JP2008236951A - 鉛バッテリの充電制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】鉛バッテリの満充電状態を精度良く判定するようにした鉛バッテリの充電制御装置を提供する。
【解決手段】電源装置13は鉛バッテリ11とこれよりも内部抵抗が小さく鉛バッテリ11に並列に接続される蓄電デバイスとしてのリチウムイオンキャパシタ12とを有している。電源装置13にはオルタネータ17から電力が供給されて充電される。電源装置13の電圧は電圧検出器23により監視され、鉛バッテリ11に流れる電流は電流検出器21により監視される。鉛バッテリ11が充電状態であるか放電状態であるかは、電流検出器21から信号に基づいて電流積算値を算出することにより判定される。鉛バッテリ11が充電状態のもとで電圧検出器23からの信号に基づいて電源装置13の電圧増加率を演算し、電圧増加率が基準値よりも高くなったときに鉛バッテリが満充電であると判定する。
【選択図】図1

Description

本発明は電気機器に対し電力を供給する電源としてリチウムイオンキャパシタ等の蓄電デバイスと併用して車両に搭載される鉛バッテリの充電制御装置に関する。
車両に搭載されるスタータモータ等の電気機器に対して電力を供給するための電源装置としては、鉛蓄電池とも言われる鉛バッテリ以外にリチウムイオンキャパシタ(以下、LICと言う)等の蓄電デバイスが用いられており、電源装置はエンジンにより駆動されるオルタネータにより発生された電力により充電される。鉛バッテリとLICとを比較すると、鉛バッテリは内部抵抗がLICに比して大きく、エネルギー密度がLICに比して高いが、出力密度はLICに比して低いという特性を有しており、このような特性を利用するため鉛バッテリとLICとを併用した電源装置を搭載するようにした車両が開発されている。このような特性を有することから、車両が寒冷地で使用される場合でも、LICを搭載することによりエンジンを始動させることができるとともに、鉛バッテリを搭載することにより数ヶ月程度エンジンが始動されないような場合でも確実にスタータモータを駆動させてエンジンを始動させることができる。
特許文献1には、鉛バッテリと電気二重層キャパシタとを並列に接続して車両に搭載するようにした電源装置が記載されている。一方、電源装置として鉛バッテリが単体で搭載される車両においては、バッテリの残存容量(SOC)を推定したり、満充電状態を推定したりする必要があり、特許文献2には、バッテリの端子電圧と充放電電流等により残存容量を演算するようにした残存容量検出装置が記載されている。
特開2006−230132号公報 特開2000−245002号公報
鉛バッテリが満充電状態となっているか否かを判定するには、鉛バッテリ単体での初期特性データに依存しており、初期特性データは測定状態、充放電レート、温度条件などによって大きく変化するため、高精度で鉛バッテリの満充電を判定することが困難であった。
例えば、SOCが95%程度の鉛バッテリ単体に対して、開放電圧が約12.8Vのもとで、オルタネータにより目標電圧14.4V付近で充電すると、鉛バッテリは瞬時に目標電圧まで上昇することになる。これに対して、LIC単体をオルタネータにより上記目標電圧付近で充電すると、瞬時には目標電圧まで上昇することなく、LICは時間とともに電圧が目標電圧に向けて上昇するという特性を有している。
これに対し、鉛バッテリとLICと併用してこれらを並列に接続した電源装置に対してオルタネータにより目標電圧付近で充電したところ、鉛バッテリの電圧は充電分極発生までと充電分極発生後とでは電圧増加率が相違した。また、鉛バッテリが充電分極を発生した後における満充電電圧に到達するまでと満充電到達後とでは電圧増加率が相違するということが判明した。充電分極は、充電の進行に伴って電圧が高くなると、充電エネルギーが電解液の化学反応に使われて電圧増加率が低下する現象である。例えば、鉛バッテリの開放電圧が12.8V程度のときにオルタネータを駆動させて充電を開始すると、約13.5〜13.6V程度で充電分極が発生し、充電分極が発生した後には鉛バッテリの電圧増加率がそれまでよりも小さくなるが、満充電状態となると、LICのみに充電されるので、LICに並列に接続された鉛バッテリの電圧はLICのみを充電する場合と同様の特性で電圧が上昇することが判明した。このような現象は、鉛バッテリのみをオルタネータにより充電した場合には、上述のように、瞬時に目標電圧まで上昇することになるので、判定することができなかった。
