JP2008137555A - 車輪情報送信装置、車輪状態監視システム、および、車輪情報送信装置のモード変更方法 - Google Patents

車輪情報送信装置、車輪状態監視システム、および、車輪情報送信装置のモード変更方法 Download PDF

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Abstract

【課題】車輪に関連する車輪情報を送信する車輪情報送信装置におけるモードを簡易な構成で精度良く変更する。
【解決手段】TPMSバルブ2において、センサ本体11は、車輪に関連する車輪情報を検出し送信する。車輪側制御部22は、複数のモードの中から選択されたモードでセンサ本体11を制御する。スイッチ24は、空気の流れに反応して切り替わる。車輪側制御部22は、スイッチ24が切り替わった場合、複数のモードの中から所定のモードに変更する。これにより、TPMSバルブ2のモードを精度よく変更することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、車輪に関連する車輪情報を送信可能な装置の技術に関し、例えばタイヤの空気圧等の車輪情報を送信する装置に関する。
従来、車両に用いられる車輪においては、タイヤの空気圧を維持し、また、必要に応じて空気を充填するためのエアバルブが装着されている。特許文献1には、タイヤの空気圧注入口に装着されるバルブキャップであって、そのバルブキャップの先端に設けられたボタンを操作することでタイヤの空気圧を測定する構成が開示されている。
また、最近では、タイヤ空気圧モニタリングシステム(以下、「TPMS」と表記する)に代表されるように、タイヤの内部空気圧などの車輪状態を、各車輪に設けられたセンサ類により検出して、車体に設けられた電子制御装置(以下、「ECU」と表記する)などに送信するシステムが普及してきている。このようなシステムとして、特許文献2や特許文献3には、タイヤ内の空気圧力を測定して無線により送信データを送信するセンサ部と、送信データを受信しタイヤ内の空気圧力を監視する受信機と、を備えた構成が開示されている。
上述したTPMSの中には、車両の製造時や整備時に、新たに装着する車輪が備えているセンサ固有の識別情報を車体側の受信機に登録する場合がある。また、各車輪に設けられたセンサの作動モードを、車輪状態に応じて切替えるTPMSもある。例えば、通常時には低頻度で車輪状態を検出するが、異常が生じているおそれがあると判断される時には高頻度で車輪状態を検出するセンサを採用したTPMSにより、安全性の向上が図られている。
ところで、センサ固有の識別情報の登録やセンサの作動モードの切替えをタイヤの外部から操作する方法としては、トリガー電波による遠隔操作が主流であるが、操作の対象となる車両に近接する他の車両の空気圧センサに誤作動を引き起こすおそれがある。
このような問題に対して、特許文献2に記載のタイヤ空気圧監視装置においては、センサIDの登録の際に製造ラインに設けられている専用の登録制御装置を用いている。また、特許文献3に記載の車輪状態調整システムにおいては、タイヤの内部空気圧を調整する車輪状態調整手段を用いて所定の空気圧の変動を生じさせ、それをトリガーとしてセンサの送信頻度を左右する閾値を変更している。
実用新案登録第3064289号公報 特開2004−114898号公報 特開2005−297851号公報
しかしながら、特許文献2に記載の装置は、センサ以外に専用の登録制御装置を必要とするため、構成が複雑となっている。また、特許文献3に記載のシステムは、空気圧の変動をモード切替えのトリガーとしているため、タイヤの温度変化のみによって所定の空気圧の変動が生じた場合、センサが誤作動するおそれがある。また、無線による遠隔操作ではなく有線による操作も考えられるが、そのためには、センサ基板に操作用の導通線を接続したり、その導通線をエアバルブに通してタイヤ外に引き出したりする等の工程が必要となり、組立て時の作業効率を低下させる要因となる。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車輪に関連する車輪情報を送信する車輪情報送信装置におけるモードを簡易な構成で精度良く変更することができる技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車輪情報送信装置は、車輪に関連する車輪情報を検出し送信可能なセンサ本体と、複数のモードの中から選択されたモードで前記センサ本体を制御する車輪側制御部と、空気の流れに反応して切り替わるスイッチと、を備える。前記車輪側制御部は、前記スイッチが切り替わった場合、前記複数のモードの中から所定のモードに変更する。
