JP2008133378A - 有機無機ハイブリッド透明封止材とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】250℃以下の熱または空気中の水分によって硬化し、紫外線透過性に優れ、飽和吸水率が低く、耐熱性が高く、透過率が高く、屈折率が高い透明封止材はなかった。
【解決手段】有機置換基とシロキサン結合を含む有機無機ハイブリッド物質(主剤)に硬化剤を添加し、または硬化剤を添加せずに、成型、硬化させる有機無機ハイブリッド透明封止材。有機無機ハイブリッド透明封止材の有機置換基として芳香族または芳香族を含む炭化水素基、飽和炭化水素基または不飽和炭化水素基を含有することを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】有機置換基とシロキサン結合を含む有機無機ハイブリッド物質(主剤)に硬化剤を添加し、または硬化剤を添加せずに、成型、硬化させる有機無機ハイブリッド透明封止材。有機無機ハイブリッド透明封止材の有機置換基として芳香族または芳香族を含む炭化水素基、飽和炭化水素基または不飽和炭化水素基を含有することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ゾルゲル法に用いられる原料を出発原料とする有機無機ハイブリッド透明封止材に関する。
透明封止材は、バックライト、表示板、ディスプレイ、各種インジケーター等に使用されている発光ダイオード(LED)等の半導体発光素子の封止、太陽電池モジュールにおける太陽電池素子の封止、光通信用の受光部の封止等に使用されている。透明封止材により、その装置の性能の劣化原因となる、外部からの物理的な衝撃、気体との接触または水分との接触等を抑制または、防ぐことができる。これらの装置では、封止材を様々な波長の光が高効率で透過しなければならないので、封止材の透過率は広い波長域で高いことが望ましい。しかし、透明封止材の使用環境の激化、例えば、高温雰囲気や光のハイパワー化等により、透明封止材自体が劣化しやすくなる。封止材が劣化し、透明度が落ちるとその装置の性能が下がる問題が発生する為、耐熱性や光透過性等のより優れた材料が必要になる。
透明封止材としては、透明性や機械的強度等の観点からビスフェノールA型エポキシ樹脂を主剤とし、これに硬化剤として酸無水物を配合したもの、酢酸ビニル含量の高いエチレン・酢酸ビニル共重合体やポリビニルブチラールが使用されており、これらの厳しい要求特性に応える為に、組成の改良、紫外線吸収剤や有機過酸化物等の添加が試みられた(例えば、特許文献1〜3)。
しかし、それらの透明封止材料は、これらの要求に対し、充分に応えることはできていない。
特開2006−066761号公報
特開2003−228076号公報
特開平10−253972号公報
バックライト、表示板、ディスプレイ、各種インジケーター等に使用されている発光ダイオード(LED)等の半導体発光素子、太陽電池モジュールにおける太陽電池素子や光通信用の受光部の劣化に大きな影響を与える透明封止材料の劣化は、熱や紫外線等によって起こる。それらの装置の使用温度の上昇、透明封止材を透過する光の短波長化、ハイパワー化により、透明封止材の劣化が加速される。
透明封止材を劣化させる原因の一つである紫外線による劣化を防ぐには、紫外線吸収剤によって紫外線を熱エネルギーに変換して放出する方法と、紫外線を完全に透過させる方法が考えられる。前者の方法では、紫外線吸収剤がブリードアウトし蒸散する問題が考えられる。さらに熱エネルギーを効率よく放出する必要があるために、装置の構造設計が大きな制約を受ける。後者は紫外線の発光波長領域を吸収しない透明封止材料を用いる方法である。シリコーン樹脂は、紫外域で高透過性を示す、接着性が低い、強度が低い、透湿性(吸水性)が高い、屈折率が低いという問題があるため、透明封止材として使用するには課題が多い。
紫外線透過性の高いシリコーン樹脂にエポキシ基を導入したエポキシシリコーンも開発されているが、透明封止材に求められる全ての物性を満足するには至っていない。
すなわち、従来の透明樹脂では、厳しい耐UV性(高いUV透過性)や耐熱性を満足し、例えばLED用封止材に求められる耐水性(低吸水性)、高屈折率、接着性を同時に満たすものはなかった。