本発明の目的は、鉛バッテリの満充電状態を精度良く判定するようにした鉛バッテリの充電制御装置を提供することにある。
本発明の鉛バッテリの充電制御装置は、鉛バッテリおよび当該鉛バッテリよりも内部抵抗が小さく前記鉛バッテリに並列に接続される蓄電デバイスを有する電源装置と、エンジンにより駆動され前記電源装置に対し電力を供給するオルタネータと、前記鉛バッテリの電流を監視する電流検出手段と、前記電源装置の電圧を監視する電圧検出手段と、前記電流検出手段からの信号に基づいて電流積算値を算出する電流積算値算出手段と、電流積算値が正の値となった状態のもとで前記電圧検出手段からの信号に基づいて前記オルタネータの作動時における前記電源装置の電圧増加率を演算し、電圧増加率が基準値よりも高くなったときに前記鉛バッテリが満充電であると判定する満充電判定手段とを有することを特徴とする。
本発明の鉛バッテリの充電制御装置は、前記電圧検出手段からの信号に基づいて算出される前記電源装置の現在の電圧値と、前記オルタネータの目標発電電圧との差が閾値以下となったときに、前記鉛バッテリが満充電となったことを判定することを特徴とする。
本発明の鉛バッテリの充電制御装置は、前記電流検出手段からの信号に基づいて算出される前記鉛バッテリの電流値が閾値以下となったときに、前記鉛バッテリが満充電となったことを判定することを特徴とする。
本発明の鉛バッテリの充電制御装置は、前記満充電判定手段により前記鉛バッテリが満充電であると判定されたときには、前記電流積算値を初期値に戻すことを特徴とする。
本発明の鉛バッテリの充電制御装置は、前記電源装置が高負荷で放電されるときの前記鉛バッテリの前記蓄電デバイスに対する分担比に応じた電流値が所定の閾値以下となったときに、満充電の判定を中止することを特徴とする。
本発明の鉛バッテリの充電制御装置は、前記満充電の判定を中止したときには、警告を出力することを特徴とする。
本発明の鉛バッテリの充電制御装置は、前記分担比に応じた電流値は複数の電流値を平均して算出することを特徴とする。
本発明の鉛バッテリの充電制御装置は、前記電源装置の電圧増加率を演算し、電圧増加率が低下したときに前記鉛バッテリが充電分極となったことを判定することを特徴とする。
本発明は、鉛バッテリとこれよりも内部抵抗が小さい蓄電デバイスとを並列に接続して電源装置を構成すると、充電時における鉛バッテリの電圧は瞬時にオルタネータから供給される電圧にまで高まることなく、満充電状態となる前と後とでは電圧増加率が変化するという現象を見出してなされたものであり、電圧増加率を検出することによって鉛バッテリが満充電状態となったことを高精度で判定することができる。これにより、鉛バッテリが満充電となったときには、オルタネータの発電電圧を低下させることにより、オルタネータの駆動エネルギーを低減させることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態である鉛バッテリの充電制御装置を示すブロック図である。
図1に示すように、鉛バッテリ11とLIC12とにより電源装置13が構成されており、車両にはこの電源装置13が搭載される。鉛バッテリ11とLIC12の正極は給電ケーブル14により相互に接続され、それぞれの負極は給電ケーブル15により相互に接続されており、鉛バッテリ11とLIC12は並列に接続されている。車両にはエンジン16により駆動されるオルタネータ17が搭載されており、エンジン16により車両が駆動されるとともにオルタネータ17が駆動され、オルタネータ17により発電が行われる。オルタネータ17からの電力は、電源装置13に供給されて鉛バッテリ11とLIC12とがそれぞれ充電されるとともに、スタータ、点火プラグ、ランプ類等の電気機器18に供給される。なお、オルタネータ17は車両減速時に回生エネルギーを回収して発電することもできる。
給電ケーブル14には、鉛バッテリ11を流れる電流を監視するために電流検出器21が設けられ、電源装置13の正極と負極との間に接続されたケーブル22には電源装置13の電圧を監視するために電圧検出器23が設けられている。エンジン16の作動を制御するためのエンジンコントロールユニット24には、電流検出器21と電圧検出器23からの検出信号が送られ、エンジンコントロールユニット24からはオルタネータ17に対して電圧指示信号が送られるようになっている。エンジンコントロールユニット24には、鉛バッテリ11とLIC12の温度を検出する温度検出器からの信号も送られるようになっている。エンジンコントロールユニット24は、電流検出器21等からの検出信号に基づいて演算処理を行うマイクロプロセッサCPU、制御プログラム、演算式、マップデータなどが格納されるROM、一時的にデータを格納するRAM等を有している。エンジンコントロールユニット24は、電流検出器21の検出信号に基づいて電流積算値を算出し、鉛バッテリ11が充電状態であるか放電状態であるかを判定する機能と、電圧検出器23からの検出信号に基づいて鉛バッテリ11が満充電状態となっているか否かを判定する機能とを有している。
