JP2008128296A - ラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器及びラジアル玉軸受 - Google Patents

ラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器及びラジアル玉軸受 Download PDF

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Abstract

【課題】ラジアル玉軸受が、高温環境下で高速回転で運転された場合でも、保持器7bの外周面の一部が外輪の内周面と擦れ合う事を確実に防止できる構造を実現する。
【解決手段】上記保持器7bの主部9aの軸方向他面に、補強リング12aを結合固定する。又、この主部9a及び弾性片10a、10aの外周面を、軸方向片側に向かう程径方向内方に向かう方向に傾斜した傾斜面18とする。これにより、例えば、上記ラジアル玉軸受が、dmn140万以上の高速回転で運転された場合でも、上記保持器7bの外周面の一部が上記外輪の内周面と擦れ合う事を防止できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車用補機や工作機械等の各種回転機械装置の回転支持部を構成するラジアル玉軸受と、このラジアル玉軸受を構成する合成樹脂製冠型保持器の改良に関する。特に本発明は、高温環境下で高速運転した場合でも、保持器の一部と外輪の内周面とが擦れ合う事を防止して、上記ラジアル玉軸受を組み込んだ回転機械装置の運転を安定した状態で行なわせる事を目的として発明したものである。
上述した様な各種回転機械装置の軸受部等、各種回転部分を支持する為のラジアル玉軸受として、例えば図10に示す様な玉軸受1が広く使用されている。この玉軸受1は、内周面に外輪軌道2を有する外輪3と、外周面に内輪軌道4を有する内輪5とを同心に配置し、これら外輪軌道2と内輪軌道4との間に複数個の玉6、6を転動自在に設けて成る。図示の例の場合、上記外輪軌道2と内輪軌道4とは、共に深溝型としている。又、上記複数個の玉6、6は、保持器7に設けたポケット8内に、転動自在に保持している。
この保持器7は、冠型保持器と呼ばれるもので、合成樹脂を射出成形する事により、図11に示す様に、全体を一体に造っている。この合成樹脂としては、一般的にはポリアミド66を、使用温度が160℃を越える様な場合には耐熱性に優れたポリアミド46を、それぞれガラス繊維等の補強材を含有させた状態で使用する。ポリフェニレンサルファイドを使用する場合もある。何れの材料を使用する場合でも、上記冠型の保持器7の場合、円環状の主部9の円周方向複数個所に、玉6、6(図10参照)を転動自在に保持するポケット8、8を設けている。この様な冠型の保持器7の場合、上記各ポケット8、8は、上記主部9の軸方向(図11の上下方向)片面(図11の上面)に互いに間隔をあけて配置された1対の弾性片10、10の片側面と、上記主部9の軸方向片面でこの1対の弾性片10、10の間部分に設けられた球面状の凹面部11、11とから構成する。この凹面部11、11の内面、及び、この凹面部11、11に連続する、上記各弾性片10、10の円周方向側面は、その曲率半径を上記玉6の転動面の曲率半径よりも僅かに大きくする事により、上記各玉6、6を転動自在に保持できる形状である、単一の曲率中心を有する、部分球面状の凹面としている。
玉軸受1を組み立てる場合には上記各玉6、6を、各ポケット8、8を構成する1対ずつの弾性片10、10の先端縁同士の間隔を弾性的に押し広げつつ、これら1対の弾性片10、10同士の間に押し込む。上記保持器7は、この様にして上記各ポケット8、8内に玉6、6を抱き込む事により、これら各玉6、6を、前記内輪軌道4と外輪軌道2(図10参照)との間に、転動自在に保持する。
この様な保持器7を備えた玉軸受1の使用時には、上記複数個の玉6、6の転動に伴って、上記外輪3と内輪5との相対回転を自在とする。この際、上記複数の玉6、6は、自転しつつ上記内輪5の周囲を公転する。又、上記保持器7は、上記玉6、6の公転速度と同じ速度で、上記内輪5の周囲を回転する。
近年、玉軸受1を組み込んだ各種回転機械装置の性能が向上し、外輪3と内輪5との相対回転速度、延ては保持器7の回転速度が高くなっている。この結果、この保持器7に加わる遠心力が大きくなり、この保持器7を構成する弾性片10、10の弾性変形量が無視できなくなる可能性が生じている。即ち、これら各弾性片10、10は、それぞれ円環状の主部9の軸方向片面に、片持ち式に支持されている。言い換えれば、上記各弾性片10、10は、先端部が他の部分に結合されずに変位可能な、自由端としている。
