JP2008138361A - 車止め - Google Patents

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Abstract

【課題】開閉自在な蓋体を一体に有して地中に埋設されていても、地表に大きな段差や突出部分が生じることが防止された安全な車止めを提供する。
【解決手段】車止め1は、外管10の内部にポールが挿嵌される内管20が収容される二重構造を有し、蓋体2は支軸体30によって開方向または閉方向に回転可能に軸支される。そして、蓋体2により上端開口10aが閉塞されると、当該蓋体2は上端開口10aと略面一となる状態で保持される。一方、蓋体2の開閉動作に連動して、軸受部40の内部に収容された支軸体30が上下方向に摺動可能に構成されており、蓋体2は上端開口10aから開方向に少なくとも180度回転可能である。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両や歩行者等の通行を制限するための支柱を立設するための車止めに関し、とくに地表に段差や突出部分を生じない車止めに関する。
従来、車両や歩行者等の通行を制限することを目的として、あらかじめ車止めを地中に埋設しておき、この車止めの上端開口に所定高さの支柱を挿嵌することで、当該支柱を地表に立設することが知られている。そして、この車止めには、未使用時に土砂やゴミ等が流入することを防止するために、支柱が挿嵌される上端開口を塞ぐための開閉自在な蓋体が支軸(ヒンジ等)によって一体に設けられている。
ところで、このような車止めの未使用時には、蓋体が上端開口に嵌め込まれて支柱を立設できないようにしている。このとき、車止めの上端開口に嵌め込まれた蓋体の表面が地表から突出して段差を生じることがあった。また、車止めの使用時には、上端開口から取り外された蓋体が地表から突出した状態になっていた。このように、車止めによって地表に段差や突出部分が生じると、歩行者がこのような段差等に躓いて怪我をしたり、車両がこのような突出部分等に接触して損傷したりする問題があった。
そこで、従来より、地表に段差や突出部分を生じることを防止した車止めが各種提案されている。例えば、車両通行止め状態では車止め本体を施錠するための係止手段が地面から突出される一方、車両通行止め状態を解除すると係止手段が地面から突出するとともに、蓋が地面から突出することなく閉じられた状態となる車止め装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、車止め支柱の上部に口筒体の鍔縁部の周囲を所定の間隙を介して囲繞し、かつ鍔縁部の露出面と面一となるコンクリートレベル指標縁を具備する環状縁切り部材を配設して、周囲に打設されたコンクリートの仕上げレベル面との間に段差が生じないようにした車止め支柱が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開平10−168845号公報 特開2006−9399号公報
しかしながら、特許文献1および2に記載の発明では、地中に埋設される車止めに一体に設けられた開閉自在な蓋体に起因して大きな段差や突出部分が生じてしまい、歩行者や車両等に危害を及ぼしてしまうという問題を解決することはできなかった。
特に、開閉可能な蓋体を一体として有する車止めでは、その上端開口を開放させる方向に蓋体を所定量回転させると、当該蓋体が車止めの上端開口縁部に当接する。そして、この蓋体は、車止めの上端開口縁部に当接した位置で、地表に対して傾斜するように起立した状態に保持されることになる。このような状態で、例えば車止めに支柱を挿嵌し忘れたり、あるいは車止めから支柱を抜脱したが蓋体を閉め忘れた場合には、地表に車椅子の上端開口が露出され、かつ、蓋体が地表から大きく突出することになるため、車両や歩行者により大きな危害をもたらすおそれがあった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、開閉自在な蓋体を一体に有して地中に埋設されていても、地表に大きな段差や突出部分が生じることが防止された安全な車止めを提供することを主たる目的とする。
