JP2006049773A - 放射線検出器 - Google Patents
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Abstract
【課題】X線光導電膜の剥離および腐食を防止できるX線検出器を提供する。
【解決手段】X線光導電膜5としてヨウ化鉛を用いる。画素電極13およびX線光導電膜5の間の界面と、X線光導電膜5およびバイアス電極層6の間の界面とに酸化鉛薄膜22を形成する。画素電極13よびバイアス電極層6とX線光導電膜5との結合力を向上できる。画素電極13と酸化鉛薄膜22とが金属酸化物であり、X線光導電膜5と酸化鉛薄膜22とが鉛化合物であるから、密着性を向上でき、剥がれを防止できる。反応性の極めて高いX線光導電膜5からの画素電極13およびバイアス電極層6の腐食を防止できる。
【選択図】図1
【解決手段】X線光導電膜5としてヨウ化鉛を用いる。画素電極13およびX線光導電膜5の間の界面と、X線光導電膜5およびバイアス電極層6の間の界面とに酸化鉛薄膜22を形成する。画素電極13よびバイアス電極層6とX線光導電膜5との結合力を向上できる。画素電極13と酸化鉛薄膜22とが金属酸化物であり、X線光導電膜5と酸化鉛薄膜22とが鉛化合物であるから、密着性を向上でき、剥がれを防止できる。反応性の極めて高いX線光導電膜5からの画素電極13およびバイアス電極層6の腐食を防止できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、画素電極および放射線光導電層を備えた放射線検出器に関する。
新世代のX線診断用画像検出器としてアクティブマトリックス型の平面検出器が大きな注目を集めている。この平面検出器において、照射されたX線を検出することにより、X線撮影像またはリアルタイムのX線画像がデジタル信号として出力される。また、この平面検出器は、固体検出器であることから、画質性能や安定性の面においても極めて期待が大きい。
実用化の最初の用途として、比較的大きな線量で、静止画像を収集する胸部あるいは一般撮影用に開発され、近年商品化されている。より高性能で、透視線量下で毎秒コマ以上のリアルタイム動画を実現させる必要のある循環器、消化器分野への応用に対しても近い将来に商品化が予想される。この動画用途に対しては、S/Nの改善や微小信号のリアルタイム処理技術などが重要な開発項目となっている。
そして、この種の平面検出器には、大きく分けて直接方式と間接方式との二通りの方式がある。直接方式は、入射X線をa−SeなどのX線光導電体層内部で体内部に発生した光導電電荷を高電界により直接電荷信号に変換し、この変換した信号電荷を電荷蓄積用キャパシタに蓄積する方式である。一方、間接方式は、シンチレータ層により入射X線を受けて、一旦可視光に変換してから、この可視光をa−Siフォトダイオードや、CCDにより信号電荷に変換して電荷蓄積用キャパシタに導く方式である。
さらに、直接方式のX線検出器としては、保持基板上にマトリクス状に配列された画素毎に、電荷蓄積用キャパシタ、スイッチング素子、フォトダイオードおよび画素電極のそれぞれが設けられたTFT回路基板を備えており、このTFT回路基板上にX線光導電層が積層された構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
そして、上記直接方式のX線検出器においては、入射X線を電荷信号に変換するためにX線光導電層としてX線光導電材料が用いられる。このX線光導電材料は、医療用のX線検出器に適用する場合、人体を十分にカバーできるだけの大きさ、例えば一辺が40cmほどの大きさが求められる。また、X線光導電材料は、通常、信号電荷の蓄積やこの信号電荷を読み出す電気回路が設けられたTFT回路基板上に均一な厚さの膜として形成される。また、入射するX線を十分に検出するためには、重金属で構成された大きな比重を持つ材料を用いた場合でも、数百μmの厚さが必要とされる。
