JP2008146921A - 電池 - Google Patents

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賢一 川瀬
Tomoo Takada
智雄 高田
Kensuke Yamamoto
健介 山本
Yoshikazu Kato
良和 加藤
Masanori Soma
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Abstract

【課題】内部短絡を防止しつつ、優れた電池性能を発現する電池を提供する。
【解決手段】巻回体20は、対向する正極21および負極22と、その間に位置するセパレータ23との積層構造を有するものであり、導電材料からなる外装缶11に収容されている。セパレータ23は、電解液を保持する高分子化合物を含むと共に高い粘着性を有する高分子化合物層26を介して、正極21および負極22と十分に接着されている。セパレータ23における外装缶11と対向する面には高分子化合物層26が設けられていないので、製造段階において巻回体20を外装缶11に収容する際の取り扱いが容易である。
【選択図】図1

Description

本発明は、一対の電極と、その間に位置するセパレータとの積層構造を有する巻回体が外装缶に収容された電池に関する。
近年、カメラ一体型VTR(ビデオテープレコーダ),携帯電話あるいはノートパソコンなどのポータブル電子機器が多く登場し、その小型軽量化が図られている。これらの電子機器のポータブル電源として用いられている電池、特に二次電池はキーデバイスとして、エネルギー密度の向上を図る研究開発が活発に進められている。中でも、非水電解質二次電池(例えば、リチウムイオン二次電池)は、従来の水系電解液二次電池である鉛電池、ニッケルカドミウム電池と比較して大きなエネルギー密度が得られるので、その改良に関する検討が各方面で行われている。
リチウムイオン二次電池では、正極と負極とを隔てるセパレータとして、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどからなる合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミック製の多孔質膜が用いられている。セパレータは両極の接触による電流の短絡を防止する一方、電解質を保持することでリチウムイオンを通過させ、両極間での電池反応を可能としている。
これまでに、セパレータを構成する多孔質膜の表面を、電解質の溶媒と高い親和性を有する高分子化合物からなるコーティング膜で覆うことにより、セパレータにおける電解質の保持性能を改善する試みがなされている(例えば特許文献1参照)。
特開平8−96788号公報
最近では、接着性が高く化学的安定性に優れるポリフッ化ビニリデン(PVdF)を用いることによって引用文献1のようなコーティング膜を形成し、正極および負極とセパレータとの相対位置を高精度に保持する検討も行われている。
しかしながら、コーティング膜として用いられる高分子化合物は、一般的に粘着性の高いものが多い。そのため、セパレータが巻回体の最も外側に露出した場合、製造段階において外装缶に挿入する際に、その粘着性が障害となりセパレータを損傷させてしまうおそれがあった。すなわち、金属などからなる外装缶のエッジと接触した際、高分子化合物による摩擦が大きいため、セパレータが部分的に切り裂かれ、あるいは完全に切れないまでも厚みが薄くなってしまうのである。このようなセパレータの損傷は電池内部での短絡を招くこととなるので、改善が望まれる。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、内部短絡を防止しつつ、優れた電池性能を発現する電池を提供することにある。
本発明の電池は、対向する一対の電極と、その間に位置するセパレータとの積層構造を有する巻回体と、この巻回体を収容する外装缶とを備えるようにしたものである。セパレータは、外装缶と対向する面以外の面の少なくとも一部に高分子化合物層を有し、この高分子化合物層を介して一対の電極のうちの少なくとも一方と接着されている。
本発明の電池では、セパレータにおける外装缶と対向する面には高分子化合物層が存在しないので、製造段階において外装缶に巻回体を円滑に収容することができ、高分子化合物層の粘着性に伴うセパレータの損傷が回避される。その一方で、セパレータは高分子化合物層を介して一対の電極のうちの少なくとも一方と接着されるので、セパレータと正極または負極との相対位置が高精度に保たれている。
本発明の電池によれば、セパレータの、外装缶と対向する面以外の面に高分子化合物層を設け、セパレータと一対の電極のうちの少なくとも一方とを高分子化合物層を介して接着するようにしたので、製造段階でのセパレータの損傷を回避し、内部短絡を防止しつつ、優れた電池性能を確保することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図において各構成要素は本発明が理解できる程度の形状、大きさおよび配置関係を概略的に示したものであり、実寸とは異なっている。
図1および図2は、本発明の一実施の形態に係る二次電池の断面構造を表すものである。図1に示された断面と図2に示された断面とは、互いに直交する位置関係にある。すなわち、図2は、図1に示したII−II線に沿った矢視方向における断面図である。この二次電池は、いわゆる角型といわれるものであり、ほぼ中空直方体形状をなす外装缶11の内部に、偏平形状の巻回体20を収容したものである。
外装缶11は、例えばニッケル(Ni)のめっきがされた鉄(Fe)により構成されており、負極端子としての機能も有している。この外装缶11は、一端部が閉鎖され他端部が開放されており、開放端部に絶縁板12および電池蓋13が取り付けられることにより外装缶11の内部が密閉されている。絶縁板12は、ポリプロピレンなどにより構成され、巻回体20の上に巻回周面に対して垂直に配置されている。電池蓋13は、例えば、外装缶11と同様の材料により構成され、外装缶11と共に負極端子としての機能も有している。電池蓋13の外側には、正極端子となる端子板14が配置されている。また、電池蓋13の中央付近には貫通孔が設けられ、この貫通孔に、端子板14に電気的に接続された正極ピン15が挿入されている。端子板14と電池蓋13との間は絶縁ケース16により電気的に絶縁され、正極ピン15と電池蓋13との間はガスケット17により電気的に絶縁されている。絶縁ケース16は、例えばポリブチレンテレフタレートにより構成されている。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
