JP2010046820A - 液体噴射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】脱泡室及び拡幅室を有する液体噴射装置において、液体内の気泡の除去や気泡の成長の抑制を可能とする技術を提供する。
【解決手段】液体を噴射するための液体噴射装置は、液体を噴射するヘッド部と、ヘッド部まで液体を導くための液体供給路と、液体供給路に設けられ、液体内の気泡を取り除くための脱泡室と、液体供給路に設けられ、液体供給路よりも大きな断面積を有して液体を溜め得る拡幅室と、脱泡室と拡幅室とを減圧するための減圧部と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、液体噴射装置内の液体供給路において気泡を除去し、又は気泡の発生を抑制する技術に関する。
インクジェット式プリンタでは、インクカートリッジ等のインク供給部から記録ヘッドまでのインク供給路においてインク中に気泡が発生すると、ドット抜けなどの印刷不良を招くことがある。そこで、インクから気泡を取り除くこと(脱泡)が可能なプリンタが提案されている(下記特許文献1参照)。
特開2006−75683号公報
インクジェット式プリンタでは、インク供給路において、脱泡を行うための脱泡室に加えてインクを溜める得る他の部屋が設けられることがある。かかる部屋としては、例えば、記録ヘッドにおける内圧を調整するダンパー室がある。このダンパー室には可撓性部材を用いられることがあり、気泡が発生し易く又成長し易いという特徴がある。また、プリンタがインク用のメインタンクに加えてサブタンクを備える構成においても、このサブタンクにおいて気泡が発生する場合が起こり得る。
しかしながら、従来は、これらダンパー室やサブタンクなどインク供給路に比べて断面積が大きい空間(拡幅室)における脱泡に関して、十分な工夫がなされていないのが実情であった。なお、かかる問題は、インクジェット式プリンタに限らず、潤滑油や樹脂液等の液体を噴射する任意の液体噴射装置において起こり得る。
本発明は、脱泡室及び拡幅室を有する液体噴射装置において、液体内の気泡の除去や気泡の成長の抑制を可能とする技術を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]液体を噴射するための液体噴射装置であって、前記液体を噴射するヘッド部と、前記ヘッド部まで前記液体を導くための液体供給路と、前記液体供給路に設けられ、前記液体内の気泡を取り除くための脱泡室と、前記液体供給路に設けられ、前記液体供給路よりも大きな断面積を有して前記液体を溜め得る拡幅室と、前記脱泡室と前記拡幅室とを減圧するための減圧部と、を備える、液体噴射装置。
適用例1の液体噴射装置では、減圧部によって脱泡室と拡幅室とが減圧されるので、脱泡室に加えて拡幅室においても溜まった液体において生じた気泡(ガス)の除去や、気泡の成長の抑制が可能になる。また、減圧部は脱泡室と拡幅室とを減圧するので、脱泡室を減圧する機能部と拡幅室を減圧する機能部とをそれぞれ設ける構成に比べて、液体噴射装置の製造コストを抑制できると共に液体噴射装置の小型化が可能となる。
[適用例2]適用例1に記載の液体噴射装置において、前記減圧部は、減圧室と、前記減圧室内の圧力を調整する圧力調整部と、を有し、前記減圧室は、前記脱泡室と前記拡幅室とに接し、前記減圧室において前記脱泡室に接する壁と、前記減圧室において前記拡幅室に接する壁と、前記脱泡室において前記減圧室に接する壁と、前記拡幅室において前記減圧室に接する壁と、はいずれも気体が透過可能である、液体噴射装置。
このようにすることで、脱泡室及び拡幅室に溜まった液体内の気泡(ガス)を、減圧室に接する壁を介して減圧室に排出することができ、脱泡室及び拡幅室における気泡の除去や気泡の成長の抑制が可能となる。
[適用例3]適用例2に記載の液体噴射装置において、前記減圧室において前記脱泡室に接する壁と、前記脱泡室において前記減圧室に接する壁とは一体形成され、前記減圧室において前記拡幅室に接する壁と、前記拡幅室において前記減圧室に接する壁とは一体形成されている、液体噴射装置。