本発明において、以下の特徴は単独で、若しくは、適宜組合わされて備えられている。前記課題を解決するための本発明に係る車止めは、地表に対して立設される支柱体を上端開口から挿脱自在であって、当該支柱体を内部で支持する有底筒状の内筒部材と、前記内筒部材を上端開口から挿脱自在であって、当該内筒部材を略同軸状態で内部に収容するとともに、地中に埋設される略筒状の外筒部材と、前記外筒部材の上端開口に嵌め込まれて当該上端開口を閉塞する一方、前記外筒部材の上端開口から取り外されて当該上端開口を開放する蓋体とを備え、前記外筒部材の上端開口が開放された状態で、当該外筒部材の内部に前記内筒部材が収容されるとともに、当該内筒部材の内部に前記支柱体が挿嵌される二重構造の車止めであって、前記外筒部材の径内側に突設され、当該外筒部材の上端開口に嵌め込まれた前記蓋体を荷受することにより、当該外筒部材の上端開口と略面一となるように当該蓋体を保持する蓋受部と、前記蓋体の一周縁部に連結されて、当該蓋体を前記外筒部材の上端開口に近接する方向又は離間する方向に回転可能に軸支する支軸体と、前記外筒部材の上端側部に突設され、前記蓋受部により保持される位置から前記離間する方向に少なくとも180度回転自在な前記蓋体に連動して前記支軸体が内部で上下方向に摺動可能な箱状の軸受部とを備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、外筒部材の内部に支柱体が挿嵌される内筒部材が収容される二重構造の車止めにおいて、蓋体は支軸体によって外筒部材の上端開口に対する近接方向又は離間方向に回転可能(すなわち、開閉自在)に軸支される。そして、蓋体によって外筒部材の上端開口が閉塞されると、この蓋体は蓋受部により荷受されて外筒部材の上端開口と略面一となる状態で保持される。一方、蓋体の回転動作に連動して、箱状の軸受部の内部に収容された支軸体が上下方向に摺動可能に構成される。そして、蓋体は、蓋受部により保持される位置から離間方向に少なくとも180度回転自在となっている。そのため、蓋体は、車止めの外筒部材の上端開口縁部に当接する位置を越えて離間方向に回転可能である。そして、蓋体を外筒部材の上端開口とは略180度位相が異なる位置まで回転させることで、蓋体を地表に対して面接触させることができる。
本発明に係る車止めにおいて、前記支軸体は、上下方向を長手方向とする可動片と、当該柱状部の下端部またはその近傍において側面方向に突出した係止片とを有するとともに、前記軸受部には、前記可動片が内部に挿通される挿通部と、前記係止片が内部に収容される収容部とが、上下方向に連通して形成されており、前記支軸体は、前記係止片が前記収容部の内部において上下方向に移動可能な範囲で、前記軸受部の内部を上下方向に摺動可能であることが好ましい。
上記構成によれば、支軸体は、係止片が収容部の内部において上下方向に移動可能な範囲で、軸受部の内部を上下方向に摺動可能である。特に、蓋体の回転動作に連動して支軸体が上方向に移動した場合は、係止片が挿通部に当接するとその上方向への移動が制限される。そのため、支軸体が、軸受部の内部を上下方向に摺動可能としつつ、軸受部の外部に完全に抜け出してしまうことが防止される。
本発明に係る車止めにおいて、蓋体は、当該蓋体の一周縁部と前記支軸体の上端縁部とを連結する連結部材を備え、前記蓋体が前記蓋受部により保持されると、前記連結部材により前記支軸体が当該蓋体と略面一となるように保持されることが好ましい。
上記構成によれば、蓋体の一周縁部と支軸体の上端縁部とは連結部材によって連結されて、蓋体が蓋受部により保持されると連結部材によって支軸体が蓋体と略面一となるように保持される。そのため、外筒部材の上端開口を越えて上方向に移動可能な支軸体を有していても、外筒部材の上端開口に蓋体を嵌め込むと、支軸体が蓋体と同様に外筒部材の上端開口と略面一に保持される。
請求項1に記載の発明によれば、蓋体で外筒部材の上端開口を閉塞させると、この蓋体は外筒部材の上端開口と略面一となる状態で保持されるため、蓋体が地表に突出することがない。一方、外筒部材の上端開口を開放させる方向に蓋体を回転させると、当該蓋体を地表に対して面接触させることができるため、蓋体が地表に突出しても当該蓋体の厚み程度に抑えられる。すなわち、車止めの未使用時および使用時に拘らず、開閉自在な蓋体に起因して地表に大きな段差や突出部分が生じることを防止して、車両や歩行者に危害を及ぼす恐れを低減して安全性を確保することができる。
請求項2に記載の発明によれば、支軸体が上下方向に摺動可能な範囲を、係止片が収容部の内部において上下方向に移動可能な範囲に制限することで、蓋体をより広い範囲で開閉動作させることを可能としつつ、蓋体に連動する支軸体が地表に過剰に突出することを防止することができる。さらに、支軸体が軸受部の外部に完全に抜け出してしまうこと(ひいては、支持体に連結された蓋体が車止めから取り外れること)を防止して、車止めに不具合が生じることを抑制することができる。
請求項3に記載の発明によれば、外筒部材の上端開口に蓋体を嵌め込むと、蓋体とともに支軸体も外筒部材の上端開口と略面一に保持される。よって、車止めの未使用時に、支軸体が地表に突出することを防止して、車両や歩行者に危害を及ぼす恐れをさらに低減することができる。
