面での帯電を低減させ、電子線7の軌道変位や、(電子線7が液状試料20に照射された際に発生する)反射電子の軌道変位により生ずるSEM画像の歪や輝度斑を防止することができる。
また、電荷の蓄積を確実に防止するためには、液状試料20へのアース線の接続や、導電膜301を試料保持体載置部12と電気的に繋げておくことが有効である。導電膜301は、例えばアルミニウムや金を蒸着することによって形成させても、銀ペーストで塗りつけてもよい。
膜保持体18の構成を図4に示す。シリコン基板34に試料保持膜32が形成されており、この試料保持膜32の第1の面32a(図4では下面、図3では上面)は露出されている。この試料保持膜32の第1の面(試料保持面)32aには、培地等の液体(試液)及び検査対象物(細胞等)を含む液状試料20が配置される。第一の面32aは大気圧下にあるので、液状試料20からの水分の蒸発を極力抑えることができる。
また、シリコン基板34の中央には開口34a(図4では上面、図1および図3では下面)が形成されており、この開口34aは、試料保持膜32により覆われている。ここで、試料保持膜32における第2の面32bの中央部は、該開口34aを介して真空室11の内部雰囲気に露出されている。また、試料保持膜32は、その第一の面32aが大気圧雰囲気に晒され、第二の面32bが真空雰囲気に晒されるので、この圧力差に絶える為格子35により支持されて補強されている。
次に、膜保持体18の作成方法を、図5を用いて説明する。まず、シリコン基板501にCVD(Chemical Vapor Deposition)を用いて窒化シリコン膜502,503を形成する(図5(a))。代表的な厚みは30nmである。この窒化シリコン膜502,503上にレジスト504,505を塗布する(図5(b))。レジスト505をフォトリソグラフィー装置を用いてパターンニングし、レジスト505aを残す(図5(c))。レジストパターンをマスクとしてドライエッチングで窒化シリコン膜503を加工し、窒化シリコン膜503aを残す(図5(d))。
このパターンをマスクとしてシリコン基板501をKOHでウエットエッチングし、開口510を作る(図5(e))。アッシングによりレジスト504,505aを除去する(図5(f))。格子35の無い場合の膜保持体18はこれで完成である。窒化シリコン膜502上にレジスト506を塗布する(図5(g))。窒化シリコン膜502とは反対側に金属507(例えばAl,Ni)を1μm成膜する(図5(h))。金属507上にレジスト508を塗布し、マスクとフォトリソグラフィー装置を用いてパターンを形成する(図5(i))。レジスト508をマスクとして金属層507をエッチングする(図5(j))。最後にレジスト508をアッシング、もしくは有機洗浄を行い除去する(図5(k))。これにより、開口34a、および格子35が形成される。
このようにして作成された膜保持体18は、図4の状態から上下反転され、試料保持膜32である窒化シリコン膜502の第1の面32aを上面とする。なお、第2の面32bを上面にすることも可能である。
この膜保持体18を、試料保持体40を構成する本体部37に形成された孔37bの上記段差部37cに固着し、これにより試料保持体40を作成する(図3)。この固着には、エポキシ系、シリコーン系の接着剤等による接着、又は熱、超音波若しくはレーザによる融着によって行うことができる。これにより、膜保持体18は、本体部37の試料保持面37aにおける孔37bに対応する位置に固着される。
また、本実施例では、本体部37と膜保持体18を組み合わせて試料保持体40を製作したが、本体部37に試料保持膜32を直接固着したり、本体部37と試料保持膜32を一体的に形成したりするようにしてもよい。さらに、試料保持膜32の第1の面32aを含む試料保持面37aに、付着用分子としての細胞接着分子(後述)を塗布することができる。
ここで、窒化シリコン膜502の厚みは、10〜1000nmの範囲に設定される。なお、膜保持体18の試料保持膜32として用いられる膜としては、窒化シリコン膜の他に、酸化シリコン、窒化ボロン、ポリマー、ポリエチレン、ポリイミド、ポリプロピレン、若しくはカーボンからなる膜を用いても良い。これらの膜を用いた場合でも、その膜厚は10〜1000nmに設定される。上述した素材からなる試料保持膜32は、電子線7が透過するが気体や液体は透過しないものとなる。さらに、膜の両面で少なくとも一気圧の圧力差に耐えられる必要がある。