このようにすることで、減圧室において脱泡室に接する壁と脱泡室において減圧室に接する壁とを別体として形成する場合、又は、減圧室において拡幅室に接する壁と拡幅室において減圧室に接する壁とを別体として形成する場合に比べて、部品点数が少なくなり、液体噴射装置の製造コストを抑制することができる。
[適用例4]適用例2または適用例3に記載の液体噴射装置において、前記脱泡室は、前記減圧室の下方に配置され、前記拡幅室は、前記減圧室の上方に配置され、前記脱泡室と前記減圧室と前記拡幅室とは、鉛直方向において略一列に配置されている、液体噴射装置。
このようにすることで、脱泡室と減圧室と拡幅室とを略一列に配置することができるので、脱泡室及び圧力室がそれぞれ減圧室に接する面の大きさを比較的大きくしても、液体噴射装置全体の大きさが非常に大きくなってしまうことを抑制することができる。
[適用例5]適用例4に記載の液体噴射装置において、前記脱泡室は、前記液体の吐出口を底面に有し、前記減圧室は、前記吐出口の鉛直上方に配置されている、液体噴射装置。
このようにすることで、脱泡室において気泡が生じ易い吐出口の鉛直上方に減圧室が位置することとなるので、脱泡室における脱泡を効率的に行うことができる。
[適用例6]適用例2ないし適用例5のいずれか一例に記載の液体噴射装置において、前記拡幅室は、可撓性を有する可撓部を有し、前記可撓部とは異なる部分において前記減圧室と接する、液体噴射装置。
このようにすることで、拡幅室が可撓部を有して気泡が比較的生じ易い状況であっても、気泡(ガス)を減圧室に排出することができ、拡幅室に溜まった液体において気泡(ガス)の除去や、気泡の成長の抑制を実現することができる。
[適用例7]適用例6に記載の液体噴射装置であって、さらに、前記拡幅室における前記液体の流入口に連通するバルブ室と、前記バルブ室と前記拡幅室とに亘って配置されるバルブ装置とを備え、前記可撓部は、前記拡幅室内の圧力が前記拡幅室の外部圧よりも低くなると、前記拡幅室の内側へ弾性変形し、前記バルブ装置は、前記可撓部の弾性変形する際の押圧力を利用して、前記液体流入口から前記拡幅室に前記液体が流入する開弁状態となる、液体噴射装置。
このようにすることで、ヘッド部から液体を噴射して拡幅室内の圧力が低下し、拡幅室内の圧力が拡幅室の外部圧よりも低くなるとバルブ装置は開弁状態となるので、拡幅室に液体を供給することができる。
A.第1の実施例:
A1.装置構成:
図1は、本発明の第1の実施例における液体噴射装置としてのプリンタ500の概略構成を示す説明図である。第1の実施例のプリンタ500は、4色(ブラック,シアン,マゼンダ,イエロー)のインクを吐出可能なインクジェット式プリンタである。このプリンタ500は、ブラックインクのインクカートリッジIC1と、シアンインクのインクカートリッジIC2と、マゼンダインクのインクカートリッジIC3と、イエローインクのインクカートリッジIC4と、キャリッジ100と、記録ヘッド180と、ガイドロッド260と、プラテン270と、4つのインク供給用ポンプ220a,220b,220c,220dと、減圧用ポンプ300と、を備えている。
プリンタ500は、4つのインクカートリッジIC1〜IC4がプリンタ本体側に装着される、いわゆるオフキャリッジタイプのプリンタである。インクカートリッジIC1は、チューブt1とインク供給用ポンプ220aとチューブt11を介してキャリッジ100に接続されている。同様に、インクカートリッジIC2はチューブt2とインク供給用ポンプ220bとチューブ12とを介して、インクカートリッジIC3はチューブt3とインク供給用ポンプ220cとチューブt13とを介して、インクカートリッジIC4はチューブt4とインク供給用ポンプ220dとチューブ14とを介して、それぞれキャリッジ100に接続されている。減圧用ポンプ300はチューブt5を介してキャリッジ100に接続されている。なお、各インクカートリッジIC1〜IC4は、図示しないカートリッジホルダによってプリンタ500の本体フレーム(図示省略)に装着されている。
