JP2008137804A - サクションロール装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】塵埃や薬剤などによる目詰まりが起こりにくいサクションロール装置。
【解決手段】サクションロール20は対向する支持フレーム11、11に支持された中心軸21と、通気性を有する円筒状多孔質体26とを有する。中心軸21と円筒状多孔質体26の間には複数の通気路29が円周方向で所定の間隔をあけて形成されている。一方の側板40には複数の通気路29のうちのいくつかの通気路の一端開口部31と対向する吸引口45が形成され、この吸引口に連通させて当該一方の側板40内に形成した通路46が吸引ブロワ50に接続されている。他方の側板41には、一方の側板40の吸引口45と連通していない複数の通気路29のうちのいくつかの通気路の他端開口部31と対向する加圧口47が形成されている。この加圧口に連通させて当該他方の側板41内に形成した通路48が加圧ブロワ52に接続されている。
【選択図】図1

Description

この発明は、合成樹脂シート、紙などの薄いシート状物を搬送する際に使用するサクションロール装置に関する。
従来、合成樹脂シート、紙などの薄いシート状物を搬送する際に、ロールの外周面でシート状物を吸着できるようにしたサクションロールが使用されている。これは、一般に、シート状物の吸着のために、ロールの外周面をパンチングメタルで構成するなど、ロール外周面に小径の孔を多数形成し、小径の孔を通して空気を吸引することにより、ロールの外周面に吸着力を形成できるようにしているものである(特許文献1〜3)。
ところで、ロールの外周面に小径の孔を多数形成した場合、小径の孔を通した吸引によりシート状物に痕跡が残るという問題が知られている。特に、シート状物に薬液等を塗布した直後に搬送した場合、小径の孔の部分と孔以外の部分で薬液の溶剤の気化速度に差が生じ、小径の孔の痕跡が顕著であった。
ロールの外周面に小径の孔を多数形成した場合の痕跡をなくするために、ロールの外周面を焼結金属等でなる多孔質体で構成することも試まれている(特許文献4)。
特開2000−177897号公報 特開2002−160857号公報 特開2003−312909号公報 特開2004−142936号公報
合成樹脂シートや紙などの薄いシート状物に吸着による痕跡が残らないように、ロールの外周面を多孔質体で構成した場合、多孔質体に形成される微細な孔は肉眼で見えない程度、即ち0.1〜0.2mmφ程度の微小孔であるので、結果として、塵埃や薬剤による目詰まりが生じやすいという問題があった。そして、この為、比較的短期間に清掃が必要で、機械の停止、分解、洗浄といった保守作業を頻繁に行わなければならず、稼働率の低下を招いていた。
この発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、合成樹脂シートや紙などの薄いシート状物に吸着による痕跡が残らないようにできるだけでなく、塵埃や薬剤などによる目詰まりが起こりにくいサクションロール装置を提供することを主な目的としている。
また、保守作業の容易なサクションロール装置を提供することを別の目的としている。
請求項1の発明は、上記の目的を達成するため、対向する支持フレーム間に、サクションロールが回転自在に支持されているサクションロール装置において、以下に説明する構成を備えている。
前記サクションロールは、対向する支持フレームに支持された中心軸と、中心軸の外側に嵌装されてサクションロールの吸着面を構成する、通気性を有する円筒状多孔質体とを備えている。
そして、前記中心軸と円筒状多孔質体の間には、サクションロールの長手方向に延びる複数の通気路が円周方向で所定の間隔をあけて形成されている。
ここで、前記複数の通気路の一端開孔部は、前記中心軸上に回転自在に設けた一方の側板で塞がれていると共に、他端開口部は、中心軸上に回転自在に設けた他方の側板で塞がれている。
また、前記一方の側板には、前記複数の通気路のうちのいくつかの通気路の一端開口部と対向する吸引口が形成されていると共に、この吸引口に連通させて当該一方の側板内に形成した通路が吸引ブロワに接続されている。
更に、前記他方の側板には、前記一方の側板の吸引口と連通していない複数の通気路のうちのいくつかの通気路の他端開口部と対向する加圧口が形成されていると共に、この加圧口に連通させて当該他方の側板内に形成した通路が加圧ブロワに接続されている。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記円筒状多孔質体は、前記中心軸の外側に着脱可能に嵌装されていることを特徴としている。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記複数の通気路は、前記中心軸上に長手方向で重ねられた複数の歯車状支持体の谷部で形成されていることを特徴としている。
