JP2008111456A - ラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器及びラジアル玉軸受 - Google Patents

ラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器及びラジアル玉軸受 Download PDF

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賢治 今西
Masahito Matsui
雅人 松井
Takahiko Uchiyama
貴彦 内山
Kenichi Iso
賢一 磯
Taketoshi Chibu
剛敏 千布
Takiyoshi Yamada
滝義 山田
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Abstract

【課題】保持器7bに結合固定した補強リング12aが、外輪の内周面や内輪の外周面、更には、シールリングの側面に接触する事を防止できる構造を実現する。
【解決手段】上記補強リング12aを、合成樹脂製の主部9aの軸方向他面に形成した凹部17内に設ける。この凹部17は、内径側、外径側両部分の鍔部15a、15b同士の間に存在する。又、これら両鍔部15a、15bの先端部は、上記凹部17内に上記補強リング12aを配置した状態で、この補強リング12aよりも、軸方向他側に突出する。これにより、上記保持器7bに振れ回りが生じたり、この保持器7bが軸方向に変位しても、金属製の上記補強リング12aが、外輪の内周面や内輪の外周面、更には、シールリングの側面に接触する事を防止できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車用補機や工作機械等の各種回転機械装置の回転支持部を構成するラジアル玉軸受と、このラジアル玉軸受を構成する合成樹脂製冠型保持器の改良に関する。特に本発明は、高温環境下で高速運転した場合でも保持器の変形を抑えるべく、この保持器に補強リングを組み込んだ構造で、この補強リングの一部と、外輪の内周面や内輪の外周面、更にはシールリングの側面とが擦れ合う事を防止して、上記ラジアル玉軸受を組み込んだ回転機械装置の運転を安定した状態で行なわせる事を目的として発明したものである。
上述した様な各種回転機械装置の軸受部等、各種回転部分を支持する為のラジアル玉軸受として、例えば図15に示す様な玉軸受1が広く使用されている。この玉軸受1は、内周面に外輪軌道2を有する外輪3と、外周面に内輪軌道4を有する内輪5とを同心に配置し、これら外輪軌道2と内輪軌道4との間に複数個の玉6、6を転動自在に設けて成る。図示の例の場合、上記外輪軌道2と内輪軌道4とは、共に深溝型としている。又、上記複数個の玉6、6は、保持器7に設けたポケット8内に、転動自在に保持している。
この保持器7は、冠型保持器と呼ばれるもので、合成樹脂を射出成形する事により、図16に示す様に、全体を一体に造っている。この合成樹脂としては、一般的にはポリアミド66を、使用温度が160℃を越える様な場合には耐熱性に優れたポリアミド46を、それぞれガラス繊維等の補強材を含有させた状態で使用する。ポリフェニレンサルファイドを使用する場合もある。何れの材料を使用する場合でも、上記冠型の保持器7の場合、円環状の主部9の円周方向複数個所に、玉6、6(図15参照)を転動自在に保持するポケット8、8を設けている。この様な冠型の保持器7の場合、上記各ポケット8、8は、上記主部9の軸方向(図16の上下方向)片面(図16の上面)に互いに間隔をあけて配置された1対の弾性片10、10の片側面と、上記主部9の軸方向片面でこの1対の弾性片10、10の間部分に設けられた球面状の凹面部11、11とから構成する。この凹面部11、11の内面、及び、この凹面部11、11に連続する、上記各弾性片10、10の円周方向側面は、その曲率半径を上記玉6の転動面の曲率半径よりも僅かに大きくする事により、上記各玉6、6を転動自在に保持できる形状である、単一の曲率中心を有する、部分球面状の凹面としている。
玉軸受1を組み立てる場合には上記各玉6、6を、各ポケット8、8を構成する1対ずつの弾性片10、10の先端縁同士の間隔を弾性的に押し広げつつ、これら1対の弾性片10、10同士の間に押し込む。上記保持器7は、この様にして上記各ポケット8、8内に玉6、6を抱き込む事により、これら各玉6、6を、前記内輪軌道4と外輪軌道2(図15参照)との間に、転動自在に保持する。
この様な保持器7を備えた玉軸受1の使用時には、上記複数個の玉6、6の転動に伴って、上記外輪3と内輪5との相対回転を自在とする。この際、上記複数の玉6、6は、自転しつつ上記内輪5の周囲を公転する。又、上記保持器7は、上記玉6、6の公転速度と同じ速度で、上記内輪5の周囲を回転する。
