JP4702937B2 - インクジェット記録ヘッド - Google Patents

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Description

本発明は、プリンター本体に対して着脱可能な、インクタンク一体型のインクジェットヘッド(インクカートリッジ)に関するものである。
インクジェットプリント方式は、インクの小滴を発生させ、それを紙等の被プリント媒体に付着せしめてプリントを行う記録方式である。この方式によれば、プリント時の騒音が極めて少なく、かつ高速プリントが可能であり、しかもインクジェット記録ヘッドを極めて小型化できる。従って、インクジェットプリント方式は、カラー化及びコンパクト化が容易であるプリント方式である。このインクジェットプリント方式のひとつに発熱素子によってインクを発泡せしめ、この気泡の成長を利用してインクを吐出するインクジェット方式がある。この方式はさらに改良されて、従来よりも液滴量を安定化させ、更なる小液滴化を実現し、インクジェットプリンタに搭載されている。
ヘッドとインクタンクが一体となったインクカートリッジは、ヘッドのフェイス面からインクの漏れを防止するために、シール部材が使用されている。
シール部材としては、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートなどのフィルムの上に粘着成分を塗布したテープ、ホットメルト型テープ、ゴム等を内蔵したキャップなどが用いられてきた。
アクリル系粘着成分を含むテープを使用した例としては、特許2952100号公報、特許3334899号公報、特許3034030号公報(以上特許文献1〜3)が挙げられ、いずれもアクリル共重合中のOH基をイソシアネートで架橋し高分子化し、凝集力を高めて耐インク性を向上させたアクリル系粘着成分を含有するテープが提案されている。
特許2952100号公報 特許3334899号公報 特許3034030号公報
しかしながら、上述した従来のイソシアナートにより架橋させたアクリル系架橋重合体を用いたシールテープによる吐出口保護方法には、以下のような問題が生じる場合があった。
特許文献1〜3に記載されている、イソシアナートにて架橋されたアクリル系架橋重合体を用いたシールテープを小液滴吐出する記録ヘッド、例えば上述のようなインクジェット記録ヘッドに用いた場合、物流後に良好な印字が得られないことがあった。その主な原因として、長期保存を行った後、テープを剥離する際に粘着剤層が凝集破壊する。フェイス面や吐出口内側に微細な粘着材残りが発生する。粘着剤残りにより液滴のよれが生じ所望の位置にインクが着弾せず画像の印字品位の低下が生じる。粘着材残りは非常に微量であり、吐出量が数十ピコリットルあるヘッドでは問題とはならないレベルであるが、現在の吐出量が2pl(10-12リットル)程度に小液滴化したヘッドでは、この微量な粘着材残りが印字不良となる。
粘着剤の凝集破壊が起きる理由として、イソシアネート基は極性が高く、このためインク中の極性溶媒との親和性が高く、長期保存や高温時に極性溶媒により架橋部分が切断され高分子重合体が低分子化される。そして低分子化した粘着剤が吐出口周辺に付着するためと想定される。
したがって、本発明が解決しようとしている課題は、吐出量が2pl以下のヘッドにおいて長期保存を行った場合における微量な粘着材の吐出口内、およびその近傍への粘着材残りを改善することである。
そこで、出願人は上記課題を解決すべく鋭意検討を行い、以下の構成により解決することを見出した。
すなわち本発明のインクジェットヘッドは、
2pl以下のインクを吐出する吐出口を有した吐出面を備えた記録ヘッド部と、該記録ヘッド部の前記吐出面のシールテープと、を備えるインクジェット記録ヘッドであって、
前記シールテープは、前記インクジェット記録ヘッドが物流される状態では前記記録ヘッド部の前記吐出面に接着しており、前記インクジェット記録ヘッドが使用される状態では前記記録ヘッド部の前記吐出面から剥離されるものであり、かつ
前記シールテープは、基材と粘着剤層を有しており、該粘着剤層は(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体をアルミニウムトリスアセチルアセトネートで架橋したアクリル系架橋重合体からなっており、前記粘着剤層のテトラヒドロフランに浸漬したときのゲル分率が85%以上である
ことを特徴とする。
本発明のインクジェット記録ヘッドの吐出口保護に用いるシールテープは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を金属キレート化合物により架橋反応せしめたアクリル系架橋重合体を主成分とし、かつ粘着成分の架橋反応が十分に進行しているために粘着剤のゲル分率を85%以上と限定することで、物流後においてもフェイス面および吐出口に粘着剤残りが発生せず、高画質化を目的とした吐出口を小さくした小液滴化ヘッドの場合でも、着弾ズレが生じず高品質なインクジェット記録ヘッドを提供することができる。
