JP2008133583A - 抗菌性繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】直径が10〜30μm程度であっても、優れた表面平滑性や透明性等を有する抗菌性繊維を提供する。
【解決手段】透明樹脂と、抗菌性ガラスと、当該抗菌性ガラスの分散剤としての無機粒子と、を含む抗菌性繊維において、抗菌性繊維の直径を10〜30μmの範囲内の値とし、抗菌性ガラスの平均粒径を0.1〜10μmの範囲内の値とするとともに、抗菌性ガラスの添加量を、全体量に対して、0.1〜10重量%の範囲内の値とし、かつ、無機粒子の平均粒径を1〜15μmの範囲内の値とするとともに、無機粒子の添加量を、抗菌性ガラスの添加量100重量部に対して、0.1〜50重量部の範囲内の値とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、抗菌性繊維に関し、より詳細には、抗菌性ガラスの分散剤としての無機粒子を添加し、直径が10〜30μm程度の繊維であっても、優れた表面平滑性や透明性等が得られる抗菌性繊維に関する。
近年、建材、家電製品(TV、パソコン、携帯電話、ビデオカメラなど含む)、雑貨、包装用資材等において、抗菌効果を付与するために、抗菌性ガラスを所定量樹脂中に混入させた抗菌性樹脂組成物が使用されている。
このような抗菌性ガラスとして、Agイオンを溶出しうるガラス水処理剤が特開昭62−210098号公報に開示されている。このガラス水処理剤は、組成物中に一価のAgイオンをガラス100重量部あたり酸化銀換算で0.2〜1.5重量部含有し、ガラス成分としてB23を20〜70モル%含有する硼珪酸塩系の抗菌性ガラスからなるものである。より具体的には、当該特許公報の実施例2および3には、それぞれ、B23を20〜30モル%、ZnOを40モル%、P25を30〜40モル%およびAg2Oを1重量%とした抗菌性ガラスを開示している(例えば、特許文献1参照)。
また、特開平1−313531号公報には、抗菌性樹脂組成物として、樹脂中に抗菌性ガラスを含む合成樹脂成形体が開示されている。当該合成樹脂成形体は、具体的に、SiO2、B23、P25の一種もしくは二種以上の網目形成酸化物と、Na2O、K2O、CaO、ZnOの一種もしくは二種以上の網目修飾酸化物とからなるガラス固形物100重量部中に、一価のAgとして、Ag2Oを0.1〜20重量部含有した抗菌性ガラスを樹脂中に含んだ構成としてある。より具体的には、当該特許公報の実施例において、SiO2:40モル%、B23:50モル%、Na2O:10モル%からなる混合物100重量部に対して、Ag2Oを2重量部添加した抗菌性ガラスを開示している(例えば、特許文献2参照)。
さらに、本発明の出願人は、溶解性ガラスの黄変が少なく、透明性や分散性に優れるとともに、製造が容易な多面体の抗菌性ガラスであって、平均粒径が0.5〜300μmである抗菌性ガラスを既に提案している(例えば、特許文献3参照)。
特開昭62−210098号公報(特許請求の範囲) 特開平1−313531号公報 (特許請求の範囲) WO02/28792号公報 (特許請求の範囲)
しかしながら、特許文献1に開示された抗菌性ガラスは、ガラス組成としてB23を20〜70モル%含んでおり、また、その形状を考慮していないためと思われるが、抗菌性ガラスが白濁したり、再凝集したりして、透明性に乏しかったり、黄変しやすいという問題が見られた。また、抗菌性ガラスを樹脂中に混合した場合に、分散性が乏しいという問題も見られた。
したがって、かかる透明性や分散性に乏しい抗菌性ガラスを、直径が10〜30μm程度の抗菌性繊維を製造する際に使用した場合、繊維中で凝集してしまい、実質的に紡糸できないという問題が見られた。
また、特許文献2に開示された抗菌性ガラスは、ガラス組成としてB23を主成分として用いているとともに、網目形成酸化物と、網目修飾酸化物との配合量が最適化されておらず、抗菌性の発現が不十分であったり、そのガラス組成に起因して、製造時間が過度に長くなったりするという問題が見られた。
また、かかる抗菌性ガラスについても、直径が10〜30μm程度の抗菌性繊維を製造する際に使用した場合、抗菌性ガラスの分散性が乏しく、そのままでは、繊維中で凝集してしまい、実質的に紡糸できないという問題が見られた。
また、特許文献3に開示された抗菌性ガラスは、一般的な用途に用いた場合には優れた抗菌特性や分散性を示すものの、例えば、直径が10〜30μm程度の抗菌性繊維に用いた場合には、紡糸条件等がばらつくと、溶解性ガラスが再凝集して、表面に露出したり、抗菌性繊維の表面平滑性や透明性が低下したりするという問題が見られた。
すなわち、かかる抗菌性ガラスについても、直径が10〜30μm程度の抗菌性繊維を製造する際に使用した場合には、透明樹脂中での抗菌性ガラスの分散性が乏しく、そのままでは、繊維中で凝集してしまい、安定的に紡糸できないという問題が見られた。
さらに、特許文献1〜3に開示された抗菌性ガラスを製造する際に、湿式ボ−ルミル等の粉砕機を用いて平均粒径やそのばらつきを小さくしようとすると、抗菌性ガラスが粉砕機の容器の内面に付着してしまい、平均粒径を実質的に制御できないという製造上の問題も見られた。また、湿式ボ−ルミル等から抗菌性ガラスを取り出した後に、乾燥工程を経なければならないが、その間に、抗菌性ガラスが凝集し、大粒子になりやすいという問題も見られた。
すなわち、直径が10〜30μm程度の抗菌性繊維に使用できる平均粒径が小さく、かつ粒度分布が狭い抗菌性ガラスを効率的に提供できる製造方法は、実質的に存在しない状態であった。
そこで、本発明者は鋭意検討した結果、乾式粉砕機により得られてなる抗菌性ガラスの分散剤(分散助剤)として、所定の凝集した無機粒子を添加するとともに、他の所定条件を所定範囲に制御することによって、直径が10〜30μm程度の極細であっても、抗菌性繊維中に均一に分散させることができ、抗菌性繊維を安定的に製造できることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、抗菌性繊維中への分散性や製造安定性等に優れた乾式粉砕機により得られてなる抗菌性ガラスを用いた抗菌性繊維であって、優れた抗菌性や表面平滑性あるいは透明性等が得られる抗菌性繊維を提供することを目的とする。
本発明によれば、透明樹脂と、乾式粉砕機により得られてなる抗菌性ガラスと、当該抗菌性ガラスの分散剤としての無機粒子と、を含む抗菌性繊維において、抗菌性繊維の直径を10〜30μmの範囲内の値とし、抗菌性ガラスの平均粒径を0.1〜10μmの範囲内の値とするとともに、抗菌性ガラスの添加量を、全体量に対して、0.1〜10重量%の範囲内の値とし、かつ、無機粒子である凝集シリカ粒子の平均粒径を1〜15μmの範囲内の値とするとともに、無機粒子である凝集シリカ粒子の添加量を、抗菌性ガラスの添加量100重量部に対して、0.1〜50重量部の範囲内の値とした抗菌性繊維が提供され、上述した問題点を解決することができる。
すなわち、乾式粉砕機により得られてなる抗菌性ガラスの分散剤として、抗菌性ガラス以外の所定の無機粒子を添加するとともに、抗菌性ガラスの添加量や平均粒径等を所定範囲に制御することによって、分散性や透明性等に優れた抗菌性ガラスを安定的に得ることができる。したがって、直径が10〜30μm程度の極細の抗菌性繊維に使用した場合であっても、繊維中で十分に分散して、優れた紡糸性が得られるとともに、優れた抗菌性や表面平滑性、あるいは透明性等を有する抗菌性繊維を安定的に得ることができる。