以下、本発明に係る車止めを実施するための最良の形態について、各図を参照しつつ説明する。なお、本実施形態では、あらかじめ地中に埋設されて、所定高さのポール(支柱体)を地表に立設するための車止め1を例示して説明する。
まず、本発明に係る車止めの概要について、図1を参照しつつ説明する。図1は、本発明に係る車止めの外観斜視図である。なお、本実施形態では、図1における左下方向が車止め1の正面方向に相当し、図1における縦方向が車止め1の上下方向に相当する。
図1に示すように、車止め1は、地中に埋設される本体部をなす外管10と、外管10の上端開口を開閉するための円盤状の蓋体2と、ポールが内装される内管20と、蓋体2を開閉方向に向けて回転可能に軸支する支軸体30と、支軸体30を内部に収容する軸受部40とを主構成とする。
また、蓋体2には、その一周縁部から側方に突出するように薄板状の一対の連結金具である連結板3,4が一体に延設されている。そして、連結板3,4が対向する間隙には、支軸体30が介在された状態で、当該支軸体30を貫通するように軸5が架設されている。これにより、蓋体2は、連結板3,4を介して支軸体30に連結されるとともに、軸5の軸線を回転中心として回転可能となっている。
なお、本実施形態では、車止め1を構成する各部材(外管10,内管20,支軸体30,軸受部40等)は耐久性に優れた金属素材によって形成されており、特に耐食性や意匠性に優れたステンレスやアルミニウム等が好適である。以下では、車止め1の構造およびその作用について詳細に説明する。
次に、車止め1の外装部分(外管10,支軸体30,軸受部40)の詳細について説明する。図2は、外管を中心とした外観斜視図である。図3は、外管を中心とした平面図である。図4は、外管を中心とした底面図である。図5は、図3における外管を中心としたA−A線矢視方向断面図である。図6は、外管を中心とした一部断面正面図である。なお、図2、図5および図6において、蓋体2の開閉動作に伴う各部材の動きを、仮想線(二点鎖線)で示している。また、図5は、理解を容易にするために、軸受部40のみが断面図として表されている。
図2乃至図4に示すように、車止め1の外装部分は、外管10,支軸体30,軸受部40を主構成とする。外管10は、正面視で上下方向を長手軸線方向とする円筒状の外筒体11を本体とし、外筒体11の上端に形成される円形開口が上端開口10aであり、外筒体11の下端に形成される円形開口が下端開口10bである。そして、外管10の上端縁部には、上端開口10aにおける径の大きさが外筒体11の内径よりも若干大きくなるように若干径外方向に拡径した蓋枠部12が形成されている。さらに、この拡径した蓋枠部12によって外筒体11との間に生じる段差が、後述する蓋受部19として機能する。
一方、外管10の下端縁部には、円形断面を有する棒状体である内筒支持体13が、外筒体11の内周面に略並行かつ等間隔で複数(ここでは、3つ)架設されている。複数の内筒支持体13は、外管10の内部に収容される内管20を支持するものである。さらに、下端開口10bのうちで、複数の内筒支持体13によって閉塞されていない部分が、外管10(外筒体11)の内部に侵入した土砂や雨水等の異物を下方に流出させるための排出溝14として機能する。
また、外管10の上端側部には、外筒体11の外周面から径外方向に突設して略有底箱状の軸受部40が一体に形成されている。そして、軸受部40の内部には、直方体状をなす支軸体30が上下方向に摺動可能に収容されている。支軸体30および軸受部40は共に車止め1における上下方向を長手方向とするが、支軸体30の方が軸受部40よりも上下方向における長さが若干小さい。そして、支軸体30の上端縁部では、先述のように軸5を介して蓋体2(連結板3,4)が回転可能に連結されている。そのため、蓋体2は、支軸体30の上端縁部(言い換えれば、軸5)を支軸として、上端開口10aに近接する方向(閉方向)または離間する方向(開方向)に回転可能である(図2参照)。なお、蓋体2には、その平面に対して直交する方向に貫通する孔部2aが形成されており、この孔部2aは使用者が蓋体2を開閉するためのつまみ部として利用可能である。
軸受部40は、軸枠部41,挿通部42,収容部43から構成されている。この軸枠部41は、外管10の蓋枠部12から径外方向に突出するように延設され、その内部に蓋体2と支軸体30との連結部分(連結板3,4、軸5および支軸体30の上端縁部)を収容可能となっている。なお、外管10からみた軸枠部41の突出幅は、蓋体2からみた連結板3,4の突出幅と略等しい。そのため、軸枠部41と蓋枠部12とは一体となって平面視で鍵穴状の枠体を形成するところ、この鍵穴状の枠体に蓋体2および連結板3,4を一体として緊密に嵌め込み可能である。
