JP2008150523A - タイヤ用ゴム組成物およびこれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量でかつ良好な耐久性能を有する空気入りタイヤの製造を可能とするタイヤ用ゴム組成物およびこれを用いた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】空気入りタイヤのインナーライナーゴムおよび/またはインスレーションゴムとして用いられるタイヤ用ゴム組成物であって、ゴム成分の100質量部に対して、フッ素系表面処理剤を表面に有する紙繊維を1〜15質量部の範囲内で配合してなるタイヤ用ゴム組成物、および該タイヤ用ゴム組成物を用いた空気入りタイヤに関する。紙繊維の平均短径(B)に対する平均長径(A)の比(A)/(B)は1.1〜30の範囲内であることが好ましい。また、紙繊維の平均長さ(C)は10〜1000μmの範囲内であることが好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】空気入りタイヤのインナーライナーゴムおよび/またはインスレーションゴムとして用いられるタイヤ用ゴム組成物であって、ゴム成分の100質量部に対して、フッ素系表面処理剤を表面に有する紙繊維を1〜15質量部の範囲内で配合してなるタイヤ用ゴム組成物、および該タイヤ用ゴム組成物を用いた空気入りタイヤに関する。紙繊維の平均短径(B)に対する平均長径(A)の比(A)/(B)は1.1〜30の範囲内であることが好ましい。また、紙繊維の平均長さ(C)は10〜1000μmの範囲内であることが好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は、空気入りタイヤのインナーライナーおよび/またはインスレーション等に対して用いられ、小さいゲージでも良好なゴム物性を有し、軽量でかつ耐久性能にも優れる空気入りタイヤを提供することを可能とするタイヤ用ゴム組成物、およびこれを用いた空気入りタイヤに関する。
近年、車の低燃費化に対する社会的要請に基づき、タイヤの転がり抵抗の低減や軽量化が図られている。タイヤの軽量化の方法としては、各部位におけるゴムのゲージ(厚み)を小さくする方法が考えられるが、単にゲージを小さくするとタイヤとして必要な耐久性能が失われてしまう場合がある。
タイヤのインナーライナーや、該インナーライナーとプライとの間のインスレーションのゲージを小さくすると、成形加硫時にブラダーからの圧力によってインナーライナーおよびインスレーションのゴムがプライ間に吸い上げられてしまい、タイヤの内側から見たときにプライコードが露出して見える現象がある。この現象が発生するとタイヤの耐久性能は著しく低下する。また、インナーライナーやインスレーションのゲージを小さくし、タイヤ内面、すなわち空気入りタイヤの内腔面から水分がタイヤ内部に透過した場合、タイヤの劣化が進行し耐久性能が低下するという問題がある。
さらに、特にインナーライナーのゲージを小さくする際、該インナーライナーの空気透過性が増大した場合には、タイヤの内圧保持性能が低下し、耐久性能低下の一因となる。インナーライナーの空気透過性を低減する方法としては、たとえばインナーライナー用ゴム組成物に雲母を充填し、3層以上のラミネート構造とする方法等が提案されているが、ラミネート構造を形成するための工程が必要となるためコストの点で有利ではない。
特許文献1には、インナーライナー層の空気透過性を低減する方法として、有機短繊維を含有し、ゴム成分がエポキシ化天然ゴムとジエン系ゴムとからなるゴム組成物をインスレーション層に用いる方法が提案されている。しかしこの方法では、有機短繊維を新たに紡糸、切断して用いる必要があるため、コストの点でさらに改善の余地がある。
特許文献2には、古紙を配合し、たとえばビードエーペックスに対して用いるゴム組成物、特許文献3には、古紙およびシリカを配合したタイヤ用ゴム組成物、特許文献4には、短繊維、古紙およびシリカを配合したスタッドレスタイヤ用ゴム組成物がそれぞれ提案されているが、インナーライナーやインスレーションのゲージを小さくした場合にもゴム物性およびタイヤの耐久性能を良好に維持する方法については考慮されていない。
一方、特許文献5には、優れた低発熱性と剛性、操縦安定性を両立し得るゴム組成物として、微粉末セルロース繊維をジエン系ゴム100重量部に対して2〜100重量部含有するタイヤ用ゴム組成物であって、該微粉末セルロース繊維が天然植物繊維から調製され、平均粒子径が100μm以下であるタイヤ用ゴム組成物が提案されている。また特許文献6には、タイヤの製造コストを大幅に低減するとともに操縦安定性を改善できるゴム組成物として、ゴム成分の100質量部に対して、クラフト紙粉砕物を0.1〜35質量部の範囲内、および炭酸カルシウムを20〜180質量部の範囲内で配合してなるタイヤ用ゴム組成物が提案されている。しかしこれらの技術ではタイヤ内面からの水分透過やエアリークを十分に防止することは困難である。
すなわち、上記特許文献1〜6の技術においては、タイヤ内面からの水分透過やエアリークを防止することによる耐久性能の向上とタイヤの軽量化とを両立するには至っていない。
特開平7−82420号公報
特開2002−37929号公報
特開2002−226634号公報
特開2002−249619号公報
特開2005−75856号公報
特開2006−111715号公報
本発明は上記の課題を解決し、インナーライナーゴムおよび/またはインスレーションゴムのゲージを小さくした場合にも良好なゴム物性を有し、軽量でかつ良好な耐久性能を有する空気入りタイヤの製造を可能とするタイヤ用ゴム組成物およびこれを用いた空気入りタイヤの提供を目的とする。