インク供給用ポンプ220aは、インクカートリッジIC1内のブラックインクを吸引及び吐出してキャリッジ100に供給する。すなわち、チューブt1とインク供給用ポンプ220aとチューブt11とは、ブラックインクの供給路の一部を構成する。同様に、インク供給用ポンプ220bはインクカートリッジIC2内のシアンインクを、インク供給用ポンプ220cはインクカートリッジIC3内のマゼンダインクを、インク供給用ポンプ220dはインクカートリッジIC4内のイエローインクを、それぞれ吸引してキャリッジ100に供給する。減圧用ポンプ300は、各色(ブラック,シアン,マゼンダ,イエロー)に共通して用いられる。なお、減圧用ポンプ300の動作について後述する。
ガイドロッド260は、プラテン270の上方(+Y方向)においてプラテン270の長手方向(Z軸)に沿って配置されている。キャリッジ100は、ガイドロッド260に沿ってプラテン270の長手方向に移動可能に支持され、キャリッジモータ(図示省略)によりタイミングベルト(図示省略)を介して駆動される。記録ヘッド180は、キャリッジ100の底面に配置され、キャリッジ100の長手方向の往復運動に伴い多数のノズル(図示省略)からインク滴を−Y方向に吐出する。このとき、図示しない紙送り機構によって記録用紙10がプラテン270上を+X方向に送られ、記録用紙10に画像等が形成される。
図2は、図1に示すキャリッジ100及び記録ヘッド180の内部構造を示す断面図である。なお、キャリッジ100は、大気室113と、圧力室110と、バルブ室140と、脱泡室130と、減圧室105と、を備えている。
大気室113は、大気連通孔113aを介して大気と連通している。圧力室110は、中空状の部屋であり、ブラックインクを一時的に溜めてキャリッジ100内のインク供給路における内圧を調整する。圧力室110は、天井部分である隔壁部114を挟んで大気室113に隣接している。隔壁部114は、可撓性部材(例えば合成樹脂やゴム等)よりなるフィルム111と、このフィルム111と共に変位可能な片持ち(図示省略)の薄板部材112とで構成されている。なお、フィルム111は、圧力室110の側壁に熱融着されている。圧力室110は、インク流入口126を備えており、このインク流入口126を介してバルブ室140と連通している。また、圧力室110は、インク排出口128を備えており、インク排出口128から延びたインク流通管115を介して脱泡室130と連通している。
バルブ室140は、中空状の部屋であり、チューブt11及びインク流入口126と連通している。バルブ室140と圧力室110とに亘ってバルブ装置141が配置されている。このバルブ装置141は、弁体142と、圧力調整バネ143と、シール部材144と、支持ロッド145とにより構成されている。弁体142は、インク流入口126とバルブ室140とを連通状態とする開放位置(図2の位置)と、非連通状態とする封止位置(後述)との間で変位可能であり、圧力調整バネ143により封止位置側に付勢されている。シール部材144は、弁体142が封止位置に配置された際に、インクがバルブ室140から圧力室110に流通しないように封止する。支持ロッド145は、一端が弁体142と接合されており、他端が薄板部材112と接合されている。
脱泡室130は、中空状の部屋であり、内部にフィルタF1を備えている。脱泡室130はインク流通管115と連通しており、インク流通管115から流入したインクを一時的に貯留し、後述する脱泡動作によりインク内のガスを除去するために用いられる。脱泡室130に貯留されたインクは、フィルタF1を通ってインク吐出管135に排出される。フィルタF1は、インクを濾過して不純物(塵など)を取り除くと共に、インク供給路内に混入した気泡を通過させ難くして、脱泡室130の天井部において気泡を捕捉(トラップ)させる機能も有する。なお、インク吐出管135は、脱泡室130の底面と連通している。また、インク吐出管135は、記録ヘッド180が有するインク吐出管184と連通している。そして、インク吐出管135,184を通ってきたインクは、ノズルプレート182に設けられた多数のノズル(図示省略)から吐出される。図2の例では、インク吐出管135の略鉛直上方の位置に気泡BLがトラップされている。これは、インクが吐出される際に気泡が発生/成長し易く、インク吐出管135の鉛直上方に気泡が溜まり易いからである。
