JP2008144009A - オレフィン共重合用触媒およびオレフィン共重合体の製造方法 - Google Patents

オレフィン共重合用触媒およびオレフィン共重合体の製造方法 Download PDF

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Shinya Nakahara
伸也 中原
Shinichi Kumamoto
伸一 熊本
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Abstract

【課題】ランダム性が高いオレフィン共重合体を高い重合活性で得ることができるオレフィン共重合用触媒およびオレフィン共重合体の製造方法。
【解決手段】下記の成分(A)、(B)および(C)を接触させて得られるオレフィン共重合用触媒および該オレフィン共重合用触媒を用いるオレフィン共重合体の製造方法。(A)Si−O結合を有する有機ケイ素化合物(i)の存在下に、下式[I]で表されるチタン化合物(ii)を、有機マグネシウム化合物(iii)で還元することによって得られる3価のチタン原子を含有する固体生成物を得た後、ハロゲン化化合物(iv)で処理することによって得られる固体触媒成分
Figure 2008144009

(B)有機アルミニウム化合物および/または有機アルミニウムオキシ化合物(C)ジアルコキシベンゼン化合物
【選択図】なし

Description

本発明は、オレフィン共重合用触媒およびオレフィン共重合体の製造方法に関する。
ポリプロピレンからなる成形品は、剛性、耐熱性、表面光沢性等に優れていることから種々の用途に用いられているが、耐衝撃性が十分でないという問題があった。このため、例えば、エチレン−プロピレン共重合体やエチレン−1−ブテン共重合体等のオレフィン共重合体を含有させることによって耐衝撃性を高めることが行われている。このような目的に用いられるオレフィン共重合体の製造方法として、例えば特許文献1には、ジエトキシマグネシウムおよびテトラブトキシチタンを接触させて得られる均一溶液に、さらに特定の電子供与性化合物および四塩化チタンを接触させて得られる固体触媒成分を用いて、エチレンとプロピレンとがランダム状に重合した共重合体ゴムを得ることが記載されている。
特開平3−205406号公報
しかしながら、特許文献1に記載された重合用触媒を用いる製造方法においては、ランダム性が高いオレフィン共重合体が得られるものの、重合活性においては十分といえるものではなかった。
かかる現状において、本発明の解決すべき課題、即ち本発明の目的は、ランダム性が高いオレフィン共重合体を高い重合活性で得ることができるオレフィン共重合用触媒およびオレフィン共重合体の製造方法を提供しようとするものである。
本発明は、下記の成分(A)、(B)および(C)を接触させて得られるオレフィン共重合用触媒および該オレフィン共重合用触媒を用いるオレフィン共重合体の製造方法に関するものである。
(A)Si−O結合を有する有機ケイ素化合物(i)の存在下に、下式[I]で表されるチタン化合物(ii)を、有機マグネシウム化合物(iii)で還元することによって得られる3価のチタン原子を含有する固体生成物を得た後、ハロゲン化化合物(iv)で処理することによって得られる固体触媒成分
Figure 2008144009
(ただし、上式[I]において、aは1〜20の数を表し、R1は炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基を表す。X1はハロゲン原子または炭素原子数1〜20のヒドロカルビルオキシ基を表し、X1は互いに同じであっても異なっていてもよい。)
(B)有機アルミニウム化合物および/または有機アルミニウムオキシ化合物
(C)下式[II]で表されるジアルコキシベンゼン化合物

Figure 2008144009
(ただし、上式[II]において、R2およびR3はぞれぞれ独立に、炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。R4は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基、炭化水素基で置換された炭素原子数1〜20の置換シリル基、炭化水素基で置換された炭素原子数2〜20の2置換アミノ基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基および炭素原子数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる原子または置換基を表す。)
本発明によれば、ランダム性が高いオレフィン共重合体を高い重合活性で得ることができるオレフィン共重合用触媒およびオレフィン共重合体の製造方法が提供される。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明に用いられる成分(C)は、下式[II]で表されるジアルコキシベンゼン化合物である。
Figure 2008144009

(ただし、上式[II]において、nは1〜4の整数を表し、R2およびR3はぞれぞれ独立に、炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。R4は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基、炭化水素基で置換された炭素原子数1〜20の置換シリル基、炭化水素基で置換された炭素原子数2〜20の2置換アミノ基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基および炭素原子数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる原子または置換基を表す。)
式[II]のR2およびR3におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基等が挙げられ、好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基であり、さらに好ましくは、メチル基である。
式[II]のOR2およびOR3の位置としては、例えば、オルト置換、メタ置換、パラ置換が挙げられるが、好ましくはオルト置換である。
式[II]において、nは0、1、2、3、または、4を表し、好ましくは、0、または、1であり、より好ましくは、0である。
式[II]のR4におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
式[II]のR4における炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基等が挙げられる。
式[II]のR4における炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基等が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基またはイソペンチル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基である。
これらのアルキル基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等のハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、ヨードメチル基、ジヨードメチル基、トリヨードメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、クロロエチル基、ジクロロエチル基、トリクロロエチル基、テトラクロロエチル基、ペンタクロロエチル基、ブロモエチル基、ジブロモエチル基、トリブロモエチル基、テトラブロモエチル基、ペンタブロモエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロペンタデシル基、パーフルオロエイコシル基、パークロロプロピル基、パークロロブチル基、パークロロペンチル基、パークロロヘキシル基、パークロロオクチル基、パークロロドデシル基、パークロロペンタデシル基、パークロロエイコシル基、パーブロモプロピル基、パーブロモブチル基、パーブロモペンチル基、パーブロモヘキシル基、パーブロモオクチル基、パーブロモドデシル基、パーブロモペンタデシル基、パーブロモエイコシル基等が挙げられる。
式[II]のR4における炭素原子数7〜20のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(4,6−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−テトラデシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基等が挙げられ、好ましくはベンジル基である。これらのアラルキル基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
式[II]のR4における炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などが挙げられ、好ましくはフェニル基である。これらのアリール基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
式[II]のR4におけるヒドロカルビル基で置換された炭素原子数1〜20の置換シリル基とは、ヒドロカルビル基で置換されたシリル基であって、ここでヒドロカルビル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の炭素原子数1〜10のアルキル基、フェニル基などのアリール基などが挙げられる。かかるヒドロカルビル基で置換された炭素原子数1〜20の置換シリル基としては、例えば、メチルシリル基、エチルシリル基、フェニルシリル基等の炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換された1置換シリル基、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基またはジフェニルシリル基等の炭素原子数2〜20の炭化水素基で置換された2置換シリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリ−イソブチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基、トリ−n−ペンチルシリル基、トリ−n−ヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基等の炭素原子数3〜20の炭化水素基で置換された3置換シリル基等が挙げられ、好ましくはトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基またはトリフェニルシリル基である。これらの置換シリル基はいずれもその炭化水素基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
式[II]のR4におけるヒドロカルビル基で置換された炭素原子数2〜20の2置換アミノ基とは、2つのヒドロカルビル基で置換されたアミノ基であって、ここでヒドロカルビル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基もしくはシクロヘキシル基等の炭素原子数1〜10のアルキル基、フェニル基等のアリール基等が挙げられる。かかるヒドロカルビル基で置換された炭素原子数2〜20の2置換アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、ジ−イソブチルアミノ基、tert−ブチルイソプロピルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ピロリル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、カルバゾリル基、ジヒドロイソインドリル基等が挙げられ、好ましくはジメチルアミノ基、 ジエチルアミノ基、ピロリジニル基またはピペリジニル基である。