なお、このような試料保持膜32は、その厚さが薄ければ電子線7の散乱が少なくなるので分解能が向上するが破損しやすくなり、また、その厚さが厚くなれば電子線7の散乱が増加して分解能が低下するが破損しにくくなる。好適な膜厚としては20〜200nmとなる。
次に、本発明における検査方法について図1、図2、図3、及び図4を用いて説明する。まず、図3のように試料保持体40を用いて、検査対象物となる細胞38を培地(試液)39中で培養させる。培地中には格子(格子構造)35の格子内部を通過不可能な大きさの閉塞物質(例えば、ポリスチレン球)41を入れておく。細胞38をこの図3のように培養させるには、予め細胞を培養してあるシャーレから試料保持体40へ植え接ぎを行う必要がある。それには、以下に示す通常の方法を用いる。
まず、予め細胞の培養してあるシャーレ内から培地(例えばSigma社 D5796)を捨て、Tripsin+EDTA(ethylenediaminetetraacetic acid)混合液を当該シャーレの中に入れることで、このシャーレに吸着した細胞を剥がす。次に、剥がれた細胞を遠沈管に回収して培地を加え、Tripsinの活性を止めた後に遠沈させる。その後、遠沈管内から上澄み液を捨て、培地で攪拌する。その攪拌された液(細胞38を含む)の例えば1/10を試料保持体40に入れ、培地39を継ぎ足す。この状態で、培養室に静置後、数時間で試料保持体40の試料保持面37a(試料保持膜32の表面32aを含む)に細胞38が吸着し、増殖し始める。上記方法は細胞により異なり、一例として示した。これにより、試料保持体40内において、観察・検査対象である試料となる細胞38が培養され、培養された細胞38と培地39を含有する液状試料20が構成されることとなる。
なお、細胞によっては試料保持体40の試料保持面37a、特に電子線による観察領域である試料保持膜32の第一の面(試料保持面)32aに細胞接着分子(付着用分子)を塗布しておくと培養が容易になる。細胞接着分子とは、培養のために配置された細胞及び培養により増殖した細胞を試料保持面に吸着させる作用を有し、例えば、コラーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、カドヘリン、インテグリン、クローディン、デスモグレイン、ニューロリギン、ニューレキシン、セレクチン、ラミニン、及びポリLリジンである。
上述のように試料保持体40内で細胞が培養された後、試料保持体載置部12に当該試料保持体40を載置する。このとき、開閉バルブ14は閉じられており、図2の状態になっている。この開閉バルブ14と試料保持膜32との間において密閉された空間部19aは、常圧である大気圧雰囲気となっている。また、真空室11内において、開閉バルブ14の下側に位置する空間は所定の真空状態(減圧状態)となっている。
さらに、当該空間に連通する鏡筒1内は、真空排気手段8により排気されて減圧され、所定の真空状態となっている。真空室11内の圧力(真空度)は、例えば、10−3Pa〜10−4Pa程度に設定される。鏡筒11内(特に電子銃2周囲)の圧力(真空度)は、例えば、10−4Pa〜10−5Pa程度に設定される。
この状態で、排気手段9を用いて上記空間部19aを減圧して真空にする。真空にする際、大気圧状態からの急激な圧力変化による試料保持膜32の破損を防ぐ為、図示しないニードルバルブ等を用いて1秒〜100秒の間の時間かけて、大気圧である1気圧(101325Pa)から1/2気圧〜1/10気圧程度の圧力(50kPa〜10kPa)にまで減圧する。この工程で、試料保持体40の試料保持膜32が破壊されないことの確認を行う。
上記工程により試料保持膜32の破壊がないことの確認をした後、光学顕微鏡27で細胞38とマニピュレータ26の位置を確認する。マニピュレータ先端はガラス微小管(中に微小電極を設置)が設置してあり、微小電極による細胞への電圧の印加や、ガラス微小管による液体の流出及流入が可能になっている。