ここで、車輪に関連する車輪情報とは、例えば、タイヤの空気圧や温度等、車両の走行や車輪の耐久性に影響を与えるような情報が含まれる。また、車輪情報送信装置は、検出した車輪情報を定期的にあるいは所定のタイミングで送信可能であるとよい。
この態様によると、無線の代わりに空気の流れに反応して切り替わるスイッチを用いているので、無線による遠隔操作と比較して誤作動が少なく、精度良くモードを変更することができる。また、有線による操作のように、車輪の外部から操作するための導通線を車輪側制御部に接続したり、車輪を構成するタイヤやホイールに車輪情報送信装置を装着する際に、導通線を車輪の外部に引き出したりする必要がなく、簡易な構成でモードを変更することができる。
前記スイッチは、タイヤの内部から外部へ流出する加圧空気の流れ、または、外部からタイヤの内部へ流入する空気の流れに反応して切り替わる。これにより、空気の流れを発生させるための特別な部材や装置を用いなくても、車輪を構成するタイヤの内部から加圧空気を抜く際に流出する空気や、タイヤの内部へ空気を充填する際に流入する空気を用いてスイッチの切替えを行うことができる。
前記センサ本体は、前記車輪情報としてタイヤの空気圧を検出する空気圧センサと、前記タイヤの空気圧の情報を含む信号を送信する車輪側送信部と、を有してもよい。このような空気圧センサを備えた車輪情報送信装置であっても、空気圧センサにより検出した空気圧の変動をモード切替えのトリガーとせず、スイッチが切り替わる空気の流れをトリガーとしているので、温度変化によって空気圧の変動が生じても、誤ってモードが変更されることを抑制することができる。
前記センサ本体および前記車輪側制御部を収納する筐体を更に備えてもよい。前記筐体は、タイヤの内部と外部との間を空気が流れる際に通過する通路を有してもよい。前記スイッチは、前記通路に設けられていてもよい。これにより、空気の流れによるセンサ本体のモードの変更を更に精度良く行うことができる。
前記筐体と一体的に設けられ、タイヤが装着されるホイールに形成された孔部に取り付けられるバルブステムを更に備えてもよい。前記スイッチは、前記通路において、前記バルブステムより前記車輪側制御部に近い箇所に設けられていてもよい。これにより、スイッチが切り替わった際の出力信号を車輪側制御部に伝えるための接続線を短くすることができ、車輪情報送信装置の信頼性を向上することができる。
前記バルブステムは、外部からの操作により開弁し、タイヤの内部と外部とを連通する弁機構を有してもよい。これにより、作業者が弁機構を操作しタイヤの内部と外部とを連通させることで、例えば、外部より高圧であるタイヤの内部から空気が流出することになり、特別な装置を必要とせずに空気の流れを生じさせることができる。
前記スイッチは、回転軸を中心に空気の流れにより回転する可動部を有し、該可動部が動くことで切り替わり、前記回転軸は、その軸方向と、車輪情報送信装置本体が車輪に装着され回転した場合に前記可動部に発生する遠心力の向きとが実質的に平行になるように設けられていてもよい。これにより、車輪情報送信装置が車輪に装着され回転しても、遠心力により可動部が回転しにくいため、誤ってスイッチが切り替わることを抑制することができる。
前記スイッチは、回転軸を中心に空気の流れにより回転する可動部を有し、該可動部が動くことで切り替わり、前記回転軸は、前記可動部の重心を通ってもよい。これにより、車輪情報送信装置が車輪に装着され回転しても、遠心力により可動部が回転しにくいため、誤ってスイッチが切り替わることを抑制することができる。
