JP2008147005A - 自動車用鉛蓄電池制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】サルフェーション劣化を精度良く検出し、最適な状態でサルフェーション劣化を抑制できる技術の実現。
【解決手段】コントローラ5は、鉛蓄電池1の電圧及び充放電時の瞬間電流に基づいて鉛蓄電池の充電抵抗RCHGを算出し、鉛蓄電池1の温度TCHGを検出し、記鉛蓄電池1の充電抵抗及び温度に基づいてサルフェーション劣化判定を行うと共に、サルフェーション劣化判定結果に基づき、鉛蓄電池1のサルフェーション劣化を抑制する制御を行う。
【選択図】図4
【解決手段】コントローラ5は、鉛蓄電池1の電圧及び充放電時の瞬間電流に基づいて鉛蓄電池の充電抵抗RCHGを算出し、鉛蓄電池1の温度TCHGを検出し、記鉛蓄電池1の充電抵抗及び温度に基づいてサルフェーション劣化判定を行うと共に、サルフェーション劣化判定結果に基づき、鉛蓄電池1のサルフェーション劣化を抑制する制御を行う。
【選択図】図4
Description
本発明は、自動車用鉛蓄電池のサルフェーション劣化を判定し充放電を制御することでサルフェーション劣化を抑制する技術に関する。
自動車用鉛蓄電池では、図1に示すように、二酸化鉛(PbO2)からなる電極面(正極)に硫酸鉛(PbSO4)が放電と共に生成される。そして、この電極面に生成された硫酸鉛によって、鉛蓄電池の充放電反応が著しく低下する現象を、サルフェーション劣化という。
電極面がサルフェーション劣化している鉛蓄電池は、電極面に形成される硫酸鉛の一部が還元されないため、硫酸鉛が電極面に、H2Oが電解液中に残存する(比重は低下する)ことで充電可能容量を低下させる。
従来のサルフェーション劣化を制御する技術として、サルフェーション劣化の発生を予測し、その発生可能性を元に発電機を作動させるものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開平6−296302号公報
ところが、上記特許文献1は、サルフェーション劣化の発生可能性を予測するもので、鉛蓄電池の充電抵抗(電圧及び電流)や温度という直接的な測定値を用いて検出するものではないため、サルフェーション劣化の発生を精度良く検出するには限界がある。また、サルフェーション劣化を起こした鉛蓄電池は正規の状態へ回復することが困難である。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされ、その目的は、バッテリを車載した状態において、バッテリの充電抵抗(電圧及び電流)や温度を直接的に検出することで、サルフェーション劣化を精度良く検出し、最適な状態でサルフェーション劣化を抑制できる技術を実現することである。
上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る第1の形態では、鉛蓄電池の電圧及び充放電時の瞬間電流を検出する電圧電流検出手段と、前記鉛蓄電池の電圧及び充放電時の瞬間電流に基づいて前記鉛蓄電池の充電抵抗を算出する充電抵抗算出手段と、前記鉛蓄電池の温度を検出する温度検出手段と、前記鉛蓄電池の充電抵抗及び温度に基づいてサルフェーション劣化判定を行う劣化判定手段と、前記サルフェーション劣化判定結果に基づき、前記鉛蓄電池のサルフェーション劣化を抑制する劣化抑制手段と、を具備する。
また、第2の形態では、前記劣化判定手段は、前記充電抵抗算出手段により算出された充電抵抗が第1の抵抗閾値以上の場合、若しくは第1の抵抗閾値以下で第2の抵抗閾値以上の場合、前記鉛蓄電池の温度が所定温度以下ならばサルフェーション劣化と判定する。
これらの形態によれば、バッテリを車載した状態において、バッテリの充電抵抗(電圧及び電流)や温度を直接的に検出することで、サルフェーション劣化を精度良く検出し、最適な状態でサルフェーション劣化を抑制できる。
また、第3の形態では、前記劣化抑制手段は、前記鉛蓄電池に対して並列に接続された二次電池を有し、当該二次電池を定期的に充放電させることで前記鉛蓄電池の劣化を抑制する。この形態によれば、電極面の硫酸鉛を凝固させることなくサルフェーションを抑制できる。