また、軸枠部41の下方には、軸枠部41よりも開口幅が小さく、右側面視(図5参照)で縦長筒状の挿通部42が設けられている。さらに、挿通部42の下方には、右側面視(図5参照)で横長箱状の収容部43が設けられている。そして、軸枠部41、挿通部42および収容部43は内部で各々連通しており、支軸体30がその内部を移動可能である。ここで、支軸体30の長手方向を横切る断面は、挿通部42の長手方向を横切る断面と略同一の形状および大きさを有している。つまり、支軸体30の外周面は挿通部42の内周面により緊密に取り囲まれるため、支軸体30は上下方向以外の方向への移動が制限される。
ここで、図5および図6に示すように、軸受部40では、右側面視(図5参照)、収容部43の内部における横幅は挿通部42の内部における横幅よりも大きい。そのため、挿通部42と収容部43とが接続する部位において、収容部43の内部の上壁が段差部44を形成する。一方で、支軸体30の柱状本体をなす可動片30aが挿通部42の内部で摺動可能に挿通されており、さらに、収容部43の内部に挿入された可動片30aの下端縁部には、右側面視(図5参照)で左右方向に突出する係止片30bが設けられている。
そのため、本実施形態では、支軸体30を下方向に所定量移動させると、可動片30aの下端部(あるいは、係止片30b)が収容部43の内部における底壁45に当接する前に、連結板3,4が軸枠部41に当接して支軸体30の下方向への移動が制限される。一方、支軸体30を上方向に所定量移動させると、係止片30bが段差部44に当接して支軸体30の上方向への移動が制限される。すなわち、支軸体30の上下方向への摺動可能範囲は、少なくとも収容部43内において係止片30bが上下方向に移動可能な範囲に制限される。特に、係止片30bは、挿通部42が収容部43よりも小さい開口幅を有することによって形成される段差部44によって上方向への移動が制限されるため、支軸体30(ひいては、蓋体2)が軸受部40から完全に抜け出してしまうことが防止される。
ところで、外管10において収容部43が突設された部位(つまり、外筒体11の側壁)には、外管10の内部と収容部43の内部とが連通するように開口孔60が横穿されている。この開口孔60は、軸受部40に侵入した雨水や土砂等の異物を外部に排出するための排出孔であるが、詳細は後述する。
次に、車止め1の内装部分(内管20)の詳細について説明する。図7は、内管の外観斜視図である。図8は、内管の平面図である。図9は、内管の底面図である。図10は、内管の一部断面正面図である。
図7乃至図10に示すように、車止め1の内装部分として内管20を有している。内管20は、正面視で上下方向を長手軸線方向とする有底円筒状の内筒体21を本体とする。ただし、内筒体21は、外筒体11よりも径および軸線方向への長さが小さく、外筒体11の内部にその全体を収容可能となっている。
そして、内筒体21の上端に形成される円形開口が上端開口20aである。ここで、内管20の上端面22が鍔状(フランジ状)に径内側および径外側に張り出しているため、平面視、上端面22の内径は内筒体21の内径よりも小さく、かつ、上端面22の外径は内筒体21の内径よりも大きい。言い換えれば、この上端面22が若干径内方向に向けて突出して、上端開口20aにおける径の大きさ(開口幅)が外筒体11の内径よりも若干小さくなっている。
一方、内管20の下端縁部には、上下方向を長手として径外方向へ若干突設した薄板状の下部支持体23が、内筒体21の外周面に沿って複数設けられている。この複数の下部支持体23は、先述の上端面22とともに、内管20が外管10の内部に収容されたときに内筒体21の外周面と外筒体11の内周面との間に隙間を形成する機能を有する。また、内筒体21の内周面には、当該内筒体21の上端から下端に渡って内径側に若干突出する細長レール状のポール支持体24が、略均等間隔で放射状に複数形成されている。複数のポール支持体24は、内筒体21の内部に挿入されたポールの外周に当接して、当該ポールを固定する機能を有する。
なお、内管20の底壁25には、略均等間隔で円形断面を有する複数(ここでは、7つ)の貫通孔26が形成されている。複数の貫通孔26は、内管20(内筒体21)の内部に侵入した土砂や雨水等の異物を下方に流出させるための排出溝として機能するが、詳細は後述する。
以下では、本発明に係る車止め1の作用について具体的に説明する。図11は、(a)が蓋体を閉めた状態での車止めの外観斜視図であり、(b)が(a)に示す車止めの上端縁部における正面断面拡大図である。図12は、(a)が蓋体を開いた状態での車止めの外観斜視図であり、(b)が(a)に示す車止めの上端縁部における正面断面拡大図である。図13は、車止めの下端縁部における側面断面拡大図である。