式[II]のR4における炭素原子数1〜20のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基、n−エイコソキシ基等が挙げられ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基である。これらのアルコキシ基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
式[II]のR4における炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、(n−テトラデシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基等が挙げられ、好ましくはベンジルオキシ基である。これらのアラルキルオキシ基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
式[II]のR4における炭素原子数6〜20のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基、アントラセノキシ基等が挙げられ、好ましくはフェノキシ基である。これらのアリールオキシ基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
成分(C)としては、例えば、o−ジメトキシベンゼン、o−ジエトキシベンゼン、o−ジ−n−プロポキシベンゼン、o−ジイソプロポキシベンゼン、o−ジ−n−ブトキシベンゼン、o−ジ−sec−ブトキシベンゼン、o−ジ−tert−ブトキシベンゼン、o−ジ−n−ペントキシベンゼン、o−ジ−sec−ペントキシベンゼン、o−ジ−tert−ペントキシベンゼン、3−フルオロ−o−ジメトキシベンゼン、3−フルオロ−o−ジエトキシベンゼン、3−フルオロ−o−ジ−n−プロポキシベンゼン、3−フルオロ−o−ジイソプロポキシベンゼン、3−フルオロ−o−ジ−n−ブトキシベンゼン、3−フルオロ−o−ジ−sec−ブトキシベンゼン、3−フルオロ−o−ジ−tert−ブトキシベンゼン、3−フルオロ−o−ジ−n−ペントキシベンゼン、3−フルオロ−o−ジ−sec−ペントキシベンゼン、3−フルオロ−o−ジ−tert−ペントキシベンゼン、4−フルオロ−o−ジメトキシベンゼン、4−フルオロ−o−ジエトキシベンゼン、4−フルオロ−o−ジ−n−プロポキシベンゼン、4−フルオロ−o−ジイソプロポキシベンゼン、4−フルオロ−o−ジ−n−ブトキシベンゼン、4−フルオロ−o−ジ−sec−ブトキシベンゼン、4−フルオロ−o−ジ−tert−ブトキシベンゼン、4−フルオロ−o−ジ−n−ペントキシベンゼン、4−フルオロ−o−ジ−sec−ペントキシベンゼン、4−フルオロ−o−ジ−tert−ペントキシベンゼン、5−フルオロ−o−ジメトキシベンゼン、5−フルオロ−o−ジエトキシベンゼン、5−フルオロ−o−ジ−n−プロポキシベンゼン、5−フルオロ−o−ジイソプロポキシベンゼン、5−フルオロ−o−ジ−n−ブトキシベンゼン、5−フルオロ−o−ジ−sec−ブトキシベンゼン、5−フルオロ−o−ジ−tert−ブトキシベンゼン、5−フルオロ−o−ジ−n−ペントキシベンゼン、5−フルオロ−o−ジ−sec−ペントキシベンゼン、5−フルオロ−o−ジ−tert−ペントキシベンゼン、6−フルオロ−o−ジメトキシベンゼン、6−フルオロ−o−ジエトキシベンゼン、6−フルオロ−o−ジ−n−プロポキシベンゼン、6−フルオロ−o−ジイソプロポキシベンゼン、6−フルオロ−o−ジ−n−ブトキシベンゼン、6−フルオロ−o−ジ−sec−ブトキシベンゼン、6−フルオロ−o−ジ−tert−ブトキシベンゼン、6−フルオロ−o−ジ−n−ペントキシベンゼン、6−フルオロ−o−ジ−sec−ペントキシベンゼン、6−フルオロ−o−ジ−tert−ペントキシベンゼン、3,4−ジフルオロ−o−ジメトキシベンゼン、3,4−ジフルオロ−o−ジエトキシベンゼン、3,4−ジフルオロ−o−ジ−n−プロポキシベンゼン、3,4−ジフルオロ−o−ジイソプロポキシベンゼン、3,4−ジフルオロ−o−ジ−n−ブトキシベンゼン、3,4−ジフルオロ−o−ジ−sec−ブトキシベンゼン、3,4−ジフルオロ−o−ジ−tert−ブトキシベンゼン、3,4−ジフルオロ−o−ジ−n−ペントキシベンゼン、3,4−ジフルオロ−o−ジ−sec−ペントキシベンゼン、3,4−ジフルオロ−o−ジ−tert−ペントキシベンゼン、3,5−ジフルオロ−o−ジメトキシベンゼン、3,5−ジフルオロ−o−ジエトキシベンゼン、3,5−ジフルオロ−o−ジ−n−プロポキシベンゼン、3,5−ジフルオロ−o−ジイソプロポキシベンゼン、3,5−ジフルオロ−o−ジ−n−ブトキシベンゼン、3,5−ジフルオロ−o−ジ−sec−ブトキシベンゼン、3,5−ジフルオロ−o−ジ−tert−ブトキシベンゼン、3,5−ジフルオロ−o−ジ−n−ペントキシベンゼン、3,5−ジフルオロ−o−ジ−sec−ペントキシベンゼン、3,5−ジフルオロ−o−ジ−tert−ペントキシベンゼン、3,6−ジフルオロ−o−ジメトキシベンゼン、3,6−ジフルオロ−o−ジエトキシベンゼン、3,6−ジフルオロ−o−ジ−n−プロポキシベンゼン、3,6−ジフルオロ−o−ジイソプロポキシベンゼン、3,6−ジフルオロ−o−ジ−n−ブトキシベンゼン、3,6−ジフルオロ−o−ジ−sec−ブトキシベンゼン、3,6−ジフルオロ−o−ジ−tert−ブトキシベンゼン、3,6−ジフルオロ−o−ジ−n−ペントキシベンゼン、3,6−ジフルオロ−o−ジ−sec−ペントキシベンゼン、3,6−ジフルオロ−o−ジ−tert−ペントキシベンゼン、4,5−ジフルオロ−o−ジメトキシベンゼン、4,5−ジフルオロ−o−ジエトキシベンゼン、4,5−ジフルオロ−o−ジ−n−プロポキシベンゼン、4,5−ジフルオロ−o−ジイソプロポキシベンゼン、4,5−ジフルオロ−o−ジ−n−ブトキシベンゼン、4,5−ジフルオロ−o−ジ−sec−ブトキシベンゼン、4,5−ジフルオロ−o−ジ−tert−ブトキシベンゼン、4,5−ジフルオロ−o−ジ−n−ペントキシベンゼン、4,5−ジフルオロ−o−ジ−sec−ペントキシベンゼン、4,5−ジフルオロ−o−ジ−tert−ペントキシベンゼン、3,4、5−トリフルオロ−o−ジメトキシベンゼン、3,4、5−トリフルオロ−o−ジエトキシベンゼン、3,4、5−トリフルオロ−o−ジ−n−プロポキシベンゼン、3,4、5−トリフルオロ−o−ジイソプロポキシベンゼン、3,4、5−トリフルオロ−o−ジ−n−ブトキシベンゼン、3,4、5−トリフルオロ−o−ジ−sec−ブトキシベンゼン、3,4、5−トリフルオロ−o−ジ−tert−ブトキシベンゼン、3,4、5−トリフルオロ−o−ジ−n−ペントキシベンゼン、3,4、5−トリフルオロ−o−ジ−sec−ペントキシベンゼン、3,4、5−トリフルオロ−o−ジ−tert−ペントキシベンゼン、3,4,6−トリフルオロ−o−ジメトキシベンゼン、3,4,6−トリフルオロ−o−ジエトキシベンゼン、3,4,6−トリフルオロ−o−ジ−n−プロポキシベンゼン、3,4,6−トリフルオロ−o−ジイソプロポキシベンゼン、3,4,6−トリフルオロ−o−ジ−n−ブトキシベンゼン、3,4,6−トリフルオロ−o−ジ−sec−ブトキシベンゼン、3,4,6−トリフルオロ−o−ジ−tert−ブトキシベンゼン、3,4,6−トリフルオロ−o−ジ−n−ペントキシベンゼン、3,4,6−トリフルオロ−o−ジ−sec−ペントキシベンゼン、3,4,6−トリフルオロ−o−ジ−tert−ペントキシベンゼン、ヘキサフルオロ−o−ジメトキシベンゼン、ヘキサフルオロ−o−ジエトキシベンゼン、ヘキサフルオロ−o−ジ−n−プロポキシベンゼン、ヘキサフルオロ−o−ジイソプロポキシベンゼン、ヘキサフルオロ−o−ジ−n−ブトキシベンゼン、ヘキサフルオロ−o−ジ−sec−ブトキシベンゼン、ヘキサフルオロ−o−ジ−tert−ブトキシベンゼン、ヘキサフルオロ−o−ジ−n−ペントキシベンゼン、ヘキサフルオロ−o−ジ−sec−ペントキシベンゼン、ヘキサフルオロ−o−ジ−tert−ペントキシベンゼンが挙げられ、「フルオロ」を「クロロ」、「ブロモ」、「ヨード」、「メチル」、「エチル」、「n−プロピル」、「イソプロピル」、「ベンジル」、「フェニル」、「とりメチルシリル」「tert−ブチルジメチルシリル」、「ジメチルアミノ」、「ジエチルアミノ」、「ピロリジニル」、「ピペリジニル」、「メトキシ」、「エトキシ」、「n−プロポキシ」、「イソプロポキシ」、「ベンジルオキシ」、「フェノキシ」等に置き換えた化合物も同様に例示される。
さらに、上記例示において、「o」を「p」または「m」に置き換えた化合物も同様に例示される。
さらに、上記例示において、「o」を「p」または「m」に置き換えた化合物も同様に例示される。
成分(C)として、好ましくは、2つのアルコキシ基がo−置換された化合物であり、より好ましくは、o−ジメトキシベンゼン、o−ジエトキシベンゼン、o−ジ−n−プロポキシベンゼン、o−ジイソプロポキシベンゼン、o−ジ−n−ブトキシベンゼン、o−ジ−sec−ブトキシベンゼン、o−ジ−tert−ブトキシベンゼン、o−ジ−n−ペントキシベンゼン、o−ジ−sec−ペントキシベンゼン、o−ジ−tert−ペントキシベンゼン、3−フルオロ−o−ジメトキシベンゼン、3−フルオロ−o−ジエトキシベンゼン、3−フルオロ−o−ジ−n−プロポキシベンゼン、3−フルオロ−o−ジイソプロポキシベンゼン、3−フルオロ−o−ジ−n−ブトキシベンゼン、3−フルオロ−o−ジ−sec−ブトキシベンゼン、3−フルオロ−o−ジ−tert−ブトキシベンゼン、3−フルオロ−o−ジ−n−ペントキシベンゼン、3−フルオロ−o−ジ−sec−ペントキシベンゼン、3−フルオロ−o−ジ−tert−ペントキシベンゼン、4−フルオロ−o−ジメトキシベンゼン、4−フルオロ−o−ジエトキシベンゼン、4−フルオロ−o−ジ−n−プロポキシベンゼン、4−フルオロ−o−ジイソプロポキシベンゼン、4−フルオロ−o−ジ−n−ブトキシベンゼン、4−フルオロ−o−ジ−sec−ブトキシベンゼン、4−フルオロ−o−ジ−tert−ブトキシベンゼン、4−フルオロ−o−ジ−n−ペントキシベンゼン、4−フルオロ−o−ジ−sec−ペントキシベンゼン、4−フルオロ−o−ジ−tert−ペントキシベンゼン、5−フルオロ−o−ジメトキシベンゼン、5−フルオロ−o−ジエトキシベンゼン、5−フルオロ−o−ジ−n−プロポキシベンゼン、5−フルオロ−o−ジイソプロポキシベンゼン、5−フルオロ−o−ジ−n−ブトキシベンゼン、5−フルオロ−o−ジ−sec−ブトキシベンゼン、5−フルオロ−o−ジ−tert−ブトキシベンゼン、5−フルオロ−o−ジ−n−ペントキシベンゼン、5−フルオロ−o−ジ−sec−ペントキシベンゼン、5−フルオロ−o−ジ−tert−ペントキシベンゼン、6−フルオロ−o−ジメトキシベンゼン、6−フルオロ−o−ジエトキシベンゼン、6−フルオロ−o−ジ−n−プロポキシベンゼン、6−フルオロ−o−ジイソプロポキシベンゼン、6−フルオロ−o−ジ−n−ブトキシベンゼン、6−フルオロ−o−ジ−sec−ブトキシベンゼン、6−フルオロ−o−ジ−tert−ブトキシベンゼン、6−フルオロ−o−ジ−n−ペントキシベンゼン、6−フルオロ−o−ジ−sec−ペントキシベンゼン、6−フルオロ−o−ジ−tert−ペントキシベンゼン、または、「フルオロ」を「クロロ」、「ブロモ」、「ヨード」、「メチル」、「エチル」、「n−プロピル」、「イソプロピル」、「ベンジル」、「フェニル」、「とりメチルシリル」「tert−ブチルジメチルシリル」、「ジメチルアミノ」、「ジエチルアミノ」、「ピロリジニル」、「ピペリジニル」、「メトキシ」、「エトキシ」、「n−プロポキシ」、「イソプロポキシ」、「ベンジルオキシ」、「フェノキシ」等に置き換えた化合物等、アルコキシ以外の置換基が0個もしくは、1個の化合物であり、さらに好ましくは、o−ジメトキシベンゼン、o−ジエトキシベンゼン、o−ジ−n−プロポキシベンゼン、o−ジイソプロポキシベンゼン、o−ジ−n−ブトキシベンゼン、o−ジ−sec−ブトキシベンゼン、o−ジ−tert−ブトキシベンゼン、o−ジ−n−ペントキシベンゼン、o−ジ−sec−ペントキシベンゼン、o−ジ−tert−ペントキシベンゼン等、アルコキシ以外の置換基が0個の化合物であり、特に好ましくは、o−ジメトキシベンゼン、o−ジエトキシベンゼン、o−ジ−n−プロポキシベンゼン、o−ジ−n−ブトキシベンゼンであり、最も好ましくは、o−ジメトキシベンゼン、o−ジエトキシベンゼンである。
