JP2008144412A - 雨水貯留槽、及び雨水貯留槽の施工方法 - Google Patents

雨水貯留槽、及び雨水貯留槽の施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】遮水シートの接合部分に隙間が生じても、地盤へ雨水が漏れ出ることを防止できる雨水貯留を提供する。
【解決手段】雨水貯留槽を構成する充填構造体18は、内側保護マット36に全体が覆われると共に、遮水シート20により全体が覆われ密閉され、遮水シート20の4側面、及び上面が側面及び上面用外側保護マット34で覆われる。側面及び上面用外側保護マット34は、複数の水膨潤性シートを繋ぎ合わせることで形成されている。遮水シート20の合わせ目部分等に万が一隙間が生じ、隙間から雨水が漏れ出た場合、雨水を水膨潤性シート60の水膨潤性繊維が吸収して膨潤し、隙間が繊維間の隙間が無くなった水膨潤性シート60で覆われ、かつ土圧で押圧されることで地中への雨水の漏れ出しが阻止される。
【選択図】図1

Description

本発明は、雨水を貯留させるために用いられる雨水貯留槽、及びその施工方法に関する。
近年、特に都市部や工場地帯では、地層表面の多くの部分がコンクリート等の非透水性材で覆われると共に、地層における保水力を高める樹木が少なくなっている。このため、このような地域へ短時間に多量の雨が降った場合に、雨水が殆ど地層中により吸収保水されることなく、地表から直接河川、下水等へ流れるこむことにより、降雨時又は降雨直後に河川、下水等へ流れ込む水量が河川、下水の許容流水量を超え、度々、冠水、河川の氾濫等の水害を引き起こすことが問題となっている。かかる水害を緩和するため、地下に多量の雨水を貯留し、この雨水を序々に地層中へ浸透させる設備や、一旦、貯留した多量の雨水を十分な時間をかけて河川等へ放流する設備や、貯留した雨水を汲み上げて防火水等として使用する設備(これらの設備を包括して「雨水貯留槽」という。)の開発が進んでいる。
このような雨水貯留槽としては、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1には、地面にピットを堀り、その底面に遮水シートを敷設して遮水シートの上面中央部分に複数の容器状部材(充填ブロック)を縦横および上下に積み上げ、積み上げた容器状部材(以後、積み上げた容器状部材を充填構造体と呼ぶ)全体を遮水シートで覆って密閉し、更に最上部に覆土などを施して被覆する構成の雨水貯留槽が記載されている。
特許文献1に記載されているような雨水貯留槽では、例えば、充填構造体を構築した後、充填構造体の周囲に広がっている遮水シートを充填構造体側面に密着するように上方に折り曲げ、四隅で三角状に突出した部分を横に折り曲げて何れかの側面に密着させ、さらに、遮水シートの充填構造体上方に突出した部分を、充填構造体の上面側へ折曲げ、予め充填構造体の上面に配置しておいた上面被覆用遮水シートの上に重ねる。その後、遮水シートの縁部同士を合わせた部分、及び遮水シートの縁部分と上面被覆用遮水シートとを熱溶着により互いに接合して充填構造体を密閉し、内部に雨水貯留空間を形成している。
ところで、遮水シートは、穴が開いて雨水が外部に漏れ出ないように、ある程度の厚さがあるため(例えば1.5mm以上)、折り曲げた内側部分を完全に密着させて熱溶着することが難しい。このため、図16に示すように、遮水シート100の折り曲げ部分102の内側に微小な隙間104を生じる場合がある。
一般の遮水シートは透明でないため(通常は黒色)、折り曲げ部分の内方で隙間が生じた場合には目視検査ができない。
上記のようにして施工された雨水貯留槽では、遮水シートの周縁部分が全て充填構造体の上面に位置しているため、充填構造体の上面未満までは雨水を貯留しても、貯留した雨水が地面へ漏れることは無い。
ところで、予期せぬ大雨等によりさらに雨水が流れ込んだ場合、水面レベルが充填構造体の上面よりも上になる場合がある。オーバーフロー管が設けられている雨水貯留槽では、余剰の雨水がオーバーフロー管を介して下水、河川等へ流れ出て水面レベルが充填構造体の上面を越えることは無いが、下水、河川等の排水側の水面レベルよりも設置場所が低い場合にはオーバーフロー管を設けることができない。
