JP2008133209A - α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造方法 - Google Patents

α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】漂白スタート時の発泡を抑制し、漂白装置の運転を安定させ、漂白効率を向上させるα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造方法を提供する。
【解決手段】脂肪酸アルキルエステルをスルホン化ガスと接触させてスルホン化してスルホン化物を得るスルホン化工程と、該スルホン化物を低級アルコールにてエステル化してエステル化物を得るエステル化工程と、該エステル化物を中和して中和物を得る中和工程と、該中和物を漂白して漂白物を得る漂白工程とを含むα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩(MES)の製造方法であって、漂白工程が中和物、漂白剤及び、漂白熟成物を混合する混合工程と、中和物を漂白する漂白熟成工程とを有し、漂白熟成物は、当該漂白熟成工程における熟成物の一部であり、かつ、残存漂白剤の濃度がMES100質量%に対して0.3質量%以下であることを特徴とするMESの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造方法に関する。
脂肪酸アルキルエステルのスルホン化物の中和塩は、一般にα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩とも呼ばれ、耐硬水性、生分解性が良好であるうえ、洗浄力に優れ、皮膚にマイルドな界面活性剤であり、資源面からも再生可能な天然原料系でコスト的にも有利であり、地球環境保護の面からも重要視されている。
α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造方法としては、脂肪酸アルキルエステルを、SOガス等を用いてスルホン化してα−スルホ脂肪酸アルキルエステルを生成し、該α−スルホ脂肪酸アルキルエステルを低級アルコールでエステル化し、アルカリによって中和し、さらに必要に応じて、中和処理の前または後に漂白処理する方法が一般的である。
ところで、製品としてのα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩には、α−スルホ脂肪酸、α−スルホ脂肪酸ジアルカリ塩などの副生物が含まれることがある。これは、上記の各製造過程中において一部のエステル結合の切断が生じるためである。例えば、中和処理の後に漂白処理を行う場合、未漂白のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を含む中和物と漂白剤との混合の際に発生する混合熱によって、エステル結合の切断が生じやすくなる。これらの副生物は洗浄剤活性成分としては洗浄力が小さく、水溶性も劣るので、その生成はできるだけ抑制することが望ましい。
また、前記混合熱は製品としてのα−スルホ脂肪酸アルキルエステルの着色の原因ともなる。なお、漂白剤と前記中和物との混合が均一に行われない場合には漂白むらが発生し、不都合な濃色のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩が製品に混入する恐れもある。
そこで、未漂白のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を含む中和物と漂白剤との混合を均一に、かつ、良好な温度制御下に行うことのできる漂白工程を有するα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
特許文献1、2では、未漂白のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を含む中和物と漂白剤を混合するにあたり、該混合によって得られた混合物の一部を予備混合物として最混合する漂白ループ管と、混合物の残部が供給され実質的に漂白処理を行う漂白熟成管が設けられた漂白装置を用いて漂白工程を実施している。具体的には、図3に示すように、中和物と漂白剤を混合する漂白ミキシングポンプ21と、該混合により得られた混合物がリサイクルポンプ22により供給される漂白熟成管23とを備えた漂白装置2において、混合物の一部は予備混合物として漂白ループ管24を介して再び漂白ミキシングポンプ21に導入され、混合物の残部は漂白熟成管23に供給され未漂白のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の漂白が進行する。