電池蓋13の周縁付近には開裂弁18および電解液注入孔19が設けられている。開裂弁18は、電池蓋13と電気的に接続されており、内部短絡あるいは外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合に開裂して内圧の上昇を抑えるようになっている。電解液注入孔19は、例えばステンレス鋼球よりなる封止部材19Aにより塞がれている。
巻回体20は、正極21と負極22とが、表面に高分子化合物層26が設けられたセパレータ23を間にして積層されて渦巻き状に巻回されたものであり、外装缶11の形状に合わせて偏平な形状に成形されている。巻回体20の最外周にはセパレータ23が位置しており、そのすぐ内側には正極21が位置している。図2では、正極21および負極22の積層構造を簡略化して示している。また、巻回体20の巻回数は、図1および図2に示したものに限定されず、任意に設定可能である。巻回体20の正極21にはアルミニウム(Al)などよりなる正極リード24が接続されており、負極22にはニッケルなどよりなる負極リード25が接続されている。正極リード24は正極ピン15の下端に溶接されることにより端子板14と電気的に接続されており、負極リード25は外装缶11に溶接され電気的に接続されている。
図3は図1に示した正極21の巻回前の断面構成を表すものである。この正極21は、帯状の正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bを設けたものである。詳細には、正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bが存在する正極被覆領域21Cと、正極被覆領域21Cを挟むように巻回中心側および巻回外周側の端部に位置し、正極集電体21Aの両面とも正極活物質層21Bが存在せずに露出した状態である正極露出領域21DS,21DEとを有している。正極リード24は、巻回中心側の正極露出領域21DSに接合されている。
正極集電体21Aは、例えば、厚みが5μm〜50μm程度であり、アルミニウム箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。
正極活物質層21Bは、例えば、正極活物質として、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて炭素材料などの導電材およびポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んでいてもよい。リチウムを吸蔵および放出可能な正極材料としては、例えば、硫化チタン(TiS2 ),硫化モリブデン(MoS2 ),セレン化ニオブ(NbSe2 )あるいは酸化バナジウム(V2 5 )などのリチウムを含有しない金属硫化物,金属セレン化物あるいは金属酸化物など、またはリチウムを含有するリチウム含有化合物が挙げられる。
リチウム含有化合物の中には、高電圧および高エネルギー密度を得ることができるものが存在する。このようなリチウム含有化合物としては、例えば、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物、またはリチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物が挙げられ、特にコバルト(Co),ニッケルおよびマンガン(Mn)のうちの少なくとも1種を含むものは、より高い電圧を得ることができるので好ましい。その化学式は、例えば、Lix MIO2 あるいはLiy MIIPO4 で表される。式中、MIおよびMIIは1種類以上の遷移金属元素を表す。xおよびyの値は電池の充放電状態によって異なり、通常、0.05≦x≦1.10、0.05≦y≦1.10である。
リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物の具体例としては、リチウムコバルト複合酸化物(Lix CoO2 )、リチウムニッケル複合酸化物(Lix NiO2 )、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(Lix Ni1-z Coz 2 (z<1))、あるいはスピネル型構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(LiMn2 4 )などが挙げられる。中でも、ニッケルを含む複合酸化物が好ましい。高い容量を得ることができると共に、優れたサイクル特性も得ることができるからである。リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物の具体例としては、例えばリチウム鉄リン酸化合物(LiFePO4 )あるいはリチウム鉄マンガンリン酸化合物(LiFe1-v Mnv PO4 (v<1))が挙げられる。
図4は、負極22の構成を表したものである。この負極22は、帯状の負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bを設けたものである。詳細には、負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが存在する負極被覆領域22Cと、負極被覆領域22Cを挟むように巻回中心側および巻回外周側の端部に位置し、負極集電体22Aの両面とも負極活物質層22Bが存在せずに露出した状態である正極露出領域22DS,22DEとを有している。負極リード25は、巻回外周側の負極露出領域22DEに接合されている。
負極集電体22Aは、例えば、銅箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。この負極集電体22Aの厚みは、例えば5μm〜50μmである。
負極活物質層22Bは、例えば、負極活物質を含んでおり、必要に応じて導電材および結着剤などの他の材料を含んでいてもよい。負極活物質としては、例えば、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出することが可能であり、金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として含む負極材料が挙げられる。このような負極材料を用いれば、高いエネルギー密度を得ることができるので好ましい。この負極材料は金属元素あるいは半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、またこれらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。なお、本発明において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体,共晶(共融混合物),金属間化合物あるいはそれらのうちの2種以上が共存するものがある。