このX線光導電材料は半導体の一種で、結晶構造や組成によって特性が大きく変化する可能性があり、一般に、単結晶の状態で最高の特性が得られる。しかし、X線検出器に必要とされる十分な大きさをもつ半導体単結晶材料は得られていない。
また直接方式の場合、X線検出器を構成するTFT回路基板は、液晶表示装置の製造プロセスと同様の方法で製造される。例えば、保持基板の表面に画素電極が形成され、この画素電極を含む保持基板上にX線光導電体層が形成されている。なお、このX線光導電体層の出力を個々の画素電極に選択的に入力するために、多くの場合、画素電極を取り囲むように、例えば酸化ケイ素(SiO2)の絶縁膜が設けられている。また、画素電極には、アルミニウムやITOなどが用いられている。
さらに、X線光導電層には、X線を効率良く電荷信号に変換する材料、例えばヨウ化鉛(PbI2)やヨウ水銀(HgI2)、ヨウ化ビスマス(BiI3)、ヨウ化インジウム(InI)などが使用される。したがって、画素電極に用いられるアルミニウムやITOと、X線光導電層に用いられるヨウ化鉛やヨウ化水銀、ヨウ化ビスマス、ヨウ化インジウムとが直接接触する構成となる。
なお、上記直接方式のX線検出器においては、ヨウ化鉛やヨウ化水銀、ヨウ化ビスマス、ヨウ化インジウムが使用されたX線光導電層が、画素電極上に、例えば真空蒸着法などによって、数百μmの厚さに膜状に形成されている。また、このX線光導電層上には、電荷を補給するバイアス電極層が形成されている。
さらに、この種の直接方式のX線検出器としては、X線光導電層とバイアス電極層と間、およびX線光導電層と画素電極を含む平坦化層との間のそれぞれに、膜の緻密性およびハロゲン元素との反応性が低い腐食防止膜が積層された構成が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特開平10−10237号公報(第4−6頁、図1および図2)
特開2003−209238号公報(第2−7頁、図2)
上述したように、上記直接方式のX線検出器では、液晶表示装置の製造プロセスを用いて製造されたTFT回路基板上にX線光導電層を形成させている。そして、このX線光導電層は、半導体の一種であるが、通常のシリコンやガリウムヒ素などの半導体とは異なり、X線を効率良く吸収するために重金属で構成されており、さらに十分な性能を出すためにこれらの沃化物が主に用いられている。代表的なものとしては、ヨウ化鉛やヨウ化水銀などの物質をX線光導電層の主成分としている。
そして、これらのX線光導電層は、TFT回路を構成する配線材料や、絶縁物などの物質とは大きく異なったイオンとしての性質が強い物質であり、金属表面や金属酸化物表面との密着性が弱い。このため、TFT回路基板の表面に単純に酸化鉛や酸化水銀といったX線光導電材料を形成した場合には、X線光導電層とバイアス電極層と間およびX線光導電層と画素電極と間のそれぞれに、膜の緻密性およびハロゲン元素との反応性が低い腐食防止膜を積層させたとしても、外部からの振動や温度変化による応力の発生によって界面での剥離が生じてしまうおそれがある。また、反応性の高いヨウ化物と接しているTFT回路基板の表面や上部電極に腐食が発生してしまうおそれがあるという問題を有している。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、放射線光導電層の剥離および腐食を防止できる放射線検出器を提供することを目的とする。
本発明は、画素電極を備えた回路基板と、この回路基板の前記画素電極上に設けられ入射する放射線を電気信号に変換し金属ヨウ化物あるいは金属臭化物を含有する放射線光導電層と、この放射線光導電層上に前記画素電極に対向して設けられた電極層と、前記放射線光導電層と前記電極層および前記画素電極の少なくともいずれか一方との間に設けられ前記金属ヨウ化物あるいは金属臭化物を構成する金属元素と同一の金属元素の酸化物である金属酸化物薄膜層とを具備したものである。
