JP2008132651A - 液滴吐出ヘッド及び液滴吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】液滴吐出ヘッドの流路内の親水性を向上させると共に、その親水性の均一化を図る。
【解決手段】印字ユニット12の流路内に充填した親水化溶液を排出して、流路内を乾燥することにより、流路内に親水層50を形成する。これにより、流路内が濡れた状態でなくても、流路内の親水性が向上する。また、圧力室底面積に対し、圧力室内に残存する水分の面積率が20%以下になるように乾燥させる。これにより、親水性にムラがなく、流路内の親水性の均一化が図れる。
【選択図】図5
【解決手段】印字ユニット12の流路内に充填した親水化溶液を排出して、流路内を乾燥することにより、流路内に親水層50を形成する。これにより、流路内が濡れた状態でなくても、流路内の親水性が向上する。また、圧力室底面積に対し、圧力室内に残存する水分の面積率が20%以下になるように乾燥させる。これにより、親水性にムラがなく、流路内の親水性の均一化が図れる。
【選択図】図5
Description
本発明は、液滴を吐出する液滴吐出ヘッド及びその液滴吐出ヘッドの製造方法に関する。
液滴を吐出する液滴吐出ヘッドとしてのインクジェット記録ヘッドは、製造後、印字検査による合否判断をした後、インクを抜いて出荷されることが多い。その後に、インク充填が不用意に行われると、気泡を巻込み、不吐出を発生させてしまうことがある。
近年のインクジェット記録ヘッドは高速高画質化の要請のため、多ノズル化、高密度化が進み、特に紙幅長のFWA(Full Width Array)ヘッドでは、1色当たり数千ものノズルを有する。このようなタイプのインクジェット記録ヘッドでは、複数の流路にインクを淀みなく行き渡らせる必要があり、充填法はさらに困難かつ重要となる。
インク充填を確実に行うために、濡れ性向上効果のある親水化溶液を充填すること等により、流路内へ親水性を付与し、インク充填をすることが行われてきた(例えば、特許文献1、2、3参照)。充填性という点においては、ヘッド内に親水化溶液のような液体が完全に充填されている状態でインク充填がされることが理想的である。
特開2000−168056号公報
特開2000−211149号公報
特開2003−080684号公報
しかしながら、親水化溶液を充填したままの状態で出荷すれば、親水化溶液の漏れが懸念される上、インクへの置換をサービスマンやユーザー自身が行う必要が生じ、廃液の処理や十分な充填条件の確保に問題があった。
一方、出荷直前に親水化溶液を抜いて出荷を行うと、ヘッド流路内に気泡が残存したり、濡れている部分と乾燥している部分とが混在したり、さらには実際にインクを充填するまでの時間が各々のヘッドによりまちまちとなり、充填性にむらが生じる懸念があった。
本発明は、上記事実を考慮し、液滴吐出ヘッドの流路内の親水性を向上させると共に、その親水性の均一化を図ることを目的とする。
本発明の請求項1に係る液滴吐出ヘッドは、吐出される液滴が流通する流路と、親水化作用を有する親水化溶液を前記流路に充填し、該親水化溶液を排出した後、前記流路内を乾燥することにより、前記流路の内壁面に形成される親水層と、を備え、前記親水層は、前記流路に設けられた圧力室の底面積に対し、前記圧力室内に残存する水分の面積率が20%以下であることを特徴とする。
この構成によれば、吐出される液滴が流通する流路に、親水化作用を有する親水化溶液を充填し、その親水化溶液を排出した後、流路内を乾燥することにより、親水層が形成される。この親水層は、圧力室の底面積に対し、圧力室内に残存する水分の面積率が20%以下となるよう乾燥される。
このように、流路内に充填した親水化溶液を排出して、流路内を乾燥することにより、流路内に親水層を形成するので、流路内が濡れた状態でなくても、流路内の親水性は向上する。また、親水層の残存水分が面積率で20%を超えると、乾燥が不十分となり、流路内に濡れた部分と濡れていない部分が形成される。このため、流路内の親水性にムラが生じてしまう。
これに対して、本発明の請求項1では、圧力室の底面積に対し、圧力室内に残存する水分の面積率が20%以下になるように乾燥させるので、親水性にムラがなく、流路内の親水性の均一化が図れる。
この状態で液滴吐出ヘッドを出荷することにより、客先での親水化溶液の排出等の煩雑さを避け、液滴吐出ヘッドの流路に液滴(例えば、インク)を充填する際の確実性を上げることができる。
本発明の請求項1に係る親水化溶液としては、本発明の請求項2に記載するように、多価アルコール、界面活性剤及び水溶性高分子の少なくとも1つを含む溶液を用いてもよい。
本発明の請求項1に係る親水化溶液としては、本発明の請求項3に記載するように、粘度が1.5〜10mPa・Sであり、かつ、表面張力が45mN/m以下である親水化溶液を用いてもよい。
本発明の請求項4に係る液滴吐出ヘッドは、請求項1〜3のいずれか1項の構成において、前記親水化溶液は、色材を含有することを特徴とする。