特開2000−128852号公報 特開2001−64248号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載の製造方法では、漂白スタート時、すなわち、中和物と漂白剤と予備混合物とが接触を開始した時に、急激な発泡が生じて循環流量が落ち、漂白装置の運転が不安定となり漂白効率が低下することがあった。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、漂白スタート時の発泡を抑制し、漂白装置の運転を安定させ、漂白効率を向上させるα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、漂白スタート時の発泡が漂白剤の急激な自己分解によるものであること、さらには、予備混合物中に漂白剤が多く残存している状態で中和物と漂白剤とに混合すると、発泡が進行しやすくなることを見出した。そこで、熟成により残存漂白剤の濃度が低減した漂白熟成物を中和物と漂白剤とに混合することにより、漂白剤の急激な自己分解が抑制されると共に、漂白スタート時の発泡も抑制され、結果、漂白装置の運転が安定し、漂白効率が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造方法は、脂肪酸アルキルエステルをスルホン化ガスと接触させてスルホン化してスルホン化物を得るスルホン化工程と、該スルホン化物を低級アルコールにてエステル化してエステル化物を得るエステル化工程と、該エステル化物を中和して中和物を得る中和工程と、該中和物を漂白して漂白物を得る漂白工程とを含むα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造方法であって、前記漂白工程が前記中和物、漂白剤及び、漂白熟成物を混合する混合工程と、中和物を漂白する漂白熟成工程とを有し、前記漂白熟成物は、当該漂白熟成工程における熟成物の一部であり、かつ、残存漂白剤の濃度がα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩100質量%に対して0.3質量%以下であることを特徴とする。
また、前記混合工程における前記中和物と前記漂白剤の混合量の合計と、前記漂白熟成物の混合量との質量比が(中和物+漂白剤):漂白熟成物=1:1〜1:4であることが好ましい。
本発明によれば、漂白スタート時の発泡を抑制し、漂白装置の運転を安定させ、漂白効率を向上させるα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における脂肪酸アルキルエステルは、下記の一般式(I)で表される化合物である。
Figure 2008133209
[式中Rは炭素数6〜24、好ましくは炭素数12〜18の、直鎖もしくは分岐のアルキル基またはアルケニル基を表し、Rは炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3の直鎖または分岐アルキル基を示す。]
前記脂肪酸アルキルエステルは、好ましくは飽和脂肪酸アルキルエステルであって、この飽和脂肪酸アルキルエステルは、牛脂、魚油、ラノリンなどから誘導される動物系油脂由来、ヤシ油、パーム油、大豆油などから誘導される植物系油脂由来、α−オレフィンのオキソ法から誘導される合成脂肪酸由来のアルキルエステルのいずれであってもよく、特に限定されない。
このようなものとしては、例えば、ラウリン酸メチル、エチルまたはプロピル、ミリスチン酸メチル、エチルまたはプロピル、パルチミン酸メチル、エチルまたはプロピル、ステアリン酸メチル、エチルまたはプロピル、硬化牛脂脂肪酸メチル、エチルまたはプロピル、硬化魚油脂肪酸メチル、エチルまたはプロピル、ヤシ油脂肪酸メチル、エチルまたはプロピル、パーム油脂肪酸メチル、エチルまたはプロピル、パーム核油脂肪酸メチル、エチルまたはプロピルなどを挙げることができる。
また、本発明において、脂肪酸アルキルエステルとしては、市販のものを用いてもよく、常法により製造したものを用いてもよい。
これらの飽和脂肪酸アルキルエステルは単独で、また、混合物として使用してもよいが、そのヨウ素価(IV)は1mgI/g以下が好ましく、特に0.5mgI/g以下がより好ましい。ヨウ素価が1mgI/g以下であると、後述するスルホン化工程における着色を効果的に低減することができる。
本発明の製造方法は、下記に示す(A)〜(D)の工程を順次行ってα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩(以下、「MES」という場合がある。)を得るものである。
(A)前記一般式(I)で表される脂肪酸アルキルエステルをスルホン化ガスと接触させてスルホン化してα−スルホ脂肪酸アルキルエステル(スルホン化物)を得るスルホン化工程。
(B)スルホン化物を低級アルコールにてエステル化してエステル化物を得るエステル化工程。
(C)エステル化物を中和して、α−スルホ脂肪酸アルキルエステルからα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有中和物(中和物)を得る中和工程。