また、無機粒子として、凝集シリカ粒子を使用することによって、さらに分散性や透明性等に優れた抗菌性ガラスを安価かつ安定的に得ることができ、ひいては、優れた紡糸性が得られるとともに、優れた表面平滑性や透明性を有する抗菌性繊維を安価かつ安定的に得ることができる。また、シリカ粒子は親水性に富んでおり、抗菌性ガラスの周囲に付着することにより、抗菌性ガラスの溶解速度が均一になるばかりか、抗菌性繊維としての着色性についても優れたものとなる。
なお、無機粒子が基本的に凝集している場合には、その平均粒径としては二次粒子の平均粒径を意味し、無機粒子が基本的に単独で存在している場合には、その平均粒径としては一次粒子の平均粒径を意味する。したがって、凝集シリカ粒子の場合、その平均粒径としては二次粒子の平均粒径を意味する。
また、本発明の抗菌性繊維を構成するにあたり、無機粒子としての凝集シリカ粒子が、下式(1)で表される凝集性度(P)として、100〜10000の範囲内の値を有することが好ましい。
P=B/A (1)
(式(1)中、Aは、シリカ粒子をスラリー状態とし、湿式粉砕機を用いて限界粉砕した場合に測定される一次粒子としての平均体積粒径(D50)であり、Bは、シリカ粒子を乾燥状態とし、乾式粉砕機を用いて限界粉砕した場合の二次粒子としての平均体積粒径(D50)である。)
また、本発明の抗菌性繊維を構成するにあたり、無機粒子としての凝集シリカ粒子の体積固有抵抗を1×105〜1×109Ω・cmの範囲内の値とすることが好ましい。
このような無機粒子を抗菌性ガラスと併用することによって、抗菌性繊維の体積固有抵抗の調整が容易になるばかりか、より優れた表面平滑性や透明性を有する抗菌性繊維を安定的に得ることができる。
また、本発明の抗菌性繊維を構成するにあたり、乾式粉砕機により得られてなる抗菌性ガラスの比表面積を10,000〜300,000cm2/cm3の範囲内の値とすることが好ましい。
このように抗菌性ガラスの比表面積を制限することにより、より優れた分散性や透明性、さらには優れた機械的特性を有する抗菌性繊維を安定的に得ることができる。
また、本発明の抗菌性繊維を構成するにあたり、乾式粉砕機により得られてなる抗菌性ガラスの平均粒径を50%体積粒径(D50)とするとともに、90%体積粒径(D90)を0.5〜12μmの範囲内の値とし、かつ、D90/D50で表される比率を1.1〜2.0の範囲内の値とすることが好ましい。
このように抗菌性ガラスの体積粒径(D50及びD90)をそれぞれ関連付けて制限することにより、より優れた分散性や透明性、さらには優れた機械的特性を有する抗菌性繊維を安定的に得ることができる。
また、本発明の抗菌性繊維を構成するにあたり、乾式粉砕機により得られてなる抗菌性ガラスの周囲を、疎水基として、炭素数5以上の長鎖アルキル基を有するシランカップリング剤により表面処理してあることが好ましい。
このように表面処理した抗菌性ガラスを用いることにより、抗菌性ガラスの表面を疎水性とすることができ、製造時の平均粒径等の制御が容易になるばかりか、透明樹脂に対する優れた分散性を得ることができる。
また、本発明の抗菌性繊維を構成するにあたり、乾式粉砕機が、乾式ボールミル、遊星ミル、振動ミル又はジェットミルであることが好ましい。
また、本発明の抗菌性繊維を構成するにあたり、乾式粉砕機に、サイクロンが備えてあり、当該サイクロンを用いて、無機粒子とともに循環させながら、抗菌性ガラスが得られたものであることが好ましい。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、透明樹脂と、乾式粉砕機により得られてなる抗菌性ガラスと、当該抗菌性ガラスの分散剤としての無機粒子と、を含む抗菌性繊維において、抗菌性繊維の直径を10〜30μmの範囲内の値とし、抗菌性ガラスの平均粒径を0.1〜10μmの範囲内の値とするとともに、抗菌性ガラスの添加量を、全体量に対して、0.1〜10重量%の範囲内の値とし、かつ、無機粒子である凝集シリカ粒子の平均粒径を1〜15μmの範囲内の値とするとともに、無機粒子である凝集シリカ粒子の添加量を、抗菌性ガラスの添加量100重量部に対して、0.1〜50重量部の範囲内の値とした抗菌性繊維である。
以下、第1の実施形態の抗菌性繊維に使用する抗菌性ガラス、併用する無機粒子、抗菌性繊維を構成する透明樹脂、及び抗菌性繊維の態様等について具体的に説明する。
1.抗菌性ガラス
(1)形状
乾式粉砕機により得られてなる抗菌性ガラスの形状を、多面体、すなわち、複数の角や面から構成されており、例えば6〜20面体からなる多面体であることが好ましい。
この理由は、乾式粉砕機により得られてなる抗菌性ガラスの形状を多面体とすることにより、球状等の抗菌性ガラスと異なり、光が面内を一定方向に進行しやすくなるためである。したがって、抗菌性ガラスに起因した光散乱を有効に防止することができ、そのため、抗菌性ガラスの透明性を向上させることができる。
また、このように抗菌性ガラスを多面体とすることにより、樹脂中への混合分散が容易となるばかりか、紡糸装置等を用いて抗菌性繊維を製造した場合に、抗菌性ガラスが一定方向に配向しやすいという特徴がある。したがって、抗菌性ガラスを樹脂中に均一に分散しやすくなるとともに、樹脂中での抗菌性ガラスによる光の散乱を効果的に防止して、優れた透明性を発揮することができる。
さらに、このように抗菌性ガラスの形状が多面体であれば、併用する無機粒子が付着しやすくなって、製造時や使用時等に再凝集しにくいため、抗菌性ガラスの製造時における平均粒径やばらつきの制御が容易となるためである。
但し、第1の実施形態および以下に述べる実施形態において、上述した多面体ガラスの含有量を100重量%とすることは必ずしも必須でなく、多面体ガラスと、それ以外の抗菌性または非抗菌性の球形ガラスや粒状ガラス、あるいは異形ガラスとを混合使用することも好ましい。
その場合、多面体ガラスの含有量を80重量%以上の値とすることが好ましい。この理由は、多面体ガラスの含有量が80重量%未満となると、樹脂中の分散性や、透明性が低下する場合があるためである。したがって、より優れた分散性や、透明性を得るためには、多面体ガラスの含有量を90重量%以上の値とすることがより好ましく、95重量%以上の値とすることがさらに好ましい。
(2)平均粒径
また、抗菌性ガラスの平均粒径(D50)を0.1〜10μmの範囲内の値とすることを特徴とする。
すなわち、抗菌性ガラスの累積体積の全体量を100%としたときに、累積体積が50%になるときの粒径をD50(μm)と定義し、その値を平均粒径として、所定範囲に制御するものである。
この理由は、かかる平均粒径(D50)が0.1μm未満の値となると、樹脂中への混合分散が困難になったり、光散乱が生じやすくなったり、あるいは透明性が低下したりするためである。
一方、かかる平均粒径(D50)が10μmを超えると、樹脂中への混合分散や取扱いが同様に困難となったり、あるいは極細の抗菌性繊維を製造する際に、表面平滑性や透明性、さらには機械的強度が著しく低下したりする場合があるためである。
したがって、抗菌性ガラスの平均粒径(D50)を0.5〜8μmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.8〜3μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、抗菌性ガラスの平均粒径(D50)および後述する90%体積粒径(D90)、あるいは所定粒径を有する抗菌性ガラスの存在割合は、それぞれレーザ方式のパーティクルカウンターや沈降式の粒度分布計を用いて得られる粒度分布や、あるいは、抗菌性ガラスの電子顕微鏡写真をもとに画像処理を実施して得られる粒度分布から算出することができる。