オーバーフロー管の無い雨水貯留槽では、仮に、上述した遮水シートの隙間から雨水が多少漏れ出たとしても、内部に雨水を貯留するという当初の目的は達せられている。しかしながら、長期に渡って隙間から雨水が漏れ出た場合、隙間の周囲の土砂が流されて地中に空洞が形成され、さらに空洞が大きくなって上部から荷重がかかった際に地面の陥没に至ることも考えられる。
施工時に隙間が無いように接着が行われたとしても、長年の間地中に埋められた遮水シートには種々の力が作用し、これによって接着部分が剥れる場合も想定でき、水漏れの検査のために地面を掘り返すことも事実上出来ず、簡単に水洩れの有無を検出することができなかった。
特開2001−324405号広報
本発明は上記事実を考慮し、仮に遮水シートの接合部分に隙間が生じても、地盤へ雨水が漏れ出ることを防止できる雨水貯留槽、及びその施工方法を提供することが目的である。
上記課題を解決するため、請求項1に係る雨水貯留槽は、地面に形成された凹状の貯水ピットに配置され、雨水が内部に貯留及び流通可能とされる充填構造体と、前記充填構造体を被覆するように前記充填構造体の外面に沿って配置されると共に、縁部分が接着されて内部に密閉された雨水貯留空間を形成する遮水シートと、前記遮水シートと地盤との間に配置され、前記遮水シートから漏れ出た雨水を吸収して膨潤することで前記漏れ出た雨水の地盤への流出を阻止する水膨潤性シートと、を有することを特徴としている。
次に、請求項1に記載の雨水貯留槽の作用を説明する。
請求項1に記載の雨水貯留槽では、充填構造体が遮水シートで覆われることで雨水貯留空間が形成され、この雨水貯留空間に雨水を貯留することができる。
また、万が一、遮水シートの接着部分に不具合があり、雨水が遮水シート外へ漏れ出た場合、地盤と遮水シートとの間に配置された水膨潤性シートが漏れ出た雨水を吸収して膨潤して水の漏れ出し部分をシールして止水を行う。これにより、貯留した雨水が地盤へ漏れ出ることが防止される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の雨水貯留槽において、前記遮水シートは、前記充填構造体を底部から側面へ向けて被覆するように前記充填構造体の底部及び側面に沿って配置される第1の遮水シートと、前記充填構造体の上部に配置されて前記充填構造体の上部で前記第1の遮水シートの上縁部分と接合される第2の遮水シートと、ことを特徴としている。
次に、請求項2に記載の雨水貯留槽の作用を説明する。
請求項2に記載の雨水貯留槽では、第1の遮水シートが充填構造体を底部から側面へ向けて被覆しており、その第1の遮水シートの上縁部分が充填構造体の上部に配置された第2の遮水シートに接合されているので、内部に貯留した雨水のレベルが充填構造体の上部よりも下方にあれば、仮に接着不良等があったとしても貯留した雨水が外部に漏れ出ることは無い。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の雨水貯留槽において、前記水膨潤性シートは、少なくとも前記第1の遮水シートの上縁部分同士を接合した部分、及び前記第1の遮水シートの上縁部分を前記第2の遮水シートに接合した部分とを覆う、ことを特徴としている。
次に、請求項3に記載の雨水貯留槽の作用を説明する。
遮水シート内部を密閉するためには、第1の遮水シートの上縁部分同士、第1の遮水シートの上縁部分と第2の遮水シートとを接合する必要があるが、これら接合箇所は、雨水が漏れ出る可能性が一番高い部分でもある。したがって、少なくともこれらの接合箇所を水膨潤性シートで覆うことが好ましい。
請求項4に記載の発明は、雨水貯留槽を地中に施工するための雨水貯留槽の施工方法であって、地面に形成されたピットに第1の遮水シートを敷設する工程と、前記ピットに敷設された前記第1の遮水シート上に雨水が内部に貯留及び流通可能とされる充填構造体を構築する工程と、前記充填構造体の上部に第2の遮水シートを配置する工程と、前記充填構造体の周囲に広がる前記第1の遮水シートで前記充填構造体の側面を被覆するように前記充填構造体の周囲に広がる前記第1の遮水シートを上方へ折り曲げる工程と、前記充填構造体の側面に沿わせた前記第1の遮水シートの上縁部分を前記第2の遮水シートに重なるように折り曲げる工程と、前記第1の遮水シートの上縁部分同士が重なる部分を接合すると共に、前記第1の遮水シートの上縁部分を前記第2の遮水シートに接合する工程と、少なくとも前記第1の遮水シートの上縁部分同士を接合した部分、及び前記第1の遮水シートの上縁部分と前記第2の遮水シートとの接合部分を覆うように水膨潤性シートを配置する工程と、前記第1の遮水シート、前記第2の遮水シート、及び前記水膨潤性シートで覆われた前記充填構造体を埋設する工程と、を有することを特徴としている。
