本発明の実施形態の一例について、図1〜図17を参照して説明する。以下の説明では、同一の部材および構成要素には、それぞれ、同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰り返さない。
〔インク吐出装置10〕
本発明に係るインク吐出装置10の構成について、図1を参照して以下に説明する。図1はインク吐出装置10の構成を示すブロック図である。
インク吐出装置10は、情報処理部1、インクジェットヘッド3、パターン認識部5(パターン認識手段)、可動部7および開始指示出力部9を備えている。インクジェットヘッド3にはノズル31が形成されている。また、基板上におけるパターンの位置情報を取得し、情報処理部1に該位置情報を供給する外部入力装置19が開始指示出力部9に接続されている。
インク吐出装置10の上記構成は、以下のよう動作する。開始指示出力部9からの動作開始指示に基づいて、パターン認識部5が基板20上に形成することを所望するパターンの形状情報を、外部入力装置19が該パターンの位置情報を取得し、情報処理部1へ取得したパターンの該形状情報および位置情報を送信する。パターン認識部5および外部入力装置19から送信された2つの上記情報に基づいて、情報処理部1は、吐出に用いるノズル31の決定、ノズル31から吐出されるインクの制御、インクの吐出対象領域への吐出順序の決定、および可動部7を用いたインクジェットヘッド3と、基板20との相対的な走査方向の制御を行う制御信号を生成する。情報処理部1によって生成される上記4つの制御信号に基づいて、基板20上に所望のパターンを形成し得るようにインクを吐出する。
上記パターン認識部5は、被写体を撮像する固体撮像素子を備えたカメラと、該固体撮像素子から出力される電気信号を、被写体の形状を特定するためのデータに変換するプログラムの処理部とを含んだ構成である。
ここで、インク吐出装置10の主要な動作の設定を行う情報処理部1は、吐出対象領域決定部11(吐出対象領域決定手段)、制御部12(制御手段)、ノズル駆動部13(ノズル駆動手段)、角度調整部14(角度調整手段)、吐出順序決定部15(吐出順序決定手段)、走査方向決定部16(走査方向決定手段)および補正信号供給部17(補正信号供給手段)から構成されている。
吐出対象領域決定部11は、パターン認識部5および外部入力装置19からのパターンの形状情報および位置情報に基づいて、基板20上におけるインクの吐出対象領域の形状情報を決定し、該形状情報に対して基板20上の位置情報を対応付ける。さらに、吐出対象領域決定部11は、2つの上記情報の両方または一方を、制御部12、角度調整部14および吐出順序決定部15に送信する。
吐出順序決定部15は、決定された吐出対象領域の上記形状情報および位置情報に基づいて、複数の吐出対象領域に対して最短時間でインク吐出処理を行い得るようにインクを吐出する吐出対象領域の順序を決定する。決定した吐出対象領域の順序を、制御部12および走査方向決定部16に送信する。
走査方向決定部16は、上記順序に基づいて、インクジェットヘッド3と、基板20との相対的な走査方向を決定し、可動部7がインクジェットヘッド3および基板20を保持した基板保持台24aを移動させる方向を決定する。
補正信号供給部17は、必要に応じて吐出対象領域決定部11において決定された吐出対象領域の形状を補正する。例えば、可動部7の上記駆動方向と、パターン認識部によるパターン認識時の走査方向とが異なる場合、該2つの方向が有する角度の差異の分だけ吐出対象領域を回転させることによって補正を行う。吐出対象領域を補正した(回転させた)角度を制御部12および角度調整部14に送信する。
角度調整部14は、決定された吐出対象領域の上記形状、および吐出対象領域を補正した(回転させた)角度に基づいて、インクジェットヘッド3を回転させる角度を設定する。インクジェットヘッド3の回転によってノズル31の配列方向が可変する。ノズル31の配列方向が可変することによって、吐出対象領域に対して吐出を行うことができるノズル31の数を増加させる、または吐出対象領域に対して吐出を行うノズル31を吐出対象領域へ均一に分散させる。インクジェットヘッド3を回転させるために設定した角度を制御部12に送信する。
制御部12は、基板20上の位置が対応付けられた吐出対象領域の上記形状、ノズル31の配列方向を回転させた角度、決定された吐出対象領域の順序、および吐出対象領域を補正した(回転させた)角度に基づいて、吐出対象領域のそれぞれに対して吐出を行うノズル31を決定し、かつノズル31から吐出されるインクの吐出回数および着弾位置を決定する。さらに、制御部12は、ノズル31から吐出されるインクの吐出回数および着弾位置を制御する制御信号を生成する。上記制御信号を供給することによってノズル駆動部13が生成するインク吐出信号に基づいて、ノズル31にインクの吐出を行わせる。
〔欠陥画素修復装置としてのインク吐出装置10〕
本発明に係るインク吐出装置10をCFパネルの欠陥画素修復装置として用いた場合の一構成例について、図2を参照して以下に説明する。図2はインク吐出装置10の外観構成を説明する斜視図である。
図2に示すように、本実施の形態にかかるインク吐出装置10は、情報処理部1を内蔵しているコンピュータ21、インクジェットヘッド3を内蔵しているインク吐出ユニット22、パターン認識部5、ヘッドステージ23、基板ステージ24およびブリッジ25を備えている。コンピュータ21は、インク吐出ユニット22、パターン認識部5および基板ステージ24と接続されている。基板ステージ24は、基板保持台24aおよびステージ24bから構成されている。基板支持台24aの基板配置部分には開始指示出力部9が形成されている。また、基板保持台24aと、ステージ24bとの間には、可動部7(図示せず)が形成されている。本実施の形態においては、パターン認識部5としてカメラを、開始指示出力部9としてセンサーを用いている。
インク吐出ユニット22およびパターン認識部5は、それぞれの高さ方向の軸が図2のZ軸と平行になるようにヘッドステージ23に固定されている。ヘッドステージ23は、可動部7(図示せず)を介してブリッジ25に連結されており、ブリッジ25上をY軸方向に可動する。
基板ステージ24は図2のXY平面と平行に配置されており、基板20も同様にXY平面と平行になるように基板保持台24aに保持される。上述のように、基板保持台24aと、ステージ24bとの間に可動部7が形成されているので、基板保持台24aはX軸方向に可動する。なお、基板保持台24aには、保持した基板20との間にギャップ調整部(図示せず)が形成されており、該ギャップ調整部は、インク吐出ユニット22と、基板20および基板保持台24aとの距離を調整するために形成されている。
以上のことから、インク吐出ユニット22のインク吐出面(インク吐出ユニット22の下面)およびパターン認識部5の撮像面(パターン認識部5の下面)は、基板20の上面に対して常に平行に対向している。この状態は、ヘッドステージ23のインク吐出ユニット22およびパターン認識部5の形成面が基板ステージ24の基板配置面と直交していると言い換えることもできる。さらに、ヘッドステージ23がY軸方向に可動し、基板保持台24aがX軸方向に可動するので、インク吐出ユニット22の下面およびパターン認識部5の下面を、基板20上面の全域に対向させることができる。つまり、基板20上の所望の位置へインクを吐出すること、基板20上の全面を撮像することができる。
開始指示出力部9として用いたセンサーは、基板保持部24a上に基板20が搬入されたことを感知した場合、パターン認識部5に対して欠陥画素の撮像を、外部入力装置19に対して欠陥画素の修復処理開始を指示する。また、上記センサーは、基板20の搬入後に行われる基板20とインク吐出装置10とのアラインメントの終了を感知し、修復処理の開始を指示してもよい。
パターン認識手段5として用いたカメラの近傍にはファイバーランプ等の照明部(図示せず)が取り付けられている。上記カメラは、上記照明部から基板20へ光を照射することによって得られる基板20の反射像を撮像する。撮像された基板20の反射像はデータに変換されて情報処理部1に送られる。基板20の反射像の上記データは、情報処理部1の吐出対象領域決定手段において欠陥部を有する画素(以下、欠陥画素と称する)インク層の形状、および基板20上の欠陥画素の位置を特定するために用いられる。
上記画像データに基づいて情報処理部1は、吐出に用いるノズルの決定、ノズル31から吐出されるインクの制御、インクの吐出対象領域への吐出順序の決定、およびインクジェットヘッド3と、基板20との相対的な走査方向の制御を行う制御信号を生成する。上記4つの制御信号に基づいて、情報処理部1は、所望のパターンを基板上に形成し得るように制御信号をインク吐出装置10の他の構成に送信する。情報処理部1の内部の処理については図1および〔インク吐出装置10〕を参照のこと。
本実施の形態において、インク吐出装置10は、1つのインク吐出ユニット22を備えた構成としているが、複数のインク吐出ユニット22を備えていてもよい。このとき、1つのヘッドステージ23に複数のインク吐出ユニット22を連結してもよく、複数のヘッドステージ23に1つ以上のインク吐出ユニット22を連結してもよい。また、必要に応じて、インク吐出ユニット22と、パターン認識部5とを別個のヘッドステージ23に連結してもよい。
また、本実施の形態において、インク吐出装置10はパターン認識部5を備えていない構成であってもよい。例えば、基板20上に形成するパターンの形状情報および位置情報の取得を、基板20の搬入前に外部装置を用いて行い、取得した形状情報および位置情報を自動または手動で情報処理部1の吐出対象領域決定部に送信する構成であってもよい。
