JP2008139124A - 放射線二次元検出器 - Google Patents

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Abstract

【課題】CdTe膜またはCdZnTe膜を放射線検出層とする大面積の放射線二次元検出器については、Cd等人体に有害な物質が含まれているので、使用中落下等の衝撃を受けた場合CdTe膜またはCdZnTe膜が破損して飛散し、その一部が人体に吸収されることは非常に危険である。またTFT基板と放射線検出基板のCdTe膜またはCdZnTe膜を接続する接続バンプは長時間空気にふれると次第に酸化して劣化するおそれがある。さらに大面積のTFT基板は高価なので、放射線検出基板に何らかの不具合や劣化が発見された場合、放射線二次元検出器から取り出して再利用できるようにすることも必要である。
【解決手段】TFT基板1に放射線検出基板2を覆うアルミニウム製のカバー12を、TFT基板1の耐熱温度より低い温度で軟化する熱可塑性接着剤13により接着し、その中に不活性ガスを注入封止する。
【選択図】 図1

Description

本発明は医療分野、工業分野等において使用される放射線二次元検出器に関する。
放射線固体検出器に用いられる放射線検出用半導体膜としては室温動作が可能で高感度のCdTeやCdZnTeの単結晶がよく用いられる。ただし医療用分野等ではX線検出用のイメージインテンシファイアの代わりに用いられる関係上、大面積の放射線検出器が必要であり、そのためにベース基板上にCdTe粉末材料またはCdZnTe粉末材料を近接昇華法により堆積して放射線検出層を成膜する方法が考案されている(例えば特許文献1参照)。しかし近接昇華法では400度C以上の成膜温度が必要になるが、ガラス基板上にXYマトリクス状の電極配線、薄膜トランジスタ(TFT)、電化蓄積容量等が形成されたアクティブマトリクス基板(以下TFT基板と呼ぶ)はTFTの耐熱温度が約300度Cのため、その上にCdTeやCdZnTeの放射線検出層を直接成膜することができない。そのためあらかじめTFT基板と放射線検出基板をそれぞれ形成した後、TFT基板の電極上に画素ごとに独立して配置された導電性接続材から成る接続バンプ等により両基板を貼り合わせる方法が考案されている(例えば特許文献2参照)。
なお、堆積されたCdTeを主成分とする半導体膜及びCdZnTe主成分とする半導体膜を、以下適宜、CdTe膜、及び、CdZnTe膜と称する。
図2に上記の方法で製造される放射線二次元検出器の構成例を示す。ここで図2(a)は放射線二次元検出器を上から見た平面図であり、図2(b)は図2(a)のAA断面図である。図2において1は上述のTFT基板であり、その上にアンプIC、ゲートIC、アンプ基板およびゲート基板(これらは本発明の内容に特に関係ないので図示しない)が実装されている。2は同じく上述の近接昇華法により成膜された放射線検出層を有する放射線検出基板であり、例えばガラス等により構成されるベース基板7に放射線検出層であるCdTe膜またはCdZnTe膜9が形成されている。そして研磨により平坦化された放射線検出基板2のCdTe膜またはCdZnTe膜9のベース基板7と反対側の面は、TFT基板1にマトリクス状に形成された画素電極10上に画素ごとに独立して配置された導電性接続材から成る接続バンプ11により、隣接画素同士の電気的クロストークがない状態でTFT基板1と貼り合わせられている。
特開2001−242255号公報 特開2000−307091号公報
上記の構成のCdTe膜またはCdZnTe膜を放射線検出層とする大面積の放射線二次元検出器については、放射線検出層にCd等人体に有害な物質が含まれているので、使用中落下等の衝撃を受けた場合CdTe膜またはCdZnTe膜が破損して飛散し、有害物質が人体に吸収されることは非常に危険である。またTFT基板と放射線検出基板のCdTe膜またはCdZnTe膜を接続する接続材料は長時間空気にふれると次第に酸化して劣化し、放射線二次元検出器の不具合に至るおそれがある。さらに大面積のTFT基板は高価なので、放射線二次元検出器はTFT基板以外のものに起因する不具合が発見された場合、TFT基板を再利用できる構造であることが望ましい。本発明はこれらの問題を解決するためのものである。
請求項1記載の発明は上記の目的を達成するために、CdTe又はCdZnTeを主成分とする放射線検出用の半導体膜を有する放射線検出基板とマトリクス状に配置された複数の画素電極と前記画素電極に連接するスイッチング素子とを有するアクティブマトリクス基板を異方導電性材料または画素ごとに独立して配置された導電性材料により貼り合わせ接続して構成される放射線二次元検出器において、前記放射線検出基板を密封するカバーを設けたことを特徴とする放射線二次元検出器を提供する。
請求項2記載の発明は上記の目的を達成するために、カバーをアクティブマトリクス基板に接着して放射線検出基板を密封する請求項1記載の放射線二次元検出器を提供する。
請求項3記載の発明は上記の目的を達成するために、接着は液化温度がアクティブマトリクス基板の耐熱温度より低い熱可塑性接着剤により行う請求項2記載の放射線二次元検出器を提供する。
請求項5記載の発明は上記の目的を達成するために、カバーとアクティブマトリクス基板により密封された空間に空気の代わりに不活性ガスを充填した請求項1〜請求項3記載の放射線二次元検出器を提供する。
本発明により放射線検出基板を覆うカバーを設け、熱可塑性接着剤でTFT基板に接着し、カバー内に不活性ガスを充填して密封することにより、放射線二次元検出器が落下等の衝撃を受けた場合でもCdTe膜またはCdZnTe膜に含まれる人体に有害な物質の飛散を防止することができるとともに、接続材料の酸化による劣化を防ぐことができる。また熱可塑性接着剤を加熱して軟化させることによりカバーをTFT基板から取り外すことができるので、その後放射線検出基板との接続を引き剥がしてTFT基板を再利用することも可能である。