この結果、上記保持器7の回転速度が高くなり、上記遠心力が大きくなると、上記各弾性片10、10が、先端(図10の左端)が直径方向外側に変位する方向に弾性変形する。この弾性変形の際、上記各弾性片10、10だけでなく、上記主部9も、捩れる様に弾性変形する。そして、この様な弾性変形の結果、上記各弾性片10、10の先端部外周が、上記外輪3の一部内周面と干渉し(擦れ合い)、上記外輪3と内輪5との相対回転に要するトルクが増大する他、運転に伴って発生する熱に基づく温度上昇や異音が著しくなり、極端な場合には焼き付き等の故障の原因となる可能性がある。特に、上記回転機械装置が、自動車のエンジンルーム等、高温の条件下で使用されるもの(例えばオルタネータ等の補機)の場合には、上記保持器7の剛性が低下(保持器7を構成する合成樹脂が軟化)して、上記各弾性片10、10が弾性変形し易くなる。又、高温条件下では、遠心力による弾性変形以外にも、熱変形、クリープ変形が生じる可能性がある。この結果、上述の様な不都合が著しくなる可能性がある。
この様な不都合を解消する技術として、特許文献1〜3に記載されたものが知られている。このうちの特許文献1に記載された従来技術では、図12に示す様に、合成樹脂製冠型の保持器7aを構成する主部9に、金属板製で円環状の補強リング12を結合固定している。この補強リング12の一部には通孔13、13が形成されており、上記主部9と上記補強リング12とは、上記保持器7aを射出成形する際に上記各通孔13、13内に進入して固化した合成樹脂により、不離に結合される。上記主部9の捩り剛性は、上記補強リング12の存在により高められるので、遠心力による変形や熱変形、クリープ変形等により各弾性片10、10の先端部が直径方向外方に変位する事が抑えられる。
又、上述の各特許文献1〜3のうちの特許文献2、3には、保持器の外周面を先端側に向かう程径方向内方に傾斜した傾斜面とした技術が記載されている。この様な特許文献2、3に記載された技術の場合、弾性片の先端が直径方向外方に弾性変形しても、この弾性片の先端が外輪の内周面と擦れ合う事を防止できる。
上述した各特許文献1〜3に記載された技術の場合、次の様な問題点がある。即ち、近年、各種の回転機械や自動車部品等の性能向上や小型化により、これら各機械に組み込むラジアル玉軸受の使用条件が厳しくなっている。例えば、回転速度の更なる増大、設置スペースの減少による更なる小型化、使用温度の更なる上昇等が挙げられる。そして、この様な条件下で使用されるラジアル玉軸受に組み込まれる保持器は、高速回転時の遠心力による変形や熱変形がより生じ易くなる。又、小型化により、保持器外周面と外輪内周面との間隔も狭くなる。
例えば、ラジアル玉軸受が、dmn{ピッチ円直径dm(mm)と回転速度n(min-1 )との積}が140万程度の高速回転で運転されれば、上述の遠心力等による変形量が増大する。又、保持器に振動が生じ易くなり、この振動によっても保持器が変形する場合がある。従って、上述した各特許文献1〜3に記載されている様に、保持器の端面に補強リングを固定したり、弾性片の外周面を傾斜面としただけでは、この保持器の一部と外輪の内周面とが擦れ合う事を十分に防止できない可能性がある。
特開平8−145061号公報 特開2002−147463号公報 特開2000−161365号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、高温環境下で高速運転した場合でも、保持器の一部と外輪の内周面とが擦れ合う事を確実に防止できる合成樹脂製冠型保持器と、この保持器を組み込んだラジアル玉軸受とを実現すべく発明したものである。
本発明のラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器及びラジアル玉軸受のうち、請求項1に記載したラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器は、円環状の主部と、複数の弾性片と、複数のポケットとを備える。
このうちの各弾性片は、上記主部の軸方向片面に円周方向に関して互いに間隔をあけ、軸方向に突出する状態で形成している。
又、上記各ポケットは、円周方向に隣り合う1対ずつの弾性片の互いに対向する面と上記主部の軸方向片面でこれら両弾性片により挟まれた部分とにより囲まれた部分であって、それぞれの内面を部分球面状の凹面としている。
特に、請求項1に記載したラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器に於いては、上記主部の軸方向他面に、炭素鋼板、ステンレス鋼板等の、十分な強度及び剛性を有する金属板製の補強リングを結合固定している。
又、上記主部の外周面のうちの少なくとも軸方向中間部乃至片端部と、上記各弾性片の外周面とを、軸方向片側に向かう程径方向内方に向かう方向に傾斜した傾斜面としている。
尚、この「傾斜面」は、断面直線状の部分円すい面だけではなく、断面円弧状に湾曲した複合曲面も含む。
又、上述の請求項1に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した様に、補強リングを主部に結合固定した状態で、少なくともこの補強リングの外径側部分と内径側部分とを、合成樹脂により覆う。
又、より好ましくは、請求項3に記載した様に、保持器の主部の軸方向他面のうち、この軸方向他面に結合固定された補強リングから外れた部分に存在する合成樹脂部分を、この補強リングよりも軸方向他側に突出させる。