減圧室105は、中空状の部屋であり、脱泡室130と圧力室110とに挟まれて配置されている。具体的には、減圧室105は、脱泡室130の上方であって圧力室110の下方に配置されており、脱泡室130と減圧室105と圧力室110とは鉛直方向に一列に配置されている。図2の例では、気泡が発生(成長)し易いインク吐出管135の略鉛直上方に減圧室105が配置されている。なお、脱泡室130と減圧室105と圧力室110とは、鉛直方向に完全に一列となっていなくとも、水平方向に互いに若干ずれて配置され得る。減圧室105は、チューブt5を介して減圧用ポンプ300と接続されており、減圧用ポンプ300によって減圧されて負圧となり得る。
ここで、減圧室105の天井面と圧力室110の底面とは、隔壁部120aとして一体形成されている。同様に、減圧室105の底面と脱泡室130の天井面とは、隔壁部120bとして一体形成されている。これら隔壁部120a,120bは、いずれも気体透過性を有する部材により構成されている。気体透過性の部材としては、例えば、ポリアセタールやポリプロピレンやポリフェニレンエーテル等を採用することができる。なお、一体形成された隔壁部120aに代えて、減圧室105の天井面と圧力室110の底面とをそれぞれ気体透過性を有する別体の壁として形成し、互いに接するように構成することもできる。同様に、隔壁部120bに代えて、減圧室105の底面と脱泡室130の天井面とをそれぞれ気体透過性を有する別体の壁として形成し、互いに接するように構成することもできる。以上の構成を有するプリンタ500では、キャリッジ100内部において、バルブ室140と圧力室110とインク流通管115と脱泡室130とインク吐出管135とからなるインク供給路を形成している。
なお、前述の圧力室110は請求項における拡幅室に相当する。また、減圧用ポンプ300及び減圧室105は請求項における減圧部に、減圧用ポンプ300は請求項における圧力調整部に、薄板部材112及びフィルム111は請求項における可撓部に、それぞれ相当する。
A2.インク供給動作:
ノズルプレート182(図2)に設けられたノズル(図示省略)からインクが噴射されてインクが消費されると、圧力室110の室圧がインクの減量により低下する。すると、その減圧した室圧と大気室113の圧力(大気圧)との差圧によってフィルム111が圧力室110の内側に撓み、隔壁部114は下方(−Y方向)に変位する。このとき、支持ロッド145を介して弁体142が押し下げられ、圧力調整バネ143の付勢力に打ち勝って弁体142が開放位置に位置すると、インク流入口126が開放されてインクが圧力室110に流入する。
図3は、開放されたインク流入口126から圧力室110にインクが流入した後におけるキャリッジ100及び記録ヘッド180の状態を示す断面図である。圧力室110にインクが流入してその室圧が高まると、フィルム111は圧力室110の外側に撓み、隔壁部114は上方に変位する。弁体142が再び封止位置に移動すると、圧力室110へのインクの流入は停止し、記録ヘッド180へのインクの供給が停止する。このように、プリンタ500では、インクの消費に応じてバルブ室140の弁体142が開閉動作することで、インクカートリッジIC1から供給されたブラックインクが記録ヘッド180に適宜流入するように構成されている。
A3.脱泡動作:
印刷実行後において、減圧用ポンプ300(図2)は、減圧室105を減圧する。なお、減圧用ポンプ300は各色(ブラック,シアン,マゼンダ,イエロー)で共通して用いられるため、図2に示すブラックインク用の減圧室105に加えて、他の色(シアン,マゼンダ,イエロー)用の減圧室(図示省略)も減圧される。減圧室105が所定の負圧状態となると、減圧用ポンプ300は駆動を停止し、図示しないバルブが閉じられて減圧室105は負圧状態に維持される。脱泡室130の天井部分にトラップされた気泡(ガス)BLは、隔壁部120bを透過して減圧室105に流入し、気泡は徐々に減少していく。また、圧力室110の一部は可撓性を有する隔壁部114であり、また複雑な形状をしているため気泡が発生/成長し易い。ここで、圧力室110の底部分の一部は気体透過性を有する隔壁部120aにおいて減圧室105に接しているので、圧力室110で発生した気泡(ガス)は、減圧室105に排出される或いは成長が抑制されることとなる。
以上説明したように、プリンタ500では、脱泡室130と共に気泡が比較的発生又は成長し易い圧力室110についても、気体透過性を有する隔壁部120a,120bを介して減圧室10に接して配置されている。したがって、減圧動作によって、脱泡室130及び圧力室110内の気泡の除去及び気泡の成長を抑制することができる。また、圧力室110と脱泡室130とで、脱泡に用いる減圧室105及び減圧用ポンプ300を共用しているので、それぞれの部屋用に減圧室及び減圧用ポンプを配置する構成に比べて、プリンタ500の製造コストを抑えることができると共にキャリッジ100を小型化することができる。また、脱泡室130と減圧室105と圧力室110とを一列に配置しているので、圧力室110及び脱泡室130がそれぞれ減圧室105に接する面(隔壁部120a,120b)の大きさを比較的大きくしても、キャリッジ100全体の大きさが非常に大きくなってしまうことを抑制することができる。また、脱泡室130において気泡が発生/成長し易いインク吐出管135の略鉛直上方に減圧室105が位置しているので、脱泡室130の脱泡を効率的に行うことができる。また、印刷実行後において上述した脱泡動作を行うので、インクカートリッジIC1〜IC4を交換した際に流入したガスやインク内に溶存していたガスが、プリンタ500不使用時における温度変化等によってインク供給路内で気泡となった場合でも、その気泡の除去や成長の抑制が可能となる。
B.第2の実施例:
図4は、第2の実施例におけるキャリッジ100a及び記録ヘッド180の内部構造を示す断面図である。第2の実施例のプリンタは、キャリッジ100aにおける減圧室105と圧力室110との位置関係においてプリンタ500(図1)と異なり、他の構成については第1の実施例と同じである。
具体的には、圧力室110は、減圧室105の左側面において隣接している。ここで、第2の実施例のキャリッジ100aは、隔壁部120aの代わりに、減圧室105の左側面、すなわち圧力室110と減圧室105との間に隔壁部120cを備えている。この隔壁部120cは、第1の実施例における120a,120bと同様に、気体透過性を有する部材により構成されている。したがって、減圧動作時において、圧力室110内に発生した気泡は、圧力室110の右側面から減圧室105に流入して除去されることとなる。
このような構成を有する第2の実施例のプリンタも、第1の実施例のプリンタ500と同様な効果を奏する。
C.第3の実施例:
図5は、第3の実施例におけるキャリッジ100b及び記録ヘッド180の内部構造を示す断面図である。第3の実施例のプリンタは、減圧室の大きさにおいてプリンタ500(図1)と異なり、他の構成については第1の実施例と同じである。
具体的には、第3の実施例における減圧室105aは、第1の実施例の減圧室105(図2)よりもX方向の長さが短い。また、それに伴い、減圧室105aと圧力室110との間の隔壁部120dのX方向の長さは、第1の実施例の隔壁部120aのX方向の長さよりも短い。同様に、減圧室105aと脱泡室130との間の隔壁部120eのX方向の長さは、第1の実施例の隔壁部120bのX方向の長さよりも短い。そして、減圧室105aは、脱泡室130におけるインク吐出管135の略鉛直上方に配置されていない。
このような構成を有する第3の実施例のプリンタも、第1の実施例のプリンタ500と同様な効果を奏する。また、減圧室105aの大きさ及び隔壁部120d,120eの大きさが第1の実施例よりも小さいので、プリンタ500の製造コストを抑えることができる。また、減圧室105aの大きさが比較的小さいので、減圧用ポンプ300として比較的小型のポンプを用いることができる。