近年、玉軸受1を組み込んだ各種回転機械装置の性能が向上し、外輪3と内輪5との相対回転速度、延ては保持器7の回転速度が高くなっている。この結果、この保持器7に加わる遠心力が大きくなり、この保持器7を構成する弾性片10、10の弾性変形量が無視できなくなる可能性が生じている。即ち、これら各弾性片10、10は、それぞれ円環状の主部9の軸方向片面に、片持ち式に支持されている。言い換えれば、上記各弾性片10、10は、先端部が他の部分に結合されずに変位可能な、自由端としている。
この結果、上記保持器7の回転速度が高くなり、上記遠心力が大きくなると、上記各弾性片10、10が、先端(図15の左端)が直径方向外側に変位する方向に弾性変形する。この弾性変形の際、上記各弾性片10、10だけでなく、上記主部9も、捩れる様に弾性変形する。そして、この様な弾性変形の結果、上記各弾性片10、10の先端部外周が、上記外輪3の一部内周面と干渉し(擦れ合い)、上記外輪3と内輪5との相対回転に要するトルクが増大する他、運転に伴って発生する熱に基づく温度上昇や異音が著しくなり、極端な場合には焼き付き等の故障の原因となる可能性がある。特に、上記回転機械装置が、自動車のエンジンルーム等、高温の条件下で使用されるもの(例えばオルタネータ等の補機)の場合には、上記保持器7の剛性が低下(保持器7を構成する合成樹脂が軟化)して、上記各弾性片10、10が弾性変形し易くなる。又、高温条件下では、遠心力による弾性変形以外にも、熱変形、クリープ変形が生じる可能性がある。この結果、上述の様な不都合が著しくなる可能性がある。
この様な不都合を解消する技術として、特許文献1、2に記載されたものが知られている。これら両特許文献に記載された従来技術では、図17に示す様に、合成樹脂製冠型の保持器7aを構成する主部9に、金属板製で円環状の補強リング12を結合固定している。この補強リング12の一部には通孔13、13が形成されており、上記主部9と上記補強リング12とは、上記保持器7aを射出成形する際に上記各通孔13、13内に進入して固化した合成樹脂により、不離に結合される。上記主部9の捩り剛性は、上記補強リング12の存在により高められるので、遠心力による変形や熱変形、クリープ変形等により各弾性片10、10の先端部が直径方向外方に変位する事が抑えられる。
但し、上述の図17に示した構造の場合、保持器7aの振れ回りや、軸方向変位等により、補強リング12が、外輪3の内周面や内輪5の外周面、更にはシールリング14(図15参照)の側面に接触する可能性がある。即ち、上記保持器7aに振れ回りが生じた場合には、この保持器7aの外周面若しくは内周面の一部が、上記外輪3の内周面若しくは内輪5の外周面の一部に接触する可能性がある。そして、この様な接触が繰り返されると、(前述の主部9の捩れによる弾性片10、10と外輪3の内周面との擦れ合いによる発熱量程ではないにしても)軸受内部の発熱量が増大する可能性がある。上記補強リング12が存在しない部分は、合成樹脂製である為、この部分が金属製の上記外輪3若しくは内輪5と接触しても、発熱量を抑えられる。これに対して、金属製の上記補強リング12が上記外輪3若しくは内輪5と接触した場合には、発熱量が増大し易くなる。そして、発熱量の増大により軸受内部の温度が上昇した場合には、グリースの劣化や、前述した様な保持器の変形が生じ易くなる。
又、上記保持器7aを構成する各ポケット8、8の内周面と、これら各ポケット8、8に保持される各玉6、6の転動面との間のポケット隙間が大きい場合には、上述した様な、保持器7aの振れ回りが生じ易くなる事に加えて、この保持器7aが軸方向に変位したり傾斜したりする可能性を生じる。そして、この保持器7aの軸方向の変位や傾斜が大きい場合には、この保持器7aの端面が、シールリング14の側面に接触する可能性を生じる。このシールリング14は、図15の構造の場合、外周縁部を外輪3の両端部内周面に係止した金属製の円輪板の内周縁部を、内輪5の両端外周面に近接させた非接触式のものである。この為、上記保持器7aの軸方向変位或は傾斜により、この保持器7aの端面に結合された上記補強リング12と上記シールリング14の側面とが接触した場合、金属同士の接触となり、やはり、発熱量が増大する可能性があり、上述した様な問題が生じ得る。尚、弾性材を金属製の芯金により補強した構造を有するシールリングも従来から知られているが、この場合にも、芯金と上記補強リング12とが接触して、発熱量が著しくなる可能性がある。
特開平8−145061号公報 特開2000−161365号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、保持器に結合固定した補強リングが、外輪の内周面や内輪の外周面、更には、シールリングの側面に接触する事を防止できる合成樹脂製冠型保持器と、この保持器を組み込んだラジアル玉軸受とを実現すべく発明したものである。
本発明のラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器及びラジアル玉軸受のうち、請求項1に記載したラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器は、円環状の主部と、複数の弾性片と、複数のポケットと、補強リングとを備える。