この負極材料を構成する金属元素あるいは半金属元素としては、例えばリチウムと合金を形成可能な金属元素あるいは半金属元素が挙げられる。具体的には、マグネシウム(Mg),ホウ素(B),アルミニウム(Al),ガリウム(Ga),インジウム(In),ケイ素,ゲルマニウム(Ge),スズ,鉛(Pb),ビスマス(Bi),カドミウム(Cd),銀(Ag),亜鉛(Zn),ハフニウム(Hf),ジルコニウム(Zr),イットリウム(Y),パラジウム(Pd)あるいは白金(Pt)などが挙げられる。
中でも、この負極材料としては、長周期型周期表における14族の金属元素あるいは半金属元素を構成元素として含むものが好ましく、特に好ましいのはケイ素およびスズの少なくとも一方を構成元素として含むものである。ケイ素およびスズは、リチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。具体的には、例えば、ケイ素の単体,合金,あるいは化合物、またはスズの単体,合金,あるいは化合物、またはこれらの1種あるいは2種以上の相を少なくとも一部に有する材料が挙げられる。
スズの合金としては、例えば、スズ以外の第2の構成元素として、ケイ素,ニッケル,銅,鉄(Fe),コバルト(Co),マンガン(Mn),亜鉛(Zn),インジウム(In),銀(Ag),チタン(Ti),ゲルマニウム(Ge),ビスマス(Bi),アンチモン(Sb)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ,ニッケル,銅,鉄,コバルト,マンガン,亜鉛,インジウム,銀,チタン,ゲルマニウム,ビスマス,アンチモンおよびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
スズの化合物あるいはケイ素の化合物としては、例えば、酸素(O)あるいは炭素(C)を含むものが挙げられ、スズまたはケイ素に加えて、上述した第2の構成元素を含んでいてもよい。
中でも、この負極材料としては、スズと、コバルトと、炭素とを構成元素として含み、炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下であり、かつスズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合が30質量%以上70質量%以下であるCoSnC含有材料が好ましい。このような組成範囲において高いエネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができるからである。
このCoSnC含有材料は、必要に応じて、以下に列挙する他の構成元素のいずれか1種または2種以上をさらに含んでいてもよい。ここでいう他の構成元素とは、例えば、ケイ素,鉄,ニッケル,クロム,インジウム,ニオブ(Nb),ゲルマニウム,チタン,モリブデン(Mo),アルミニウム(Al),リン(P),ガリウム(Ga)およびビスマスである。これらを含むことで容量またはサイクル特性をさらに向上させることができるからである。
なお、このCoSnC含有材料は、スズと、コバルトと、炭素とを含む相を有しており、この相は結晶性の低いまたは非晶質な構造を有していることが好ましい。また、このCoSnC含有材料では、構成元素である炭素の少なくとも一部が、他の構成元素である金属元素または半金属元素と結合していることが好ましい。サイクル特性の低下はスズなどが凝集あるいは結晶化することによるものであると考えられるが、炭素が他の元素と結合することにより、そのような凝集あるいは結晶化を抑制することができるからである。
元素の結合状態を調べる測定方法としては、例えばX線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy;XPS)が挙げられる。XPSでは、炭素の1s軌道(C1s)のピークは、グラファイトであれば、金原子の4f軌道(Au4f)のピークが84.0eVに得られるようにエネルギー較正された装置において、284.5eVに現れる。また、表面汚染炭素であれば、284.8eVに現れる。これに対して、炭素元素の電荷密度が高くなる場合、例えば炭素が金属元素または半金属元素と結合している場合には、C1sのピークは、284.5eVよりも低い領域に現れる。すなわち、CoSnC含有材料について得られるC1sの合成波のピークが284.5eVよりも低い領域に現れる場合には、CoSnC含有材料に含まれる炭素の少なくとも一部が他の構成元素である金属元素または半金属元素と結合している。
なお、XPS測定では、スペクトルのエネルギー軸の補正に、例えばC1sのピークを用いる。通常、表面には表面汚染炭素が存在しているので、表面汚染炭素のC1sのピークを284.8eVとし、これをエネルギー基準とする。XPS測定では、C1sのピークの波形は、表面汚染炭素のピークとCoSnC含有材料中の炭素のピークとを含んだ形として得られるので、例えば市販のソフトウエアを用いて解析することにより、表面汚染炭素のピークと、CoSnC含有材料中の炭素のピークとを分離する。波形の解析では、最低束縛エネルギー側に存在する主ピークの位置をエネルギー基準(284.8eV)とする。
負極活物質としては、さらに、天然黒鉛,人造黒鉛,難黒鉛化炭素あるいは易黒鉛化炭素などの炭素材料を用いてもよい。炭素材料を用いれば優れたサイクル特性を得ることができるので好ましい。また、負極活物質としては、リチウム金属も挙げられる。負極活物質はこれらの1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
セパレータ23は、例えばポリプロピレンあるいはポリエチレンなどのポリオレフィン系の材料よりなる多孔質膜、またはセラミック製の不織布などの無機材料よりなる多孔質膜により構成されており、これら2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。
セパレータ23には高分子化合物層26が形成されており、セパレータ23は、これを介して正極21および負極22と接着されている。なお、図1および図2では、セパレータ23の一方の面のみに高分子化合物層26を設けるようにした場合を表しているが、セパレータ23の両面に高分子化合物層26を設けるようにしてもよい。但し、いずれの場合であっても、巻回体20の最外周に位置するセパレータ23において、外装缶11と対向する面には高分子化合物層26を形成しないこととする。
高分子化合物層26は、溶媒に電解質塩が溶解された電解液と、この電解液を保持する高分子化合物とを含むものである。ここで、高分子化合物が電解液を「保持する」とは、電解液に高分子化合物が膨潤した状態のほか、電解液と高分子化合物とが相互作用することなく混在した状態をも含む概念である。すなわち、高分子化合物層26は、電解液に高分子化合物が膨潤したいわゆるゲル状の電解質であってもよいし、剛直な高分子化合物の空隙に電解液が相互作用を生ずることなく存在した状態の電解質であってもよい。なお、電解液は、正極21、負極22またはセパレータ23に含浸されていてもよい。