まず、図11を参照して、車止め1の未使用時に、蓋体2を外管10の上端開口10aに近接する方向(閉方向)に回転させることで、蓋体2を蓋枠部12に嵌め込んで上端開口10aを閉塞した場合の作用について説明する。
図11に示すように、蓋体2が蓋枠部12に嵌め込まれると、蓋体2の裏面(上端開口10aと対向する面)の周縁部に沿って形成されたレール状の凹部2bが、外管10に形成された蓋受部19に嵌合して支持される。ここで、外管10の上端開口10aは、平面視で蓋体2と略同一の大きさ及び形状を有しており、蓋体2は上端開口10aを隙間なく閉塞可能である。また、外管10の蓋枠部12は、蓋体2の厚みと同程度の深さ(すなわち、上下方向の幅)を有している。そのため、蓋体2により上端開口10aが閉塞されると、蓋枠部12の上端面(言い換えれば、上端開口10a)と蓋体2の表面(凹部2bが形成された面とは反対側の面)とが略面一となるように、蓋体2が蓋受部19により保持されることになる。
さらに、蓋体2が蓋枠部12に嵌め込まれるのに連動して、連結板3,4および支軸体30の上端縁部が軸枠部41に嵌め込まれる。詳細には、蓋体2から延設された連結板3,4の長手方向が水平をなし、かつ、外管10からみて連結板3,4および支軸体30の最も径外側に位置する各々の側面が面一となるような態様で軸枠部41に密接して収納される。また、軸枠部41は、連結板3,4の短手方向の幅と同程度の深さ(すなわち、上下方向の幅)である。そのため、連結板3,4および支軸体30の上端縁部が軸枠部41に嵌め込まれると、蓋体2の表面が支軸体30の長手方向に対して垂直をなし、軸枠部41の上端面が連結板3,4の表面(蓋体2の表面と連続する面)および支軸体30の上端面と略面一となる。
つまり、図11に示すように、蓋体2により上端開口10aが閉塞されると、支軸体30が最も下方に移動した状態となる。そして、平面視鍵穴状の枠部(蓋枠部12および軸枠部41)に、蓋体2、連結板3,4および支軸体30の上端縁部が一体に収容され、かつ、地表に現れる各部材の表面が略面一となる。これにより、車止め1の未使用時に、蓋体2や支軸体30等が地表に突出して、歩行者や車両の通行の妨げとなることが防止される。
なお、本実施形態における「略面一」とは、実質的に面一であることを意味し、若干の凹凸や段差が生じる場合も含むものである。
次に、図12を参照して、車止め1の使用時に、蓋体2を外管10の上端開口10aから離間する方向(開方向)に回転させることで、蓋体2を蓋枠部12から取り外して上端開口10aが開放された場合の作用について説明する。なお、ここでは、蓋体2を蓋受部19により保持される位置から開方向に180度回転させた場合を説明する。
図12に示すように、蓋体2が蓋枠部12から取り外されて開方向に回転するのに伴って、蓋体2から延設された連結板3,4も軸枠部41に当接した状態を維持しながら軸5を回転中心として回転する。さらに、この蓋体2の回転に連動して、連結板3,4および軸5を介して連結された支軸体30が、連結板3,4と軸枠部41とが当接する部位を支点として上方向に持ち上げられるように摺動する(図2等参照)。
そして、蓋体2が開方向に所定量(ここでは、略90度)回転されると、連結板3,4の側面(蓋体2から最も離間している側面)が軸枠部41の底壁に当接することにより、蓋体2が車止め1に対して垂直に起立した状態となる(図1参照)。そして、この状態からさらに蓋体2が開方向に回転すると、連結板3,4の表面(蓋体2の表面と連続する面)が軸枠部41の荷受部41aに当接する。この荷受部41aは、軸枠部41のうちで外管10から最も離間する側壁の上端縁部に相当する。さらに、この蓋体2の開方向への回転に伴って、支軸体30が荷受部41aを支点として上方向に持ち上げられるように摺動する(図2等参照)。
そして、図12に示すように、蓋体2が蓋受部19による保持位置から開方向に略180度回転すると、支軸体30が最も上方に移動した状態となる。そして、蓋体2の表面が、車止め1に隣接する地表と面接触する(すなわち、蓋体2の表面が地表レベルと同一となる)。それとともに、蓋体2の裏面は、支軸体30の上端面と略面一となる。これにより、車止め1の使用時に蓋体2や支軸体30等が地表に突出しても、その突出幅はせいぜい蓋体2の厚み程度に抑えられる。そのため、蓋体2や支軸体30等が地表に大幅に突出して、歩行者や車両の通行の妨げとなるようなことが防止される。
次に、図11乃至図13を参照して、外管10の内部に内管20が収容された車止め1の作用について説明する。