本発明は、空気入りタイヤのインナーライナーゴムおよび/またはインスレーションゴムとして用いられるタイヤ用ゴム組成物であって、ゴム成分の100質量部に対して、フッ素系表面処理剤を表面に有する紙繊維を1〜15質量部の範囲内で配合してなる、タイヤ用ゴム組成物に関する。
本発明においては、紙繊維の平均短径(B)に対する平均長径(A)の比(A)/(B)が1.1〜30の範囲内であることが好ましい。
本発明においては、紙繊維の平均長さ(C)が10〜1000μmの範囲内であることが好ましい。
本発明においては、紙繊維の平均長径(A)に対する平均長さ(C)の比(C)/(A)が10〜2000の範囲内であることが好ましい。
本発明はまた、上記のタイヤ用ゴム組成物を少なくともインスレーションゴムとして用い、インスレーションのゲージが0.5〜2.0mmの範囲内に設定される空気入りタイヤに関する。
本発明はまた、上記のタイヤ用ゴム組成物を少なくともインナーライナーゴムとして用いた空気入りタイヤに関する。この場合、インナーライナーのゲージが0.5〜2.0mmの範囲内とされることがより好ましい。
本発明のタイヤ用ゴム組成物をインナーライナーに用いることによって、該インナーライナーのゲージが薄い場合にも、エアシール性能、耐水分透過性能、プライコードの露出の防止効果が良好に付与される。また本発明のタイヤ用ゴム組成物をインスレーションに用いることにより、該インスレーションのゲージを薄くした場合にも耐水分透過性能およびプライコードの露出の防止効果が良好に付与される。よって本発明によれば、車の低燃費化に有効な、軽量でかつ耐久性能にも優れた空気入りタイヤを得ることが可能となる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、空気入りタイヤのインナーライナーゴムおよび/またはインスレーションゴムとして用いられる。インナーライナーゴムとはタイヤ最内側においてエアシール性能および耐水分透過性能を確保するための部材であり、インスレーションゴムとはケース内側においてケースとインナーライナーとの接着性を高め、加硫時のインナーライナーゴムの吸い上がりを防止するための部材である。
本発明のタイヤ用ゴム組成物においては、ゴム成分の100質量部に対して、フッ素系表面処理剤を表面に有する紙繊維が1〜15質量部の範囲内で配合される。紙繊維が配合されたタイヤ用ゴム組成物をインナーライナーゴムおよび/またはインスレーションゴムに適用することにより、ブラダーによる内圧充填工程において、ゴム組成物中の紙繊維がブラダーの圧力に対抗するため、インナーライナーやインスレーションに適用した未加硫ゴム組成物のプライコード間への吸い上げ現象が抑制され、インナーライナーやインスレーションが所望の形状に加硫成形される。これによりプライコードの露出を防止でき、タイヤの耐久性能が良好になる。また、特にインナーライナーに本発明のタイヤ用ゴム組成物を用いることによって、より高いエアシール性能を確保できるため、インナーライナーのゲージを減らすことができる。
さらに、本発明のタイヤ用ゴム組成物に用いられる紙繊維は、表面に存在するフッ素系表面処理剤によって優れた耐水分透過性能を有する。よって該タイヤ用ゴム組成物をインナーライナーやインスレーションに用いた場合にはタイヤ内面からの水分の透過が抑制されるため、タイヤの耐久性能が向上するという効果が得られる。
なお、紙繊維の表面にフッ素系表面処理剤が存在することは、たとえば、ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)等の分析装置を用いて紙繊維表面の元素分析を行なうことによって確認することができる。
表面にフッ素系表面処理剤を有する紙繊維としては、たとえば、フッ素系表面処理剤の含浸処理またはコーティング処理を行なった紙繊維が例示できる。フッ素系表面処理剤としては、たとえば、フッ素系シランカップリング剤等が例示できるが、紙繊維中のたとえば水酸基等との相互作用によって紙繊維表面に良好に吸着する点でフッ素系シランカップリング剤が好ましく用いられる。
フッ素系シランカップリング剤としては、たとえば、パーフルオロアルキル基含有シランカップリング剤等が例示できる。
パーフルオロアルキル基含有シランカップリング剤としては、C8F17CH2CH2Si(OC2H5)3、C8F17CONH(CH2)nSi(OCH3)3、C8F17(CH2)nNCO、等が好ましい。上記の各式において、nが1〜10の範囲内のものはより好ましい。nが1以上である場合、紙繊維の表面に、より安定かつ均一にフッ素系表面処理剤を存在させることができる点で有利であり、nが10以下である場合、より良好な耐水分透過性能が発揮される点で有利である。上記の各式において、nは3〜9の範囲内であることがさらに好ましい。
フッ素系表面処理剤の具体的な市販品としては、たとえば、GE東芝シリコーン社製のフルオロアルキルシラン「XC95−A9715」等が例示できる。
フッ素系表面処理剤への含浸処理によって紙繊維の表面にフッ素系表面処理剤を存在させる方法としては、たとえば、フッ素系表面処理剤を含有する処理液中に紙繊維を浸漬する方法が例示できる。処理液としては、フッ素系表面処理剤を溶媒に溶解させた溶液等が例示できる。この場合、溶媒としては、たとえばイソプロピルアルコール、エタノール等のアルコール、等が好ましく用いられる。
最も典型的な処理液の処方としては、たとえば、C2F17CH2CH2Si(OC2H5)3の12質量部と、イソプロピルアルコールの88質量部と、酢酸0.72質量部とからなる処理液等が例示できる。