さらに粘着剤のゲル分率85%以上のシールテープを使用することにより、粘着剤中の未反応の残存金属キレート化合物が少ないため、金属キレートを含むインクを用いても吐出口周辺に金属析出物が生成することのない着弾ズレが生じず高品質なインクジェット記録ヘッドを提供することができる。
以下、本発明における実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用したインクジェット記録ヘッドの一例を示したものである。インクタンク一体型であり、インクタンク内にインクが充填されており、更に、吐出口表面には吐出口保護方法としてシールテープH1401が吐出口を覆って貼り付けられている。すなわち、図1は、シールテープによって吐出口が密封された梱包用の形態としてのインクジェット記録ヘッドを示している。
以下、構成要素を詳細に説明する。
(記録ヘッド)
図2は、インクジェット記録ヘッドH1001の構成を示した斜視図、図3は分解斜視図である。インクジェット記録ヘッドH1001は、記録素子基板H1101、電気配線テープH1301、インク供給保持部材H1501、フィルタH1701〜H1703、インク吸収体H1601〜H1603、蓋部材H1901から構成されている。
インク供給保持部材H1501と蓋部材H1901から、フィルタH1701〜H1703やインク吸収体H1601〜H1603を内蔵するインク収納部の筺体が形成されている。
該記録素子基板H1101には、サンドブラストや異方性エッチング等によりインク供給口が形成されている。さらに記録素子基板H1101上には、フォトリソ工程にてインク流路および吐出口が設けられており、吐出口表面は撥水層が形成されている(不図示)。該撥水層は、水の前進接触角で100°である。
電気配線テープH1301は、記録素子基板H1101へインクを吐出するための電気信号を印加する経路を形成したものであり、ポリイミドフィルム上へ銅配線を形成したものである。
インク供給保持部材H1501は、樹脂成形により形成されており、そこに記録素子基板H1101と電気配線テープH1301が実装される。インクを保持し負圧を発生するための吸収体H1601〜H1603は、ポリプロピレン(PP)繊維を圧縮したものを用い、インク吸収保持部材H1501へ挿入される。インク供給保持部材H1501と吸収体H1601〜H1603が当接しインク流路となる箇所には、記録素子基板H1101へゴミを浸入させないようフィルタH1701〜H1703が予め接合されている。
蓋部材H1901はインク供給保持部材H1501の上部開口部に溶着され、インクジェット記録ヘッドH1001として完成する。
物流時は、図1のように吐出口を保護するためにシールテープH1401と該シールテープH1401を剥離しやすくするためのタグテープH1402が貼られる。シールテープH1401により吐出口が密封されることにより、吐出口の保護のみならず、物流時に生じる温度や圧力変動による吐出口からのインク漏れも防止される。
(シールテープ)
本発明のシールテープは、基材となる樹脂フィルムと、アクリル樹脂系の粘着剤層を有して構成されている。基材となる樹脂フィルムはシールテープとしての機能を提供できるものであれば良く、例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、ポリエチレンなどからなる樹脂フィルムが用いられる。好適には、ポリエチレンテレフタラートが挙げられる。樹脂フィルムの粘着剤層を設ける面には、粘着剤層の密着性向上のために、汎用的に用いられるプラズマ処理やコロナ放電処理などの表面処理を行なってもよい。基材の厚さは、7〜75μmの範囲から選択でき、好適には、12〜30μmとすることができる。加えて、前記粘着剤層の厚さは、5〜50μmの範囲から選択でき、好適には、10〜40μmとすることができる。
本発明を具体的に説明する。
本発明で使用する粘着テープ(シールテープ)の粘着剤層を形成する粘着材を構成する成分は、機能より粘着成分として(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー、凝集成分として共重合可能なマクロマーやその他の共重合可能なモノマー、架橋を付与する成分としてカルボキシ含有モノマーと、架橋剤として金属キレート化合物が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとしては、炭素原子を1個〜9個有するアルコールとエステル結合したものを挙げることができる。具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、イソペンチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、イソペンチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート等を挙げることができる。これらは単独もしくは組み合わせて使用することができる。