また、本実施の形態において、インク吐出装置10は、2つの可動部7を用いて基板20およびインク吐出ユニット22の両方を移動させることによって、インク吐出処理を行う構成であるが、基板20またはインク吐出ユニット22のいずれか一方のみを移動させる構成であってもよい。例えばブリッジ25が可動部25を介して基板ステージ24に連結された構成などを挙げることができる。
インク吐出装置10への基板20の搬入出は、例えば、ロボットなどの自動搬送装置(図せず)を用いて行えばよい。
〔インク吐出ユニット22〕
図2のインク吐出装置10に備えられているインク吐出ユニット22の内部構成について、図3を参照して以下に説明する。図3はインク吐出ユニット21の内部構成を説明する斜視図である。
インク吐出ユニット22は、インクジェットヘッド3、ヘッド保持部37、回転部35および固定部39から構成されている。インクジェットヘッド3は、画素の着色に用いるインクの色の種類だけヘッド保持部37に配置すればよい。本実施の形態のインク吐出装置10では、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色を画素の着色に使用するので、ヘッド保持部37には3つのインクジェットヘッド3が配置されている。
インクジェットヘッド3を保持しているヘッド保持部37は、回転部35を介して固定部39と連結している。回転部35は、インクジェットヘッド3を回転させるための構造である。ここでは、回転部35としてθステージを用いているが、インクジェットヘッド3を回転させるための構造であれば従来公知のさまざまな構造を採用することができる。インクジェットヘッド3、ヘッド保持部37および回転部35は、固定部39によってインク吐出ユニット22に固定されている。
ここで、インクジェットヘッド3のそれぞれがコンピュータ21を介して情報処理部1と接続されており、情報処理部1を用いて独立した吐出制御が可能である。インクジェットヘッド3の下面には、複数のノズル31がY軸と平行な直線状に並ぶように形成されている。さらに、複数のノズル31のそれぞれが情報処理部1に接続されている。このため、複数のノズル31を用いた一度のインク滴の吐出によって直線状のパターンを形成すること、および複数のノズル31からのインク吐出を独立して制御することが可能である。
なお、複数のノズル31からのインク吐出を独立して制御することとは、複数のノズル31のそれぞれが行うインク吐出のタイミングを、独立して制御することを意味する。さらに、情報処理部1は、複数のノズル31のそれぞれにインクを吐出させるための電圧を、独立して制御することが好ましい。
上述のように、インクジェットヘッド3がヘッド保持部37を介して回転部35と接続されているので、基板20上の吐出対象領域に対してノズル31の配列方向が有する角度を任意に調整することができる。回転部35を用いてインクジョットヘッド3を回転させることについては、下記の〔インク吐出装置10の欠陥画素の修復処理〕において詳述する。
また、インクジェットヘッド3には、さらにインク供給口(図示せず)が設けられている。上記インク供給口は、ヘッドステージ23上に設けられたインク供給部(図示せず)からインクの供給を受ける。上記インク供給部には、R、GおよびB用のインクが充填されている。
本実施の形態において、上述のように、インクジェットヘッド3には複数のノズル31がY軸と平行な直線状に並ぶように形成されている。特に記載していなかったが、1つのインクジェットヘッド3に、複数のノズル31からなる直線状の配列が複数形成されていてもよい。
〔インク吐出装置10の欠陥画素の修復処理〕
本発明に係るインク吐出装置10による欠陥画素の修復処理の詳細について、図4〜10を参照して以下に説明する。図4はインク吐出装置10の手順の一例を示すフローチャートである。
図4に示すように、インク吐出装置10に対する基板20上の欠陥画素の修復開始を、開始指示出力部9を用いて指示する(ステップS1)。開始指示出力部9を用いた修復開始指示の出力は、ロボットによって基板保持部24aに基板20が搬入されたことを基板保持部24a上に形成されたセンサーが感知した時、該センサーが修復開始を指示する信号をパターン認識部5および外部入力装置19に送信することによって行われる。
搬入された基板20は、YAGレーザなどを用いて全ての欠陥画素の着色部が除去されており、かつ欠陥画素の該着色部全体が除去されている。基板20上に存在する欠陥画素の位置情報は、上記レーザを用いた着色部の除去時に取得され、外部入力装置19に記憶されている。
本実施の形態において、開始指示の出力は、センサーを用いて基板20が搬入されたことを感知することによって行っているが、他の方法を用いてもよい。開始指示を出力するための他の方法としては、例えば、パターン認識部5が基板20の搬入を認識する方法などを挙げることができる。また、開始指示の出力は、手動で行われてもよい。手動で出力が行われる方法としては、例えば、基板20が有する欠陥画素の修復を所望する操作者がコンピュータ21へ開始指示を入力する方法が挙げられる。
開始指示出力部9からの上記修復開始指示をパターン認識部5および外部入力装置19が取得すると、パターン認識部5は基板20上の欠陥画素を全て撮像することによって欠陥画素の形状情報を取得し、該形状情報を吐出対象領域決定手段に送信し、外部入力装置19は欠陥画素の位置情報を該吐出対象領域決定手段に送信する(ステップS2)。
また、本実施の形態においては、欠陥画素をパターン認識部5であるカメラを用いて撮像することによってパターンの形状情報を取得しているが、外部入力装置19に記憶させてもよい。例えば、欠陥画素の着色部を除去するときに、基板20上の欠陥画素の位置情報および形状情報を対応付けて取得する方法などを挙げることができる。外部入力装置19から欠陥画素の形状情報および位置情報を入力する構成を採用する場合、インク吐出装置10はパターン認識部5を備えていなくてもよい。
パターン認識部5および外部入力装置19から送信された欠陥画素の形状情報および位置情報に基づいて複数の吐出対象領域の形状を、基板20上の位置情報に対応付けした状態で決定する(ステップS3)。
ここで、吐出対象領域決定部11において、欠陥画素の上記形状情報に基づいた吐出対象領域の決定方法、および該吐出対象領域の形状情報と、基板20上の位置情報との対応付けについて、図5を参照して説明する。図5(a)は、カメラによって撮像された欠陥画素の反射像に基づいて生成された画像データを示しており、(b)は(a)の画像データに基づいて吐出対象領域が決定された状態を示している。
図5(a)に示すように、上記カメラによって撮像された、欠陥部を含むインク層が除去された1つの欠陥画素は、ブラックマトリクス(BM)と呼ばれる遮光部61に囲まれた被着色部62として吐出対象領域決定部11において認識される。
遮光部61は、TFT駆動部を遮光、隣接する2つの画素におけるコントラストを向上、およびインクのリークの防止するために、通常、光を通さない黒色の材料であって、インクに対する撥液性を有する材料から形成される。一方、被着色部62は、バックライトなどの白色光を透過させる、およびインクを容易に形成するために、可視域に吸収を有していない透明な、かつインクに対し親液性を有する材料(例えば、ガラスなど)から形成される。
このため、照射した光の欠陥画素からの反射像を撮像するカメラ(パターン認識部5)は、遮光部61を反射光強度が弱いため暗い領域、被着色部62を反射光強度が強いため明るい領域として認識する。上記カメラによって撮像されたデータは、コンピュータ21内の吐出対象領域決定部11に送信される。
吐出対象領域決定部11は、遮光部61が有する反射光強度と、被着色部62が有する反射光強度との間に閾値を設けることによって、カメラから送信された上記データを2値化した画像データとして認識する。そして、認識された画像データにおける被着色部62のピクセルサイズと、カメラの倍率とに基づいて実際の被着色部62の面積を求める。さらに、求めた被着色部62の面積、インク層の所望の膜厚、インク一滴あたりの吐出体積、およびインク層の残膜率に基づいて、被着色部62に所望の形状および膜厚を有するCF膜(インク層)を形成するために必要なインクの総吐出回数を算出する。算出されたインクの総吐出回数は制御部12に送信される。
次に、図5(b)を参照して、被着色部62の上記面積に基づいた吐出対象領域63の決定方法について説明する。実際にインクの吐出処理を行う際、ノズル31から吐出されるインクの着弾精度、ノズル31の吐出速度のばらつき、およびインク吐出装置10の機械精度などから着弾位置の最大ばらつき量を考慮する必要がある。このため、確実に被着色部62内にインクを着弾させるためには、図5(b)に示すように吐出対象領域63は、最大ばらつき量、およびインクの着弾径の半径を加算した距離W1だけ被着色部62の内側に設定する必要がある。
距離W1を決定するために、最大ばらつき量、およびインクの着弾径の半径をあらかじめ吐出対象領域決定部11に入力する。例えば、インクの着弾径の半径は、インクの着弾後すぐに厚さ方向に吸収する、光沢紙などの材料を用いて測定すればよい。例えば、最大ばらつき量を15μm、着弾径の半径を15μmであるとき、W1が30μmとなる。よって、吐出対象領域62は、被着色部62の遮光部61との境界から30μm内側に、被着色部62の相似形として形成される。