電解液に含まれる溶媒としては、各種の高誘電率溶媒および低粘度溶媒を用いることができる。例えば高誘電率溶媒としては、エチレンカーボネートのほか、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(フルオロエチレンカーボネート)、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(クロロエチレンカーボネート)、およびトリフルオロメチルエチレンカーボネートなどの環状カーボネートが好適に用いられる。高誘電率溶媒としては、上記のような環状カーボネートの代わりに、またはこれと併用して、γ−ブチロラクトン,γ−バレロラクトン,δ−バレロラクトンもしくはε−カプロラクトンなどのラクトン、N−メチルピロリドンなどのラクタム、N−メチルオキサゾリジノンなどの環状カルバミン酸エステル、テトラメチレンスルホンなどのスルホン化合物なども使用可能である。一方、低粘度溶媒としては、ジエチルカーボネートのほか、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびメチルプロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチルおよびトリメチル酢酸エチルなどの鎖状カルボン酸エステル、N,N−ジメチルアセトアミドなどの鎖状アミド、N,N−ジエチルカルバミン酸メチルおよびN,N−ジエチルカルバミン酸エチル等の鎖状カルバミン酸エステル、ならびに1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランおよび1,3−ジオキソランなどのエーテルを用いることができる。
なお、溶媒としては、上述の高誘電率溶媒および低粘度溶媒のうちの1種を単独で、またが2種以上を任意に混合して用いることができるが、20〜50質量%の環状カーボネートと50〜80質量%の低粘度溶媒とを含むものが好ましく、特に低粘度溶媒として、沸点が130℃以下の鎖状カーボネートを含むものが好ましい。このような溶媒を用いることにより、少量の電解液で、高分子化合物を良好に膨潤させることができ、電池の膨れ抑制や漏れ防止と高いイオン伝導性との両立を図ることができる。ここで、電解液を占める低粘度溶媒の含有率が高すぎると誘電率の低下を招くこととなり、低粘度溶媒の含有率が低すぎると粘度の低下を招くこととなり、いずれの場合においても十分なイオン伝導度が得られず、良好な電池特性が得られなくなるおそれがある。
電解質塩としては、溶媒に溶解してイオンを生ずるものであればいずれを用いてもよく、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。例えばリチウム塩であれば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 )、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6 )、六フッ化アンチモン酸リチウム(LiSbF6 )、過塩素酸リチウム(LiClO4 )、四塩化アルミニウム酸リチウム(LiAlCl4 )等の無機リチウム塩や、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3 SO3 )、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド(LiN(CF3 SO2 2 )、リチウムビス(ペンタフルオロメタンスルホン)イミド(LiN(C2 5 SO2 2 )、およびリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホン)メチド(LiC(CF3 SO2 3 )などのパーフルオロアルカンスルホン酸誘導体のリチウム塩などが使用可能である。なかでも、六フッ化リン酸リチウムや四フッ化ホウ酸リチウムは、酸化安定性の点から好ましい。
なお、このような電解質塩の濃度は、溶媒1dm3 に対して0.1mol以上3.0mol以下であることが好ましく、特に、溶媒1dm3 に対して0.5mol以上2.0mol以下であることが好ましい。このような範囲においてより高いイオン伝導性を得ることができるからである。
高分子化合物層26を構成する高分子化合物としては、電解液を保持してイオン伝導性を発揮する限り特に限定されるものではないが、アクリロニトリルの共重合体が50%以上(特に80%以上)であるアクリロニトリル系重合体、芳香族ポリアミド、アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、アクリレートもしくはメタクリレートの単独重合体または共重合体よりなるアクリル系重合体、アクリルアミド系重合体、フッ化ビニリデンなどの含フッ素ポリマー、ポリスルホン、ポリアリルスルホン、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース類を挙げることができる。特にアクリロニトリルの共重合量が50%以上の重合体は、その側鎖にCN基を有しているため誘電率が高く、イオン伝導性の高いゲル状の電解質を形成可能である。これら重合体に対する電解液の担持性向上や電解質のイオン伝導性を向上させるため、アクリルニトリルとアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等のビニルカルボン酸、アクリルアミド、メタクリルスルホン酸、ヒドロキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、アルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、各種(メタ)アクリレートなどを好ましくは50%以下、特に好ましくは20%以下の割合で共重合したものも用いることができる。また、芳香族ポリアミドは高耐熱性ポリマーであることから、高耐熱性が要求される場合には好適である。
高分子化合物層26を構成する高分子化合物としては、上記のほか、ブタジエンなどを共重合させた架橋構造を有する重合体も挙げられる。さらに、構成成分としてフッ化ビニリデンを含む重合体、すなわち単独重合体、共重合体および多元共重合体についても高分子化合物として使用可能である。具体的には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF−HFP)、およびポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(PVdF−HEP−CTFE)を挙げることができる。特に、酸化還元安定性の点からは、ポリフッ化ビニリデンあるいはビニリデンフルオライドとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体などのフッ素系高分子化合物が望ましい。高分子化合物層26には、さらに、安全性向上を目的として酸化アルミニウム(Al2 3),酸化チタン(TiO2)あるいは酸化硅素(SiO2 )などの絶縁性粒子を含有させるようにしてもよい。