一般的に炭素数が少なくなると、ガラス転移温度(Tg)が高くなり粘着力が低下する。炭素数が大きくなると、Tgが低くなり粘着力が高まる。被接着面(フェイス面)の密着性や下記の凝集成分との相性からブチルアクリレートが好ましく、ブチルアクリレート単独もしくはブチルアクリレートを中心に他のモノマーを少量併用することが好ましく、これら粘着成分を75〜96.9重量%の範囲で用いると良い。
これらは、単独でも複数種組み合わせても前記範囲内であれば問題ない。上記量より多い場合、粘着剤における他成分の比率が少なくなるため本発明の効果を得ることができず、また少ない場合は基本的な粘着性を発生させることができなくなる。
凝集を付与する成分としては、メタクリレート、メチルメタクリレート、酢酸ビニル、スチレン、α-メチルスチレン、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、等のモノマーが適している。1種以上を必要に応じて全重量の10%程度まで処方することが出きる。またマクロモノマーを共重合させても良い。
共重合可能なマクロモノマーは、末端に共重合可能な官能基を持つ比較的分子量の大きいモノマーである。マクロモノマーの例としては、末端にメタクリロイル基を有するポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリスチレン―アクリロニトリルなどが挙げられる。これらのマクロモノマーの数平均分子量は、2000〜20000の範囲にあることが好ましい。マクロモノマーは、その1種を、あるいは2種以上の組合せで用いることができ、全モノマー合計量に対して、好ましくはこれらは、3〜10重量%の範囲で用いられる。マクロモノマーの共重合量が3重量%に満たないと充分な凝集力が得られず、耐インク性が発現しない場合があり好ましくない。またマクロモノマーの共重合量が10重量%を超えると、重合中の粘度上昇が激しく、基材となる樹脂フィルム上へ塗工できないことがある。
架橋剤と反応する成分としてCOOH基を含有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、βカルボキシエチルアクリレート、イタコン酸、フマル酸が好ましい。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。カルボキシル基含有モノマーは、全モノマー合計量に対して、好ましくは0.1〜5重量%の範囲で用いられる。上記量より多い場合、凝集力が増加して粘着力が低下してしまう為インクジェット記録ヘッドに貼り付けた後にインク漏れなどを生じてしまい、少ない場合には架橋構造が得られないため本発明の効果を得ることができなくなる。
また、反応性はCOOH基に比べれば低いが、OH基を含有するアクリル化合物でもよい。
OH基を含有するモノマーとしては、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、多価アルコールのアクリル酸エステル、多価アルコールのメタクリル酸エステル、アクリル酸エチルカルビトール、アクリル酸メチルメチルトリグリコール、2-ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、プロキシエチルアクリレートなどである。
COOH基、OH基を含む化合物を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体は、例えば、上記のようなモノマーを反応溶媒に投入して、反応系内の空気を窒素ガスなどの不活性ガスで置換した後、重合開始剤の存在下に、加熱攪拌して重合反応させることにより製造することができる。ここで用いられる反応溶媒としては、有機溶媒が使用され、具体的には、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素類、n-ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチルおよび酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびシクロヘキサノン等のケトン類を挙げることができる。また、重合開始剤としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ジーtert-ブチルパーオキサイドおよびクメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物系重合開始剤を使用することができる。
上記の重合反応の反応温度は、通常50〜90℃、反応時間は通常は2〜20時間、好ましくは4〜12時間である。