本発明においては、ゴム成分の100質量部に対して、表面にフッ素系表面処理剤を有する紙繊維が1〜15質量部の範囲内で配合される。ゴム成分100質量部に対する該紙繊維の配合量が1質量部以上であれば、上記の吸い上げ現象の抑制効果、耐水分透過性能およびエアシール性能を十分得られ、15質量部以下であればタイヤ用ゴム組成物の硬度が大きくなり過ぎることを防止し乗り心地性能等のタイヤ特性を確保できるとともに、タイヤ用ゴム組成物の製造時の加工性が損なわれない。紙繊維の配合量は、2〜10質量部の範囲内、さらに3〜8質量部の範囲内とされることが特に好ましい。
本発明において配合される紙繊維においては、平均短径(B)に対する平均長径(A)の比(A)/(B)が1.1〜30の範囲内であることが好ましい。この場合、紙繊維は扁平な断面形状を有する。扁平な紙繊維を配合した場合、未加硫のゴム組成物が押出しによってシート化される際に、剪断力によって、紙繊維の長さ方向とシート押出し方向、紙繊維の長径方向とシート幅方向、紙繊維の短径方向とシート厚み方向、がそれぞれ水平になるように配列し易い。このようなゴム組成物をインナーライナーや特にインスレーションに用いた場合、ブラダーによる内圧充填工程において、ゴム組成物中の紙繊維がブラダーの圧力に対抗することにより、インナーライナーやインスレーションに適用した未加硫ゴム組成物のプライコード間への吸い上げ現象がさらに良好に抑制され、インナーライナーやインスレーションをより確実に所望の形状に加硫成形することができる。これによりプライコードの露出を良好に防止でき、タイヤの耐久性能をさらに向上させることができる。
紙繊維の平均短径(B)に対する平均長径(A)の比(A)/(B)が1.1以上である場合、紙繊維の扁平性が良好であるため上記の吸い上げ現象の抑制効果がより良好に得られる点で有利であり、30以下である場合、ゴム組成物製造時の加工性が損なわれ難い点で有利である。上記比(A)/(B)は、2〜25の範囲内、さらに3〜20の範囲内とされることが特に好ましい。なお、平均長径(A)は、たとえばSEM(走査型電子顕微鏡)による紙繊維の断面観察において、画像計測により求めた各紙繊維の長径の数平均値として算出でき、平均短径(B)は、同様の画像計測により求めた各紙繊維の短径の数平均値として算出できる。
本発明においては、紙繊維の平均長さ(C)が10〜1000μmの範囲内とされることが好ましい。平均長さ(C)が10μm以上である場合、吸い上げ現象の抑制効果、耐水分透過性能およびエアシール性能が良好であり、1000μm以下である場合、タイヤ用ゴム組成物の硬度が大きくなり過ぎることを防止し乗り心地性能等のタイヤ特性が良好であるとともに、タイヤ用ゴム組成物の製造時の加工性が損なわれ難い。紙繊維の平均長さ(C)は、さらに50〜1000μmの範囲内とされることが好ましい。紙繊維の平均長さ(C)は、たとえばSEM(走査型電子顕微鏡)による紙繊維の観察において、画像計測により求めた各紙繊維の長さの数平均値として算出できる。
また、紙繊維の平均長径(A)に対する平均長さ(C)の比(C)/(A)は10〜2000の範囲内とされることが好ましい。上記比(C)/(A)が10以上である場合、吸い上げ現象の抑制効果および耐水分透過性能が良好であり、2000以下である場合、タイヤ用ゴム組成物の硬度が大きくなり過ぎることを防止し乗り心地性能等のタイヤ特性が良好であるとともに、タイヤ用ゴム組成物の製造時の加工性が損なわれ難い。上記比(C)/(A)は、さらに20〜2000の範囲内とされることが好ましい。
本発明のタイヤ用ゴム組成物はゴムの吸い上げ現象の抑制効果および耐水分透過性能を良好に有するため、タイヤのインスレーションとして有用である。この場合、該インスレーションのゲージは0.5〜2.0mmの範囲内に設定されることが好ましい。インスレーションのゲージが0.5mm以上である場合タイヤの耐久性能が良好であり、2.0mm以下である場合タイヤの軽量化による燃費の低減効果が良好である。インスレーションのゲージはさらに0.6〜1.0mmの範囲内とされることが特に好ましい。
また、本発明のタイヤ用ゴム組成物はエアシール性能および耐水分透過性能を良好に有するため、インナーライナーとして有用である。この場合、該インナーライナーのゲージは0.5〜2.0mmの範囲内とされることが好ましい。インナーライナーのゲージが0.5mm以上である場合タイヤの耐久性能が良好であり、2.0mm以下である場合タイヤの軽量化による燃費の低減効果が良好である。インナーライナーのゲージはさらに0.6〜1.0mmの範囲内とされることが特に好ましい。
本発明において配合される紙繊維としては、新聞紙、クラフト紙、パルプの粉砕物等が挙げられるが、本発明のゴム組成物がインスレーションに用いられる場合には、クラフト紙からなる紙繊維が特に好ましく用いられる。クラフト紙とは、クラフトパルプ(KP)を抄紙して得られる紙の全般を指し、未晒クラフト紙および晒クラフト紙を含む。クラフトパルプは、化学パルプに分類されるものの主流であり、一般に比較的長い繊維長を有することから、クラフト紙は強度に優れる紙として包装用途等に広く使用される。
クラフトパルプは、一般に以下のような方法で製造される。まず原料となるチップの不純物を除去するとともに、厚みや長さ等を一定範囲内に均一化する。次にチップを苛性ソーダ、硫化ソーダ等の薬品で、たとえば150〜160℃程度の高温で蒸煮し、チップ中の主にリグニンを溶出させ、パルプ化する。溶出リグニンおよび薬品をパルプと分離するための洗浄工程を経た後、該パルプをたとえば酸素およびアルカリで処理すること等により、パルプ中の残存リグニンをさらに溶出させる。最後に異物除去、洗浄を行ない、未晒クラフトパルプを得ることができる。未晒クラフトパルプはさらに漂白工程を経ることによって晒クラフトパルプとされることができる。未晒クラフトパルプを抄紙することにより未晒クラフト紙、晒クラフトパルプを抄紙することにより晒クラフト紙をそれぞれ製造することができる。