この状態で、光学顕微鏡27で観察しながら細胞38とガラス微小管が近接するようにマニピュレータ26を移動させる。その後、ガラス微小管に負の圧力を掛けて細胞膜と密着させる。これにより、電位応答が測定可能となる。
以上のようなマニピュレータ26の移動の際、誤って試料保持膜32を破損させることがあっても、開閉バルブ14が閉まっているので、液状試料20の拡散による汚染は当該空間部19a内のみで済む。さらにその際、液状試料20には格子35の枠を通過できない大きさの閉塞物質41を入れてあるので、図6のように閉塞物質41aが破損箇所に吸い込まれ破損個所を塞ぐことができる。
ここで、閉塞物質41(41a)は、格子35からなる格子構造の枠内部を通過できないので、圧力差による外力が加わっても、閉塞物質41(41a)が真空室11内部に侵入することはない。
また、閉塞物質41が、破損箇所の穴を部分的に塞いだ場合でも、流入した液体が真空中で断熱膨張をすることにより、温度が低下し、液体が固化(氷)して穴を完全に塞ぐことができる。これにより培地の装置内への流入を低減することができる。
このとき、液体試料20中の閉塞物質の濃度は0.001〜1個/μlとすると細胞観察の際、閉塞物質が邪魔になることが無いし、また、空間部19a内への液体試料20流入量も少なくすることができる。前記閉塞物質は、ポリテトラフルオルエチレン、ラテックス、アルミナ、ポリスチレン、ポリメチルメタルクリレート、シリカ、又はガラスからなる粒子(パーティクル)とすることができる。該粒子の形状は、球形等とすることができる。また、該閉塞物質の密度は、液状試料の密度の0.9〜1.1倍であるとさらに良い。
閉塞物質を用いない場合は、液体試料20全てが装置内に流入するため、試料保持膜32の破壊の度に装置の洗浄が必要で、時には装置が使用不可能な状態になっていた。しかし、閉塞物質を用いる本発明では、液体流入量は少なくなり、開閉バルブ14が開いている場合や開閉バルブ14が無い場合でも、このような汚染事故が十回発生しても問題なく装置を使用し続けることができる。
このような閉塞物質を用いていても、試料保持膜20が数十回破壊された場合には、当該空間部19a内が液状試料20の拡散により汚染され、電子線装置部29の性能が劣化する場合もある。その場合、上述したように空間部19aの洗浄は可能である。洗浄する場合にも液体試料20の流入量が少ないので容易に洗浄できる。そして、洗浄で用いた洗浄剤である液体又は蒸気は、開閉弁16を開けることにより、排出管15を介して排出及び廃棄可能である。なお、当該空間部19aを構成する壁面を、窒化ボロンもしくは、フッ素樹脂でコーティング(被膜)することにより、汚染されにくくすることができる。
再び、観察の手順に戻る。当該空間部19aが減圧(真空)状態において、液状試料20が載置された試料保持膜32が破壊されないことを確認した後、開閉バルブ14を開ける。これにより、真空室11内の空間の仕切りが解除され、真空室11内の下側の空間と当該空間部19aとが連通される。その後、光が試料保持膜32を介して反射電子検出器4に入射させない為に、光学顕微鏡27の光の照射を止め、他の外光の遮蔽(図への記載は略)を行う。この遮蔽は、膜保持体18や液状試料20に電子線7が照射した際に発生する放射線の防護の役目も果たしている。
次に、図1のように鏡筒1から電子線7を液状試料20(細胞38を含む)に向けて照射して撮像を行う。電子線7は試料保持体40の試料保持膜32を透過して細胞38に照射され、当該照射に基づいて細胞38から発生する反射電子(後方散乱電子)は反射電子検出器4で検出される。
このとき、試料保持体40を構成する本体部37の孔37bには、上述したテーパ部37dが設けられているので、反射電子が孔37bの内側面に衝突して遮られることを極力防止することができ、反射電子検出器4による反射電子の検出を効率的に行うことができる。
反射電子検出器4からの検出信号は、画像形成装置22に送られる。画像形成装置22は、当該検出信号に基づいて、画像データを形成する。この画像データに基づいて、表示装置23が画像(SEM画像)を表示する。
これに引き続き、細胞38に、マニピュレータ26の先端に設置してある微小電極を用いて電気刺激を加え、先ほどと同様にSEM画像を取得し、刺激に対する細胞38の応答を確認する。