次に、請求項4に記載の雨水貯留槽の施工方法では、先ず最初の工程で、地面に形成されたピットに第1の遮水シートが敷設され、その次の工程で、第1の遮水シート上に雨水が内部に貯留及び流通可能とされる充填構造体が構築される。
次に、充填構造体の上部に第2の遮水シートが配置され、充填構造体の周囲に広がる第1の遮水シートで充填構造体の側面を被覆するように充填構造体の周囲に広がる第1の遮水シートが上方へ折り曲げられる。
次に、充填構造体の側面に沿わせた第1の遮水シートの上縁部分を第2の遮水シートに重なるように折り曲げられ、第1の遮水シートの上縁部分同士が重なる部分が接合されると共に、第1の遮水シートの上縁部分が第2の遮水シートに接合される。
次に、少なくとも第1の遮水シートの上縁部分同士を接合した部分、及び第1の遮水シートの上縁部分と第2の遮水シートとの接合部分を覆うように水膨潤性シートが配置される。
最後の工程では、第1の遮水シート、第2の遮水シート、及び水膨潤性シートで覆われた充填構造体が埋設され、雨水貯留槽が完成する。
このようにして得られた雨水貯留槽としては、請求項1〜3に記載の雨水貯留槽と同様の作用効果が得られるものとなる。
上記のように構成された本発明に係る雨水貯留槽によれば、遮水シートの接合部分に隙間が生じても、雨水の漏れを防止することができる。
以下、本発明の実施形態に係る雨水貯留槽を図面に基づいて説明する。
(雨水貯留槽及び充填構造体の構成)
図1には本発明の一実施形態に係る雨水貯留槽10が模式的に示され、図2には本実施形態に係る雨水貯留槽10に用いられる充填ブロック40が示されている。
図1に示すように、雨水貯留槽10は地中Fに埋設されるものであり、その付帯設備として流入桝12及び流出桝14を備えている。
雨水貯留槽10は、敷地の地表面から掘り下げられた凹状のピットP内に配置されており、遮水保護層16により覆われた略直方体状に形成された所定容積の充填構造体18を備えている。
敷地には、雨水貯留槽10の周辺に鉄筋コンクリート等により容器状に形成された流入桝12が埋設されると共に、雨水貯留槽10に隣接して鉄筋コンクリート等により容器状に形成された流出桝14が埋設される。
流入桝12には、例えば、雨水等が流れ込むようなっており、流入桝12は、通水管24を通して図示しない他の流入桝12に接続されている。
流入桝12は、その側壁部の下端寄りの部位に流入管26の一端部が接続されると共に、側壁部における流入管26との接続部の上側にオーバーフロー管28の一端部が接続されている。流入管26の他端側は、遮水保護層16を貫通して雨水貯留槽10内へ連通し、またオーバーフロー管28の他端部は流出桝14の側壁部の上端寄りの部位に接続されている。
流出桝14は、その側壁部の下端部にオリフィス管30の一端部が接続されている。オリフィス管30の他端部は、河川、河川等へ繋がった通水管、排水用の暗渠、下水道等の排水経路に繋がっている。ここで、流出桝14内には、雨水貯留槽10からオーバーフローした雨水が流れ込み、この雨水が一時的に貯留される。またオリフィス管30は、流出桝14内から排水経路へ流出する雨水の流量を制限するオリフィスとしての機能を有している。
遮水保護層16は、図2に示されるように、外側保護マット34、遮水シート20及び内側保護マット36からなる3層構造とされている。
内側保護マット36は、例えば、ポリエステル短繊維を素材とし、十分な柔軟性を有する不織布により構成されている。
外側保護マット34及び内側保護マット36は、それぞれ応力集中を緩和することにより、土圧及び充填構造体18の重量に起因する荷重から充填構造体18及び遮水シート20を保護する。