また、抗菌性ガラスの平均粒径(D50)に関して、90%体積粒径(D90)を0.5〜12μmの範囲内の値とし、かつ、D90/D50で表される比率を1.1〜2.0の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるD90/D50で表される比率が1.1未満の値となると、透明樹脂中への混合分散が困難になったり、あるいは、光散乱が生じやすくなり、透明性が低下したりする場合がるためである。一方、かかるD90/D50で表される比率が2.0を超えると、透明樹脂中への混合分散や取扱いが困難となったり、あるいは得られる抗菌性繊維において表面平滑性が低下したりする場合があるためである。
したがって、抗菌性ガラスのD90/D50で表される比率を1.2〜1.9の範囲内の値とすることがより好ましく、1.3〜1.8の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、図1に例示する粒度分布を有する抗菌性ガラスは、D90が0.5〜12μmの範囲内の値であって、D90/D50で表される比率が、それぞれ1.1〜2.0の範囲内の値であることより、樹脂と容易かつ均一に混合するとともに、抗菌性繊維において優れた表面平滑性が得られることが判明している。
また、抗菌性ガラスの平均粒径(D50)に関して、当該平均粒径に関与する粒径が10μm以上の存在割合を、全体量に対して、10体積%以下の値とすることが好ましい。
この理由は、過度に粒径が大きい抗菌性ガラスの含有量が多くなると、再凝集の際にコアとなりやすいためである。すなわち、このような抗菌性ガラスの存在割合を所定値以下にすることにより、所望の抗菌性ガラスと、樹脂との間の分散性が向上し、成形装置の目つまりが生じることなく、優れた表面平滑性を得ることができる。
また、抗菌性ガラスの平均粒径(D50)に関して、当該平均粒径に関与する粒径が0.1μm以下の存在割合を、全体量に対して、5体積%以下の値とすることが好ましい。
この理由は、過度に粒径が小さい抗菌性ガラスの含有量が多くなると、再凝集を生じやすくなるためである。すなわち、コアとなる抗菌性ガラスの周囲において、このように再凝集しやすい抗菌性ガラスの存在割合を所定値以下にすることにより、所望の抗菌性ガラスと、樹脂との間の分散性が向上し、成形装置の目つまりが生じることなく、優れた表面平滑性を得ることができるためである。
なお、図1に例示する粒度分布を有する抗菌性ガラスは、粒径が10μm以上の存在割合および粒径が0.1μm以下の存在割合が、それぞれ1体積%以下の値であると、透明樹脂と混合する際の再凝集が少ないことが判明している。
(3)比表面積
また、抗菌性ガラスの比表面積を10,000〜300,000cm2/cm3の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる比表面積が10,000cm2/cm3未満の値となると、透明樹脂中への混合分散や取扱いが困難となったり、あるいは抗菌性繊維とした場合に、表面平滑性や機械的強度が低下したりする場合があるためである。
一方、かかる比表面積が300,000cm2/cm3を超えると、逆に、取扱いが困難となって、透明樹脂中への混合分散が容易となったり、あるいは、光散乱が生じやすくなって、透明性が低下したりするためである。
したがって、抗菌性ガラスの比表面積を15,000〜200,000cm2/cm3の範囲内の値とすることがより好ましく、18,000〜150,000cm2/cm3の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、抗菌性ガラスの比表面積(cm2/cm3)は、粒度分布測定結果より求めることができ、抗菌性ガラスを球状と仮定して、粒度分布の実測データから、単位体積あたり(cm3)の表面積(cm2)として算出することができる。
(4)ガラス組成1
抗菌性ガラスのガラス組成として、Ag2O、ZnO、CaO、B23およびP25を含み、かつ、全体量を100重量%としたときに、Ag2Oの含有量を0.2〜5重量%の範囲内の値、ZnOの含有量を1〜50重量%の範囲内の値、CaOの含有量を0.1〜15重量%の範囲内の値、B23の含有量を0.1〜15重量%の範囲内の値、およびP25の含有量を30〜80重量%の範囲内の値とするとともに、ZnO/CaOの重量比率を1.1〜15の範囲内の値とすることが好ましい。
ここで、Ag2Oは、ガラス組成1における抗菌性イオン放出物質として必須構成成分であり、かかるAg2Oを含有することにより、ガラス成分が溶解した場合に、所定速度でAgイオンを徐々に溶出させることができ、優れた抗菌性を長期間発現することができる。
ここで、Ag2Oの含有量を0.2〜5重量%の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、Ag2Oの含有量が、0.2重量%未満の値となると、抗菌性ガラスの抗菌性が不十分となるためであり、所定の抗菌効果を得るためには、多量の抗菌性ガラスが必要となるためである。一方、Ag2Oの含有量が、5重量%を超えると、抗菌性ガラスがより変色しやすくなり、また、コストが高くなり経済的に不利となるためである。
また、P25は、ガラス組成1における必須構成成分であり、基本的に網目形成酸化物としての機能を果たすが、その他に、本発明においては抗菌性ガラスの透明性改善機能やAgイオンの均一な放出性にも関与する。
ここで、P25の含有量を30〜80重量%の範囲内の値が好ましい。この理由は、かかるP25の含有量が30重量%未満となると、抗菌性ガラスの透明性が低下したり、あるいはAgイオンの均一な放出性や機械的強度が乏しくなるおそれがあるためであり、一方、かかるP25の含有量が80重量%を超えると、抗菌性ガラスが黄変しやすくなったり、また硬化性に乏しくなり機械的強度が低下するおそれがあるためである。
また、ZnOは、ガラス組成1における必須構成成分であり、抗菌性ガラスにおける網目修飾酸化物としての機能を果たすとともに、黄変を防止する機能とともに、抗菌性を向上させる機能をも果たしている。
ここで、ZnOの含有量を、全体量に対して、2〜60重量%の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかるZnOの含有量が2重量%未満の値となると、黄変防止効果や、抗菌性の向上効果が発現しない場合があるためであり、一方、かかるZnOの含有量が60重量%を超えると、抗菌性ガラスの透明性が低下したり、機械的強度が乏しくなったりする場合があるためである。
また、ZnOの含有量を、後述するCaOの含有量を考慮して定めることが好ましい。具体的には、ZnO/CaOで表される重量比率を、1.1〜15の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかる重量比率が1.1未満の値となると、抗菌性ガラスの黄変を効率的に防止することができない場合があり、一方、かかる重量比率が15を超えると、抗菌性ガラスが白濁したり、あるいは、逆に、黄変したりする場合があるためである。
また、CaOは、ガラス組成1における必須構成成分であり、基本的に網目修飾酸化物としての機能を果たすとともに、抗菌性ガラスを作成する際の、加熱温度を低下させたり、ZnOとともに、黄変防止機能を発揮したりすることができる。
ここで、CaOの含有量を全体量に対して、0.1〜15重量%の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかるCaOの含有量が0.1重量%未満となると黄変防止機能や溶融温度低下効果が発揮されないおそれがあるためであり、一方、かかるCaOの含有量が15重量%を超えると、抗菌性ガラスの透明性が逆に低下するおそれがあるためである。