本発明の別の態様は、車輪状態監視システムである。この車輪状態監視システムは、車輪情報送信装置と、前記車輪情報を受信し処理する車輪情報処理装置とが情報の通信を行うことにより車輪の状態を監視する車輪状態監視システムであって、前記車輪情報処理装置は、前記車輪情報送信装置から送信された前記センサ本体に固有の識別情報および前記車輪情報を含む信号を受信する車体側受信部と、前記識別情報および前記車輪情報に基づいて前記車輪情報送信装置が設けられている車輪の状態を推定する車体側制御部とを備える。前記車輪側制御部は、前記スイッチの切り替わりにより、所定のモードとして前記識別情報を前記車体側制御部に登録する登録モードが選択された場合、前記センサ本体から前記識別情報を含む登録信号が送信されるように該センサ本体を制御し、前記車体側制御部は、前記登録信号を受信した場合、該登録信号に含まれている識別情報を登録する。
この態様によると、無線の代わりに空気の流れに反応して切り替わるスイッチを用いているので、無線による遠隔操作と比較して誤作動が少なくなり、また、精度良く登録モードに変更することができる。また、車輪情報送信装置以外に専用の登録制御装置を必要とせずに、センサ本体に固有の識別情報を車体側制御部へ登録することができる。
本発明の更に別の態様は、車輪情報送信装置のモード変更方法である。この方法は、車輪に関連する車輪情報を検出し送信可能なセンサ本体と、複数のモードの中から選択されたモードで前記センサ本体を制御する車輪側制御部と、空気の流れに反応して切り替わるスイッチと、を備える車輪情報送信装置のモード変更方法であって、車輪情報送信装置が備えられている車輪のバルブを操作してタイヤの内部の加圧空気を排出し、その際の空気の流れで前記スイッチを切替えることで、前記複数のモードの中から所定のモードに変更する。
本発明によれば、車輪に関連する車輪情報を送信する車輪情報送信装置におけるモードを簡易な構成で精度良く変更することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
(車輪情報送信装置)
図1は、本実施の形態に係る車輪情報送信装置が取り付けられたホイールの要部を模式的に示した断面図である。図2は、図1に示す車輪情報送信装置が取り付けられたリム近傍の要部断面図である。本実施の形態に係る車輪情報送信装置は、タイヤ空気圧監視システム(Tire Pressure Monitoring System:以下TPMSという)を備えたTPMSバルブ2である。TPMSバルブ2は、図1に示すように、タイヤ4が装着されるホイール6のリム6aに取り付けられている。より詳しくは、TPMSバルブ2は、ホイール6の内側から外側へ向かって貫通するように形成された孔部6bに取り付けられている。なお、タイヤ4とホイール6とから車輪3が構成される。
本実施の形態に係るTPMSバルブ2は、センサ等を備えるケース10と、ケース10と一体的に設けられホイール6に形成された孔部6bに取り付けられるバルブ部12とを備えている。ケース10は、図2に示すように、その内部にセンサ本体11を収納している。センサ本体11は、車輪に関連する車輪情報としてタイヤ4の空気圧を検出する空気圧センサ14と、検出した車輪情報を車両本体に備えられた受信装置に高周波の電波を含む信号として送信する車輪側送信部16と、複数のモードの中から選択されたモードでセンサ本体11を制御する車輪側制御部22とを有する。ここで、車輪側制御部22は、センサ本体11の内部に設けてもよいし、センサ本体11とは別体としてケース10の内部に配置してもよい。
車輪側制御部22は、通常の走行時においてタイヤの空気圧を監視する監視モード、および、車輪を新たに車両に装着する際にセンサ本体11に固有の識別情報の登録を行う登録モード、のいずれかから選択されたモードでセンサ本体11の制御が可能である。また、監視モードとしては、空気圧センサ14における空気圧の検出間隔、車輪側送信部16における信号の送信間隔等の設定が異なる複数のモードのうちいずれかから選択されたものとしてもよい。
TPMSバルブ2は、空気の流れに反応して切り替わるスイッチ24を更に備える。そして、車輪側制御部22は、スイッチ24が切り替わった場合、それまで実行していたモードを前述の複数のモードの中から選択された所定のモードに変更し、その所定のモードによりセンサ本体11を制御する。ここで、TPMSバルブ2における複数のモードの中には、車輪側送信部16からの送信が停止するスリープモードが含まれている。そして、TPMSバルブ2は、スイッチ24の切り替えによりスリープモード(換言すれば車輪側送信部16のオンオフモード)に移行してもよい。