クラフト紙の原料となるクラフトパルプとしては針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプのいずれも使用できる。また、該クラフト紙の原料のすべてがバージンクラフトパルプであっても良いが、セミケミカルパルプ、機械パルプ等他のパルプ化法で得られるパルプ、ケナフ、バガス、竹、コットン、海藻等を由来とする非木材パルプ、使用済コピー用紙、古新聞紙、古段ボール紙等の古紙を脱墨して得られる古紙パルプ、等が、所望の性状を損なわない限度で混合されていても良い。
本発明のタイヤ用ゴム組成物のゴム硬度は、40〜65の範囲内であることができる。硬度が40以上である場合、ゴムの吸い上がりの抑制効果に優れる点で好ましく、65以下である場合、インナーライナーからの亀裂成長を抑制できる点で好ましい。なおゴム硬度は、ISO−7619に準拠して測定することができる。
本発明におけるゴム成分としては、天然ゴム(NR)および/またはジエン系合成ゴムが好ましく使用される。ジエン系合成ゴムとしては、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)等が挙げられ、これらのうち1種類または2種類以上を含むゴム成分が好適である。なお、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)とは、エチレン−プロピレンゴム(EPM)に第三ジエン成分を含むものである。ここで第三ジエン成分としては、たとえば炭素数5〜20の非共役ジエンが挙げられ、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエンおよび1,4−オクタジエンや、1,4−シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエンなどの環状ジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ブチリデン−2−ノルボルネン、2−メタリル−5−ノルボルネンおよび2−イソプロペニル−5−ノルボルネンなどのアルケニルノルボルネン等が好ましく例示できる。特に、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等は好ましく使用され得る。
本発明のタイヤ用ゴム組成物には、シランカップリング剤、好ましくは含硫黄シランカップリング剤をゴム成分の100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下、好ましくは0.5質量部以上3質量部以下で配合することが好ましい。シランカップリング剤の配合によって操縦安定性を向上させることができ、シランカップリング剤の配合量が0.1質量部以上の場合、操縦安定性の向上効果が特に良好である。またシランカップリング剤の配合量が10質量部以下の場合、ゴムの混練、押出工程での焼け(スコーチ)が生じる危険性が少ない。
本発明では、用途に応じてその他のカップリング剤、例えばアルミネート系カップリング剤、チタン系カップリング剤を単独またはシラン系カップリング剤と併用して使用することも可能である。
本発明のタイヤ用ゴム組成物には、炭酸カルシウム、シリカ、クレー、アルミナ、タルク、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等の充填剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
また、本発明のタイヤ用ゴム組成物にはカーボンブラックも使用され得る。ここでカーボンブラックはゴム成分100質量部に対して20質量部以上80質量部以下とされることが好ましい。また、カーボンブラックの物性は窒素吸着比表面積(BET法)が20〜300m2/gの範囲内、DBP吸油量が5〜300ml/100gの範囲内、ヨウ素吸着量が100〜170mg/gの範囲内のものが、タイヤ用ゴム組成物に対する補強効果の点で好適である。
本発明のタイヤ用ゴム組成物には、上記の他に、加硫剤、加硫促進剤、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、発泡剤およびスコーチ防止剤等を添加することが可能である。
加硫剤としては、有機過酸化物もしくは硫黄系加硫剤を使用できる。有機過酸化物としては、たとえば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3あるいは1,3−ビス(t−ブチルパーオキシプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキシ−ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルパーオキシベンゼン、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシロキサン、n−ブチル−4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレレートなどを使用することができる。これらの中で、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゼンおよびジ−t−ブチルパーオキシ−ジイソプロピルベンゼンが好ましい。また、硫黄系加硫剤としては、たとえば、硫黄、モルホリンジスルフィドなどを使用することができる。これらの中では硫黄が好ましい。