本発明は、有機置換基とシロキサン結合を含む物質(主剤)に硬化剤を添加し、または硬化剤を添加せずに、成型、硬化させて得られる有機無機ハイブリッド透明封止材である。
また、有機置換基として芳香族または芳香族を含む炭化水素基を含有することを特徴とする上記の有機無機ハイブリッド封止材である。
また、有機置換基として飽和炭化水素基または不飽和炭化水素基を含有することを特徴とする上記の有機無機ハイブリッド封止材である。
また、有機無機ハイブリッド物質を構成する元素のうち、炭素が18〜56%、水素が4〜7%、酸素が19〜36%、珪素が22〜42%であることを特徴とする上記の有機無機ハイブリッド透明封止材である。
また、波長350〜900nmにおける透過率が厚さ1mmで85%以上であることを特徴とする上記の有機無機ハイブリッド透明封止材である。
また、23℃の純水に浸漬させたときの飽和吸水率が0.1wt%未満であること特徴とする上記の有機無機ハイブリッド透明封止材である。
また、300℃以下で溶融しないことを特徴とする上記の有機無機ハイブリッド透明封止材である。
また、300℃以下で溶融しないことを特徴とする上記の有機無機ハイブリッド透明封止材である。
また、屈折率が1.4以上であることを特徴とする上記の有機無機ハイブリッド透明封止材である。
また、150℃で24時間以上加熱後の波長350〜900nmにおける透過率が、厚さ1mmで85%以上であることを特徴とする上記の有機無機ハイブリッド透明封止材である。
また、有機無機ハイブリッド物質原料のアルコキシシランのうち、芳香族または芳香族を含む炭化水素基を含有するアルコキシシランがモル比で90%以下、飽和炭化水素基を含有するアルコキシシランがモル比で10%以上、不飽和炭化水素基を含有するアルコキシシランがモル比で90%以下であることを特徴とする上記の有機無機ハイブリッド透明封止材である。
また、有機無機ハイブリッド物質を、アルコキシシランにモル比で1倍以上の水、100倍以下のアルコール、10倍以下の塩基性触媒または、1倍以下の酸性触媒を添加し、混合溶液を50〜110℃で10分〜1週間加熱して製造することを特徴とする、上記の有機無機ハイブリッド透明封止材である。
また、有機無機ハイブリッド物質を、20〜200℃で10分〜10時間減圧加熱して安定化することを特徴とする上記の有機無機ハイブリッド透明封止材である。
また、有機無機ハイブリッド物質の粘度が塗布温度で200Pa・s以下であることを特徴とする上記の有機無機ハイブリッド透明封止材である。
また、有機無機ハイブリッド物質の平均分子量が100〜100000であることを特徴とする上記の有機無機ハイブリッド透明封止材である。
また、ゲル化工程がないため、加熱に対して大きな体積収縮が起こらないことを特徴とする上記の有機無機ハイブリッド透明封止材である。
また、硬化剤を添加する場合、硬化剤としてアミン系化合物または金属化合物を主剤に対し50wt%以下添加することを特徴とする上記の有機無機ハイブリッド透明封止材。
さらにまた、250℃以下の熱または空気中の水分によって硬化することを特徴とする上記の有機無機ハイブリッド透明封止材である。
本発明により、これまで製作することが極めて難しいとされてきた、250℃以下の熱または空気中の水分によって硬化し、紫外線透過性に優れ(波長350〜900nmにおける透過率が厚さ1mmで85%以上)、飽和吸水率が低く(23℃の水に浸漬させたときに0.1wt%以下)、耐熱性が高く(300℃以下で溶融せず、150℃で24時間加熱後の波長350〜900nmにおける透過率が、厚さ1mmで85%以上)、屈折率が高い(1.4以上)透明封止材を製造することができる。
本発明は、有機無機ハイブリッド透明封止材を製造する場合において、有機置換基とシロキサン結合を含む主剤に硬化剤を添加し、あるいは添加せずに、成型、硬化させることを特徴とする有機無機ハイブリッド透明封止材である。
有機置換基として芳香族または芳香族を含む炭化水素基を含有することが好ましい。芳香族または芳香族を含む炭化水素基としてフェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等があるが、特にフェニル基が好ましい。