このように、本実施の形態に係るTPMSバルブ2は、無線の代わりに空気の流れに反応して切り替わるスイッチ24を用いているので、無線による遠隔操作と比較して誤作動が少なく、精度良くモードを変更することができる。また、有線による操作のように、車輪の外部から操作するための導通線を車輪側制御部22に接続したり、ホイール6にTPMSバルブ2を装着する際に、導通線をタイヤの外部にバルブ部12を介して引き出したりする必要がなく、TPMSバルブ2の製造工程やTPMSバルブ2をホイール6に装着する工程での作業効率の低下を回避することができる。
バルブ部12は、タイヤ4とホイール6とにより囲まれる内部領域8の圧力をホイール6の外部より高く維持するとともに、外部から気体を内部領域8に導入することが可能な構造となっている。より詳しくは、ホイール6の孔部6bに取り付けられる管状のバルブステム18の内部に逆止弁が設けられている。この逆止弁は、タイヤ4の内部領域8への空気注入時には弁が開く一方、通常の状態では外気より高圧な内部領域8の圧力により閉じた状態となっており、内部領域8の圧力を維持することができる。
本実施の形態に係るバルブステム18は、空気の流入経路を長手方向とした円筒部材であり、その外周にはねじ山18aが形成されている。そして、内側にねじ溝が形成されているナット25をバルブステム18の外周に取り付け回転させることで、バルブステム18が矢印A方向に移動する力が発生する。そのため、バルブステム18とともにケース10にもリム6aに向かう力が働き、ケース10の側面がリム6aに押し付けられる。その結果、バルブステム18に発生している軸力により、ナット25とケース10との間にホイール6が挟持されることで、TPMSバルブ2がホイール6に固定される。
また、バルブステム18の一方の先端には、外部から操作することで逆止弁を開弁しタイヤの内部と外部とを連通させることが可能な突起20が設けられている。本実施の形態に係るTPMSバルブ2は、バルブステム18の内部に設けられている逆止弁と、その逆止弁を開弁するための突起20とを有する弁機構を備える。これにより、作業者や所定の装置によりタイヤの内部から空気を流出させたりタイヤの内部へ空気を流入させたりすることで、特別な装置を必要とせずに空気の流れを生じさせることができる。そして、スイッチ24は、タイヤ4の内部から外部へ流出する加圧空気の流れ、または、外部からタイヤ4の内部へ流入する空気の流れに反応して切り替わる。
また、ケース10は、タイヤ4の内部と外部との間を空気が流れる際に通過する管状の通路26を有している。本実施の形態に係る通路26は、ケース10とバルブステム18との接続部の近傍から、ケース10の上面に設けられた開口部28まで空気が導かれるように設けられている。これにより、バルブステム18を介して流入する空気、あるいは、バルブステムも介して流出する空気は、通路26を通過することになる。また、本実施の形態に係るスイッチ24は、通路26に設けられている。
そのため、少ない空気の流れでスイッチ24を切替えることができるので、センサ本体11のモードの変更を更に精度良く行うことができる。また、空気圧センサ14により検出した空気圧の変動をモード切替えのトリガーとせず、スイッチ24が切り替わる空気の流れをトリガーとしているので、温度変化によって空気圧の変動が生じても、誤ってモードが変更されることを抑制することができる。
また、スイッチ24は、通路26において、バルブステム18より車輪側制御部22に近い箇所に設けられていてもよい。これにより、スイッチが切り替わった際の出力信号を車輪側制御部22に伝えるための接続線を短くすることができ、TPMSバルブ2の信頼性を向上することができる。
(スイッチ)
図3は、本実施の形態に係るスイッチの通路内での配置を模式的に示した図である。図4は、本実施の形態に係るスイッチの上面図である。以下では、スイッチ24の切替えを、バルブ部12の突起20を操作してタイヤ内の空気を流出させる際に発生する空気の流れを利用して行う場合について説明する。
スイッチ24は、空気の流出方向Bに対して交差する方向、より好ましくは空気の流出方向Bに対して実質的に垂直な方向が軸方向となる回転軸30を有する。回転軸30は、通路26を形成する壁面に回転可能に支持されている。また、スイッチ24は、回転軸30を中心に空気の流れにより回転する可動部として板状の三角片32を有する。これにより、三角片32は、通路26内を空気が流れると、回転軸30を中心に回転し、三角片32や回転軸30に設けられた接触片(不図示)が接点に接触することで、スイッチ24が切り替わることになる。