そして、回路基板の画素電極上に設けた放射線光導電層に金属ヨウ化物あるいは金属臭化物を含有させる。さらに、この放射線光導電層と、この放射線光導電層上に画素電極に対向して設けた電極層および画素電極の少なくともいずれか一方との間に、金属ヨウ化物あるいは金属臭化物を構成する金属元素と同一の金属元素の酸化物である金属酸化物薄膜層を設ける。この結果、この金属酸化物薄膜層によって放射線光導電層が電極層および画素電極の少なくともいずれか一方から剥離しにくくなるとともに、この放射線光導電層が腐食しにくくなる。したがって、この放射線光導電層の剥離および腐食のそれぞれを防止できる。
本発明によれば、金属ヨウ化物あるいは金属臭化物を含有した放射線光導電層と電極層および画素電極の少なくともいずれか一方との間に、金属ヨウ化物あるいは金属臭化物中の金属元素の酸化物である金属酸化物薄膜層を設けることにより、この金属酸化物薄膜層によって放射線光導電層が電極層および画素電極の少なくともいずれか一方から剥離しにくくなり、この放射線光導電層が腐食しにくくなるから、この放射線光導電層の剥離および腐食を防止できる。
以下、本発明の放射線検出器の一実施の形態の構成を図1ないし図3を参照して説明する。
図1ないし図3において、1は放射線検出器としてのX線画像検出器であるX線検出器で、このX線検出器1は、直接方式のX線平面画像検知器である。そして、このX線検出器1の検出器部分は、図2に示すように、マトリクス状に二次元的に配列された複数の画素2を有する光電変換基板としてのTFT回路基板3を備えている。
そして、このTFT回路基板3の一主面である表面上には、入射する放射線を電気信号に変換する放射線光導電体層としてのX線光導電体層4が積層されて設けられている。このX線光導電体層4は、pn接合状態であり、TFT回路基板3の表面に接している。よって、このX線光導電体層4は、TFT回路基板3上に直接形成されている。
ここで、このX線光導電体層4は、X線画像を検出する重要な要素である放射線光導電層としてのX線光導電膜5を備えている。このX線光導電膜5は、重金属であり半導体的な性質を有するX線光導電物質として金属ヨウ化物である重金属ヨウ化物を主成分として含有している。具体的に、このX線光導電膜5は、重金属ヨウ化物として、例えばヨウ化鉛(PbI2)を厚さ300μmほどTFT回路基板3上に真空蒸着させることによって形成されている。さらに、このX線光導電膜5の一主面である表面上には、上部電極としてのバイアス電極層6が積層されて設けられている。
そして、TFT回路基板3は、図3に示すように、矩形平板状の透光性を有するガラスなどで形成された絶縁基板としての保持基板11を備えている。ここで、この保持基板11は、主にガラスにて構成されている。そして、この保持基板11の一主面である表面上には、TFT回路層12と画素電極13とが各画素2毎に形成されている。この画素電極13は、TFT回路基板3の最表面の大部分を覆うように配置されている。また、この画素電極13は、金属酸化物であるITO(インジウム−錫混合酸化物)にて構成されている。
さらに、TFT回路層12は、スイッチング素子としての薄膜トランジスタ(TFT)14と、コンデンサである電荷蓄積用キャパシタ15を備えている。そして、画素電極13、薄膜トランジスタ14および電荷蓄積用キャパシタ15のそれぞれは、保持基板11上の各画素2毎に形成されている。すなわち、これら画素電極13、薄膜トランジスタ14および電荷蓄積用キャパシタ15のそれぞれは、これらを1組とした格子状の配列を有しており、各組がX線画像の画素2に対応するように構成されている。