(A)固体触媒成分
固体触媒成分(A)は、Si−O結合を有する有機ケイ素化合物(i)の存在下に、下式[I]で表されるチタン化合物(ii)を、有機マグネシウム化合物(iii)で還元することによって得られる固体状化合物(以下、固体触媒成分(a)と呼ぶことがある)を得た後、ハロゲン化化合物(iv)で処理することによって得られる固体触媒成分である。Si−O結合を有する有機ケイ素化合物(i)の存在下に、下式[I]で表されるチタン化合物(ii)を、有機マグネシウム化合物(iii)で還元することによって固体触媒成分(a)を得る際に、重合活性をさらに向上させる観点から、任意成分としてエステル化合物(iv)を共存させることが好ましい。
Figure 2008144009
(ただし、上式[I]において、aは1〜20の数を表し、R1は炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基を表す。X1はハロゲン原子または炭素原子数1〜20のヒドロカルビルオキシ基を表し、X1は互いに同じであっても異なっていてもよい。)
固体触媒成分(a)の3価のチタン原子の含有量として、好ましくは、総チタン原子の50%以上であり、より好ましくは90%以上である。また、ヒドロカルビルオキシ基の含有量として、好ましくは、20重量%以上であり、より好ましくは25重量%以上である。
Si−O結合を有する有機ケイ素化合物(i)としては、例えば、下式で表わされる有機ケイ素化合物が挙げられる。
Si(OR5t6 4-t
7(R8 2SiO)uSiR9 3、または、
(R10 2SiO)v
ここで、R5は炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基であり、R6、R7、R8、R9およびR10はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基または水素原子である。tは0<t≦4を満たす整数であり、uは1〜1000の整数であり、vは2〜1000の整数である。
Si−O結合を有する有機ケイ素化合物(i)としては、例えば、テトラメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリエトキシエチルシラン、ジエトキシジエチルシラン、エトキシトリエチルシラン、テトライソプロポキシシラン、ジイソプロポキシ−ジイソプロピルシラン、テトラプロポキシシラン、ジプロポキシジプロピルシラン、テトラブトキシシラン、ジブトキシジブチルシラン、ジシクロペントキシジエチルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、シクロヘキシロキシトリメチルシラン、フェノキシトリメチルシラン、テトラフェノキシシラン、トリエトキシフェニルシラン、ヘキサメチルジシロヘキサン、ヘキサエチルジシロヘキサン、ヘキサプロピルジシロキサン、オクタエチルトリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、メチルヒドロポリシロキサン、フェニルヒドロポリシロキサン等が挙げられる。
Si−O結合を有する有機ケイ素化合物(i)として好ましくは、式Si(OR5t6 4-t(tは1≦t≦4を満たす数を表わす)で表わされるアルコキシシラン化合物であり、より好ましくは、tが4であるテトラアルコキシシランであり、最も好ましくはテトラエトキシシランである。
チタン化合物(ii)は、下式[I]で表されるチタン化合物である。
Figure 2008144009
(ただし、上式[I]において、aは1〜20の数を表し、R1は炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基を表す。X1はハロゲン原子または炭素原子数1〜20のヒドロカルビルオキシ基を表し、X1は互いに同じであっても異なっていてもよい。)
式[I]におけるR1としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基、フェニル基、クレジル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等のシクロアルキル基、プロペニル基等のアリル基、ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられる。
1として好ましくは、炭素原子数2〜18のアルキル基または炭素原子数6〜18のアリール基であり、特に好ましくは炭素原子数2〜18の直鎖状アルキル基である。
式[I]のX1におけるハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。特に好ましくは塩素原子である。X1における炭素原子数1〜20のヒドロカルビルオキシ基は、R1と同様の炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基を有するヒドロカルビルオキシ基である。X1として特に好ましくは、炭素原子数2〜18の直鎖状アルキル基を有するアルコキシ基である。
式[I]で表されるチタン化合物(ii)におけるaは1〜20の数であり、好ましくは1≦a≦5を満たす数である。
式[I]で表されるチタン化合物(ii)としては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラ−iso−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−iso−ブトキシチタン、n−ブトキシチタントリクロライド、ジ−n−ブトキシチタンジクロライド、トリ−n−ブトキシチタンクロライド、ジ−n−テトライソプロピルポリチタネート(a=2〜10の範囲の混合物)、テトラ−n−ブチルポリチタネート(a=2〜10の範囲の混合物)、テトラ−n−ヘキシルポリチタネート(a=2〜10の範囲の混合物)、テトラ−n−オクチルポリチタネート(a=2〜10の範囲の混合物)が挙げられる。また、テトラアルコキシチタンに少量の水を反応して得られるテトラアルコキシチタンの縮合物を挙げることもできる。
式[I]で表されるチタン化合物(ii)として好ましくは、式[I]のaが1、2または4であるチタン化合物であり、特に好ましくは、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−n−ブチルチタニウムダイマーまたはテトラ−n−ブチルチタニウムテトラマーである。式[I]で表されるチタン化合物(ii)は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
有機マグネシウム化合物(iii)は、マグネシウム原子−炭素原子の結合を有する任意の型の有機マグネシウム化合物である。有機マグネシウム化合物(iii)として好ましくは、式R11MgX3(ただし、式において、R11は炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基を表し、X3はハロゲン原子を表わす。)で表わされるグリニャール化合物または式R1213Mg(ただし、式において、R12、R13はそれぞれ独立に炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基を表す。)で表されるジヒドロカルビルマグネシウムであるが、良好な形態の触媒を得る観点から、より好ましくはグリニャール化合物である。R11〜R13としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソアミル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、フェニル基、ベンジル基等の炭素原子数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基が挙げられる。特に好ましくは、R11MgX3で表されるグリニャール化合物をエーテル溶液として使用することである。
有機マグネシウム化合物(iii)と、炭化水素に有機マグネシウム化合物(iii)を可溶化させる有機金属化合物との炭化水素可溶性錯体を使用することもできる。有機金属化合物としては、例えば、リチウム、ベリリウム、ホウ素、アルミニウムまたは亜鉛の化合物が挙げられる。
エステル化合物(iv)としては、例えば、モノまたは多価のカルボン酸エステルが用いられ、例えば、飽和脂肪族カルボン酸エステル、不飽和脂肪族カルボン酸エステル、脂環式カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステルを挙げることができる。例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸フェニル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル、吉草酸エチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、アニス酸エチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル、フタル酸モノエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸メチルエチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−プロピル、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジペンチル、フタル酸ジ−n−ヘキシル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジフェニル等が挙げられる。
エステル化合物(iv)として好ましくは、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル等の不飽和脂肪族カルボン酸エステルまたはフタル酸エステル等の芳香族カルボン酸エステルであり、特に好ましくはフタル酸のジアルキルエステルである。
本発明で用いられる固体成分(a)として好ましくは、有機ケイ素化合物(i)の存在下に、または有機ケイ素化合物(i)およびエステル化合物(iv)の存在下に、式[I]で表わされるチタン化合物(ii)を、有機マグネシウム化合物(iii)で還元することによって得られる固体成分である。
チタン化合物(ii)、有機ケイ素化合物(i)、エステル化合物(iv)は、それぞれ適当な溶媒に溶解または希釈して使用することが好ましい。
かかる溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素化合物、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素化合物、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の脂環式炭化水素化合物、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル化合物が挙げられる。
有機マグネシウム化合物(iii)によって還元するときの反応温度は、通常−50〜70℃であり、好ましくは−30〜50℃であり、特に好ましくは−25〜35℃の範囲である。反応時間は特に限定されないが、通常30分〜6時間程度である。その後、さらに20〜120℃の反応温度で後反応を行ってもよい。