加硫促進剤としては、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系またはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、もしくは、キサンテート系加硫促進剤のうち少なくとも一つを含有するものを使用することが可能である。
スルフェンアミド系としては、たとえばCBS(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、TBBS(N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系化合物などが挙げられる。
チアゾール系としては、たとえばMBT(2−メルカプトベンゾチアゾール)、MBTS(ジベンゾチアジルジスルフィド)、2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩、亜鉛塩、銅塩、シクロヘキシルアミン塩、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾールなどが挙げられる。
チウラム系としては、たとえばTMTD(テトラメチルチウラムジスルフィド)、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどが挙げられる。
チオウレア系としては、たとえばチアカルバミド、ジエチルチオ尿素、ジブチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、ジオルトトリルチオ尿素などのチオ尿素化合物などが挙げられる。
グアニジン系としては、たとえばジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、トリフェニルグアニジン、オルトトリルビグアニド、ジフェニルグアニジンフタレートなどのグアニジン系化合物が挙げられる。
ジチオカルバミン酸系としては、たとえばエチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブ
チルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジアミルジチオカルバミン酸亜鉛、ジプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛とピペリジンの錯塩、ヘキサデシル(またはオクタデ
シル)イソプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエ
チルジチオカルバミン酸ナトリウム、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジアミルジチオカルバミン酸カドミウムなどのジチオカルバミン酸系化合物などが挙げられる。
チルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジアミルジチオカルバミン酸亜鉛、ジプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛とピペリジンの錯塩、ヘキサデシル(またはオクタデ
シル)イソプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエ
チルジチオカルバミン酸ナトリウム、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジアミルジチオカルバミン酸カドミウムなどのジチオカルバミン酸系化合物などが挙げられる。
アルデヒド−アミン系またはアルデヒド−アンモニア系としては、たとえばアセトアルデヒド−アニリン反応物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒド−アンモニア反応物などが挙げられる。
老化防止剤としては、アミン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩、ワックスなどを適宜選択して使用することが可能である。
本発明では練り加工性を一層向上させるために軟化剤を併用しても良い。軟化剤としては、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリンなどの石油系軟化剤、ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油などの脂肪油系軟化剤、トール油、サブ、蜜ロウ、カルナバロウ、ラノリンなどのワックス類、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸などの脂肪酸、等が挙げられる。
さらに、本発明のタイヤ用ゴム組成物には必要に応じて可塑剤を配合することができる。具体的には、DMP(フタル酸ジメチル)、DEP(フタル酸ジエチル)、DBP(フタル酸ジブチル)、DHP(フタル酸ジヘプチル)、DOP(フタル酸ジオクチル)、DINP(フタル酸ジイソノニル)、DIDP(フタル酸ジイソデシル)、BBP(フタル酸ブチルベンジル)、DLP(フタル酸ジラウリル)、DCHP(フタル酸ジシクロヘキシル)、無水ヒドロフタル酸エステル、DOZ(アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル)、DBS(セバシン酸ジブチル)、DOS(セバシン酸ジオクチル)、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、DBM(マレイン酸ジブチル)、DOM(マレイン酸−2−エチルヘキシル)、DBF(フマル酸ジブチル)等が挙げられる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物には、スコーチを防止または遅延させるためのスコーチ防止剤として、たとえば無水フタル酸、サリチル酸、安息香酸などの有機酸、N−ニトロソジフェニルアミンなどのニトロソ化合物、N−シクロヘキシルチオフタルイミド等を使用することができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は空気入りタイヤに対して好適に用いられ、特にインナーライナー部、インスレーション部に対して好ましく使用される。