有機置換基として飽和炭化水素基または不飽和炭化水素基を含有することが好ましい。飽和炭化水素基としてメチル基、エチル基、(n−、i−)プロピル基、(n−、i−、s−、t−)ブチル基等があるが、特にメチル基が好ましい。また、不飽和炭化水素基としてビニル基、アリル基、(1−、i−)プロペニル基等があるが、特にビニル基が好ましい。
有機無機ハイブリッド物質を構成する元素のうち、炭素が18〜56%、水素が4〜7%、酸素が19〜36%、珪素が22〜42%であることが好ましい。それぞれの元素の存在比を決定付ける理由は以下の通りである。
炭素が18%以下の場合、分相が起こりやすく、緻密化できないため、硬化体が脆くなるためである。炭素が56%以上の場合、分相が起こりやすく、熱軟化性の物質が得られるため、高温使用時に十分な強度を維持できないためである。
水素が4%以下の場合、分相が起こりやすく、緻密化できないため、硬化体が脆くなるためである。また、熱や光によって物性が変化しやすい場合が多いからである。水素が7%以上の場合、系内に未反応のシラノール基やアルコキシ基が多数存在する可能性が高く、熱によって物性が変化しやすい場合が多いからである。
酸素が19%以下の場合、シロキサンネットワークの形成が不十分で強度等の物理的性質が低くなるためである。酸素が36%以上の場合、分相が起こりやすく、緻密化できないため、硬化体が脆くなるためである。
珪素が22%以下の場合、シロキサンネットワークの形成が不十分で強度等の物理的性質が低くなるためである。珪素が42%以上の場合、分相が起こりやすく、緻密化できないため、硬化体が脆くなるためである。
また、硬化後の透明封止材の、波長350〜900nmにおける透過率が厚さ1mmで85%以上であることが好ましい。この透過率が85%以下の材料を白色LEDの封止材に用いた場合、励起光強度が弱くなるため、LED素子からの光の取り出し効率が低くなるためである。さらに紫外域での透過率が低い、すなわち光吸収が大きい場合、励起光を吸収し封止材が劣化(黄変)するためである。また、光通信用受光部の封止材に用いた場合、受光効率が低くなる為である。
また、硬化後の透明封止材が23℃の純水に浸漬させたときの飽和吸水率が0.1wt%未満であることが好ましい。水に対し封止材の形状を維持する為である。また、素子内部の水による劣化を防止する為である。
また、硬化後の透明封止材が300℃以下で溶融しないことが好ましい。発熱に対し封止材の形状を維持するためである。
また、硬化後の透明封止材の屈折率が1.4以上であることが好ましい。屈折率が1.4以下の場合、LED素子からの光の取り出し効率や光通信用の受光部に使用した場合の受光効率が低くなる為である。
また、硬化後の透明封止材を150℃で24時間以上加熱後の波長350〜900nmにおける透過率が、厚さ1mmで85%以上であることが好ましい。150℃で24時間以上加熱後の波長350〜900nmにおける透過率が厚さ1mmで85%以下の場合、LED素子からの光の取り出し効率や光通信用の受光部に使用した場合の受光効率が低くなる為である。
また、有機無機ハイブリッド物質の原料のアルコキシシランのうち、芳香族または芳香族を含む炭化水素基を含有するアルコキシシランがモル比で90%以下、飽和炭化水素基を含有するアルコキシシランがモル比で10%以上、不飽和炭化水素基を含有するアルコキシシランがモル比で90%以下であることが好ましい。それぞれの組成を決定付ける理由は以下の通りである。
芳香族または芳香族を含む炭化水素基を含有するアルコキシシランがモル比で90%以上の場合、硬化に長時間を要し、高温使用時に十分な強度を維持できないためである。また、硬化後に温度変化によってクラックが発生しやすいためである。
飽和炭化水素基を含有するアルコキシシランがモル比で10%以下の場合、硬化後に温度変化によってクラックが発生しやすいためである。
不飽和炭化水素基を含有するアルコキシシランがモル比で90%以上の場合、ゴム化しやすく、硬化後に発砲体となるためである。また、不飽和炭化水素基同士の架橋が熱または紫外光により不規則に起こり、物性が安定しないためである。
また、主剤の原料のアルコキシシランに対して、モル比で1倍以上の水、100倍以下のアルコール、10倍以下の塩基性触媒または、1倍以下の酸性触媒を添加することが好ましい。それぞれの添加量を決定付ける理由は以下の通りである。
水の添加量が1倍以下の場合、加水分解反応が十分に進行せずに、未反応のアルコキシ基が残留するためである。