また、第4の形態では、前記鉛蓄電池の残存容量を検出する残存容量検出手段と、前記鉛蓄電池を充電する発電機と、を更に備え、前記劣化抑制手段は、前記二次電池が前記発電機により満充電状態とされ、前記鉛蓄電池の残存容量が規定量以下の場合、前記二次電池に蓄えられた電力を前記鉛蓄電池に供給する。この形態によれば、簡単な回路構成にてサルフェーションを抑制できる。
また、第5の形態では、前記劣化抑制手段は、前記鉛蓄電池に印加される電圧を周期的に昇圧し電極の温度を上昇させることで前記鉛蓄電池の劣化を抑制する。この形態によれば、鉛蓄電池の過充電を抑えつつ、温度上昇により硫酸鉛を砂状化させることでサルフェーションを抑制できる。
また、第6の形態では、前記劣化抑制手段は、前記鉛蓄電池に対する電圧の昇圧を、エンジン始動後の一定時間内に実行する。この形態によれば、鉛蓄電池の過充電を抑えつつ、昇温が望めない状況での状態でサルフェーションを抑制できる。
また、第7の形態では、前記鉛蓄電池の残存容量を検出する残存容量検出手段と、前記鉛蓄電池を充電する発電機と、を更に備え、前記劣化抑制手段は、前記発電機の発電量が機器の消費電力量より小さい場合、前記鉛蓄電池に対する電圧の昇圧を実行する。この形態によれば、鉛蓄電池の放電時のサルフェーションを改善することができる。
また、第8の形態は、前記残存容量検出手段は、前記鉛蓄電池の温度が所定温度以下の場合、前記鉛蓄電池の満充電時の蓄電量が小さくなる方向に補正する。この形態によれば、鉛蓄電池の温度を考慮して精度良くサルフェーションを抑制できる。
本発明によれば、バッテリを車載した状態において、バッテリの充電抵抗(電圧及び電流)や温度を直接的に検出することで、サルフェーション劣化を精度良く検出し、最適な状態でサルフェーション劣化を抑制できる。
以下に、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で下記実施形態を修正又は変形したものに適用可能である。
また、後述する各実施形態の制御に対応するコンピュータプログラムや当該コンピュータプログラムが格納された記憶媒体を、車両に搭載されたコンピュータに供給して、当該コンピュータが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしてもよい。
[サルフェーション劣化の説明]
先ず、鉛蓄電池のサルフェーション劣化の発生メカニズムについて説明する。
先ず、鉛蓄電池のサルフェーション劣化の発生メカニズムについて説明する。
図1は鉛蓄電池のしくみ、図2及び図3は電極がサルフェーション劣化する様子を示している。
図1に示すように、自動車用のバッテリとして搭載される鉛蓄電池は、Pb|H2SO4|PbO2のように表され、負極活性物質として鉛(Pb)、正極活性物質として二酸化鉛(PbO2)が用いられ、これら電極が電解液としての希硫酸液(H2SO4+H2O)中に含浸されて構成されている。
上記構成において、放電すると負極でも正極でも硫酸鉛が生成され、その時の電池の起電力は、電解液の希硫酸の濃度にもよるが2.1V程度である。また、これより少し高い電圧を外部から印加すると逆の反応が起こって硫酸鉛が各電極で鉛と二酸化鉛に戻るため、充電可能な二次電池として動作する。
(1)放電動作
放電反応では、負極で鉛が酸化されて陽イオンから硫酸鉛となり(アノード反応)、正極で二酸化鉛が還元されて硫酸鉛となる(カソード反応)。生成した硫酸鉛の溶解度は非常に低いので、固体となって直ちに析出する。放電につれて電解液の硫酸イオンが減少するので、起電力は低下し原理的には活物質がほとんどなくなるまで放電を続けることができる。なお、これらの活物質は放電電流を大きくとるために微粒子化して用いられる。