撮像後は開閉バルブ14を閉じることにより、万が一にでも試料保持膜32が破壊される場合での鏡筒1への汚染を防止する。なお、上記のように細胞38に刺激を与えた後の変化をSEMで観察する前に、光学顕微鏡27で観察する場合もある。その際も、開閉バルブ14を閉じておくと、試料保持膜32が破れた際の汚染のリスクを低減できる。いずれにせよ、電子線7を液状試料20に照射させない時は開閉バルブ14を閉じる等、検査中における開閉バルブ14の開放時間を短縮することで、装置内部の汚染確立を低減させることができる。
刺激に対する細胞38の反応速度が遅い場合、一旦開閉バルブ14を閉じ、反応した頃合を見計らって再度開放バルブ14を開放し、電子線7による撮像を行っても良い。反応の確認は光学顕微鏡27で行うことができる。
また、マニピュレータ26には、化学物質や薬物を液状試料20中に散布可能な機構を有すことができ、SEMで細胞を観察しながら化学物質や薬物に対する細胞38の挙動も観察・検査することができる。また、マニピュレータ26には、液体の流出機能を有することもでき、これにより散布した物質の回収を行うことや、培地のpHや浸透圧を一定にすることが可能になる。
上記において、像を形成する電子には反射電子を用いた。反射電子は原子番号に比例した信号強度を持つ。その為、生物試料のようにほぼ全体が低原子番号の物質で構成されている場合、像のコントラストが非常に弱く、分解能を向上させることが困難である。
そこで、細胞38の挙動で注目すべき部位に、金などの重金属を吸着させておくと良い。具体的には、該部位(抗原)に吸着する性質を持つ金粒子を標識した抗体を細胞に散布することで、抗原抗体反応を利用して、その部位(抗原)に該抗体を介して金を吸着させる。また、予め、電子線が照射されると発光する蛍光色素や量子ドット(例えばSiのナノ粒子、CdSeをZnSでコーティングした10〜20nmの粒子)を細胞38の特定部位に吸着させ発光を光学顕微鏡で観察しても良い。
上記実施例において、通常用いられる金粒子は10〜30nmの粒径である。しかし、抗体と金粒子との吸着力が弱く、10〜30nmの金粒子を付けられないこともある。その場合には、まず粒径数nmと非常に小さな金(ナノゴールド)を抗体に付ける。このままでは金が小さすぎ、SEMでの観察は困難であるが、銀増感を利用して該金の周りに銀を吸着させることで、SEMで検出し易くする方法を用いても良い。
なお、上記においては、予めシャーレにおいて培養されていた細胞を取り出して、試料保持体40に植え接ぎをして培養を行っていたが、生体から細胞を取り出して、この取り出された細胞を直接試料保持体40の試料保持面37aに配置し、試料保持体40内で当該細胞の培養をするようにしてもよい。
以上のように、本発明を用いて試料保持膜32を介して液中の検査対象物の観察・検査が可能になった。特に開放された試料室を用いているため、外部から試料へのアクセスが可能で細胞に容易に刺激を与えることができる。また培地の量を多くでき、細胞を長時間生存させることも可能である。
試料保持膜32が破れた場合には、破れた隙間から液体が装置内に流入するが、液中にその隙間を塞ぐことのできる大きさの閉塞物質41を混入してあり、閉塞物質41が隙間を少なくとも部分的に塞ぐことができる。これにより装置内への液体の流入量を低減することができた。液体流入量が少ないので、試料保持膜32の十回の破壊では装置内の洗浄が必要でなくなった。また、洗浄をする場合でも、汚染物質の付着は少なく洗浄が容易になった。このように、本発明により装置の使い勝手を向上することができた。
なお、閉塞物質としてポリスチレンを用いたが、それ以外にもポリテトラフルオルエチレン、ラテックス、アルミナ、ポリメチルメタルクリレート、シリカ、ガラスを用いても良い。それ以外でも、閉塞物質の密度が液状試料の密度の0.9〜1.1倍(特に1.0〜1.1であるとさらに良い)であると、液中で閉塞物質が浮遊、もしくは沈んでいることになり、試料保持膜が破壊された場合において、速やかに破れた隙間を塞ぐことが可能になる。閉塞物質が重過ぎる場合は閉塞物質の移動に時間を要するし、軽すぎる場合は液体がなくなるまで隙間を塞ぐことができない。その為、適切な密度が重要となる。