セパレータ23が、高分子化合物層26を介して正極21および負極22と接着されていることにより、電池反応に実質的に関与しない余剰の電解液を低減することができ、電解液が正極活物質層21Bおよび負極活物質層22Bの周囲に効率よく供給される。したがって、本実施の形態の二次電池は、電解液の総量を低減しつつ、優れたサイクル特性を発揮するものであるうえ、耐漏液性にも優れることになる。ここでは、正極集電体21Aの正極露出領域21DS,21DEおよび負極集電体22Aの負極露出領域22DS,22Eの各々と、セパレータ23との剥離強度が1mN/mm以上であることが望ましく、10mN/mm以上であることが特に望ましい。なお、この剥離強度とは、セパレータ23を支持台上に固定配置し、正極集電体21Aまたは負極集電体22Aを、セパレータ23から剥がすように10cm/分の速度で180°方向に引っ張った際、引っ張り始めてから6秒から25秒の間に、それらを剥離するのに必要とされた力の平均値を意味する。
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極21からリチウムイオンが放出され、セパレータ23に含浸された電解液を介して負極22に吸蔵される。放電を行うと、例えば、負極22からリチウムイオンが放出され、セパレータ23に含浸された電解液を介して正極21に吸蔵される。
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、正極活物質と、導電剤と、結着剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーとする。続いて、この正極合剤スラリーを正極集電体21Aにドクタブレードあるいはバーコーターなどを用いて均一に塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機などにより圧縮成型して正極活物質層21Bを形成し、正極21を作製する。
次いで、負極活物質と、結着剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の負極合剤スラリーとする。続いて、この負極合剤スラリーを負極集電体22Aにドクタブレードあるいはバーコーターなどを用いて均一に塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機により圧縮成型して負極合剤層22Bを形成し、負極22を作製する。ロールプレス機は加熱して用いてもよい。また、目的の物性値になるまで複数回圧縮成型してもよい。さらに、ロールプレス機以外のプレス機を用いてもよい。
続いて、正極集電体21Aに正極リード24を溶接などにより取り付けると共に、負極集電体22Aに負極リード25を溶接などにより取り付ける。その一方で、セパレータ23の片面または両面に高分子化合物層26を選択的に形成する。具体的には、まず、セパレータ23の片面または両面に、ポリフッ化ビニリデンやカルボキシメチルセルロースなどの高分子化合物をN−メチル−2−ピロリドンや水などの溶剤に溶解した高分子溶液を塗布する。その際、巻回体20の最外周における外側の面となる領域、すなわち、外装缶と対向する面となる領域には塗布しないようにする。次いで、塗布した高分子溶液を乾燥させて溶剤を除去することで高分子化合物層26を選択的に形成する。そののち、正極21と負極22とを高分子化合物層26が形成されたセパレータ23を間にして積層し、図3および図4に示した巻回方向Rに複数回巻回したのち成形することで、偏平な形状を有する巻回体20を作製する。
次に、上記のように作製した巻回体20を外装缶11の内部に収容する。この際、巻回体20の最外周面となるセパレータ23の外側の面には高分子化合物層26が存在しないことから、巻回体20をスムーズに外装缶11の中へ挿入することができ、セパレータ23や、その内側に位置する正極21の端部を損傷させる可能性が極めて低い。こののち、巻回体20の上に絶縁板12を配置し、負極リード25を外装缶11に溶接すると共に、正極リード24を正極ピン15の下端に溶接して、外装缶11の開放端部に電池蓋13をレーザ溶接により固定する。最後に、電解液を電解液注入孔19から外装缶11の内部に注入し、セパレータ23に含浸させ、電解液注入孔19を封止部材19Aで塞ぐ。これにより、図1および図2に示した二次電池が完成する。
このように、本実施の形態では、巻回体20の最外周面には粘着性の高い高分子化合物層26を設けないようにしたので、製造段階において外装缶に巻回体を円滑に収容することができ、巻回体20の最外周に位置するセパレータ23の損傷が回避される。よって、正極21と、負の極性を有する外装缶11との短絡発生を防止することができる。その一方で、セパレータ23は高分子化合物層26を介して正極21および負極22と接着されるので、セパレータ23と正極21および負極22との相対位置を高精度に保持することができる。よって、巻回体20の内部での短絡も防止することができる。この際、セパレータ23が高分子化合物層26を介して正極21および負極22と十分に接着されることから、セパレータ23における電解質の保持性能が高まり、良好な電池特性(例えばサイクル特性)をも確保することができる。
本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
(実施例1−1,1−2)
上記実施の形態で説明した二次電池を作製した。まず、炭酸リチウム(Li2 CO3 )と炭酸コバルト(CoCO3 )とを、Li2 CO3 :CoCO3 =0.5:1(モル比)の割合で混合し、空気中において900℃で5時間焼成して、正極活物質としてのリチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2 )を得た。次いで、このリチウム・コバルト複合酸化物91質量部と、導電剤であるグラファイト6質量部と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合して正極合剤を調整した。続いて、この正極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極合剤スラリーとし、厚み20μmのアルミニウム箔よりなる正極集電体21Aの両面に均一に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して正極活物質層21Bを形成し正極21を作製した。続いて、正極集電体21Aの一端にアルミニウム製の正極リード24を取り付けた。