又、上述した各請求項に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項4に記載した様に、補強リングとして、径方向中央部に配置され軸方向に対し直交する方向に存在する平板部と、内径寄り部分及び外径寄り部分に配置され、それぞれ軸方向片面側に折れ曲がった内径側折れ曲がり部及び外径側折れ曲がり部とを備えるものを使用する。
より好ましくは、請求項5に記載した様に、補強リングの一部で主部の軸方向に関して、各ポケットと整合する部分、又は、隣り合うポケット同士の間部分に整合する部分に、それぞれ通孔を形成する。
又、請求項6に記載した本発明のラジアル玉軸受は、内周面に外輪軌道を有する外輪と、外周面に内輪軌道を有する内輪と、これら外輪軌道と内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の玉と、これら各玉を保持する保持器とを備える。
特に、請求項6に記載したラジアル玉軸受に於いては、上記保持器が、上述の各請求項のうちの何れかに記載したラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器である。
更に、上述の請求項6に記載したラジアル玉軸受が、請求項7に記載した様に、外輪の両端部内周面と内輪の両端部外周面との間に設けられ、各玉が存在する空間と外部空間とを遮断するシールリングを備えるものである場合、このシールリングの側面と保持器の端面とが接触しない様に、これらシールリングの側面と保持器の端面との間隔と、この保持器のポケット内周面と上記各玉の転動面との隙間であるポケット隙間との関係を規制する事が好ましい。
上述の様に構成する本発明のラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器及びラジアル玉軸受は、保持器の主部の軸方向他面に金属板製の補強リングを結合固定すると共に、この主部の外周面と各弾性片の外周面とを傾斜面としている。この為、請求項6に記載した様に、この様な保持器をラジアル玉軸受に組み込んだ場合に、このラジアル玉軸受を、高温環境下で高速運転させても、保持器の一部と外輪の内周面とが擦れ合う事を確実に防止できる。即ち、この保持器に熱変形や遠心力による変形が生じても、主部及び各弾性片の外周面を傾斜面としている為、この外周面の一部が上記外輪の内周面と擦れ合う事を防止できる。又、上記主部の軸方向他面に補強リングを固定している為、この主部が弾性変形しにくい(捩れにくい)。従って、上記ラジアル玉軸受が、例えば、dmn140万以上の高速回転で運転される等、より厳しい条件で使用された場合でも、上記保持器の外周面の一部が上記外輪の内周面と擦れ合う事を防止できる。
又、請求項2に記載した様に、補強リングを保持器の主部に結合固定した状態で、この補強リングの外径側部分と内径側部分とを、合成樹脂により覆えば、この補強リングの外径側、内径側両部分が、これら各部分と対向する相手面と直接接触する事を防止できる。この為、この様な保持器をラジアル玉軸受に組み込んだ場合に、この保持器に振れ回りが生じても、この保持器に結合固定した補強リングが、外輪の内周面や内輪の外周面に接触する事を防止できる。この結果、ラジアル玉軸受の軸受内部の発熱量が増大する事を防止できる。そして、グリースの劣化や、熱により保持器が変形し易くなる事を防止できる。
又、請求項3に記載した様に、保持器の主部の軸方向他面のうち、補強リングから外れた部分に存在する合成樹脂部分を、この補強リングよりも軸方向他側に突出させれば、この補強リングの軸方向他側に存在する相手部材とこの補強リングとが、直接接触する事を防止できる。この為、上記保持器を、シールリングを有するラジアル玉軸受に組み込んだ場合に、この保持器が軸方向に変位したり、傾斜したりしても、上記補強リングが上記シーリングと直接接触する事を防止できる。尚、この様に、補強リングとシールリングとの接触を防止する為に、請求項7に記載した様に、シールリングの側面と保持器の端面との間隔と、この保持器のポケット内周面と上記各玉の転動面との隙間であるポケット隙間との関係を規制しても良い。この場合には、合成樹脂部分を上記補強リングよりも軸方向他側に突出させる必要はない。
又、請求項4に記載した発明によれば、前述の図12に示した従来構造よりも、保持器の捩り剛性を向上させる事ができる。そして、運転に伴って加わる遠心力や振動に基づく変形を、より生じにくくでき、この保持器を組み込んだラジアル玉軸受の小型化や高速運転を図る面から、より有利になる。
即ち、上記請求項4に記載したラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器で、主部の軸方向他面に結合固定された補強リングは、平板部の径方向両側に、内径側、外径側両折れ曲がり部を形成している。この様な両折れ曲がり部を備えた(断面形状が屈曲している)補強リングの断面係数は、前述の図12に示した従来構造の様な、単なる平板状の補強リングの断面係数よりも大きく、捩り剛性が大きい。この為、温度上昇に伴って軟化した各弾性片の先端部が径方向外方に変位する傾向になり、これに伴って主部が捻れる方向に変形する傾向になっても、上記補強リングがこの主部の変形を十分に抑える。