以下、図面にしたがって説明する。図1は、本発明に係る空気入りタイヤの断面図の左半分を例示した図であり、図2は、本発明に係る空気入りタイヤのインスレーション部およびインナーライナー部について説明する拡大断面図である。タイヤ1は、トレッド部2と、その両端からタイヤ半径方向内方にのびる一対のサイドウォール部3と、各サイドウォール部3の内方端に位置するビード部4とを具える。またビード部4、4間にはカーカス6が架け渡されるとともに、このカーカス6のラジアル方向外側にタガ効果を有するベルト層7が配される。
該カーカス6は、カーカスコードをタイヤ赤道Cに対して例えば70〜90°の角度で配列する1枚以上のカーカスプライ6aから形成され、このカーカスプライ6aは、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5の廻りをタイヤ軸方向の内側から外側に折返されて係止される。
ベルト層7は、ベルトコードをタイヤ赤道Cに対して例えば45°以下の角度で配列した2枚以上のベルトプライ7a,7bからなり、各ベルトコードがプライ間で交差するよう向きを違えて重置している。さらにベルト層7の外側にバンド層(図示せず)を設けても良く、このときバンド層は低モジュラスの有機繊維コードを、タイヤ赤道Cとほぼ平行に螺旋巻きした連続プライで形成する。
またビード部4には、該ビードコア5から半径方向外方にのびるビードエーペックスゴム8が配されるとともに、カーカス6の内側には、タイヤ内腔面をなすインナーライナーゴム9および該インナーライナーゴム9とカーカス6とに挟まれるインスレーションゴム10が隣設され、カーカス6の外側は、チェーファーゴム4Gおよびサイドウォールゴム3Gで保護される。
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物は、空気入りタイヤの特にインナーライナーゴム9、およびインスレーションゴム10として使用されることができ、該インナーライナーゴムまたは該インスレーションゴムのゲージが小さくされた場合にも良好なタイヤ耐久性能を与える。なお本発明のタイヤ用ゴム組成物が使用される空気入りタイヤの構造は上述のものに限定されない。
[実施例]
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<表面にフッ素系表面処理剤を有する紙繊維の作製>
紙繊維として、三共製粉(株)製の「ミルファイブ♯100」(平均長さ1000μm、長径/短径の平均値=10のもの)を、フッ素系表面処理剤として、GE東芝シリコーン社製のフルオロアルキルシラン「XC95−A9715」(C8F17CH2CH2Si(OC2H5)3)をそれぞれ用いた。上記のフッ素系表面処理剤12質量部をイソプロピルアルコール88質量部に溶解させ、酢酸0.72質量部を添加して処理液を調製した。続いて、上記の紙繊維を該処理液に室温で1時間浸漬した後、遠心分離し、エタノールで洗浄し、表面にフッ素系表面処理剤を有する紙繊維(以下、フッ素表面処理紙繊維とも称する)を得た。
紙繊維として、三共製粉(株)製の「ミルファイブ♯100」(平均長さ1000μm、長径/短径の平均値=10のもの)を、フッ素系表面処理剤として、GE東芝シリコーン社製のフルオロアルキルシラン「XC95−A9715」(C8F17CH2CH2Si(OC2H5)3)をそれぞれ用いた。上記のフッ素系表面処理剤12質量部をイソプロピルアルコール88質量部に溶解させ、酢酸0.72質量部を添加して処理液を調製した。続いて、上記の紙繊維を該処理液に室温で1時間浸漬した後、遠心分離し、エタノールで洗浄し、表面にフッ素系表面処理剤を有する紙繊維(以下、フッ素表面処理紙繊維とも称する)を得た。
表1および表2に示す配合成分(単位:質量部)のうち硫黄および加硫促進剤を除く成分を、神戸製鋼(株)製の1.7Lバンバリーを用いて150℃で4分間混練した。次いで硫黄および加硫促進剤を加え、二軸ローラーを用いて80℃で4分間混練した。得られた未加硫ゴム組成物を用い、インスレーションゴムおよびインナーライナーゴムとして、表1および表2に示すゲージのゴムシートを作製し、これをタイヤのインスレーション部およびインナーライナー部に用いて成型し、150℃、35分間、25kf(245.16625N)の条件で加硫を行ない、175/70R13の試験用タイヤを作製した。
<外観の評価>
表1に示す配合成分を用いて作製された試験用タイヤについて、タイヤ内面の外観を目視で観察し、カーカスプライコード間へのインスレーションゴムおよびインナーライナーゴムの吸い上げ現象の有無(すなわちプライコードの露出の有無)をチェックした。また、表1および表2に示す配合成分を用いて作製された試験用タイヤについて、タイヤ内面部分におけるクラックの発生の有無をチェックした。結果を表1および表2に示す。
表1に示す配合成分を用いて作製された試験用タイヤについて、タイヤ内面の外観を目視で観察し、カーカスプライコード間へのインスレーションゴムおよびインナーライナーゴムの吸い上げ現象の有無(すなわちプライコードの露出の有無)をチェックした。また、表1および表2に示す配合成分を用いて作製された試験用タイヤについて、タイヤ内面部分におけるクラックの発生の有無をチェックした。結果を表1および表2に示す。