この構成によれば、親水化溶液は、色材を含有するので、親水化溶液を吐出させて所定のパターンを形成し、液滴吐出ヘッドの吐出不良を検査することができる。これにより、親水化溶液を入れ替えることなく、液滴吐出ヘッドの吐出不良を検査できる。
本発明の請求項5に係る液滴吐出ヘッドは、請求項1〜4のいずれか1項の構成において、気密容器で密封されていることを特徴とする。
この構成によれば、液滴吐出ヘッドは気密容器で密封されているので、液滴吐出ヘッドの流路内の乾燥状態を一定に保てる。
本発明の請求項6に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、液滴を吐出する液滴吐出ヘッドの流路内に、親水化作用を有する親水化溶液を充填する第1工程と、前記第1工程で充填された親水化溶液を、前記流路内から排出する第2工程と、前記流路に設けられた圧力室の底面積に対し、前記圧力室内に残存する水分の面積率が20%以下になるように、前記第2工程で親水化溶液が排出された前記流路内を乾燥させて、親水層を前記流路の内壁に形成する第3工程と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、第1工程において、液滴を吐出する液滴吐出ヘッドの流路内に、親水化作用を有する親水化溶液を充填する。第2工程において、第1工程で充填された親水化溶液を流路内から排出する。第3工程において、流路に設けられた圧力室の底面積に対し、圧力室内に残存する水分の面積率が20%以下になるように、第2工程で親水化溶液が排出された流路内を乾燥させて、親水層を流路の内壁に形成する。
このように、流路内に充填した親水化溶液を排出して、流路内を乾燥することにより、流路内に親水層を形成するので、流路内が濡れた状態でなくても、流路内の親水性は向上する。
また、圧力室の底面積に対し、圧力室内に残存する水分の面積率が20%を超えると、乾燥が不十分となり、流路内に濡れた部分と濡れていない部分が形成される。このため、流路内の親水性にムラが生じてしまう。
これに対して、本発明の請求項6では、圧力室の底面積に対し、圧力室内に残存する水分の面積率が20%以下になるように乾燥させるので、親水性にムラがなく、流路内の親水性の均一化が図れる。
この状態で液滴吐出ヘッドを出荷することにより、客先での親水化溶液の排出等の煩雑さを避け、液滴吐出ヘッドの流路に液滴(例えば、インク)を充填する際の確実性を上げることができる。
本発明の請求項6に係る親水化溶液としては、本発明の請求項7に記載するように、多価アルコール、界面活性剤及び水溶性高分子の少なくとも1つを含む溶液を用いてもよい。
本発明の請求項6に係る親水化溶液としては、本発明の請求項8に記載するように、粘度が1.5〜10mPa・Sであり、かつ、表面張力が45mN/m以下である親水化溶液を用いてもよい。
本発明の請求項9に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、請求項6〜8のいずれか1項の構成において、前記親水化溶液は色材を含有すると共に、前記第1工程と前記第2工程との間に行われ、前記親水化溶液を吐出させて所定のパターンを形成し、前記液滴吐出ヘッドの吐出不良を検査する第4工程を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、親水化溶液は色材を含有し、第1工程と第2工程との間に行われる第4工程において、親水化溶液を吐出させて所定のパターンを形成し、液滴吐出ヘッドの吐出不良を検査する。このため、親水化溶液を入れ替えることなく、液滴吐出ヘッドの吐出不良を検査できる。
本発明は、上記構成としたので、液滴吐出ヘッドの流路内の親水性を向上させると共に、その親水性の均一化を図ることができる。
以下に、本発明の液滴吐出ヘッド及びその液滴吐出ヘッドの製造方法に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。本実施形態では、本発明の液滴吐出ヘッドとしてのインクジェット記録ヘッド及びそのインクジェット記録ヘッドの製造方法について説明する。
本実施形態に係るインクジェット記録ヘッド10は、印字ユニット12を用紙幅方向に複数並べて繋ぎ合わせて長尺状に形成されたインクジェット記録ヘッドであり、図1には、印字ユニット12が示されている。
印字ユニット12は、図1及び図2に示すように、インク中の異物を除去するフィルタユニット14と、ヘッドユニット16とを備えて構成されている。ヘッドユニット16は、インクを各支流に分岐させるマニホールド18と、振動板19Aを含む複数の流路プレート19を積層して形成されたジェットスタック20とを備えて構成されている。
フィルタユニット14は、インクタンク(図示省略)に接続される流入口22からインクを流入させ、フィルタ24を通過させた後、マニホールド18へインクを供給する構成となっている。なお、フィルタユニット14には気泡排出口23が設けられ、フィルタユニット14内部で発生した気泡が排出されるようになっている。