アルコールの添加量が100倍以上の場合、合成時間が長時間となり、生産性等の産業上のメリットが小さいからである。アルコールとしてはメタノール、エタノール、1−プロパノ-ル、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノ-ル、2−ブタノール、1.1−ジメチル−1−エタノール等があるが、特にエタノールが好ましい。
塩基性触媒の添加量が10倍以上の場合、または、酸性触媒の添加量が1倍以上の場合、分相しやすく、均一な硬化体が得られないためである。
ゾル−ゲル法による有機無機ハイブリッド材料の合成では、酸性触媒が用いられる場合が多いが、得られた封止材中の触媒残渣により、例えばLED中の金属フレームが腐食したり、封止材自身が紫外光や熱により黄変したりするため、酸性触媒を用いて合成したときは、酸を除去する必要がある場合がある。酸性触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸、酢酸、蟻酸、マレイン酸、フマル酸、プロピオン酸、アジピン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、安息香酸等の有機酸があるが、特に酢酸が望ましい。
なお、塩基性触媒としてはアンモニアが好ましく、その他に無機塩基として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどが挙げられる。また有機塩基としては、エチレンジアミン、トリエチルアミン、ピリジンなどのアミン類が挙げられる。また金属アルコキシドとしてナトリウムメチラートなどが挙げられる。しかし、加水分解収率が低く、主剤にアルコキシドが残存しやすい。アルコキシドは耐熱性が低い為に、有機無機ハイブリッド材料の耐熱性を下げる原因になりやすい。塩基性触媒を用いる場合、水を多量(モル比で原料アルコキシドの30倍以上)に添加し、加水分解反応を促進する必要がある。
また、有機無機ハイブリッド物質の合成温度は50〜110℃で合成時間は10分〜1週間であることが好ましい。それぞれの合成条件を決定付ける理由は以下の通りである。
有機無機ハイブリッド物質の合成温度が50℃以下の場合、合成時間が長時間となり、生産性等の産業上のメリットが小さいからである。有機無機ハイブリッド物質の合成温度が110℃以上の場合、混合溶液の沸騰や原料アルコキシシランの蒸発により、所望の組成の有機無機ハイブリッド物質が得られないためである。
有機無機ハイブリッド物質の合成時間が10分以下の場合、加水分解・重縮合反応が十分に進行しないためである。有機無機ハイブリッド物質の合成時間が1週間以上の場合、合成時間が長時間となり、生産性等の産業上のメリットが小さいからである。なお、有機無機ハイブリッド物質の合成は開放系で行っても良いし、還流下で行っても良い。
また、20〜200℃で10分〜10時間減圧加熱して有機無機ハイブリッド物質を安定化することが好ましい。20℃以下で減圧加熱した場合、未反応シラノール基の縮合や系内に残留した水、触媒の蒸発が不十分で、安定化の効果が得られないためである。200℃以上で減圧加熱した場合、急激な縮合反応の進行により有機無機ハイブリッド物質の粘度が急激に増大し制御できないためである。10分未満の減圧加熱の場合、未反応シラノール基の縮合や系内に残留した水、触媒の蒸発が不十分で、安定化の効果が得られないためである。10時間以上の減圧加熱の場合、有機無機ハイブリッド物質の粘度が増大しすぎて制御が難しいためである。
また、硬化前の有機無機ハイブリッド物質の粘度が塗布温度で200Pa・s以下であることが好ましい。有機無機ハイブリッド物質の粘度が塗布温度で200Pa・s以上の場合、泡残りが起こりやすいためである。
また、硬化前の有機無機ハイブリッド物質の平均分子量が100〜100000であることが好ましい。有機無機ハイブリッド物質の平均分子量が100以下の場合、硬化時に低分子量成分の蒸発が起こりやすく、硬化後も未反応基が残存しやすいためである。また、有機無機ハイブリッド物質の平均分子量が100000以上の場合、高粘度となり硬化時に泡残りが起こりやすいためである。
また、ゲル化工程がなく、加熱に対して大きな体積収縮が起こらないことが好ましい。ゲル化に伴う体積収縮によりクラックが発生しやすいためである。