本発明の実施例について図1を用いて説明する。ここで図1(a)は本発明による放射線二次元検出器を上から見た平面図であり、図1(b)は図1(a)のAA断面図である。図1において1は上述のTFT基板であり、その上にアンプIC、ゲートIC、アンプ基板およびゲート基板(これらは本発明の内容に特に関係ないので図示しない)が実装されている。2は同じく上述の近接昇華法により成膜された放射線検出層を有する放射線検出基板であり、例えばガラス等により構成されるベース基板7に放射線検出層であるCdTe膜またはCdZnTe膜9が形成されている。そして研磨により平坦化された放射線検出基板2のCdTe膜またはCdZnTe膜9のベース基板7と反対側の面は、TFT基板1にマトリクス状に形成された画素電極10上に画素ごとに独立して配置された導電性接続材から成る接続バンプ11により、隣接画素同士の電気的クロストークがない状態でTFT基板1と貼り合わせられている。
以上は背景技術の項で述べた大面積の放射線二次元検出器の構成と同じであるが、本発明による放射線二次元検出器においてはさらにTFT基板1に接続バンプ11により接続された放射線検出基板2を覆う、放射線吸収が少なくかつ堅牢な材質、例えばアルミニウム等、により形成された底面のない直方体の箱状のカバー12が、TFT基板1の耐熱温度(約300度C)より低い温度(例えば40度C以上)で軟化する熱可塑性接着剤13により、TFT基板1に接着固定されている。
そしてカバー12には開閉可能な2個のバルブ(図示しない)が設けられており、それぞれのバルブは開閉されることによりカバー12とTFT基板1により囲まれる空間と外部との空気の流通を許可または禁止することができるので、放射線二次元検出器の組み立て時にカバー12を熱可塑性接着剤13によりTFT基板1に接着固定した後、一方のバルブにポンプ(図示しない)を、他方のバルブに不活性ガスの入ったボンベ(図示しない)をゴム管(図示しない)等により接続し、両方のバルブを開いた状態でポンプを作動させて内部の空気を排出する。その後ボンベ自身に取り付けられているバルブを開いて不活性ガスをカバー12とTFT基板1により囲まれる空間に注入し充満させた後、両方のバルブを閉じる。さらにボンベ自身に取り付けられているバルブを閉じ、ポンプを停止させ、ゴム管等を取り外す。
以上によりCdTe膜またはCdZnTe膜9を含む放射線検出基板2がTFT基板1に接着固定されたアルミニウム製の箱状のカバー12に覆われるので、放射線二次元検出器が落下等の衝撃を受けた場合でもCdTe膜またはCdZnTe膜9に含まれる人体に有害な物質の飛散を防止することができるとともに、カバー12内に不活性ガスが注入封止されることにより、接続バンプ11の酸化による劣化を防ぐことができる。またカバー12は熱可塑性接着剤13によりTFT基板1に接着固定されているため、例えばホットプレート(図示しない)の上に放射線二次元検出器をTFT基板1がホットプレートの加熱面に接するように載せて加熱し、熱可塑性接着剤13を軟化させることによりカバー12をTFT基板1から取り外すことができるので、放射線検出基板2等TFT基板1以外に何らかの不具合が発見された場合、TFT基板1を放射線検出基板2から引き剥がして再利用することが可能である。
上記の実施例ではカバー12の材質をアルミニウムとしたが、放射線吸収が少なくかつ落下等の衝撃により容易には破損しない堅牢な材質であればこれにこだわるものではなく、樹脂、カーボン、ゴム等他の材質であってもよい。
上記の実施例ではカバー12の形状を直方体としたが、TFT基板1とともに放射線検出基板2を密封して覆う形状であればどのような形でもよい。
上記の実施例ではTFT基板1にマトリクス状に形成された画素電極10上に画素ごとに独立して配置された導電性接続材から成る接続バンプ11により放射線検出基板2をTFT基板1と接続したが、隣接画素同士の電気的クロストークがない状態で接続されるのであれば、画素ごとに独立して配置された導電性接続材から成る接続バンプ11の代わりに、各画素が接続面に対して法線方向にのみ導通を得ることができる異方導電性材料により接続してもよい。
本発明は医療分野、工業分野等において使用される放射線二次元検出器に関する。
本発明の放射線二次元検出器の実施例を説明するための図である。 従来の放射線二次元検出器の構成を説明するための図である。
符号の説明
1:TFT基板
2:放射線検出基板
7:ベース基板
9:CdTe膜またはCdZnTe膜
10:画素電極
11:接続バンプ
12:カバー
13:熱可塑性接着剤

Claims (4)

  1. CdTe又はCdZnTeを主成分とする放射線検出用の半導体膜を有する放射線検出基板とマトリクス状に配置された複数の画素電極と前記画素電極に連接するスイッチング素子とを有するアクティブマトリクス基板を異方導電性材料または画素ごとに独立して配置された導電性材料により貼り合わせ接続して構成される放射線二次元検出器において、前記放射線検出基板を密封するカバーを設けたことを特徴とする放射線二次元検出器。
  2. カバーをアクティブマトリクス基板に接着して放射線検出基板を密封することを特徴とする請求項1記載の放射線二次元検出器。
  3. 接着は液化温度がアクティブマトリクス基板の耐熱温度より低い熱可塑性接着剤により行うことを特徴とする請求項2記載の放射線二次元検出器。
  4. 放射線検出基板が密封された空間に空気の代わりに不活性ガスを充填したことを特徴とする請求項1〜請求項3記載の放射線二次元検出器。
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