JP2008143045A - シールテープ及びこれを用いたインクジェット記録ヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】インクとの長期接触によっても粘着成分の劣化が抑制され、長期保管後に脱着した際、粘着成分の凝集破壊による吐出口周縁やフェイス面への残留を抑制することができ、製造直後の良好なインク滴吐出可能なシールテープを提供する。長期保管後、シールテープを脱着後、製造直後の良好なインク滴を吐出可能で、高精細・高品位の画像を出力するインクジェット記録装置に適用可能なインクジェット記録ヘッドを提供する。
【解決手段】インク収納部と、該インク収納部に連通し、インク吐出エネルギー発生素子の作動によりインク収納部に収納するインクを吐出する吐出口と、該吐出口を閉塞し脱着可能なシールテープとを具備したインクジェト記録ヘッドにおいて、シールテープに用いる粘着成分が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位及び反応性老化防止剤単位を含むアクリル系共重合体の架橋体を有する。
【選択図】図1
【解決手段】インク収納部と、該インク収納部に連通し、インク吐出エネルギー発生素子の作動によりインク収納部に収納するインクを吐出する吐出口と、該吐出口を閉塞し脱着可能なシールテープとを具備したインクジェト記録ヘッドにおいて、シールテープに用いる粘着成分が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位及び反応性老化防止剤単位を含むアクリル系共重合体の架橋体を有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、インクを液滴として吐出口から飛翔させ記録材上に付着、定着させ記録を行うインクジェット記録ヘッドの吐出口の保護に用いるシールテープや、これを用いたインクジェット記録ヘッドに関する。
インクジェット記録装置は低騒音、高速記録等の点で優れることから、プリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサ、更に各種処理装置と複合的に組み合わせた産業記録装置等に多用されている。インクジェット記録装置による記録は、印加される電気信号に伴いインクを液滴として吐出口から飛翔させ、記録媒体に付着、定着させて行われ、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の各種記録媒体に記録可能である。
このようなインクジェット記録装置には、インクを収納したインク収納部と、このインク収納部に収納するインクを、印加される電気信号により吐出口から液滴として吐出するインク吐出エネルギー発生素子等を搭載したインクジェット記録ヘッドが適用されている。インク吐出エネルギー発生素子としては、機械的エネルギーを発生する圧電素子や、加熱により膜沸騰させ泡の形成によりインクを吐出させる熱的ネルギーを発生する素子等が用いられている。この種の熱的エネルギー発生素子を用いたバブルジェット(登録商標)方式に更に改良を加えたバブルスルージェット(bubble1through jet)方式のインクジェット記録ヘッドが実用化されている。バブルスルージェット(bubble1through jet)方式は、インクをインク収納部外部へ送出する部分を大気に連通させることで、インク収納部から送出するインクの液滴量を安定化させ、小液滴吐出を可能にしたものである。
ところで、インクジェット記録ヘッドには、製造後、インクジェット記録装置に装着される間の搬送、保管期間に、インクの吐出口を保護するため保護手段を設けている。保護手段の機能としては、搬送中等に受ける機械的衝撃のみならず温度や圧力変動等の環境変化によるインクの漏洩を防止する、外部からの異物による吐出口の閉塞や損傷を防止する、インクの蒸発や汚染を防止すること等である。かかる保護手段としては、吐出口にキャップ状の保護部材を設ける方法(特許文献1)や、吐出口にホットメルトテープを使用する方法、或いは、粘着テープ等のシールテープを使用する方法(特許文献2)等が報告されている。特許文献2に記載されるシールテープにはアクリル共重合体をイソシアナートにより架橋させたアクリル架橋体が用いられている。このアクリル架橋体は、ヒドロキシ基を有するアクリル酸アルキルエステルを共重合体とし、ヒドロキシ基をイソシアナートで架橋し高分子量化させ凝集力を高めることにより耐インク性を向上させている。