また、必要に応じて、硬化剤を50wt%以下添加することが好ましい。硬化剤としては、金属アルコキシド、金属錯体、金属塩化物などの金属化合物または、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシランなどのアミン系化合物がある。また、金属化合物は、官能基の一部をβジケトン、β−ケトエステル、アルカノールアミン、アルキルアルカノールアミン、有機酸等で置換した金属化合物誘導体も使用できる。金属化合物やアミン系化合物は単独で使用しても良いし、2種以上混合しても良い。硬化剤が有機無機ハイブリッド物質の50wt%以上の場合、充分に硬化するまで長時間要するか、あるいは不透明になり、さらに着色しやすくなる為である。
また、硬化剤と共に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの無機塩基、エチレンジアミン、トリエチルアミン、ピリジン、アンモニアなどの有機塩基、ナトリウムメチラートなどの金属アルコキシドを添加することで硬化が促進される。
また、250℃以下の熱または空気中の水分によって硬化することが好ましい。硬化温度が250℃以上の場合、急激な硬化反応により泡残りが起こりやすく、さらに着色しやすくなるためである。また、ポリフタル酸アミド製LED用パッケージの場合、ポリフタル酸アミドの耐熱温度を考慮し、150℃以下で硬化することが好ましい。
以下、実施例に基づき、述べる。
室温で4.9mlのフェニルトリエトキシシラン(PhSi(OEt)3)、7.39mlのメチルトリエトキシシラン(MeSi(OEt)3)、6.45mlのジメチルジエトキシシラン(Me2Si(OEt)2)、54.06mlの水、34.6mlのエタノール、9μlの氷酢酸を混合した。混合溶液を100℃で1時間加熱した後、ジエチルエーテルで希釈し、純水で酢酸を抽出した。抽出後、ジエチルエーテルを留去し、更に安定化する為に25℃、次いで100℃で減圧加熱をそれぞれ1時間ずつ行い、主剤を得た。25℃での主剤の粘度を、ブルックフィールド製RV型粘度計で測定したところ、655mPa・sであった。
この主剤を200℃で硬化させた。硬化体の元素分析を行ったところ、炭素30%、水素6%、酸素27%、珪素37%であった。日立U4000形自記分光光度計により、200℃、24時間加熱したときの硬化体の波長350〜900nmにおける透過率を測定したところ、厚さ1mmで85%以上であった。透過率曲線を図1の実施例1に示す。
さらに熱機械測定(TMA)により加熱時のサンプルの膨張・収縮量を測定し、硬化体の溶融挙動を調べた。理学電気工業株式会社製TMA8310を用いて5℃/minで昇温したTMA測定から、線膨張係数は1.8×10−4(1/K)であり、300℃以下では溶融しないことが確認された。このサンプルの温度−膨張率曲線を図2の実施例1に示す。さらに、このサンプルをJIS K 7209に準拠して23℃における飽和吸水率を測定したところ0.1wt%以下であった。
室温で2.47mlのフェニルトリエトキシシラン(PhSi(OEt)3)、3.70mlのメチルトリエトキシシラン(MeSi(OEt)3)、11.29mlのジメチルジエトキシシラン(Me2Si(OEt)2)、54.06mlの水、34.6mlのエタノール、9μlの氷酢酸を混合した。混合溶液を100℃で1.5時間加熱した後、ジエチルエーテルで希釈し、純水で酢酸を抽出した。抽出後、ジエチルエーテルを留去し、更に安定化する為に25℃、次いで100℃で減圧加熱をそれぞれ1時間ずつ行い、主剤を得た。
25℃での主剤の粘度を、ブルックフィールド製RV型粘度計で測定したところ、1.23Pa・sであった。この主剤を200℃で硬化させた。実施例1と同様に、硬化体の波長350〜900nmにおける透過率を測定したところ、厚さ1mmで85%以上であった。さらにTMA測定から、線膨張係数は1.8×10−4(1/K)であり、300℃以下では溶融しないことが確認された。さらに、このサンプルをJIS K 7209に準拠して23℃における飽和吸水率を実施例1と同様に測定したところ0.1wt%以下であった。