また、反応溶媒はモノマーの合計量100重量部に対して50〜300重量部の量で使用される。更に、重合開始剤は、通常は0.01〜10重量部の量で使用される。こうして反応させることにより本発明の粘着剤層を構成する共重合体は、反応溶媒に共重合15〜70重量%の量で含有される溶液又は分散液として得られる。
本発明の粘着剤層を構成する共重合体の重量平均分子量は、40〜150万の範囲にあることが好ましい。上記範囲を逸脱して重量平均分子量が低いと接着力が高くなりすぎるため再剥離性が著しく劣り、被着体への糊残りが容易に発生する。さらに、粘着剤層へのインクの浸入が容易となり、耐インク性が低下する。また、上記範囲を逸脱して重量平均分子量が高いと、粘着剤層と基材への密着が悪くなるため被着体への糊残りが生じやすくなり、さらに、接着力が低くなるためシール性が悪くなる。
シールテープの基材上へ塗工する際に、金属キレート架橋剤(金属キレート化合物)により(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を架橋させることにより、より優れた性能のシールテープとすることができる。
架橋剤としては、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ホウ素等、多価金属にアルコキシド、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル等が配位した化合物等が挙げられる。この中でも特にアルミキレート化合物が好ましく、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムセカンダリーブチレート、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート及びアルミニウムトリスアセチルアセトネートなどが挙げられる。本発明においては、アルミニウムトリスアセチルアセトネートが用いられる。
金属キレート化合物の添加量であるが、添加量が少ないと反応効率が悪くなり、未反応の低分子アクリル粘着剤が多くなり、粘着剤残りの原因となる。また添加量が多いと未反応の架橋剤が残存し、テープ粘着層中に析出する場合があり外観上好ましくない。特にインクにキレート化合物が入っている場合は、インク中のキレート化合物と反応する。
インク中のキレート化合物は、インク接液部材よりインクへ溶出し、吐出口内に析出し、印字品位悪化を招くアルミニウム化合物やマグネシウム化合物、鉄化合物と錯イオンを形成し、析出を抑制するために処方している。このため、粘着テープの未反応架橋剤が多量に残存すると、テープの架橋剤をキレートし、部材から溶出する金属が析出しやすくなるため好ましくない。
アルミニウムは、主にポリプロピレンの中和剤であるハイドロタルサイトから、マグネシウムは塩素化ブチルゴムの架橋剤から、鉄はSUSミックスフィルターより溶出してくることが確認されている。また、発泡ウレタン吸収体を使用した場合は、すず(Sn)触媒が析出することもある。
また、キレート剤をインク中に多量に処方すると、ヒーターの保護膜やヒーター自身をキレートし、膜減りによる断線を起こしやすくなるため好ましくない。
インクに処方されるキレート成分としては、クエン酸、クエン酸塩、EDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸塩)、シュウ酸、グリシンなどのアミノ酸類、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ジエチレントリアミン、イミノニ酢酸、メチオニン、イミダゾール、などである。また、本発明者らの経験では、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどもキレート作用があることが確認されている。
インクに処方するキレート剤としては、クエン酸、クエン酸ナトリウム等のクエン酸塩、トリエタノーリアミンなどが好ましい。
一般にアクリル系粘着剤中のCOOH基をもつ化合物の処方量は少量(本発明では0.1〜5重量%)のため、COOH基と等量の架橋剤を処方しても、両者が出合う確率が少ないため架橋剤との反応率が低い。このため、架橋剤を大目に処方する必要があるが、多すぎると上記の弊害が起こりやすくなるためこのましくない。(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体中の反応可能なCOOH基のモル数に対して、アルミキレート化合物は1〜5倍、好ましくは1〜3倍処方するとよい。
以上の粘着付与モノマー、架橋付与モノマー、凝集付与モノマーやオリゴマーを有機溶媒中で溶液重合し、ポリスチレン換算の重量平均分子量40万から150万、の重合体(主剤)を得た。
得られた高分子重合体に上記架橋剤、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等を添加し、撹拌後、基材となるフィルムに所定の厚さに塗工後、熱乾燥させる。熱乾燥時に架橋が進行するため、乾燥条件は架橋の進行に関し、重要な要因となる。トリアセチルアセトンアルミニウムの場合では、乾燥温度は90℃以上、4分以上の乾燥が必要となる。乾燥が十分でないと、所望の材料を用いても、架橋反応が進行せず、耐インク性を満足することはできない。