雨水貯留槽10の充填構造体18は、例えば、図3に示される充填ブロック40等により構成されている。充填ブロック40は、加水分解が生じない脂材料を素材として成形されている。具体的には、充填ブロック40の成形素材としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)(特に高密度ポリエチレン(HDPE))等のポリオレフィン系樹脂が化学的な安定性、機械的な強度、及び価格の面から好ましい。
充填ブロック40は、射出成形法によって全体として略直方体の中空容器状に成形されている。なお、充填ブロック40には、充填ブロック40内外への水の通水性を良好とするための窪み部42,44,46、窓部48,50,52,54等が形成されている。これにより、充填ブロック40により構成される充填構造体18内外への水の通水性も良好になる。
(充填構造体及び雨水貯留槽の構築方法)
次に、遮水保護層16に覆われる充填構造体18をピットP内に構築する方法について説明する。
(1) 充填ブロック40を用いて充填構造体18を構築する際には、先ず、図3に示すように、底部用外側保護マット34A、下層遮水シート20A、底部及び側面用内側保護マット36AをピットPの底面上に順に配置し、次に図4に示すように、底部及び側面用内側保護マット36Aの上部中央に複数個の充填ブロック40を用いて直方体状の充填構造体18を構築して、充填構造体18の上部に、上面保護ボード56を搭載する。
なお、底部用外側保護マット34Aは、内側保護マット36と同様に、例えば、ポリエステル短繊維を素材とし、十分な柔軟性を有する不織布により構成されているが、後述する側面及び上面用外側保護マット34Bとは材質が異なる。
(2) 上面保護ボード56の上に上部用内側保護マット36Bを搭載し、充填構造体18の周囲に広がっている底部及び側面用内側保護マット36Aを充填構造体18の下縁部分から上に折り曲げて充填構造体18の側面に沿わせ、底部及び側面用内側保護マット36Aの縁部分を、上部用内側保護マット36Bに熱融着させる。その後、上部用内側保護マット36Bの上に上部遮水シート20Bを載せる(図4〜図7参照)。
(3) 充填構造体18の周囲に広がっている下層遮水シート20Aを、充填構造体18の下縁部分から上に折り曲げ、充填構造体18を覆った底部及び側面用内側保護マット36Aの側面に沿わせる(図8参照)。これにより、充填構造体18の四隅部分に、下層遮水シート20Aが三角形状に突出する(三角形状に突出した部分を、突出部20Aaと呼ぶ。)。
(4) 突出部20Aaを横に折り曲げ、図9に示すように下層遮水シート20Aの側面に沿わせる。
(5) 次に、充填構造体18の上面より上方に延びた底部及び側面用内側保護マット36Aを充填構造体上面側へ折り曲げて図10、及び図11に示すような状態とし、充填構造体18の上面側において、下層遮水シート20Aの合わせ目(詳しくは、突出部20Aaの内面部分であって、シート縁部分から一定幅部分(交差斜線部分21))、及び下層遮水シート20Aの縁部分と上部遮水シート20Bとを熱融着(図11の符号23A,23B,23C部分)させる。
これにより、充填構造体18は、内側保護マット36(底部及び側面用内側保護マット36A、上部用内側保護マット36B)に全体が覆われると共に、さらに、遮水シート20(下層遮水シート20A、及び上部遮水シート20B)により全体が覆われ密閉される。
(6) 次に、図12、及び図13に示すように、充填構造体18を覆っている遮水シート20(下層遮水シート20A、及び上部遮水シート20B)の4側面、及び上面を覆うように、側面及び上面用外側保護マット34Bを形成する。
側面及び上面用外側保護マット34Bは、図12に示すように、遮水シート20の4側面、及び上面に対応したサイズに形成された水膨潤性シート60A,60B,60Cを繋ぎ合わせることで形成されている。
この水膨潤性シート60は、水膨潤性繊維を含む不織布状のものであり、水膨潤性繊維が水を吸収して膨潤し、膨潤した水膨潤性繊維が隙間なく密着して水の透過を阻止するものである。