実施例1と同様の原料及び同様の合成条件で合成して得た主剤に0.5wt%のアセチルアセトンアルミニウムを添加し、25℃で1時間、減圧加熱し、さらに100℃で20時間加熱して硬化させた。硬化体は波長350nm〜900nmにおける透過率が85%以上であった。
室温で4.9mlのフェニルトリエトキシシラン(PhSi(OEt)3)、7.39mlのメチルトリエトキシシラン(MeSi(OEt)3)、6.45mlのジメチルジエトキシシラン(Me2Si(OEt)2)、81.09mlの水、34.6mlのエタノール、0.9mlのアンモニア水溶液(28wt%)を混合した。混合溶液を100℃で4時間加熱し、主剤を得た。この主剤を150℃で48時間加熱し、硬化させた。硬化体の波長350nm〜900nmにおける透過率は、85%以上であった。
(比較例1)
室温で4.9mlのフェニルトリエトキシシラン(PhSi(OEt)3)、7.39mlのメチルトリエトキシシラン(MeSi(OEt)3)、6.45mlのジメチルジエトキシシラン(Me2Si(OEt)2)、10.8mlの水、34.6mlのエタノール、0.9mlの氷酢酸を混合した。混合溶液を100℃で1時間加熱した後、ジエチルエーテルで希釈し、純水で酢酸を抽出した。抽出後、ジエチルエーテルを留去し、更に安定化する為に25℃、次いで100℃で減圧加熱をそれぞれ1時間ずつ行い、主剤を得た。この主剤を硬化するため、200℃で加熱したところ、24時間後に黄変した。透過率曲線を図1の比較例1に示す。
室温で4.9mlのフェニルトリエトキシシラン(PhSi(OEt)3)、7.39mlのメチルトリエトキシシラン(MeSi(OEt)3)、6.45mlのジメチルジエトキシシラン(Me2Si(OEt)2)、10.8mlの水、34.6mlのエタノール、0.9mlの氷酢酸を混合した。混合溶液を100℃で1時間加熱した後、ジエチルエーテルで希釈し、純水で酢酸を抽出した。抽出後、ジエチルエーテルを留去し、更に安定化する為に25℃、次いで100℃で減圧加熱をそれぞれ1時間ずつ行い、主剤を得た。この主剤を硬化するため、200℃で加熱したところ、24時間後に黄変した。透過率曲線を図1の比較例1に示す。
(比較例2)
室温で13.6mlのフェニルトリエトキシシラン(PhSi(OEt)3)、4.0mlのメチルトリエトキシシラン(MeSi(OEt)3)、3.3mlのジメチルジエトキシシラン(Me2Si(OEt)2)、1.0mlのビニルトリエトキシシラン(ViSi(OEt)3)、38mlの水、69mlのエタノール、4.6mlのアンモニアを混合し、100℃で4時間加熱した。安定化するため40℃で1時間減圧加熱を行い、主剤を得た。この主剤を硬化するため、200℃で加熱したところ、24時間後に黄変した。
室温で13.6mlのフェニルトリエトキシシラン(PhSi(OEt)3)、4.0mlのメチルトリエトキシシラン(MeSi(OEt)3)、3.3mlのジメチルジエトキシシラン(Me2Si(OEt)2)、1.0mlのビニルトリエトキシシラン(ViSi(OEt)3)、38mlの水、69mlのエタノール、4.6mlのアンモニアを混合し、100℃で4時間加熱した。安定化するため40℃で1時間減圧加熱を行い、主剤を得た。この主剤を硬化するため、200℃で加熱したところ、24時間後に黄変した。
(比較例3)
室温で0.7mlのフェニルトリエトキシシラン(PhSi(OEt)3)、0.9mlのメチルトリエトキシシラン(MeSi(OEt)3)、30mlのビニルトリエトキシシラン(ViSi(OEt)3)、35mlの水、35mlのエタノール、1mlの酢酸を混合し、実施例1と同様の条件で主剤を合成した。しかし、この主剤がゴム化したため塗布できなかった。また、このゴムを100℃で加熱すると硬化が急激に進行し発泡体となり、封止材として評価することができなかった。さらに、このサンプルをJIS K 7209に準拠して23℃における飽和吸水率を実施例1と同様に測定したところ水が物理吸着するため正確な吸水率を測定することができなかった。
室温で0.7mlのフェニルトリエトキシシラン(PhSi(OEt)3)、0.9mlのメチルトリエトキシシラン(MeSi(OEt)3)、30mlのビニルトリエトキシシラン(ViSi(OEt)3)、35mlの水、35mlのエタノール、1mlの酢酸を混合し、実施例1と同様の条件で主剤を合成した。しかし、この主剤がゴム化したため塗布できなかった。また、このゴムを100℃で加熱すると硬化が急激に進行し発泡体となり、封止材として評価することができなかった。さらに、このサンプルをJIS K 7209に準拠して23℃における飽和吸水率を実施例1と同様に測定したところ水が物理吸着するため正確な吸水率を測定することができなかった。