有機マグネシウム化合物(iii)によって還元する際に、例えば、無機酸化物、有機ポリマー等の多孔質担体を共存させ、固体成分(a)を多孔質担体に含浸させてもよい。用いられる多孔質担体としては公知のものでよい。例えば、SiO2、Al23、MgO、TiO2、ZrO2等に代表される多孔質無機酸化物、またはポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、スチレン−エチレングリコール−ジメタクリル酸メチル共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、アクリル酸メチル−ジビニルベンゼン共重合体、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−ジビニルベンゼン共重合体、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−ジビニルベンゼン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の有機多孔質ポリマー等が挙げられる。これらのうち好ましくは、有機多孔質ポリマーであり、特に好ましくは、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体またはアクリロニトリル−ジビニルベンゼン共重合体である。
多孔質担体として好ましくは、触媒成分を有効に固定化する観点から、細孔半径20〜200nmにおける細孔容量が、0.3cm3/g以上であり、より好ましくは0.4cm3/g以上であり、かつ該範囲の細孔容量は、細孔半径3.5〜7500nmにおける細孔容量に対して35%以上であり、より好ましくは40%以上である多孔質担体である。
有機ケイ素化合物(i)の使用量は、チタン化合物(ii)中の総チタン原子に対するケイ素原子の原子比Si/Tiで、通常1〜500であり、好ましくは1〜300であり、特に好ましくは3〜100である。
有機マグネシウム化合物(iii)の使用量は、チタン原子とケイ素原子の和とマグネシウム原子の原子比(Ti+Si)/Mgで、通常0.1〜10であり、好ましくは0.2〜5.0であり、特に好ましくは0.5〜2.0である。
また、固体触媒成分(a)におけるMg/Tiのモル比が1〜51、好ましくは2〜31、特に好ましくは4〜26になるようにチタン化合物(ii)、有機ケイ素化合物(i)、有機マグネシウム化合物(iii)の使用量を決定してもよい。
任意成分であるエステル化合物(iv)の使用量は、チタン化合物(ii)のチタン原子に対するエステル化合物のモル比、エステル化合物/Tiで、通常0.05〜100であり、好ましくは0.1〜60であり、特に好ましくは0.2〜30である。
還元反応によって得られた固体成分(a)は通常、固液分離し、ヘキサン、ヘプタン、トルエン等の不活性炭化水素溶媒で数回洗浄を行う。
このようにして得られた固体成分(a)は、3価のチタン原子、マグネシウム原子およびヒドロカルビルオキシ基を含有し、一般に非晶性または極めて弱い結晶性を有する。特に好ましくは非晶性の構造である。
(b)ハロゲン化化合物
ハロゲン化化合物(b)とは、固体成分(a)中のヒドロカルビルオキシ基をハロゲン原子に置換し得る化合物である。好ましくは、周期表第4族元素のハロゲン化合物、第13族元素のハロゲン化合物、第14族元素のハロゲン化合物であり、より好ましくは、第4族元素のハロゲン化合物、第14族元素のハロゲン化合物である。固体成分(a)中にチタン原子を含んでいない場合、少なくともチタン原子のハロゲン化合物を用いる。
周期表第4族元素のハロゲン化合物として好ましくは、式M1(OR14b4 4-b(ただし、式において、M1は周期表第4族の原子を表し、R14は炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基を表し、X4はハロゲン原子を表し、bは0≦b<4を満たす数を表す。)で表されるハロゲン化合物である。M1としては、例えば、チタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子が挙げられ、好ましくはチタン原子である。R14としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、アミル基、イソアミル基、tert−アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基、フェニル基、クレジル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、プロペニル基等のアリル基、ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられる。好ましくは、炭素原子数2〜18のアルキル基または炭素原子数6〜18のアリール基であり、特に好ましくは、炭素原子数2〜18の直鎖状アルキル基である。また、2種以上の異なるOR14基を有する第4族元素のハロゲン化合物を用いることも可能である。
4で表されるハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。特に好ましくは塩素原子である。
式M1(OR14b4 4-bで表される周期表第4族元素のハロゲン化合物のbは、0≦b<4を満たす数であり、好ましくは0≦b≦2を満たす数であり、特に好ましくはb=0である。
式M1(OR14b4 4-bで表される周期表第4族元素のハロゲン化合物としては、例えば、四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン等のテトラハロゲン化チタン、メトキシチタントリクロライド、エトキシチタントリクロライド、ブトキシチタントリクロライド、フェノキシチタントリクロライド、エトキシチタントリブロマイド等のトリハロゲン化アルコキシチタン、ジメトキシチタンジクロライド、ジエトキシチタンジクロライド、ジブトキシチタンジクロライド、ジフェノキシチタンジクロライド、ジエトキシチタンジブロマイド等のジハロゲン化ジアルコキシチタンが挙げられ、同様にそれぞれに対応したジルコニウム化合物、ハフニウム化合物が挙げられる。最も好ましくは四塩化チタンである。
周期表第13族元素または第14族元素のハロゲン化合物として好ましくは、式M215 m-c5 c(ただし、式において、M2は第13族または第14族原子を表し、R15は炭素原子数が1〜20のヒドロカルビル基を表し、X5はハロゲン原子を表し、mはM2の原子価に相当する数を表す。cは0<c≦mを満たす数を表す。)で表される化合物である。
第13族原子としては、例えば、ホウ素原子、アルミニウム原子、ガリウム原子、インジウム原子、タリウム原子が挙げられ、好ましくはホウ素原子またはアルミニウム原子であり、より好ましくはアルミニウム原子である。第14族の原子としては、例えば、炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、錫原子、鉛原子が挙げられ、好ましくは、ケイ素原子、ゲルマニウム原子または錫原子であり、より好ましくはケイ素原子または錫原子である。
mはM2の原子価に相当する数であり、例えば、M2がケイ素原子のときm=4である。
cは0<c≦mを満たす数を表し、M2がケイ素原子のときcは好ましくは3または4である。
5で表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくは塩素原子である。
15としては、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、クレジル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等のシクロアルキル基、プロペニル基等のアルケニル基、ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられる。R2として好ましくはアルキル基またはアリール基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、フェニル基またはパラトリル基である。
周期表第13族元素のハロゲン化合物としては、例えば、トリクロロボラン、メチルジクロロボラン、エチルジクロロボラン、フェニルジクロロボラン、シクロヘキシルジクロロボラン、ジメチルクロロボラン、メチルエチルクロロボラン、トリクロロアルミニウム、メチルジクロロアルミニウム、エチルジクロロアルミニウム、フェニルジクロロアルミニウム、シクロヘキシルジクロロアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、ジエチルクロロアルミニウム、メチルエチルクロロアルミニウム、エチルアルミニウムセスキクロライド、ガリウムクロライド、ガリウムジクロライド、トリクロロガリウム、メチルジクロロガリウム、エチルジクロロガリウム、フェニルジクロロガリウム、シクロヘキシルジクロロガリウム、ジメチルクロロガリウム、メチルエチルクロロガリウム、インジウムクロライド、インジウムトリクロライド、メチルインジウムジクロライド、フェニルインジウムジクロライド、ジメチルインジウムクロライド、タリウムクロライド、タリウムトリクロライド、メチルタリウムジクロライド、フェニルタリウムジクロライド、ジメチルタリウムクロライド等が挙げられ、これら化合物名の「クロロ」を「フルオロ」、「ブロモ」、または「ヨード」に置き換えた化合物も挙げられる。
周期表第14族元素のハロゲン化合物として、例えば、テトラクロロメタン、トリクロロメタン、ジクロロメタン、モノクロロメタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、テトラクロロシラン、トリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ノルマルプロピルトリクロロシラン、ノルマルブチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ベンジルトリクロロシラン、パラトリルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、ジクロロシラン、メチルジクロロシラン、エチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルエチルジクロロシラン、モノクロロシラン、トリメチルクロロシラン、トリフェニルクロロシラン、テトラクロロゲルマン、トリクロロゲルマン、メチルトリクロロゲルマン、エチルトリクロロゲルマン、フェニルトリクロロゲルマン、ジクロロゲルマン、ジメチルジクロロゲルマン、ジエチルジクロロゲルマン、ジフェニルジクロロゲルマン、モノクロロゲルマン、トリメチルクロロゲルマン、トリエチルクロロゲルマン、トリノルマルブチルクロロゲルマン、テトラクロロ錫、メチルトリクロロ錫、ノルマルブチルトリクロロ錫、ジメチルジクロロ錫、ジノルマルブチルジクロロ錫、ジイソブチルジクロロ錫、ジフェニルジクロロ錫、ジビニルジクロロ錫、メチルトリクロロ錫、フェニルトリクロロ錫、ジクロロ鉛、メチルクロロ鉛、フェニルクロロ鉛等が挙げられ、これら化合物名の「クロロ」を「フルオロ」、「ブロモ」、または「ヨード」に置き換えた化合物も挙げられる。第14族元素のハロゲン化合物として好ましくは、テトラクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ノルマルプロピルトリクロロシラン、ノルマルブチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、テトラクロロ錫、メチルトリクロロ錫、ノルマルブチルトリクロロ錫である。
ハロゲン化化合物(b)として好ましくは、重合活性の観点から、四塩化チタン、メチルジクロロアルミニウム、エチルジクロロアルミニウム、テトラクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ノルマルプロピルトリクロロシランまたはテトラクロロ錫であり、特に好ましくは四塩化チタンまたはテトラクロロシランである。
ハロゲン化化合物(b)として、上記化合物の1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(c)電子供与体