また、保持基板11上には、この保持基板11の行方向に沿った複数の制御ラインとしての制御電極16が配線されている。これら複数の制御電極16は、保持基板11上の各画素2間に位置し、この保持基板11の列方向に離間されて設けられている。そして、これら制御電極16には、薄膜トランジスタ14のゲート電極17が電気的に接続されている。
さらに、保持基板11上には、この保持基板11の列方向に沿った複数の読み出し電極18が配線されている。これら複数の読み出し電極18は、保持基板11上の各画素2間に位置し、この保持基板11の行方向に離間されて設けられている。そして、これら複数の読み出し電極18には、薄膜トランジスタ14のソース電極19が電気的に接続されている。また、この薄膜トランジスタ14のドレイン電極20は、電荷蓄積用キャパシタ15および画素電極13のそれぞれに電気的に接続されている。
一方、図1に示すように、保持基板11上のTFT回路層12上には、島状の画素電極13が各画素2に対応するようにマトリクス状に積層されて設けられている。この画素電極13を含むTFT回路層12上の全面には、金属酸化物薄膜層としての酸化鉛薄膜22が積層されて形成されている。この酸化鉛薄膜22は、X線光導電膜5の主成分であるヨウ化鉛中の金属元素である鉛の酸化物である酸化鉛(PbO,PbO2,Pb3O4)を主成分として含有している。
言い換えると、この酸化鉛薄膜22は、画素電極13とX線光導電膜5との中間の物質である酸化鉛からなり、この酸化鉛にて構成されている。すなわち、この酸化鉛薄膜22は、X線光導電膜5の主成分であるヨウ化鉛を構成する金属元素である鉛と同一の金属元素の酸化物である酸化鉛から構成されている。
さらに、この酸化鉛薄膜22は、X線光導電膜5の内部にPN接合状態を実現するために、このX線光導電膜5とTFT回路基板3との間の界面に設けられている。言い換えると、この酸化鉛薄膜22は、画素電極13とX線光導電膜5とが接する界面間に設けられている。
また、この酸化鉛薄膜22上にはX線光導電膜5が積層されており、このX線光導電膜5上の全面にもまた酸化鉛薄膜22が積層されて形成されている。この酸化鉛薄膜は、X線光導電膜5の内部にPN接合状態を実現するために、このX線光導電膜5とバイアス電極層6との間の界面に設けられている。言い換えると、この酸化鉛薄膜は、X線光導電膜5とバイアス電極層6とが接する界面間に設けられている。さらに、この酸化鉛薄膜22上の全面には、バイアス電極層6が積層されて形成されている。このバイアス電極層6は、各画素電極13に対向して設けられており、酸化鉛薄膜22上の全面に面一に形成されている。
次に、上記一実施の形態のX線検出器の作用について説明する。
まず、X線検出器1のX線光導電膜5中に外部からX線が入射すると、このX線光導電膜5内へと入射した入射X線Lは、このX線光導電膜5内で吸収されて励起される。
そして、この入射X線L自体のエネルギによって、X線光導電膜5の内部に電子eと正孔hとのペアが多数発生する。
このとき、バイアス電極層6と画素電極13との間に数百Vの電圧が印加されてバイアス電界を形成していることにより、X線光導電膜5内に発生した光導電電荷Qがバイアス電界によって移動する。
すると、電子eあるいは正孔hのいずれかが光導電電荷Qとして画素電極13へと移動して到達する。
この後、これら各画素電極13へと移動して流入した光導電電荷Qは、これら各画素電極13に接続された薄膜トランジスタ14のゲート電極17が駆動状態、すなわちオン状態となるまで、これら各画素電極13に接続された電荷蓄積用キャパシタ15へと移動して保持されて蓄積される。
このとき、制御電極16の一つを駆動状態にすると、この駆動状態となった制御電極16に接続された横一行の薄膜トランジスタ14がオン状態となる。
そして、このオン状態となったそれぞれの薄膜トランジスタ14に接続された電荷蓄積用キャパシタ15に蓄積された光導電電荷Qが読み出し電極18へと出力される。