マニホールド18に送られたインクは、マニホールド18で複数の支流に分岐された後、ジェットスタック20へ送られるようになっている。
ジェットスタック20へ送られたインクは、供給路26を通じて、圧力室28へ送られ、さらに、連通路32を通ってノズル34へ送られる。これにより、インクは、供給路26、圧力室28、連通路32及びノズル34に充填される。圧力室28内に充填されたインクは、圧電素子30が電圧を印加されて変形することにより、圧力が付与され、ノズル34からインク滴として吐出されるように構成されている。
なお、「流路」とは、広くはインクジェット記録ヘッド10においてインクが流通するパスのことをいうが、本明細書においては、フィルタユニット14からマニホールド18を経てジェットスタック20まで、特に狭義にジェットスタック20内の供給路26から圧力室28を経由してノズル34までのインク通路を指すこととする。
また、インクジェット記録ヘッド10には、ヘッドユニット16のノズル面35を封止するキャップ36が設けられている。キャップ36がヘッドユニット16のノズル面35を封止し、キャップ36に接続されたチューブ40を通じて吸引することにより、インクを充填することができる。なお、キャップ36とノズル面35との間には、密閉空間を形成するためのOリング38が設けられている。
ここで、本実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの製造方法について説明する。
まず、図3に示すように、ステップ100(請求項6の第1工程に相当)において、ヘッドユニット16の流路(供給路26、圧力室28、連通路32、ノズル34など)内に、親水化作用を有する親水化溶液を充填する。
親水化溶液の充填は、例えば、親水化溶液を収容したタンクを、フィルタユニット14の流入口22に接続し、キャップ36でノズル面35を封止して吸引することにより、行われる。
また、親水化溶液としては、多価アルコール、界面活性剤及び水溶性高分子の少なくとも1つを含む溶液であることが望ましい。
界面活性剤としては、1価乃至3価の多価アルコールもしくはエーテル結合を有するノニオン系界面活性剤、もしくはカルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩を有するアニオン系界面活性剤が用いられ、水溶性高分子としては、多糖類、セルロース誘導体、合成高分子からなる水溶性高分子が用いられる。なお、これらの界面活性剤及び水溶性高分子は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、親水化溶液は、粘度が1.5〜10mPa・Sであり、かつ、表面張力が45mN/m以下に、粘度調整材により調整されることが望ましい。本実施形態における親水化溶液の役割は、インク充填に先立ち流路表面をくまなく親水化しておくことであり、特にジェットスタック20内に親水化されない部位(=溶液が行き渡らない淀み点)があると、不吐出抑制効果が十分に発揮できない。
したがい、流路に対して溶液は濡れやすいことが求められるが、濡れは流路材質との相互作用と液体の表面張力により決定され一義に求めることが難しい。そこで一般に溶液の表面張力をその目安とすることがしばしば行われる。
また、溶液粘度は、高すぎると溶液中に内在した気泡が消失しにくく、さらにノズルから吸引時に気泡を排出しにくい。また、低すぎても充填時に気泡が巻込まれやすい。そのため、本実施形態における親水化溶液としては、表面張力45mN/m以下、粘度1.5〜10mPa・Sが望ましい。以上の溶液物性範囲内にあることを、協和界面科学社製表面張力計CBVP-Zで白金プレートを試料として用いて、また粘度計独Haake社RS75を用いて溶液温度20°±1°になるよう付属恒温槽で制御しつつ計測した。
上記組成を有するため、後述する親水化溶液排出、乾燥後においても、流路壁に親水成分が微量に残存し、インク充填を良好に行うことができる。さらに上記物性を有するため親水化溶液は流路内に気泡を含有せずに充填されやすい特徴を有する。
次に、ステップ102(請求項6の第2工程に相当)において、ヘッドユニット16の流路内に充填された親水化溶液を排出する。
親水化溶液の排出は、例えば、キャップ36でノズル面35を封止して吸引することにより、行われる。このとき、フィルタユニット14の流入口22は、大気に連通しても良く、また、フィルタユニット14の流入口22から積極的に送風しても良い。 次に、ステップ104(請求項6の第3工程に相当)において、ヘッドユニット16の流路内を乾燥させて、親水化溶液を排出した時点における流路に残留する親水化溶液の残渣や上記薄層の水分を取り除く。