しかし、近年のプリンタ等の出力画像の高精細・高品位の要請に対し、吐出するインクのより小液滴化が必須である。特に銀塩写真と同等の高精細・高品位カラー記録を実現するためには、記録媒体上に着弾したインク滴は人間の目に実質的に確認され得ないほどの小滴であることが必要であり、具体的には、約2ピコリットル(10-12リットル)程度以下の小滴化が要請されている。このような小液滴インクを吐出するためには、インク吐出エネルギー発生素子が出力するエネルギーの精密化に加え、吐出口自体の微細化も要求される。微細な吐出口より吐出される小液滴においては、従来問題とならなかった吐出口周縁及び吐出口近傍のフェイス面の微細な欠陥の影響を受け、本来設定されている飛翔方向から外れる、通称“ヨレ”と言う現象が発生し、得られる画像は著しく悪化する。この種の高精細・高品位を要求されるプリンタ等に適用されるインクジェット記録ヘッドにおいて、上記したシールテープには、以下のような問題があることが明らかにされている。製造直後に良好な印字品位が確認されたインクジェット記録ヘッドにおいて、インク収納部にインクを充填し吐出口面に上記シールテープを接着して長期間保管し、シールテープを脱着し印字を行うと、“ヨレ”が生じ、画像悪化を引き起こす場合がある。このヨレは、シールテープの粘着剤がインクとの長期接触により劣化し、シールテープの脱着時にその一部が僅かに凝集破壊し吐出口周縁やフェイス面に残留することにより発生することが分かった。このため、小液滴インクを吐出するインクジェット記録ヘッドに対し、長期保管後、シールテープを脱着して使用する場合においても画像の劣化を引き起こさない吐出口の保護手段が望まれている。
特開平5−254135号公報
特開平5−77436号公報
本発明の課題は、インクとの長期接触によっても粘着成分の劣化が抑制され、長期保管後に脱着した際、粘着成分の凝集破壊による吐出口周縁やフェイス面への残留を抑制することができ、製造直後の良好なインク滴吐出可能なシールテープを提供することにある。
また、長期保管後、シールテープを脱着して使用する場合においても、ヨレ等の発生を抑制し、製造直後の良好なインク滴を吐出可能で、高精細・高品位の画像を出力するインクジェット記録装置に適用可能なインクジェット記録ヘッドを提供することにある。
本発明者らは、シールテープの粘着成分が、反応性老化防止剤を共重合したアクリル系共重合体の架橋体を含有することにより、長期に亘ってインクと接触しても劣化が抑制され、シールテープ剥離時の凝集破壊が抑制されることを見い出した。反応性老化防止剤が共重合してポリマー中に含有されるため、インクと長期間接触しても粘着成分から反応性老化防止剤の溶出・析出が抑制され、吐出口周縁やその周囲に異物が付着したり、濡れ性の変化等の発生を抑制することができることの知見を得た。かかる知見に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、インク収納部と、該インク収納部に連通し、インク吐出エネルギー発生素子の作動によりインク収納部に収納するインクを吐出する吐出口と、該吐出口を閉塞し脱着可能なシールテープとを具備したインクジェト記録ヘッドにおいて、シールテープに用いる粘着成分が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位及び反応性老化防止剤単位を含むアクリル系共重合体の架橋体を有することを特徴とするインクジェト記録ヘッドに関する。
また、本発明は、インク収納部と、該インク収納部に連通し、インク吐出エネルギー発生素子の作動によりインク収納部に収納するインクを吐出する吐出口とを具備したインクジェト記録ヘッドの前記吐出口を閉塞し脱着可能に設けられるシールテープにおいて、粘着成分が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位及び反応性老化防止剤単位を含むアクリル系共重合体の架橋体を有することを特徴とするシールテープに関する。
本発明のシールテ−プは、インクとの長期接触によっても粘着成分の劣化が抑制され、長期保管後に脱着した際、粘着成分の凝集破壊により吐出口周縁やフェイス面への残留を抑制することができ、製造直後の良好なインク滴吐出を行うことができる。
また、本発明のインクジェット記録ヘッドは、長期保管後、シールテープを脱着して使用する場合においても、ヨレ等の発生を抑制し、製造直後の良好なインク滴を吐出可能で、高精細・高品位の画像を出力するインクジェット記録装置に適用することができる。
本発明のインクジェット記録ヘッドは、インク収納部と、該インク収納部に連通し、インク吐出エネルギー発生素子の作動によりインク収納部に収納するインクを吐出する吐出口と、該吐出口を閉塞し脱着可能なシールテープとを具備するものである。本発明のインクジェット記録ヘッドはバブルジェット方式や、バブルスルージェット方式、又は圧電素子を用いたもの等いずれの記録方式のものであってもよい。その一例として、図1の概略斜視図、図2のシールテープを脱着後の概略斜視図、図3のシールテープを脱着後の概略分解斜視図に示すインクジェット記録ヘッドを挙げることができる。