図11乃至図13に示すように、車止め1において、外管10の内部に内管20が収容されると、当該内管20は複数の内筒支持体13によって支持されるとともに、内管20の径外方向に突出した上端面22および複数の下部支持体23によって、外管10の内部における内管20の水平方向の移動が制限される。さらに、内管20にポールが挿嵌されると、当該ポールは内管20の底壁25によって支持されるとともに、内筒体21の内周面に形成された複数のポール支持体24によって、内管20の内部におけるポールの水平方向の移動が制限される。よって、内管20の内部ではポールが安定して保持されるとともに、外管10の内部では内管20が安定して保持されるので、車止め1に取付けられたポールのぐらつきや歪みを抑制することができる。
また、外管10の内部では、先述のように内管20の上端面22および複数の下部支持体23によって、外筒体11が内筒体21と所定距離を空けて保持される。すなわち、外筒体11の内周面との内筒体21の外周面と間隙に隙間部70が形成されて、当該隙間部70は開口孔60を介して軸受部40(収容部43)の内部と連通する。そのため、軸受部40の内部に雨水や土砂等の異物が侵入すると、当該異物は収容部43の内部に形成された開口孔60を介して隙間部70へ流出する。これにより、軸受部40(特に、収容部43)に異物が滞留することなく、支軸体30や軸受部40にサビや腐食が発生したり、支軸体30の動作不良が発生したりすることを防止することができる。
特に、軸受部40においては、底壁45が開口孔60の下端縁部に連結され、かつ、外管10の径内方向へ向けて下方に傾斜するように形成されている。そのため、収容部43の内部に存在する異物は底壁45に沿って滑るように開口孔60に向けて案内される。これにより、軸受部40に侵入した異物は、収容部43の内部に滞留することなく確実に開口孔60から排出される。
また、車止め1の上端開口10aが蓋体2によって閉塞されていないときは、雨水や土砂等の異物が上端開口10aから侵入することがある。なお、内管20の径外方向に突出した上端面22によって、平面視での外管10と内管20との間隙は狭窄しているため、上端開口10aから侵入した異物の大部分は上端開口20aを経由して内管20の内部に流入する。
ここで、内管20の底壁25には複数の貫通孔26が形成されているため、内管20の内部には貫通孔26を通過不可能な比較的大きな異物(例えば、ゴミや石等)が滞留する。そのため、内管20のみを外管10の内部から適宜取り出して、内管20の内部に滞留した異物を廃棄することができ、内管20にポールを挿脱し難くなる不具合を防止することができる。一方、内管20の内部に侵入した小さな異物(例えば、雨水や砂等)は、貫通孔26を経由して下方に排出される。これにより、内管20の内部に雨水や砂等が滞留することなく、滞留した異物に起因するサビや腐食の発生を防止することができる。
なお、内管20の底壁25は、外管10に下端縁部に設けられた複数の内筒支持体13によって支持される。ここで、複数の内筒支持体13は円形断面を有しているため、複数の貫通孔26と複数の内筒支持体13とが上下に重ね合わされても、これらの内筒支持体13が各貫通孔26を完全に被覆してしまうことはない。そのため、外管10の内部に内管20が収容されても、当該内管20の内部に侵入した異物の排出流路は確保される。
そして、外管10の内部において、軸受部40から開口孔60を介して流入する異物、および、内管20から複数の貫通孔26を介して流入する異物は、外管10の下端縁部に形成された排出溝14からさらに下方に排出される。そのため、外管10の内部に異物が滞留することなく、外管10の内部に内管20を着脱し難くなる不具合を防止することができ、また、滞留した異物に起因するサビや腐食の発生を防止することができる。
次に、本発明に係る車止め1の使用方法の一具体例について、図14および図15を参照しつつ説明する。図14は、車止めとポールの関係を示す斜視展開図である。図15は、地中に埋設された車止めの正面図である。本実施形態では、あらかじめ上端開口10aが地表レベルと同一となるように車止め1が地中に埋設されており、この車止め1を用いて金属製のポール100を立設する場合を例示して説明する。
なお、車止め1をあらかじめ地中に埋設するには、車止め1の設置場所に所定深さの穴200を掘り、この穴200の底部に砕石210を入れたのちに転圧して平坦にする。そして、この砕石210の上に土砂220を入れることで、穴200の深さを車止め1の上下方向の長さと一致するように調整する。その後、車止め1を穴200に垂直に立設した状態で車止め1の外周を土砂230で埋めることで、車止め1の上端面(上端開口10a)と地表とが面一となるようにすればよい。これにより、上端開口10aが地表レベルを同一としつつ、車止め1を地中に埋設することができる(図15参照)。