また、負極活物質としてCoSnC含有材料を作製した。まず、原料としてコバルト粉末とスズ粉末と炭素粉末とを用意し、コバルト粉末とスズ粉末とを合金化してコバルト・スズ合金粉末を作製したのち、この合金粉末に炭素粉末を加えて乾式混合した。続いて、この混合物を、遊星ボールミルを用いてメカノケミカル反応を利用することで合成し、CoSnC含有材料を得た。
得られたCoSnC含有材料について組成の分析を行ったところ、コバルトの含有量は29.3質量%、スズの含有量は49.9質量%、炭素の含有量は19.8質量%であった。なお、炭素の含有量は、炭素・硫黄分析装置により測定し、コバルトおよびスズの含有量は、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)発光分析により測定した。また、得られたCoSnC含有材料についてX線回折を行ったところ、回折角2θ=20°〜50°の間に、回折角2θが1.0°以上の広い半値幅を有する回折ピークが観察された。更に、このCoSnC含有材料についてXPSを行ったところ、CoSnC含有材料中におけるC1sのピークは284.5eVよりも低い領域に得られた。すなわち、CoSnC含有材料中の炭素が他の元素と結合していることが確認された。
次いで、このCoSnC含有材料60質量部と、導電剤および負極活物質である人造黒鉛28質量部およびカーボンブラック2質量部と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン10質量部とを混合し、負極合剤を調整した。続いて、この負極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて負極合剤スラリーとし、厚み15μmの銅箔よりなる負極集電体22Aの両面に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して負極活物質層22Bを形成した。そののち、負極集電体22Aの一端にニッケル製の負極リード25を取り付けた。
続いて、16μm厚の微孔性ポリエチレンフィルムよりなるセパレータ23を用意し、そのセパレータ23の片面にポリフッ化ビニリデンをN−メチル−2−ピロリドンに溶解した高分子溶液を塗布したのち、純水によって洗浄し乾燥させることで、片面に高分子化合物層26が形成されたセパレータ23を得た(実施例1−1)。また、微孔性ポリエチレンフィルムの両面に微孔性ポリプロピレンフィルムを貼り合わせてなる3層構造(全体の厚みが16μm)のセパレータ23を用意し、同様の手法により、片面に高分子化合物層26が形成されたセパレータ23を得た(実施例1−2)。いずれの場合も、2g/m2 の割合で高分子化合物層26を設けるようにした。さらに、正極21と,高分子化合物層26が形成されたセパレータ23と、負極22と、高分子化合物層26が形成されたセパレータ23とを順に積層して積層体を形成したのち、この積層体を、高分子化合物層26が形成された面が内側となるように渦巻状に複数回巻回することで巻回体20を作製した。得られた巻回体20は、偏平な形状に成形した。
次に、偏平形状に成型された巻回体20を外装缶11の内部に収容したのち、巻回体20の上に絶縁板12を配置し、負極リード25を外装缶11に溶接すると共に、正極リード24を正極ピン15の下端に溶接して、外装缶11の開放端部に電池蓋13をレーザ溶接により固定した。そののち、電解液注入孔19から外装缶11の内部に電解液を注入した。電解液には、炭酸エチレン30体積%と炭酸ジエチル70体積%とを混合した溶媒に、電解質塩としてLiPF6 を1mol/dm3 の濃度で溶解させたものを用いた。最後に、電解液注入孔19を封止部材19Aで塞ぐことにより、角型の二次電池を得た。
実施例1−1および実施例1−2に対する比較例1−1および比較例1−2として、セパレータ23上に高分子化合物層26を設けなかったことを除き、他は実施例1−1および実施例1−2と各々同様の要領で二次電池を作製した。また、比較例1−3および比較例1−4として、セパレータ23上の片面(但し、巻回体20の外側となる面)のみに全体に亘って高分子化合物層26を設けたことを除き、他は実施例1−1および実施例1−2と各々同様の要領で二次電池を作製した。さらに、比較例1−5および比較例1−6として、セパレータ23上の両面全体に亘って高分子化合物層26を設けたことを除き、他は実施例1−1および実施例1−2と各々同様の要領で二次電池を作製した。なお、高分子化合物層26の全体量を実施例と揃えるため、比較例1−5および比較例1−6では、片面にそれぞれ1g/m2 の割合で高分子化合物層26を設けるようにした。
このようにして得られた実施例1−1および実施例1−2ならびに比較例1−1〜1−6の二次電池をそれぞれ50個作製し、45℃の環境下において以下の要領で充放電を行った。まず充電については、電池電圧が4.2Vとなるまで2mA/cm2の定電流密度で定電流充電を行い、引き続き4.2Vの定電圧で、充電開始からの時間が合計で2.5時間となるまで定電圧充電を行った。ここで、定電流充電の際に電圧が上昇しなかったサンプルの数をカウントし、全体のサンプル数で除することでそれを初期の内部短絡発生率(%)とした。次に放電については、電池電圧が2.5Vとなるまで5mA/cm2の定電流密度で定電流放電を行った。この充電と放電との組み合わせを1サイクルとし、100サイクルまで充放電を行い、(初期の内部短絡を除き)100サイクル後までに生じた内部短絡の発生率を調べた。得られた結果を表1に示す。表1には、併せて容量維持率の結果も示す。容量維持率については、2サイクル目の放電容量に対する100サイクル目の放電容量の比率、すなわち(100サイクル目の放電容量/2サイクル目の放電容量)×100(%)として算出した。また、表1に示した、巻回体最外周の欄には、外装缶11の内面と接することとなる材料種を示す。
Figure 2008146921
表1に示したように、実施例1−1および実施例1−2では、いずれも、内部短絡率が初期および100サイクル後とも発生しなかった。一方、外装缶11と対向する面にポリフッ化ビニリデンからなる高分子化合物層26が形成された比較例1−3〜1−6では、初期および100サイクル後において4〜8%の高い内部短絡率となった。また、比較例1−1および比較例1−2では、内部短絡は生じなかったものの、それぞれ、実施例1−1および実施例1−2と比較して低い容量維持率を示した。
(実施例2−1,2−2)