本実施の形態に係るスイッチ24は、回転軸30が三角片32の重心Gを通るように構成されている。これにより、三角片32は、傾かずに回転軸30上で静止するため、TPMSバルブ2がホイール6に装着され回転しても、遠心力により三角片32が回転しにくく、誤ってスイッチ24が切り替わることを抑制することができる。また、回転軸30の周囲にはバネ34が巻かれている。バネ34の一端は三角片32に固定され、他端は通路26の内壁に固定されている。そして、バネ34は、三角片32が回転した場合に元の静止状態に戻すための復元力を発生する。
これにより、スイッチ24を複数回切替え、その切替えた回数に応じて車輪側送信部16が複数のモードの中から所定のモードを選択するような場合、三角片32が自然に静止状態になるまで待つ必要がなく、迅速なモードの変更が可能となる。つまり、断続的に複数回の空気の流出を行う場合、バネ34により三角片32が初期の静止状態にすぐに戻るため、空気の流出間隔を短くすることができる。
図5は、本実施の形態に係る可動部に発生する回転モーメントを説明するための模式図である。三角片32は、その重心Gを通る回転軸30を挟んで、面積A1の三角状の領域と、面積A2の台形状の領域とに分けられる。ここで、A1<A2となるように三角片の形状を設計する。また、三角状の領域の重心G1に働く力F1、台形状の領域の重心G2に働く力をF2、重心G1と重心Gとの距離をa、重心G2と重心Gとの距離をbとすると、下記の式(1)を満たすように各値を設計するとよい。
F1×a=F2×b・・・(式1)
式(1)に示す関係が満たされれば、回転軸30を挟んだ三角状の領域と台形状の領域それぞれの回転モーメントが釣り合うため、三角片32は、空気の流出方向Bに対して実質的に垂直な状態で静止することができる。これにより、少ない空気の流れであっても、三角片32が受ける力が大きくなるため、スイッチ24の切替え感度が高くなる。
また、回転軸30を挟んだ三角状の領域と台形状の領域の面積が異なるため、通路26内の一様な空気の流れに対しても台形状の領域が受ける力が大きくなる。その結果、常に一方向の回転モーメントが大きくなるため、空気の流れがあるにもかかわらず三角片32が回転しないという事態を回避することができる。なお、可動部の形状としては、必ずしも三角形状である必要はなく、前述の効果を加味して適宜設計すればよい。
図6は、本実施の形態に係る他のスイッチの通路内での配置を模式的に示した概略図である。スイッチ124は、空気の流出方向Bに対して実質的に平行な方向が軸方向となる回転軸130を有する。回転軸130は、通路26に両端が固定されている固定軸132の外周に回転可能に支持されている。また、スイッチ124は、回転軸30を中心に空気の流れにより回転する可動部として2枚の羽根134を有する。これにより、羽根134は、通路26内を空気が流れると、回転軸130を中心に回転し、回転軸130に設けられた接触片136が接点138に接触することで、スイッチ124が切り替わることになる。
また、回転軸130は、その軸方向と、TPMSバルブ2がホイール6に装着され回転した場合に羽根134に発生する遠心力の向きとが実質的に平行になるように設けられているとよい。これにより、TPMSバルブ2がホイール6に装着され回転しても、遠心力により羽根134が回転しにくいため、誤ってスイッチ124が切り替わることを抑制することができる。また、固定軸132の周囲にはバネ140が巻かれている。バネ140の一端は回転軸130に固定され、他端は固定軸132に固定されている。そして、バネ140は、羽根134が空気の流れを受けて回転軸130が回転した場合に元の静止状態に戻すための復元力を発生する。
(車輪状態監視システム)
次に、上述のTPMSバルブ2に固有の識別情報を車体側に設けられた車輪情報処理装置に登録する車輪状態監視システムについて説明する。図7は、本実施の形態に係る車輪情報送信装置および車輪情報処理装置を備えた車両を示す概略構成図である。なお、本実施の形態に係る車輪状態監視システムは、上述の車輪情報送信装置と車輪情報処理装置とを備え、車輪情報送信装置と車輪情報処理装置とが情報の通信を行うことにより車輪の状態を監視する。