(D)中和物を漂白して漂白物を得る漂白工程。
以下、各工程について詳細に説明する。
<(A)スルホン化工程>
スルホン化工程は、以下の反応スキームに示すように、前記一般式(I)で表される脂肪酸アルキルエステル(原料)とスルホン化ガスとを接触させて、SO一分子付加体(以下、「一分子付加体」という場合がある。)を経て、SO二分子付加体(以下、「二分子付加体」という場合がある。)を得るスルホン化反応工程と、二分子付加体からアルコキシ基部分に挿入されたSOを脱離させてα−スルホ脂肪酸アルキルエステル(以下、「スルホン化物」という場合がある。)を得る熟成工程とからなる。
Figure 2008133209
[式中のR、Rはそれぞれ、上記一般式(I)中のRおよびRと同じである。]
すなわち、まずエステルのアルコキシ基部分にSOが挿入され、一分子付加体が生成する。次に、α位にさらにSOが導入され二分子付加体が生成する(スルホン化反応工程)。そして、最後にアルコキシ基部分に挿入されたSOが脱離して、目的のスルホン化物が生成する(熟成工程)。
(スルホン化反応工程)
スルホン化反応工程において使用されるスルホン化ガスとしては、SOガス、発煙硫酸などが挙げられるが、好ましくはSOガスが用いられる。SOガスは、通常、脱湿空気または窒素などの不活性ガスで2〜30容量%の濃度に希釈されて使用される。SOガスはスルホン化される脂肪酸アルキルエステルの1.0モルに対して1.0〜2.0モルの割合、好ましくは1.1〜1.5モルの割合で使用されるのが好ましい。1.0倍モル未満ではスルホン化反応が十分に進行せず、また、2.0倍モルを越えると、スルホン化反応がより過激になるため局部熱に起因する着色が著しくなり、淡色の製品を得るという点で好ましくない。
スルホン化方法としては、流下薄膜式スルホン化法、回分式スルホン化法などのいずれのスルホン化法であってもよい。回分式スルホン化法はα−スルホ脂肪酸アルキルエステルの色調の面で優れており、流下薄膜式スルホン化法は生産コストの面で優れている。また、スルホン化反応方式としては槽型反応、フィルム反応、管型気液混相反応などの方式が用いられる。
反応温度は脂肪酸アルキルエステルが流動性を有する温度であればよい。一般には、脂肪酸アルキルエステルの融点以上かつ融点から100℃高い温度範囲まで、好ましくは融点以上かつ融点から70℃高い温度範囲とされる。
反応時間は採用するスルホン化方法により異なるが、一般に、流下薄膜式スルホン化法では5〜120秒程度が好ましく、回分式スルホン化法では10〜480分程度が好ましく、より好ましくは120〜240分程度である。
(熟成工程)
スルホン化反応工程により得られた二分子付加体を熟成させる。これにより、二分子付加体からのSOの脱離が促進され、α−スルホ脂肪酸アルキルエステルの純度が向上する。
熟成温度は70〜100℃が好ましく、75〜85℃がより好ましい。70℃より低いと脱離反応が速やかに進行せず、100℃より高いと着色が著しい。
熟成時間は1〜120分が好ましく、30〜90分がより好ましい。
なお、スルホン化工程は、より淡色なα−スルホ脂肪酸アルキルエステルを得る目的で、着色抑制剤の存在下で行ってもよい。
着色抑制剤としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、インナーオレフィンスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどの無機水酸化物、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなどの無機硫酸塩、酢酸塩などのカルボン酸塩が挙げられる。着色抑制剤の添加量は、脂肪酸アルキルエステル100質量%に対して好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは、1〜5質量%とされる。添加量が10質量%を超えると、着色抑制の効果が飽和する。
<(B)エステル化工程>
エステル化工程は熟成工程を経て得られたスルホン化物に少量の低級アルコールを添加し、エステル反応を進行させ、エステル化物を得るものである。
エステル化工程を行うことにより、熟成工程後に残留している二分子付加体のアルコキシ基部分のエステル化が進行し、該部分に挿入されていたSOの脱離がさらに促進され、結果として副生物の生成が抑制され、α−スルホ脂肪酸アルキルエステルの純度が向上する。
エステル化工程に用いる低級アルコールとしては、通常、原料として用いた脂肪酸アルキルエステル(I)のRの炭素数と等しい炭素数を有するものが好ましいが、特に限定されるものではない。低級アルコールは、反応液中の二分子付加体に対して好ましくは0.5〜5.0倍モル、より好ましくは0.8〜3.0倍モル用いられる。
反応温度は好ましくは50〜100℃、更に好ましくは60〜90℃である。
反応時間は好ましくは5〜120分である。
<(C)中和工程>