<マシン耐久性試験>
表1および表2に示す配合成分を用いて作製された試験用タイヤを80℃のオーブンに1週間入れた後、内圧200kPa、荷重340kgf(3334.261N)、時速80km/hで3万km走行させた後、インナーライナー、インスレーションの損傷の有無、すなわちクラック発生の有無を目視で評価した。結果を表1および表2に示す。
表1および表2に示す配合成分を用いて作製された試験用タイヤを80℃のオーブンに1週間入れた後、内圧200kPa、荷重340kgf(3334.261N)、時速80km/hで3万km走行させた後、インナーライナー、インスレーションの損傷の有無、すなわちクラック発生の有無を目視で評価した。結果を表1および表2に示す。
<引張試験>
表2に示す配合成分を用いて作製された試験用ゴム組成物を用い、JIS K6251に基づいて、ダンベル状3号形を使用して引張強度の評価を行なった。結果を表2に示す。
表2に示す配合成分を用いて作製された試験用ゴム組成物を用い、JIS K6251に基づいて、ダンベル状3号形を使用して引張強度の評価を行なった。結果を表2に示す。
<屈曲亀裂試験>
表2に示す配合成分を用いて作製された試験用ゴム組成物を用い、JIS K6260に基づいてサンプルを作製し、30%歪みを与えて、0.1mm以上の屈曲亀裂が発生したときの回数(単位:万回/mm)を評価した。結果を表2に示す。
表2に示す配合成分を用いて作製された試験用ゴム組成物を用い、JIS K6260に基づいてサンプルを作製し、30%歪みを与えて、0.1mm以上の屈曲亀裂が発生したときの回数(単位:万回/mm)を評価した。結果を表2に示す。
<エアーリーク試験>
表1および表2の配合成分を用いて作製された試験用タイヤを用い、リム組した後、内圧を200kPaに設定し、80℃のオーブンに1週間入れて内圧の低下度合いを、下記の式、
(各々の実施例、従来例、比較例の内圧:MPa)/(従来例1の内圧:MPa)×100
に従いエアシール性能指数として示した。指数が大きい程内圧保持性能が良いことを示す。
表1および表2の配合成分を用いて作製された試験用タイヤを用い、リム組した後、内圧を200kPaに設定し、80℃のオーブンに1週間入れて内圧の低下度合いを、下記の式、
(各々の実施例、従来例、比較例の内圧:MPa)/(従来例1の内圧:MPa)×100
に従いエアシール性能指数として示した。指数が大きい程内圧保持性能が良いことを示す。
<水分透過試験>
上記の方法で作製した試験用タイヤを解体し、ブレーカーにおけるトッピングゴムの水分率をカールフィッシャー法で測定することにより、水分透過率を測定し、下記の式、
(従来例1の水分透過率)/(各々の実施例、従来例、比較例の水分透過率)×100
に従い耐水分透過性能指数として表した。数値が大きい程水分の透過が少なく耐水分透過性能が良いことを示す。上記の指数が80を下回ると、ブレーカーの錆びが発生し易く耐久性能が低下し易い傾向がある。
上記の方法で作製した試験用タイヤを解体し、ブレーカーにおけるトッピングゴムの水分率をカールフィッシャー法で測定することにより、水分透過率を測定し、下記の式、
(従来例1の水分透過率)/(各々の実施例、従来例、比較例の水分透過率)×100
に従い耐水分透過性能指数として表した。数値が大きい程水分の透過が少なく耐水分透過性能が良いことを示す。上記の指数が80を下回ると、ブレーカーの錆びが発生し易く耐久性能が低下し易い傾向がある。
注1:天然ゴムは、タイ製のRSS♯3である。
注2:SBRは、住友化学社製の「SBR1502」である。
注3:カーボンブラックは、三菱化学(株)製の「N660」である。
注4:炭酸カルシウムは、近江化学(株)製の「サクセス200S」である。
注5:紙繊維は、三共製粉(株)製の「ミルファイブ♯100」(平均長さ1000μm、長径/短径の平均値=10のもの)である。
注6:フッ素表面処理紙繊維は、上述の方法で作製したものである。
注7:ステアリン酸は、日本油脂(株)製の「桐」である。
注8:粘着レジンは、(株)日本触媒製の「SP1068」である。
注9:プロセスオイルは、出光興産(株)製の「ダイアナプロセスPS32」である。
注10:酸化亜鉛は、東邦亜鉛(株)製の「銀嶺R」である。
注11:硫黄は、鶴見化学(株)製である。
注12:加硫促進剤は、三新化学(株)製の「サンセラーCM」(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル−スルフェンアミド)である。
注13:ハロゲン化ブチルゴムは、日本ブチル社製の「ブロモブチルHT1068」(ブロモ化ブチルゴム)である。
注2:SBRは、住友化学社製の「SBR1502」である。
注3:カーボンブラックは、三菱化学(株)製の「N660」である。
注4:炭酸カルシウムは、近江化学(株)製の「サクセス200S」である。
注5:紙繊維は、三共製粉(株)製の「ミルファイブ♯100」(平均長さ1000μm、長径/短径の平均値=10のもの)である。
注6:フッ素表面処理紙繊維は、上述の方法で作製したものである。
注7:ステアリン酸は、日本油脂(株)製の「桐」である。
注8:粘着レジンは、(株)日本触媒製の「SP1068」である。
注9:プロセスオイルは、出光興産(株)製の「ダイアナプロセスPS32」である。
注10:酸化亜鉛は、東邦亜鉛(株)製の「銀嶺R」である。
注11:硫黄は、鶴見化学(株)製である。
注12:加硫促進剤は、三新化学(株)製の「サンセラーCM」(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル−スルフェンアミド)である。