又、上記補強リングの内径側、外径側両折れ曲がり部の折れ曲がり方向は、各ポケットの内面の湾曲方向と一致している。従って、上記補強リングの剛性を確保すべく、この補強リングを構成する金属板の厚さ寸法を確保しても、この補強リングの一部が上記各ポケットの内面の一部に露出する事がない。この事は、この主部の軸方向に関する厚さ寸法の増大を抑えてラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器の大型化を防止しつつ、上記補強リングの剛性向上を図る面から有利である。逆に言えば、必要とする剛性が同じであれば、この補強リングを構成する金属板の厚さ寸法の低減により、この補強リングを結合固定したラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器の小型・軽量化を図れる。
又、請求項5に記載した様に、上記補強リングの一部で主部の軸方向に関して各ポケットと整合する部分に、それぞれ通孔を形成すれば、この補強リングの存在に拘らず、上記主部のうちで、軸方向に関する厚さ寸法が最も小さくなった部分に、合成樹脂をまんべんなく行き渡らせる事ができる。そして、この部分に、欠損等の不具合が発生する事を、有効に防止できる。尚、上記主部のうちの上記各ポケット部分の厚さ寸法を確保でき、当該部分に通孔が存在しなくても、合成樹脂を十分に行き渡らせる事ができる場合には、上記通孔を、隣り合うポケット同士の間部分に整合する部分に形成しても良い。この場合、これら各ポケット部分の剛性を確保できる。
即ち、補強リングのうち、上記通孔を形成した部分の剛性は低下する。従って、上記各ポケット部分の剛性を高くしたい場合には、これら各ポケットと整合する部分に通孔を形成する事は好ましくない。一方、上記通孔は、補強リングと主部との結合強度を高める点からは、形成した方が好ましい。従って、上記各ポケット部分の剛性が要求される場合には、隣り合うポケット同士の間部分に整合する部分に、上記通孔を形成する。
[実施の形態の第1例]
図1、2は、請求項1〜3、6に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例の特徴は、玉軸受1(図10参照)を、高温環境下で、例えばdmn140万以上の高速で運転した場合でも、保持器7bの一部と外輪3(図10参照)の内周面とが擦れ合う事を防止する為の構造にある。その他の部分の構成及び作用は、前述の図11〜12に示した従来構造の場合と同様であるから、同等部分に関する説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の場合、上記保持器7bを構成する主部9aの軸方向他面(図1、2の下面)に、合成樹脂よりも剛性の高い金属板製の補強材である、炭素鋼板(例えばSPCC)、ステンレス鋼板等の金属製の、補強リング12aを結合固定している。又、上記主部9aの軸方向他面の内径側及び外径側部分のそれぞれに、軸方向他方(図1、2の下方)に突出する鍔部14a、14bを、全周に亙って形成している。そして、上記主部9aの軸方向他面に全周に亙って連続する円環状の凹部15を設けている。又、上記両鍔部14a、14bの先端部には、互いに近づく方向に突出した突部16a、16bを、それぞれ全周に亙って、或は、円周方向複数個所に間欠的に形成している。従って、上記凹部15は、開口部の幅が狭く、奥部の幅が広くなった、あり溝状である。
上記補強リング12aは上記凹部15内に配置されている。この凹部15を構成する、上記両鍔部14a、14bの内側面同士の自由状態での間隔は、上記補強リング12aの径方向の幅よりも僅かに小さい。又、上記凹部15の底面と上記突部16a、16bの内面との自由状態での間隔は、上記補強リング12aの厚さよりも僅かに小さい。従って、上記凹部15内に配置される上記補強リング12aは、上記両鍔部14a、14b同士の間に弾性的に挟持されると共に、上記突部16a、16bと上記凹部15の底面との間でも弾性的に挟持される。この結果、上記補強リング12aがこの凹部15内から不用意に脱落する事を防止できる。この補強リング12aをこの凹部15内に配置する際には、上記突部16a、16b及び上記両鍔部14a、14bを弾性的に押し広げて、上記補強リング12aをこの凹部15内に押し込む。尚、補強リング12aを、保持器7bを射出成形する際に、成形型内にこの補強リング12aをセットしておくインサート成形をする事によって、主部9aの軸方向他面に結合固定する事もできる。
本例の場合、上述の様に、凹部15内に補強リング12aを組み込んだ状態で、この補強リング12aの外径側部分と内径側部分とが、合成樹脂製の鍔部14a、14bにより、それぞれ覆われる。又、保持器7bの主部9aの軸方向他面のうち、この補強リング12aから外れた部分に存在する合成樹脂部分である、上記両鍔部14a、14bの先端部が、この補強リング12aよりも軸方向他側に突出する。図示の例の場合、上記補強リング12aの軸方向他面よりも、上記突部16a、16bを含む上記両鍔部14a、14bの先端部が、軸方向他側に突出している。尚、本例の場合、上記補強リング12aを上記主部9aの凹部15内に押し込む事により配置している為、この補強リング12aを組み込む作業を容易に行なえる。
