JP2008145943A - 電子楽器の鍵盤装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の下限ストッパ51〜53は、鍵盤フレームの水平部3aの上面に配置され、複数の白鍵本体部1及び複数の黒鍵本体部2に関し、その配列方向に延在する長尺の動作規制部材であって、鍵の長手方向に並設されている。下限ストッパ51は、複数の粒子11が包囲部材12により部分的に又は全体を包囲されて閉領域に収容された状態のものである。白鍵本体部1が下限ストッパ51に衝突したとき、複数の粒子11同士が摺動したり衝突したりすることにより、大きな内部損失が得られるから、下限ストッパ51は白鍵本体部1に反発力を与えない。
【選択図】図1
Description
図10は、従来の電子楽器の鍵盤装置を模式的に示す説明図である。
図中、1は白鍵本体部、2は黒鍵本体部である。3は鍵盤フレームであって、鍵の長手方向の前後部に段差があり、これらの間が水平部3aとなり、水平部3aの後部分に鍵支持部3bがある。
白鍵本体部1は、その上面から下方向に両側面部が形成され、両側面部は、先端部1a寄りの中間位置において、さらに下方向に垂下して左右一対のストッパ片1cとなり、その先端部1dは、鍵の奥行き方向に略直角に曲がっている。
黒鍵本体部2についても、上述した白鍵と同様の位置に、鍵支点部2bとストッパ片2cがある。
鍵盤フレーム3の前方段差部には、縦に複数本の並行スリット3cが形成され、各スリット3cに、白鍵及び黒鍵のストッパ片の先端部1d,2dが挿入される。
ストッパ片の先端部1dの上面に対向して、水平部3aの下面に、鍵の配列方向に沿って帯状に上限ストッパ6が配置されている。一方、水平部3bの上面には、帯状に下限ストッパ101が配置されている。上限ストッパ6,下限ストッパ101は、図示の例ではすべての白鍵及び黒鍵に共通のものである。
演奏者の押鍵時に鍵スイッチ4が弾性圧縮されてスイッチがオンとなる。さらに鍵が押圧されると、下限ストッパ5は、押圧された白鍵本体部1,黒鍵本体部2の左右両側面から衝撃を受けて弾性変形する。その際、内部損失により運動エネルギが熱エネルギに変換されることにより鍵は制動される。
しかし、下限ストッパ101は、弾性変形から元に戻るときに弾性復元力を発生し、この弾性復元力が鍵に対する反発力(リバウンドと呼ばれる)となって、鍵本体部1,黒鍵本体部2から演奏者の指に伝わり、演奏者に不快感を与える。
その際、上限ストッパ6の弾性復帰力が、白鍵本体部1,黒鍵本体部2に対する反発力となる。この反発力は、鍵復帰力とは相反する方向であるため、白鍵本体部1,黒鍵本体部2は、完全に静止するまで振動を繰り返し、演奏者の指が鍵に触れていると、この振動が伝わって演奏者に不快感を与える。
上述した質量体に対する上限ストッパ及び下限ストッパもまた、質量体の慣性モーメントの衝撃を吸収して制動するが、質量体が衝突したときに反発力を発生し、これが鍵を介して演奏者の指に伝わり、演奏者に不快感を与える。
この質量体は、エラストマやゴムに金属粉が混合された弾性材料で構成される。又は、砂や金属粉を袋状部材で包んで全鍵幅若しくは複数の鍵幅に亘る長さに形成したものを適用してよいことが記載されている。
上述した「質量部MB」を使用することにより、押鍵押し切り時における回動部材の跳ね返り、指への衝撃及び衝撃音を抑制しつつ、しっかりとしたストップ感を長期に亘り維持することができると記載されている。
また、上述した砂や金属粉を袋状部材で包んだ部材の、動作規制機能を向上させるための配置についてまでは検討されていなかった。例えば、砂や金属粉を袋状部材で包んだ部材(動作規制部材)について、その部材自体の特性が良好でなかったり、鍵の配列方向に特性の良好でない位置があったりした場合についてまでは検討されていなかった。