また、B23は、ガラス組成1における必須構成成分であり、基本的に網目形成酸化物としての機能を果たすが、その他に、本発明においては抗菌性ガラスの透明性改善機能やAgイオンの均一な放出性にも関与する。
ここで、B23の含有量を0.1〜15重量%の範囲内の値が好ましい。この理由は、かかるB23の含有量が0.1重量%未満となると、抗菌性ガラスの透明性が低下したり、あるいはAgイオンの均一な放出性や機械的強度が乏しくなるおそれがあるためであり、一方、かかるB23の含有量が15重量%を超えると、抗菌性ガラスが黄変しやすくなったり、また硬化性に乏しくなり機械的強度が低下するおそれがある。
なお、ガラス組成1の任意構成成分として、CeO2、MgO、Na2O、Al23、K2O、SiO2、BaO等を、本発明の目的の範囲内で所定量添加することも好ましい。
(5)ガラス組成2
また、抗菌性ガラスのガラス組成として、ZnOを実質的に含まない代りにAg2O、CaO、B23およびP25を含み、かつ、全体量を100重量%としたときに、Ag2Oの含有量を0.2〜5重量%の範囲内の値、CaOの含有量を15〜50重量%の範囲内の値、B23の含有量を0.1〜15重量%の範囲内の値、およびP25の含有量を30〜80重量%の範囲内の値とするとともに、CaO/Ag2Oの重量比率を5〜15の範囲内の値とすることが好ましい。
ここで、Ag2Oに関しては、ガラス組成1と同様の内容とすることができる。したがって、Ag2Oの含有量を、全体量に対して、0.2〜5重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
また、抗菌性ガラスにCaOを用いることにより、基本的に網目修飾酸化物としての機能を果たすとともに、抗菌性ガラスを作成する際の、加熱温度を低下させたり、黄変防止機能を発揮させたりすることができる。
すなわち、CaOの含有量を全体量に対して、15〜50重量%の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかるCaOの含有量が15重量%未満となると、ZnOを実質的に含んでいないために、黄変防止機能や溶融温度低下効果が発揮されない場合があるためであり、一方、かかるCaOの含有量が50重量%を超えると、抗菌性ガラスの透明性が逆に低下するおそれがあるためである。
なお、CaOの含有量をAg2Oの含有量を考慮して定めることが好ましく、具体的には、CaO/Ag2Oで表される重量比率を5〜15の範囲内の値とすることが好ましい。
また、B23およびP25に関しては、ガラス組成1と同様の内容とすることができる。
さらに、CeO2、MgO、Na2O、Al23、K2O、SiO2、BaO等の成分についても、ガラス組成1と同様の内容とすることができる。
(6)表面処理
また、抗菌性ガラスの表面に、カップリング剤処理が施してあることが好ましい。この理由は、カップリング剤処理により、より優れた耐黄変性、透明性、および分散性が得られ、かつ、抗菌性繊維の成形装置の種類によらず、さらに優れた表面平滑性を得ることができるためである。
ここで、カップリング剤としては、シランカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、チタンカップリング剤等が使用可能であるが、抗菌性ガラスに対して、特に優れた密着力が得られることよりシランカップリング剤を使用することが好ましい。
また、好ましいシランカップリング剤の種類としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン等の一種単独または二種以上の組合せが挙げられる。
特に、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン等の、炭素数5以上の長鎖アルキル基を疎水性基として有するシランカップリング剤により表面処理してあることが好ましい。
このように表面処理した抗菌性ガラスを用いることにより、抗菌性ガラスの表面を疎水性とすることができ、製造時の平均粒径等の制御が容易になるばかりか、透明樹脂に対する優れた分散性を得ることができる。したがって、より優れた表面平滑性や透明性、さらには優れた機械的特性を有する抗菌性繊維を安定的に得ることができる。
なお、カップリング剤の処理量を、抗菌性ガラス100重量部あたり、0.01〜30重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このようなカップリング剤の処理量であれば、所定の透明性や分散性等が得られる一方、経済的にも有利なためである。
(7)溶出速度
また、抗菌性ガラスからの抗菌性イオンの溶出速度を1×102〜1×105mg/Kg/24Hrの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる抗菌性イオンの溶出速度が1×102mg/Kg/24Hr未満の値になると、抗菌性が著しく低下する場合があり、一方、かかる抗菌性イオンの溶出速度が1×105mg/Kg/24Hrを超えると、長時間にわたって抗菌効果を発揮することが困難となったり、あるいは得られる抗菌性繊維の透明性が低下したりする場合が生じるためである。したがって、かかる抗菌性と透明性等とのバランスがより好ましい観点から、抗菌性ガラスからの抗菌性イオンの溶出速度を1×103〜5×104mg/Kg/24Hrの範囲内の値とすることがより好ましく、3×103〜1×104mg/Kg/24Hrの範囲内の値とすることがさらに好ましい。なお、かかる抗菌性イオンの溶出速度は、後述する実施例1に記載した方法に準じて測定することができる。
(8)添加量
また、抗菌性ガラスの添加量を、全体量に対して、0.1〜10重量%の範囲で含むことを特徴とする。
この理由は、抗菌性ガラスの添加量が、0.1重量%未満となると抗菌性が低下する場合があり、一方、かかる抗菌性ガラスの添加量が、10重量%を超えると、抗菌性繊維の機械的強度が低下したり、均一に混合することが困難となったり、あるいは得られる抗菌性繊維の透明性が低下する場合が生じるためである。
したがって、かかる抗菌性と機械的強度等とのバランスがより好ましい観点から、抗菌性ガラスの添加量を、全体量に対して、0.5〜8重量%の範囲内の値とするのがより好ましく、1〜5重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
2.無機粒子
(1)種類
無機粒子としては、凝集シリカ粒子(乾式シリカ、湿式シリカ)である。もちろん、凝集シリカ粒子を主成分としたものであれば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、シラスバルーン、石英粒子、ガラスバルーン等の一種単独又は二種以上の組合せが挙げられる。
特に、これらのうち、凝集シリカ粒子(乾式シリカ、湿式シリカ)あるいは、その水分散体であるコロダイダルシリカは、一次平均粒径が小さく、抗菌性ガラスに対する分散性が極めて優れているために好ましい無機粒子である。すなわち、このような凝集シリカ粒子は、凝集状態がほぐれながら分散するため、抗菌性ガラスの周囲に付着して、透明樹脂中であっても、当該抗菌性ガラスを均一に分散させることができる。
したがって、無機粒子として、下式(1)で定義される凝集性度(P)が、100〜10000の範囲の凝集シリカ粒子を使用することが好ましく、500〜5000の範囲の凝集シリカ粒子を使用することがより好ましいと言える。
P=B/A (1)
(式(1)中、Aは、シリカ粒子をスラリー状態とし、湿式粉砕機を用いて限界粉砕した場合に測定される一次粒子としての平均体積粒径(D50)であり、Bは、シリカ粒子を乾燥状態とし、乾式粉砕機を用いて限界粉砕した場合の二次粒子としての平均体積粒径(D50)である。)
(2)平均粒径