D.第4の実施例:
図6は、第4の実施例におけるキャリッジ100c及び記録ヘッド180の内部構造を示す断面図である。第4の実施例のプリンタは、減圧動作を行うための構成においてプリンタ500(図1)と異なり、他の構成については第1の実施例と同じである。
具体的には、第4の実施例のキャリッジ100cは、減圧室105に代えて、減圧管400を備えている。この減圧管400は、第1の減圧室411と第2の減圧室412と第3の減圧室413とを有している。第1の減圧室411は、圧力室110内に配置された中空の円柱形の部屋である。この第1の減圧室411は、隔壁部114が下方に変位した場合においても接触しないように配置されている。第2の減圧室412は、脱泡室130内に配置された中空の円柱形の部屋である。この第2の減圧室412は、脱泡室130の内部においてフィルタF1よりも上方において脱泡室130の天井に接しないように配置されている。第3の減圧室413は、インク流通管115aに配置された中空の部屋である。この第3の減圧室413は、インク流通管115a内の中央部に配置され、インク流通管115aの壁面に接しないように配置されている。なお、第4の実施例のインク流通管115aは、内部に第3の減圧室413を収容するために、第1の実施例のインク流通管115に比べて断面積が大きい。
第3の減圧室413は、第1の減圧室411と第2の減圧室412とを接続し、各減圧室411,412,413は、互いに連通している。これら減圧室411,412,413の壁面は、第1の実施例の隔壁部120a,120bと同様に気体透過性を有する。第1の減圧室411には減圧用ポンプ300が接続されており、減圧用ポンプ300により減圧管400の内部が負圧となると、圧力室110,脱泡室130及びインク流通管115aにおいて気泡が減圧管400内部に流入して脱泡が行われる。
このような構成を有する第4の実施例のプリンタは、圧力室110及び脱泡室130の脱泡を1組の減圧管400及び減圧用ポンプ300で実行するので、第1の実施例と同様な効果を奏する。また、圧力室110及び脱泡室130に加えて、インク流通管115aにおいても脱泡を行うことができるので、インク供給路内において多くの気泡(ガス)を除去することができる。
E.変形例:
なお、上記各実施例における構成要素の中の、独立クレームでクレームされた要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
E1.変形例1:
上述した第1〜3の実施例では、脱泡室130と共に脱泡の対象となる部分は、圧力室110であったが、圧力室110に代えて、他の部屋を脱泡対象とすることもできる。例えば、プリンタが、インクカートリッジIC1〜IC4に代えて、各色のインクタンクと、これらインクタンクと接続されて大気から遮断された(密閉された)各色のサブタンクとを備える構成において、サブタンクを脱泡対象とすることもできる。サブタンクは可撓性部材を用いずに構成されることがあるが、この場合であっても、プリンタが不使用時における温度変化等によりサブタンク内で気泡が発生/成長することがある。したがって、サブタンクを脱泡対象とすることで、インク供給路からの気泡の除去や気泡の成長の抑制が可能となる。なお、この構成においては、圧力室110の他にバルブ室140やバルブ装置141も省略され得る。すなわち、一般には、プリンタが備える任意の拡幅室(インク供給路よりも大きな断面積を有する部位)を脱泡対象とする構成を、本発明の液体噴射装置に採用することができる。
E2.変形例2:
上述した各実施例では、減圧用ポンプ300は各色(ブラック,シアン,マゼンダ,イエロー)で共通して用いられていたが、これに代えて、各色ごとに減圧用ポンプ300を配置する構成とすることもできる。また、インク供給用ポンプ220a〜220dは、各色ごとに用意されていたが、これに代えて、各色で1つのポンプを共用することもできる。また、減圧用ポンプ300をインク供給用ポンプ220a〜220dのいずれか(又は全ての)のポンプと共用することもできる。また、インク供給用ポンプ220a〜220dに代えて1つのポンプを共用する場合には、かかるポンプを減圧室105を減圧するのにも用いることもできる。