図1に示すインクジェット記録ヘッドは、主として、インク収納部1と、インク吐出エネルギー素子及び吐出口を有する素子基板2と、インク吐出口を閉塞し脱着可能なシールテープ3とを有する。
上記インク収納部1は樹脂成型体からなる本体10と、本体の上部の開口を閉塞するように溶着される蓋11とを有する。インク収納部の本体の内部には、収納するインク種の数に応じて分割された小部屋121〜123が設けられる。各小部屋には、インクを保持し且つインク収納部からのインクの送出を可能とする負圧を発生するように、各小部屋の底面に当接して、インク吸収体131〜133がそれぞれ収納される。インク吸収体は、例えば、ポリプロピレン繊維を圧縮したものが用いられる。各小部屋の底面には素子基板2へそれぞれインクを送出可能な図示しない基板連通口が設けられ、この基板連通口には素子基板へのゴミの進入を抑制するフィルタ141〜143が介在される。更に、インク収納部には、図示しない大気連通口が設けられ、基板連通口を大気と連通させ適量のインク滴の安定供給を可能としている。
上記インク収納部の底には基板連通口に対向するように素子基板2が一体的に設けられる。素子基板には、インク収納部の基板連通口に対向する面にインク供給口が設けられ、このインク供給口が設けられる面の対向面に複数の微細な口径の吐出口が高密度に設けられる。更に、これらのインク供給口と吐出口を連結するインク流路が設けられ、インク収納部と吐出口とを連通するインク流路が形成される。素子基板にはインクを吐出するエネルギーを発生するインク吐出エネルギー発生素子が設けられ、インク供給口からインク流路に導入されたインクを、発生するエネルギー、例えば熱エネルギーにより膜沸騰させ、液滴として吐出口から吐出する。素子基板には後述する電気配線テープの配線とインク吐出エネルギー発生素子とを接続する配線が設けられ、電気配線テープの配線を伝送される電気信号を伝送しインク吐出エネルギー発生素子への印加を可能とする。
上記素子基板は、例えば、シリコン基板に裏面側から異方性エッチング等によりインク供給口を形成し、シリコン基板の表面側にフォトリソグラフィーによりインク吐出エネルギー発生素子やその配線、インク流路、吐出口等を形成する方法等により作成することができる。
更に、素子基板に設けられるインク吐出エネルギー発生素子への電気信号を伝送する配線を有する電気配線テープ21がインク収納部本体に一体的に設けられる。電気配線テープは、例えば、ポリイミドテープに銅配線を形成したものを用いることができ、接着剤等でインク収納部本体へ装着することができる。図示しない外部装置から出力され電気配線テープの配線を伝送されインク吐出エネルギー発生素子に入力された電気信号により、インク吐出エネルギー発生素子からインク吐出エネルギーが発生され、吐出口からインク滴が吐出されるようになっている。
上記吐出口にこれを閉塞し吐出口面に脱着可能に設けられるシールテープ3は、吐出口面からの脱着を容易とするタグテープ31を有していてもよい。
かかるシールテープは基材テープに粘着成分を有する粘着層が設けられたものであり、粘着成分は(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位及び反応性老化防止剤単位を含むアクリル系共重合体の架橋体を有する。
上記アクリル系共重合体に含まれる(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位は粘着性を付与する単位であり、主成分として含まれる。(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位は、C1からC12のアルキル基を有することが、適度な粘着性を付与し、インクから受ける劣化を低減することから好ましい。C1からC12のアルキル基としては、直鎖状、分枝状いずれであってもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位構成する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、具体的には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−メチルブチルアクリレート、2−エチルブチルアクリレート、3−メチルブチルアクリレート、1,3−ジメチルブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘプチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位はアクリル系共重合体中に75質量%から99.6質量%含有されることが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位が75質量%以上であれば、粘着成分に充分な粘着性を付与することができ、99.6質量%以下であれば、反応性老化防止剤単位の機能を妨げず架橋体の劣化を抑制することができる。