さらに請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記複数の歯車状支持体は、歯部の先端に凹入部が形成され、凹入部に沿って設けた弾力性チューブを膨張させて円筒状多孔質体を固定し、弾力性チューブを収縮させて円筒状多孔質体を外せるようにしたことを特徴としている。
請求項1の発明によれば、吸引ブロワで形成された負圧が、一方の側板の吸引口を通して、この吸引口と連通している通気路に導かれ、負圧が導かれた通気路の外側部分で円筒状多孔質体の外周面に吸着力を形成することとなる。そして、この吸着力によって合成樹脂シート、紙などのシート状物を吸着し、サクションロールの回転に従ってシート状物を搬送することができる。
一方、加圧ブロワで形成された正圧は、他方の側板の加圧口を通して、前記一方の側板の吸引口と連通しておらず、この加圧口と連通している通気路に導かれる。この正圧は通気路からその外側の円筒状多孔質体を通して外部へと開放される。この円筒状多孔質体を通した正圧の開放によって、円筒状多孔質体に付着した塵埃や薬液も外部へ放出することができる。
このように、請求項1の発明によれば、円筒状多孔質体に付着した塵埃や薬液を逐次外部へ放出できるので、シート状物に吸着による痕跡を残すことなく搬送ができるばかりでなく、サクションロールを構成した円筒状多孔質体の目詰まりを低減し、長期に亘る運転を可能にできる効果がある。
また、円筒状多孔質体を焼結金属等のセラミック体からなる、微細の孔が互いに連通し、全体として通気性を有しているものとすることにより、合成樹脂シートや紙などの薄いシート状物に吸着による痕跡が残らないようにできる。
請求項2の発明によれば、円筒状多孔質体が着脱可能に嵌装されているので、円筒状多孔質体を洗浄する際には、中心軸から取り外して扱うことができる。この為、洗浄作業を容易にできる効果がある。
請求項3の発明によれば、サクションロールに設けられる複数の通気路が、中心軸上に長手方向で重ねられた複数の歯車状支持体の谷部で形成された構成であるので、複数の通気路の形成が容易にできる効果がある。尤も、円筒状多孔質体の長さに略等しい長さの柱状体を中心軸上に設け、この柱状体の外周部に長手方向にV乃至U字状の溝を複数、等間隔(円周方向で)に形成することによっても通気路の形成は可能である。
請求項4の発明によれば、弾力性チューブの膨張及び収縮によって、中心軸に対して円筒状多孔質体を着脱(固定及び取り外し)することができる。つまり、円筒状多孔質体に対する着脱機構は簡単であり、また操作も簡便にできるという効果がある。
以下、この発明の一実施形態を添付の図を参照して説明する。
図1、2が本発明のサクションロール装置10の一例の構成を示しており、図3〜図6は図1、図2図示のサクションロール装置を構成する各種部材の一例を説明するものである。また、図7は、図1、図2図示のサクションロール装置10の圧力系統図である。
図示したサクションロール装置10は、互いに対向して設置された支持フレーム11、11間にサクションロール20が回転自在に支持された構成となっている。
サクションロール20は、支持フレーム11、11に支持される中心軸21に、図2に例示されている形状・形態の歯車状支持体22が複数枚(図1図示の形態では7枚)、中心軸21の延びる方向(図1中、左右方向)に重ねた状態で嵌装され、キー23で中心軸21に対して回転しないように固定されている。
歯車状支持体22は、図2に示したように、谷部24と山部25を交互に有しており、中心軸21の延びる方向(図1中、左右方向)に重ねられた複数枚の歯車状支持体22間で、谷部24と山部25がそれぞれ合致するように固定されている。
前記複数枚の歯車状支持体22、22の外周にはさらに、円筒状多孔質体26が嵌装されている。円筒状多孔質体26は、焼結金属等のセラミック体でなり、微細の孔が互いに連通し、全体として通気性を有しているものである。すなわち、多数の微細な孔によって、円筒状多孔質体26の径方向内側から外側に向かって、また、径方向外側から内側に向かって、全体として通気性を有したものとなっている。
前記歯車状支持体22の各山部25の先端部には、それぞれ、凹入部27が図2に示したように形成してある。複数枚の歯車状支持体22が中心軸21の延びる方向(図1中、左右方向)に重ねられ、隣接する歯車状支持体22、22の山部25の先端部の凹入部27、27が連続することによって構成される溝に沿って、図1に示したように、弾力性チューブであるゴムチューブ28が配してある。