従って、回動部材が動作規制部材に衝突したとき、複数の粒子同士が摺動したり衝突したりすることにより、大きな内部損失が得られるから、動作規制部材が回動部材に反発力を与えない。
この回動部材は、複数の動作規制部材に衝突して複数の各動作規制部材により動作規制がなされて、回動範囲、すなわち、初期位置及び又は最大変位位置が規制される。
その結果、複数の各動作規制部材の動作規制特性を総合したり平均化したりすることができることから、動作規制機能が向上する。
従って、各動作規制部材を合わせた総合動作規制特性が良好になるように調整することができる。
回動部材に対する動作規制部材の制動特性は、動作規制部材に配設された移動規制部材の位置及び近傍位置で悪くなる。
従って、移動規制部材が、複数の動作規制部材に対し、それぞれ、配列方向における異なる位置に配設されていることにより、複数の回動部材に対する動作規制特性を均一化することができる。
回動部材に対する動作規制部材の制動特性は、動作規制部材の閉領域に配設された分割位置及び近傍位置で悪くなる。
従って、分割位置が、複数の動作規制部材に対し、それぞれ、配列方向における異なる位置に配設されていることにより、複数の回動部材に対する動作規制特性を均一化することができる。
上述した動作規制部材の閉領域は、例えば、動作規制部材の包囲部材に閉塞部が形成されることにより分割される。あるいは、動作規制部材自体を分割することにより分割される。
鍵盤装置には、押鍵操作に連動して回動する質量体を備えたものと、備えないものとがある。包囲部材により複数の粒子が包囲された動作規制部材は、鍵及び質量体のいずれの回動範囲の規制に用いてもよいし、両方の回動範囲の規制に用いてもよい。鍵及び質量体は異なる領域に配置されているから、鍵に対する動作規制部材と質量体に対する動作規制部材とは異なる部材となる。
また、回動範囲の規制として、上限の位置規制と下限の位置規制とがある。複数の粒子が包囲部材により閉領域に収容された動作規制部材を、いずれの規制に用いてもよいし、両方に用いてもよい。上限の位置規制に対する動作規制部材と下限の位置規制に対する動作規制部材とは異なる部材となる。
図1(a)は、電子楽器の鍵盤装置を模式的に説明する右側面図、図1(b)は、電子楽器の鍵盤装置を模式的に説明する平面図である。
図1(c),図1(d)は、その下限ストッパについて、粒子の挙動を右側面方向から模式的に示す説明図であり、図1(e)は、粒子の挙動を正面方向から模式的に示す説明図である。
図中、図10と同様な部分には同じ符号を付して説明を省略する。
下限ストッパ51〜53は、複数の白鍵本体部1(回動部材)及び複数の黒鍵本体部2(回動部材)に関し、その配列方向(鍵並び方向)に延在する長尺の動作規制部材であって、鍵の長手方向に並設されている。
背景技術で説明した図10に示した下限ストッパ101と同様に、下限ストッパ51〜53のそれぞれに、白鍵本体部1(回動部材)、黒鍵本体部2(回動部材)が衝突することにより、白鍵本体部1及び黒鍵本体部2の回動範囲のうち、最大回動位置が規制される。
図1に示した複数の下限ストッパ51〜53は、同一構造、同一材質のものであって、同一の動作規制特性、例えば、制動力や原状復帰性等を有しているが、動作タイミングは異なる。
下限ストッパ51は、複数の粒子11が包囲部材12により部分的に又は全体を包囲されて閉領域に収容された状態のものである。
白鍵本体部1が下限ストッパ51に衝突したとき、複数の粒子11同士が摺動したり衝突したりすることにより、大きな内部損失が得られるから、下限ストッパ51は白鍵本体部1に反発力を与えない。
本明細書において、包囲部材12により複数の粒子11が包囲(部分包囲又は全部包囲)された構造を、以下、簡単に、「パーティクル・バッグ」と呼ぶ場合がある。
一方、上限ストッパ6は、図示の例では、従来通りのフェルト等を用いた弾性を有する動作規制部材(以下、弾性型動作規制部材という)にしている。