上記アクリル系共重合体に含まれる反応性老化防止剤単位は、共重合体を構成する単位として含まれることにより、架橋体のインクによる劣化を抑制する。反応性老化防止剤単位を構成する反応性老化防止剤としては、老化防止性が高く、エチレン性不飽和結合を有するものが好ましい。反応性老化防止剤がエチレン性不飽和結合を有することにより、主成分を構成する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合が容易となる。反応性老化防止剤としては、具体的には、N−フェニル−N´−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン(式(1))、
2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(式(2))、
2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート(式(3))、
その他、式(4)〜(12)で示すものを挙げることができる。
これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち式(1)〜(3)で表される化合物が特に好ましい。
上記反応性老化防止剤単位はアクリル系共重合体中に0.3質量%から5質量%含有されることが好ましい。反応性老化防止剤単位が0.3質量%以上であれば、架橋体のインクによる劣化を抑制することができる。また、5質量%以下であれば、粘着性を損わず、基材テープからの粘着層の剥離を抑制することができる。
上記アクリル系共重合体には、カルボキシル基含有単量体単位を有することが、架橋体を容易に形成することができるため、好ましい。カルボキシル基は後述する金属キレート架橋剤と結合し、耐インク性を向上させ得る架橋点を形成することができる。カルボキシル基含有単量体単位を構成するカルボキシル基含有単量体としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、クルトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記カルボキシル基含有単量体はアクリル系共重合体中に0.1質量%から5質量%含有されることが好ましい。カルボキシル基含有単量体単位が0.1質量%以上であれば、適度な架橋点が形成され、粘着性を損なわない範囲で凝集力及び耐インク性が向上する。また、5質量%以下であれば、粘着性を損わず、基材テープからの粘着層の剥離を抑制することができる。
上記アクリル系共重合体には、上記の他、上記単量体単位を構成する単量体と共重合可能な単量体単位を含有していてもよい。かかる単量体単位としては、必要に応じて、弾性を付与する、凝集力を増大させる、離型性を向上させる等の機能を有するものを選択することができる。このような単量体単位を構成する単量体としては、具体的には、スチレン、ブタジエン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル等を挙げることができる。これらの単量体単位はアクリル系共重合体中に必ずしも含有されなくてもよいが、含有される場合は15質量%以下の範囲であることが好ましい。上記単量体単位以外の単量体単位が15質量%以下であれば、架橋体において上記構成単位の機能を損わず、粘着性の低下、インクによる劣化を抑制することができる。
このようなアクリル系共重合体の重量平均分子量としては、40万から150万程度であることが好ましい。重量平均分子量が40万以上であると、耐インク性に優れ、充分な凝集力を有するものとなり、吐出口面からシールテープの脱着時において基材テープから粘着層が剥離し吐出口周縁に残留するのを抑制することができる。重量平均分子量が150万以下であれば、適度な粘着力を有するものとなり、容易に製造することができる。ここで、重量平均分子量は、GPC(gel permeation chromatography)の測定値から求められる値を採用することができる。
上記アクリル系共重合体を製造する方法としては、上記単量体を適宜混合し、ベンゾイルパーオキサイドなどの過酸化物、アゾイソブチロニトリルなどのアゾ系重合開始剤を用いてラジカル重合させる方法を挙げることができる。特に溶液重合法が好適に用いられる。