中和工程は、エステル化工程で得られたエステル化物に、アルカリを添加混合することにより中和して、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有中和物(以下、「中和物」という。)を得るものである。
中和工程は、アルカリとエステル化物との反応混合液が酸性或いは弱アルカリ性の範囲、すなわちpH4〜9の範囲となるような条件で行うことが好ましい。反応混合液が強アルカリ性となる条件下で中和を行うと、エステル結合が切断されやすくなる可能性がある。エステル結合が切断されると、α−スルホ脂肪酸ジアルカリ塩等の副生物が生成しやすくなる。
中和工程に用いるアルカリとしては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、エタノールアミンが挙げられる。これらのアルカリは通常、水溶液として用いられ、その濃度は2〜50質量%程度とされる。
また、前記反応混合液中のエステル化物の濃度は10〜80質量%とされる。
中和温度は好ましくは30〜100℃である。
中和時間は好ましくは10〜60分である。
中和工程によって得られる中和物は通常、水性スラリーの形態を有しており、該水性スラリー中の活性剤濃度は50〜80質量%、好ましくは60〜75質量%とされる。ここで活性剤濃度とは、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩と、副生物であるα−スルホ脂肪酸ジアルカリ塩との合計濃度である。活性剤濃度が上記範囲以外であると、前記中和物としてのスラリーの粘度が著しく上昇し、ポンプ輸送などのハンドリングが困難となる。
<(D)漂白工程>
この実施の形態における漂白工程は、中和工程を経て得られた中和物が、過酸化水素又は次亜塩素酸塩などの漂白剤によって漂白処理されるものであり、中和物と、漂白剤と、後述する漂白熟成物とを混合する混合工程と、中和物を漂白する漂白熟成工程とを有している。
図1に本発明における漂白工程を実施するための漂白装置の一例の概略を示す。
(混合工程)
図1に示す漂白装置1においては、前記中和工程より供給される中和物と漂白剤と漂白熟成物とが漂白ミキシングポンプ11において混合される。
漂白ミキシングポンプ11としては、混合室を備えた混合吐出装置が好ましく、具体的には、渦巻きポンプ、パイプラインミキサー、マイルダー、ホモミックラインミル、スタティックミキサーを挙げることができる。
(漂白熟成工程)
漂白ミキシングポンプ11から排出された混合物は、移送ポンプ12によって適度な流速を与えられて漂白熟成管13の入口13aから供給され、漂白熟成管13を通過する間に漂白の反応が進行し、漂白剤自身は活性が失われ、濃度が徐々に減少し、漂白が完了したMES(漂白物)が出口13bを経て次工程へと送出される。
移送ポンプ12としては前記混合物を次工程へと送出するポンプとしての機能を有するものであればいずれの装置をも使用可能であり、例えば、ギアポンプ、バイキングポンプ、モノーポンプなどを好適に使用できる。なお、図1に示される漂白装置1においては、中和物の漂白は漂白ミキシングポンプ11における漂白剤との混合時点から始まるが、実質的な漂白は漂白熟成管13の管路内にて行われる。
本実施の形態においては、漂白熟成管13の途中から分岐した漂白ループ管14が、漂白ミキシングポンプ11に接続されており、漂白熟成管13を滞留した混合物(熟成物)の一部が漂白熟成物として漂白ループ管14を介して漂白ミキシングポンプ11へと導入され、中和物及び漂白剤と混合される。
なお、漂白ループ管14が漂白熟成管13から分岐する位置(分岐点13c)は、漂白熟成物中に残存する漂白剤の濃度(残存量)が所定の値になれば、特に限定されず、漂白熟成管13のいずれの位置でもよいが、漂白熟成管13の出口13b付近に分岐点13cが設けられるのが好ましい。
前記漂白熟成物中の漂白剤の残存量(含有量)は、該漂白熟成物中のMES100質量%に対して0.3質量%以下であり、好ましくは0.25質量%であり、より好ましくは0.2質量%である。漂白剤の残存量が0.3質量%を超えると、漂白スタート時から漂白装置1の運転が安定するまでに時間がかかり、また、漂白処理後のMESの色調改善効果が不十分となる。なお、漂白剤の残存量の下限値は0質量%でもよいが、現実的には0.1質量%以上であることが好ましい。なお、漂白剤の残存量の基準とされるMESは、副生物であるα−スルホ脂肪酸ジアルカリ塩を含むものとする。
漂白熟成物中の漂白剤の残存量は、漂白熟成管13内の熟成物の滞留時間によって調整できる。
なお、本発明において、漂白スタート時とは、中和物と漂白剤と漂白熟成物とが接触した時を意味する。
また、混合工程においては、中和物と漂白剤の混合量の合計と、漂白熟成物の混合量(配合量)との質量比が(中和物+漂白剤):漂白熟成物=1:1〜1:4であることが好ましく、1:1〜1:3であることがより好ましい。
この質量比を上記範囲内とすることにより、漂白スタート時から漂白装置1の運転が安定し、漂白処理後のMESの色調が改善される。