図7に示される車両210は、車体212に設けられた4体の車輪3FR,3FL,3RR,3RL(なお、以下では適宜、車輪3FR〜3RLを総称して「車輪3」という。)と、操舵輪である車輪3FR,3FLを操舵する図示されない操舵装置と、これら車輪3のうち駆動輪を駆動する図示されない走行駆動源等を備える。
上述の各車輪3には、TPMSバルブ2FR,2FL,2RR,2RL(なお、以下では適宜、TPMSバルブ2FR〜2RLを総称して「TPMSバルブ2」という。)が装着されている。
図8は、図7の車両に含まれるTPMSバルブを説明するためのブロック図である。TPMSバルブ2のケース10の内部には、図8に示されるように、空気圧センサ14、車輪側送信部16、車輪側制御部22およびバッテリ36が収容されている。これにより、TPMSバルブ2は、車輪に関連する車輪情報としてのタイヤ空気圧を取得するとともに取得した車輪情報を定期的に送信可能な車輪情報送信装置として機能する。
また、本実施の形態に係る車両210は、各車輪3のTPMSバルブ2に含まれる車輪側送信部16の記憶部に対して、自己の車輪を他の車輪と識別するための識別情報としてそれぞれ固有のIDコードが付与されている。換言すれば、センサ本体11に固有の識別情報としてそれぞれ固有のIDコードが付与されている。
本実施の形態では、例えば、右前方の車輪3FRに装着されるTPMSバルブ2FRの車輪側送信部16にIDコード=1が付与され、左前方の車輪3FLに装着されるTPMSバルブ2FLの車輪側送信部16にIDコード=2が付与され、右後方の車輪3RRに装着されるTPMSバルブ2RRの車輪側送信部16にIDコード=3が付与され、左後方の車輪3RLに装着されるTPMSバルブ2RLの車輪側送信部16にIDコード=4が付与されている。
そして、通常の走行時における監視モードにおいて、各車輪側送信部16は、空気圧センサ14による検出値とともに、送信元の車輪側送信部16を示すIDコードを含む信号を定期的に送信する。なお、このような車輪側送信部16の信号の定期送信は、ホイールにタイヤを装着することにより構成された車輪3にTPMSバルブ2が装着され、アセンブリとして工場から出荷された段階から開始してもよい。
一方、車両210の車体212には、図7および図8に示されるように、TPMSバルブ2の車輪側送信部16から送信される情報を用いて各種制御を実行する処理手段としての電子制御ユニット(以下「ECU」という)38が搭載されている。ECU38は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM、入出力インターフェース、記憶装置等を備えるものである。そして、ECU38は、図7に示されるように、車体側受信部40、センサ群42および警報装置44が接続されている。
車体側受信部40は、各車輪3のTPMSバルブ2に含まれる車輪側送信部16との間で信号の送受信を行うものであり、車輪側送信部16から無線送信された信号を受信してECU38に与える。センサ群42には、例えば、車輪3ごとに設けられて対応する車輪3の速度を検出する図示されない車輪速センサ等が含まれる。警報装置44は、ECU38の制御のもと、所定条件下で運転者に警報を発するものであり、例えば、車両210のインストルメンツパネルに設けられている警告表示装置等が含まれる。
本実施の形態に係る車輪情報処理装置は、主として、車体側受信部40やECU38等により構成され、TPMSバルブ2から送信された車輪に関連する車輪情報を処理する。車両210の走行中等には、各TPMSバルブ2の空気圧センサ14により車輪3の空気圧が検出され、各車輪側送信部16から、空気圧センサ14の検出値と自己のIDコードとを示す信号が車体側受信部40に定期的に無線送信される。そして、車体側受信部40により車輪側送信部16からの信号が受信されると、ECU38は、車体側受信部40により受信された信号に含まれるIDコードがその記憶装置に記憶(登録)されているIDコードのうちの1つと一致したときに、受信された信号を用いた所定の処理を実行する。具体的には、ECU38は、IDコードおよび空気圧センサ14の検出値に基づいて、そのIDコードが記憶されているTPMSバルブ2が設けられている車輪の状態を推定する。