本発明では固体触媒成分の調製において電子供与体(c)を用いた接触処理が適宜可能である。電子供与体との接触処理により高い重合活性、共重合性能を付与することができる場合がある。電子供与体としては、エーテル類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸類、有機酸または無機酸のエステル類、有機酸または無機酸の酸アミド類、酸無水物類等の含酸素電子供与性化合物、アンモニア類、アミン類、ニトリル類、イソシアネート類等の含窒素電子供与性化合物を挙げることができる。これらの電子供与性化合物のうち好ましくは有機酸のエステル類および/またはエーテル類であり、より好ましくはカルボン酸エステル類(c1)および/またはエーテル類(c2)である。
カルボン酸エステル類(c1)としては、例えば、モノおよび多価のカルボン酸エステルが挙げられ、それらの例として飽和脂肪族カルボン酸エステル、不飽和脂肪族カルボン酸エステル、脂環式カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステルを挙げることができる。具体的には、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸フェニル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル、吉草酸エチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、アニス酸エチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルおよび下式で表されるフタル酸エステルを挙げることができる。
Figure 2008144009

(ただし、上式において、R16〜R19はそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子からなる置換基を表し、X6、X7はそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子または酸素原子からなる置換基を表す。)
16〜R19として好ましくは、水素原子または炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、各置換基は互いに結合していてもよい。X6、X7として好ましくは、ヒドロキシ基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基である。また、芳香族環の一部または全部は水添されていてもよい。
上式で表わされるフタル酸誘導体としては、例えば、フタル酸、フタル酸モノエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸メチルエチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジノルマルプロピル、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジノルマルブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジペンチル、フタル酸ジノルマルヘキシル、フタル酸ジノルマルヘプチル、フタル酸ジイソヘプチル、フタル酸ジノルマルオクチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジノルマルデシル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジフェニル、フタル酸ジクロリドが挙げられ、好ましくは、フタル酸ジエチル、フタル酸ジノルマルプロピル、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジノルマルブチル、または、フタル酸ジイソブチルが挙げられる。
これらのカルボン酸エステル類のうち、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル等の不飽和脂肪族カルボン酸エステルまたは安息香酸エステル、フタル酸エステル等の芳香族カルボン酸エステルが好ましく用いられる。より好ましくは、芳香族多価カルボン酸エステルであり、さらに、好ましくはフタル酸ジアルキルエステルであり、特に好ましくは2個のアルキル基の炭素原子数の合計が8以下であるフタル酸ジアルキルエステルである。
これらのカルボン酸エステルは1回の接触処理において1種類または複数種類を用いてもよいし、一連の固体触媒成分の製造において1種類または複数種類を用いてもよい。
エーテル類としては、例えば、ジアルキルエーテル化合物、環状エーテル化合物、1,3−ジエーテル化合物が挙げられる。
ジアルキルエーテル化合物としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、メチル−n−プロピルエーテル、メチル−n−ブチルエーテル、エチル−n−プロピルエーテル、エチル−n−ブチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテルが挙げられ、好ましくはジ−n−ブチルエーテルである。なお、ジ−n−ブチルエーテルは単にジブチルエーテルまたはブチルエーテルと記載することもある。
環状エーテル化合物とは、環内に少なくとも一つの−C−O−C−結合を有する複素環式化合物である。
環状エーテル化合物としては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、トリメチレンオキシド、テトラヒドロフラン、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ヘキサメチレンオキシド、1,3−ジオキセパン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、2−メチル−1,3−ジオキソラン、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、2,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン、フラン、2,5−ジメチルフラン、またはs−トリオキサンが挙げられる。なかでも好ましくは、環内に少なくとも一つの−C−O−C−O−C−結合を有する環状エーテルである。
1,3−ジエーテルとしては、例えば、下式[III]で表されるジエーテル化合物が挙げられる。
Figure 2008144009
(ただし、上式[III]において、R20〜R23はそれぞれ独立に炭素原子数1〜20の直鎖状、分岐状または脂環式のアルキル基、アリール基またはアラルキル基であり、R20およびR21はそれぞれ独立に水素原子であってもよい。また、R20とR21は互いに結合していてもよい。)
具体的には、例えば、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ビス(シクロヘキシルメチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−3,7−ジメチルオクチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−シクロヘキシルメチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−シクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−シクロペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−ヘプチル−2−ペンチル−1,3−ジメトキシプロパン等が挙げられる。
これら電子供与体は、1回の接触処理において1種類または複数種類を用いてもよいし、一連の固体触媒成分の製造において1種類または複数種類を用いてもよい。
(d)有機酸ハライド
本発明の固体触媒成分の調製に使用される有機酸ハライド(d)として好ましくは、モノまたは多価のカルボン酸ハライドが用いられ、それらの例として脂肪族カルボン酸ハライド、脂環式カルボン酸ハライド、芳香族カルボン酸ハライドを挙げることができる。具体例としては、アセチルクロライド、プロピオン酸クロライド、酪酸クロライド、吉草酸クロライド、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド、安息香酸クロライド、トルイル酸クロライド、アニス酸クロライド、コハク酸クロライド、マロン酸クロライド、マレイン酸クロライド、イタコン酸クロライド、フタル酸クロライド等を挙げることができる。
これらの有機酸ハライドのうち好ましくは、安息香酸クロライド、トルイル酸クロライド、フタル酸クロライド等の芳香族カルボン酸クロライドであり、さらに好ましくは芳香族ジカルボン酸ジクロライドであり、特に好ましくはフタル酸クロライドである。
(A)固体触媒成分の調製
前記の好ましい固体触媒成分(A)は、チタン原子、マグネシウム原子およびヒドロカルビルオキシ基を含有する固体成分(a)、ハロゲン化化合物(b)ならびに電子供与体(c)および/または有機酸ハライド(d)を接触させることにより得られる。これらの接触処理は通常、全て窒素、アルゴン等の不活性気体雰囲気下で行われる。
固体触媒成分を得る接触処理の具体的な方法としては、
・(a)に(b)、(c)(投入順序任意)を投入し、接触処理する方法、
・(a)に(b)、(d)(投入順序任意)を投入し、接触処理する方法、
・(a)に(b)と(c)と(d)の混合物を投入し、接触処理する方法、
・(a)に(b)と(c)の混合物、(d)(投入順序任意)を投入し、接触処理する方法、
・(a)に(c)を投入し、接触処理した後、(b)を投入し、接触処理する方法、
・(a)に(c)を投入し、接触処理した後、(b)、(c)(投入順序任意)を投入し、接触処理する方法、
・(a)に(c)を投入し、接触処理した後、(b)と(c)の混合物を投入し、接触処理する方法、
・(b)に(a)、(c)(投入順序任意)を投入し、接触処理する方法、
・(b)に(a)、(d)(投入順序任意)を投入し、接触処理する方法、
・(b)に(a)、(c)、(d)(投入順序任意)を投入し、接触処理する方法、
等が挙げられ、また、これら接触処理の後、さらに(b)で1回以上接触処理する方法、(b)と(c)の混合物で1回以上接触処理する方法が挙げられる。
これらのうち(a)に(b)、(d)(投入順序任意)を投入し、接触処理する方法、(a)に(b)と(c)の混合物、(d)(投入順序任意)を投入する方法、(a)に(b)と(c)の混合物、(d)(投入順序任意)を投入し、接触処理した後、(b)と(c)の混合物を投入し、1回以上接触処理する方法、(a)に(c)を投入し、接触処理した後、(b)と(c)の混合物で1回以上接触処理する方法が好ましく、(a)に(b)と(c)の混合物、(d)の順序でそれぞれを投入し、接触処理する方法、(a)に(b)と(c)の混合物、(d)の順序でそれぞれを投入し、接触処理した後、(b)と(c)の混合物を投入し、1回以上接触処理する方法、または(a)に(c)を投入し、接触処理した後、(b)と(c)の混合物で1回以上接触処理する方法がより好ましい。特に好ましくは、(a)に(b)と(c2)の混合物、(d)の順序でそれぞれを投入し、接触処理した後、(b)と(c1)と(c2)の混合物を投入し、接触処理を行い、さらに(b)と(c2)の混合物で1回以上接触処理する方法、または(a)に(c1)を投入し、接触処理した後、(b)と(c1)と(c2)の混合物を投入し、接触処理を行い、さらに(b)と(c2)の混合物で1回以上接触処理する方法である。
接触処理は、スラリー法やボールミル等による機械的粉砕手段等、各成分を接触させうる公知のいかなる方法によっても行うことができるが、機械的粉砕を行う場合は、固体触媒成分の微粉の発生を抑制し、粒度分布を広くしない観点から、好ましくは希釈剤の存在下で接触させる。