ここで、ヘッドユニット16内の最適な乾燥状態を定量化するため、流路内、特に圧力室28に残存した水分量と、インク充填時の気泡発生量とを下記のように関連付けし、インク充填に適した残存水分を大まかに見積る評価実験をおこなった。評価は画像処理によった。
すなわち、振動板19Aを透明アクリル板にのみ変更した特注ヘッドユニットにて、親水化処理後のインク充填した時に、圧力室28へのインクの入り方、微小気泡の発生具合等を、透明振動板側からKeyence社のマイクロスコープVH-6300により顕微鏡観察した。ビデオでの連続観察結果をTiff形式の静止画に落とし、王子製紙社製画像解析装置DA-6000にて画像処理(2値化→閾値設定→面積算出)を行い、対象物面積を算出した。
具体的には、(1)圧力室28の底面積(図6(A)の斜線部分参照)と、残存する水分と思われる部分(顕微鏡の光に反射して白く見える部分)を領域指定して面積算出し(図6(B)の斜線部分参照)、両者の面積比を求めた。
次に、同じ圧力室28を観察し、インクを充填したときに、(2)これまでの実績上排出されにくい10μm以上の気泡が発生した場合の気泡の個数、を求めた(観測時間10分を1クールとした)。(1)の面積比(以下、残存水分面積率)を横軸に、(2)の気泡個数を縦軸にとり、約20個の圧力室に対してまとめた結果がグラフに示されている(図7参照)。
上記の結果から、圧力室28が親水化溶液で満ちている(残存水分面積率100%)場合にもっとも気泡発生数が少なく、次に残存水分面積率20%以下のときに、気泡の発生が少となることが分かる。「発明が解決しようとする課題」の欄で既述したように、親水化溶液で100%満たされた状態では、インク置換のために過分なインクが必要であり、また搬送中の漏れが懸念される。
したがって、圧力室28に残存する水分の面積率を20%以下とすることが、その後のインク充填のハンドリングと吐出率確保の両面から好ましい。なお、50%前後の残存水分面積率では気泡発生個数が極大値をもつ理由は、圧力室28内の空気と親水化溶液との比率が半々程度のため、気泡が混在しているのと同じような状態になっているからと推察される。
ヘッドユニット16の流路内の乾燥は、例えば、フィルタユニット14の流入口22から、熱風又は、中空子フィルタを介した乾燥空気をファン等で送り込む。このとき、キャップ36でノズル面35を封止して吸引してもよい。吸引することにより、熱風や乾燥空気が流路内に行き渡り、流路内の乾燥が促進される。
なお、上記のステップ100〜104は工場内で行われ、ステップ106において、真空パックなどの気密容器で密封されて、インクジェット記録ヘッド10は出荷される。インクジェット記録ヘッド10が出荷された後、ステップ108において、客先でインクの充填が行われる。また、インクの充填は、気泡の巻込みを防止するため、なるべくゆっくりした流速で行うことが望ましい。
また、図4に示すように、色材を含有している親水化溶液を使用し、親水化溶液を用いて吐出不良を検査してもよい。
このインクジェット記録ヘッドの製造方法では、まず、図3に示す製造方法と同様に、ステップ200(請求項6の第1工程に相当)において、ヘッドユニット16の流路内に、親水化作用を有する親水化溶液を充填する。
次に、ステップ202(請求項9の第4工程に相当)において、親水化溶液を吐出させて所定のパターンを形成し、前記液滴吐出ヘッドの吐出不良を検査し、インクジェット記録ヘッド10の品質についての合否を判断する。
親水化溶液としては、顔料や染料などの色材を含有して親水化溶液が用いられる。色材濃度の下限値は、吐出検査時に合否判断可能な印字濃度を実現できること、また、上限値は、色材の析出や沈降が生じないことを基準に決定される。
前者の色材濃度の下限値は、種々検査法及びインク打ち込み量や印字解像度等にも左右されるが、印字物の目視検査を前提とした場合、ブラック(Bk)やマゼンタ(Mageta)やシアン(Cyan)といったはっきりした色味をもつ色材では0.05wt%以上の濃度が必要である。
また、後者の色材濃度の上限値は、当該溶液の長期保存安定性を決定する要因であり、色材の溶解度もしくは分散性に依存するものの温度変動を考慮に入れると、8wt%以下が望ましい。
次に、ステップ204(請求項6の第2工程に相当)において、ヘッドユニット16の流路内に充填された親水化溶液を排出する。
次に、ステップ206(請求項6の第3工程に相当)において、ヘッドユニット16の流路内を乾燥させて、親水層50を流路の内壁に形成する(図5参照)。親水層50は、圧力室28の底面積に対し、圧力室28内に残存する水分の面積率が20%以下になるまで乾燥が行われる。
なお、上記のステップ200〜206は工場内で行われ、ステップ208において、真空パックなどの気密容器で密封されて、インクジェット記録ヘッド10は出荷される。インクジェット記録ヘッド10が出荷された後、ステップ210において、客先でインクの充填が行われる。
次に、上記の実施形態について作用を説明する。