円筒状多孔質体26を、中心軸21の延びる方向(図1中、左右方向)に重ねられた複数枚の歯車状支持体22の外側に嵌装した後、ゴムチューブ28に圧縮空気を注入して膨張、封止し、嵌装した円筒状多孔質体26が固定されている。
中心軸21の延びる方向(図1中、左右方向)に重ねて設置した複数枚の歯車状支持体22の各谷部24は、中心軸21の長手方向で整列しており、各谷部24毎に、中心軸21の長手方向に沿って複数の通気路29、29が形成されている。
複数の通気路29、29は、図示の例では、円周方向で等間隔に形成されている(図2参照)。複数の通気路29、29は、それぞれ、外側の円筒状多孔質体26に向かって開いており、外側の円筒状多孔質体26が備えている前述した多数の微細な孔に連通している。
中心軸21に嵌装した歯車状支持体22及び円筒状多孔質体26の両端部には、図4に示したような形状の端板30が設けてあり、前述したゴムチューブ28への圧縮空気の注入、膨張、封止による円筒状多孔質体26の固定とあいまって、円筒状多孔質体26が中心軸21の長手方向で移動しないようにされている。
これらの端板30には、歯車状支持体22の谷部24で形成される通気路29と連通するように、複数の開口部31が同一円周上に等間隔で設けられている。
また、歯車状支持体22の山部25のうちのいくつかの山部25の先端部に設けた透孔32に合致するように、端板30側にはざぐり穴33が設けてある。
中心軸21の延びる方向(図1中、左右方向)に重ねて設置した複数枚の歯車状支持体22の透孔32に連結ボルト(図示せず)を挿通し、ざぐり穴33のざぐり部分に突出したねじ部にナット(図示せず)を締め付けることによって、複数枚の歯車状支持体22、22と、端板30、30とを一体化できるようにされている。
通気路29は、一端(例えば、図1中、左側の端)及び他端(例えば、図1中、右側の端)において、端板30、30の開口部31を通して外部に開口しており、これらの開口部31を塞ぐために、各端板30の外側に、図5、6に示したような側板40、41が配されている(図1)。
図1に示されているように、各端板40、41は、中心軸21に回転自在に設けられており、スプリング42で付勢されて端板30に押し付けられている。図1中、符号43で示されている部材は、スプリング42をバックアップしているバックアップリングである。各側板40、41には、歯車状支持体22及び円筒状多孔質体26と一緒に回転させないために、支持フレーム11から延びる回り止めピン44が挿入係止させてある。
通気路29の一端の開口部31を塞いでいる一方の側板40には、図5(a)に表れているような弧状の吸引口45が開口部31と対向する位置に設けられている。
吸引口45を弧状に形成することによって、図2に一点鎖線で示したように、吸引口45が複数の通気路29、29のうちのいくつか(図では4個)の通気路29、29と連通できるようにされている。
側板40に形成した吸引口45は、側板40内に形成されて周面に開口している通路46に連通している。
通気路29の他端の開口部31を塞いでいる他方の側板41には、図6(a)に表れているような弧状の加圧口47が開口部31と対向する位置に設けられている。
この弧状の加圧口47は、図2に一点鎖線で示したように、吸引口45と連通していない通気路29、29のうちのいくつか(図では4個)の通気路29、29と連通できるようにされている。
そして、この加圧口47も、前記と同様に、側板41内に形成されて周面に開口している通路48に連通している。
最後に、前記一方の側板40の通路には、図7に示してあるように、吸引ブロワ50を介在させた吸引配管51が接続されている。また、他方の側板41の通路48には、加圧ブロワ52を介在させた加圧配管53が接続されている。加圧配管53にはフィルター54も介在させてある。
以上の如くに構成されたサクションロール装置10の運転に際しては、中心軸21に取り付けられたギヤ60を介して中心軸21に回転駆動力を伝達し、中心軸21と共に歯車状支持体22並びに円筒状多孔質体26を回転させる。例えば、図2において、時計回り方向に回転させる。
同時に、吸引ブロワ50を運転して負圧を吸引配管51を通して一方の側板40の吸引口45に導き、かつ、加圧ブロワ52を運転して、正圧を加圧配管53を通して他方の側板41の加圧口47に導くようにする。
このようにすることで、負圧は吸引口45に連通した通気路29に導かれ、図2の上側に小さい矢印で示したように、円筒状多孔質体26を通して空気を吸い込み、円筒状多孔質体26の外周面でシート状物70に吸着力を作用させることができ、シート状物70をスリップさせることなく搬送することができる。
この際、円筒状多孔質体26に備わっている微細な孔を介して吸引されるので、シート状物70に吸着による痕跡を残さないようにできる。