上記アクリル系共重合体の架橋体は、上記アクリル系共重合体を架橋剤を用いて架橋することにより得ることができる。アクリル系共重合体の架橋構造とすることにより、粘着成分の凝集力を増大させ、耐インク性を向上させることができる。架橋剤としては、金属キレート架橋剤が、アクリル系共重合体に含まれるカルボキシル基等と結合し架橋構造を容易に形成することができ、耐インク性に優れる架橋構造が形成可能なため好ましい。金属キレート架橋剤としては、具体的には、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属にアセチルアセトン、アセト酢酸エチル等が配位した化合物等を挙げることができる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、アルミキレート系架橋剤が特に好ましい。アルミキレート系架橋剤は、アクリル系共重合体100質量部に対して1〜20質量部を用いることが好ましい。
上記粘着層の厚さとしては、例えば、5〜100μmとすることができる。
上記粘着層を積層する基材テープは、上記粘着成分の粘着層が設けられ、吐出口を含む素子基板に接着されるものである。吐出口を閉塞しその保護を図り、搬送時、保管時において温度や圧力等の環境変動下においてもインクの漏洩を防止することができる強度を有し、着脱可能な可撓性を有することが好ましい。基材テープの材質としては、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの樹脂を挙げることができる。これらのうちポリエチレンテレフタラートが特に好ましい。基材テープは粘着層が設けられる面の密着性を向上させるために、汎用的に用いられるプラズマ処理やコロナ放電処理などの表面処理がなされたものであってもよい。基材テープの厚さは、例えば、7〜50μmとすることができ、好ましくは12〜30μmである。
このようなシールテープの製造方法としては、例えば、塗工方法によることができる。アクリル系共重合体と架橋剤と、必要に応じて各種添加剤とを混合し塗工液を作成し、基材テープへ塗工し塗膜を形成する。塗工方法としては、塗布、スプレー等の方法によることができる。その後、加熱、電子線照射等により架橋、硬化させることができる。加熱による場合は、例えば、50〜120℃、10〜120分等とすることができる。
本発明のシールテープは、インク収納部と、該インク収納部に連通し、インク吐出エネルギー発生素子の作動によりインク収納部に収納するインクを吐出する吐出口とを具備したインクジェト記録ヘッドの前記吐出口を閉塞し脱着可能に設けられるものである。
インクジェット記録ヘッドとしては、具体的には吐出口にシールテープを設けていない図2に示すものを挙げることができる。
本発明のシールテープは、基材テープに、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位及び反応性老化防止剤単位を含むアクリル系共重合体の架橋体を有する粘着成分を有する粘着層が設けられたものであり、具体的には、上記シールテープと同じものである。インクジェット記録ヘッドの吐出口に装着するため、粘着層に離型紙等を貼着して、搬送を容易なものとしてもよい。
以下に、本発明のシールテープ、インクジェット記録ヘッドを、具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。
[シールテープの調製]
[シールテープA]
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管を備えた反応装置にブチルアクリレート60質量部、エチルアクリレート30質量部、メチルメタクリレート3質量部、アクリル酸3質量部、ノクラック G−1(大内新興化学工業株式会社:式(1)の化合物)4質量部及び酢酸エチル150質量部を仕込み、アゾビスイソブチロニトリル0.4質量部を加え、窒素気流中、68℃にて8時間重合反応を行った。反応終了後酢酸エチルにて希釈し、固形分20%に調整して粘度6900cP、重量平均分子量100万の重合体液を得た。該重合体液に、架橋剤としてアルミキレートA(川研ファインケミカル社製)を重合体100質量部に対して3質量部加えて粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物を厚さ25μmのポリエチレンテレフタラートフィルムに塗布し、加熱乾燥させて、粘着層厚さ30μmのシールテープAを得た。
[シールテープの調製]
[シールテープA]