上述した下限ストッパ51は、複数の粒子が通気性を有する包囲部材12により部分的に又は全体を包囲されたもの、又は、複数の粒子11が通気性を有する基材とこの基材に封着された包囲部材12により包囲されて、鍵盤フレーム3の側に配置されているものであるとよい。通気性を有していれば、白鍵本体部1,黒鍵本体部2が下限ストッパ51に衝突したとき、包囲部材12の内部の空気圧による反発力が発生しない。
これに代えて、複数の粒子11が筒状の包囲部材12に包囲されたものが鍵盤フレーム3に配置されていてもよい。
下限ストッパ51は、鍵盤フレーム3自体に配置されている必要はなく、鍵盤装置を固定的に支持する他の部材に配置されていてもよい。
包囲部材12は、複数の粒子11の動作を包括的に拘束するものであって、薄くて柔軟性のある素材(薄皮状の素材ということもできる)で形成されている。
より具体的には、包囲部材12は、弾性を有する素材であり、内部、外部から受ける力に応じて包囲部材の表面積が伸縮するものがよい。しかし、包囲部材は、伸縮しなくても布のように、自由に曲がったり弛んだりするものでもよい。
包囲部材12として、プラスチック、天然ゴム、合成ゴムなどの薄膜(フィルム)44を用いてもよい。これらが発泡体である場合もある。薄膜には、複数の通気孔があるとよい。
図1(d),図1(e)に示すように、白鍵本体部の左側面部1e,右側面部1fの下端が、包囲部材12に衝突したとき、その運動エネルギは、包囲部材12を介して、複数の粒子11に伝達され、粒子11同士が連鎖的に衝突したり、摺動したりして任意の方向に移動する際に、運動エネルギが熱エネルギに変換されて消失する。
従って、弾性エネルギが蓄積されず、白鍵本体部1に対する反発力が発生しない。その結果、不快なタッチ感が排除される。
一方、包囲部材12が水平方向に伸びる結果、包囲部材12は適度な収縮力によって、複数の粒子11を閉領域に拘束するとともに、粒子11の挙動を包括的に拘束する。
ユーザが離鍵操作をすることにより、白鍵本体部の左側面部1e,右側面部1fの下端が、下限ストッパ51から離れたとき、包囲部材12は縮むから、図1(c)の初期状態に戻る。
白鍵本体部1が押鍵されたとき、その左側面部1e,右側面部1fが、複数の下限ストッパ53,52,51に衝突し、それぞれの動作規制特性に従った動作規制を受けることにより、回動範囲のうち、最大回動位置が規制される。その結果、各下限ストッパ53,52,51の動作規制を総合したり平均化したりすることができることから、動作規制機能が向上する。
その結果、総合的な動作規制特性は時間的に変化させることができ、例えば、押鍵された鍵に対し、徐々に制動力を大きくして衝撃音を小さくすることができる。
なお、下限ストッパ51〜53を高さの異なる基台の上に載置することにより、下限ストッパ51〜53の上面位置を調整し、左側面部1e,右側面部1fが同時に下限ストッパ51〜53に衝突するようにしたり、衝突するタイミングを変えたりすることもできる。
後述する他の包囲部材についても、鍵の配列方向の全鍵幅に亘って延在しているものは、同様に、その両端部を封止する。
図中、図1と同様な部分には同じ符号を用いている。
この実施の形態においては、複数の下限ストッパ211,212の粒子11の材質,形状,サイズ、個数、包囲部材12の材質,膜厚等を異ならせることにより、白鍵本体部1及び黒鍵本体部2(回動部材)に対する動作規制特性、例えば、制動力や原状復帰性(形状再現性)が異なるようにしたものである。
その際、下限ストッパ211,212自体の高さ、すなわち、上面位置が異なるようにした場合は、白鍵本体部1の左側面部1e,右側面部1fが下限ストッパ211,212に衝突する衝突するタイミングを変えることができる。
例えば、最初に衝突される下限ストッパは、形状復元力の比較的大きな構造にすれば、白鍵本体部1の回動動作範囲の下限位置は、比較的精度良く再現されるから、後から衝突される下限ストッパの高さ位置の再現性が多少不正確であっても回動動作範囲の精度が向上することとなる。