図1に示すように、鉛バッテリ11とLIC12とを併用した電源装置13を車両に搭載すると、電源装置13が鉛バッテリ11を有することから長期間車両が放置されていても、また外気温度が低い場合であっても、内部抵抗が低いLIC12から鉛バッテリ11に対して電力が供給されることになり、鉛バッテリ11の充電量低下を抑制することができる。一方、スタータモータを駆動させてエンジンを始動させるときには、鉛バッテリ11とLIC12とが分担してスタータモータに対して電力を供給することになる。エンジン始動時におけるLIC12と鉛バッテリ11の分担比率はほぼ温度に依存するが、LIC12は内部抵抗が低く出力密度が鉛バッテリ11に比して低いので、エンジン始動時にはLIC12から一気に放電されることになる。これにより、エンジン始動時における鉛バッテリ11の残存容量の低下を抑制することができるとともに、鉛バッテリ11の容量を小さくすることができる。
エンジン16が駆動されると、オルタネータ17が駆動されるので、オルタネータ17による発電電力が点火プラグやランプ類等の電気機器18に供給されるとともに電源装置13に対する充電が行われる。鉛バッテリ11は満充電に近い状態で充電を行うことができると、充電のエネルギー効率が高くなる。
図1に示す電流検出器21は鉛バッテリ11の電流を監視するので、電流検出器21からの信号に基づいて鉛バッテリ11の寿命の判定と、電流積算値Ahを算出することにより放電状態か充電状態かを判定することができる。例えば、鉛バッテリ11は、劣化が進行すると、電流値が大きく減少するので、予め新品の鉛バッテリ11について温度毎に測定しておいた分担比のデータに基づいて閾値を決定しておくことによって、閾値を超えたときには鉛バッテリ11の寿命と判定する。また、電流積算値Ahが放電から充電に転じて正の値となったときには、充電状態となったことを電流検出器21からの信号により判定することができる。
図2(A)は車両に鉛バッテリ11のみを搭載した場合における鉛バッテリ11単体に対してオルタネータ17により目標電圧14.4V付近の一定電圧で充電したときの鉛バッテリの電圧変化特性を示す線図である。図2(A)に示すように、開放電圧が約12.8Vであって、鉛バッテリ11の残存容量SOCが95%程度のときに充電すると、鉛バッテリ11は瞬時に目標電圧にまで上昇する。鉛バッテリ11が放電された状態から満充電まで充電する過程では、13.5V付近において充電分極が発生する。充電分極が発生するとエネルギー損失が発生するが、オルタネータ17の発電容量が大きいために、鉛バッテリ11単体に充電した場合には、13.5V付近での電圧固定現象を捉えることができない。
図2(B)は車両にLIC12のみを搭載した場合におけるLIC12単体に対してオルタネータ17により目標電圧14.4V付近の一定電圧で充電したときのLIC12の電圧変化特性を示す線図である。LIC12は鉛バッテリ11よりも内部抵抗が低いために、図2(B)に示すように、充電量が時間とともに変化して電圧が瞬時にオルタネータ17の目標電圧14.4Vにまで高まることなく、時間とともに電圧が変化するという特性を有している。
図2(C)は図1に示すように鉛バッテリ11とLIC12とを並列に接続して形成された電源装置13に対してオルタネータ17により目標電圧14.4V付近の一定電圧で充電したときの電源装置13の電圧変化特性を示す線図である。この電圧変化特性は電圧検出器23からの監視信号に基づいて判定することができる。図2(C)に示すように電源装置13の開放電圧が12.8Vのもとで、電源装置13に目標電圧14.4Vの電圧で充電したところ、電圧変化は13.5V付近の電圧A点とそれよりも高いB点において電圧増加率(ΔV)の変曲点が見出された。充電開始からA点の電圧に到達するまでの電圧増加率(ΔV1)よりも、A点の電圧からB点の電圧に到達するまでの電圧増加率(ΔV2)の方が小さくなっている。この理由はA点で鉛バッテリ11の充電分極が発生し、充電分極が発生した後には、充電エネルギーが電解液の化学反応に使われて電圧増加率が低下するためである。