放電反応では、負極で鉛が酸化されて陽イオンから硫酸鉛となり(アノード反応)、正極で二酸化鉛が還元されて硫酸鉛となる(カソード反応)。生成した硫酸鉛の溶解度は非常に低いので、固体となって直ちに析出する。放電につれて電解液の硫酸イオンが減少するので、起電力は低下し原理的には活物質がほとんどなくなるまで放電を続けることができる。なお、これらの活物質は放電電流を大きくとるために微粒子化して用いられる。
(2)充電動作
充電反応では、放電の場合とは逆で、負極では硫酸鉛から鉛イオンが還元されて金属鉛となり(カソード反応)、正極では同じく鉛イオンが2価からさらに酸化されて二酸化鉛となる(アノード反応)。この時、硫酸イオンは電解液中に戻るので電解液の希硫酸の濃度が回復し、全体としては放電前の状態に復帰することになり、それぞれの活物質は放電前と同じ微粒子の状態に戻る。
充電反応では、放電の場合とは逆で、負極では硫酸鉛から鉛イオンが還元されて金属鉛となり(カソード反応)、正極では同じく鉛イオンが2価からさらに酸化されて二酸化鉛となる(アノード反応)。この時、硫酸イオンは電解液中に戻るので電解液の希硫酸の濃度が回復し、全体としては放電前の状態に復帰することになり、それぞれの活物質は放電前と同じ微粒子の状態に戻る。
(3)充放電動作について
上記充電動作と放電動作を繰り返すと、放電で生成した硫酸鉛が固い結晶として析出し、その溶解度が低いために充電で元に戻すことができなくなる。充電で生成した鉛と二酸化鉛が放電反応するためには電極に密着した状態でなければならず、また、硫酸鉛は電気をほとんど通さないので、活物質中に硫酸鉛が入り込むと電流が流れ難くなり、充電時及び放電時に不都合が生じる。
上記充電動作と放電動作を繰り返すと、放電で生成した硫酸鉛が固い結晶として析出し、その溶解度が低いために充電で元に戻すことができなくなる。充電で生成した鉛と二酸化鉛が放電反応するためには電極に密着した状態でなければならず、また、硫酸鉛は電気をほとんど通さないので、活物質中に硫酸鉛が入り込むと電流が流れ難くなり、充電時及び放電時に不都合が生じる。
また、鉛蓄電池を放電したまま放置しておくと、生成した柔らかい硫酸鉛が局部的に溶解と析出を繰り返して固い結晶へと成長する。これをサルフェーション(白色硫酸鉛化現象)と呼び、充電できない状態になる。電池寿命の大半はこのサルフェーション劣化によるものであり、放電後は硫酸鉛が柔らかいうちに速やかに充電することが必要となる。
また、活物質がほとんど消費され尽くすまで放電すると、充電時に還元されずに残存する硫酸鉛が多くなる。電解液に接した硫酸鉛の近傍(0.1μm)からしか充電反応は起きないので、電極面の内方に埋蔵された硫酸鉛は還元されなくなる。このため、過放電を避けることも必要となる。
一方、鉛蓄電池は自己放電が少ない(0.1%/日 at 20℃)ものの、自己放電によってゆっくりと生成した硫酸鉛は同時にサルフェーションを起こしているので、全く使わない状態でも数ヶ月毎に充電する必要がある。また、電装品の内蔵クロックや電気回路のリーク電流(暗電流)による放電にも注意する必要がある。
図2に示すように、電極がサルフェーション劣化している鉛蓄電池は、電極面に形成される硫酸鉛の一部が還元されないため、硫酸鉛が電極面に、水が電解液中に残存する(比重は低下する)ことで充電可能容量を低下させる。
図3に示すように、正極がサルフェーション劣化している鉛蓄電池は、充電抵抗が高いために充電時に熱が発生し、PbSO4がPbO2とSO2に分解される。PbO2は電解液を褐色に変化させ、SO2は気体であるため大気へ放出(硫黄臭)される。これによって、本来イオンを保持するSO4 2-とH+が無くなるため、充電が不可能となる。
[第1の実施形態]
図4において、(a)は第1の実施形態の鉛蓄電池制御装置を示すブロック図、(b)はサルフェーション劣化判定及び抑制制御フロー、(c)はサルフェーション判定基準、(d)は充電抵抗と残存容量との関係を示す図である。
図4において、(a)は第1の実施形態の鉛蓄電池制御装置を示すブロック図、(b)はサルフェーション劣化判定及び抑制制御フロー、(c)はサルフェーション判定基準、(d)は充電抵抗と残存容量との関係を示す図である。