なお、上述のように、被着色部62の親液性(ぬれ性)が高く、かつ遮光部61の撥液性が高い(ぬれ性が低い)場合には、被着色部62の内側に吐出対象領域63を設定すればよい。しかし、被着色部62の内、遮光部61の近傍には、レーザによる着色部の除去工程において、インク(色材)が完全に除去されずにわずかに残渣として残ることなどによって、被着色部62の一部の親液性が低下することがある。このとき、被着色部62と遮光部61との間にぬれ性の差がある程度大きくなければ、被着色部62の全体にインクがぬれ広がらないことがある。例えば、被着色部62が有するインクとの接触角が40°より大きく、かつ遮光部61が有するインクとの接触角が70°より小さいときには、上述のような理由から、被着色部62に対して十分にインクがぬれ広がらないことがある。
このような場合には、吐出対象領域63を、被着色部62だけでなく、遮光部61の一部が重なるように決定してもよい。例えば、図13に示すように、着色部62の外周からW9だけ外側にまでを吐出対象領域63として決定してもよい。このときのW9は、30μmである。ここで、多少のインクが遮光部61に乗り上げてしまうので、被着色部62に形成されるインクの膜厚が若干薄くなるため、CFとしての特性がわずかに低下する。しかし、被着色部62の全体に確実にインクをぬれ広がらせることができるため、輝点の形成による白色光漏れを確実に防止することができる。白色光漏れが生じているCFは製品として使用することができないが、インクの膜厚が若干薄くなる程度であれば、製品として問題はない。よって、CFを確実に修復するという観点から、被着色部62よりも大きく吐出対象領域63を設定することが好ましい。また、遮光部61に乗り上げるインクの量を実験によって求めておけば、輝点の形成を確実に防止すると同時に、被着色部62に所望の膜厚を有するインクの層を形成することができる。
上述の処理が全ての欠陥画素を撮像したデータに対して行われる。また、カメラが欠陥画素を撮像した基板20上の位置情報と、外部出力装置19から取得した基板20上の欠陥画素の位置情報とを照合することによって、複数の吐出対象領域63の形状のそれぞれは、基板20上の位置と対応付けが行われる。
吐出対象領域決定部11は、基板20上の位置が対応付けられた吐出対象領域63の形状を吐出順序決定部15、角度調整部14および制御部12に送信する。
ステップS3に続いて、吐出順序決定部15において、基板20上の位置が対応付けられた吐出対象領域63の形状に基づいて、複数の吐出対象領域63に対してインクを吐出する順序を決定する(ステップS4)。吐出順序決定部15は吐出対象領域63のすべてに対してインクを吐出するために必要な時間が最短となるように順序の決定を行う。
最短時間でインク吐出処理を行う順序を決める方法としては、以下のような方法を挙げることができる。例えば、(1)基板20に対するインク吐出処理における走査距離が最短になるよう順序を決定する方法、(2)走査方向が反転する回数が最小になるように順序を決定する方法、および(3)着目した吐出対象領域63の形状および位置から最も走査距離の短い吐出対象領域63を次に吐出が行われる領域として選択する方法などを挙げることができる。これにより、インク吐出装置10を用いた欠陥画素の修復処理のタクトタイムを短縮することができる。
吐出順序決定部15において決定された吐出順序の情報は、走査方向決定部16および制御部12に送信される。
取得した吐出順序の情報に基づいて、走査方向決定部16は複数の吐出対象領域63のそれぞれに対してインク吐出を行う際の基板20と、ノズル31との相対的な走査方向を決定する(ステップS5)。走査方向決定部16は、上記吐出順序の通りにインク吐出を行えるように、基板ステージ24が備える可動部7およびヘッドステージが備える可動部7の可動方向を決定する。決定した可動方向に基づいて、複数の吐出対象領域63のそれぞれに対してインクの吐出を行うときの基板20と、インクジェットヘッド3との相対的な走査方向をそれぞれ決定する。
走査方向決定部16は、決定した上記可動方向に基づいて、インク吐出処理中における可動部7の駆動を制御する。また、複数の吐出対象領域63のそれぞれに吐出を行うときの相対的な走査方向のそれぞれが補正信号供給部17へ送信される。
補正信号供給部17は、以下の2つの走査方向:
(1)ステップS2における欠陥画素の撮像時の走査方向;および
(2)上記走査方向決定部から取得した走査方向であって、該欠陥画素の形状に基づいて決定された吐出対象領域63へインク吐出する時の相対的な走査方向、
が有する角度の差異を、決定された吐出順序に従って、複数の吐出対象領域63のそれぞれについて判定する(ステップS6)。
ステップS6において、補正信号供給部17は、ある吐出対象領域63に対して(1)の方向と、(2)の方向が同一(NO)であると判定したとき、吐出対象領域63の形状補正を行わない。そして、形状補正を行わないという信号を、制御部12および角度調節部14へ送信する。
ステップS6において、補正信号供給部17は、ある吐出対象領域63に対して(1)の方向と、(2)の方向とが異なる(YES)と判定したとき、(1)の方向と、(2)の方向とが有する角度の差異の分だけ、ある吐出対象領域63の形状を回転させる信号を制御部12および角度調整部14に送信する(ステップS61)。
補正信号供給部17が、吐出対象領域63の形状補正を行うか否かを判定する方法、および吐出対象領域63の形状補正を行う方法について、図6を参照して以下に説明する。
図6(a)に示すように、基板20が配置された基板保持台24a(図2参照)がD1方向に可動する場合、欠陥画素の被着色部62aの修復を行うためには、被着色部62aの右上隅が窪んでいるため、インクジェットヘッド3の中央付近から左(L)側に位置するノズル31を用いてインクの吐出を開始する必要がある。また、図6(b)に示すように、基板20が配置された基板保持台24aがD2方向に可動する場合、欠陥画素の被着色部62aの修復を行うためには、インクジェットヘッド3の内、着色部62aの吐出対象領域63を通過する全てのノズル31から一斉に吐出が開始される必要がある。すなわち、走査方向が変わると、吐出対象領域63の形状に応じて、複数のノズル31からの吐出のタイミングを変えなければならない場合が生じる。
また、基板20上の複数の欠陥画素が被着色部62a、62b、62cおよび63dのような形状を有する場合、走査方向が同じであっても、複数の吐出対象領域63に対するノズル31のインク吐出開始のタイミングを変更する必要がある。このような場合の補正信号供給部17の処理について、図6(c)を参照して説明する。
例えば、基板20をD1方向に走査した時にパターン認識部5によって認識される画素の形状パターンのそれぞれ(例えば、形状ア、イおよびウなど)を、あらかじめ補正信号供給部17に記憶させておく。走査方向決定部16に決定された相対的な走査方向(ここでは、基板20の走査方向)は、インクジェットヘッド3が被着色部62aおよび62b上を通過する時にD2であり、インクジェットヘッド3が被着色部62cおよび62d上を通過する時にD1であったとする。
複数の欠陥画素の吐出対象領域63のそれぞれが有する形状情報を取得する(ステップ1)。被着色部62aの吐出対象領域63と、記憶させた複数の上記形状パターンのそれぞれとを比較する。被着色部62aの吐出対象領域63の形状と、吐出対象領域63の形状と相似の形状を有する形状パターン(形状ア)とを対応付ける(ステップ2)。形状アを対応付けた被着色部62aの吐出対象領域63の形状に相対的な走査方向(D2)を、さらに対応付ける(ステップ3)。被着色部62aの吐出対象領域63が形状アを有し、かつD2方向に走査しながら吐出を行う領域であることを補正信号供給部17が認識する(ステップ4)。被着色部62aの吐出対象領域63の補正信号として、D1(形状ア認識時の走査方向)と、D2(吐出時の走査方向)との角度の差異(180度)だけ吐出対象領域63の形状を回転させる信号が生成される。
上記の処理が、欠陥画素の被着色部62のすべて(ここでは、被着色部62a、62b、62cおよび62d)に対して行われる。生成された補正信号は、制御部12および角度調節部14に供給され、吐出対象領域63の形状補正に用いられる。
上記の処理を行うことによって、修復処理における走査方向が変わるおよび/または欠陥画素の形状が異なる場合であっても、制御部12は、実際のインク吐出処理に即した吐出対象領域63の形状を取得することができる。すなわち、インク吐出装置10を用いたインク吐出処理の全体を通して、インクジェットヘッドと基板との相対的な走査方向に対する吐出対象領域の形状を一定に保つことができる。
次に、角度調整部14は、ノズル配列方向の幅と、吐出対象領域63の幅とを比較することによって、ノズル配列方向と、吐出対象領域63の幅方向との角度を設定する。設定した角度に基づいて回転部35がノズル配列の角度調整をおこなう(ステップS7)。
角度調節部14によって行われるノズル配列の角度調整処理について図7を参照して以下に説明する。図7(a)は、ノズル配列方向と、欠陥画素の被着色部62の長辺方向とが略平行の状態を示しており、(b)は、ノズル配列方向と、欠陥画素の被着色部62の長辺方向とが角度αをなしている状態を示している。図中の矢印は、基板20上の欠陥画素の被着色部62が移動する方向を示している。
図7(a)に示すように、吐出対象領域63の幅W2よりもノズル配列の幅W4の方が長い。このような場合、インクジェットヘッド3bの両端にある2つのノズル31が幅W2より内側に位置するように角度調整部14は、ノズルの配列方向を調整する角度αを設定し、設定した角度αを制御部12および回転部35に送信する。
図7(a)に示すように、α=0度、または180×X度(Xは整数)の時、吐出対象領域63へインクを吐出し得るノズル31の数は、各ノズル31のピッチによって決まる。例えば、吐出対象領域63のサイズが幅399μm(W2)、長さ133μm、ノズル31のピッチが169μm(W3)であったとすると、吐出対象領域63へインクを吐出し得るノズル31の数は最大3つになる。