そして、図14および図15に示すように、車止め1の使用時には、まず上端開口10aを塞いでいる蓋体2を開方向に回転させて上端開口10aを開放状態とする。そして、上端開口20aから内管20の内部に向けてポール100が挿嵌された状態で、当該内管20が上端開口10aから外管10の内部に向けて収容される。これにより、車止め1に取付けられたポール100が地表から立設されて、ポール100のうちで地表に突出する部分が車両や歩行者等の通行を制限する。なお、外管10の内部に内管20をあらかじめ収容しておき、車止め1の使用時には当該内管20に直接ポール100を挿嵌するようにしてもよい。
また、ポール100には、その長手方向に直交する方向に貫通する抜け防止孔100aが形成されている。そして、車止め1を用いてポール100を立設しているときは、蓋体2に形成された孔部2aおよび抜け防止孔100aに細軸状の抜け防止ピン110が貫挿される。ここで、抜け防止ピン110の一端側には、その軸線方向と直交する方向に突出した突起部110aが形成されており、この突起部110aによって蓋体2が抜け防止ピン110の一端側から抜けることが防止される。また、抜け防止ピン110の他端側には、盗難防止用錠120が施錠されて取付けられることで、抜け防止孔100aから抜け防止ピン110が抜けることが防止される。つまり、蓋体2およびポール100を抜け防止ピン110で連結したのちに、当該抜け防止ピン110の先端側を盗難防止用錠120で係止することで、車止め1からポール100が引き抜かれたり、ポール100が盗難されたりする事態を防ぐことができる。
なお、蓋体2およびポール100を連結しなかった場合には、蓋体2は自重によって開方向に回転する。そして、当該蓋体2は、先述のように、その表面側が地表に当接した状態で保持されることになる。すなわち、この場合は、車止め1からのポール100の抜け防止はなされないものの、少なくとも蓋体2や支軸体30が地表に大きく突出することが防止されて、歩行者や車両等の通行を阻害することが防止されることになる。
一方、車止め1の不使用時には、上記と逆の手順を行なえばよい。すなわち、盗難防止用錠120を開錠して取り外したのちに、抜け防止ピン110を孔部2aおよび抜け防止孔100aから引き抜く。そして、ポール100(および内管20)を外管10から上方に引き抜いて、蓋体2を蓋受部19により保持される位置まで閉方向に回転させることで上端開口10aを閉塞させればよい。
以上、本実施形態に係る車止め1によれば、外管10の内部にポール100が挿嵌される内管20が収容される二重構造を有するものであって、蓋体2は支軸体30によって開方向または閉方向に回転可能に軸支される。そして、この蓋体2により外管10の上端開口10aが閉塞されると、当該蓋体2は蓋受部19により荷受されて上端開口10aと略面一となる状態で保持されるため、地表に大きな段差や突出部分が生じることがない。
一方、蓋体2の開閉動作に連動して、軸受部40の内部に収容された支軸体30が上下方向に摺動可能に構成される。そして、蓋体2は、蓋受部19により保持される位置から開方向に少なくとも180度回転自在となっている。そのため、蓋体2は外管10の上端開口縁部に当接する位置(本実施形態では、軸枠部41の荷受部41aに相当)を越えて、さらに開方向に回転可能である。そして、蓋体2を外管10の上端開口10aとは略180度位相が異なる位置まで回転させることで、当該蓋体2を地表に対して面接触させることができるため、地表に大きな段差や突出部分が生じることがない。
すなわち、開閉自在な蓋体2を一体に有する車止め1は、地中に埋設されていても地表に大きな段差や突出部分が生じることがなく、車両や歩行者に危害を及ぼす恐れを低減して安全性を確保することができる。
ところで、上記実施形態において、「外管10」が本発明の「外筒部材」に相当し、「上端開口10a」が本発明の「外筒部材の上端開口」に相当する。また、「内管20」が本発明の「内筒部材」に相当し、「上端開口20a」が本発明の「内筒部材の上端開口」に相当する。また、「ポール100」が本発明の「支柱体」に相当する。また、「連結板3,4」が本発明の「連結部材」に相当する。
なお、本発明は、上記の好ましい実施形態に記載されているが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が可能である。
例えば、上述の実施形態において、車止め1を構成する各部材の大きさや形状等は、車止め1が使用される場所やポールの種類等に応じて適宜変更すればよい。具体的には、ポールが四角柱状である場合は、内管20もポールに合わせて平面視略四角形の断面形状を有する有底筒状に形成すればよい。また、外管10は、内管20を内部に収容できるのであれば、内管20とは異なる形状であってもよい。また、蓋体2の形状や大きさ等も、外管10の上端開口10aに合わせて適宜変更可能である。