水膨潤性繊維とは、例えば、2層構造の少なくとも繊維外層の一部が親水性架橋重合体から成り、内層を含む残部がアクリロニトリル系重合体を含む重合体で構成される、水膨潤度が2〜200cc/gの繊維であり、水に接触すると速やかに吸水して膨潤し、また多少の圧力を加えても離水しない、という特性を有する。
具体的には、アクリロニトリル系繊維に、高濃度のアルカリ金属水酸化物水性溶液を作用させるか、または所定濃度の電解質塩を共存させた低濃度アルカリ金属水酸化物水性溶液を作用させることによって、得ることができる。
この水膨潤性繊維を不織布に含有させることによって、不織布が持つ緩衝性に自己止水機能を併せ持たせることが可能である。
なお、水膨潤性繊維の具体例としては、例えば、東洋紡績株式会社製の「ランシール(商品名)を用いることができる。また、止水性および緩衝性を共に満足するには、水膨潤性繊維を20〜80wt%、好ましくは30〜40wt%で含有させればよい。
本実施形態では、水膨潤性シート60A,60B,60Cを繋ぐ際、縁部分をオーバーラップさせて熱溶着している。また、底に敷いた底部用外側保護マット34Aの縁部分と、水膨潤性シート60A,60Bの下縁部分も互いにオーバーラップさせて熱融着している(図14参照。)。
(7) 最後に、遮水保護層16で覆われた充填構造体18の横、及び上側を土により埋め戻して覆土層22を形成し、必要に応じて敷地の地表面を、コンクリート、アスファルト等の舗装材により舗装し、又はブロック等を敷き詰めることで図1に示すような雨水貯留槽10が完成する。
(雨水貯留槽の作用)
次に、前記のように構成された雨水貯留槽10の作用について説明する。
雨水貯留槽10が設置された敷地では、雨が降ると敷地の地表面から流入桝12内に雨水が一旦流入し、流入桝12内に蓄えられた雨水が流入管26を通して雨水貯留槽10内へ流入する。
雨水貯留槽10内へ流入した雨水は、雨水貯留槽10と流出桝14との間に設けられたオリフィス(図示省略)を通して雨水貯留槽10から流出桝14へ流れ出る。オリフィスは、雨水の流通量が流出桝14に接続されたオリフィス管30における雨水の流通量とバランスするように、水の流通量を制限している。また雨水貯留槽10からの雨水の流出量を超える雨水が雨水貯留槽10内へ継続的に流れ込み、雨水貯留槽10が満水近くになると、雨水貯留槽10内の雨水が流出桝14内へオーバーフローする。
流出桝14内へ流入した雨水は、オリフィス管30を通して通水管、排水用の暗渠、下水道等の排水経路へ流れ出し、最終的に河川、海等へ放流される。
ところで、遮水シート20の合わせ目部分等に万が一隙間が生じ、雨水貯留槽10が満水になった場合、隙間から雨水が漏れ出てしまう場合が考えられる。
本実施形態の雨水貯留槽10では、遮水シート20の隙間から雨水が漏れ出ると、漏れ出た水を水膨潤性シート60の水膨潤性繊維が迅速に吸収して膨潤し、膨潤した繊維同士が隙間なく密着して繊維と繊維の間の隙間が無くなる。これにより、遮水シート20の隙間は、隙間の無くなった水膨潤性シート60で覆われ、かつ土圧で押圧されているので地中への雨水の漏れ出しが確実に阻止され、雨水貯留槽10の周囲の土が流される問題は生じない。
[その他の実施形態]
上記実施形態では、充填構造体18を覆った遮水シート20の上面、及び側面全体を水膨潤性シート60で覆ったが、本発明はこれに限らず、更に遮水シート20の底面を大手も良い。また、水膨潤性シート60は、少なくとも水の漏れ出る可能性が考えられる部分、例えば、遮水シート20の合わせ目、接着部位、折り返し部分等(図11の符号23A〜24D)を覆えば良く、水膨潤性シート60は、遮水シート20の水漏れの生じる虞のない部分、例えば、図15に示すように、遮水シート20の合わせ目、接着部位、折り返し部分等(図11の符号23A〜24D)の雨水の流出想定箇所から充分に離れた部位(好ましくは、前記流出想定箇所から300mm以上離れた部位)に切欠や穴を開けても良い。この場合、遮水シート20が地盤と直接接触しないように、切欠や穴を開けた部分に、不織布等の保護マットを配置することが好ましい。
また、上記実施形態では、止水の為に水膨潤性繊維を含む水膨潤性シート60を用いたが、水分を吸収して止水作用を有するものであれば、水膨潤性シート60の構成、材料は他のものであっても良い。