このように、混合工程においては、図1に示す漂白熟成管13内を十分に滞留して漂白がほぼ完了し、残存する漂白剤の濃度が低減された熟成物の一部を、漂白熟成物として中和物と漂白剤とに混合できる。これにより、漂白剤の自己分解が抑制されるのと共に漂白スタート時の発泡も抑制されるので、漂白装置1の運転が安定し、漂白効率の向上が可能となる。
また、漂白ミキシングポンプ11内で中和物と漂白剤と前記漂白熟成物とが共に混合されるので、漂白剤と未漂白のMESの急激な混合が回避され、副生物の生成及び着色の原因となる混合初期の過度の発熱が抑制される。また、既に漂白熟成管13を滞留し漂白がほぼ完了した漂白熟成物が混合工程の初期段階から存在することにより、漂白剤と未漂白のMESとの均一な混合が促進される。
なお、本発明においては、漂白装置1の稼動開始時に、MESを予め漂白熟成管13内に充填させてから漂白を開始してもよく、これにより漂白装置1が稼動開始直後から安定した運転が可能となる。MESは、残存する漂白剤の濃度が所定の値であればその供給源は限定されず、他の装置から得られるMESであってもよい。
また、漂白装置1を停止する際には、中和物及び漂白剤の装置への供給を中止して、移送ポンプ12を一定時間稼働することにより漂白ループ管14内に漂白済みのα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有の中和物を次の稼働に備えて充填しておいてもよい。
前記漂白剤としては、過酸化水素又は次亜塩素酸塩のような水性漂白剤が取り扱いの容易性の点で好ましい。漂白剤として過酸化水素又は次亜塩素酸塩を使用する場合、過酸化水素又は次亜塩素酸塩の配合量は、未漂白のMESに対し、それぞれ、純分として0.2〜10質量%又は0.5〜5質量%の範囲が好ましい。
漂白温度(漂白熟成管13滞留温度)、漂白時間(漂白熟成管13滞留時間)は漂白剤の種類によって適宜調節されるが、漂白剤として過酸化水素を用いた場合は、0.1〜7MPaの圧力下で、60〜140℃、30〜480分が好ましく、次亜塩素酸塩を用いた場合は、30〜80℃、30〜480分が好ましい。
なお、本発明においては、漂白ループ管14の途中において漂白熟成物を加熱する加熱器(図示略)が設けられていてもよく、これにより、漂白ループ管14の管壁からの放熱によって温度低下した漂白熟成物を加熱して上記漂白温度を維持することができる。このように、漂白熟成物を適宜加熱することにより、その温度を漂白に適した温度範囲に保つことが好ましい。
また、本実施の形態においては、漂白剤による漂白処理に先立ち、中和物を予め60℃以上に加熱してもよい。漂白処理前に予め中和物を加熱処理することにより、製品としてのMESの色調がさらに改善される。
例えば、図1に示す漂白装置1を用いて漂白を行う場合には、漂白ミキシングポンプ11による混合工程の前に、図示しない中和工程から供給される中和物を予め60℃以上に加熱処理することが好ましい。この場合は、中和物に60℃以上の加熱を行う加熱処理工程、及び、該加熱処理工程によって処理された中和物に図1の漂白装置を用いて漂白を行う漂白処理工程によって本発明の漂白工程が構成される。
前記加熱処理工程における中和物の加熱温度は60℃以上が好ましく、より好ましい範囲は70〜140℃であり、さらに好ましくは70〜100℃である。60℃未満の場合は、色調改善効果が不十分となる。一方、140℃を超えると色調改善効果が得られにくくなり、また、副生物の発生が誘引されやすくなる。加熱温度が100℃未満の場合は、通常、還流させながら常圧で行う。100℃を超える場合にはオートクレーブなどを用いることが好ましい。加熱時間は1時間〜7日間の範囲で適宜決定される。なお、加熱時間が比較的短い場合は、パイプラインなどを用いた連続加熱方式を採用することが製造効率の点で好ましい。なお、既述した着色抑制剤の存在下において加熱処理を行うことにより、さらに優れた色調改善効果を得ることができる。
なお、本発明においては、連続して漂白工程を行う場合、上述したように漂白熟成物を、漂白ループ管14を介して循環し続けてもよいし、以下のようにしてもよい。
図3に示すように、予め、漂白熟成管13の入口13aの近傍に第二の漂白ループ管15を設けておき、漂白スタート時は漂白熟成物を漂白ループ管14を介して循環させ、漂白装置1が安定した後は第二の漂白ループ管15に切り替え、第二の漂白ループ管15を介して予備混合物を循環させてもよい。ここで、予備混合物とは、漂白ミキシングポンプ11から排出される混合物の一部であり、かつ、漂白熟成管13内に供給される前の混合物の一部である。
第二の漂白ループ管15に切り替える際の判断基準は、漂白熟成管13内の各箇所に予め温度計を設けておき、その各箇所における混合物の温度が安定した時点、もしくは漂白熟成管13の出口13bの混合物を適時採取できるようにしておき、その色調が安定した時点とする。