E3.変形例3:
上述した各実施例において、各色のインクをインクカートリッジIC1〜IC4からキャリッジ100に供給するための構成として、インク供給用ポンプ220a〜220dを用いて各色のインクをインクカートリッジIC1〜IC4から吸引及び吐出していたが、これに代えて、加圧ポンプを設置し、この加圧ポンプで加圧した空気を各インクカートリッジIC1〜IC4内に供給してキャリッジ100にインクを送り出す構成とすることもできる。
E4.変形例4:
上述した各実施例では、プリンタが吐出するインクの種類は4色であったが、これに代えて任意の種類のインクを吐出する構成とすることができる。また、各実施例のプリンタはオフキャリッジタイプのプリンタであったが、これに代えて、インクカートリッジをキャリッジに搭載するいわゆるオンキャリッジタイプのプリンタを採用することもできる。
E5.変形例5:
上述した第1,3の実施例では、減圧室105において圧力室110及び脱泡室130と接する面は、上面(天井面)及び下面(底面)であった。また、第2の実施例では、減圧室105において圧力室110及び脱泡室130と接する面は、左側面と下面(底面)であった。本発明はこれらに限定されるものではなく、減圧室105の任意の面において減圧室105が圧力室110及び脱泡室130に接する構成を採用することができる。例えば、減圧室105は、左側面において圧力室110に接し、右側面において脱泡室130に接する構成を採用することもできる。この構成では、圧力室110と減圧室105と脱泡室130とが一列に配置されるので、第1の実施例と同様に、キャリッジ100全体の大きさが非常に大きくなってしまうことを抑制することができる。
E6.変形例6:
上述した各実施例では、インクジェット式プリンタについて説明したが、本発明は、これに限らず、インク以外の他の液体を噴射する任意の液体噴射装置に適用することができる。例えば、ファクシミリ装置等の画像記録装置や、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッドや、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレーや、面発光ディスプレー (Field Emission Display、FED)等の電極形成に用いられる電極材噴射装置や、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を含む液体を噴射する液体噴射装置や、精密ピペットとしての試料噴射装置等にも適用できる。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用しても良い。そして、これら微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置のうちいずれか一種の噴射装置に本発明を適用することがでる。
なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であれ良い。例えば、物質が液相であるときの状態のものであれば良く、粘性の高い又は低い液状態、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施例の形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インクおよび油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。