本実施形態の鉛蓄電池制御装置は、図4(a)に示すように、バッテリとして電装品6に電力を供給する鉛蓄電池1と、鉛蓄電池1の電圧ΔV及び充放電時の瞬間電流ΔIを検出する電流/電圧検出器2と、鉛蓄電池1の電解液温度(又は電池ケース表面温度)を検出する温度センサ3と、エンジンにより駆動され鉛蓄電池1を充電し及び電装品6に電力を供給する発電機(オルタネータ)4と、スイッチ7により鉛蓄電池1の充放電及び発電機4の出力電圧を制御するコントローラ5と、を備える。
更に、コントローラ5はCPU、ROM、RAM等から構成される演算処理回路であり、後述する機能として、鉛蓄電池1の電圧ΔV及び充放電時の瞬間電流ΔIから充電抵抗RCHGを算出し鉛蓄電池1のサルフェーション劣化判定処理を行うブロック5A、サルフェーション劣化判定結果に基づき鉛蓄電池1の充放電を制御してサルフェーション劣化抑制処理を行うブロック5B、鉛蓄電池1の残存容量を検出するブロック5Cと、を有する。
具体的には、図4(b)及び(c)に示すように、コントローラ5は、充電抵抗RCHGが第1抵抗閾値R1を超える場合にはサルフェーション劣化と判定し、サルフェーション抑制制御を実行する(S3→S9→S10)。また、充電抵抗RCHGが第1抵抗閾値R1以下で第2抵抗閾値R2以上である場合には、鉛蓄電池1の電解液温度TCHGが規定温度T30(例えば、30℃)以下である場合にサルフェーション劣化と判定し、サルフェーション抑制制御を実行する(S5→S7→S9→S10)。
ここで、充電抵抗RCHGは、下記式により算出される(S1)。
RCHG=電圧ΔV/電流ΔI
RCHG=(充電中電圧VBAT−充電前電圧VBAT)/充電電流
また、図4(d)に示すように、鉛蓄電池は、残存容量が大きいほど充電抵抗RCHGが増加する、つまり充電しにくくなる特性を持っている。なお、この残存容量は充電可能容量又は充電率を意味しており、サルフェーション劣化のない新品電池の満充電時の残存容量を略100%とした場合の充電可能な割合(%)であり、サルフェーション劣化が進行するほど充電可能容量は低下していく。
RCHG=(充電中電圧VBAT−充電前電圧VBAT)/充電電流
また、図4(d)に示すように、鉛蓄電池は、残存容量が大きいほど充電抵抗RCHGが増加する、つまり充電しにくくなる特性を持っている。なお、この残存容量は充電可能容量又は充電率を意味しており、サルフェーション劣化のない新品電池の満充電時の残存容量を略100%とした場合の充電可能な割合(%)であり、サルフェーション劣化が進行するほど充電可能容量は低下していく。
上記S3、S5では、サルフェーション劣化が進行することで鉛蓄電池1の端子間抵抗(充電抵抗)が増加し、これに応じて充電のしにくさが増加することから、この充電抵抗RCHGに閾値R1,R2を設定してサルフェーション劣化の有無を判定することが可能となる。
また、上記S7では、鉛蓄電池1の電解液温度TCHGが低い場合には低進行度サルフェーションの改善が見込めないため、規定温度を下げて早期にサルフェーション劣化判定することが必要となる。
なお、上記S9でのサルフェーション劣化判定において、例えば充電抵抗RCHGと劣化度合とを関連付けしたテーブル等を参照するようにしてもよい。この場合、サルフェーション劣化の有無だけでなく、サルフェーション劣化度合をも判定することができる。
[第2の実施形態]
図5において、(a)は第2の実施形態の鉛蓄電池制御装置を示すブロック図、(b)はサルフェーション抑制制御フロー、(c)は鉛蓄電池と二次電池の充放電特性を示す図である。
図5において、(a)は第2の実施形態の鉛蓄電池制御装置を示すブロック図、(b)はサルフェーション抑制制御フロー、(c)は鉛蓄電池と二次電池の充放電特性を示す図である。
上述したように、放置した鉛蓄電池は暗電流による放電や自己放電作用によって電極面に硫酸鉛が蓄積されていき、充電反応を伴わないために電極面に硫酸鉛が凝固し、以後の充電反応が阻害される。電極面に凝固した硫酸鉛は分離、溶解反応することは困難である。