この結果、X線画像の特定の行の画素に対応する信号が出力されるため、オンする制御電極16の駆動を順々に変えて制御することにより、全てのX線画像の画素に対応する信号を出力でき、この出力信号をデジタル画像信号に変換することによって、外部にX線画像として出力できる。
次に、上記一実施の形態のX線検出器の製造装置について説明する。
図4において、31はX線検出器の製造装置としての真空蒸着装置31で、この真空蒸着装置31には、内部にTFT回路基板3が設置されるチャンバ32を備えている。このチャンバ32は、このチャンバ32内の雰囲気を外部とは異なる雰囲気、すなわち真空にする。そして、このチャンバ32には、このチャンバ32内を真空にする真空ポンプ33が取り付けられている。この真空ポンプ33は、チャンバ32の内部を真空排気させる。
さらに、このチャンバ32の内部には、このチャンバ32の内部に設置されるTFT回路基板3の裏面に対向する基板加熱装置34が取り付けられている。この基板加熱装置34は、チャンバ32内に設置されたTFT回路基板3を所定の温度に加熱する。また、このチャンバ32内には、基板加熱装置34に対向して設置された酸化鉛蒸発源35とヨウ化鉛蒸発源36とのそれぞれが設置されている。これら酸化鉛蒸発源35およびヨウ化鉛蒸発源36のそれぞれは、チャンバ32内に設置されたTFT回路基板3の表面に対向するように構成されている。
すなわち、酸化鉛蒸発源35は、この酸化鉛蒸発源35を加熱することにより、この酸化鉛蒸発源35の内部の酸化鉛が気化してチャンバ32内に酸化鉛を放出させて、このチャンバ32内に設置されたTFT回路基板3の表面に酸化鉛を付着させて、このTFT回路基板3の表面に薄膜状の酸化鉛薄膜22を形成させる。
また、ヨウ化鉛蒸発源36は、このヨウ化鉛蒸発源36を400℃前後に加熱することにより、このヨウ化鉛蒸発源36の内部のヨウ化鉛が気化してチャンバ32内にヨウ化鉛を放出させて、このチャンバ32内に設置させたTFT回路基板3の表面に形成した酸化鉛薄膜22の表面にヨウ化鉛を付着させて、この酸化鉛薄膜22の表面にヨウ化鉛を主成分とするX線光導電膜5を形成させる。
さらに、酸化鉛蒸発源35は、この酸化鉛蒸発源35を加熱することにより、この酸化鉛蒸発源35の内部の酸化鉛が気化してチャンバ32内に酸化鉛を放出させて、このチャンバ32内に設置させたTFT回路基板3の表面に形成したX線光導電膜5の表面に酸化鉛を付着させて、このX線光導電膜5の表面に酸化鉛薄膜22を形成させる。
次に、上記一実施の形態のX線検出器の製造方法について説明する。
まず、保持基板11上の各画素2に薄膜トランジスタ14、電荷蓄積用キャパシタ15および画素電極13のそれぞれを設けてTFT回路基板3を形成する。なお、このTFT回路基板3は、一般的な液晶表示装置(LCD)を製造する際に用いられる製造工程を用いて製造する。
この後、図4に示す真空蒸着装置31の内部にTFT回路基板3を設置する。そして、この真空蒸着装置31のチャンバ32内を、真空ポンプ33を用いて十分に真空排気する。
そして、このチャンバ32内の十分な真空度を達成できた段階で、基板加熱装置34を用いてTFT回路基板3を所定の温度に加熱する。
この状態で、酸化鉛蒸発源35を加熱して、この酸化鉛蒸発源35内の酸化鉛を気化させて、チャンバ32内に酸化鉛分子を放出させる。
このとき、このチャンバ32内に放出された酸化鉛分子の一部が、TFT回路基板3の表面に付着して、このTFT回路基板3の表面に薄膜状の酸化鉛薄膜22が形成される。
そして、この酸化鉛蒸発源35の加熱を継続させて、TFT回路基板3の表面に所定の厚さの酸化鉛薄膜22が形成された段階で、この酸化鉛蒸発源35の加熱を停止して、チャンバ32内への酸化ヨウ素分子の放出を終了させる。