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管を備えた反応装置にブチルアクリレート60質量部、エチルアクリレート30質量部、メチルメタクリレート3質量部、アクリル酸3質量部、ノクラック G−1(大内新興化学工業株式会社:式(1)の化合物)4質量部及び酢酸エチル150質量部を仕込み、アゾビスイソブチロニトリル0.4質量部を加え、窒素気流中、68℃にて8時間重合反応を行った。反応終了後酢酸エチルにて希釈し、固形分20%に調整して粘度6900cP、重量平均分子量100万の重合体液を得た。該重合体液に、架橋剤としてアルミキレートA(川研ファインケミカル社製)を重合体100質量部に対して3質量部加えて粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物を厚さ25μmのポリエチレンテレフタラートフィルムに塗布し、加熱乾燥させて、粘着層厚さ30μmのシールテープAを得た。
[シールテープB]
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管を備えた反応装置にブチルアクリレート60質量部、エチルアクリレート15質量部、アクリロニトリル12質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5質量部、アクリル酸3質量部、ノクラック G−1(大内新興化学工業株式会社:式(1)の化合物)5質量部および酢酸エチル150質量部を仕込み、アゾビスイソブチロニトリル0.4質量部を加え、窒素気流中、68℃にて8時間重合反応を行った。反応終了後酢酸エチルにて希釈し、固形分20%に調整して粘度7000cP、重量平均分子量90万の重合体液を得た。得られた重合体液を用い、シールテープAの調製と同様にして、粘着剤組成物を調製し、シールテープBを得た。
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管を備えた反応装置にブチルアクリレート60質量部、エチルアクリレート15質量部、アクリロニトリル12質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5質量部、アクリル酸3質量部、ノクラック G−1(大内新興化学工業株式会社:式(1)の化合物)5質量部および酢酸エチル150質量部を仕込み、アゾビスイソブチロニトリル0.4質量部を加え、窒素気流中、68℃にて8時間重合反応を行った。反応終了後酢酸エチルにて希釈し、固形分20%に調整して粘度7000cP、重量平均分子量90万の重合体液を得た。得られた重合体液を用い、シールテープAの調製と同様にして、粘着剤組成物を調製し、シールテープBを得た。
[シールテープC]
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管を備えた反応装置にブチルアクリレート80重量部、アクリロニトリル10重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート10重量部、これらをトルエンと酢酸ブチルの混合溶液中で、ベンゾインパーオキシドを触媒として85℃にて8時間溶液重合した。これによって重量平均分子量30万の重合体液を得た。該重合体液からモノマーと低重合物を除くために、エタノールを用いて溶剤と共にモノマーと低重合物を除去し、乾燥した。この重合体液を改めてトルエンと酢酸エチルの混合溶剤中に溶解させ、さらにジシクロヘキシルメタンジイソシアナートを、重合体100重量部に対し10.1重量部加えて粘着剤組成物を調製した。
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管を備えた反応装置にブチルアクリレート80重量部、アクリロニトリル10重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート10重量部、これらをトルエンと酢酸ブチルの混合溶液中で、ベンゾインパーオキシドを触媒として85℃にて8時間溶液重合した。これによって重量平均分子量30万の重合体液を得た。該重合体液からモノマーと低重合物を除くために、エタノールを用いて溶剤と共にモノマーと低重合物を除去し、乾燥した。この重合体液を改めてトルエンと酢酸エチルの混合溶剤中に溶解させ、さらにジシクロヘキシルメタンジイソシアナートを、重合体100重量部に対し10.1重量部加えて粘着剤組成物を調製した。
この粘着剤組成物を厚さ25μmのポリエチレンテレフタラートフィルムに塗布し、加熱乾燥させて、粘着剤層厚30μmのシールテープCを得た。
[シールテープD]
重量平均分子量70万と高分子量の重合体液を調製して得られた重合液を用いた他はシールテープCと同様にして、粘着剤組成物を製造し、シールテープDを得た。
重量平均分子量70万と高分子量の重合体液を調製して得られた重合液を用いた他はシールテープCと同様にして、粘着剤組成物を製造し、シールテープDを得た。