そこで、第2の実施形態では、図5(a)に示すように、鉛蓄電池1に対して二次電池8を並列に接続し、これら鉛蓄電池1と二次電池8の充放電をコントローラ5により制御し、図5(c)に示すように、鉛蓄電池1と二次電池8との間で仮想的な充放電を定期的に実行する。これにより、電極面の硫酸鉛が凝固することなくサルフェーションを抑制できる。二次電池8はキャパシタに代表される繰り返し充電可能な電池であれば良い。その他の構成については、図4(a)と同様なので説明を省略する。
具体的には、図5(b)において、コントローラ5は、エンジン始動時において(S11でYES)、発電機を始動して(S13)、鉛蓄電池1及び二次電池8を充電し(S15)、鉛蓄電池1の残存容量を検出する(S17)処理を、残存容量が90%以上になるまで継続する(S19)。
一方、コントローラ5は、エンジン停止時であれば(S21でNO)、鉛蓄電池1の残存容量を検出し(S21)、残存容量が90%以上であれば(S23)、二次電池8の残存容量を検出し(S25)、残存容量が100%未満ならば(S27でYES)、鉛蓄電池1と二次電池8との間で充放電を繰り返し実行する(S29)。また、二次電池8の残存容量が100%以上あれば(S27でNO)、鉛蓄電池1を放電させ二次電池8を充電した後(S31)、鉛蓄電池1と二次電池8との間で充放電を繰り返し実行する(S29、図5(c))。そして、上記S21〜S31までの処理を鉛蓄電池の残存容量が70%以下になるまで継続する(S33)。
上述したように鉛蓄電池1の残存容量が70%以下になるまで、鉛蓄電池1と二次電池8との間で充放電を繰り返し実行しているのは(S29)、残存容量が70%以下、つまり放電量が30%を超えるとサルフェーションが発生し易くなるからである。
なお、上記鉛蓄電池1の残存容量の検出は、例えば、第1の実施形態で算出した充電抵抗RCHGと残存容量とを関連付けしたテーブル等を参照するようにしてもよい。
[第3の実施形態]
図6において、(a)は第3の実施形態のサルフェーション抑制制御フロー、(b)は本実施形態による鉛蓄電池と二次電池の残存容量の変化を示す図である。
図6において、(a)は第3の実施形態のサルフェーション抑制制御フロー、(b)は本実施形態による鉛蓄電池と二次電池の残存容量の変化を示す図である。
上述したように、放置した鉛蓄電池は暗電流による放電や自己放電作用によって電極面に硫酸鉛が蓄積されていき、充電反応を伴わないために電極面に硫酸鉛が凝固し、以後の充電反応が阻害される。電極面に凝固した硫酸鉛は分離、溶解反応することは困難である。
一方、図5(a)の構成において、電装品6への電力供給は、発電機4から鉛蓄電池1と二次電池8を介して供給され、鉛蓄電池1は二次電池8を介して充電されるので、常に二次電池8を介して電力が供給される。
そこで、第3の実施形態では、図5(a)の構成を前提として、図6(b)に示すように、コントローラ5により二次電池8が常に満充電付近で推移するように発電機4を制御する。そして、電力供給停止後(エンジン停止後)、鉛蓄電池1の残存容量が規定量以下ならば、二次電池8から鉛蓄電池1に電力を供給して満充電状態へ移行させることで、放置によるサルフェーション劣化を抑制できる。
具体的には、図6(a)において、コントローラ5は、エンジン始動時において(S41でYES)、発電機4を始動し(S43)、二次電池8を充電する(S45)。その後、エンジンが停止されると(S47でNO)、鉛蓄電池1の残存容量を検出し(S49)、残存容量が90%未満になったときに(S51でNO)、二次電池8の残存容量を検出し(S53)、残存容量が0%以上ならば(S55でYES)、二次電池8を放電させて鉛蓄電池1を充電する処理(S57)を、鉛蓄電池1の残存容量が90%以上になるまで繰り返し実行する。
上記S57で、鉛蓄電池1の残存容量が90%未満で二次電池8から鉛蓄電池1への充電を実行するのは、90%以上であればサルフェーションが発生しにくいからである。
また、二次電池8を残存容量0%まで完全放電させているのは(S55)、完全に放電させないと二次電池8への充電を繰り返すことで劣化するからである。