この後、ヨウ化鉛蒸発源36を400℃前後に加熱して、このヨウ化鉛蒸発源36内のヨウ化鉛を気化させて、チャンバ32内にヨウ化鉛分子を放出させる。
このとき、このチャンバ32内に放出されたヨウ化鉛分子の一部が、TFT回路基板3の表面に形成した酸化鉛薄膜22の表面に付着して、この酸化鉛薄膜22の表面にヨウ化鉛を主成分とするX線光導電膜5が形成される。
そして、このヨウ化鉛蒸発源36の加熱を継続させて、酸化鉛薄膜22の表面に所定の厚さのX線光導電膜5が形成された段階で、このヨウ化鉛蒸発源36の加熱を停止して、チャンバ32内へのヨウ化鉛分子の放出を終了させる。
この後、さらに酸化鉛蒸発源35を加熱して、この酸化鉛蒸発源35内の酸化鉛を気化させて、チャンバ32内に酸化鉛分子を放出させる。
このとき、このチャンバ32内に放出された酸化鉛分子の一部が、X線光導電膜5の表面に付着して、このX線光導電膜5の表面に酸化鉛薄膜22が形成される。
そして、この酸化鉛蒸発源35の加熱を継続させて、X線光導電膜5の表面に所定の厚さの酸化鉛薄膜22が形成された段階で、この酸化鉛蒸発源35の加熱を停止して、チャンバ32内への酸化鉛分子の放出を終了させる。
さらに、スパッタ蒸着などの一般的な金属薄膜作成技術を用いてX線光導電膜5上の酸化鉛薄膜22の表面にバイアス電極層6を形成して、X線光導電体層4を形成する。
上述したように、上記一実施の形態によれば、X線画像を検出する重要な要素であるX線光導電膜5として重金属ヨウ化物であるヨウ化鉛を用いることによって、高感度のX線検出器1を得ることができる。ところが、このX線光導電膜5のX線光導電材料としてヨウ化鉛を用いた場合には、このヨウ化鉛が金属とヨウ素との化合物であるから、極めてイオン性の高い結晶構造となっている。
これに対して、TFT回路基板3の表面は画素電極13で覆われており、この画素電極13の材料として、例えばITOやアルミニウム、チタン、モリブデン−タングステン合金などが用いられる。したがって、この画素電極13とX線光導電膜5とでは、物質の特性が大きく異なる。このため、TFT回路基板3の表面に単純にX線光導電膜5を直接形成した場合には、これらTFT回路基板3とX線光導電膜5との界面での密着性が低いので、このTFT回路基板3からX線光導電膜5が剥がれやすくなってしまう。
特に、このX線光導電膜5がヨウ化鉛の場合には比重が6.2g/cm3と大きいから、外部から衝撃が加えられると、X線光導電膜5自体の重みによって、TFT回路基板3の表面とX線光導電膜5との界面に大きな力が掛かりやすい。このため、このX線光導電膜5が剥がれてしまう可能性が高くなる。また、このX線光導電膜5に用いる物質の大部分は、熱膨張率が極めて大きく、TFT回路基板3の大部分を構成するガラスに比べ10倍近い熱膨張率の差が存在する。
このため、X線検出器1自体の温度変化によって、X線光導電膜5とTFT回路基板3との界面に熱膨張率差による横方向の応力が発生し、この応力が大きくなりすぎるとX線光導電膜5とTFT回路基板3との界面での接合面が破壊されてしまい、このX線光導電膜5がTFT回路基板3から剥がれてしまい、X線検出器1の動作に大きな支障を来たすこととなる。
そして、このX線検出器1におけるTFT回路基板3からのX線光導電膜5の膜剥がれを防止するためには、このX線光導電膜5の重量を少なくするか、このX線光導電膜5のX線光導電材料として熱膨張率の小さい材料を使用することが考えられる。しかしながら、このX線光導電膜5の重量を少なくした場合には、このX線光導電膜5への入射X線Lの検出感度が低下してしまう。さらに、このX線光導電膜5のX線光導電材料として、熱膨張率が小さく性能の良い材料が現在まで未だ発見されていない。