鉛バッテリ11が満充電となると、電源装置13の電圧はB点の電圧になり、それ以上の電圧に上昇する過程における電圧増加率(ΔV3)は、充電分極が発生している過程での電圧増加率(ΔV2)よりも高い増加率となる。このように、B点以降の電圧増加率(ΔV3)が高くなるのは、LIC12のみに充電が行われているためであり、この電圧増加率はLIC単体に対する充電時の増加率に近似している。
このように、鉛バッテリ11とLIC12とを並列に接続した電源装置13に対してオルタネータ17により目標電圧14.4Vの一定電圧で充電すると、電源装置13に対する充電開始から目標電圧到達までの過程で電圧増加率が変化することから、増加率を演算することによって、鉛バッテリ11が満充電となったことを検出することができる。鉛バッテリ11の満充電を検出することにより、オルタネータ17の発電電圧を低減させることができ、鉛バッテリ11に対する過充電を防止すとともに発電エネルギーを低減させることができる。
図3および図4は鉛バッテリの充電制御のアルゴリズムを示すフローチャートである。図3に示すように、スタータモータが駆動されてエンジンが始動されたときには(ステップS1)、鉛バッテリ11の電流IをステップS2において検出する。スタータモータは高負荷の電気機器であり、これを駆動するときには電源装置13から高いレートで放電が行われる。スタータモータの高負荷消費電流は既知であり、電源装置13からは鉛バッテリ11とLIC12とがほぼ温度に依存する分担比率で分担してスタータモータに電力が供給される。鉛バッテリ11が劣化すると、鉛バッテリ11のLIC12に対する分担比に応じて鉛バッテリ11の電流Iが大きく減少し、LIC12の負担が大きくなる。このため、予め設定しておいた温度毎の分担比をもとに鉛バッテリ11に流れる電流値に閾値を設定しておき、鉛バッテリ11に流れる電流Iが所定値以上となっているときには鉛バッテリ11の満充電を判定するためにステップS3が実行されるが、所定値以下となっているときには、鉛バッテリ11が寿命であると判断して満充電の判定をステップS4において中止する。満充電の判定を中止したときには、ステップS5において警告を出力する。警告は警報ランプを点灯したり、警報ブザーを作動させたりすることにより行われる。ステップS2において閾値と比較するための電流Iの値は、複数回検出した電流値を平均して求めることにより、満充電判定中止の信頼性を高めることができる。
エンジンが始動されてステップS3が実行されると、電流検出器21からの信号により鉛バッテリ11に流れる電流の積算値(Ah)が演算される。ステップS6では電流積算値(Ah)が正の値(Ah>0)となったか否かを判定し、正の値つまり放電から充電に転じたことが判定されたら、ステップS7において電圧検出器23からの電圧信号を読み込んで電源装置13の電圧を検出する。ステップS8ではオルタネータ17により発電される目標発電電圧を算出し、ステップS9では電圧増加率(ΔV)を算出する。電圧増加率(ΔV)は、目標発電電圧(14.4V)と電源装置13の電圧Vとの単位時間当たりの差を求めることにより算出される。ただし、ステップS7〜S9の処理が行われている過程で放電に移行したら(Ah<0)、ステップS3に戻される。
図4に示すステップS10においては、電圧増加率(ΔV)が基準値(ΔVa)よりも高くなったか否か(ΔV>ΔVa)が判定され、基準値よりも高くなっている場合には、ステップS11において電源装置13の現在の電圧値(V0)と、オルタネータ17の目標発電電圧(Vmax)との差が算出されてその差が閾値Va以下となったか否か(Vmax−V0≦Va)が判定される。さらに、ステップS12においては、鉛バッテリ11の電流つまり漏れ電流Iが閾値Ia以下となっているか否か(I0<Ia)が判定される。これらのステップS10〜S12においてYESと判定されたら、ステップS13において鉛バッテリ11が満充電であると判定する。