希釈剤として好ましくは、処理対象成分に対して不活性である希釈剤であり、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂環式炭化水素、1,2−ジクロロエタン、モノクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素であり、好ましくは、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素であり、より好ましくは芳香族炭化水素であり、さらに好ましくはトルエン、キシレンである。
接触処理における希釈剤の使用量は、固体成分(a)1グラムあたり通常0.1ミリリットル〜1000ミリリットルである。好ましくは1グラムあたり1ミリリットル〜100ミリリットルである。
接触処理時間は特に限定されないが、好ましくは0.5〜8時間であり、より好ましくは1〜6時間である。接触処理の温度は通常−50〜150℃であるが、好ましくは0〜140℃であり、さらに好ましくは60〜135℃である。
固体触媒成分(A)の[I]接触処理に次いで、[I]で得られた接触生成物を芳香族炭化水素溶媒によって洗浄する[II]洗浄処理を行う。洗浄処理に用いる芳香族炭化水素溶媒としては、例えば、希釈剤と同様の芳香族炭化水素が挙げられ、なかでも好ましくは、トルエンおよびキシレンである。
1回の洗浄処理に用いる芳香族炭化水素溶媒の使用量は、接触処理に用いる希釈剤の使用量と同様である。洗浄処理における洗浄の温度は、通常−50〜150℃であるが、好ましくは0〜140℃であり、さらに好ましくは60〜135℃であり、洗浄の回数は通常1〜5回行えばよいが、必要に応じてさらに洗浄回数を増やしてもよい。
洗浄処理時間は特に限定されないが、好ましくは1〜120分であり、より好ましくは2〜60分であり、さらに好ましくは5〜40分である。
接触処理および洗浄処理においては、均一なスラリー状態が維持されるように攪拌することが好ましい。攪拌が不十分である場合、それぞれの処理が不十分となり、立体規則性や重合活性が十分でないことがある。また、攪拌が強すぎる場合、粒子が破壊されることがある。
接触処理および洗浄処理の後は、液体成分を一部またはほぼ全部除去する。液体成分が多く残ると未反応物等の除去が不十分となり、立体規則性や重合活性の観点から好ましくない。液体成分を除去する方法としては、適当な目開きのフィルターを通して液体成分をろ別する方法、固体成分を沈降分離後、上澄みの液体成分を除去する方法等が挙げられる。
ハロゲン化化合物(b)の使用量は、固体成分(a)1gに対し、通常0.5〜1000ミリモル、好ましくは1〜200ミリモル、さらに好ましくは2〜100ミリモルである。また、ハロゲン化化合物(b)の使用に際しては、電子供与体(c)を共に用いることが好ましい。その場合の(b)1モルに対する(c)の使用量は、通常1〜100モル、好ましくは1.5〜75モル、さらに好ましくは2〜50モルである。
電子供与体(c)の使用量は、固体成分(a)1gに対し、通常0.01〜100ミリモル、好ましくは0.05〜50ミリモル、さらに好ましくは0.1〜20ミリモルである。
有機酸ハライド(d)の使用量は、固体成分(a)1gに対し、通常0.1〜100ミリモル、好ましくは0.3〜50ミリモル、さらに好ましくは0.5〜20ミリモルである。また、固体成分(a)中のマグネシウム原子1モル当たりの有機酸ハライド(d)の使用量は、通常0.01〜1.0モル、好ましくは0.03〜0.5モルである。(c)や(d)の使用量が過度に多い場合には粒子の崩壊が起こることがある。
なお、それぞれの化合物を複数の回数にわたって使用して接触処理をする場合には、以上に述べた各化合物の使用量はそれぞれ一回ごとかつ一種類の化合物ごとの使用量を表す。
得られた固体触媒成分は、不活性な希釈剤と組合せてスラリー状態で重合に使用してもよいし、乾燥して得られる流動性の粉末として重合に使用してもよい。乾燥方法としては、減圧条件下揮発成分を除去する方法、窒素、アルゴン等不活性ガスの流通下揮発成分を除去する方法が挙げられる。乾燥時の温度は0〜200℃であることが好ましく、50〜100℃であることがより好ましい。乾燥時間は、0.01〜20時間であることが好ましく、0.5〜10時間であることがより好ましい。
(B)有機アルミニウム化合物および/または有機アルミニウムオキシ化合物
オレフィン共重合用触媒を形成するために使用する有機アルミニウム化合物および/または有機アルミニウムオキシ化合物(B)は、少なくとも分子内に一個のAl−炭素結合を有するものである。代表的なものを一般式で下記に示す。
24 wAlX8 3-w
2526Al−O−AlR2728
(式中、R24〜R28は炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基を、X8はハロゲン原子、水素原子またはアルコキシ基を表し、wは2≦w≦3を満たす数である。)
かかる有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムクロライド等のジアルキルアルミニウムハライド、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドとの混合物のようなトリアルキルアルミニウムとジアルキルアルミニウムハライドとの混合物、テトラエチルジアルモキサン、テトラブチルジアルモキサン等のアルキルアルモキサンが例示できる。
これらの有機アルミニウム化合物のうち、トリアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウムとジアルキルアルミニウムハライドとの混合物、または、アルキルアルモキサンが好ましく、とりわけトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドとの混合物またはテトラエチルジアルモキサンが好ましい。
オレフィン重合用触媒を形成するために、窒素原子に隣接する少なくとも1つ以上の炭素原子数1〜3のアルキル基を有する芳香族窒素複素環式化合物(C)の他に、必要に応じて電子供与性化合物(D)を加えてもよい。電子供与性化合物(D)としては、例えば、酸素含有化合物、窒素含有化合物、リン含有化合物、硫黄含有化合物が挙げられ、なかでも好ましくは、酸素含有化合物または窒素含有化合物である。
酸素含有化合物としては、例えば、アルコキシケイ素類、エーテル類、エステル類、ケトン類等が挙げられ、なかでも好ましくは、アルコキシケイ素類またはエーテル類である。
アルコキシケイ素類としては、一般式R29 rSi(OR304-r(式中、R29は炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基、水素原子またはヘテロ原子含有置換基を表し、R30は炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基を表し、rは0≦r<4を満たす数を表す。全てのR29および全てのR30はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。)で表されるアルコキシケイ素化合物が用いられる。R29がヒドロカルビル基の場合、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、等の分岐鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、シクロペンテニル基等のシクロアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基等が挙げられる。なかでもアルコキシケイ素化合物のケイ素原子と直接結合した炭素原子が2級炭素原子、または3級炭素原子であるR29を少なくとも1つ持つことが好ましい。R29がヘテロ原子含有置換基の場合、ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子が挙げられる。具体的にはジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチル−n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ピロリル基、ピリジル基、ピロリジニル基、ピペリジル基、パーヒドロインドリル基、パーヒドロイソインドリル基、パーヒドロキノリル基、パーヒドロイソキノリル基、パーヒドロカルバゾリル基、パーヒドロアクリジニル基、フリル基、ピラニル基、パーヒドロフリル基、チエニル基等が挙げられ、なかでもヘテロ原子がアルコキシケイ素化合物のケイ素原子と直接化学結合できる置換基が好ましい。
アルコキシケイ素化合物としては、例えば、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、tert−ブチルメチルジメトキシシラン、tert−ブチルエチルジメトキシシラン、tert−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン、tert−ブチル−n−ブチルジメトキシシラン、tert−アミルメチルジメトキシシラン、tert−アミルエチルジメトキシシラン、tert−アミル−n−プロピルジメトキシシラン、tert−アミル−n−ブチルジメトキシシラン、イソブチルイソプロピルジメトキシシラン、tert−ブチルイソプロピルジメトキシシラン、ジシクロブチルジメトキシシラン、シクロブチルイソプロピルジメトキシシラン、シクロブチルイソブチルジメトキシシラン、シクロブチル−tert−ブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロペンチルイソプロピルジメトキシシラン、シクロペンチルイソブチルジメトキシシラン、シクロペンチル−tert−ブチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルイソプロピルジメトキシシラン、シクロヘキシルイソブチルジメトキシシラン、シクロヘキシル−tert−ブチルジメトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルイソプロピルジメトキシシラン、フェニルイソブチルジメトキシシラン、フェニル−tert−ブチルジメトキシシラン、フェニルシクロペンチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジイソブチルジエトキシシラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、tert−ブチルメチルジエトキシシラン、tert−ブチルエチルジエトキシシラン、tert−ブチル−n−プロピルジエトキシシラン、tert−ブチル−n−ブチルジエトキシシラン、tert−アミルメチルジエトキシシラン、tert−アミルエチルジエトキシシラン、tert−アミル−n−プロピルジエトキシシラン、tert−アミル−n−ブチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルエチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ビス(パーヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(パーヒドロキノリノ)(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(パーヒドロキノリノ)メチルジメトキシシラン、(パーヒドロイソキノリノ)メチルジメトキシシラン、(パーヒドロキノリノ)エチルジメトキシシラン、(パーヒドロイソキノリノ)エチルジメトキシシラン、(パーヒドロキノリノ)(n−プロピル)ジメトキシシラン、(パーヒドロイソキノリノ)(n−プロピル)ジメトキシシラン、((パーヒドロキノリノ)(tert−ブチル)ジメトキシシラン、(パーヒドロイソキノリノ)(tert−ブチル)ジメトキシシラン、ジエチルアミノジメトキシシラン、ジエチルアミノジエトキシシランが挙げられる。
エーテル類としては、電子供与体(c)において例示した環状エーテル化合物、1,3−ジエーテル化合物が挙げられる。