そこで、上述した一実施の形態のように、画素電極13を含むTFT回路層12およびX線光導電膜5の間の界面と、このX線光導電膜5およびバイアス電極層6の間の界面とのそれぞれに酸化鉛薄膜22を積層させた。この結果、TFT回路基板3とX線光導電膜5との界面、およびこのX線光導電膜5とバイアス電極層6との界面のそれぞれにおいて、これらTFT回路基板3およびバイアス電極層6とX線光導電膜5との結合力を高めることができ、反応性の極めて高いX線光導電膜5からTFT回路基板3の表面およびバイアス電極層6の腐食を防止する機能を付加できる。
ここで、液晶表示装置の製造装置を流用して製造されることの多いTFT回路基板3上の画素電極13は、ITOあるいはアルミニウムが用いられることが極めて多い。特に、この画素電極13としてはITOが最も多く用いられる。そして、この画素電極13としてITOを用いた場合には、このITOが金属酸化物であるから、金属酸化物である画素電極13と、金属ヨウ化物であるX線光導電膜5とでは用いられる物質が大きく異なる。したがって、これら画素電極13およびX線光導電膜5間における物質の不連続性が大きくなりすぎて、密着性が低下してしまう。
そこで、これら画素電極13とX線光導電膜5との中間の物質である酸化鉛薄膜22を、これら画素電極13とX線光導電膜5との界面に配置させることにより、この画素電極13と酸化鉛薄膜22との界面のそれぞれが金属酸化物であるため密着性を向上できるから、剥がれを防止できる。また、このX線光導電膜5と酸化鉛薄膜22との界面はそれぞれが鉛化合物であるため、同様に密着性を向上でき、剥がれを防止できる。
同様に、このような効果は、バイアス電極層6とX線光導電膜5との界面にも当てはまる。したがって、これらX線光導電膜5とバイアス電極層6との界面に、これらの中間的な物質である酸化鉛薄膜22を配置させることにより、これらX線光導電膜5とバイアス電極層6との界面の密着性を向上できる。このため、このX線光導電膜5からのバイアス電極層6の剥がれを防止できる。
さらに、X線光導電膜5はヨウ化鉛を主成分としているため、このX線光導電膜5は反応性が極めて高く、鉛よりイオンになりやすい元素(例えば、アルミニウム、インジウムなど)がX線光導電膜5に接している場合には、ヨウ素がX線光導電膜5内から遊離して、アルミニウムやインジウムなどから構成される画素電極13やバイアス電極層6を腐食してしまい、X線検出器1の動作に大きな支障を発生させてしまう。
そこで、このX線検出器1のX線光導電膜5を構成する金属ヨウ化物の金属元素と酸素の化合物である酸化鉛薄膜22を、X線光導電膜5とバイアス電極層6および画素電極13との間に積層させることによって、これらバイアス電極層6および画素電極13それぞれの腐食を防止できる。このとき、このX線光導電膜5をヨウ化鉛にて構成させた場合には、このX線光導電膜5の上下に酸化鉛薄膜22をそれぞれ配置させることによって、腐食に弱い画素電極13およびバイアス電極層6のそれぞれに対してX線光導電膜5が直接接触させてしまうことを防止できる。
このとき、このX線光導電膜5よる各酸化鉛薄膜22の腐食が問題となる。しかしながら、この腐食の対象となる酸化鉛薄膜22中の鉛原子は、X線光導電膜5を構成するヨウ化鉛の金属原子と同じであるから、イオン化傾向の違いによるヨウ素の移動による腐食を防止できる。
これらの結果、X線検出器1の重要要素であるX線光導電膜5とTFT回路基板3との剥離を防止できるとともに、堅牢で使いやすいX線検出器1を可能にできる。また、このX線検出器1の画素電極13およびバイアス電極層6それぞれの腐食を防止することによって、寿命の長いX線検出器1を実現することが可能となる。
なお、上記一実施の形態では、ヨウ化鉛を主成分とするX線光導電膜5と、このX線光導電膜5の上下に酸化鉛薄膜22を設けた構成について説明したが、この酸化鉛薄膜22をX線光導電膜5の上下のいずれか一方のみに設けても、バイアス電極層6あるいは画素電極13の剥がれや腐食を防止できるので、ある程度の効果を期待できる。