上記ステップS10において電圧増加率(ΔV)が基準値(ΔVa)よりも高くなったと判定されるのは、図2(C)においては満充電であるB点を超えた時点に対応し、予めエンジンコントロールユニット24のROMに格納されていた基準値(ΔVa)と電圧増加率(ΔV)とを比較することにより求められる。このときには、図2(C)に示すように、オルタネータ17の目標発電電圧(Vmax 、例えば14.4V)と、B点の電圧との差が閾値(Va)以下となるので、ステップS10のみによる満充電判定の誤判定を防止するために、ステップS11が実行される。同様に、鉛バッテリ11が満充電となると、鉛バッテリ11の電流つまり漏れ電流もほぼ零に近い閾値(Ia)以下となるので、ステップS10のみによる満充電判定の誤判定を防止するために、ステップS12が実行される。それぞれの閾値Va、Iaとしては、B点を僅かに超えたときにおける電圧値と電流値に設定されている。ただし、ステップS10のみにより満充電を判定するようにしても良い。
ステップS13において鉛バッテリ11が満充電の状態であると判定されたときには、ステップS14が実行されて電流積算値(Ah)がクリアされて初期状態に戻される。鉛バッテリ11が満充電状態であるという判定は、ステップS15において鉛バッテリ11が放電開始されたと判定されるまで保持される。ステップS15において、放電が開始されたと判定されたときにはステップS3に戻されて電流積算値(Ah)の算出が開始される。
ステップS13において鉛バッテリ11が満充電状態となったことが判定されたときには、エンジンコントロールユニット24からはオルタネータ17に制御信号が送られて、発電電圧を低減するように制御される。このように、鉛バッテリ11の満充電を判定することによって発電電圧を低減することができ、オルタネータ17の駆動エネルギーを低減させてエンジンの燃費を向上させることができる。
図5は本発明の鉛バッテリの充電制御装置が搭載された車両を10モード走行したときにおける鉛バッテリの満充電判定結果の一例を示す測定データである。車両をモード1〜モード10の運転条件により車両を走行させた。モード1はエンジンを始動させてからアイドリング状態、モード2は発進から時速20kmまでの加速走行、モード3は時速20kmの定速走行、モード4は時速20kmから停止までの減速走行、モード5はアイドリング状態である。さらに、モード6は発進から時速40kmまでの加速走行、モード7は時速40kmでの定速走行、モード8は時速40kmから時速20kmまでの減速走行、モード9は時速20kmから時速40kmまでの加速走行、モード10は時速40kmから停止までの減速走行である。
図5に示すように、スタータモータを作動させてエンジンを始動させるときには、鉛バッテリ11とLIC12とが放電されてスタータモータに電力が供給される。スタータモータが始動されてオルタネータ17が駆動されるまでは、LIC12から一気に放電されてLIC12からの放電量の減少とともに鉛バッテリ11からの放電量が増加し、電源装置13の電圧は徐々に低下する。オルタネータ17がエンジン16により駆動されると、鉛バッテリ11とLIC12に充電される。図5において満充電フラグがオンしているときは鉛バッテリ11が満充電となっている状態を示し、このときにはオルタネータ17の発電量を低減するようにオルタネータ17に制御信号が送られる。オルタネータ17は車両を減速させるときに駆動輪によりオルタネータ17を駆動することによって回生エネルギーを回収することができるので、減速時にオルタネータ17により発電量を高めている。
図6は本発明の鉛バッテリの充電制御装置が搭載された車両を15モード走行したときにおける鉛バッテリの満充電判定結果の一例を示す測定データである。モード1はエンジンを始動させてからアイドリング状態、モード2は発進から時速50kmとなるまでの加速走行、モード3は時速50kmの定速走行、モード4は時速50kmから時速40kmまでの減速走行、モード5は時速40kmの定速走行である。さらに、モード6は時速40kmから時速60kmまでの加速走行、モード7は時速60kmでの定速走行、モード8は時速60km から時速70kmまでの加速走行、モード9は時速70kmでの定速走行、モード10は時速70kmから時速50kmまでの減速走行である。また、モード11は時速50kmでの定速走行、モード12は時速50kmから時速70kmまでの加速走行、モード13は時速70kmでの定速走行、モード14は時速70kmから停止までの減速走行、モード15はアイドリング状態である。
図6に示すように、15モードで走行させたときにも鉛バッテリ11の満充電が判定されて満充電フラグがオンされたときには、オルタネータ17にはその発電量を低減するように制御信号が送られてオルタネータ17の駆動エネルギーを低減させることができる。鉛バッテリ11が満充電となっているときにおいても、図6に示すように、減速走行時にオルタネータ17の作動を制御すると回生エネルギーを回収し、LIC12に対して充電されることになる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、本発明の電源装置13は鉛バッテリ11とLIC12とにより形成されているが、鉛バッテリ11よりも内部抵抗が小さい蓄電デバイスであれば、リチウムイオンキャパシタ12以外の蓄電デバイスを用いるようにしても良い。