ここで、上記サイズの吐出対象領域63が決定された被着色部62を修復するために必要なインクの総吐出回数が300であったとする。このとき、吐出対象領域63へインクを吐出し得るノズル31の数は3つなので、1つのノズル31から100滴のインクを吐出する必要がある。
一方、図7(b)に示すように、吐出対象領域63の幅方向に対してノズルの配列方向が角度αの傾きを有している場合、吐出対象領域63にインクを吐出し得るノズル31の数を増加させ得る。例えば、W2=399μm、W3=169μm、α=60度のとき、図中の矢印の向きにインクジェットヘッド3を見た、吐出対象領域63の幅方向のノズル31の間隔は、84.5μmになる。W2は399μmなので、吐出対象領域63にインクを吐出し得るノズル31の数は5つである。すなわち、1つのノズル31からは60滴のインクを吐出すれば被着色部62の修復を行うことができるので、図7(a)の状態と比較して、走査速度を向上し得る。走査速度の向上はタクトタイムの短縮に繋がる。
ここで、α=90度のとき、ノズルの間隔は0μmであり、複数のノズル31のそれぞれから吐出されるインク数が最小になるように設定できるので、走査速度は最速である。しかし、インクを塗布することができる範囲が狭いため、1つの被着色部62を修復するために吐出対象領域63上を何度も往復する必要がある。この場合、被着色部62の修復処理は余計に時間がかかってしまう。また、αを大きく設定し過ぎると、インクジェットヘッド3の両端のノズル31がW2より大きく内側に配置されてしまうことによって、一度の走査だけでは被着色部62にインクが十分濡れ広がらない。これらの理由から、角度調整部14は、一度の走査で吐出対象領域63にインク吐出を終了し、かつ走査速度がより速くなるように角度αを設定する。
一度の走査によって吐出対象領域63にインク吐出を終了し得る最小の角度αをα1とすると、α1は以下のようにして決定される。
ノズル31の駆動周波数をf、基板保持台24aの駆動速度をsとすると、1つのノズル31から連続して吐出される2つのインクの着弾間隔をs/fと表すことができる。基板保持台24aの駆動方向に対する吐出対象領域63の長さを、2つのインクの着弾間隔s/fで割った数(小数点以下切捨て)が、1つのノズル31から吐出し得る最大のインク数である。
修復に必要なインク数(被着色部62の堆積をインク1滴の堆積で割った数)を1つのノズル31から吐出し得る最大のインク数によって割った数n(小数点以下切り上げ)が、一度の走査で吐出対象領域63を修復するために必要なノズル31の最小数である。
ここで、吐出対象領域63に対してインクジェットヘッド3が略平行である場合(図7(a)の状態)、インクジェットヘッド3の幅W3の範囲には少なくとも1つのノズル31が配置されているので、吐出対象領域63を通過するノズル31の数はW2/W3(小数点以下切捨て)と表すことができる。よって、インクジェットヘッド3を角度αで走査する場合(図7(b)の状態)、吐出対象領域63を通過するノズル31の数をW2/W3×COSα(小数点以下切捨て)と表すことができる。すなわち、α1はn=W2/W3×COSα1を満たす角度である。
一度の走査で吐出対象領域63にインク吐出を終了し、かつ吐出対象領域63を通過するノズル31が最大になるαを決定するためには、被着色部62の修復に必要なインク数、基板保持台24aの駆動速度、インク吐出信号の周波数、インクジェットヘッド3の駆動様式、着弾したインク間の距離など、さまざまなパラメータを考慮する必要がある。
中でも、着弾したインク間の距離はインクの濡れ広がりに与える影響が大きいため、一度の走査で吐出対象領域63にインク吐出を行うために十分考慮する必要がある。αが小さい(吐出に用いるノズル31の数が少ない)ほど、1つのノズル31から連続して吐出されたインク間の距離は短くなり、隣接するノズル31から吐出されたインク間の距離は長くなる。一方、αが大きい(吐出に用いるノズル31の数が多い)ほど、1つのノズル31から連続して吐出されたインク間の距離は長くなり、隣接するノズル31から吐出されたインク間の距離は短くなる。着弾したインク間の上記距離を考慮して、被着色部62に対して均等にインクが濡れ広がるようにαの値を決定することが必要になる。
以上の理由から、αはα1<α<90度を満たす角度であればよく、さまざまな上記パラメータを考慮して、α=(90度+α1)/2を満たす角度としてαを決定することが好ましい。
なお、基板保持台24aの駆動速度、インク吐出信号の周波数、およびインクジェットヘッド3の駆動様式と角度αとの関係(複数のノズル31のそれぞれが吐出し得るインク数)について、後述の「インク吐出信号の生成(ステップS9)」の説明において、具体例を示した説明を行っている。
制御部12は、1つの吐出対象領域63への吐出に用いるノズル31の数の割り当てと、割り当てられたノズル31のそれぞれから吐出されるインクの吐出回数および着弾位置の制御をする(ステップS8)。
制御部12が行う制御について、図8〜10を参照して以下に説明する。図8は、制御部12が行う制御処理の一例を説明するフローチャートである。
図8に示すように、吐出対象領域63の形状情報を取得する(ステップS81)。取得する形状情報とは、ステップS3およびS7から供給を受けた情報(吐出対象領域63の形状情報、および吐出対象領域63の補正角度)である。吐出対象領域63の形状情報に基づいて、実際にインクを吐出する吐出対象領域63の形状および向きを認識する。
ステップS7からのノズル配列の調整角度設定に基づいて、角度調整後におけるノズル配列全体の吐出対象領域63の幅方向に対する幅、および吐出対象領域63の幅方向に対するノズル31の間隔を確認する(ステップS82)。
ステップS81で取得した吐出対象領域63の幅と、ステップS82で取得したノズル配列全体の幅とを比較し、ステップS82で取得したノズル31の間隔を基づいてインクを吐出させるノズル31を決定する(ステップS83)。例えば、ステップS81において取得した吐出対象領域63の幅と比較して、ステップS82で取得したノズル配列全体の幅が大きい場合、ノズル31の上記間隔を用いてノズル31の位置を特定することによって、ステップS81において取得した吐出対象領域63の幅の内側を通過するノズル31を吐出に用いるノズル31として決定する。一方、ステップS81において取得した吐出対象領域63の幅と比較して、ステップS82で取得したノズル配列全体の幅が僅かに小さい場合、ノズル31の全てを吐出に用いる。
すなわち、吐出を行うノズル31の決定方法は、吐出対象領域63の基板走査方向と直交する方向の最大長さ、ノズル31のピッチ、およびノズル配列方向の角度αから、吐出対象領域62を通過する最大ノズル数を算出すると言い換えることができる。
吐出対象領域63を、ステップS83で決定されたノズル31の数で、縦方向に均等に分割する(ステップS84)。
ノズル31のそれぞれが通過する、分割した吐出対象領域63(以下、分割領域と称する)への割り当てを行う(ステップS85)。
割り当てられた分割領域の縦方向の距離に応じて、ノズル31のそれぞれから吐出するインクの吐出回数を決定する(ステップS86)。
ステップS84〜S86の処理の詳細について、図9を参照して以下に説明する。図9は、吐出対象領域63を、吐出に用いるノズルの数で均等な幅を有する分割領域に分割した状態を説明する平面図である。
図9に示すように、実際に吐出が行われる方向に補正された(回転させた)吐出対象領域63は、吐出に用いるノズル31の数で、均等な幅を有するように縦方向に分割されている。吐出対象領域63は、2種類の長さ(W7およびW8)を有する2種類の領域63aおよび63bから構成されている。領域63aは5個の分割領域63a’から構成され、かつ領域63bは16個の分割領域63b’から構成されている。
すなわち、本実施形態においては、ステップS84で吐出に用いるノズル31の数が21として決定されている。ノズル31の数は、ステップS83において決定された数であり、吐出対象領域63の幅(W5+W6)の内側を通過するノズル31の数である。
ステップS85において、合計で21個ある分割領域63a’および63b’のそれぞれには、その上方を通過するノズル31が1つずつ割り当てられる。
分割領域63a’および63b’のそれぞれが有する基板走査方向の長さ(W7またはW8)と、吐出するインク滴数との比率が一定になるように21個のノズル31のそれぞれから吐出されるインク滴数を決定する。
例えば、W5=100μm、W6=320μm、W7=112μm、W8=140μmとする。吐出対象領域63の上記4つの辺の長さと、形成を所望するインク層の膜厚とから、吐出対象領域63への吐出を要するインク滴の総数(インクの総吐出回数)が100と求められたとする。
領域63aは長さW7および幅W5を有し、領域63bは長さW8および幅W6を有する。従って、領域63aの面積:領域63bの面積=100×112:320×140=1:4となる。ここから、領域63aには20滴のインクが、領域63bには80滴のインクを吐出される必要がある。上述のように、領域63aには5個のノズル31、領域63bには16個のノズル31が割り当てられている。よって、制御部12は、領域63a’を通過するノズル31が4滴、領域63b’を通過するノズル31が5滴のインクを吐出するよう制御信号を生成する。
次に、ステップS86において決定されたノズル31のそれぞれのインク吐出回数(分割領域63a’および63b’のそれぞれに対するインクの吐出回数)に基づいて、分割領域63a’および63b’のそれぞれに対するインクの着弾位置を決定する(ステップS87)。
ステップS87における処理の詳細について、図10を参照して以下に説明する。図10は図9の分割領域63a’に対するインクの着弾位置を示している。