以上のように、本発明によれば、漂白熟成管13内を十分に滞留し、残存する漂白剤の量が低減された漂白熟成物を中和物と漂白剤に混合することにより、漂白スタート時の発泡を抑制し、漂白装置の運転を安定させ、漂白効率を向上させるα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩が得られる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「%」は、特に断らない限り、質量%を示す。
以下、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩をMESと略すことがある。
[実施例1]
<MESの製造>
(脂肪酸アルキルエステルの調製)
RBDパームステアリン(マレーシア産)をエステル化し、水洗した後、蒸留し、水添処理することによりヨウ素価を0.015mgI/gまで低減した脂肪酸メチルエステルを原料として調製した。脂肪酸のアルキル基の炭素鎖長比率はC14/16/18=1/60/39であった。なお、水添処理は常法に従い、水添触媒として商品名SO−850(堺化学(株)製)を、脂肪酸メチルエステル100%に対して0.1%添加し、170℃、1時間の条件で行った。また、水添処理の後、濾過により触媒を除去した。
(スルホン化工程)
スルホン化反応工程;
スルホン化反応器として、流下薄膜型反応器を使用した。スルホン化ガスとして、乾燥空気(露点−55℃)にてSOを触媒酸化してSOとしたものを用いた。反応器上部から下部にかけて並流で接触するように、原料(脂肪酸メチルエステル)及び、乾燥空気により8%に希釈したSOガスを、SO/脂肪酸メチルエステルのモル比が1.2となるように供給した。反応器下部ではサイクロンにより気液分離が行われ、排ガスはコットレルでミスト捕集された後、アルカリスクラバーによりSOを吸収し、大気に放出した。該工程により得られた二分子付加体の温度は、反応器出口において、全て約80℃であった。
熟成工程;
反応器下部から排出された二分子付加体を、サイクロン内及び流通管内で60秒保持した後、着色抑制剤として商品名無水硫酸ナトリウム(四国化成工業社製)と共に連続式多段撹拌槽に供給し、温度80℃において平均で90分間滞留して熟成させ、スルホン化物を得た。なお、サイクロン内の平均滞留時間は7分間であった。
(エステル化工程)
熟成後のスルホン化物を連続式多段撹拌槽に供給した。このとき、スルホン化物に対して4%のメタノール(工業グレード、水分1000ppm以下)を同時に連続的に供給し、温度80℃、平均滞留時間30分の条件にてスルホン化物をエステル化し、エステル化部物を得た。なお、エステル化後のスルホン化反応率は98%、エステル化物のカラーは1000(5%KLETT)であった。
(中和工程)
エステル化物を、リサイクルループが形成された連続リサイクル中和系に供給し、48%の水酸化ナトリウム水溶液を上水で希釈したものを、20kg/hrの速度で定量的に添加した。リサイクルループを循環するリサイクル中和物のpHを5〜7に維持し、リサイクル中和物の循環量を、エステル化物と添加する水酸化ナトリウム水溶液との合計量の20倍量となるようにし、中和温度75〜80℃、リサイクルループの管内圧力0.4MPaの条件にて連続的に中和し中和物を得た。なお、中和物のα−スルホ脂肪酸メチルエステルソーダ塩とα−スルホ脂肪酸ジナトリウム塩(Di−Na)の合計濃度が66〜70%となるように水酸化ナトリウム水溶液の濃度を調整した。
(漂白工程)
中和物を35%の過酸化水素水を用いて漂白し、漂白物を得た。漂白装置としては、図1に示したものを用いた。
具体的には、まず、漂白ミキシングポンプ11、漂白熟成管13及び、漂白熟成管13の出口13bの近傍に分岐点13cを設けて分岐した漂白ループ管14内に、カラー40、残存過酸化水素0.10%(対MES)の漂白済みMESペーストを充填しておき、次いで、移送ポンプ12を稼動して、該漂白済みMESペーストを漂白熟成管13から漂白ループ管14を介して漂白ミキシングポンプ11に循環させた。
次に、漂白ミキシングポンプ11に中和物(70℃)と、純分として2%(対未漂白のMES)の過酸化水素を導入して混合物とし、移送ポンプ12により漂白熟成管13に供給して中和物の漂白を進行させた。なお、この混合物の一部を漂白熟成物として、漂白熟成管13から漂白ループ14を介して循環させ、漂白ミキシングポンプ11にて中和工程から続いて供給される中和物と過酸化水素とに混合した。漂白熟成物の配合量は、中和物と漂白剤の混合量の合計に対して4.0倍とした。中和物の漂白温度(漂白熟成管13内における滞留温度)を85℃とし、中和物が漂白熟成管13の入口13aから漂白熟成管13の分岐点13cに到達するまでの時間(漂白熟成管13内における滞留時間)を8時間とした。
<評価>
(運転安定化に要した時間)
漂白スタート時(中和物と過酸化水素と漂白熟成物の混合開始時)から漂白装置1の運転が安定化するまでに要した時間を測定した。結果を表1に示す。