この下限ストッパ31は、基材となる水平部3aと包囲部材12とで全周が囲まれた内部に、移動規制部材32が鍵の配列方向に配設されたものである。
図中、図1,図2と同様な部分には同じ符号を付している。複数の粒子11は図示を省略した。
移動規制部材32は、H字形の水平断面を有する。32aはそのH字形の横棒をなす垂直壁であって、32bは垂直壁32aの両側面に結合した、H字形の立棒をなすフランジである。
図示の例では、フランジ32bの図示ハッチングを施した部分と包囲部材12とを、接着、粘着(例:両面接着テープ)、融着、ねじ止め等の方法で接合している。
垂直壁32aが移動規制部となって、粒子11が鍵の配列方向に移動することを規制する。その結果、下限ストッパ31が長期的に制動機能を保持できる。
垂直壁32aは、白鍵本体部1の左側面部1e,右側面部1fの下端が当接する位置の中間、すなわち、鍵の幅方向の中央部に位置するように配置する。全ての白鍵本体部1、黒鍵本体部2の中央部に配置する必要はなく、n鍵(nは正整数)に1鍵の割合で配置すればよい。
そこで、以下に示す具体例では、動作規制部材の閉領域を複数の領域に分割することにより、鍵の配列方向への粒子11の移動を阻止するようにした。
この下限ストッパ41は、外部に移動阻止部材が配設されたものである。
図中、図1,図2と同様な部分には同じ符号を付している。粒子11の図示は省略した。
42は移動阻止部材である。42aはアーム、42bはアーム42aを支持する支持部、42cは支持部42bを水平部3aに固定するための基底部である。
43は、包囲部材12により包囲されたパーティクル・バッグの節(分割位置)部、44はこのパーティクル・バッグの腹部である。
この下限ストッパ51は、包囲部材そのものに閉塞部が形成されたものである。
図5(a)に示すように、下限ストッパ51を形成するためには、先ず、包囲部材52を筒状にする。平面状に形成された矩形の素材を2つ折りにし、対向する上端部52aと下端部52bとを重ね合わせて結合することにより、筒状の包囲部材52を形成する。材料自体の融着、接着材を用いた接着、糸を用いた縫合、クリップ等の挟み込み部材を用いた挟着等、対向する面同士の一般的な結合方法を用いる。
そのために、分割位置の粒子11を移動させ、上下の包囲部材を押しつぶし、略線状に重ね合わせ、端部(上端部52a,下端部52b)と同様の面同士の結合を行う。結合された略線状の分割位置は、扁平な閉塞部52cとなる。
閉塞部52cは、図示のように、端部の境界線(鍵の配列方向)と直交する方向に形成する。
閉塞部52cを形成する際に、包囲部材52を鍵配列の中心軸方向に寄せて縮めた上で略線状に結合し、閉領域の断面が拡張されるようにし、多数の粒子11を収容できるようにするとよい。
図6(a)に示す包囲部材61は、平面状に形成された2枚の矩形素材を用いたものである。1枚目の左端部61a,右端部61bを、それぞれ、2枚目の左端部61c,右端部61dに重ね合わせ、端部を結合する。
図6(b)に示す包囲部材62は、平面状の素材を円筒状に丸めて、内端部62aと外端部62bとを重ね合わせて結合する。
図6(c)においては、筒状体の包囲部材63を用いる。例えば、袋織りされた織物、丸編みされた編み物、筒状に射出成形された薄膜である。
いずれの具体例においても、分割位置における略線状の閉塞部は、図4の場合と同様の方法で形成する。
図7(a)において、図中、71は下限ストッパ、72は包囲部材、72aは閉塞部(分割位置)、73は締結部材である。包囲部材72の素材に制約はなく、図1に示した包囲部材12の素材を用いればよい。
この具体例では、包囲部材72を締結部材73で略点状に絞ることにより、閉塞部72aを形成する。
なお、締結部材73を用いることなく、包囲部材72自体をねじることによっても閉塞部72aを形成することができる。