また、無機粒子としての凝集シリカにおける二次粒子としての平均粒径(D50)を1〜15μmの範囲内の値とすることを特徴とする。
すなわち、無機粒子の累積体積の全体量を100%としたときに、累積体積が50%になるときの粒径をD50(μm)と定義し、その値を平均粒径として、所定範囲内の値に制御するものである。
この理由は、かかる無機粒子の平均粒径(D50)が1μm未満の値となると、抗菌性ガラスの分散性が乏しくなったり、光散乱が生じやすくなったりして、透明性が低下したりするためである。一方、かかる無機粒子の平均粒径(D50)が15μmを超えると、透明樹脂中への混合分散や取扱いが同様に困難となったり、あるいは極細の抗菌性繊維を製造する際に、表面平滑性や透明性、さらには機械的強度が著しく低下したりする場合があるためである。
したがって、無機粒子の平均粒径(D50)を5〜12μmの範囲内の値とすることがより好ましく、6〜10μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、無機粒子の平均粒径(あるいは二次粒子としての無機粒子)の平均粒径は、レーザ方式のパーティクルカウンターや沈降式の粒度分布計を用いて測定することができる。また、これらの電子顕微鏡写真から画像処理することによっても、無機粒子の平均粒径(あるいは二次粒子としての無機粒子)を算出することができる。
また、無機粒子が基本的に凝集している場合には、それをほぐした状態での一次粒子の平均粒径を0.005〜0.5μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる一次粒子としての無機粒子の平均粒径(D50)が0.005μm未満の値となると、抗菌性ガラスの分散性を向上させる効果が乏しくなったり、光散乱が生じやすくなったりして、透明性が低下したりするためである。
一方、かかる一次粒子としての無機粒子の平均粒径(D50)が0.5μmを超えると、同様に、抗菌性ガラスの分散性を向上させる効果が乏しくなったり、極細の抗菌性繊維を製造する際に、透明樹脂中への混合分散や取扱いが同様に困難となったり、表面平滑性や透明性、さらには機械的強度が低下したりする場合があるためである。
したがって、一次粒子としての無機粒子の平均粒径(D50)を0.01〜0.2μmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.02〜0.1μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(3)添加量
また、無機粒子としての凝集シリカの添加量を、抗菌性ガラス100重量部に対して、0.1〜50重量部の範囲で含むことを特徴とする。
この理由は、かかる無機粒子の添加量が0.1重量部未満となると、抗菌性ガラスの分散性が著しく乏しくなるためである。一方、かかる無機粒子の添加量が50重量部を超えると、抗菌性繊維の機械的強度が低下したり、均一に混合することが困難となったり、あるいは得られる抗菌性繊維の透明性が低下したりする場合が生じるためである。
したがって、かかる抗菌性ガラスの分散性と機械的強度等とのバランスがより好ましい観点から、無機粒子の添加量を、抗菌性ガラス100重量部に対して、0.5〜30重量部の範囲内の値とするのがより好ましく、1〜10重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(4)体積固有抵抗
また、無機粒子としての凝集シリカの体積固有抵抗を1×105〜1×109Ω・cmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる無機粒子の体積固有抵抗が1×105Ω・cm未満となると、抗菌性繊維の体積固有抵抗の調整が困難になって、抗菌性繊維に添加した場合に、機械的強度が低下したり、均一に混合することが困難となったり、あるいは得られる抗菌性繊維の透明性が低下したりする場合が生じるためである。一方、かかる無機粒子の体積固有抵抗が1×109Ω・cmを超えると、抗菌性繊維を製造する際に、静電気が発生しやすくなって、紡糸速度を著しく遅くしなければならない場合があるためである。
したがって、かかる抗菌性繊維の機械的強度等と、静電気の発生性等とのバランスがより好ましい観点から、無機粒子の体積固有抵抗を5×105〜5×108Ω・cmの範囲内の値とするのがより好ましく、1×106〜1×108・cmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、無機粒子の体積固有抵抗は、上述したシランカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、及びチタンカップリング剤等の表面処理剤を用いることによって、所定範囲に制御することができる。
3.透明樹脂
抗菌性繊維を構成するにあたり、抗菌性ガラスを透明樹脂中に、添加混合することが好ましい。
好ましい透明樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、フッ素系樹脂、ポリアリーレン樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル樹脂、アイオノマー樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、シリコーン樹脂等の一種または二種以上の組合せを挙げることができる。
また、このような透明樹脂のうち、繊維用樹脂として好適なことから、具体的に80〜100%の下記式で定義される可視光透過率を有するものが好ましく、90〜100%の可視光透過率を有するものがより好ましい。
なお、透明樹脂に対する透過光量および入射光量は吸光光度計や光量計(パワーメータ)を用いて測定することができる。その測定の際、透明樹脂を、例えば厚さ1mmの板状としたものを使用することができる。
可視光透過率(%)=透過光量/入射光量×100
4.抗菌性繊維
(1)直径
抗菌性繊維の直径を10〜30μmの範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかる抗菌性繊維の直径が10μm未満の値になると、抗菌性繊維の機械的強度が低下したり、安定的な製造が困難となったりするためである。一方、かかる抗菌性繊維の直径が30μmを超えると、抗菌性繊維の使用用途が過度に制限されるためである。
したがって、抗菌性繊維の直径を12〜25μmの範囲内の値とすることがより好ましく、15〜20μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、このような抗菌性繊維の直径については、電子顕微鏡やマイクロメータ、あるいはノギスによって測定することができる。
(2)可視光透過率
また、抗菌性繊維における可視光透過率を90%以上の値とすることが好ましい。
この理由は、このように抗菌性繊維の可視光透過率の値を制限することにより、より優れた表面平滑性や透明性、さらには機械的特性を有する抗菌性繊維を安定的に得ることができるためである。
すなわち、かかる抗菌性繊維の可視光透過率が90%未満となると、抗菌性繊維に対する着色性等が著しく低下したり、風合いが大きく変化したりする場合が生じるためである。
したがって、かかる抗菌性繊維の機械的強度等と、静電気発生性とのバランスがより好ましい観点から、抗菌性繊維の可視光透過率を95%以上の値とするのがより好ましく、98%以上の値とすることがさらに好ましい。
なお、抗菌性繊維における可視光透過率についても、上述した透明樹脂と同様に測定することができる。
(3)添加剤