このうちの各弾性片は、上記主部の軸方向片面に円周方向に関して互いに間隔をあけ、軸方向に突出する状態で形成している。
又、上記各ポケットは、円周方向に隣り合う1対ずつの弾性片の互いに対向する面と上記主部の軸方向片面でこれら両弾性片により挟まれた部分とにより囲まれた部分であって、それぞれの内面を部分球面状の凹面としている。
更に、上記補強リングは、炭素鋼板、ステンレス鋼板等の、十分な強度及び剛性を有する金属板製で、上記主部の軸方向他面に結合固定されている。
特に、請求項1に記載したラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器に於いては、上記補強リングを上記主部に結合固定した状態で、少なくともこの補強リングの外径側部分と内径側部分とのうちの少なくとも一方の部分を、合成樹脂により覆っている。
又、上述の請求項1に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した様に、保持器の主部の軸方向他面のうち、この軸方向他面に結合固定された補強リングから外れた部分に存在する合成樹脂部分を、この補強リングよりも軸方向他側に突出させる。
又、上述の請求項1、2に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項3に記載した様に、補強リングとして、径方向中央部に配置され軸方向に対し直交する方向に存在する平板部と、内径寄り部分と外径寄り部分とに配置され、それぞれ軸方向片面側に折れ曲がった内径側折れ曲がり部と外径側折れ曲がり部とを備えるものを使用する。
又、上述の請求項1、2に記載した発明を実施する場合、請求項4に記載した様に、補強リングの少なくとも軸方向片面を、軸方向に起伏した凹凸を円周方向に関して交互に連続させた波型としても良い。尚、この様な構造の場合でも、補強リングの径方向中央部を、少なくとも軸方向片面が波型を有する形状とし、内径寄り部分及び外径寄り部分を、それぞれ軸方向片面側に折れ曲がった内径側折れ曲がり部と外径側折れ曲がり部とする事もできる。
又、上記請求項4に記載した発明を実施する場合、請求項5に記載した様に、補強リングを、金属板を、円周方向に関して隣り合う部分を軸方向に関して互いに逆方向に曲げ形成して、波形に構成しても良い。この場合に、請求項6に記載した様に、補強リングの軸方向他面のうちの軸方向片側に凹んだ部分にも合成樹脂を存在させ、この部分に存在する合成樹脂と上記補強リングの外径側部分及び内径側部分に存在する合成樹脂とを連続させる事が好ましい。又、この場合に、保持器の主部の軸方向他面のうち、径方向に関して上記補強リングが存在する部分が平面となる様にしても良い。
更に好ましくは、請求項7に記載した様に、補強リングの一部で主部の軸方向に関して、各ポケットと整合する部分、又は、隣り合うポケット同士の間部分に整合する部分に、それぞれ通孔を形成する。
又、請求項8に記載した本発明のラジアル玉軸受は、内周面に外輪軌道を有する外輪と、外周面に内輪軌道を有する内輪と、これら外輪軌道と内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の玉と、これら各玉を保持する保持器とを備える。
特に、請求項8に記載したラジアル玉軸受に於いては、上記保持器が、上述した本発明のラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器である。
更に、上述の請求項8に記載したラジアル玉軸受が、請求項9に記載した様に、外輪の両端部内周面と内輪の両端部外周面との間に設けられ、各玉が存在する空間と外部空間とを遮断するシールリングを備えるものである場合、このシールリングの側面と保持器の端面とが接触しない様に、これらシールリングの側面と保持器の端面との間隔と、この保持器のポケット内周面と上記各玉の転動面との隙間であるポケット隙間との関係を規制する事もできる。
上述の様に構成する本発明のラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器及びラジアル玉軸受のうち、請求項1に記載したラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器によれば、補強リングを保持器の主部に結合固定した状態で、この補強リングの外径側部分と内径側部分とのうちの少なくとも一方の部分を、合成樹脂により覆っている為、この補強リングの外径側部分或は内径側部分が、相手面と直接接触する事を防止できる。この為、請求項8に記載した様に、この様な保持器をラジアル玉軸受に組み込んだ場合に、この保持器に振れ回りが生じても、この保持器に結合固定した補強リングが、外輪の内周面や内輪の外周面に接触する事を防止できる。この結果、ラジアル玉軸受の軸受内部の発熱量が増大する事を防止できる。そして、グリースの劣化や、熱により保持器が変形し易くなる事を防止できる。