したがって、車輪情報処理装置を機能させるためには、各TPMSバルブ2の車輪側送信部16のIDコードをECU38に登録しておくことが必要となる。このような登録は、簡易な構成により簡便に行われることが好ましい。そこで、本実施の形態に係る車輪状態監視システムは、TPMSバルブ2の内部に設けられているスイッチを切替えることで通常の監視モードではなく、IDコードをECU38に登録する登録モードに変更する。また、このスイッチの切替えは、空気の流れを利用して行われる。
(車輪状態監視システムにおける識別情報の登録方法)
ホイール6にタイヤ4を装着することにより構成された車輪3にTPMSバルブ2が装着され、アセンブリとして工場から出荷された後、各車輪3は新たな車体212に取り付けられることになる。この際、車体212が備えるECU38は、各TPMSバルブ2に固有のIDコードを登録する必要がある。
図9は、本実施の形態に係る識別情報の登録方法を説明するためのフローチャートである。はじめに、作業者は、TPMSバルブ2からIDコードを含む登録信号が出力された場合に、そのIDコードを登録可能な状態にECU38の設定を変更する(S10)。次に、作業者は、本実施の形態に係るTPMSバルブ2のバルブ部12の先端に設けられている突起20を操作し、逆止弁を開弁することで、タイヤの内部に充填されている高圧の空気をタイヤ4の外部に流出させる(S12)。これにより、TPMSバルブ2の内部に備えられているスイッチ24が空気の流れにより切り替わる。
車輪側制御部22は、このスイッチ24の切り替わりにより新たに登録モードを選択する(S14)。そして、車輪側制御部22は、センサ本体11が有する車輪側送信部16からIDコードを含む登録信号が出力されるように登録モードに従って車輪側送信部16を制御する。ECU38は、受信した登録信号に含まれるIDコードを登録する(S16)。
その後、作業者は、再度TPMSバルブ2のバルブ部12の先端に設けられている突起20を操作し、タイヤの内部に充填されている高圧の空気をタイヤ4の外部に流出させる(S18)。これにより、TPMSバルブ2の内部に備えられているスイッチ24が空気の流れにより再度切り替わる。車輪側制御部22は、このスイッチ24の切り替わりによりそれまでの登録モードから通常の監視モードに変更しこの処理を終了する(S20)。
なお、上述の実施の形態では、監視モードと登録モードという2つのモード間での変更であったが、3以上のモード間の切替えであってもよい。例えば、送信間隔が異なる3つのモードが設定されている場合、車輪側制御部22は、スイッチの切替えが一回行われた場合には、それまでのモード1をモード2に変更し、再度スイッチの切替えが行われた場合には、それまでのモード2をモード3に変更し、更にスイッチの切替えが行われた場合には、それまでのモード3をモード1に変更し、というようにモードの変更を行ってもよい。これにより、より多くのモード間での変更をスイッチの切替え回数に応じて簡易に行うことができる。
以上、本発明を上述の実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
また、上述の実施の形態に係る車輪側送信部16は、受信機能も併せ持つ送受信機であってもよい。また、車体側受信部40は、送信機能も併せ持つ送受信機であってもよい。
本実施の形態に係る車輪情報送信装置が取り付けられたホイールの要部を模式的に示した断面図である。 図1に示す車輪情報送信装置が取り付けられたリム近傍の要部断面図である。 本実施の形態に係るスイッチの通路内での配置を模式的に示した図である。 本実施の形態に係るスイッチの上面図である。 本実施の形態に係る可動部に発生する回転モーメントを説明するための模式図である。 本実施の形態に係る他のスイッチの通路内での配置を模式的に示した概略図である。 本実施の形態に係る車輪情報送信装置および車輪情報処理装置を備えた車両を示す概略構成図である。 図7の車両に含まれるTPMSバルブを説明するためのブロック図である。 本実施の形態に係る識別情報の登録方法を説明するためのフローチャートである。
符号の説明
2 TPMSバルブ、 3 車輪、 4 タイヤ、 6 ホイール、 10 ケース、 11 センサ本体、 12 バルブ部、 14 空気圧センサ、 16 車輪側送信部、 18 バルブステム、 20 突起、 22 車輪側制御部、 24 スイッチ、 26 通路、 30 回転軸、 32 三角片、 38 ECU、 40 車体側受信部。

Claims (10)