窒素含有化合物としては、例えば、2,6−ジメチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の2,6−置換ピペリジン類、2,5−置換ピペリジン類、N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルメチレンジアミン等の置換メチレンジアミン類、1,3−ジベンジルイミダゾリジン等の置換イミダゾリジン類等が挙げられる。なかでも好ましくは2,6−置換ピペリジン類である。
電子供与性化合物(D)として特に好ましくは、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、tert−ブチルエチルジメトキシシラン、tert−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジシクロブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、2,6−ジメチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−イソプロピル−2−イソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、または2,2−ジシクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパンである。
[オレフィンの共重合]
本発明により得られるオレフィン共重合用触媒を用いたオレフィン共重合体の製造において、オレフィンとは、エチレンおよび炭素原子数3以上のα−オレフィンを表し、かかるα−オレフィンの具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン等の直鎖状モノオレフィン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等の分岐鎖状モノオレフィン、ビニルシクロヘキサン等が挙げられ、任意の2種類以上を組合せて用いればよい。さらに、共役ジエンや非共役ジエンのような多不飽和結合を有する化合物を共重合に用いることも可能である。
これらのオレフィンの組み合わせとしては、好ましくはエチレンとα−オレフィンあり、より好ましくはエチレンと直鎖状α−オレフィンであり、さらに好ましくはエチレンとプロピレン、エチレンと1−ブテン、エチレンと1−ヘキセンおよびエチレンと1−オクテンであり、特に好ましくは、エチレンとプロピレンおよびエチレンと1−ブテンであり、最も好ましくはエチレンとプロピレンである。
本発明のオレフィン共重合用触媒を用いて製造されるオレフィン共重合体として好ましくはエチレン−α−オレフィン共重合体であり、より好ましくはエチレン−直鎖状α−オレフィン共重合体であり、さらに好ましくは、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体およびプロピレン−1−ヘキセン共重合体であり、特に好ましくは、エチレン−プロピレン共重合体およびエチレン−1−ブテン共重合体であり、最も好ましくはエチレン−プロピレン共重合体である。
上記、好ましいオレフィン共重合体の共重合組成としては、エチレンに由来する単量体単位が通常10〜90モル%である。好ましくはエチレンに由来する単量体単位が30〜80モル%であり、より好ましくはエチレンに由来する単量体単位が40〜75モル%である。
本発明のオレフィン共重合用触媒を用いて製造されるランダム性の高いオレフィン共重合体とは、オレフィン共重合体中の2種類のオレフィンモノマーM1とオレフィンモノマーM2の配列、即ち、モノマーシーケンス分布が統計的にランダムに近いオレフィン共重合体である。モノマーシーケンス分布のランダム性の指標としては、例えば、各オレフィンモノマーの反応性比の積r12が挙げられる。ここでr1は、オレフィン共重合体の生長末端がオレフィンモノマーM1に由来する単量体単位であるときのオレフィンモノマーM1とM2の相対反応性であり、r2は、オレフィン共重合体の生長末端がオレフィンモノマーM2に由来する単量体単位であるときのM2とM1の相対反応性である。モノマーの反応性比の積r12が1よりも小さいとM1とM2は交互に共重合体の主鎖中に入りやすく、1よりも大きければブロック的に入りやすいことを示している。モノマーの反応性比の積r12=1の場合は特に理想共重合と呼ばれ、オレフィンモノマーM1とM2はまったくランダムに分布する。即ち、r12が1に近いほどランダム性が高いことを意味する。本発明における反応性比の積r12の範囲として好ましくは1.0〜3.0であり、より好ましくは1.0〜2.5であり、さらに好ましくは1.0〜2.0であり、特に好ましくは1.0〜1.5である。
本発明のオレフィン共重合は、上記組み合わせのオレフィンの共重合のみを行ってもよく、または、ホモポリプロピレンの重合を行った後に共重合を行うような、重合を2段以上にして行うヘテロブロック共重合で行ってもよい。
本発明オレフィン共重合用触媒は、前記の固体触媒成分(A)、有機アルミニウムおよび/または有機アルミニウムオキシ化合物(B)ならびに窒素原子に隣接する少なくとも1つ以上の炭素原子に炭素原子数1〜3のアルキル基を有する芳香族窒素複素環式化合物(C)を接触させて得られるオレフィン共重合用触媒である。ここでいう接触とは、触媒成分(A)、(B)および(C)が接触し、触媒が形成されるならどのような手段によってもよく、予め溶媒で希釈してまたは希釈せずに成分(A)、(B)および(C)を混合して接触させる方法や、別々に重合槽に供給して重合槽の中で接触させる方法等を採用できる。各触媒成分を重合槽に供給する方法としては、窒素、アルゴン等の不活性ガス中で水分のない状態で供給することが好ましい。各触媒成分は、いずれか2者または3者を予め接触させて供給してもよい。
前記の触媒存在下にオレフィンの重合を行うことが可能であるが、このような重合(本重合)の実施前に以下に述べる予備重合を行ってもよい。
予備重合は通常、固体触媒成分(A)および有機アルミニウム化合物および/または有機アルミニウムオキシ化合物(B)の存在下、少量のオレフィンを供給して実施され、スラリー状態で行うのが好ましい。スラリー化するのに用いる溶媒としては、例えば、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンのような不活性炭化水素が挙げられる。また、スラリー化するに際し、不活性炭化水素溶媒の一部または全部に変えて液状のオレフィンを用いることができる。
予備重合時の有機アルミニウム化合物の使用量は、固体触媒成分中のチタン原子1モルあたり、通常0.5〜700モルのごとく広範囲に選ぶことができるが、0.8〜500モルが好ましく、1〜200モルが特に好ましい。
また、予備重合されるオレフィンの量は、固体触媒成分1gあたり通常0.01〜1000g、好ましくは0.05〜500g、特に好ましくは0.1〜200gである。
予備重合を行う際のスラリー濃度は、1〜500g−固体触媒成分/リットル−溶媒が好ましく、特に3〜300g−固体触媒成分/リットル−溶媒が好ましい。予備重合温度は、−20〜100℃が好ましく、特に0〜80℃が好ましい。また、予備重合中の気相部でのオレフィンの分圧は、1kPa〜2MPaが好ましく、特に10kPa〜1MPaが好ましいが、予備重合の圧力、温度において液状であるオレフィンについては、この限りではない。さらに、予備重合時間に特に限定されないが、通常2分間から15時間が好適である。
予備重合を実施する際、固体触媒成分(A)、有機アルミニウム化合物および/または有機アルミニウムオキシ化合物(B)、オレフィンを供給する方法としては、固体触媒成分(A)と有機アルミニウム化合物および/または有機アルミニウムオキシ化合物(B)を接触させておいた後オレフィンを供給する方法、固体触媒成分(A)とオレフィンを接触させておいた後有機アルミニウム化合物および/または有機アルミニウムオキシ化合物(B)を供給する方法等のいずれの方法を用いてもよい。また、オレフィンの供給方法としては、重合槽内が所定の圧力になるように保持しながら順次オレフィンを供給する方法、または所定のオレフィン量を最初にすべて供給する方法のいずれの方法を用いてもよい。また、得られる共重合体の分子量を調節するために水素等の連鎖移動剤を添加することも可能である。
さらに、有機アルミニウム化合物および/または有機アルミニウムオキシ化合物(B)の存在下、固体触媒成分(A)を少量のオレフィンで予備重合するに際し、必要に応じて窒素原子に隣接する少なくとも1つ以上の炭素原子に炭素原子数1〜3のアルキル基を有する芳香族窒素複素環式化合物(C)または電子供与性化合物(D)を共存させてもよい。使用される電子供与性化合物(D)は、上記の窒素原子に隣接する少なくとも1つ以上の炭素原子に炭素原子数1〜3のアルキル基を有する芳香族窒素複素環式化合物(C)または電子供与性化合物(D)の一部または、全部である。その使用量は、固体触媒成分(A)中に含まれるチタン原子1モルに対し、通常0.01〜400モル、好ましくは0.02〜200モル、特に好ましくは、0.03〜100モルであり、有機アルミニウム化合物および/または有機アルミニウムオキシ化合物(B)に対し、通常0.003〜5モル、好ましくは0.005〜3モル、特に好ましくは0.01〜2モルである。
予備重合の際の窒素原子に隣接する少なくとも1つ以上の炭素原子に炭素原子数1〜3のアルキル基を有する芳香族窒素複素環式化合物(C)または電子供与性化合物(D)の供給方法に特に限定されず、有機アルミニウム化合物および/または有機アルミニウムオキシ化合物(B)と別々に供給してもよいし、予め接触させて供給してもよい。また、予備重合で使用されるオレフィンは、本重合で使用されるオレフィンと同じであっても異なっていてもよい。
上記のように予備重合を行った後、または、予備重合を行うことなく、前述の固体触媒成分(A)、有機アルミニウム化合物および/または有機アルミニウムオキシ化合物(B)ならびに窒素原子に隣接する少なくとも1つ以上の炭素原子に炭素原子数1〜3のアルキル基を有する置換基を有する芳香族窒素複素環式化合物(C)からなるオレフィン重合用触媒の存在下に、オレフィンの本重合を行うことができる。
本重合時の有機アルミニウム化合物の使用量は通常、固体触媒成分(A)中のチタン原子1モルあたり、1〜1000モルのごとく広範囲に選ぶことができるが、特に好ましくは5〜600モルの範囲である。
また、本重合時に使用される窒素原子に隣接する少なくとも1つ以上の炭素原子に炭素原子数1〜3のアルキル基を有する置換基を有する芳香族窒素複素環式化合物(C)は、固体触媒成分(A)中に含まれるチタン原子1モルに対し、通常0.1〜2000モル、好ましくは0.3〜1000モル、特に好ましくは0.5〜800モルであり、有機アルミニウム化合物に対し、通常0.001〜5モル、好ましくは0.005〜3モル、特に好ましくは0.01〜1モルである。
本重合の重合温度は、通常−30〜300℃までにわたって実施することができるが、20〜180℃が好ましい。重合圧力に関しては特に制限はないが、工業的かつ経済的であるという点で、一般に、常圧〜10MPa、好ましくは200kPa〜5MPa程度の圧力が採用される。重合形式としては、バッチ式、連続式いずれでも可能である。また、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンのごとき不活性炭化水素溶媒によるスラリー重合または溶液重合、重合温度において液状のオレフィンを媒体としたバルク重合または気相重合も可能である。
本重合時には共重合体の分子量を調節するために水素等の連鎖移動剤を添加することも可能である。
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例によって特に限定をうけるものではない。なお実施例中、共重合体の各種物性の評価方法は、次のとおりである。
(1)20℃キシレン可溶部(以下CXSと略す)
1gの共重合体を200mlの沸騰したキシレンに溶解させたのち、50℃まで徐冷し、次いで氷水に浸し撹拌しながら20℃まで冷却し、20℃で3時間放置したのち、析出した共重合体を濾別した。濾液中に残存した共重合体の重量百分率をCXS(単位=%)とした。CXSの値が高いほど、結晶成分が少なく、よりゴム状ポリマーが多いので、耐衝撃性能の観点から好ましい。