(比較例4)
室温で0.7mlのフェニルトリエトキシシラン(PhSi(OEt)3)、28.4mlのメチルトリエトキシシラン(MeSi(OEt)3)、1mlのビニルトリエトキシシラン(ViSi(OEt)3)、35mlの水、35mlのエタノール、1mlの酢酸を混合し、実施例1と同様の条件で主剤を合成した。しかし、この主剤がゲル化したため塗布できなかった。また、このゲルを130℃で加熱すると硬化が急激に進行し発泡体となり、封止材として評価することができなかった。
室温で0.7mlのフェニルトリエトキシシラン(PhSi(OEt)3)、28.4mlのメチルトリエトキシシラン(MeSi(OEt)3)、1mlのビニルトリエトキシシラン(ViSi(OEt)3)、35mlの水、35mlのエタノール、1mlの酢酸を混合し、実施例1と同様の条件で主剤を合成した。しかし、この主剤がゲル化したため塗布できなかった。また、このゲルを130℃で加熱すると硬化が急激に進行し発泡体となり、封止材として評価することができなかった。
(比較例5)
実施例1と同様の原料及び同様の合成条件で合成して得た主剤にアセチルアセトンアルミニウムを50wt%添加し、25℃で減圧加熱し脱泡を試みたが、粘度が高すぎるため脱泡することができなかった。
実施例1と同様の原料及び同様の合成条件で合成して得た主剤にアセチルアセトンアルミニウムを50wt%添加し、25℃で減圧加熱し脱泡を試みたが、粘度が高すぎるため脱泡することができなかった。
(比較例6)
実施例4と同様の原料及び同様の合成条件だが、水を13.5mlとして、合成した。主剤を硬化させる為、150℃で加熱すると24時間後に黄変した。
実施例4と同様の原料及び同様の合成条件だが、水を13.5mlとして、合成した。主剤を硬化させる為、150℃で加熱すると24時間後に黄変した。
(比較例7)
室温で23.1mlのフェニルトリエトキシシラン(PhSi(OEt)3)、16.3mlのジフェニルジエトキシシラン(Ph2Si(OEt)2)、72.00mlの水、55.2mlのエタノール、1.2mlの氷酢酸を混合した。混合溶液を100℃で8時間加熱し、主剤得た。この主剤は、250℃で加熱すると硬化するが、72℃で軟化する。このサンプルの温度−膨張率曲線を図2に示す。硬化体の23℃における吸水率を実施例1と同様に測定したところ192時間後も飽和せず1.9wt%を超えた。
室温で23.1mlのフェニルトリエトキシシラン(PhSi(OEt)3)、16.3mlのジフェニルジエトキシシラン(Ph2Si(OEt)2)、72.00mlの水、55.2mlのエタノール、1.2mlの氷酢酸を混合した。混合溶液を100℃で8時間加熱し、主剤得た。この主剤は、250℃で加熱すると硬化するが、72℃で軟化する。このサンプルの温度−膨張率曲線を図2に示す。硬化体の23℃における吸水率を実施例1と同様に測定したところ192時間後も飽和せず1.9wt%を超えた。
バックライト、表示板、ディスプレイ、各種インジケーター等に使用されている発光ダイオード(LED)等の半導体発光素子の封止、太陽電池モジュールにおける太陽電池素子の封止、光通信用の受光部の封止等に使用することができる。また、PDPを始めとするディスプレイ部品の封着・被覆用材料、光スイッチや光結合器を始めとする光情報通信デバイス材料、光学機器材料、光機能性(非線形)光学材料、接着材料等、低融点ガラスが使われている分野、エポキシ等の有機材料が使われている分野に利用可能である。
Claims (17)
- 有機置換基とシロキサン結合を含む物質(以下、主剤と呼ぶ)に硬化剤を添加し、または硬化剤を添加せずに、成型、硬化させることを特徴とする有機無機ハイブリッド透明封止材。
- 有機置換基として芳香族または芳香族を含む炭化水素基を含有することを特徴とする請求項1に記載の有機無機ハイブリッド透明封止材。
- 有機置換基として飽和炭化水素基または不飽和炭化水素基を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の有機無機ハイブリッド透明封止材。