なお、上記鉛蓄電池1の残存容量の検出は、例えば、第1の実施形態で算出した充電抵抗RCHGと残存容量とを関連付けしたテーブル等を参照するようにしてもよい。
[第4の実施形態]
図7において、(a)は第4の実施形態のサルフェーション抑制制御フロー、(b)は鉛蓄電池への充電電圧と鉛蓄電池の昇温特性との関係を示す図、(c)はエンジン始動後からの鉛蓄電池の電解液の温度変化を示す図である。
図7において、(a)は第4の実施形態のサルフェーション抑制制御フロー、(b)は鉛蓄電池への充電電圧と鉛蓄電池の昇温特性との関係を示す図、(c)はエンジン始動後からの鉛蓄電池の電解液の温度変化を示す図である。
上述したように、電極面に形成される硫酸鉛は温度が上昇すると砂状化し、電極から離脱することが実験等から判明している。しかしながら、長時間にわたり温度を上昇させると、電極の劣化や電解液中の水分の気化等が問題となる。特にエンジン始動時等の電解液温度が低い状態の場合、例えばエンジンの発熱では電解液が昇温するまでに時間を要する(図7(c))。
そこで、第4の実施形態では、図4(a)の構成を前提として、電極面を昇温させるため、図7(b)に示すように、温度センサ3により鉛蓄電池1の電解液温度TCHGを検出し、発電機4から鉛蓄電池1への充電電圧を、電解液温度TCHGに応じてコントローラ5により周期的に昇圧するように制御する。これにより、例えば長期間エンジンが始動されない場合に、一定期間以上放置したことでサルフェーション劣化度合が高くなっている状況や、外的要素での昇温が見込めない状況で、エンジン始動直後の一定時間実施することで、放置によるサルフェーション劣化を抑制できる。
具体的には、図7(a)において、コントローラ5は、サルフェーション劣化度合を算出し(S61)、サルフェーション劣化度合が高ければ(S63)、エンジン始動時に(S65でYES)、図7(b)に示すように発電機から鉛蓄電池への充電電圧を周期的に昇圧する(S67)。そして、この発電機4の昇圧動作を、鉛蓄電池1の電解液温度TCHGが規定温度T30(例えば、30℃)以上になるか(S69でYES)、エンジン始動時から規定時間(例えば、10分)が経過するまで継続して実行する(S71,S73)。
上記S67で鉛蓄電池1への充電電圧を周期的に昇圧するのは、鉛蓄電池1の過充電を避けるためである。同様に、上記S71での規定時間は、電解液が昇温を開始する温度(つまり、電極温度はより高温になっている)で、鉛蓄電池1が過充電しない時間に設定される。また、上記S69での規定温度T30は硫酸鉛が砂状化する温度に設定される。
なお、上記S61,S63でのサルフェーションの劣化度合の算出及び判定は、例えば、第1の実施形態で算出した充電抵抗RCHGと劣化度合とを関連付けしたテーブル等を参照したり、エンジン停止時間に応じて判定される。
[第5の実施形態]
図8において、(a)は第5の実施形態のサルフェーション抑制制御フロー、(b)は本実施形態による鉛蓄電池の残存容量と充電電圧との関係を示す図、(c)は鉛蓄電池の電解液温度に応じた充電量の変化を示す図である。
図8において、(a)は第5の実施形態のサルフェーション抑制制御フロー、(b)は本実施形態による鉛蓄電池の残存容量と充電電圧との関係を示す図、(c)は鉛蓄電池の電解液温度に応じた充電量の変化を示す図である。
図4(a)の構成において、発電機4による発電量が電装品6の消費電力量より小さいと、鉛蓄電池1は放電状態となる。この現象は、特に長時間のアイドリング時やアイドルストップ時、エンジン低回転時等の発電量が低い時に発生する。
そこで、第5の実施形態では、上記第1、第2、第4の各実施形態を組み合わせ、図4(a)の構成を前提として、電流検出結果を用いて鉛蓄電池1が放電状態か判定し、鉛蓄電池1からの電力の持ち出しがある場合に、鉛蓄電池1の残存容量が全容量(満充電時を100%とする)の70%以下(放電率30%以上)となったならば、サルフェーション劣化を判定する(例えば、充電抵抗値が前回値より増加している等)。つまり、図8(c)に示すように電解液温度が高いほど充電量が増加するので、図8(b)に示すように発電機4の充電電圧が低く鉛蓄電池1の充電量が回復しない場合、発電機4の電圧を基準電圧の20%以下(無発電状態時は理論上12.6V)の範囲で昇圧する。また、鉛蓄電池1の電解液温度TCHGが低い場合には、満充電時の充電可能容量が低下するため全容量の80%を満充電と仮定して、発電機4の電圧を昇圧することで電解液温度TCHGを昇温させることにより、サルフェーションを改善する。