又、本例の場合、保持器7bの主部9aのうち、外両周面のそれぞれの軸方向他端部に、面取り17、17を形成している。そして、上記主部9aの外周面のうち、この面取り17を除く部分と、各弾性片10a、10aの外周面とを、軸方向片側(図1、2の上側)に向かう程径方向内方に向かう方向に傾斜した傾斜面18としている。即ち、上記面取り17を除く上記主部9aの軸方向中間部乃至片端部の外周面と、上記各弾性片10a、10aの外周面とを互いに滑らかに連続させ、これら両面により、軸方向片側に向かう程径方向内方に向かう方向に傾斜した、部分円すい面を構成している。
本例の場合、上記傾斜面18の傾斜量を、高温環境下で高速運転した場合の保持器の変形量を有限要素解析により求め、この計算結果に基づいて定めている。例えば、本発明者が、前述の図11に示した様な、主部9及び各弾性片10、10の外周面に傾斜面が形成されておらず、補強リングが固定されていない保持器7を、dmn140万で回転させた場合の変形量を、温度上昇も考慮した上で有限要素解析により求めた結果を、図3、4に示す。このうちの図4では、実線は変形前を、破線は変形後を、それぞれ示す。本例の場合、この図4に示す様な、弾性片10の先端縁の径方向への変形量δを考慮して、上記傾斜面18の傾斜量を求めた。即ち、上記各弾性片10a、10aの先端縁が径方向にδ分変形しても、この先端縁が外輪3の内周面と擦れ合わない様に、保持器7bの外周面とこの外輪3の内周面との間隔も考慮して、上記傾斜面18の傾斜量を求めた。
尚、本例の保持器7bは、補強リング12aを結合固定しており、しかも、上記各弾性片10a、10aの質量が先端側程小さくなっている為、dmn140万で回転させた場合の変形量は、上記δよりも小さくなると考えられる。しかし、実際の使用状況では、想定した以上の高温環境及び高速回転で運転される場合もある。又、使用期間が長くなれば、クリープ変形が加わる等、より変形量が多くなる可能性がある。従って、本例の場合、上記保持器7bの一部と外輪3の内周面とが擦れ合う事を長期に亙って安定して防止すべく、この保持器7bの外周面に上記変形量δに見合う傾斜面18を形成すると共に、上記補強リング12aを前記主部9aに結合固定して、この主部9aが弾性変形しにくくしている。
上述の様に構成する本例の場合、保持器7bに熱変形や遠心力による変形が生じても、予めこの変形量を計算し、この計算結果に基づいて、上記主部9a及び各弾性片10a、10aの外周面を傾斜面18としている為、この外周面の一部が前記外輪3の内周面と擦れ合う事を確実に防止できる。又、上記主部9aの軸方向他面に補強リング12aを固定している為、この主部9aが弾性変形しにくい(捩れにくい)。従って、上記保持器7bを組み込んだ玉軸受が、例えば、dmn140万以上の高速回転で運転されたり、この保持器7bの外周面と外輪3の内周面との間隔が狭かったりする等、より厳しい条件で使用された場合でも、上記保持器7bの外周面の一部が上記外輪3の内周面と擦れ合う事を防止できる。
又、本例の場合、上記補強リング12aを、保持器7bの主部9aに結合固定した状態で、この補強リング12aの内径側部分と外径側部分とが、合成樹脂部分である鍔部14a、14bにより覆われる。この為、上記保持器7bに振れ回りが生じても、この保持器7bに結合固定した上記補強リング12aが、外輪3の内周面や内輪5の外周面に接触する事を防止できる。
即ち、上記保持器7bに振れ回りが生じた場合には、この保持器7bの外周面若しくは内周面の一部が、上記外輪3の内周面若しくは内輪5の外周面の一部に接触する可能性がある。そして、この様な接触が繰り返されると、(前述の主部9aの捩れによる弾性片10a、10aと外輪3の内周面との擦れ合いによる発熱量程ではないにしても)軸受内部の発熱量が増大する可能性がある。上記補強リング12aが存在しない部分は、合成樹脂製である為、この部分が金属製の上記外輪3若しくは内輪5と接触しても、発熱量を抑えられる。これに対して、金属製の上記補強リング12aが上記外輪3若しくは内輪5と接触した場合には、発熱量が増大し易くなる。そして、発熱量の増大により軸受内部の温度が上昇した場合には、グリースの劣化や、前述した様な保持器の変形が生じ易くなる。本例の場合には、上記補強リング12aが上記外輪3若しくは内輪5と直接接触する事はない為、この様な問題が生じる事を防止できる。
又、本例の場合、上記保持器7bの主部9aの軸方向他面のうち、上記補強リング12aから外れた部分に存在する合成樹脂部分である、前記両鍔部14a、14bを、上記補強リング12aよりも軸方向他側に突出させている。この為、上記保持器7bを、前記図10に示した様な、シールリング19、19を有する玉軸受1に組み込んだ場合に、上記保持器7bが軸方向に変位したり、傾斜しても、上記補強リング12aが上記シーリング19、19の側面と直接接触する事を防止できる。