閉塞物質の液状試料に対する濃度は、0.001個/μl〜1個/μlであると観察の邪魔にならない。この閉塞物質を、例えば、水、培地、リン酸緩衝液に混入させた検査試薬を用意しておき、観察前にこれら検査試薬を液状試料に加えることで、上記実施例に記載した所望の効果が期待できる。
さらに、本発明では倒立型SEMを用いたが、試料によっては密封型サンプルカプセル(背景技術参照)を用いた通常の正立型SEMでも問題は無い。ただし、この場合、閉塞物質の密度は液状試料の密度の0.9〜1.0倍であるのが望ましい。
また、試料保持体18上に培養された細胞38は、格子35の隙間から観察されることとなる。細胞の大きさは、10〜数百μmであり、細胞の大きさから考えられる観察しやすい格子間隔は10〜500μmである。その為、閉塞物質もその間隔にあわせた最大長、10〜500μmを有すると効率的に試料保持膜32が破れた穴を塞ぐことができる。
なお、上記実施例においては、一次線として電子線を用いたが、試料保持膜32が他の荷電粒子(ヘリウムイオンビーム等)の照射に対する耐衝撃性及び強度が十分に高ければ、当該他の荷電粒子線を用いた場合でも適用可能である。
また、上記実施例では二次的信号として反射電子を用いたが、それ以外でも二次電子、X線、若しくはカソードルミネッセンス光、及び細胞(検査対象物)38への吸収電流を検出することにより、細胞38の情報を得ることが可能である。なお、吸収電流の測定はマニピュレータ26を用いると便利である。
本実施例での試料保持膜32は、少なくとも一気圧の圧力差に耐えることができ、気体や液体の流入出がないことが必要である。具体的な物質としては、ポリマー、ポリエチレン、ポリイミド、ポリプロピレン、カーボン、酸化シリコン、窒化シリコン、又は窒化ボロンのうちの少なくとも一つを含むものを用いることができる。
上述のごとく、本願発明における検査方法では、枠状部材18の開口34aを覆う膜32の第一の面に、細胞等の検査対象物38と該検査対象物38を包含する試液39とを含む試料20を保持し、該膜32の第二の面から該膜32を介して試料20に一次線を照射し、該一次線の照射により試料20から発生する二次的信号を検出する検査方法において、試液39には、該開口34aの少なくとも一部を塞ぐことのできる大きさを備える閉塞物質41が混入されている。
また、本発明における検査方法では、枠状部材18の開口34aを覆う膜32の第一の面に、検査対象物38と該検査対象物38を包含する試液39とを含む試料20を保持する工程と、該開口34aの少なくとも一部を塞ぐことのできる大きさを備える閉塞物質41を試液39に混入させる工程と、該膜32の第二の面から該膜32を介して試料20に一次線を照射する工程と、該一次線の照射により試料20から発生する二次的信号を検出する工程とを有している。
ここで、枠状部材18は、その開口34a内部に格子構造を備え、閉塞物質41は、該格子構造の格子内部の少なくとも一部を塞ぐようにすることもできる。このとき、閉塞物質41は、該格子構造の格子内部を通過しない大きさを備えるようにすることもできる。
そして、一次線は、電子線又はイオン線であり、二次的信号は、反射電子、二次電子、X線、カソードルミネッセンス光、吸収電流のうちの何れかとすることができる。また、膜32の第一の面を上面とし、膜32の第二の面を下面とすることができる。
さらに、本発明における試液は、枠状部材18の開口34aを覆う膜32を介して、検査対象物38に一次線を照射して行われる検査において、該検査対象物38を包含するための試液であって、該開口34aの少なくとも一部を塞ぐことのできる大きさを備える閉塞物質41が混入されている。
このとき、枠状部材18の開口34a内に格子構造が備えられている場合において、閉塞物質41が、該格子構造の格子内部を通過しない大きさを備えるようにすることもできる。
上記において、閉塞物質41の最大長を、10μm〜500μmの間とすることができる。
閉塞物質41は、ポリテトラフルオルエチレン、ラテックス、アルミナ、ポリスチレン、ポリメチルメタルクリレート、シリカ、ガラスのうちの何れかから構成することができる。