また、本実施形態では、支軸体30(可動片30a)は四角柱状に構成されているが、例えば、支軸体30(可動片30a)を薄板状あるいは筒状に形成してもよい。また、支軸体30が上下方向に摺動可能な範囲は、軸受部40(収容部43)の上下幅や係止片30bの形成位置を変えたりすることで最適な大きさとすることができる。
さらに、支軸体30は、蓋体2を少なくともその表面が地表レベルと同一となる程度まで回転可能に軸支できればよい。すなわち、支軸体30は、蓋体2が蓋受部19により保持される位置から開方向に少なくとも180度回転する範囲で、軸受部40の内部を上下方向に摺動可能であればよい。そのため、支軸体30が、蓋体2が蓋受部19による保持位置から開方向に180度以上回転できるように、軸受部40の内部でより上方に向けて摺動可能であってもよい。
また、本実施形態の車止め1では内部に侵入した異物を下方に排出するために、内管20の底壁25に7つの貫通孔26を設け、また外管10の下端縁部に3つの内筒支持体13を設けている。しかし、貫通孔26および内筒支持体13の形状や大きさ、あるいは数量等は適宜変更可能であることはいうまでもない。
本発明に係る車止めの外観斜視図である。 外管を中心とした外観斜視図である。 外管を中心とした平面図である。 外管を中心とした底面図である。 図3における外管を中心としたA−A線矢視方向断面図である。 外管を中心とした一部断面正面図である。 内管の外観斜視図である。 内管の平面図である。 内管の底面図である。 内管の一部断面正面図である。 (a)が蓋体を閉めた状態での車止めの外観斜視図であり、(b)が(a)に示す車止めの上端縁部における正面断面拡大図である。 (a)が蓋体を開いた状態での車止めの外観斜視図であり、(b)が(a)に示す車止めの上端縁部における正面断面拡大図である。 車止めの下端縁部における側面断面拡大図である。 車止めとポールの関係を示す斜視展開図である。 地中に埋設された車止めの正面図である。
符号の説明
1 車止め
2 蓋体
3,4 連結板
5 軸
10 外管
10a 上端開口
12 蓋枠部
19 蓋受部
20 内管
20a 上端開口
30 支軸体
30a 可動片
30b 係止片
40 軸受部
41 軸枠部
42 挿通部
43 収容部
44 段差部
45 底壁
60 開口孔
100 ポール
110 抜け防止ピン
120 盗難防止用錠

Claims (3)

  1. 地表に対して立設される支柱体を上端開口から挿脱自在であって、当該支柱体を内部で支持する有底筒状の内筒部材と、
    前記内筒部材を上端開口から挿脱自在であって、当該内筒部材を略同軸状態で内部に収容するとともに、地中に埋設される略筒状の外筒部材と、
    前記外筒部材の上端開口に嵌め込まれて当該上端開口を閉塞する一方、前記外筒部材の上端開口から取り外されて当該上端開口を開放する蓋体とを備え、
    前記外筒部材の上端開口が開放された状態で、当該外筒部材の内部に前記内筒部材が収容されるとともに、当該内筒部材の内部に前記支柱体が挿嵌される二重構造の車止めであって、
    前記外筒部材の径内側に突設され、当該外筒部材の上端開口に嵌め込まれた前記蓋体を荷受することにより、当該外筒部材の上端開口と略面一となるように当該蓋体を保持する蓋受部と、
    前記蓋体の一周縁部に連結されて、当該蓋体を前記外筒部材の上端開口に近接する方向又は離間する方向に回転可能に軸支する支軸体と、
    前記外筒部材の上端側部に突設され、前記蓋受部により保持される位置から前記離間する方向に少なくとも180度回転自在な前記蓋体に連動して前記支軸体が内部で上下方向に摺動可能な箱状の軸受部と
    を備えたことを特徴とする車止め。
  2. 前記支軸体は、上下方向を長手方向とする可動片と、当該柱状部の下端部またはその近傍において側面方向に突出した係止片とを有するとともに、
    前記軸受部には、前記可動片が内部に挿通される挿通部と、前記係止片が内部に収容される収容部とが、上下方向に連通して形成されており、
    前記支軸体は、前記係止片が前記収容部の内部において上下方向に移動可能な範囲で、前記軸受部の内部を上下方向に摺動可能であることを特徴とする請求項1に記載の車止め。
  3. 前記蓋体は、当該蓋体の一周縁部と前記支軸体の上端縁部とを連結する連結部材を備え、
    前記蓋体が前記蓋受部により保持されると、前記連結部材により前記支軸体が当該蓋体と略面一となるように保持されることを特徴とする請求項2に記載の車止め。
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