即ち、上記保持器7bを構成する各ポケット8、8の内周面と、これら各ポケット8、8に保持される各玉6、6(図10参照)の転動面との間のポケット隙間が大きい場合には、前述した様な、保持器7bの振れ回りが生じ易くなる事に加えて、この保持器7bが軸方向に変位したり傾斜したりする可能性を生じる。そして、この保持器7bの軸方向の変位や傾斜が大きい場合には、この保持器7bの端面が、シールリング19の側面に接触する可能性を生じる。このシールリング19は、前述した図10の構造の場合、外周縁部を外輪3の両端部内周面に係止した金属製の円輪板の内周縁部を、内輪5の両端外周面に近接させた非接触式のものである。この為、上記保持器7bの軸方向変位或は傾斜により、この保持器7bの端面に結合された上記補強リング12aと上記シールリング19の側面とが接触した場合、金属同士の接触となり、やはり、発熱量が増大する可能性があり、上述した様な問題が生じ得る。尚、弾性材を金属製の芯金により補強した構造を有するシールリングも従来から知られているが、この場合にも、芯金と上記補強リング12aとが接触して、発熱量が著しくなる可能性がある。これに対して本例の場合には、この補強リング12aが上記シールリング19或は芯金の側面と直接接触する事はない為、この様な問題が生じる事を防止できる。
本例の場合、上述の様に、保持器7bの軸方向他面に結合固定した補強リング12aが、外輪3の内周面や内輪5の外周面、更にはシーリング19、19の側面と接触する事を防止できる為、玉軸受1の軸受内部の発熱量が増大する事を防止できる。そして、軸受内部の温度上昇を抑えて、グリースの劣化や、熱により保持器が変形し易くなる事を防止できる。又、グリースの劣化を防止できれば、軸受寿命の低下を防止できる。
[実施の形態の第2例]
図5〜9は、請求項1、2、4〜7に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、保持器7cを構成する主部9bの軸方向他面(図5、7、9の下面)に、補強リング12bを結合固定している。この補強リング12bは、全体を円輪状に形成しており、断面形状を山形としている。即ち、この補強リング12bの径方向中央部を、軸方向に対し直交する方向に存在する平板部20としている。又、内径寄り部分を、上記主部9bの軸方向片面側(図5〜7、9の上面)、即ち、この主部9bに結合固定した状態で各ポケット8、8が存在する側に折れ曲がった、内径側折れ曲がり部21としている。更に、外径寄り部分を、上記軸方向片面側に折れ曲がった、外径側折れ曲がり部22としている。又、上記平板部20の円周方向複数個所には、円周方向に長い透孔23、23と円形の通孔24、24とを、円周方向に関して交互に、それぞれポケット8、8と同じピッチで形成している。
上述の様な補強リング12bは、上記保持器7cを射出成形する際、成形型内にこの補強リング12bをセットしておくインサート成形をする事によって、上記主部9bの軸方向他面に結合固定されている。即ち、射出成形時に上記補強リング12bを、射出成形用の金型のキャビティ内の所定位置にセットしておく。この所定位置とは、軸方向に関しては、上記主部9bを形成すべき位置であり、円周方向に関しては、上記各透孔23、23が各弾性片10a、10aの基部を含む円周方向に隣り合うポケット8、8同士の間部分25、25に、上記各通孔24、24が上記各ポケット8、8と整合する部分で上記主部9bの軸方向の厚さ寸法が最も小さくなっている部分に、それぞれ整合する位置である。更に、射出成形時には、上記各透孔23、23に、何れかの金型から上記キャビティ内に突出した中子突起を挿通しておく。
上述の様に、上記キャビティ内に上記補強リング12bをセットした状態で、このキャビティ内に溶融した合成樹脂を送り込めば、上記保持器7cが射出成形されると同時に、この保持器7cを構成する上記主部9bの軸方向他面に、上記補強リング12bが結合固定される。この状態で、この補強リング12bを構成する、前記内径側折れ曲がり部21及び外径側折れ曲がり部22が、それぞれ上記主部9b内に包埋される。従って、この内径側折れ曲がり部21の内径側、及び、上記外径側折れ曲がり部22の外径側には、それぞれ上記主部9bを構成する合成樹脂が存在する。又、上記各間部分25、25のうちで上記各透孔23、23に整合する部分には、(上記中子突起に基づく)肉抜き凹部26、26が形成される。この様にして得られた保持器7cは、上記合成樹脂が冷却固化後に金型を開いて取り出した後、前述の図10に示す様に、ラジアル玉軸受に組み込む。
本例の場合、玉軸受1(図10参照)に保持器7cを組み込んだ場合に、シールリング19(図10の右側のシールリング19)の側面とこの保持器7cの端面(即ち、補強リング12bの軸方向他面)とが接触しない様に、これらシールリング19の側面と保持器7cの端面との間隔と、この保持器7cのポケット8、8の内周面と各玉6、6(図10参照)の転動面との隙間であるポケット隙間との関係を規制している。具体的には、上記保持器7cがこのポケット隙間分軸方向に移動した場合、或は、このポケット隙間に基づいて傾斜した場合でも、上記保持器7cの端面と上記シールリング19の側面とが接触しない様に、上記ポケット隙間を小さくする。又、このポケット隙間は、上記各玉6、6の転動面と上記各ポケット8、8の内周面との間にグリースが存在できる分を確保する。従って、上記ポケット隙間は、上記保持器7cの端面と上記シールリング19の側面との間隔と、この保持器7cが軸方向に変位する量或は傾斜角度とを考慮すると共に、上記グリースを存在させる事ができる隙間を確保する点とを考慮して定める。