[シールテープE]
付加反応により得たジメチルシロキサンを主成分とするシリコーン粘着剤を用いた他はシールテープCと同様にして、粘着剤組成物を製造し、シールテープEを得た。
付加反応により得たジメチルシロキサンを主成分とするシリコーン粘着剤を用いた他はシールテープCと同様にして、粘着剤組成物を製造し、シールテープEを得た。
[実施例1、2、比較例1〜3]
[インクジェット記録ヘッドの調製]
得られたシールテープA、B(実施例1、2)、シールテープC〜E(比較例1〜3)を所望の大きさに切断し、図2に示すインクジェット記録ヘッドH1001の吐出口面に貼着した。インクジェット記録ヘッドは、吐出口内径10μm、2plのインクを吐出するものである。インクジェット記録ヘッドを梱包した後、落下試験や60℃加熱保存試験を行った。インク漏れは生じなかった。
[インクジェット記録ヘッドの調製]
得られたシールテープA、B(実施例1、2)、シールテープC〜E(比較例1〜3)を所望の大きさに切断し、図2に示すインクジェット記録ヘッドH1001の吐出口面に貼着した。インクジェット記録ヘッドは、吐出口内径10μm、2plのインクを吐出するものである。インクジェット記録ヘッドを梱包した後、落下試験や60℃加熱保存試験を行った。インク漏れは生じなかった。
その後、シールテープを吐出口面から脱着した後、印字検査を行った。シールテープA、Bを用いた実施例1、2では、インクの着弾ズレもなく良好な印字が得られた。また、吐出口付近を走査型電子顕微鏡により観察した結果、粘着剤の付着は観察されなかった。シールテープC、Dを用いた比較例1、2では、吐出口のつまり、インク滴のヨレ等が発生し、良好な印字結果が得られなかった。吐出口付近の走査型電子顕微鏡による観察の結果、吐出口周縁とその近傍に粘着剤が付着しているのを確認した。シールテープEを用いた比較例3では、シールテープの粘着強度が強く剥離時に吐出口周囲の樹脂層にクラックが生じ一部に破壊が生じた。その結果、インクを吐出することができず、印字不能であった。
以上の結果から、本発明のシールテープやインクジェット記録ヘッドにおいては、インクによる粘着成分の劣化が抑制され、シールテープ脱着後良好な印字を行うことができることが明らかである。
H1001 インクジェット記録ヘッド
1 インク収納部
10 本体
11 蓋
121〜123 小部屋
131〜133 インク吸収体
141〜143 フィルタ
2 素子基板
21 電気配線テープ
3 シールテープ
31 タグテープ
1 インク収納部
10 本体
11 蓋
121〜123 小部屋
131〜133 インク吸収体
141〜143 フィルタ
2 素子基板
21 電気配線テープ
3 シールテープ
31 タグテープ
Claims (16)
- インク収納部と、該インク収納部に連通し、インク吐出エネルギー発生素子の作動によりインク収納部に収納するインクを吐出する吐出口と、該吐出口を閉塞し脱着可能なシールテープとを具備したインクジェト記録ヘッドにおいて、シールテープに用いる粘着成分が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位及び反応性老化防止剤単位を含むアクリル系共重合体の架橋体を有することを特徴とするインクジェト記録ヘッド。
- 反応性老化防止剤がエチレン性不飽和結合を有することを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録ヘッド。
- 反応性老化防止剤が、N−フェニル−N´−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、若しくは2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートのいずれか1種又は2種以上を含むことを特徴とする請求項2記載のインクジェト記録ヘッド。
- (メタ)アクリル酸アルキルエステル単位が、C1からC12のアルキル基を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか記載のインクジェット記録ヘッド。
- アクリル系共重合体が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位を75質量%から99.6質量%、反応性老化防止剤単位を0.3質量%から5質量%、カルボキシル基含有単量体単位を0.1質量%から5質量%、その他共重合可能な単量体単位を0質量%から15質量%を含有することを特徴とする請求項1から4のいずれか記載のインクジェット記録ヘッド。
- アクリル系共重合体の重量平均分子量が40万から150万であることを特徴とする請求項1から5のいずれか記載のインクジェット記録ヘッド。