本発明の一実施の形態である鉛バッテリの充電制御装置を示すブロック図である。 (A)は車両に鉛バッテリのみを搭載した場合における鉛バッテリ単体に対して充電したときの鉛バッテリの電圧変化特性を示す線図であり、(B)は車両にLICのみを搭載した場合におけるLIC単体に対して充電したときのLICの電圧変化特性を示す線図であり、(C)は本発明の電源装置に対して充電したときの電源装置の電圧変化特性を示す線図である。 鉛バッテリの充電制御のアルゴリズムを示すフローチャートである。 鉛バッテリの充電制御のアルゴリズムを示すフローチャートである。 本発明の鉛バッテリの充電制御装置が搭載された車両を10モード走行したときにおける鉛バッテリの満充電判定結果の一例を示す測定データである。 本発明の鉛バッテリの充電制御装置が搭載された車両を15モード走行したときにおける鉛バッテリの満充電判定結果の一例を示す測定データである。
符号の説明
11 鉛バッテリ
12 LIC(リチウムイオンキャパシタ 蓄電デバイス)
13 電源装置
16 エンジン
17 オルタネータ
21 電流検出器(電流検出手段)
23 電圧検出器(電圧検出手段)
24 エンジンコントロールユニット(電流積算手段、満充電判定手段)

Claims (8)

  1. 鉛バッテリおよび当該鉛バッテリよりも内部抵抗が小さく前記鉛バッテリに並列に接続される蓄電デバイスを有する電源装置と、
    エンジンにより駆動され前記電源装置に対し電力を供給するオルタネータと、
    前記鉛バッテリの電流を監視する電流検出手段と、
    前記電源装置の電圧を監視する電圧検出手段と、
    前記電流検出手段からの信号に基づいて電流積算値を算出する電流積算値算出手段と、
    電流積算値が正の値となった状態のもとで前記電圧検出手段からの信号に基づいて前記オルタネータの作動時における前記電源装置の電圧増加率を演算し、電圧増加率が基準値よりも高くなったときに前記鉛バッテリが満充電であると判定する満充電判定手段とを有することを特徴とする鉛バッテリの充電制御装置。
  2. 請求項1記載の鉛バッテリの充電制御装置において、前記電圧検出手段からの信号に基づいて算出される前記電源装置の現在の電圧値と、前記オルタネータの目標発電電圧との差が閾値以下となったときに、前記鉛バッテリが満充電となったことを判定することを特徴とする鉛バッテリの充電制御装置。
  3. 請求項1または2記載の鉛バッテリの充電制御装置において、前記電流検出手段からの信号に基づいて算出される前記鉛バッテリの電流値が閾値以下となったときに、前記鉛バッテリが満充電となったことを判定することを特徴とする鉛バッテリの充電制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の鉛バッテリの充電制御装置において、前記満充電判定手段により前記鉛バッテリが満充電であると判定されたときには、前記電流積算値を初期値に戻すことを特徴とする鉛バッテリの充電制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の鉛バッテリの充電制御装置において、前記電源装置が高負荷で放電されるときの前記鉛バッテリの前記蓄電デバイスに対する分担比に応じた電流値が所定の閾値以下となったときに、満充電の判定を中止することを特徴とする鉛バッテリの充電制御装置。
  6. 請求項5記載の鉛バッテリの充電制御装置において、前記満充電の判定を中止したときには、警告を出力することを特徴とする鉛バッテリの充電制御装置。
  7. 請求項5または6記載の鉛バッテリの充電制御装置において、前記分担比に応じた電流値は複数の電流値を平均して算出することを特徴とする鉛バッテリの充電制御装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の鉛バッテリの充電制御装置において、前記電源装置の電圧増加率を演算し、電圧増加率が低下したときに前記鉛バッテリが充電分極となったことを判定することを特徴とする鉛バッテリの充電制御装置。
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