上述の様に構成する本例の場合、保持器7cを構成する合成樹脂製の主部9bに結合固定する上記補強リング12bの断面係数は、断面形状が屈曲している事に伴って大きく、捩り剛性が大きい。この為、温度上昇に伴って軟化した上記各弾性片10a、10aの先端部が、高速運転に伴って加わる遠心力により径方向外方に変位する傾向になり、これに伴って上記主部9bが捻れ方向に変形する傾向になっても、上記補強リング12bがこの主部9bの変形を十分に抑える。この為、上記各弾性片10a、10aの先端縁が外輪3(図10参照)の一部内周面と擦れ合う事を、より確実に防止できる。この結果、この外輪3と内輪5(図10参照)との相対回転に要するトルクが増大したり、運転に伴って発生する熱に基づく温度上昇や異音が著しくなる事を防止できる。
又、本例の場合、上記保持器7cを前記玉軸受1に組み込んだ状態で、前記シールリング19の側面とこの保持器7cの端面との間隔と、この保持器7cのポケット隙間との関係を、前述した様に規制している為、この保持器7cの端面が、上記シールリング19の側面と擦れ合う事も防止できる。即ち、本例の場合、上述した様に、保持器7cの端面には、補強リング12bが存在し、この補強リング12bの平板部20の軸方向他面が露出している。又、前述の第1例の様に、主部9bの合成樹脂部分を補強リング12bよりも軸方向他側に突出させていない。この為、本例の場合には、前述の第1例で、合成樹脂部分である鍔部14a、14bを補強リング12aの軸方向他面よりも突出させる代わりに、上記シールリング19の側面と保持器7cの端面との間隔と、この保持器7cのポケット隙間との関係を規制している。これにより、この保持器7cの端面に結合固定した補強リング12bの一部が、上記シールリング19の側面と接触する事を防止している。
又、上記補強リング12bの内径側、外径側両折れ曲がり部21、22の折れ曲がり方向は、前記各ポケット8、8の内面の湾曲方向と一致している。従って、前記平板部20に対する上記両折れ曲がり部21、22の折れ曲がり角度を適正に規制すれば、上記補強リング12bの剛性を確保すべく、この補強リング12bを構成する金属板の厚さ寸法を確保しても(厚くしても)、この補強リング12bの一部が上記各ポケット8、8の内面の一部に露出する事がない。この事は、前記主部9bの軸方向に関する厚さ寸法の増大を抑えて前記保持器7cの大型化を防止しつつ、上記補強リング12bの剛性向上を図る面から有利である。逆に言えば、必要とする剛性が同じであれば、この補強リング12bを構成する金属板の厚さ寸法の低減により、この補強リング12bを結合固定した上記保持器7bの小型・軽量化を図れる。尚、本例の場合、上記補強リング12bの内径側、外径側両折れ曲がり部21、22が、合成樹脂製の上記主部9bの内部に包埋されている為、長期間に亙る厳しい使用条件の下でも、この主部9bから分離する事はなく、上記作用・効果は、長期間に亙り安定して得られる。
又、本例の場合には、上記補強リング12bの一部で上記主部9bの軸方向に関して上記各ポケット8、8と整合する部分に、前記各通孔24、24を形成しているので、上記補強リング12bの存在に拘らず、上記主部9bのうちで、軸方向に関する厚さ寸法が最も小さくなった部分27、27に、合成樹脂をまんべんなく行き渡らせる事ができる。そして、これら各部分27、27に、欠損等の不具合が発生する事を、有効に防止できる。
更に、本例の場合には、上記補強リング12bの一部で前記各間部分25、25に整合する部分に形成した透孔23、23を通じて、これら各間部分25、25の内側に、肉抜き凹部26、26を形成しているので、これら各間部分25、25に、引けと呼ばれる不具合が発生する事を、有効に防止できる。即ち、上記各肉抜き凹部26、26を形成して上記各間部分25、25の肉厚を小さく抑えているので、上述の様な引けが発生する事を防止して、引けに基づく形状の歪みを抑え、前記各ポケット8、8の内面と玉の転動面との摩擦状態を良好に保てる。
尚、本例の場合も、前述の実施の形態の第1例と同様に、補強リング12bの外径側及び内径側に合成樹脂が存在する為、保持器7cに振れ回りが生じても、この保持器7cに結合固定した上記補強リング12bが、外輪3の内周面や内輪5の外周面に接触する事を防止できる。又、本例の場合、上記保持器7cの外周面全体、即ち、主部9bの軸方向他端部から弾性片10a、10aの先端部までの外周面を、部分円すい面状の傾斜面18aとしている。この為、上述の実施の形態の第1例と同様に、高温環境下で高速運転した場合でも、この保持器7cの外周面の一部が外輪3の内周面と擦れ合う事を確実に防止できる。その他の構造及び作用は、上記第1例と同様である。
前述の図1、2に示した実施の形態の第1例の場合、補強リングの軸方向他面よりも保持器を構成する主部の合成樹脂部分を突出させて、この合成樹脂部分とシールリングの側面とが接触する構造としているが、前述の図5〜9に示した実施の形態の第2例の様に、ポケット隙間を規制して、補強リングとシールリングとの側面とが接触する事を防止する構造とする事もできる。又、上記図5〜9に示した第2例の構造で、補強リングの軸方向他面よりも主部の合成樹脂部分を突出させる構造とする事もできる。この場合、ポケット隙間を厳密に規制する必要がなくなる。