抗菌性繊維中に、添加剤を含むことが好ましい。このような添加剤としては、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、流動化剤、粘度調整剤、金属粒子、架橋剤、難燃化剤等の一種または二種以上の組合せを挙げることができる。
特に、本発明の抗菌性繊維の場合、親水性の抗菌性ガラスや無機粒子を所定量含むためと思われるが、それらを添加しない場合と比較して、着色性に優れているという特徴がある。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、透明樹脂と、抗菌性ガラスと、当該抗菌性ガラスの分散剤としての無機粒子と、を含む抗菌性繊維の製造方法において、下記工程(A)〜(D)を含むことを特徴とする抗菌性繊維の製造方法である。
(A)抗菌性イオン放出物質を含むガラス原料を溶融し、さらに冷却してガラス体とする工程
(B)得られたガラス体を、乾式粉砕機を用いて、抗菌性ガラスの分散剤としての平均粒径が1〜15μmの無機粒子としての凝集シリカを添加した状態で、平均粒径が0.1〜10μmの抗菌性ガラスとし、無機粒子添加の抗菌性ガラスを製造する工程
(C)得られた無機粒子添加の抗菌性ガラスを、透明樹脂中に分散させる工程
(D)紡糸して、直径が10〜30μmの抗菌性繊維とする工程
(1)ガラス原材料の混合工程、溶融工程、及び冷却工程(工程A)
Ag2O、ZnO、CaO、B23およびP25等を含むガラス原材料(ガラス組成1)や、ZnOを実質的に含まない代りにAg2O、CaO、B23およびP25等を含むガラス原材料(ガラス組成2)を正確に秤量した後、均一に混合する工程である。そして、これらのガラス原材料を混合するに際して、万能攪拌機(プラネタリーミキサ)、アルミナ磁器潰らい機、ボールミル、プロペラミキサ等の混合機械(ミキサ)を使用することが好ましい。例えば、万能攪拌機を用いた場合、公転数を100rpm、自転数を250rpmとし、10分〜3時間の条件で、ガラス原材料を攪拌混合することが好ましい。
次いで、均一に混合したガラス原材料を、一例として、ガラス溶融炉を用い、溶融させて、ガラス融液を作成する。ここで、溶融条件としては、例えば、溶融温度を1100〜1500℃、溶融時間を1〜8時間の範囲内の値とすることが好ましい。このような溶融条件であれば、ガラス融液の生産効率を高めるとともに、製造時における抗菌性ガラスの黄変性を可及的に少なくすることができるためである。
なお、このようなガラス融液を得た後、それを流動水中に注入して冷却し、水粉砕を兼ねてガラス体とすることが好ましい。
(2)抗菌性ガラスの粉砕工程(工程B)
得られたガラス体を粉砕し、多面体であって、所定の平均粒径を有する抗菌性ガラスとする工程である。
具体的には、以下に示すような粗粉砕、中粉砕、および微粉砕を行う工程である。このように実施すると、均一な平均粒径を有する抗菌性ガラスを効率的に得ることができる。ただし、用途によっては平均粒径をより細かく制御するために、粉砕工程の後、分級工程をさらに設けて、ふるい処理等を実施することも好ましい。
(2)−1 粗粉砕
粗粉砕は、平均粒径が10mm程度になるように、ガラス体を粉砕する工程である。かかる粗粉砕は、溶融状態のガラス融液をガラス体とする際に水砕したり、無定形のガラス体を素手やハンマー等を用いて粉砕したりして、所定の平均粒径とする工程である。
なお、粗粉砕後の抗菌性ガラスは、通常、角の無い塊状であることが電子顕微鏡写真から確認されている。
(2)−2 中粉砕
中粉砕は、平均粒径が1mm程度になるように、粗粉砕後の抗菌性ガラスを粉砕する工程である。
より具体的には、例えば、ジョークラッシャーを用いて、平均粒径が10mm程度の抗菌性ガラスを、平均粒径が5mm程度の抗菌性ガラスとし、次いで、回転ウスや回転ロール(ロールクラッシャ−)を用いて、平均粒径が1mm程度の抗菌性ガラスとすることが好ましい。この理由は、このように多段階で中粉砕を行なうことにより、粒径が過度に小さい抗菌性ガラスが生じることなく、所定粒径を有する抗菌性ガラスを効果的に得ることができるためである。
なお、中粉砕後の抗菌性ガラスは、角を有する多面体であることが電子顕微鏡写真から確認されている。
(2)−3 微粉砕
微粉砕は、平均粒径が0.1〜10μmになるように、平均粒径が1〜15μmの無機粒子を添加した状態で、中粉砕後の抗菌性ガラスを粉砕する工程である。かかる微粉砕のためには、例えば、回転ウス、回転ロール(ロールクラッシャ−)、振動ミル、乾式ボールミル、遊星ミル、サンドミル、あるいはジェットミルを用いることができる。
これらの乾式粉砕機のうち、特に、乾式ボールミル、遊星ミル及びジェットミルを用いることが好ましい。
この理由は、乾式ボールミルや遊星ミル等を用いることにより、適度なせん断力を付与することができ、粒径が過度に小さい抗菌性ガラスが生じることなく、所定粒径を有する多面体の抗菌性ガラスが効果的に得られるためである。
ここで、乾式ボールミルとは、容器内に、粉砕メディアと、被粉砕物とを仕込み、容器を回転させて被粉砕物を乾式状態で粉砕する乾式粉砕機の総称である。
また、遊星ミルとは、図2や図3に示すように、公転軸5と自転軸6の方向が共に鉛直方向である粉砕容器2に被粉砕物3を仕込み、それを回転させて粉砕を行う乾式粉砕機の総称である。さらに、ジェットミルとは、粉砕メディアを用いることなく、容器内で、被粉砕物同士を衝突させて、粉砕を行う乾式粉砕機の総称である。
より具体的には、乾式ボールミルや遊星ミルを用いた場合、アルミナボールを粉砕メディア4として、容器を30〜100rpmで回転させ、中粉砕後の抗菌性ガラスを5〜50時間の間処理することが好ましい。また、ジェットミルを用いた場合、容器内で加速させて、0.61〜1.22MPa(6〜12Kgf/cm2)の圧力で、中粉砕後の抗菌性ガラス同士を衝突させることが好ましい。
なお、乾式ボールミルやジェットミル等を用いて微粉砕した後の抗菌性ガラスは、中粉砕後の抗菌性ガラスよりも多くの角を有する多面体であって、平均粒径(D50)や比表面積を所定範囲に調整しやすいことが電子顕微鏡写真および粒度分布測定により確認されている。
また、遊星ミル等を用いて微粉砕する場合、実質的にドライ状態(例えば、相対湿度が20%Rh以下)で行うことが好ましい。
この理由は、遊星ミル等にサイクロン等の分級装置を取り付けて、抗菌性ガラスを凝集させることなく、循環させることができるためである。
したがって、循環回数を制御することによって、抗菌性ガラスにおける平均粒径や粒度分布を所望範囲に容易に調整することができるとともに、微粉砕後の乾燥工程を省略することが可能となる。
一方、所定範囲以下の抗菌性ガラスについては、乾燥状態であれば、バグフィルターを用いて、容易に除去することができるためである。したがって、抗菌性ガラスにおける平均粒径や粒度分布の調整が、ますます容易となる。
(3)抗菌性繊維の製造工程(工程C)
得られた抗菌性ガラスを、透明樹脂に分散させるとともに、所定形状に紡糸して、抗菌性繊維とする工程である。
まず、得られた多面体の抗菌性ガラスを、透明樹脂に分散させる方法については特に制限されるものではないが、例えば、撹拌混合法、練り込み法、塗布法、拡散法等を採ることができる。例えば、撹拌混合法の場合、室温(25℃)にて、1〜20分撹拌混合することが好ましい。また、抗菌性ガラスを混合する際に、プロペラミキサやVブレンダ、あるいはニーダ等の混合機械を使用することが好ましい。
次いで、所定形状に紡糸するに際して使用する成形装置の種類は特に制限されるものではないが、例えば、BMC(バルクモールディングコンパウンド)射出成形装置、SMC(シ−トモールディングコンパウンド)圧縮成形装置、BMC(バルクモールディングコンパウンド)圧縮成形装置、またはプレス装置を使用することが好ましい。