図5に示したような略直線状の閉塞部42cと比較して、略点状に絞る方が組み立てが容易であるだけでなく、包囲部材72の内部包囲領域の断面が略円形状となって多数の粒子11を収容することができる。
分割された下限ストッパ74の両端は、例えば、締結部材73により略点状に絞られて封止されている。
これらを設ける位置は、鍵が衝突する箇所を避ける必要がある。
粒子の移動規制位置、分割位置、及びその近傍において、パーティクル・バッグは、本来の動作規制機能を奏しないからである。
従って、粒子の移動規制位置及び分割位置は、白鍵本体部1,黒鍵本体部2の左側面部,右側面部の下端が当接する位置の中間、すなわち、鍵の幅方向の中央部とすればよい。
しかし、すべての鍵の幅方向中央部に設ける必要はなく、n鍵(nは正整数)に1鍵の割合で配置すればよい。
この実施の形態は、図3に示した粒子の移動規制位置、図4〜図7に示した分割位置を配設したものである。
図中、図1と同様な部分には同じ符号を用いている。図5に示した閉塞部52cを設けた下限ストッパ51を具体例として、下限ストッパ511〜513を用いたもので説明する。
閉塞部52c1〜52c3は、複数の下限ストッパ511〜513に対し、それぞれ、複数の白鍵本体部1,黒鍵本体部2の配列方向における異なる位置に配設され、粒子11が移動することを阻止する。
その結果、全体として分割位置及びその近傍位置における制動特性の低下が影響しないようになるから、動作規制特性を各鍵に対して均一化することができる。
各下限ストッパ511〜513の鍵に対する動作規制特性が異なっている場合でも、分割位置及びその近傍位置における制動特性の低下の影響を複数の鍵に分散させたほうがよい。
しかし、図1,図2に示した上限ストッパ6(動作規制部材)についても、同様な構造の複数列のパーティクル・バッグを使用してもよい。
図5ないし図8を参照して説明した具体例では、筒状の包囲部材は、閉塞部が形成されたものであった。
しかし、閉塞部を形成しない場合でも、図1〜図4を参照して説明した動作規制部材のような、包囲部材を基台に封着したものに代えて、筒状の包囲部材を使用してもよい。
この実施の形態は、質量体に対する下限ストッパ及び上限ストッパに、複数列のパーティクル・バッグを使用したものである。
図9(a)は、本願発明の第4の実施形態を模式的に示す右側面図である。
図中、81は白鍵本体部(回動部材)、82は黒鍵本体部(回動部材)である。鍵盤フレーム83は、鍵の長手方向の前後部に段差部があり、これらの間が水平部83aとなっている。水平部83aの後部分に鍵支持部83bがある。一方、水平部83aの裏面前部分に質量体支持部83cがある。
白鍵本体部81,黒鍵本体部82の鍵支点部81b,82bは、鍵支持部83bに取り付けられ、白鍵本体部81,黒鍵本体部82を回動可能にしている。
垂直壁83fには、白鍵本体部81に対する鍵ガイド85がある。鍵ガイド85は白鍵本体部の先端部81a近傍の下部に挿入される。一方、水平部83aに固定された鍵ガイド86は、黒鍵本体部82に対するものである。
水平部83a上には、鍵スイッチ4が設置され、これに対向して、白鍵本体部81、黒鍵本体部82の上面裏側に図示しない突部(アクチュエータ)がある。
質量体88は、複数の白鍵本体部81,黒鍵本体部82のそれぞれに設けられ、各鍵の下方に鍵の配列方向に配置されている。図示の質量体88は、白鍵本体部81に対するもので、質量体支持部83cにより回動自在に支持され、対応する鍵の力伝達部81cを介して回動される。
主被駆動部88a及び副被駆動部88bは、力伝達部81cの底板を弾性部材87を介して挟み込むようにして力伝達部81cと係合している。
黒鍵本体部82の力伝達部は、力伝達部81cと重なる位置にあり、同様に、質量体支持部により回動自在に支持された質量体が設けられ、対応する黒鍵の力伝達部により回動される。