(2)極限粘度(以下[η]と略す)
テトラリン溶媒に共重合体を溶解し、ウベローデ型粘度計を用いて135℃にて測定した。
(3)嵩密度
JIS K 6721(1966)に準拠して測定した。
(4)固体触媒成分等の固体サンプルの組成分析についてはそれぞれ次のように実施した。即ち、チタン原子含有量は、固体サンプルを希硫酸で分解後、これに過剰の過酸化水素水を加え、得られた液状サンプルの410nmの特性吸収を日立製ダブルビーム分光光度計U−2001型を用いて測定し、別途作成しておいた検量線により求めた。アルコキシ基含有量は、固体サンプルを水で分解後、得られた液状サンプル中のアルコキシ基に対応するアルコール量を、ガスクロマトグラフィー内部標準法を用いて求め、アルコキシ基含有量に換算した。カルボン酸エステル含有量は、固体サンプルを水で分解後、飽和炭化水素溶媒で可溶成分を抽出し、抽出液中のカルボン酸エステル量をガスクロマトグラフィー内部標準法で求めた。
(4)エチレン−プロピレン共重合体中のプロピレン含量(単位:mol%)
M.ド.ポーター(M.De Pooter)外著、「ジャーナル・オブ・アプライド・ポリマー・サイエンス(Journal of Applied Polymer Science)」、第42巻、米国、1991年、p.399−p.408の記載をもとに13C−NMR法によって、下記の条件で測定し、算出した。
装置:日本電子(株)製JNM−EX270
プローブ径:10mmφ
溶媒:オルトジクロロベンゼン
温度:135℃
試料濃度:5重量%
パルス幅:45
繰り返し時間:10秒
積算回数:2500回
(5)各モノマーの反応性比の積(r12
(5)と同様な条件で測定し、角五外著、「マクロモルキュールズ(Macromolecules)」、第15巻、米国、1982年、p.1150−p.1152の記載をもとに算出した。r12が1に近いほどランダム性が高いことを示す。
(6)ガラス転移温度(Tg、単位:℃)
示差走査熱量測定装置(TAインスツルメンツ社製 DSC Q100)を使用し、試片約10mgを窒素雰囲気下で200℃で溶融させた後、200℃で5分間保持し、10℃/分の降温速度で−90℃まで降温した。その後、10℃/分で200℃まで昇温する際の吸熱曲線から測定した。
(7)結晶化熱量(ΔHc、単位:J/g)
ガラス転移温度と同様の装置を使用し、試片約10mgを窒素雰囲気下で200℃で溶融させた後、200℃で5分間保持し、10℃/分の降温速度で−90℃まで降温する際の放熱ピークから、単位重さ当たりの結晶化熱量(ΔHc)を求めた。
[実施例1]
(1)固体成分(a)の合成
図1に示す200リットルの円筒型反応器(直径0.35mの攪拌羽根を3対備えた撹拌機および幅0.05mの邪魔板4枚を備えた直径0.5mのもの)を窒素置換し、ヘキサン54リットル、ジイソブチルフタレート100g、テトラエトキシシラン20.6kgおよびテトラブトキシチタン2.23kgを投入、撹拌した。次に、前記混合物に、ブチルマグネシウムクロリドのジブチルエーテル溶液(濃度2.1モル/リットル)51リットルを反応器内の温度を7℃に保ちながら4時間かけて滴下した。この時の攪拌回転数は150rpmであった。滴下終了後、20℃で1時間撹拌したあと濾過し、得られた固体について室温下トルエン70リットルでの洗浄を3回行い、トルエンを加え、固体触媒成分前駆体スラリーを得た。
該固体触媒成分前駆体は、Ti:1.9重量%、OEt(エトキシ基):35.6重量%、OBu(ブトキシ基):3.5重量%を含有していた。
(2)固体触媒成分(A)の合成
上記(1)で用いたものと同じ形状の200リットルの円筒型反応器を窒素置換し、上記(1)で得られた固体触媒成分前駆体スラリーを移送した。静置後、スラリーの体積が49.7リットルとなるようにトルエン量を抜き出し、撹拌下、80℃で1時間撹拌し、その後、スラリーを40℃以下となるように冷却した。その後、テトラクロロチタン30リットルと、ジブチルエーテル1.16kgとの混合液を投入、さらにオルトフタル酸クロライド4.23kgを投入した。反応器内の温度を110℃として3時間撹拌した後、濾過し、得られた固体について95℃にてトルエン90リットルでの洗浄を3回実施した。
トルエンを加え、スラリーとし、静置後、スラリーの体積が49.7リットルとなるようにトルエンを抜き出し、攪拌下、テトラクロロチタン15リットルと、ジブチルエーテル1.16kgと、ジイソブチルフタレート0.87kgとの混合液を投入した。反応器内の温度を105℃として1時間攪拌した後、濾過し、得られた固体について95℃にてトルエン90リットルでの洗浄を2回実施した。
トルエンを加え、スラリーとし、静置後、スラリーの体積が49.7リットルとなるようにトルエンを抜き出し、攪拌下、テトラクロロチタン15リットルと、ジブチルエーテル1.16kgとの混合液を投入した。反応器内の温度を105℃として1時間攪拌した後、濾過し、得られた固体について95℃にてトルエン90リットルでの洗浄を2回実施した。
トルエンを加え、スラリーとし、静置後、スラリーの体積が49.7リットルとなるようにトルエンを抜き出し、攪拌下、テトラクロロチタン15リットルと、ジブチルエーテル1.16kgとの混合液を投入した。反応器内の温度を105℃として1時間攪拌した後、濾過し、得られた固体について95℃にてトルエン90リットルでの洗浄を3回、ヘキサン90リットルでの洗浄を2回実施した。得られた固体成分を乾燥し、固体触媒成分を得た。
該固体触媒成分は、Ti:2.2重量%、フタル酸エステル化合物成分:9.4重量%を含有していた。
(3)〔エチレン−プロピレン共重合体の製造〕
3Lのかき混ぜ式ステンレス製オートクレーブを5℃以下に冷却し、オートクレーブ内を減圧にした。減圧にした状態で、ヘプタン0.90L、プロピレン200gを導入した後、閉鎖系の状態で65℃まで昇温した。内温が65℃で安定したの後、エチレン分圧が0.10MPaになるようエチレンを導入した。オートクレーブ内が安定した後、ヘプタン10mL、トリエチルアルミニウムの1.0mmol/mlヘキサン溶液を2.6ml(即ち、トリエチルアルミニウムとして2.6mmol)、1,2−ジメトキシベンゼンの0.057mmol/mLヘプタン溶液を4.6mL(即ち、1,2−ジメトキシベンゼンを0.26mmol)および実施例1(2)に記載の固体触媒成分6.00mgを混合したものをアルゴンで加圧投入し、重合を開始した。65℃で、エチレンをエチレン分圧が0.10MPaに調整されるようにフィードし、30分間攪拌を続けた。エタノールをアルゴンで加圧投入して重合した。内容液を少量の塩酸を加えたエタノール中に入れ、析出したポリマーをろ過、真空乾燥してエチレン−プロピレン共重合体を34g得た。1時間あたりの活性は、11000g−共重合体/g−触媒/hr、エチレン−プロピレン共重合体中のエチレン含量は47.2mol%、r12は1.39、[η]は2.21dl/g、CXSは95.6wt%、ΔHcは0.78J/g、Tgは−46.1℃であった。
比較例1〔エチレン−プロピレン共重合体の製造〕
ヘプタン0.9Lを1.0Lに、プロピレン200gを150gに、エチレン分圧0.10MPaを0.20MPaに、水素分圧0MPaを0.04MPaに、1,2−ジメトキシベンゼンの0.057mmol/mlヘプタン溶液を4.6mL(即ち、1,2−ジメトキシベンゼンを0.26mmol)の代わりに、2,6−ルチジンの0.057mmol/mlヘプタン溶液を4.6mL(即ち、2,6−ルチジンを0.26mmol)に、および、実施例1(2)に記載の固体触媒成分6.00mgを3.70mgにする以外は、実施例1(3)と同様にエチレン−プロピレン共重合体を製造した。13gのエチレン−プロピレン共重合体を得た。1時間あたりの活性は、6800g−共重合体/g−触媒/hr、エチレン−プロピレン共重合体中のエチレン含量は69.3mol%、r12は1.50、[η]は2.09dl/g、CXSは80.5wt%、ΔHcは11.5J/g、Tgは−53.1℃であった。
円筒型反応器の概略図
符号の説明
(a)上面図
(b)側面図
1 攪拌羽根
2 邪魔板

Claims (8)

  1. 下記の成分(A)、(B)および(C)を接触させて得られるオレフィン共重合用触媒。
    (A)Si−O結合を有する有機ケイ素化合物(i)の存在下に、下式[I]で表されるチタン化合物(ii)を、有機マグネシウム化合物(iii)で還元することによって得られる3価のチタン原子を含有する固体生成物を得た後、ハロゲン化化合物(iv)で処理することによって得られる固体触媒成分
    Figure 2008144009
    (ただし、上式[I]において、aは1〜20の数を表し、R1は炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基を表す。X1はハロゲン原子または炭素原子数1〜20のヒドロカルビルオキシ基を表し、X1は互いに同じであっても異なっていてもよい。)
    (B)有機アルミニウム化合物および/または有機アルミニウムオキシ化合物
    Figure 2008144009
    (C)下式[II]で表されるジアルコキシベンゼン化合物
    (ただし、上式[II]において、R2およびR3はぞれぞれ独立に、炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。R4は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基、炭化水素基で置換された炭素原子数1〜20の置換シリル基、炭化水素基で置換された炭素原子数2〜20の2置換アミノ基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基および炭素原子数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる原子または置換基を表す。)
  2. 成分(C)が、o−ジアルコキシベンゼンである請求項1に記載のオレフィン共重合用触媒。
  3. 成分(C)が、o−ジメトキシベンゼンまたはo−ジエトキシベンゼンである請求項1または2に記載のオレフィン共重合用触媒。
  4. 成分(A)が、Si−O結合を有する有機ケイ素化合物(i)の存在下に、下式[I]で表されるチタン化合物(ii)を、有機マグネシウム化合物(iii)で還元することによって得られる3価のチタン原子を含有する固体生成物を得た後、ハロゲン化化合物(iv)ならびに電子供与体(v)および/または有機酸ハライド(vi)を接触させることによって得られる請求項1〜3のいずれかに記載のオレフィン共重合用触媒。
    Figure 2008144009
    (ただし、上式[I]において、aは1〜20の数を表し、R1は炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基を表す。X1はハロゲン原子または炭素原子数1〜20のヒドロカルビルオキシ基を表し、X1は互いに同じであっても異なっていてもよい。)
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のオレフィン共重合用触媒を用いるオレフィン共重合体の製造方法。
  6. オレフィン共重合体がエチレン−α−オレフィン共重合体である請求項5に記載のオレフィン共重合体の製造方法。
  7. オレフィン共重合体がエチレン−プロピレン共重合体である請求項5に記載のオレフィン共重合体の製造方法。
  8. 第一工程でプロピレンを単独重合した後、第二工程でエチレンとプロピレンを共重合する請求項7に記載のエチレン−プロピレン共重合体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012524134A (ja) * 2009-04-16 2012-10-11 バーゼル・ポリオレフィン・イタリア・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ 1−ブテンから成るポリマーの製造方法

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