本発明の第1の実施例における液体噴射装置としてのプリンタ500の概略構成を示す説明図である。 図1に示すキャリッジ100及び記録ヘッド180の内部構造を示す断面図である。 開放されたインク流入口126から圧力室110にインクが流入した後におけるキャリッジ100及び記録ヘッド180の状態を示す断面図である。 第2の実施例におけるキャリッジ100a及び記録ヘッド180の内部構造を示す断面図である。 第3の実施例におけるキャリッジ100b及び記録ヘッド180の内部構造を示す断面図である。 第4の実施例におけるキャリッジ100c及び記録ヘッド180の内部構造を示す断面図である。
符号の説明
IC1〜IC4…インクカートリッジ
10…記録用紙
t1〜t5,t11〜t14…チューブ
100,100a,100b,100c…キャリッジ
105,105a…減圧室
110…圧力室
111…フィルム
112…薄板部材
113…大気室
113a…大気連通孔
114…隔壁部
115,115a…インク流通管
120a〜120e…隔壁部
128…インク排出口
130…脱泡室
135…インク吐出管
140…バルブ室
141…バルブ装置
142…弁体
143…圧力調整バネ
144…シール部材
145…支持ロッド
180…記録ヘッド
182…ノズルプレート
184…インク吐出管
220a〜220d…インク供給用ポンプ
260…ガイドロッド
270…プラテン
300…減圧用ポンプ
400…減圧管
411…第1の減圧室
412…第2の減圧室
413…第3の減圧室
500…プリンタ
F1…フィルタ
BL…気泡

Claims (7)

  1. 液体を噴射するための液体噴射装置であって、
    前記液体を噴射するヘッド部と、
    前記ヘッド部まで前記液体を導くための液体供給路と、
    前記液体供給路に設けられ、前記液体内の気泡を取り除くための脱泡室と、
    前記液体供給路に設けられ、前記液体供給路よりも大きな断面積を有して前記液体を溜め得る拡幅室と、
    前記脱泡室と前記拡幅室とを減圧するための減圧部と、
    を備える、液体噴射装置。
  2. 請求項1に記載の液体噴射装置において、
    前記減圧部は、減圧室と、前記減圧室内の圧力を調整する圧力調整部と、を有し、
    前記減圧室は、前記脱泡室と前記拡幅室とに接し、
    前記減圧室において前記脱泡室に接する壁と、前記減圧室において前記拡幅室に接する壁と、前記脱泡室において前記減圧室に接する壁と、前記拡幅室において前記減圧室に接する壁と、はいずれも気体が透過可能である、液体噴射装置。
  3. 請求項2に記載の液体噴射装置において、
    前記減圧室において前記脱泡室に接する壁と、前記脱泡室において前記減圧室に接する壁とは一体形成され、
    前記減圧室において前記拡幅室に接する壁と、前記拡幅室において前記減圧室に接する壁とは一体形成されている、液体噴射装置。
  4. 請求項2または請求項3に記載の液体噴射装置において、
    前記脱泡室は、前記減圧室の下方に配置され、
    前記拡幅室は、前記減圧室の上方に配置され、
    前記脱泡室と前記減圧室と前記拡幅室とは、鉛直方向において略一列に配置されている、液体噴射装置。
  5. 請求項4に記載の液体噴射装置において、
    前記脱泡室は、前記液体の吐出口を底面に有し、
    前記減圧室は、前記吐出口の鉛直上方に配置されている、液体噴射装置。
  6. 請求項2ないし請求項5のいずれか一項に記載の液体噴射装置において、
    前記拡幅室は、可撓性を有する可撓部を有し、前記可撓部とは異なる部分において前記減圧室と接する、液体噴射装置。
  7. 請求項6に記載の液体噴射装置であって、さらに、
    前記拡幅室における前記液体の流入口に連通するバルブ室と、
    前記バルブ室と前記拡幅室とに亘って配置されるバルブ装置とを備え、
    前記可撓部は、前記拡幅室内の圧力が前記拡幅室の外部圧よりも低くなると、前記拡幅室の内側へ弾性変形し、
    前記バルブ装置は、前記可撓部の弾性変形する際の押圧力を利用して、前記液体流入口から前記拡幅室に前記液体が流入する開弁状態となる、液体噴射装置。
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