次に、負極22および電解液として以下のものを用いたことを除き、他は実施例1−1と同様の要領で実施例2−1の二次電池を作製した。ここでは、Ra値で0.4μmの表面粗度を有する銅箔からなる負極集電体22Aを用意し、これに、微量の酸素雰囲気に保持したチャンバ内において、電子ビーム蒸着法によって部分酸化非晶質シリコン膜からなる4μm厚の負極集電体22Bを形成することで、負極22を得た。また、電解液には、炭酸エチレン30体積%と炭酸ビニレン10体積%と炭酸ジエチル70体積%とを混合した溶媒に、電解質塩としてLiPF6 を1mol/dm3 の濃度で溶解させたものを用いた。さらに、実施例2−2としての二次電池を、セパレータ23上の両面に高分子化合物層26を設けたことを除き、他は実施例2−1と同様の要領で作製した。なお、高分子化合物層26の全体量を一定とするため、実施例2−2では、片面にそれぞれ1g/m2 の割合で高分子化合物層26を設けるようにした。但し、実施例2−2では、セパレータ23の一部をマスキングするなどして選択的に高分子化合物層26を形成することで、巻回体20の最外周面、すなわち、外装缶11と対向する面には高分子化合物層26が存在しないようにした。
実施例2−1および実施例2−2に対する比較例2−1として、セパレータ23上に高分子化合物層26を設けなかったことを除き、他は実施例2−1および実施例2−2と同様の要領で二次電池を作製した。また、比較例2−2として、セパレータ23上の片面(但し、巻回体20の外側となる面)のみに全体に亘って高分子化合物層26を設けたことを除き、他は実施例2−1および実施例2−2と同様の要領で二次電池を作製した。さらに、比較例2−3として、セパレータ23上の両面全体に亘って(巻回体20の最外周となる部分も含めて)高分子化合物層26を設けたことを除き、他は実施例2−1および実施例2−2と同様の要領で二次電池を作製した。
このようにして得られた実施例2−1および実施例2−2ならびに比較例2−1〜2−3についても、実施例1−1および実施例1−2と同様にして、内部短絡発生率および容量維持率について調べた。その結果を表2に示す。
Figure 2008146921
表2に示したように、実施例2−1および実施例2−2では、いずれも、内部短絡率が初期および100サイクル後とも発生しなかった。一方、外装缶11と対向する面にポリフッ化ビニリデンからなる高分子化合物層26が形成された比較例2−2および比較例2−3では、初期および100サイクル後において5〜18%の高い内部短絡率となった。また、セパレータ23に高分子化合物層26を形成しなかった比較例2−1では、内部短絡率が低いものの、実施例2−1および実施例2−2と比較して容量維持率が不十分な値であった。実施例2−2において、実施例2−1よりも高い容量維持率が得られたのは、セパレータ23の両面に高分子化合物層26を設けたことで、より多くの電解質を保持することができたためと考えられる。
(実施例3−1,3−2)
次に、電解液の組成を変えたことを除き、他は実施例2−2と同様の要領で実施例3−1,3−2の二次電池を作製した。具体的には、実施例3−1では、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)と炭酸エチレンと炭酸ジエチルとを順に20:10:70の割合(体積比)で混合した溶媒に、電解質塩としてLiPF6を溶媒1dm3 あたり1molの割合で溶解させたものを用いた。一方、実施例3−2では、ジフルオロエチレンカーボネートと炭酸エチレンと炭酸ジエチルとを順に20:10:70の割合(体積比)で混合した溶媒に、電解質塩として、溶媒1dm3 あたり0.8molのLiPF6 と溶媒1dm3 あたり0.2molのLiBF4 とを溶解させたものを用いた。
実施例3−1および実施例3−2に対する比較例3−1としての二次電池を、セパレータ23上の両面全体に亘って(巻回体20の最外周となる部分も含めて)高分子化合物層26を設けたことを除き、他は実施例3−1と同様の要領で作製した。なお、いずれの実施例および比較例においても高分子化合物層26の全体量を一定に揃えるようにした。
このようにして得られた実施例3−1および実施例3−2ならびに比較例3−1についても、内部短絡発生率および容量維持率について調べた。その結果を実施例2−2と併せて表3に示す。
Figure 2008146921
表3に示したように、実施例3−1および実施例3−2では、実施例2−2と同様、内部短絡率が初期および100サイクル後とも発生しなかった。一方、外装缶11と対向する面にポリフッ化ビニリデンからなる高分子化合物層26が形成された比較例3−1では、初期および100サイクル後において3〜10%の高い内部短絡率となった。また、実施例3−1および実施例3−2では、溶媒にジフルオロエチレンカーボネートを加えるようにしたので、これを含まない実施例2−2と比べて容量維持率が向上した。特に、実施例3−2ではリチウム塩としてLiBF4 を含むようにしたので、これを含まない実施例3−1よりも、いっそう高い容量維持率を示した。
(実施例4−1,4−2)
次に、負極22として以下のものを用いたことを除き、他は実施例2−1と同様の要領で実施例4−1の二次電池を作製した。ここでは、まず、1μmの平均粒径を有する純度99%のシリコン(Si)粒子と、ガスアトマイズ法で作製され、スズ(Sn),コバルト(Co),チタン(Ti)を原子数比で66:22:12の割合で含有し、かつ10μmの平均粒径を有する合金粒子と、4μmの平均粒径を有する黒鉛粒子と、ポリアミド酸とを用意し、それらを50:25:5:20の重量比で混合した。次に、その混合物をN−メチル−2−ピロリドン中に分散させたものを、Ra値で0.4μmの表面粗度を有する銅箔からなる負極集電体22Aの上に塗布した。こののち、アルゴン(Ar)雰囲気中において12時間に亘って400℃に保持することで負極集電体22Bを形成し、負極22を得た。さらに、実施例4−2としての二次電池を、ポリフッ化ビニリデンに替えてカルボキシメチルセルロースからなる高分子化合物層26をセパレータ23上に形成したことを除き、他は実施例4−1と同様の要領で作製した。但し、実施例4−2では、高分子化合物を溶解する溶剤として水を使用し、そのまま乾燥させるようにした。
実施例4−1および実施例4−2に対する比較例4−1としての二次電池を、セパレータ23上に高分子化合物層26を設けなかったことを除き、他は実施例4−1および実施例4−2と同様の要領で作製した。また、実施例4−1に対する比較例4−2としての二次電池、および実施例4−2に対する比較例4−3としての二次電池を、セパレータ23上の片面(但し、巻回体20の外側となる面)のみに全体に亘って高分子化合物層26を設けたことを除き、他は実施例4−1および実施例4−2とそれぞれ同様の要領で作製した。さらに、実施例4−1に対する比較例4−4としての二次電池、および実施例4−2に対する比較例4−5としての二次電池を、セパレータ23上の両面全体に亘って高分子化合物層26を設けたことを除き、他は実施例4−1および実施例4−2とそれぞれ同様の要領で作製した。なお、高分子化合物層26の全体量を実施例と揃えるため、比較例4−4および比較例4−5では、片面にそれぞれ1g/m2 の割合で高分子化合物層26を設けるようにした。