図10に示すように、分割領域63a’には、1つのノズル31から吐出されるインクが着弾し得る13の着弾可能位置101が存在する。ステップS86において、この欠陥画素の被着色部62を修復するための分割領域63a’に割り当てられた、ノズル31からのインク滴の吐出数は4滴である。よって、本実施の形態においては、分割領域63a’に均一にインクを塗布することができるように、13の着弾可能位置101から4つの着弾位置102が選択されている。図中のpは、ノズル31から吐出されるインクの最小着弾間隔を表している。
分割領域63a’の着弾可能位置101の数は、pの長さ、分割領域63a’の長さW7、インクの着弾径の半径から算出されている。ここで、本実施の形態のインク吐出装置10におけるノズル31の最小着弾間隔pは、インク吐出信号の周波数と、基板ステージ24の基板保持台24aの可動速度に依存する。インク吐出信号の周波数をf、基板保持台24aの可動速度をsとしたとき、最小着弾間隔pは、以下の式:
p=s/f
で表される。
インク吐出装置10は、インク吐出信号の周波数fを33.3kHz、基板保持台24aの駆動速度sを300mm/sと設定しているので、最小着弾間隔pは9μmである。また、W7は112μmであるので、分割領域63a’上に最大13の着弾可能位置101を設定することができる。
なお、図10には、インク滴が分割領域63a’内に着弾しているように描写されているが、図10は着弾可能位置101、着弾位置102および分割領域63a’を模式的に示した図である。実際には、略円形を有するインクの着弾痕の中心が分割領域63a’内に納まるように着弾可能位置101を設定すればよく、インク滴の一部が分割領域63a’の境界線を跨いで着弾してもよい。さらに、複数のインクの着弾痕が互いに重なり合ってもよい。本発明に係るインク吐出装置10において、インクの着弾位置の最大ばらつき量、およびインク滴の着弾半径を考慮して、吐出対象領域63は距離W1だけ被着色部62の内側に設定されている(図5(b)を参照のこと)。よって、インク滴を遮光部61に着弾させることなく、被着色部62内へ確実に着弾させることができる。
上述のように、分割領域63a’に対して均一にインクを塗布し得るように、13の着弾可能位置101から、4つの着弾位置102が選択されているが、以下のような選択方法であってもよい。例えば、領域63aの全体に対して均一にインクの塗布することができるように、隣接する分割領域63a’の間で、着弾位置102の調整を行ってもよい。さらに、例えば、吐出対象領域63の全体に対して均一にインクの塗布することができるように、領域63aおよび63bの間で、着弾位置102の調整を行ってもよい。さらに、例えば、吐出対象領域63が特に複雑な形状を有すること、または形成されている材料によって、インクが濡れ広がりにくいような箇所に対して着弾頻度が高くなるように着弾位置102の調整を行ってもよい。
ステップS8(ステップS81〜87)における以上の決定に基づいて、制御部12は、ノズル駆動部13へ供給するための制御信号を生成する(ステップS9)。
ここで、ノズル駆動部13からのインク吐出信号の出力のタイミングについて、隣接する2つのノズル31において、どちらのノズル31がどれだけ早く(または遅く)吐出対象領域63上に到達するのかを考慮する必要がある。隣接する2つのノズル31から吐出されるインクが吐出対象領域63上に到達する時間のずれは、吐出対象領域63の形状、ノズル31のピッチ、ノズル配列の調整角度αおよび基板保持台24aの動作速度sから算出することができる。算出した時間(タイミングのずれ)に従って、制御部12において生成される制御信号の出力を調整することによって、隣接するノズル31を駆動させるためのノズル駆動部13からのインク吐出信号の出力のタイミングを調整(早めるまたは遅らせる)すればよい。
また、隣接するノズル31を同時駆動させることが困難な構造を有するインクジェットヘッド3を用いる場合、インク吐出信号の周波数fに依存して、インクの吐出開始を同期し得ない場合が生じる。例えば、ノズル31にインクを供給するチャネルが1つの圧電素子の壁によって分離されているインクジェットヘッド3を用いた場合、3つ並んだノズル31からはインクを同時に吐出させることができない(4つ並んだノズル31の両端に位置する2つのノズル31は同時にインクを吐出することができる)。
ここで、隣接する2つのノズル31からインクを吐出させるインク吐出信号の周波数fを100kHz、ノズル配列の角度αを0度、および基板保持台24aの駆動速度sを300mm/sとする。
このとき、インクジェットヘッド3が1回インクを吐出する間に基板保持台24aはs/f(3×105(μm/s)/105(回/s)=3(μm/回))だけ移動する。隣接するノズル31を同時に駆動させることができないので、隣接するノズル31から吐出されるインクの着弾位置は、基板保持台24aの可動方向に3μmのずれを生じる。このずれが原因で、分割領域63a’または63b’に対する着弾可能位置101が減少する可能性がある。上述のように、3つ離れたノズル31でなければ同時にインクを吐出することができないので、インク吐出信号の周波数fを100kHzに設定しても、各ノズル31からはf/3の頻度でインクが吐出される。
ノズル配列の傾きαが0度ではないとき、上記ずれが大きくなり得るため、隣接する2つのノズル31を用いて吐出し得るインク数のばらつき(着弾可能位置101の数の差)が大きくなる可能性はさらに高まる。
上述したような点を考慮して、制御部12によってノズル31のそれぞれに対するノズル駆動部13のインク吐出信号生成の制御が行われる。この処理は、1つの吐出対象領域63にインクの吐出を行うノズル31の全てに対して行われる。
制御部12から供給された制御信号に基づいてノズル駆動部13がインク吐出信号を生成する。生成されたインク吐出信号に基づいて、ノズル31のそれぞれが駆動することによって基板20上にパターンを形成する(ステップS10)。
ノズル駆動部13において生成される上記インク吐出信号の詳細について、図11を参照して以下に説明する。図11(a)は制御部12が決定した図10の着弾位置102の制御信号に基づいてノズル駆動部13が生成するインク吐出信号の一例を示しており、(b)は(a)の信号を生成するための信号波形を示すグラフである。
例えば、吐出を指示する信号を1、吐出を行わない信号を0とする。このとき、図10の着弾位置102に着弾し得るように制御部12からの制御信号に基づいて、ノズル駆動部13は、図11(a)に示すようなデジタル信号を生成する。矢印は、ノズル31が分割領域63a’上を相対的に通過する方向を示している。
また、図11(a)のデジタル信号を出力した時の信号波形は、(b)のような波形として表すことができる。図11(b)において、横軸が時間(t)を、縦軸が電圧の大きさ(V)を示している。
上述のように、制御部12からの制御信号によって、ノズル駆動部13からノズル31のそれぞれを駆動させるために出力されるインク吐出信号の出力が制御されている。インク吐出信号をインクジェットヘッド3に送信する、および走査方向決定部16からの駆動信号を可動部7に送信することによって、ノズル31からのインクの吐出と可動部7の駆動とを連動させる。これにより、所望の位置に所望の形状のパターンを形成することができる。
基板20上に存在する全ての吐出対象領域63のそれぞれに対して、ステップS6〜S10までの処理を行ったか否かを確認する(ステップS11)。
全ての吐出対象領域63のそれぞれに対してパターン形成が完了していれば、インク吐出装置10は処理を終了する。修復が行われていない吐出対象領域63が存在する場合、再度ステップS6から処理を行う。
本実施の形態において、吐出対象領域63のそれぞれにインク吐出を行うとき、制御部12による制御処理を行うよう説明した。実際には、以下の制御:
(1)吐出対象領域63の形状補正;
(2)ノズル配列角度の調整;
(3)分割領域のそれぞれに対するノズルの割り当て;
(4)分割領域のそれぞれに対するインクの吐出回数の決定;および
(5)分割領域のそれぞれに対するインクの着弾位置の決定、
をすべての吐出対象領域63に対して行い、インク吐出する吐出対象領域63に合わせて、制御部12、角度調整部14および走査方向決定部17からの信号を用いて、ノズル駆動部13、可動部7および回転部35の動作を制御してもよい。
以上に説明したように、本実施形態のインク吐出装置10を採用することによって、画素形状に応じたノズル31の割り当てを行い、かつインクの吐出回数、および着弾位置の制御を行うことができるので、複雑な形状を有する欠陥画素の修復を、正確に膜厚を制御した状態で、短時間で実施することができる。
ここで、図12を参照して、本発明に係るインク吐出装置10を用いて所望の形状および膜厚にインク層を形成し得る画素の形状を例示する。図12(a)は遮光部61に取り囲まれた1つの画素の形状を示しており、(b)は異なる形状を有する複数の画素が同一基板20上に配列されたCFパネルを示しており、(c)は大きさの異なる複数の画素から構成されているCFパネルを示している。
図12(a)に示すような、角を無くした遮光部61に取り囲まれた画素の着色部62などは、今後の開発が想定される形状である。(b)に示すような、(a)の形状の左右を反転させた形状、および上下を反転させた複数の形状の画素(非同一形状の複数の画素)を組み合わせたCFパネルなども想定される。(b)に示した、4つの画素の中心付近において幅が大きくなるように形成した遮光部61の形状は、TFT駆動部の遮光効率を高めることができるため、CFパネルの構成として有効である。さらに、パネルのサイズの多様化に伴い、(c)に示すような、面積が異なる画素が形成されることなども十分に考え得る。