注13:ハロゲン化ブチルゴムは、日本ブチル社製の「ブロモブチルHT1068」(ブロモ化ブチルゴム)である。
表1に示すように、インスレーションゴムに紙繊維を配合していない比較例1では吸い上げ現象が見られ、フッ素系表面処理剤による表面処理を行なっていない紙繊維を配合した比較例2では耐水分透過性能が良好でなく、フッ素表面処理紙繊維を多量に配合した比較例3ではクラック発生が見られたのに対し、インスレーションゴムにフッ素表面処理紙繊維をゴム成分の100質量部に対して5〜15質量部の範囲内で配合した各実施例においては、吸い上げ現象およびクラック発生が見られず、エアシール性能および耐水分透過性能において良好な結果を示した。
上記の結果から、本発明のタイヤ用ゴム組成物をインスレーションゴムに適用した場合には、ゴム物性、吸い上げ現象の防止効果、エアシール性能、耐水分透過性能が良好に得られることが分かる。
表2に示すように、インナーライナーゴムに紙繊維を配合していない比較例4およびフッ素系表面処理剤による表面処理を行なっていない紙繊維を配合した比較例5と比べて、フッ素表面処理紙繊維をゴム成分の100質量部に対して5〜15質量部の範囲内で配合した実施例5および6においては、エアシール性能および耐水分透過性能が優れていた。また実施例5および6においては、引張強度が良好であり、屈曲亀裂試験の結果も良好であり、クラック発生が見られなかった。なお、フッ素表面処理紙繊維を多量に配合した比較例6ではクラック発生が見られ、実施例5および6と比べて引張強度および屈曲亀裂試験の結果が劣っていた。
上記の結果から、本発明のタイヤ用ゴム組成物をインナーライナーゴムに適用した場合には、ゴム物性、エアシール性能、耐水分透過性能、耐久性能が良好に得られることが分かる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は空気入りタイヤのインナーライナーおよび/またはインスレーションに対して用いられる。また該タイヤ用ゴム組成物を用いた空気入りタイヤは軽量でかつ耐久性能にも優れるため、車の低燃費化を可能とする空気入りタイヤとして好適に用いられる。
1 タイヤ、2 トレッド部、3 サイドウォール部、3G サイドウォールゴム、4 ビード部、4G チェーファーゴム、5 ビードコア、6 カーカス、6a カーカスプライ、7 ベルト層、7a,7b ベルトプライ、8 ビードエーペックスゴム、9 インナーライナーゴム、10 インスレーションゴム。
Claims (7)
- 空気入りタイヤのインナーライナーゴムおよび/またはインスレーションゴムとして用いられるタイヤ用ゴム組成物であって、ゴム成分の100質量部に対して、フッ素系表面処理剤を表面に有する紙繊維を1〜15質量部の範囲内で配合してなる、タイヤ用ゴム組成物。
- 前記紙繊維の平均短径(B)に対する平均長径(A)の比(A)/(B)が1.1〜30の範囲内である、請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記紙繊維の平均長さ(C)が10〜1000μmの範囲内である、請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記紙繊維の平均長径(A)に対する平均長さ(C)の比(C)/(A)が10〜2000の範囲内である、請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物を少なくともインスレーションゴムとして用い、インスレーションのゲージが0.5〜2.0mmの範囲内に設定される、空気入りタイヤ。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物を少なくともインナーライナーゴムとして用いた、空気入りタイヤ。
- インナーライナーのゲージが0.5〜2.0mmの範囲内とされる、請求項6に記載の空気入りタイヤ。
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JP2010173501A (ja) * | 2009-01-30 | 2010-08-12 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | 二輪自動車用タイヤ |
EP2351789A1 (en) | 2010-01-27 | 2011-08-03 | Sumitomo Rubber Industries, Ltd. | Rubber composition for sidewall, insulation or breaker cushion, production method thereof, and pneumatic tire |
JP2014208721A (ja) * | 2013-04-16 | 2014-11-06 | オリンパス株式会社 | 樹脂多孔質体及びその製造方法 |
JP2016050274A (ja) * | 2014-09-01 | 2016-04-11 | 住友ゴム工業株式会社 | タイヤ |
WO2018180162A1 (ja) | 2017-03-28 | 2018-10-04 | 住友ゴム工業株式会社 | 空気入りタイヤ |
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-
2006
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JP2021066337A (ja) * | 2019-10-24 | 2021-04-30 | 横浜ゴム株式会社 | 空気入りタイヤ |
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