架橋反応の進行具合は、ヘッドスペースGC/MSを使用し、架橋剤がCOOH基と反応する時に発生する化合物(アルミニウムトリスアセチルアセトネートの場合はアセチルアセトン)の残存量を測定するほか、LC/MSを使用しテープをアセトン等の溶剤に浸し、溶出してくる残存架橋剤量を測定しても良い。
テープ粘着層のゲル分率は粘着剤残りに影響を及ぼす架橋反応の進行度や材料((メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、架橋剤)の良し悪しを測定する有効な手法である。
ゲル分率は、テープを溶剤に浸漬させ、その前後の重量を測定し、粘着剤の残存率を表したものである。発明者らが、検討したところ、テトラヒドロフランに1日(24時間)浸漬したときに、残存架橋剤の多少とよく結果が一致した。また、粘着剤の溶出が大きいもの(残存率が少ないもの)ほど粘着剤残りが発生しやすいことを見出した。粘着剤浸漬後のテトラヒドロフランからは、未反応の架橋剤、低分子の主剤が得られたことより、ゲル分率は、架橋の良悪や、主剤の良悪を総合的に測定していることになる。
すなわち、ゲル分率が85%以上の粘着テープでは、70℃3週間の保存を行っても、吐出量2pl以下のヘッドにおいても粘着材残りによる印字不良もなく、かつ、キレート化合物を含むインクを用いても、吐出口にAl、Fe、Mgといった金属の析出も起こらなかったのである。
本発明の基材として用いるフィルムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、等であり、粘着材の塗工性や付着性を向上させるために、コロナ放電処理、プラズマ処理、UV-オゾン処理等の表面処理を行っても良い。
(フェイス面粘着テープ:実施例1から5)
フェイス面粘着テープとして以下に示したアクリル系粘着材を、塗布面にコロナ放電処理を塗布前24時間以内に施したPET20ミクロンの基材に塗布して作成した。
作成した粘着テープを所望の大きさに切断し、図2及び3に示した構造を有するインクジェット記録ヘッドH1001の吐出口面に貼り付けた。本実施例では、1吐出口からの1吐出あたり2plのインクを吐出するよう設計され、その吐出口径はΦ10μmである記録ヘッドを用いた。
また、粘着剤、塗布、乾燥工程終了後は、ハンドリングをよくするために、シリコーン系の離型剤処理を施したPETフィルムをセパレータとして粘着面にはり合わせて使用してもよい。
(実施例1):[粘着剤組成物の作成]
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管を備えた反応装置にブチルアクリレート93重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート3重量部、アクリル酸1重量部、末端にメタクリロイル基を有するメチルメタクリレートマクロモノマー(商品名:AA-6、東亜合成(株)製、Mn:6000)3重量部および酢酸エチル150重量部を仕込み、アゾビスイソブチロニトリル0.2部を加え、窒素気流中、68℃にて8時間重合反応を行った。反応終了後酢酸エチルにて希釈し、固形分20重量%に調整して、重量平均分子量110万の共重合体液を得た。この共重合体液に、架橋剤としてアルミニウムトリスアセチルアセトネートを共重合体100重量部に対して3重量部加えて粘着剤組成物を得た。
この粘着剤組成物を厚さ20μmのポリエチレンテレフタラートフィルムに塗布し、100℃4分加熱乾燥させて、粘着層厚30μmのシールテープを得た。
作成した粘着フィルムのゲル分率は、85%であった。
(実施例2):粘着剤組成物の作成]
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管を備えた反応装置にブチルアクリレート80重量部、エチルアクリレート15重量部、アクリル酸2重量部、末端にメタクリロイル基を有するメチルメタクリレートマクロモノマー(商品名:AA-6、東亜合成(株)製、Mn:6000)3重量部および酢酸エチル150重量部を仕込み、アゾビスイソブチロニトリル0.2部を加え、窒素気流中、68℃にて8時間重合反応を行った。反応終了後酢酸エチルにて希釈し、固形分20重量%に調整して、重量平均分子量110万の共重合体液を得た。この共重合体液に、架橋剤としてアルミニウムトリスアセチルアセトネート(川研ファインケミカル社製)を共重合体100重量部に対して3重量部加えて粘着剤組成物を得た。
この粘着剤組成物を厚さ20μmのポリエチレンテレフタラートフィルムに塗布し、100℃4分加熱乾燥させて、粘着層厚30μmのシールテープを得た。
作成した粘着フィルムのゲル分率は、90%であった。
(実施例3)