このようにして得られた実施例4−1および実施例4−2ならびに比較例4−1〜4−5についても、内部短絡発生率および容量維持率について調べた。その結果を表4に示す。
Figure 2008146921
表4に示したように、実施例4−1および実施例4−2では、いずれも、内部短絡率が初期および100サイクル後とも発生しなかった。一方、外装缶11と対向する面にポリフッ化ビニリデンからなる高分子化合物層26が形成された比較例4−2〜比較例4−5では、初期および100サイクル後において3〜10%の高い内部短絡率となった。また、セパレータ23に高分子化合物層26を形成しなかった比較例4−1では、内部短絡が生じなかったものの、実施例4−1および実施例4−2と比較して容量維持率が不十分な値であった。
このように、上記の各実施例では、巻回体20の最外周面には粘着性の高い高分子化合物層26を設けないようにしたので、セパレータ23の損傷が回避され、電池内部での短絡発生を防止することができた。特に、充放電に伴う膨張収縮が大きい、シリコンやスズを活物質として含む負極を備えた電池において、より効果的であった。同時に、高分子化合物層26の存在により、セパレータ23における電解質の保持性能が高まり、良好な容量維持率を確保することができた。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、巻回体の最外周に、内面側のみに高分子化合物層が塗布されたセパレータを設けるようにしたが、両面とも高分子化合物層を有しないセパレータを巻回体の最外周に巻くようにしてもよい。
また、上記実施の形態および実施例では、セパレータが内周から外周まで連続している場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、正極および負極に挟まれた部分のセパレータと、最外周に巻かれた部分のセパレータとを別体としてもよい。その場合、それぞれのセパレータの構成材料が異なっていてもよい。さらに、セパレータにおける正極および負極と対向しない部分には高分子化合物層を設けなくともよい。いずれにせよ、正極および負極とセパレータとの対向部分において接着性を確保しつつ、セパレータの最外周面と外装缶の内面との間に粘着性を有する高分子化合物層を設けないようにすればよい。
また、上記実施の形態および実施例では、巻回構造を有する角型の二次電池について説明したが、本発明は、巻回構造をなす巻回体と共に外装缶を有する二次電池(例えば円筒型)であれば適用の可能性を有する。
また、上記実施の形態および実施例では、外装缶の極性と、セパレータによって外装缶と隔てられた巻回外周側端部を有する電極の極性とが異なる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、それらが互いに同じ極性であっても、外傷の大きさ(深さ)によっては巻回体の内部に位置するセパレータをも損傷し、その結果、正極と負極との短絡が生ずることも考えられる。
さらに、上記実施の形態および実施例では、電極反応物質としてリチウムを用いる場合について説明したが、ナトリウム(Na)あるいはカリウム(K)などの長周期型周期表における他の1族の元素、またはマグネシウムあるいはカルシウム(Ca)などの長周期型周期表における2族の元素、またはアルミニウムなどの他の軽金属、またはリチウムあるいはこれらの合金を用いる場合についても、本発明を適用することができ、同様の効果を得ることができる。その際、電極反応物質を吸蔵および放出することが可能な負極活物質、正極活物質あるいは溶媒などは、その電極反応物質に応じて選択される。
本発明の一実施の形態に係る二次電池の構成を表す断面図である。 図1に示した巻回体のII−II線に沿った構成を表す断面図である。 図1に示した正極の巻回前の構成を表す断面図である。 図1に示した負極の巻回前の構成を表す断面図である。
符号の説明
11…外装缶、12…絶縁板、13…電池蓋、14…端子板、15…正極ピン、16…絶縁ケース、17…ガスケット、18…開裂弁、19…電解液注入孔、19A…封止部材、20…巻回体、21…正極、21A…正極集電体、21B…正極活物質層、21C…正極被覆領域、21D…正極露出領域、22…負極、22A…負極集電体、22B…負極活物質層、22C…負極被覆領域、22D…負極露出領域、23…セパレータ、24…正極リード、25…負極リード、26…高分子化合物層。

Claims (8)

  1. 対向する一対の電極と、その間に位置するセパレータとの積層構造を有する巻回体と、
    前記巻回体を収容する外装缶と
    を備え、
    前記セパレータは、前記外装缶と対向する面以外の面の少なくとも一部に高分子化合物層を有し、この高分子化合物層を介して前記一対の電極のうちの少なくとも一方と接着されている
    ことを特徴とする電池。
  2. 前記一対の電極のうちのいずれか一方は、前記外装缶と異なる極性を有し、かつ、前記セパレータによって前記外装缶と隔てられた巻回外周側端部を有している
    ことを特徴とする請求項1記載の電池。
  3. 前記セパレータ同士が対向する面にも前記高分子化合物層が設けられていることを特徴とする請求項1記載の電池。
  4. 前記高分子化合物層は、電解質を含んでいることを特徴とする請求項1記載の電池。
  5. 前記セパレータは複数の空孔を有する多孔質材料からなり、前記高分子化合物層は前記空孔の内部にも存在していることを特徴とする請求項1記載の電池。
  6. 前記高分子化合物層は、ポリフッ化ビニリデンおよびカルボキシメチルセルロースのうちの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1記載の電池。
  7. 前記高分子化合物層は、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体を含むことを特徴とする請求項1記載の電池。
  8. 前記一対の電極のうちの一方である負極は、活物質としてケイ素(Si)およびスズ(Sn)のうちの少なくとも一方を含む
    ことを特徴とする請求項1記載の電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009054462A (ja) * 2007-08-28 2009-03-12 Furukawa Battery Co Ltd:The リチウムイオン二次電池
US10403937B2 (en) 2014-05-20 2019-09-03 Dyson Technology Limited Method of manufacturing an electrochemical cell

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