本実施形態では、以上のように、流路内に充填した親水化溶液を排出して、流路内を乾燥することにより、流路内に親水層50を形成するので、流路内が濡れた状態でなくても、流路内の親水性は向上する。
また、親水層50は、圧力室底28の底面積に対し、圧力室28内に残存する水分の面積率が20%以下であると、乾燥が不十分となり、流路内に濡れた部分と濡れていない部分が形成される。このため、流路内の親水性にムラが生じてしまう。
これに対して、本実施形態では、親水層50を、圧力室28の底面積に対し、圧力室28内に残存する水分の面積率が20%以下になるまで乾燥させるので、親水性にムラがなく、流路内の親水性の均一化が図れる。
この状態でインクジェット記録ヘッド10を出荷することにより、客先での親水化溶液の排出等の煩雑さを避け、インクジェット記録ヘッド10の流路にインクを充填する際の確実性を上げることができる。
なお、本実施形態では、液滴を吐出する液滴吐出ヘッドとして、インクを吐出して画像を記録するインクジェット記録ヘッドについて説明した。しかし、本発明に係る液滴吐出ヘッドとしては、記録用紙上へ画像を記録するものに限定されるものではなく、また、吐出する液体もインクに限定されるものではない。
本発明は、本実施形態に限るものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変形、変更、改良が可能である。
10 インクジェット記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)
26 供給路(流路)
28 圧力室(流路)
32 連通路(流路)
34 ノズル(流路)
50 親水層
26 供給路(流路)
28 圧力室(流路)
32 連通路(流路)
34 ノズル(流路)
50 親水層
Claims (9)
- 吐出される液滴が流通する流路と、
親水化作用を有する親水化溶液を前記流路に充填し、該親水化溶液を排出した後、前記流路内を乾燥することにより、前記流路の内壁面に形成される親水層と、
を備え、
前記親水層は、前記流路に設けられた圧力室の底面積に対し、前記圧力室内に残存する水分の面積率が20%以下であることを特徴とする液滴吐出ヘッド。 - 前記親水化溶液は、多価アルコール、界面活性剤及び水溶性高分子の少なくとも1つを含む溶液であることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
- 前記親水化溶液は、粘度が1.5〜10mPa・Sであり、かつ、表面張力が45mN/m以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液滴吐出ヘッド。
- 前記親水化溶液は、色材を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッド。
- 気密容器で密封されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッド。
- 液滴を吐出する液滴吐出ヘッドの流路内に、親水化作用を有する親水化溶液を充填する第1工程と、
前記第1工程で充填された親水化溶液を、前記流路内から排出する第2工程と、
前記流路に設けられた圧力室の底面積に対し、前記圧力室内に残存する水分の面積率が20%以下になるように、前記第2工程で親水化溶液が排出された前記流路内を乾燥させて、親水層を前記流路の内壁に形成する第3工程と、
を備えたことを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。 - 前記親水化溶液は、多価アルコール、界面活性剤及び水溶性高分子の少なくとも1つを含む溶液であることを特徴とする請求項6に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
- 前記親水化溶液は、粘度が1.5〜10mPa・Sであり、かつ、表面張力が45mN/m以下であることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
- 前記親水化溶液は色材を含有すると共に、
前記第1工程と前記第2工程との間に行われ、前記親水化溶液を吐出させて所定のパターンを形成し、前記液滴吐出ヘッドの吐出不良を検査する第4工程を備えたことを特徴とする請求項6〜8にいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
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US12005709B2 (en) | 2019-10-29 | 2024-06-11 | Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. | Liquid discharging head and ink-jet apparatus |
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