なお、安定化とは、循環系における各箇所の圧力の変動幅が、0.05MPa以内になる状態を意味し、循環系における圧力は各箇所に圧力刑を設置して求めた。
(漂白物の品質及びカラー)
漂白スタートから10時間後に得られた漂白物(漂白後のMES)の品質及びカラーを求めた。結果を表1に示す。
なお、漂白物の品質及びカラーは、以下のようにして求めた。
品質;
比重、粘度、pHを品質の指標とした。比重は1LのB.D.カップを用いて測定し、粘度はB形粘度計を用いて測定し、pHは電気式pHメーターを用いて測定した。各項目についての評価は以下の通りとした。
比重:0.8以上を○、0.6〜0.8を△、0.6以下を×とした。
粘度:100P以下を○、100〜200Pを△、200P以上を×とした。
pH:5以上を○、4〜5を△、4以下を×とした。
なお、表1に記載の品質の評価結果は、上記3項目の評価が全て○のものについては○、△が一つでもあるものについては△、×が一つでもあるものについては×と標記した。
カラー;
α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩純分が5%になるように純水で希釈し、Klett式色調測定装置を用いて測定した。
(残存過酸化水素の含有量の振れ幅)
漂白スタート時から10時間の間、定期的に漂白熟成物をサンプリングし、漂白熟成物に残存する過酸化水素の含有量(%対MES)を測定し、含有量の最小値から最大値を振れ幅として求めた。結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1と同様にして、中和物を調製した。
次いで、図1に示す漂白装置を用いて中和物の漂白を行った。具体的には、予め循環させておく漂白済みMESペーストのカラーを45、残存過酸化水素を0.30%(対MES)とし、漂白熟成物の配合量を中和物と漂白剤の混合量の合計に対して1.0倍とし、中和物の漂白熟成管13内における滞留時間を5時間とした以外は実施例1と同様にして漂白工程を実施し、評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1と同様にして、中和物を調製した。
次いで、図1に示す漂白装置を用いて中和物の漂白を行った。具体的には、予め循環させておく漂白済みMESペーストのカラーを45、残存過酸化水素を0.30%(対MES)とし、漂白熟成物の配合量を中和物と漂白剤の混合量の合計に対して0.8倍とし、中和物の漂白熟成管13内における滞留時間を5時間とした以外は実施例1と同様にして漂白工程を実施し、評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1と同様にして、中和物を調製した。
次いで、図1に示す漂白装置を用いて中和物の漂白を行った。具体的には、予め循環させておく漂白済みMESペーストのカラーを50、残存過酸化水素を0.35%(対MES)とし、漂白熟成物の配合量を中和物と漂白剤の混合量の合計に対して1.0倍とし、中和物の漂白熟成管13内における滞留時間を5時間とした以外は実施例1と同様にして漂白工程を実施し、評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1と同様にして、中和物を調製した。
次いで、図3に示す漂白装置を用いて中和物の漂白を行った。
具体的には、まず、漂白ミキシングポンプ21及び、漂白熟成管23の入口23aの近傍から分岐した漂白ループ管24内に、カラー150、残存過酸化水素1.60%(対MES)のMESペースト(予備混合物)を充填しておき、次いで、移送ポンプ22を稼動して、予備混合物を漂白ループ管24を介して漂白ミキシングポンプ1に循環させた。
次に、漂白ミキシングポンプ21に中和物(70℃)と、純分として2%(対未漂白のMES)の過酸化水素を導入して混合物とし、該混合物の一部を予備混合物として、漂白ループ管24を介して循環させ、漂白ミキシングポンプ21にて中和工程から続いて供給される中和物及び過酸化水素とに混合した。このようにして得られた混合物の一部は再び漂白ループ管24に導入して予備混合物とし、残部は漂白熟成管23に供給して中和物の漂白を進行させた。予備混合物の配合量は、中和物と漂白剤の混合量の合計に対して1.0倍とした。また、中和物の漂白温度(漂白熟成管23内における滞留温度)は85℃とし、中和物が漂白ミキシングポンプ21に投入され、漂白熟成管から排出されるまでの時間(漂白熟成管23内における滞留時間)を5時間とした。
実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2008133209
表1から明らかなように、実施例1で得られた漂白物(漂白後のMES)は、カラーが35〜40であり、品質が良好なものであった。また、漂白スタート時から10時間の間の漂白熟成物中に残存する過酸化水素の含有量は0.10〜0.15%(対MES)であり、振れ幅が小さかった。さらに、漂白スタート時の発泡が抑制され、漂白スタート直後から循環系の圧力が安定していた。