- 架橋体が、アクリル系共重合体を金属キレート架橋剤により架橋したものであることを特徴とする請求項1から6のいずれか記載のインクジェット記録ヘッド。
- 架橋体が、アクリル系共重合体100質量部に対して、金属キレート架橋剤としてアルミキレート系架橋剤を1質量から20質量部を含有することを特徴とする請求項7記載のインクジェット記録ヘッド。
- インク収納部と、該インク収納部に連通し、インク吐出エネルギー発生素子の作動によりインク収納部に収納するインクを吐出する吐出口とを具備したインクジェト記録ヘッドの前記吐出口を閉塞し脱着可能に設けられるシールテープにおいて、粘着成分が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位及び反応性老化防止剤単位を含むアクリル系共重合体の架橋体を有することを特徴とするシールテープ。
- 反応性老化防止剤がエチレン性不飽和結合を有することを特徴とする請求項9記載のシルテープ。
- 反応性老化防止剤が、N−フェニル−N´−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、若しくは2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートのいずれか1種又は2種以上を含むことを特徴とする請求項10記載のシールテープ。
- (メタ)アクリル酸アルキルエステルが、C1からC12のアルキル基を有することを特徴とする請求項9から11のいずれか記載のシールテープ。
- アクリル系共重合体が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位を75質量%から99.6質量%、反応性老化防止剤単位を0.3質量%から5質量%、カルボキシル基含有単量体単位を0.1質量%から5質量%、その他共重合可能な単量体単位を0質量%から15質量%を含有することを特徴とする請求項9から12のいずれか記載のシールテープ。
- アクリル系共重合体の重量平均分子量が40万から150万であることを特徴とする請求項9から13のいずれか記載のシールテープ。
- 架橋体が、アクリル系共重合体を金属キレート架橋剤により架橋したものであることを特徴とする請求項9から14のいずれか記載のシールテープ。
- 架橋体が、アクリル系共重合体100質量部に対して、金属キレート架橋剤としてアルミキレート系架橋剤を1質量部から20質量部を含有することを特徴とする請求項15記載のシールテープ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006333300A JP2008143045A (ja) | 2006-12-11 | 2006-12-11 | シールテープ及びこれを用いたインクジェット記録ヘッド |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006333300A JP2008143045A (ja) | 2006-12-11 | 2006-12-11 | シールテープ及びこれを用いたインクジェット記録ヘッド |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008143045A true JP2008143045A (ja) | 2008-06-26 |
Family
ID=39603739
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2006333300A Pending JP2008143045A (ja) | 2006-12-11 | 2006-12-11 | シールテープ及びこれを用いたインクジェット記録ヘッド |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008143045A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012007157A (ja) * | 2010-05-25 | 2012-01-12 | Kureha Elastomer Co Ltd | 微細孔封止用粘着フィルム |
JP2017094699A (ja) * | 2015-11-19 | 2017-06-01 | 富泰華工業(深▲セン▼)有限公司 | プリントヘッド及びインクジェットプリンタ |
-
2006
- 2006-12-11 JP JP2006333300A patent/JP2008143045A/ja active Pending
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