本発明の実施の形態の第1例を示す、保持器の部分斜視図。 図1のA−A拡大切断端面図。 補強リングを高速回転させた場合の変形を有限要素解析で求めた計算結果に基づいて描いた、保持器の斜視図。 図3の保持器の一部で、実線は変形前の状態を、破線は変形後の状態を、それぞれ示す部分拡大斜視図。 本発明の実施の形態の第2例を示す、保持器の部分斜視図。 この保持器に包埋する補強リングの部分斜視図。 図5の右上端部を切断してB矢印方向から見た部分拡大斜視図。 図7の下側から見た部分拡大斜視図。 図7の右側から見た部分拡大斜視図。 本発明の対象となる合成樹脂製冠型保持器を組み込んだラジアル玉軸受の断面図。 従来から知られている合成樹脂製冠型保持器の第1例を示す斜視図。 同じく第2例を示す部分斜視図。
符号の説明
1 玉軸受
2 外輪軌道
3 外輪
4 内輪軌道
5 内輪
6 玉
7、7a、7b、7c 保持器
8 ポケット
9、9a、9b 主部
10、10a 弾性片
11 凹面部
12、12a、12b 補強リング
13 通孔
14a、14b 鍔部
15 凹部
16a、16b 突部
17 面取り
18、18a 傾斜面
19 シールリング
20 平板部
21 内径側折れ曲がり部
22 外径側折れ曲がり部
23 透孔
24 通孔
25 間部分
26 肉抜き凹部
27 部分

Claims (7)

  1. 円環状の主部と、この主部の軸方向片面に円周方向に関して互いに間隔をあけ、軸方向に突出する状態で形成した複数の弾性片と、円周方向に隣り合う1対ずつの弾性片の互いに対向する面と上記主部の軸方向片面でこれら両弾性片により挟まれた部分とにより囲まれた部分であって、それぞれの内面を部分球面状の凹面とした複数のポケットとを備えたラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器に於いて、上記主部の軸方向他面に金属板製の補強リングを結合固定しており、上記主部の外周面のうちの少なくとも軸方向中間部乃至片端部と、上記各弾性片の外周面とを、軸方向片側に向かう程径方向内方に向かう方向に傾斜した傾斜面としている事を特徴とするラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器。
  2. 補強リングを主部に結合固定した状態で、少なくともこの補強リングの外径側部分と内径側部分とを、合成樹脂により覆っている、請求項1に記載したラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器。
  3. 保持器の主部の軸方向他面のうち、この軸方向他面に結合固定された補強リングから外れた部分に存在する合成樹脂部分を、この補強リングよりも軸方向他側に突出させている、請求項2に記載したラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器。
  4. 補強リングが、径方向中央部に配置され軸方向に対し直交する方向に存在する平板部と、内径寄り部分及び外径寄り部分に配置され、それぞれ軸方向片面側に折れ曲がった内径側折れ曲がり部及び外径側折れ曲がり部とを備えるものである、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載したラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器。
  5. 補強リングの一部で主部の軸方向に関して各ポケットと整合する部分、又は、隣り合うポケット同士の間部分に整合する部分に、それぞれ通孔が形成されている、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載したラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器。
  6. 内周面に外輪軌道を有する外輪と、外周面に内輪軌道を有する内輪と、これら外輪軌道と内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の玉と、これら各玉を保持する保持器とを備えたラジアル玉軸受に於いて、この保持器が請求項1〜5のうちの何れか1項に記載したラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器である事を特徴とするラジアル玉軸受。
  7. 外輪の両端部内周面と内輪の両端部外周面との間に設けられ、各玉が存在する空間と外部空間とを遮断するシールリングを備えており、このシールリングの側面と保持器の端面とが接触しない様に、これらシールリングの側面と保持器の端面との間隔と、この保持器のポケット内周面と上記各玉の転動面との隙間であるポケット隙間との関係を規制している、請求項6に記載したラジアル玉軸受。
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