図12を用いて例示したような、画素のそれぞれが5つ以上の角および辺を有する多角形形状から構成されている場合、1つのパネル上に異なる形状を有する複数の画素の形成を所望する場合、および面積が異なる複数の画素を形成する場合など、これらいずれの場合においても、本実施の形態のインク吐出装置10を用いることによって、所望の形状および膜厚を有する画素の形成を、正確かつ短時間で行うことができる。よって、鮮明な画素を形成したCFパネルを容易に製造することができる。
また、本実施の形態では、CFパネル上の欠陥画素を修復するためのインク吐出装置10を例に挙げて説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。本発明は、例えば、TFTパネル上に存在する積層膜の欠陥部の修復に適用することができる。本発明は、例えば、マトリクス状またはストライプ状に並んだ複数の被吐出部を有するエレクトロルミネッセンス(EL)表示装置の製造に適用することができる。本発明は、例えば、プラズマ表示装置の背面基板の製造に適用することができる。本発明は、例えば、電子放出素子を備えた画像表示装置の製造に適用することができる。本発明は、例えば、半導体回路素子または電子回路基板に対する配線や絶縁膜の形成に適用することができる。
以上において、パターン認識部5が認識したパターンの形状に基づいて、吐出対象領域を決定し、欠陥部を含む画素をレーザによって除去した被着色部62にインクを吐出するインク吐出装置10について説明した。インク吐出装置10によって、CFの欠陥画素の形状に合わせて、適切な箇所に適切な量の修正用CFインクを塗布するシーケンスを実行することができる。以下において、不定形な欠陥部を、レーザによって除去せずにそのまま修復する方法について説明する。
〔不定形な欠陥部の修復〕
CFにおける欠陥部を修復する場合には、レーザトリミングによって矩形または多角形の被着色部62を形成して、被着色部62にインクを吐出すればよい。しかし、TFTパネルにおいては、絶縁膜欠陥部、透明電極欠陥部、配線欠陥部、配向膜欠陥部、またはフォトリソグラフィープロセス過程のレジスト欠陥部などの様々な形状(多角形ではない不定形)を有する欠陥が生じる。これらの欠陥は、積層膜の一部の欠陥であって、欠陥部を含む領域をレーザ照射によって所望の形状に除去することが難しい。さらに、膜欠陥部と正常膜形成部との境界に、ぬれ性の差またはバンク(段差)などが形成されていない場合が多い。これらの理由から、TFTパネルにおける不定形な欠陥部の所望の位置に所望の量のインクを塗布することが困難である。このような場合であっても、本発明のインク吐出装置10は、図4に示したの処理フローの一例にしたがって、TFTパネルなどにおける不定形な膜欠陥部を適切に修復することができる。本発明のインク吐出装置10によって、不定形な欠陥部を修復する処理の詳細について、図14〜16を参照して、以下に説明する。
不定形の欠陥部を修復する場合には、〔インク吐出装置10の欠陥画素の修復処理〕の項において説明した処理の内、ステップ3における処理を変更すればよい。詳細には、ステップ3における、吐出対象領域決定部11によるパターン認識部5が撮像した欠陥部の画像の処理が異なる。
まず、インク吐出装置10が備えるパターン認識部5によって、TFTパネル上の膜欠陥部を撮像する。膜欠陥部は、パターン認識部5と、撮像対象である膜欠陥部を有するTFTパネルとを静止させた状態において撮像することが好ましい。これは、膜欠陥部の位置情報および形状(寸法)情報をより正確に取得するためである。レーザ除去されたCF画素の被着色部62の位置、形状および面積などの情報を取得する場合であってもパターン認識部5および撮像対象を静止させた状態において被着色部62を撮像することが好ましい。正確な情報を取得することによって、より正確にインクの吐出位置および吐出量を決定することができるため、より正確に欠陥を修復することができる。ここでは、パターン認識部5は、TFTパネルの全面を走査して膜欠陥部を撮像しているが、別の欠陥検査装置を用いて予め膜欠陥部の情報を取得してもよい。また、CF画素の欠陥部を含む修復領域などの情報は、比較的に単純な光学系であるパターン認識部5によって取得することができるが、サブミクロンの厚さを有する膜欠陥部などの情報を取得するためには、パターン認識部5は、微分干渉光学系などを備えていることが好ましい。
図14(a)は、TFTパネルのTFTにおける正常なソース/ゲートクロス部の断面図であり、図(b)は、TFTの形成中に異物が付着したパネルの一例を示す断面図であり、(c)は、(b)のパネルから異物を取り除いたときの状態を示す断面図であり、(d)は、(c)の上にソース膜を形成した状態を示す断面図である。
図14(a)に示すように、TFTは、ガラス基板70上に形成されたゲート膜71、基板70およびゲート膜71上に形成されたゲート絶縁膜72、ならびにゲート絶縁膜72上に形成されたソース膜73から構成されている。このように、TFTを構成する膜は、ゲート膜71を除いて平坦な面に形成されている訳ではない。さらに、TFTは、性質の異なる膜を積層することによって形成されている。このため、欠陥部が生じた場合、欠陥部として露出する膜(基板)の性質によってレーザ処理が困難になる場合がある。また、欠陥部が平坦な面に形成されないこと、または欠陥部として露出する膜(基板)の性質が異なることがあるため、修復によって欠陥部に対して均一な膜を形成することが困難な場合がある。
図14(b)に示すように、TFTの形成中(ゲート膜71の形成後)にゲート膜71とガラス基板70とにまたがって異物74が付着したため、ゲート膜71およびガラス基板70の一部に適切にゲート絶縁膜72が形成されていない。そして、図14(c)に示すように、異物74を除去すると、ゲート膜71およびガラス基板70の一部が欠陥部75(パターン)として露出する。欠陥部75を放置したままソース膜73を形成すると、図14(d)に示すように、ゲート膜71とソース膜73とが短絡する。このままの状態において、液晶ディスプレイとして組み上げると、直線上に連なった画素のすべてが駆動しない線欠陥と呼ばれる致命的な不良を発生する。このように、TFTパネルの形成においても、修復を要する欠陥部75が形成されることがある。しかし、CFパネルの画素の欠陥とは異なり、TFTパネルにおいては、欠陥部として露出する部分が、平坦ではないこと、または異なる性質を有する材料から構成される場合があるため、異なる処理を要する。
図14(c)をインク吐出装置10のパターン認識部5として微分干渉光学系を備えるカメラによって撮像したときの絶縁膜の欠陥部75は、図示しないカラー画像として取得することができる。このとき、光学系を調整することによって見え方(欠陥部の色目)を変化させることができる。つまり、絶縁膜の有無および膜厚の分布によって、絶縁膜の欠陥部75を青色またはオレンジ色などに変色させて、画像上において浮き彫りして表示することができる。パターン認識部5によって撮像した絶縁膜の欠陥部75は、大きさおよび形状が不規則(不定形)である。また、絶縁膜の欠陥部75は、ゲート膜71またはガラス基板70など様々な下地膜が露出した箇所であるため、修正用の絶縁材料からなるインクに対するぬれ性が異なる。さらに、欠陥部と正常部との境界においてぬれ性の差(親撥液コントラスト)が存在しておらず、同時に、欠陥部75の周囲には、インクのダムとなるような(インクの流出を食い止める)バンク(段差)も存在しない。このような膜の欠陥部75を適切に修復するためには、欠陥部75の表面(インク塗布表面)の改質、および膜の欠陥部75に対する適切なインクの吐出制御が必要である。
インク塗布表面の改質によって、様々なぬれ性を有する下地膜が露出した欠陥部75(インク吐出領域)のぬれ性をできるだけ均一にすることが好ましい。例えば、インク吐出装置10は、大気圧プラズマ源または紫外線洗浄光源などのインク付着表面改質ユニットを備えていればよい。欠陥部75を構成するあらゆる下地膜を、ある程度以上(インクに対する接触角が約30°以下)にぬれ性を有する状態に改質することによって、吐出したインクのぬれ広がりをほぼ均一にすることができる。例えば、インクに対する接触角が10°〜30°の範囲である欠陥部75に対して、6plのインク滴を吐出すると、インクは、Φ48μm〜Φ70μmにまでぬれ広がる。よって、インク吐出による欠陥部75の修復(修復インク塗布プロセス)を再現性よく実現することができる。これと同時に、吐出されたインクが弾かれることを抑制するので、ピンホールなどの発生を防止することができる。以上のように、欠陥部75の表面を改質することによって、確実に膜の欠陥部75を修復することができる。
膜の欠陥部75に対する適切なインク吐出制御は、本発明のインク吐出装置10によって実現することができる。より確実に膜の欠陥部75の修復を行うために、図15(膜の欠陥部75および吐出対象領域63を表示した時)に示すように、パターン認識部5によって膜の欠陥部75を撮像することによって形状を認識する。撮像した膜の欠陥部75の形状に基づいて、吐出対象領域決定部11が、欠陥部75を含む吐出対象領域(多角形)63を画像処理によって仮想的に生成する。吐出対象領域決定部11は、撮像画像に1つの欠陥部のすべてが収められているため、撮像された画像における最大の面積を有する多角形(例えば、画像のサイズに最も近い矩形など)として吐出対象領域63を決定する。仮想的に生成した吐出対象領域63を塗りつぶすようにTFTパネル上に吐出インクを吐出すればよい。吐出対象領域63を決定する処理以外は、〔インク吐出装置10の欠陥画素の修復処理〕の項を参照すればよい。以上のようにして、膜の欠陥部75を含む大きな面積に修復用の絶縁材料からなるインクを所定量だけ塗布することによって、不定形な欠陥膜75を好適に修復することができる。