具体的には、図8(a)において、コントローラ5は、エンジン始動時において(S81)、発電機4の発電量が電装品6の消費電力量より小さく、鉛蓄電池1が放電状態と判定した場合(S83)、鉛蓄電池1の残存容量を検出する(S85)。そして、残存容量が70%未満ならば(S87でYES)、鉛蓄電池1の充電抵抗RCHGを算出し(S89)、サルフェーション劣化判定し(S91)、サルフェーション劣化があれば、温度センサ3により鉛蓄電池1の電解液温度TCHGを検出し、電解液温度TCHGが規定温度T30(例えば、30℃)以上ならば(S93でYES)、発電機4の電圧を基準電圧の20%以下の範囲で昇圧し(S95)、エンジン始動後から規定時間(例えば、10分)が経過するまで継続して実行する(S97)。
一方、電解液温度TCHGが規定温度T30(例えば、30℃)未満ならば、電解液温度TCHGが規定温度T30以上になるまで発電機4の電圧を基準電圧の20%以下の範囲で昇圧させて(S99,S101)、図8(c)に示すように電解液温度が低いことによる充電量の低下を抑制して、サルフェーション劣化を精度良く判定する(S91)。
上記S93で電解液温度TCHGの規定温度T30は30℃以上であって、蒸発しにくい60℃以下に設定される。
なお、上記S85(S87)での残存容量の検出及び判定やS91(S93)でのサルフェーション劣化判定は、例えば、第1の実施形態で算出した充電抵抗RCHGと劣化度合とを関連付けしたテーブル等を参照して判定される。
[特許請求の範囲の記載と明細書との対応関係]
請求項1における、電流電圧検出手段は電流/電圧検出器2、充電抵抗算出手段はコントローラ5による充電抵抗RCHGの算出、温度検出手段は温度センサ3、劣化判定手段はコントローラ5の劣化判定処理を行うブロック5A、劣化抑制手段はコントローラ5の劣化抑制処理を行うブロック5Bとして例示されている。
請求項1における、電流電圧検出手段は電流/電圧検出器2、充電抵抗算出手段はコントローラ5による充電抵抗RCHGの算出、温度検出手段は温度センサ3、劣化判定手段はコントローラ5の劣化判定処理を行うブロック5A、劣化抑制手段はコントローラ5の劣化抑制処理を行うブロック5Bとして例示されている。
請求項2は、図4(a)に示す構成による図4(b)のサルフェーション劣化判定及び抑制フローとして例示され、第1の抵抗閾値R1、第2の抵抗閾値R2、鉛蓄電池温度TCHG、所定温度T30に対応する。
請求項3は、図5(a)の構成による図5(b)のサルフェーション抑制制御フローとして例示されている。
請求項4における、残存容量検出手段はコントローラ5の残存容量検出ブロック5C、発電機4として例示され、図5(a)の構成による図6(a)のサルフェーション抑制制御フローとして例示されている。
請求項5,6は、図4(a)の構成による図7(a)のサルフェーション抑制制御フローとして例示されている。
請求項6は、図4(a)の構成による図8(a)のサルフェーション抑制制御フローとして例示されている。
請求項7,8における、残存容量検出手段はコントローラ5の残存容量検出ブロック5C、発電機4として例示され、図4(a)の構成による図8(a)のサルフェーション抑制制御フローとして例示されている。
なお、上記各手段は上述した構成に限定されるものではなく、上記した各機能を有するものであれば、どのような構成や形態であってもよい。
1 鉛蓄電池(バッテリ)
2 電流/電圧検出器
3 温度センサ
4 発電機(オルタネータ)
5 コントローラ
6 電装品
7 スイッチ
8 二次電池
2 電流/電圧検出器
3 温度センサ
4 発電機(オルタネータ)