一方、正圧は、加圧口47に連通した通気路29に導かれ、図2の下側に小さい矢印で示したように、円筒状多孔質体26を通して空気を外周面から放出させる。
この空気の放出の際に、円筒状多孔質体26に付着した塵埃や薬液も一緒に放出させることができるので、円筒状多孔質体26の外周面を清浄に保ち、塵埃や薬液による目詰まりを防止することができる。この為、長期間に亘って連続運転することを可能にする。
加圧ブロワ52の正圧によって、円筒状多孔質体26の外周面から放出させた塵埃や薬液は、円筒状多孔質体26の外側に設置したダストシュート71で受けるようにして、周囲に飛散させないようにすることが望ましい。
ダストシュート71には、フィルター72を介在させた回収配管73を接続し、この回収配管73を加圧ブロワ52の吸引側に接続することで、フィルター72で塵埃や薬液を回収することができる。
長期の運転で、円筒状多孔質体26の洗浄が必要になったときには、前述したゴムチューブ28に注入、封止されていた圧縮空気を抜き取り、中心軸21から円筒状多孔質体26を取り外し、円筒状多孔質体26を単独で洗浄することができる。
このように、円筒状多孔質体26を取り外す場合、封止したゴムチューブ28の加圧空気を抜いてゴムチューブ28を収縮させることで簡単に取り外すことができる。
この発明のサクションロール装置の一例を示す正面断面図。 図1図示のこの発明のサクションロール装置の縦断側面図。 図1図示のサクションロール装置のサクションロールを構成する歯車状支持体の一例を示す図で、(a)は正面図、(b)は断面図。 図1図示のサクションロール装置のサクションロールを構成する端版の一例を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)のb−b線に沿う断面図。 図1図示のサクションロール装置のサクションロールを構成する一方の側板の一例を示す図で、(a)は正面図、(b)は縦断面図。 図1図示のサクションロール装置のサクションロールを構成する他方の側板の一例を示す図で、(a)は正面図、(b)は縦断面図。 図1図示のこの発明のサクションロール装置の圧力系統図。
符号の説明
10 サクションロール装置
11 支持フレーム
20 サクションロール
21 中心軸
22 歯車状支持体
23 キー
24 谷部
25 山部
26 円筒状多孔質体
27 凹入部
28 ゴムチューブ
29 通気路
30 端版
31 開口部
32 透孔
33 ざぐり穴
40 一方の側板
41 他方の側板
42 スプリング
43 バックアップリング
44 回り止めピン
45 吸引口
46 通路
47 加圧口
48 通路
50 吸引ブロワ
51 吸引配管
52 加圧ブロワ
53 加圧配管
54 フィルター
60 ギヤ
70 シート状物
71 ダストシュート
72 フィルター
73 回収配管

Claims (4)

  1. 対向する支持フレーム間に、サクションロールが回転自在に支持されているサクションロール装置において、
    前記サクションロールが、対向する支持フレームに支持された中心軸と、中心軸の外側に嵌装されてサクションロールの吸着面を構成する、通気性を有する円筒状多孔質体とを備えており、
    前記中心軸と円筒状多孔質体の間には、サクションロールの長手方向に延びる複数の通気路が円周方向で所定の間隔をあけて形成されており、
    前記複数の通気路の一端開孔部が前記中心軸上に回転自在に設けた一方の側板で塞がれていると共に、他端開口部が中心軸上に回転自在に設けた他方の側板で塞がれ、
    前記一方の側板には、前記複数の通気路のうちのいくつかの通気路の一端開口部と対向する吸引口が形成されていると共に、この吸引口に連通させて当該一方の側板内に形成した通路が吸引ブロワに接続され、
    前記他方の側板には、前記一方の側板の吸引口と連通していない複数の通気路のうちのいくつかの通気路の他端開口部と対向する加圧口が形成されていると共に、この加圧口に連通させて当該他方の側板内に形成した通路が加圧ブロワに接続されている
    ことを特徴とするサクションロール装置。
  2. 前記円筒状多孔質体は、前記中心軸の外側に着脱可能に嵌装されている請求項1記載のサクションロール装置。
  3. 前記複数の通気路は、前記中心軸上に長手方向で重ねられた複数の歯車状支持体の谷部で形成されている請求項1又は2記載のサクションロール装置。
  4. 前記複数の歯車状支持体は、歯部の先端に凹入部が形成され、凹入部に沿って設けた弾力性チューブを膨張させて円筒状多孔質体を固定し、弾力性チューブを収縮させて円筒状多孔質体を外せるようにした請求項3に記載のサクションロール装置。
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