一方、901,901は、質量体88に対する上限ストッパ(動作規制部材)であって、水平部83aの裏面に配置され、質量体88が回動するときに、質量集中部88eの上面が衝突することにより、質量体88の上限位置が規制される。
911,911は、質量体88に対する下限ストッパ(動作規制部材)であって、鍵盤フレーム底板84に配置され、回動した質量体88が復帰するときに、質量集中部28eの下面が衝突することにより、質量体88の初期位置が規制される。
図9(b)は、上限ストッパ901,902の動作説明図である。
いずれも、衝突面が水平になるように設置しているが、水平部83aに固定するか、図4に示したアーム32aのような部材で、包囲部材92の閉塞部92cを、動作規制部材としての原形をとどめたまま支持してもよい。
下限ストッパ911,912についても、衝突面となるその腹部の上面が略直線状の閉塞部92cと略平行になるように配置する。
複数列の上限ストッパ901と902の高さを異ならせたり、下限ストッパ911と912の高さを異ならせたりすることにより、各動作規制部材の動作規制特性の機能が開始されるタイミングをずらせることもできる。
また、図8に示した鍵本体部に対する下限ストッパと同様に、粒子の移動規制部材を、複数の上限ストッパ901,902及び/又は下限ストッパ911,912に対し、それぞれ、複数の質量体28の配列方向における異なる位置に配設したり、包囲部材の閉領域の分割位置を、それぞれ、複数の質量体28の配列方向における異なる位置に配設したりしてもよい。
移動規制部材を設けたり、分割位置を設けたりする場合は、これらを、鍵の配列方向における、隣接する質量集中部88eの中間位置となるようにする。
また、初期位置で質量体が上限にあり、鍵の押し込み位置で質量体が下限にあってもよい。
上限ストッパ及び下限ストッパを鍵盤フレームそのものに配置する必要はなく、回動部材に対する固定側に配置されていればよい。
上述した複数列の上限ストッパ及び下限ストッパに加えて、従来から使用されているフェルト等を用いた上限ストッパ及び下限ストッパを鍵の長手方向に増設してもよい。
Claims (4)
- 並設された複数の回動部材と、該複数の回動部材を支持するフレームを有する電子楽器の鍵盤装置において、
複数の粒子が包囲部材により部分的に又は全体を包囲されて閉領域に収容されている複数の動作規制部材を有し、
該複数の動作規制部材は、前記複数の回動部材の配列方向に延在するとともに、前記複数の回動部材の長手方向に並設され、
前記各回動部材が前記複数の動作規制部材に衝突することにより前記回動部材の回動範囲が規制される、
ことを特徴とする電子楽器の鍵盤装置。 - 前記複数の動作規制部材は、前記回動部材に対する動作規制特性が異なるものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子楽器の鍵盤装置。 - 前記複数の動作規制部材は、それぞれ、前記複数の回動部材の配列方向に前記粒子が移動することを規制する少なくとも1つの移動規制部材が、前記複数の回動部材の配列方向に配設されたものであり、
前記移動規制部材は、前記複数の動作規制部材に対し、それぞれ、前記複数の回動部材の配列方向における異なる位置に配設されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子楽器の鍵盤装置。 - 前記複数の動作規制部材の閉領域は、それぞれ、前記複数の回動部材の配列方向の少なくとも1つの分割位置で分割され、
前記閉領域の分割位置は、前記複数の動作規制部材に対し、それぞれ、前記複数の回動部材の配列方向における異なる位置に配設されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子楽器の鍵盤装置。
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