この理由は、このような成形装置を用いることにより、優れた表面平滑性を有する抗菌性繊維を効率的に得ることができるためである。
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。但し、以下の説明は本発明を例示的に示すものであり、本発明はこれらの記載に制限されるものではない。
[実施例1]
1.溶融工程(工程A)
抗菌性ガラス(A組成)の全体量を100重量%としたときに、P25の組成比が50重量%、CaOの組成比が5重量%、Na2Oの組成比が1.5重量%、B23の組成比が10重量%、Ag2Oの組成比が3重量%、CeO2の組成比が0.5重量%、ZnOの組成比が30重量%となるように、それぞれのガラス原料を、万能混合機を用いて、回転数250rpm、30分の条件で、均一に混合するまで攪拌した。次いで、溶融炉を用いて、1280℃、3時間半の条件でガラス原料を加熱して、ガラス融液を作成した。
2.粉砕工程(工程B)
次いで、ガラス溶融炉から取り出したガラス融液を、25℃の流動水中に流し込むことにより、ガラス体にするとともに水砕し、平均粒子径が約10mmの粗粉砕ガラスとした。なお、この段階の粗粉砕ガラスを、光学顕微鏡で観察し、崩れやすい塊状であって、角や面が無いことを確認した。
次いで、ジョークラッシャーを用いて、回転数120rpmで、粗粉砕ガラスをホッパーから自重を利用して供給しながら、一次中粉砕(平均粒子径約1000μm)を実施した。
次いで、回転ロールを用い、ギャップ1mm、回転数30rpmの条件と、ギャップ0.25mm、回転数30rpmの条件と、で、一次中粉砕した抗菌性ガラスを、連続的に二次中粉砕した。
なお、二次中粉砕した後の粗粉砕ガラスを、電子顕微鏡で観察し、少なくとも50重量%以上が、角や面のある多面体であることを確認した。
次いで、シリカ粒子(一次平均粒径:15nm、二次平均粒径:7μm、凝集性度:460)を、抗菌性ガラス100重量部に対して、7重量部の割合となるように添加した。その後、粉砕機として、サイクロン装置及びバグフィルターを備えた遊星ミルを用いて、以下の処理条件で、微粉砕処理を実施した。次いで、微粉砕処理後、粉砕メディアを分離させて取り除き、シリカ粒子が周囲に付着した抗菌性ガラスを得た。
そして、粒度分布計LA−300(堀場製作所製)を用いて、平均粒径(D50)が1.2μm、D90が2.0μm、比表面積が88000cm2/cm3である抗菌性ガラスであることを確認した。
なお、この段階後の抗菌性ガラスを、電子顕微鏡で観察し、少なくとも95重量%以上が、角や面のある多面体であることを確認した。また、多面体の抗菌性ガラスの面に、シリカ粒子が付着していることを確認した。
ミル容量: 4リットル
粉砕メディアの直径:20mm
粉砕メディアの種類:アルミナボール
粉砕メディアの量: 4kg
抗菌性ガラス: 1kg
回転数: 56rpm
処理時間: 15時間
3.抗菌性繊維の製造工程(工程C)
得られた多面体の抗菌性ガラスを、ポリプロピレン(PP)樹脂中に、ニーダを用いて、室温で、25Kg/10分の条件で、添加量が、全体量の0.3重量%になるように混合した。次いで、BMC(バルクモールディングコンパウンド)射出成形装置を用いて、シリンダー温度190℃の条件で、直径10μmの繊維を紡糸した。
4.抗菌性繊維の評価
表1に示す抗菌性ガラス及び抗菌性繊維につき、以下の評価に供した。
(1)溶出量評価
得られた抗菌性ガラス100gを、500mlの蒸留水(20℃)中に浸漬し、振とう機を用いて24時間振とうした。次いで、遠心分離器を用いてAgイオン溶出液を分離後、さらにろ紙(5C)でろ過して、測定試料とした。そして、測定試料中のAgイオンを、ICP発光分光分析法により測定し、Agイオン溶出量(mg/Kg/24Hr)を算出した。得られた結果を表2に示す。
(2)紡糸性評価
抗菌性繊維を製造する際の紡糸性を、以下の基準で評価した。得られた結果を表2に示す。
◎:60分以上の連続紡糸が可能である。
〇:10分以上の連続紡糸が可能である。
△:1分以上の連続紡糸が可能である。
×:連続紡糸は1分未満である。
(3)透明性評価
光学顕微鏡を使用して抗菌性繊維を観察し、その透明性を以下の基準で判断した。得られた結果を表2に示す。
◎:無色透明である。
〇:一部不透明感ある。
△:一部白色感がある。
×:完全に白色である。
(4)凝集防止性評価
電子顕微鏡を用いて抗菌性繊維の断面を観察し、抗菌性ガラスの混合状態及び表面状態から、抗菌性ガラスの凝集防止性を、以下の基準で判断した。得られた結果を表2に示す。
◎:ほとんど凝集物が観察されず、抗菌性繊維の表面は平滑である。
〇:わずかな凝集物が観察されるが、抗菌性繊維の表面はほとんど平滑である。
△:少々の凝集物が観察され、抗菌性繊維の表面に少々凹凸が観察される。
×:多くの凝集物が観察される。
(5)黄変性評価
得られた抗菌性繊維に対して、紫外線照射装置(スガ試験機(株)製、サンシャインウエザオメータ)を用いて連続的に紫外線(ブラックパネル温度:63℃、照度:波長300〜700nmの光において、255W/m2)を照射し、抗菌性繊維の黄変性を以下の基準で判断した。なお、抗菌性繊維の黄変性は、光学顕微鏡を使用して観察した。得られた結果を表2に示す。
◎:100時間経過後に無色透明である。
〇:50時間経過後に無色透明である。
△:10時間経過後に無色透明である。
×:10時間経過後に黄変している。
(6)抗菌性評価1〜2
10gの抗菌性繊維を抗菌性評価の試験片とした。一方、試験菌を、Trypticase Soy Agar(BBL)の寒天平板培地で、35℃、24時間培養し、発育集落を1/500濃度の普通ブイヨン培地(栄研化学(株)製)に懸濁させて、約1×106CFU/mlになるように調整した。
次いで、試験片としての抗菌性繊維に、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus IFO#12732)の懸濁液0.5mlおよび大腸菌(Escherichia coli ATCC#8739)の懸濁液0.5mlをそれぞれ均一に接触させ、さらに、ポリエチレン製フィルム(減菌)を載せて、それぞれフィルムカバー法の測定サンプルとした。
次いで、測定サンプルを、湿度95%、温度35℃、24時間の条件で、恒温槽に載置し、試験前の菌数(発育集落)と試験後の菌数(発育集落)とをそれぞれ測定し、以下の基準で抗菌性1(黄色ブドウ球菌)と、抗菌性2(大腸菌)とを評価した。
なお、試験前の菌数(発育集落)は、黄色ブドウ球菌および大腸菌とも、それぞれ2.6×105(個/試験片)であった。それぞれ得られた結果を表2に示す。
◎:試験後の菌数が、試験前の菌数の1/10000未満である。
〇:試験後の菌数が、試験前の菌数の1/10000以上〜1/1000未満である。
△:試験後の菌数が、試験前の菌数の1/1000以上〜1/100未満である。
×:試験後の菌数が、試験前の菌数の1/100以上である。
[実施例2〜4]
実施例2〜4においては、分散剤としてのシリカ粒子(一次平均粒径:15nm、二次平均粒径:7μm)の添加量を、抗菌性ガラス100重量部に対して、5重量部、10重量部、及び12重量部となるように変えたほかは、実施例1と同様に抗菌性ガラスを得た後、抗菌性繊維を製造して評価した。
なお、実施例2〜4においても、抗菌性ガラスを作成した段階で電子顕微鏡観察し、少なくとも95重量%以上が、角や面のある多面体であることを確認した。
[実施例5]
実施例5においては、実施例1と同様のガラス組成(A組成)を用いるとともに、粉砕機として、ジェットミルを用い、0.82MPaの圧力下において、5Kg/Hrの投入量で、微粉砕処理を実施した。その結果、平均粒径(D50)が2.5μm、比表面積が47000cm2/cm3である抗菌性ガラスを得た。