- 有機無機ハイブリッド物質を構成する元素のうち、炭素が18〜56%、水素が4〜7%、酸素が19〜36%、珪素が22〜42%であることを特徴とする請求項1乃至3に記載の有機無機ハイブリッド透明封止材。
- 波長350〜900nmにおける透過率が厚さ1mmで85%以上であることを特徴とする請求項1乃至4に記載の有機無機ハイブリッド透明封止材。
- 23℃の純水に浸漬させたときの飽和吸水率が0.1wt%未満であることを特徴とする請求項1乃至5に記載の有機無機ハイブリッド透明封止材。
- 300℃以下で溶融しないことを特徴とする請求項1乃至6に記載の有機無機ハイブリッド透明封止材。
- 屈折率が1.4以上であることを特徴とする請求項1乃至7に記載の有機無機ハイブリッド透明封止材。
- 150℃で24時間以上加熱後の波長350〜900nmにおける透過率が、厚さ1mmで85%以上であることを特徴とする請求項1乃至8に記載の有機無機ハイブリッド透明封止材。
- 主剤の原料のアルコキシシランのうち、芳香族または芳香族を含む炭化水素基を含有するアルコキシシランがモル比で90%以下、飽和炭化水素基を含有するアルコキシシランがモル比で10%以上、不飽和炭化水素基を含有するアルコキシシランがモル比で90%以下であることを特徴とする請求項1乃至9に記載の有機無機ハイブリッド透明封止材。
- アルコキシシランにモル比で1倍以上の水、100倍以下のアルコール、触媒として10倍以下の塩基性触媒または、1倍以下の酸性触媒を添加し、混合溶液を50〜110℃で10分〜1週間加熱して主剤を製造することを特徴とする、請求項1乃至10に記載の有機無機ハイブリッド透明封止材。
- 主剤を20〜200℃で10分〜10時間減圧加熱して安定化することを特徴とする請求項1乃至11に記載の有機無機ハイブリッド透明封止材。
- 硬化前の有機無機ハイブリッド物質の粘度が塗布温度で200Pa・s以下であることを特徴とする請求項1乃至12に記載の有機無機ハイブリッド透明封止材。
- 硬化前の有機無機ハイブリッド物質の平均分子量が100〜100000であることを特徴とする請求項1乃至13に記載の有機無機ハイブリッド透明封止材。
- ゲル化工程がないため、加熱に対して大きな体積収縮が起こらないことを特徴とする請求項1乃至14に記載の有機無機ハイブリッド透明封止材。
- 硬化剤を添加する場合、硬化剤としてアミン系化合物、または金属化合物を主剤に対し50wt%以下添加することを特徴とする請求項1乃至15に記載の有機無機ハイブリッド透明封止材。
- 250℃以下の熱または空気中の水分によって硬化することを特徴とする請求項1乃至16に記載の有機無機ハイブリッド透明封止材。
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---|---|---|---|
JP2006321081A JP2008133378A (ja) | 2006-11-29 | 2006-11-29 | 有機無機ハイブリッド透明封止材とその製造方法 |
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WO2009110405A1 (ja) * | 2008-03-07 | 2009-09-11 | セントラル硝子株式会社 | 熱硬化性有機無機ハイブリッド透明材料 |
WO2010053001A1 (ja) * | 2008-11-05 | 2010-05-14 | セントラル硝子株式会社 | 機能性微粒子封止用熱硬化性有機無機ハイブリッド透明材料 |
WO2011019005A1 (ja) * | 2009-08-11 | 2011-02-17 | セントラル硝子株式会社 | 耐熱性ポリシロキサン系組成物 |
JP2014517122A (ja) * | 2011-06-17 | 2014-07-17 | エルジー・ケム・リミテッド | 高屈折組成物 |
-
2006
- 2006-11-29 JP JP2006321081A patent/JP2008133378A/ja active Pending
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