さらに、X線光導電膜5の材料として、例えばヨウ化水銀(HgI2)、ヨウ化インジウム(InI)およびヨウ化ビスマス(BiI3)などの重金属ヨウ化物を主成分として含有させても、陽イオンの原子が変わるだけであり、酸化鉛薄膜22を、重金属ヨウ化物中の金属元素の酸化物、すなわち酸化水銀(Hg2O,HgO)薄膜、酸化インジウム(In2O3)薄膜、酸化ビスマス(Bi2O3)薄膜とすることによって、同様の作用効果を奏することができる。
また、X線光導電膜5の材料として、例えば臭化タリウム(TlBr)などの重金属臭化物を主成分として含有させても、酸化鉛薄膜22を、重金属臭化物中の金属元素の酸化物、すなわち酸化タリウム(Tl2O,Tl2O3)薄膜とすることによって、同様の作用効果を奏することができる。
さらに、X線を検出するX線検出器1について説明したが、例えばγ線などのX線以外の各種の放射線を検出する放射線検出器であっても対応させて用いることができる。また、TFT回路基板3の保持基板11上に、薄膜トランジスタ14および画素電極13が形成された画素2を二次元的にマトリクス状に形成したが、これら画素2を保持基板11上に一次元的に設けてもよい。
1 放射線検出器としてのX線検出器
3 回路基板としてのTFT回路基板
5 放射線光導電層としてのX線光導電膜
6 電極層としてのバイアス電極層
13 画素電極
22 金属酸化物薄膜層としての酸化鉛薄膜
3 回路基板としてのTFT回路基板
5 放射線光導電層としてのX線光導電膜
6 電極層としてのバイアス電極層
13 画素電極
22 金属酸化物薄膜層としての酸化鉛薄膜
Claims (4)
- 画素電極を備えた回路基板と、
この回路基板の前記画素電極上に設けられ入射する放射線を電気信号に変換し金属ヨウ化物を含有する放射線光導電層と、
この放射線光導電層上に前記画素電極に対向して設けられた電極層と、
前記放射線光導電層と前記電極層および前記画素電極の少なくともいずれか一方との間に設けられ前記金属ヨウ化物を構成する金属元素と同一の金属元素の酸化物である金属酸化物薄膜層と
を具備したことを特徴とした放射線検出器。 - 放射線光導電層の金属ヨウ化物を構成する金属元素は、鉛(Pb)、水銀(Hg)、インジウム(In)およびビスマス(Bi)のいずれかである
ことを特徴とした請求項1記載の放射線検出器。 - 画素電極を備えた回路基板と、
この回路基板の前記画素電極上に設けられ入射する放射線を電気信号に変換し金属臭化物を含有する放射線光導電層と、
この放射線光導電層上に前記画素電極に対向して設けられた電極層と、
前記放射線光導電層と前記電極層および前記画素電極の少なくともいずれか一方との間に設けられ前記金属臭化物を構成する金属元素と同一の金属元素の酸化物である金属酸化物薄膜層と
を具備したことを特徴とした放射線検出器。 - 放射線光導電層は、金属臭化物として臭化タリウムを含有し、
金属酸化物薄膜層は、酸化タリウムである
ことを特徴とした請求項3記載の放射線検出器。
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---|---|---|---|
JP2004232377A JP2006049773A (ja) | 2004-08-09 | 2004-08-09 | 放射線検出器 |
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-
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- 2004-08-09 JP JP2004232377A patent/JP2006049773A/ja not_active Withdrawn
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