実施例2で得られた漂白物は、カラーが45〜50であり、品質が良好なものであった。また、漂白スタート時から10時間の間の漂白熟成物中に残存する過酸化水素の含有量は0.20〜0.25%(対MES)であり、振れ幅が小さかった。さらに、漂白スタート時の発泡が抑制され、漂白スタート直後から循環系の圧力が安定していた。
実施例3で得られた漂白物は、カラーが60〜80であり、品質がほぼ良好なものであった。また、漂白スタート時から10時間の間の漂白熟成物中に残存する過酸化水素の含有量は0.20〜0.30%(対MES)であり、振れ幅が小さかった。さらに、漂白スタート時の発泡がほぼ抑制され、漂白スタート時から1時間で循環系の圧力が安定した。
一方、予め循環させておく漂白済みMESペーストの残存過酸化水素の含有量を0.35質量%(%対MES)とした比較例1では、得られた漂白物のカラーが80〜100であり、品質が不良であった。また、漂白スタート時から10時間の間の漂白熟成物中に残存する過酸化水素の含有量は0.35〜0.70%(対MES)であり、振れ幅が大きかった。さらに、漂白スタート時に急激な発泡が生じて、漂白スタート直後から循環系、特に漂白ループ管の圧力が著しく変動し、漂白熟成物の流量が一定にならず、漂白装置の運転が安定するまでに3時間を要した。
図3に示す漂白装置を用いた比較例2では、得られた漂白物のカラーが90〜150であり、品質が不良であった。また、漂白スタート時から10時間の間の漂白熟成物中に残存する過酸化水素の含有量は0.40〜1.0%(対MES)であり、振れ幅が非常に大きかった。さらに、漂白スタート時に急激な発泡が生じて、漂白スタート直後から循環系、特に漂白ループ管の圧力が著しく変動し、漂白熟成物の流量が一定にならず、漂白装置の運転が安定するまでに7時間を要した。なお、移送ポンプ22から排出され、漂白ミキシングポンプ21に循環された漂白熟成物の残存過酸化水素は0.4〜0.9%(対MES)であった。比較例2で用いた漂白装置2においては、漂白ループ管24が、漂白熟成管23の入口23aの近傍から分岐している。そのため、予備混合物は、漂白剤が多く残存している状態で中和物と漂白剤とに混合されるため、漂白スタート時に急激な発泡が生じやすくなると考えられる。
以上のように、本発明によれば、未漂白のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩に漂白剤を混合して漂白するにあたって、漂白熟成管内を十分に滞留し、残存漂白剤の少ない漂白熟成物を混合することにより、漂白剤の急激な自己分解が抑制され、それに伴う発泡も抑制されるので、結果、漂白装置の運転を安定させ、品質の良好なα−スルホ脂肪酸メチルエステル塩が得られた。
本発明における漂白工程を実施するための漂白装置の一例を示す概略図である。 本発明における漂白工程を実施するための漂白装置の他の例を示す概略図である。 本発明の比較例における漂白工程を実施するための漂白装置の一例を示す概略図である。
符号の説明
1:漂白装置、11:漂白ミキシングポンプ、12:移送ポンプ、13:漂白熟成管、13a:入口、13b出口、14:漂白ループ管、15:第二の漂白ループ管、2:漂白装置、21:漂白ミキシングポンプ、22:移送ポンプ、23:漂白熟成管、23a:入口、24:漂白ループ管。

Claims (2)

  1. 脂肪酸アルキルエステルをスルホン化ガスと接触させてスルホン化してスルホン化物を得るスルホン化工程と、該スルホン化物を低級アルコールにてエステル化してエステル化物を得るエステル化工程と、該エステル化物を中和して中和物を得る中和工程と、該中和物を漂白して漂白物を得る漂白工程とを含むα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造方法であって、
    前記漂白工程が前記中和物、漂白剤及び、漂白熟成物を混合する混合工程と、中和物を漂白する漂白熟成工程とを有し、
    前記漂白熟成物は、当該漂白熟成工程における熟成物の一部であり、かつ、残存漂白剤の濃度がα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩100質量%に対して0.3質量%以下であることを特徴とするα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造方法。
  2. 前記混合工程における前記中和物と前記漂白剤の混合量の合計と、前記漂白熟成物の混合量との質量比が(中和物+漂白剤):漂白熟成物=1:1〜1:4であることを特徴とする請求項1に記載のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造方法。
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