実施例2で作成した粘着剤組成物を40℃1Mエージングさせた他は実施例2同様にPETフィルムに塗工、乾燥を行い、シールテープを得た。作成した粘着フィルムのゲル分率は、86%であった。
(比較例1)
加熱乾燥工程が80℃4分の他は、実施例2と同様の操作を行った。ゲル分率は75%であった。
《評価》
以下のインクを用いて評価を行った。%は全て重量%を意味する。
[インク]
ダイレクトブルー199 3%
エチレン尿素 5%
グリセリン 7%
エチレングリコール 5%
アセチレノールEH 1%
クエン酸ナトリウム 10ppm
イオン交換水 79%。
[評価1]
ゲル分率
セパレータ付粘着フィルム(シールテープ)約0.5gを秤量後、20gのTHFに24時間浸漬し(セパレータ、基材は浸漬しない)、25℃の減圧乾燥機に入れて、重量変化がなくなるまで乾燥させた。セパレータ、基材の重量を測定し、粘着層の重量残存率を算出した。
[評価2]
印字評価
シールテープを所望の大きさに切断し、インクジェット記録ヘッドH1001の吐出口面に貼り付けた。該インクジェット記録ヘッドは2plのインクを吐出するように設計され、その吐出口径はΦ10μmである。インクを充填し、所定の印字を行い、よれ等の印字の乱れが生じていないことを確認後、実施例、比較例で作成したテープをフェイス面に貼り、シリカを含む多層フィルムをよりなる梱包材に入れ、ヒートシールを施した後、70℃3週間保存を行った。
保存後、テープを剥がし、印字を行い、保存前の印字物と比較を行った。

○ 保存前後で、印字物に変化はない。
× 保存後の印字物によれによる白抜けが認められる。
[評価3]
テープ吐出口接着面のSEM(走査型顕微鏡)観察
印字評価(評価2)で使用したフェイス面保護テープの吐出口接着面をSEM観察し、粘着剤の欠け、膨潤の有無を評価する。

A 粘着剤の膨れ、欠けなし。
B 粘着剤のわずかな膨れが見られるが、欠けはない。
C インク接液面の粘着剤が膨潤し、ところどころ欠けがある。
[評価4]
保存ヘッド吐出口の元素分析
評価2で作成した保存ヘッドの吐出口に電子線を照射し、各元素の特性X線を検出する装置(EPMA)を用いて元素分析をおこなった。

A 吐出口のふちから、Al、Mg、Feは検出されなかった。
B 吐出口のふちから、わずかにAl、Mg、Feは検出された。
C 吐出口のふちから、Al、Mg、Feのいずれかが検出された。
[評価5]
残存架橋剤量の測定
テープを2x2cm角に切断し、セパレータフィルムを剥がした後、GC用のアンプル(20ml)に入れ、所定の栓をして 100℃ 30分エージングさせた後、ヘッドスペースGC/MSを用いて揮発成分の測定を行った。実施例1〜4、比較例1はアセチルアセトン量を、実施例4は酢酸の揮発量測定を行った。

○ 架橋剤由来の成分が500mg/m2未満であった。
× 架橋剤由来の成分が500mg/m2以上であった。

《評価結果》
下記に評価結果を示した。
Figure 0004702937
(a)および(b)は、本発明の一実施形態であるシールテープを貼りつけたインクジェット記録ヘッドを説明するための斜視図である。 (a)および(b)は、本発明のインクジェット記録ヘッドを説明するための斜視図である。 図2に示すインクジェット記録ヘッドの分解図である。
符号の説明
H1101 記録素子基板
H1401 シールテープ
H1501 インク供給保持部材

Claims (3)

  1. 2pl以下のインクを吐出する吐出口を有した吐出面を備えた記録ヘッド部と、該記録ヘッド部の前記吐出面のシールテープと、を備えるインクジェット記録ヘッドであって、
    前記シールテープは、前記インクジェット記録ヘッドが物流される状態では前記記録ヘッド部の前記吐出面に接着しており、前記インクジェット記録ヘッドが使用される状態では前記記録ヘッド部の前記吐出面から剥離されるものであり、かつ
    前記シールテープは、基材と粘着剤層を有しており、該粘着剤層は(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体をアルミニウムトリスアセチルアセトネートで架橋したアクリル系架橋重合体からなっており、前記粘着剤層のテトラヒドロフランに浸漬したときのゲル分率が85%以上である
    ことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  2. 前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、炭素数1〜9のアルキル鎖を持つことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
  3. 前記インクが、金属と反応し錯イオンを作る化合物を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録ヘッド。
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