膜の欠陥部75よりも大きな面積に修復用のインクを塗布すれば、確実に膜の欠陥部75を修復することができる。しかし、欠陥部75に比べて必要以上に大きな面積に修復用のインクを吐出すると、当然、修復用のインクを塗布する必要がない部分(正常部または正常面)にインクが塗布される。つまり、TFTパネルにおける膜の欠陥部75周囲の正常面の層厚が若干厚くなる。これによって、正常部の液晶層の厚さを変化させるので、正常部における液晶ディスプレイ特性を劣化させてしまう。このため、膜の欠陥部75とできるだけ小さな面積の正常部とに修復用のインクを塗布することが好ましい。
欠陥部75を確実に修復し、かつ最小限の面積に対してインクを塗布する方法の一例について、図16および図17を用いて、以下に説明する。図16は、図14(c)の欠陥部75に対して最小の吐出対象領域63を設定した画像を示す平面図である。図17(a)は、欠陥部75の形状に基づいて、吐出対象領域63を設定する処理を示す平面図であり、(b)は、(a)の後に行われる処理を示す平面図である。
図16に示すように、吐出対象領域決定部11は、パターン認識部5が取得した膜の欠陥部75の画像から吐出対象領域63を決定する。図16の吐出対象領域63は、欠陥部75を内部に含み、かつインクの着弾可能位置(インク吐出候補位置)を結ぶ、最も小さな面積を有する多角形として設定される。インクの着弾可能位置は、基板保持台24aの移動速度、吐出信号の周波数、およびインクジェットヘッド3の走査方向と角度αとの関係から求めることができる。上記多角形として吐出対象領域63を設定することによって、欠陥部75をインクによって確実に埋め、かつ正常部に対するインクの吐出量を最小限に抑えることができる。つまり、上記多角形として吐出対象領域63によって、欠陥部75を確実に修復し、かつ正常部に対する不要な2重の膜形成を極力回避することができる。また、修復に使用するインクを節約することができる。
ここで、ゲート絶縁膜72に形成された欠陥部75の修復などにおいては、CF修復とは異なり、成膜後の膜厚を比較的に薄く(例えば、0.3〜1μm程度に)する必要がある。このため、CF修復において問題にならなかったような着弾インク同士が極端に重なることを避ける必要がある。これは、CF修復においては、ぬれ性の差(親撥液コントラスト)を有するバンク(BMまたはレーザ除去していない着色部)に囲まれた領域内に大量のインクを着弾させるため、インクが多少重なっても成膜後の膜厚に大きな影響を与えないからである。
図17(a)に示すように、吐出対象領域決定部11は、パターン認識部5によって取得した欠陥部75および正常部の画像を2値化処理した後に、(1)欠陥部75の重心78の決定、(2)重心78から伸びる複数の放射線79の配置(2値化画像の区画化)、(3)区画内における代表点80の決定、(4)みなし欠陥形状81の決定、および(5)みなし欠陥形状81の拡大を行う。
(1)において、重心78は、2値化した欠陥部75の形状から、コンピュータなどによる公知の演算処理によって決定される。(2)において、配置する放射線79の本数は、任意に増減させてもよい。ここでは、36本の放射線79を用いて2値化した欠陥部75を略扇型に区画化している。放射線79の数を増やせば、みなし欠陥形状81を欠陥部75の形状に近づけることができる。当然、略扇型の区画が増えると、演算処理に時間を要するので、欠陥部75の修復に要する精度に合わせて、適宜、放射線79の本数を調節すればよい。(3)において、代表点80は、欠陥部75の略扇型区画の内、重心78から最も遠い点が選択される。(4)において、みなし欠陥形状81は、隣接する2つの区画にある代表点80のすべてを結ぶことによって囲まれる領域として、決定される。(5)において、代表点80を、代表点80と重心78とを結ぶ直線に沿って、10μmだけ遠ざけて、みなし欠陥形状81を拡大する。これによって、拡大領域77が決定される。みなし欠陥形状81を拡大して拡大領域77を設定することによって、欠陥部75を吐出対象領域63に確実に含めることができる。つまり、欠陥部75の近くにある正常部の一部も吐出対象領域63に含まれる。なお、吐出対象領域63として拡大領域77を使用して、不定形な欠陥部75を修復してもよい。
次に、図17(b)に示すように、拡大領域77は、複数のインクの着弾可能位置82を結ぶ直線によって囲まれる多角形として、決定される。これによって、拡大領域77を簡素な形状として決定することができる。つまり、拡大領域77を表すデータの情報量が小さくなる。よって、インク吐出装置10は、演算処理の速度が向上して、効率的に稼動(欠陥を修復)することができる。インクの着弾可能位置82は、副走査方向のノズルピッチと主走査方向のインクの着弾ピッチとから、決定される。上記ノズルピッチは、インクジェットヘッドの回転角度、走査方向およびノズルの配置位置から決定される。上記着弾ピッチは、基板保持台24aの移動速度(インクジェットヘッドの走査速度)、および吐出信号の周波数から決定される。
ここで、インク吐出装置10は、通常、着弾可能位置82の中心にインクが着弾するようにインクを吐出する。着弾可能位置82は、上述のように、インク吐出装置10の稼動条件によって決まる仮想的な位置である。また、着弾可能位置82は、画像の平面上のX(紙面の左右)および(紙面の上下)Y方向に並ぶ、2次元的なマトリックス状の分布を有している。また、着弾可能位置82のそれぞれが有する中心には、例えば、基板支持台24a上などにおける座標が割り当てられている。吐出対象領域決定部11は、着弾可能位置82の分布を表すデータと拡大領域77を表すデータとを重ね合わせて、拡大領域77の内側にある着弾可能位置82を表す座標を特定する。これによって、拡大領域77の外側にある着弾可能位置82を表す座標も特定される。そして、吐出対象領域決定部11は、拡大領域77の外側にある複数の着弾可能位置82の内、隣接する2つの着弾可能位置82のそれぞれを結んだ多角形として、吐出対象領域63を決定する。また、吐出対象領域63の面積を最小化するために、上記多角形を構成する点として、拡大領域77とが接することなく、拡大領域77に最も近い着弾可能位置82が選択される。
ここで、吐出対象領域63としての多角形を最小化する方法の一例を以下に説明する。まず、拡大領域77よりも十分に大きな任意の多角形(例えば、矩形など)を仮の吐出対象領域として設定する。次に、仮の吐出対象領域を縮小する。具体的には、仮の吐出対象領域の外周として設定する着弾可能位置82を重心78方向に隣接する着弾可能位置82に変更していく。重心78方向に変更した着弾可能位置82が拡大領域77に含まれていないと判断されたとき、さらに重心78方向に隣接する着弾可能位置82に設定を変更する。変更後の着弾可能位置82が拡大領域77に含まれる判断されたとき、変更前の着弾可能位置82を、真の吐出対象領域63を構成する着弾可能位置82として決定する。この処理を、仮の吐出対象領域を構成する着弾可能位置82のすべてについて行うことによって、拡大領域77を含む、最小の面積を有する吐出対象領域63を決定することができる。つまり、吐出対象領域決定手段11は、仮の吐出対象領域の外周(として設定する複数の着弾可能位置82)を欠陥部75の重心78方向に移動させることによって、真の吐出対象領域63に含まれる着弾可能位置82を減少させる。このときの吐出対象領域63の最小化は、仮の吐出対象領域を変形することによって行われている。
上述のように、TFTパネルの欠陥部75を修復する場合には、修復後の膜厚を小さくする必要がある。膜厚を小さくするためには、吐出対象領域63に着弾したインク同士が極端に重なり合わないようにインクを吐出する必要がある。修復後の膜厚を小さくし得るインクの吐出位置を決定する方法の一例について、以下に説明する。なお、図17(b)において、黒く塗りつぶされた着弾可能位置82は、インクの吐出位置として選択された
吐出予定位置を表している。図17(b)に示すように、吐出対象領域63内の吐出予定位置において、ノズルピッチ(紙面の左右)の方向に2ピッチ、走査(紙面の上下)方向に3ピッチの間隔があっても、隣接するインク滴の一部が互いに重なる。つまり、吐出対象領域63内に吐出する適切なインクの量と、着弾したインク滴の一部が互いに重なるような吐出予定位置の決定を、吐出対象領域決定部11が決定する。
なお、ここでは、39個の吐出予定位置を吐出対象領域63内に分散して設定しているが、膜厚を大きくしたい場合には、より多くの吐出予定位置を設定してインクの吐出量を増やしてもよい。一方において、膜厚を小さくしたい場合には、より少ない吐出予定位置を設定してインクの吐出量を減らしてもよい。なお、吐出予定位置として設定する数を減らす場合には、着弾したインク滴の一部が互いに重なり、かつ最も外側にある吐出予定位置を結んだ多角形が拡大領域77を含むように、吐出予定位置を設定すればよい。
走査方向とノズルピッチ方向とにおいて、隣接するインク滴が重なるためには、1つのノズル吐出された隣接するインクの一部が互いに重なること、および隣接するノズルから吐出された隣接するインクが重なることが必要である。つまり、上記着弾ピッチおよび上記ノズルピッチを適切に調節する必要がある。
例えば、1滴が6plのインクを吐出するインクジェットヘッド3を使用し、かつ欠陥部75が有する接触角が小さい(例えば、10°)とき、1滴のインクは、約70μmの直径の円状にぬれ広がる。このとき、上記着弾ピッチが70μm以下になるように、インクジェットヘッド3を、回転させればよい。インクの吐出量、またはインクが吐出される対象の接触角(インクのぬれ広がりの程度)の大きさに合わせて、適宜、インクジェットヘッド3を回転させる角度を変えればよい。また、1つの欠陥部75において、インクに対する接触角が変化している(10°〜30°の範囲において振れがある)場合には、インクに対するぬれ性が最も悪い条件に合わせてインクジェットヘッド3を回転させる角度を変えてもよい。