  1. 車輪に関連する車輪情報を検出し送信可能なセンサ本体と、
    複数のモードの中から選択されたモードで前記センサ本体を制御する車輪側制御部と、
    空気の流れに反応して切り替わるスイッチと、を備え、
    前記車輪側制御部は、前記スイッチが切り替わった場合、前記複数のモードの中から所定のモードに変更することを特徴とする車輪情報送信装置。
  2. 前記スイッチは、タイヤの内部から外部へ流出する加圧空気の流れに反応して切り替わることを特徴とする請求項1に記載の車輪情報送信装置。
  3. 前記センサ本体は、
    前記車輪情報としてタイヤの空気圧を検出する空気圧センサと、
    前記タイヤの空気圧の情報を含む信号を送信する車輪側送信部と、
    を有することを特徴とする請求項1または2に記載の車輪情報送信装置。
  4. 前記センサ本体および前記車輪側制御部を収納する筐体を更に備え、
    前記筐体は、タイヤの内部と外部との間を空気が流れる際に通過する通路を有し、
    前記スイッチは、前記通路に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車輪情報送信装置。
  5. 前記筐体と一体的に設けられ、タイヤが装着されるホイールに形成された孔部に取り付けられるバルブステムを更に備え、
    前記スイッチは、前記通路において、前記バルブステムより前記車輪側制御部に近い箇所に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の車輪情報送信装置。
  6. 前記バルブステムは、外部からの操作により開弁し、タイヤの内部と外部とを連通する弁機構を有することを特徴とする請求項5に記載の車輪情報送信装置。
  7. 前記スイッチは、回転軸を中心に空気の流れにより回転する可動部を有し、該可動部が動くことで切り替わり、
    前記回転軸は、その軸方向と、車輪情報送信装置本体がタイヤに装着され回転した場合に前記可動部に発生する遠心力の向きとが実質的に平行になるように設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の車輪情報送信装置。
  8. 前記スイッチは、回転軸を中心に空気の流れにより回転する可動部を有し、該可動部が動くことで切り替わり、
    前記回転軸は、前記可動部の重心を通ることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の車輪情報送信装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載の車輪情報送信装置と、前記車輪情報を受信し処理する車輪情報処理装置とが情報の通信を行うことにより車輪の状態を監視する車輪状態監視システムであって、
    前記車輪情報処理装置は、
    前記車輪情報送信装置から送信された前記センサ本体に固有の識別情報および前記車輪情報を含む信号を受信する車体側受信部と、
    前記識別情報および前記車輪情報に基づいて前記車輪情報送信装置が設けられている車輪の状態を推定する車体側制御部とを備え、
    前記車輪側制御部は、前記スイッチの切り替わりにより、所定のモードとして前記識別情報を前記車体側制御部に登録する登録モードが選択された場合、前記センサ本体から前記識別情報を含む登録信号が送信されるように該センサ本体を制御し、
    前記車体側制御部は、前記登録信号を受信した場合、該登録信号に含まれている識別情報を登録する、
    ことを特徴とする車輪状態監視システム。
  10. 車輪に関連する車輪情報を検出し送信可能なセンサ本体と、複数のモードの中から選択されたモードで前記センサ本体を制御する車輪側制御部と、空気の流れに反応して切り替わるスイッチと、を備える車輪情報送信装置のモード変更方法であって、
    前記車輪情報送信装置が備えられている車輪のバルブを操作してタイヤの内部の加圧空気を排出し、その際の空気の流れで前記スイッチを切替えることで、前記複数のモードの中から所定のモードに変更する車輪情報送信装置のモード変更方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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