なお、実施例5においても、この段階後の抗菌性ガラスを、電子顕微鏡で観察し、少なくとも95重量%以上が、角や面のある多面体であることを確認した。
[実施例6]
実施例6においては、実施例1と同様のガラス組成(A組成)を用い、ジェットミルの粉砕条件を0.82MPaの圧力で、30Kg/Hrの投入量に変えて、平均粒径(D50)が10.9μm、比表面積が23000cm2/cm3である抗菌性ガラスを得た後、実施例1と同様に抗菌性繊維を製造して評価した。但し、抗菌性繊維の平均直径を30μmとした。
[実施例7]
実施例7においては、抗菌性ガラスの組成を変えた以外は、実施例1と同様に抗菌性ガラスを得た後、抗菌性繊維を製造して評価した。すなわち、全体量に対して、P25の組成比が59.6重量%、CaOの組成比が26.3重量%、Na2Oの組成比が0.6重量%、B23の組成比が10重量%、Ag2Oの組成比が3重量%、CeO2の組成比が0.5重量%となるように構成した以外は、実施例1と同様に、多面体であって、平均粒径(D50)が3.2μm、比表面積が約35000cm2/cm3である抗菌性ガラスを得た後、抗菌性繊維を製造して評価した。
[比較例1]
比較例1においては、実施例1と同様のガラス組成(A組成)を用い、サイクロン装置及びバグフィルターを備えた遊星ミルの処理時間を3時間と短くして、平均粒径(D50)が15μmである抗菌性ガラスを得た。しかしながら、実施例1と同様に、直径10μmの抗菌性繊維を製造しようとしたが、抗菌性ガラスの平均粒径が大きすぎて紡糸できなかった。そこで、直径50μmの抗菌性繊維を製造し、実施例1と同様に評価を行った。
[比較例2]
比較例2においては、実施例1と異なるガラス組成(B組成)を用いるとともに、サイクロン装置及びバグフィルターを備えた遊星ミルを用いて、処理時間を3時間と短くして、平均粒径(D50)が15μmである抗菌性ガラスを得た。しかしながら、実施例1と同様に、直径10μmの抗菌性繊維を製造しようとしたが、抗菌性ガラスの平均粒径が大きすぎて紡糸できなかった。そこで直径50μmの抗菌性繊維を製造し、実施例1と同様に評価を行った。
[比較例3]
比較例3においては、分散剤としてのシリカ粒子を添加しなかったほかは、実施例1と同様に抗菌性ガラスを得ようとした。しかしながら、抗菌性ガラスがボールミルの内壁に付着してしまい、外に取り出すことができず、そこで実験を中止した。
[比較例4]
比較例4においては、湿式ボールミルを用いて、ミリング時間を100時間以上に延ばして、平均粒径(D50)が10μm以下の抗菌性ガラスを得ようとした。しかしながら、抗菌性ガラスがボールミルの内壁に付着してしまい、外に取り出すことが困難であった。また、取出した抗菌性ガラスを加熱乾燥させたところ、抗菌性ガラスが凝集して、大粒子となったため、そこで実験を中止した。
Figure 2008133583
Figure 2008133583
以上説明したように、本発明の抗菌性繊維によれば、抗菌性ガラスの分散剤としての無機粒子(凝集シリカ)を併用するとともに、抗菌性ガラスの平均粒径や添加量等を所定範囲に制御することによって、直径が10〜30μm程度の極細繊維であっても、安定的に製造できるようになった。
したがって、本発明によれば、遊星ミルやジェットミル等の粉砕機、特に乾式粉砕機を用いることにより、分散性に優れるとともに、製造安定性等に優れた抗菌性ガラスが効率的に得られるようになり、ひいては、優れた表面平滑性や透明性が得られる抗菌性繊維が効率的かつ安定的に得られるようになった。
また、本発明の抗菌性繊維によれば、抗菌性ガラスの分散剤としての無機粒子が所定量添加されており、無機粒子が親水性の場合には、抗菌性ガラスの溶解速度が均一になるばかりか、抗菌性繊維としての着色性も優れたものとなった。
さらに、抗菌性繊維中に、強度向上等のために、無機粒子を紡糸する際に後添加する場合があるが、本発明の抗菌性繊維には、抗菌性ガラスの分散剤としての無機粒子が既に含まれているため、そのような後添加する無機粒子を省略したり、添加量を少なくしたりすることができるようになった。したがって、事実上、無機粒子を後添加する工程を省略することができる一方、無機粒子を後添加する工程に起因した紡糸不良等の問題を解決することもできる。
実施例1の抗菌性ガラスの粒度分布を説明するために供する図である。 遊星ミルを用いた粉砕処理工程を説明するために供する図である。 別の遊星ミルを説明するために供する図である。 比較例1の抗菌性ガラスの粒度分布を説明するために供する図である。 比較例2の抗菌性ガラスの粒度分布を説明するために供する図である。

Claims (8)

  1. 透明樹脂と、乾式粉砕機により得られてなる抗菌性ガラスと、当該抗菌性ガラスの分散剤としての無機粒子と、を含む抗菌性繊維において、
    前記抗菌性繊維の直径を10〜30μmの範囲内の値とし、
    前記抗菌性ガラスの平均粒径を0.1〜10μmの範囲内の値とするとともに、前記抗菌性ガラスの添加量を、全体量に対して、0.1〜10重量%の範囲内の値とし、
    かつ、前記無機粒子である凝集シリカ粒子の平均粒径を1〜15μmの範囲内の値とするとともに、前記無機粒子である凝集シリカ粒子の添加量を、前記抗菌性ガラスの添加量100重量部に対して、0.1〜50重量部の範囲内の値とすることを特徴とする抗菌性繊維。
  2. 前記凝集シリカ粒子が、下式(1)で表される凝集性度(P)として、100〜10000の範囲内の値を有することを特徴とする請求項1に記載の抗菌性繊維。
    P=B/A (1)
    (式(1)中、Aは、シリカ粒子をスラリー状態とし、湿式粉砕機を用いて限界粉砕した場合に測定される一次粒子としての平均体積粒径(D50)であり、Bは、シリカ粒子を乾燥状態とし、乾式粉砕機を用いて限界粉砕した場合の二次粒子としての平均体積粒径(D50)である。)
  3. 前記凝集シリカ粒子の体積固有抵抗を1×105〜1×109Ω・cmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載の抗菌性繊維。
  4. 前記抗菌性ガラスの比表面積を10,000〜300,000cm2/cm3の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗菌性繊維。
  5. 前記抗菌性ガラスの平均粒径を50%体積粒径(D50)とするとともに、90%体積粒径(D90)を0.5〜12μmの範囲内の値とし、かつ、D90/D50で表される比率を1.1〜2.0の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗菌性繊維。
  6. 前記抗菌性ガラスの周囲を、疎水基として、炭素数5以上の長鎖アルキル基を有するシランカップリング剤により表面処理してあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗菌性繊維。
  7. 前記乾式粉砕機が、乾式ボールミル、遊星ミル、振動ミル又はジェットミルであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の抗菌性繊維。
  8. 前記乾式粉砕機に、サイクロンが備えてあり、当該サイクロンを用いて、前記無機粒子とともに循環させながら、前記抗菌性ガラスが得られたものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の抗菌性繊維。
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