また、例えば、上述の条件(1滴のインクが70μmにぬれ広がる)と同様であり、かつ欠陥部75に設定された吐出対象領域63が約30μmの直径を有するとき、基板20とノズル31とを静止させて必要量のインクを1箇所に吐出することが好ましい。これによって、インクの吐出によって形成される膜を最小の面積にすることができる。よって、インクの使用量を減らし、かつ欠陥部75周囲の正常部における二重成膜を最小限に抑えることできる。
以上において、不定形の欠陥部75よりも大きな吐出対象領域63を設定する方法について説明した。これは、上述のように、不定形の欠陥部75と正常部との間に、ぬれ性の差、およびインクの流出を防ぐ段差(バンク)がないため、欠陥部75に特異的にインクを吐出することが困難であるためである。よって、不定形の欠陥部75と正常部との間に、ぬれ性の差、またはインクの流出を防ぐ段差(バンク)があるときには、逆に不定形の欠陥部75よりも大きな吐出対象領域63を設定することが好ましい。例えば、TFTの製造工程の内、ガラス基板上の全面にゲート膜を形成し、さらにレジストを全面に塗布したときの、フォトリソグラフィー技術によるゲートをパターニングする工程において、不定形の欠陥部75よりも大きな吐出対象領域63を設定してもよい。このとき、不定形の欠陥部75は、レジストが正常に塗布されずに、ゲート膜が露出している箇所である。ゲート膜に対するレジスト用インクの接触角は約10〜20°である。また、ベイクされたレジスト膜に対するレジスト用インクの接触角は約50〜60°である。つまり、正常部と欠陥部75との間には、十分な(30°以上の)接触角の差(ぬれ性の差)がある。このとき、例えば、図17(a)のみなし欠陥形状81の内側にある複数の着弾可能位置82を結んだ多角形を、吐出対象領域63として設定すればよい。欠陥部75のぬれ性が十分に高く、かつ正常部のぬれ性が十分に低いため、インクが欠陥部75と正常部との境界にまで十分ぬれ広がる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
(その他の構成)
なお、本発明は、以下の構成によっても実現することができる。
(第1の構成)
透明基板上に、光を通さない遮光部により区画化されて着色材料が形成されたカラーフィルター基板に点在する欠陥画素を、インクジェットヘッドにより着色材料を吐出して修復する欠陥修復装置において、
前記欠陥画素の着色材料形成領域の少なくとも一部が除去されることにより、多角形形状からなる吐出可能領域が形成されるとともに、
媒体上に点在した欠陥画素に対して、インク着弾可能な多角形形状からなる吐出可能領域を認識する形状認識手段と、
前記形状認識手段により認識された前記吐出可能領域の形状に応じて、吐出ノズルを割り当てるノズル割り当て手段と、
各割り当てられたノズルに対して前記吐出可能領域の形状に応じて吐出着弾位置を算出する吐出位置算出手段と、
吐出着弾位置に応じて吐出パターンを生成し、その結果を電気信号としてインク吐出部に伝達する吐出パターン生成手段とを備えているインク吐出装置。
(第2の構成)
前記形状認識手段は、
前記欠陥画素の着色材料形成領域の少なくとも一部を除去するための不要膜除去パターンを、前記ノズル割り当て手段に転送する情報転送手段と、
前記不要膜除去パターンの位置情報に基づき、前記欠陥画素を修復する順序を決める修復順序決定手段と、
前記修復順序決定手段により、前記欠陥画素を修復するための基板−インクジェットヘッド間の相対走査方向を決定する走査方向決定手段と、
前記走査方向決定手段の情報に基づき、前記不要膜除去パターンの形状を回転させて認識する前記不要膜除去パターン形状補正手段と、
を備えている第1の構成に係るインク吐出装置。
(第3の構成)
前記吐出位置算出手段は、
前記不要膜除去パターンの形状に応じて割り当てられた各ノズルからの吐出着弾位置をノズルごとに調整する第1の構成に係るインク吐出装置。
(第4の構成)
透明基板上に、光を通さない遮光部により区画化されて着色材料が形成されたカラーフィルター基板に点在する欠陥画素を、インクジェットヘッドにより着色材料を吐出して修復する欠陥修復装置において、
前記欠陥画素の着色材料形成領域の少なくとも一部が除去されることにより、多角形形状からなる吐出可能領域が形成されるとともに、
媒体上に点在した欠陥画素に対して、インク着弾可能な多角形形状からなる吐出可能領域を認識し、
認識された前記吐出可能領域の形状に応じて、吐出ノズルを割り当て、
各割り当てられたノズルに対して前記吐出可能領域の形状に応じて吐出着弾位置を算出し、
さらに、吐出着弾位置に応じて吐出パターンを生成し、その結果を電気信号としてインク吐出部に伝達することでインク滴を吐出するインク吐出制御方法。
(第5の構成)
前記吐出可能領域の認識方法として、
前記欠陥画素の着色材料形成領域の少なくとも一部を除去するための不要膜除去パターンを、前記ノズル割り当て手段に転送するとともに、
前記不要膜除去パターンの位置情報に基づき、前記欠陥画素を修復する順序を決定し、
その順序から、前記欠陥画素を修復するための基板−インクジェットヘッド間の相対走査方向を決定し、
さらに、各欠陥画素に対する走査方向の情報に基づき、前記不要膜除去パターンの形状を回転して認識することで前記不要膜除去パターン形状を補正する第4の構成に係るインク吐出制御方法。
(第6の構成)
インクを付着させる領域の基板表面が相対的に親液性を有し、かつインクを付着させない領域の基板表面が相対的に撥液性を有する基板上への上記吐出対象領域決定手段は、上記パターン認識手段において、静止した撮像手段によって基板上のパターンを一つの視野内に納めて撮像し、上記インク吐出領域を基板上のインク吐出候補位置の最外周位置を結ぶ多角形が所望するパターン内に納まり、かつ前記多角形内に存在するインク吐出候補位置にインクの吐出を行うように、決定するインク吐出装置。
(第7の構成)
インクを付着させる領域の基板表面とインクを付着させない領域の基板表面が相対的に親撥液性を有さない基板上への上記吐出対象領域決定手段は、上記パターン認識手段において上記パターン認識手段は、静止した撮像手段によって基板上のパターンを一つの視野内に納めて撮像し、上記インク吐出領域を基板上のインク吐出候補位置の最外周位置を結ぶ多角形が所望するパターンよりも大きく、かつ前記多角形の面積が最小となり、かつ前記多角形内に存在するインク吐出候補位置にインクの吐出を行うように、決定するインク吐出装置。
(プログラムおよび記録媒体)
最後に、インク吐出装置に含まれている各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成すればよい。または、次のように、CPU(Central Processing
Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、インク吐出装置は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU、該制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)、該制御プログラムを実行可能な形式に展開するRAM(Random Access Memory)、および該制御プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)を備えている。
この構成によって、本発明の目的は、所定の記録媒体を用いることによっても達成し得る。所定の上記記録媒体は、上述した機能を実現するソフトウェアであるインク吐出装置の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)を、コンピュータを用いて読み取り可能に記録していればよい。インク吐出装置に上記記録媒体を供給する。これにより、コンピュータを備えているインク吐出装置(またはCPUやMPU)が、供給された記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し、実行すればよい。
プログラムコードを供給する記録媒体は、特定の構造または種類のものに限定されない。すなわち、上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを挙げることができる。
また、インク吐出装置を通信ネットワークと接続可能に構成しても、本発明の目的を達成できる。この場合、上記のプログラムコードを、通信ネットワークを介してインク吐出装置に供給する。上記通信ネットワークは、インク吐出装置にプログラムコードを供給できるものであればよく、特定の種類または形態に限定されない。上記通信ネットワークとしては、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網などを挙げることができる。
この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な任意の媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、例えば、IEEE1394、USB(Universal Serial Bus)、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線を挙げることができる。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態としても実現され得る。