本発明の一実施形態に係る雨水貯留浸透槽の構成を模式的に示す断面図である。 図1に示される雨水貯留槽に用いられる充填ブロックの構成を示す斜視図である。 ピットに底部用外側保護マット、下層遮水シート、底部及び側面用内側保護マットを敷設した状態を示す断面図である。 底部及び側面用内側保護マット36A上に充填構造体を構築した状態を示す断面図である。 充填構造体の側部を下層遮水シートで覆った状態を示す断面図である。 充填構造体の側部を底部及び側面用内側保護マットで覆う直前の状態を示す斜視図である。 充填構造体の側部を下層遮水シートで覆う直前の状態を示す斜視図である。 充填構造体の側部を覆った下層遮水シートの四隅部分に形成された突出部を示す斜視図である。 下層遮水シートの四隅部分に形成された突出部を側部に折り曲げた状態を示す斜視図である。 下層遮水シートの上縁部分を折り曲げた状態を示す断面図である。 下層遮水シートの上縁部分を折り曲げた状態を示す斜視図である。 水膨潤性シートの貼り付け直前の状態を示す斜視図である。 水膨潤性シートの貼り付け接合が終了した状態を示す斜視図である。 遮水保護層が完成した状態を示す断面図である。 その他の実施形態に係り、水膨潤性シートの貼り付け直前の状態を示す斜視図である。 遮水シートの折り曲げ部分を示す斜視図である。
符号の説明
10 雨水貯留槽
16 遮水保護層
18 充填構造体
20 遮水シート
20A 下層遮水シート(第1の遮水シート)
20B 上部遮水シート(第2の遮水シート)
60 水膨潤性シート

Claims (4)

  1. 地面に形成された凹状の貯水ピットに配置され、雨水が内部に貯留及び流通可能とされる充填構造体と、
    前記充填構造体を被覆するように前記充填構造体の外面に沿って配置されると共に、縁部分が接着されて内部に密閉された雨水貯留空間を形成する遮水シートと、
    前記遮水シートと地盤との間に配置され、前記遮水シートから漏れ出た雨水を吸収して膨潤することで前記漏れ出た雨水の地盤への流出を阻止する水膨潤性シートと、
    を有することを特徴とする雨水貯留槽。
  2. 前記遮水シートは、前記充填構造体を底部から側面へ向けて被覆するように前記充填構造体の底部及び側面に沿って配置される第1の遮水シートと、前記充填構造体の上部に配置されて前記充填構造体の上部で前記第1の遮水シートの上縁部分と接合される第2の遮水シートと、を有することを特徴とする請求項1に記載の雨水貯留槽。
  3. 前記水膨潤性シートは、少なくとも前記第1の遮水シートの上縁部分同士を接合した部分、及び前記第1の遮水シートの上縁部分を前記第2の遮水シートに接合した部分とを覆う、ことを特徴とする請求項2に記載の雨水貯留槽。
  4. 雨水貯留槽を地中に施工するための雨水貯留槽の施工方法であって、
    地面に形成されたピットに第1の遮水シートを敷設する工程と、
    前記ピットに敷設された前記第1の遮水シート上に雨水が内部に貯留及び流通可能とされる充填構造体を構築する工程と、
    前記充填構造体の上部に第2の遮水シートを配置する工程と、
    前記充填構造体の周囲に広がる前記第1の遮水シートで前記充填構造体の側面を被覆するように前記充填構造体の周囲に広がる前記第1の遮水シートを上方へ折り曲げる工程と、
    前記充填構造体の側面に沿わせた前記第1の遮水シートの上縁部分を前記第2の遮水シートに重なるように折り曲げる工程と、
    前記第1の遮水シートの上縁部分同士が重なる部分を接合すると共に、前記第1の遮水シートの上縁部分を前記第2の遮水シートに接合する工程と、
    少なくとも前記第1の遮水シートの上縁部分同士を接合した部分、及び前記第1の遮水シートの上縁部分と前記第2の遮水シートとの接合部分を覆うように水膨潤性シートを配置する工程と、
    前記第1の遮水シート、前記第2の遮水シート、及び水膨潤性シートで覆われた前記充填構造体を埋設する工程と、
    を有することを特徴とする雨水貯留槽の施工方法。
JP2006330776A 2006-12-07 2006-12-07 雨水貯留槽、及び雨水貯留槽の施工方法 Pending JP2008144412A (ja)

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