また、閉塞物質41の密度を、試液39の液体成分密度の0.9倍〜1.1倍の間とすることができる。さらに、閉塞物質41の試液39中における濃度を、0.001個/μl〜1個/μlの間とすることができる。ここで、試液39は、水、リン酸緩衝液、液体培地のうちの少なくとも何れか一つを含むようにすることができる。
本発明における試料検査装置の一実施例を示す概略構成図である。 本発明における試料検査装置の一実施例を示す概略構成図である。 本発明における試料保持体の構成を示す断面図である。 本発明における試料保持体を構成する枠状部材の概略図である。 本発明における試料保持体を構成する枠状部材の作成方法を示す図である。 本発明における試料保持体で、閉塞物質が枠状部材の破壊された穴を閉塞したことを示す概略構成図である。
符号の説明
1…鏡筒(一次線照射手段)、2…電子銃、3…集束レンズ、4…反射電子検出器(信号検出手段)、7…電子線(一次線)、8…排気手段、9…排気手段、10…架台、11…真空室、12…試料保持体載置部(載置手段)、13…除震装置、14…開閉バルブ、15…排出管、16…開閉弁、18…膜保持体(枠状部材)、19…空間、19a…空間部、20…液状試料、22…画像形成装置、23…表示装置、24…電子線制御部、25…コンピュータ、26…マニピュレータ、27…光学顕微鏡(光学像取得手段)、28…制御部、29…電子線装置部、32…試料保持膜(膜)、32a…第1の面(試料保持面)、32b…第2の面、34…シリコン基板、34a…開口、35…格子、37…本体部、37a…試料保持面、37b…孔、37c…段差部、37d…テーパ部、38…細胞(検査対象物)、39…培地(試液)、40…試料保持体、41…閉塞物質、41a…閉塞物質、301…導電膜、501…シリコン基板、502…窒化シリコン膜、503…窒化シリコン膜、503a…窒化シリコン膜、504…レジスト、505…レジスト、505a…レジスト、506…レジスト、507…金属、508…レジスト、510…開口、

Claims (10)

  1. 枠状部材の開口を覆う膜の第一の面に、検査対象物と該検査対象物を包含する試液とを含む試料を保持し、該膜の第二の面から該膜を介して該試料に一次線を照射し、該一次線の照射により該試料から発生する二次的信号を検出する検査方法であって、該試液には、該開口の少なくとも一部を塞ぐことのできる大きさを備える閉塞物質が混入されていることを特徴とする検査方法。
  2. 枠状部材の開口を覆う膜の第一の面に、検査対象物と該検査対象物を包含する試液とを含む試料を保持する工程と、該開口の少なくとも一部を塞ぐことのできる大きさを備える閉塞物質を該試液に混入させる工程と、該膜の第二の面から該膜を介して該試料に一次線を照射する工程と、該一次線の照射により該試料から発生する二次的信号を検出する工程とを有する検査方法。
  3. 前記枠状部材は、その開口内部に格子構造を備えており、前記閉塞物質は、該格子構造の格子内部の少なくとも一部を塞ぐことを特徴とする請求項1又は2記載の検査方法。
  4. 前記閉塞物質は、前記格子構造の格子内部を通過しない大きさを備えることを特徴とする請求項3記載の検査方法。
  5. 前記一次線は、電子線又はイオン線であり、前記二次的信号は、反射電子、二次電子、X線、カソードルミネッセンス光、吸収電流のうちの何れかであることを特徴とする請求項1乃至4何れか記載の検査方法。
  6. 前記膜の第一の面が上面となっており、前記膜の第二の面が下面となっていることを特徴とする請求項1乃至5何れか記載の検査方法。
  7. 前記閉塞物質は、ポリテトラフルオルエチレン、ラテックス、アルミナ、ポリスチレン、ポリメチルメタルクリレート、シリカ、ガラスのうちの何れかから成ることを特徴とする請求項1乃至6何れか記載の検査方法。
  8. 前記閉塞物質の密度が、前記試液の液体成分密度の0.9倍〜1.1倍の間にあることを特徴とする請求項1乃至7何れか記載の検査方法。
  9. 前記閉塞物質の前記試液中における濃度が、0.001個/μl〜1個/μlであることを特徴とする請求項1乃至8何れか記載の検査方法。
  10. 前記試液は、水、リン酸緩衝液、液体培地のうちの少なくとも何れか一つを含むことを特徴とする請求項1乃至9何れか記載の検査方法。
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