5 コントローラ
6 電装品
7 スイッチ
8 二次電池
Claims (8)
- 鉛蓄電池の電圧及び充放電時の瞬間電流を検出する電圧電流検出手段と、
前記鉛蓄電池の電圧及び充放電時の瞬間電流に基づいて前記鉛蓄電池の充電抵抗を算出する充電抵抗算出手段と、
前記鉛蓄電池の温度を検出する温度検出手段と、
前記鉛蓄電池の充電抵抗及び温度に基づいてサルフェーション劣化判定を行う劣化判定手段と、
前記サルフェーション劣化判定結果に基づき、前記鉛蓄電池のサルフェーション劣化を抑制する劣化抑制手段と、を具備することを特徴とする自動車用鉛蓄電池制御装置。 - 前記劣化判定手段は、前記充電抵抗算出手段により算出された充電抵抗が第1の抵抗閾値以上の場合、若しくは第1の抵抗閾値以下で第2の抵抗閾値以上の場合、前記鉛蓄電池の温度が所定温度以下ならばサルフェーション劣化と判定することを特徴とする請求項1に記載の自動車用鉛蓄電池制御装置。
- 前記劣化抑制手段は、前記鉛蓄電池に対して並列に接続された二次電池を有し、当該二次電池を定期的に充放電させることで前記鉛蓄電池の劣化を抑制することを特徴とする請求項1に記載の自動車用鉛蓄電池制御装置。
- 前記鉛蓄電池の残存容量を検出する残存容量検出手段と、
前記鉛蓄電池を充電する発電機と、を更に備え、
前記劣化抑制手段は、前記二次電池が前記発電機により満充電状態とされ、前記鉛蓄電池の残存容量が規定量以下の場合、前記二次電池に蓄えられた電力を前記鉛蓄電池に供給することを特徴とする請求項3に記載の自動車用鉛蓄電池制御装置。 - 前記劣化抑制手段は、前記鉛蓄電池に印加される電圧を周期的に昇圧し電極の温度を上昇させることで前記鉛蓄電池の劣化を抑制することを特徴とする請求項1に記載の自動車用鉛蓄電池制御装置。
- 前記劣化抑制手段は、前記鉛蓄電池に対する電圧の昇圧を、エンジン始動後の一定時間内に実行することを特徴とする請求項5に記載の自動車用鉛蓄電池制御装置。
- 前記鉛蓄電池の残存容量を検出する残存容量検出手段と、
前記鉛蓄電池を充電する発電機と、を更に備え、
前記劣化抑制手段は、前記発電機の発電量が機器の消費電力量より小さい場合、前記鉛蓄電池に対する電圧の昇圧を実行することを特徴とする請求項6に記載の自動車用鉛蓄電池制御装置。 - 前記残存容量検出手段は、前記鉛蓄電池の温度が所定温度以下の場合、前記鉛蓄電池の満充電時の蓄電量が小さくなる方向に補正することを特徴とする請求項7に記載の自動車用鉛蓄電池制御装置。
Priority Applications (1)
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JP2006332459A JP2008147005A (ja) | 2006-12-08 | 2006-12-08 | 自動車用鉛蓄電池制御装置 |
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JP2006332459A Withdrawn JP2008147005A (ja) | 2006-12-08 | 2006-12-08 | 自動車用鉛蓄電池制御装置 |
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JP (1) | JP2008147005A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015053826A (ja) * | 2013-09-09 | 2015-03-19 | パナソニック株式会社 | 充電制御装置、充電装置、車両及び充電制御方法 |
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-
2006
- 2006-12-08 JP JP2006332459A patent/JP2008147005A/ja not_active Withdrawn
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