又、請求項2に記載した様に、保持器の主部の軸方向他面のうち、補強リングから外れた部分に存在する合成樹脂部分を、この補強リングよりも軸方向他側に突出させれば、この補強リングの軸方向他側に存在する相手部材とこの補強リングとが、直接接触する事を防止できる。この為、上記保持器を、シールリングを有するラジアル玉軸受に組み込んだ場合に、この保持器が軸方向に変位したり、傾斜しても、上記補強リングが上記シーリングと直接接触する事を防止できる。尚、この様に、補強リングとシールリングとの接触を防止する為に、請求項9に記載した様に、シールリングの側面と保持器の端面との間隔と、この保持器のポケット内周面と上記各玉の転動面との隙間であるポケット隙間との関係を規制しても良い。この場合には、合成樹脂部分を上記補強リングよりも軸方向他側に突出させる必要はない。
又、請求項3に記載した発明によれば、前述した特許文献1、2に記載されている構造よりも、保持器の捩り剛性を向上させる事ができる。そして、運転に伴って加わる遠心力や振動に基づく変形を、より生じにくくでき、この保持器を組み込んだラジアル玉軸受の小型化や高速運転を図る面から、より有利になる。
即ち、上記請求項3に記載したラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器で、主部の軸方向他面に結合固定された補強リングは、平板部の径方向両側に、内径側、外径側両折れ曲がり部を形成している。この様な両折れ曲がり部を備えた(断面形状が屈曲している)補強リングの断面係数は、前述の図17に示した従来構造の様な、単なる平板状の補強リングの断面係数よりも大きく、捩り剛性が大きい。この為、温度上昇に伴って軟化した各弾性片の先端部が径方向外方に変位する傾向になり、これに伴って主部が捻れる方向に変形する傾向になっても、上記補強リングがこの主部の変形を十分に抑える。
又、上記補強リングの内径側、外径側両折れ曲がり部の折れ曲がり方向は、各ポケットの内面の湾曲方向と一致している。従って、上記補強リングの剛性を確保すべく、この補強リングを構成する金属板の厚さ寸法を確保しても、この補強リングの一部が上記各ポケットの内面の一部に露出する事がない。この事は、この主部の軸方向に関する厚さ寸法の増大を抑えてラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器の大型化を防止しつつ、上記補強リングの剛性向上を図る面から有利である。逆に言えば、必要とする剛性が同じであれば、この補強リングを構成する金属板の厚さ寸法の低減により、この補強リングを結合固定したラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器の小型・軽量化を図れる。
又、請求項4に記載した発明によれば、保持器の主部と結合する面である、補強リングの軸方向片面を波型としている為、これら主部と補強リングとの接触面積を増大させる事ができ、これら主部と補強リングとの密着性を向上させる事ができる。尚、この様な構造の場合でも、上述した様な内径側折れ曲がり部及び外径側折れ曲がり部を形成して、捩り剛性をより向上させる事もできる。
又、上述の様な補強リングとして、請求項5に記載した様に、金属板を、円周方向に関して隣り合う部分を軸方向に関して互いに逆方向に折り曲げる事により形成したものを使用すれば、補強リングの肉厚を一定にして、密着性の向上と補強リングの軽量化とを両立させられる。即ち、補強リングの軸方向片面のみが波型で軸方向他面が平面である場合、肉厚が大きくなる部分が存在して、補強リングの重量が嵩む。これに対して、上記請求項5に記載した発明の場合、金属板を折り曲げる事により形成している為、補強リングの重量が嵩む事を防止できる。
又、この場合に、請求項6に記載した様に、補強リングの軸方向他面のうちの軸方向片側に凹んだ部分にも合成樹脂を存在させ、この部分に存在する合成樹脂と上記補強リングの外径側部分と内径側部分とに存在する合成樹脂とを連続させれば、保持器の主部と補強リングとの結合力をより高める事ができ、長期間に亙る厳しい使用条件の下でも、この補強リングが、上記主部から分離する事を防止できる。
又、請求項7に記載した様に、上記補強リングの一部で主部の軸方向に関して各ポケットと整合する部分に、それぞれ通孔を形成すれば、この補強リングの存在に拘らず、上記主部のうちで、軸方向に関する厚さ寸法が最も小さくなった部分に、合成樹脂をまんべんなく行き渡らせる事ができる。そして、この部分に、欠損等の不具合が発生する事を、有効に防止できる。尚、上記主部のうちの上記各ポケット部分の厚さ寸法を確保でき、合成樹脂を十分に行き渡らせる事ができる場合には、上記通孔を、隣り合うポケット同士の間部分に整合する部分に形成しても良い。この場合、これら各ポケット部分の剛性を確保できる。
即ち、補強リングのうち、上記通孔を形成した部分の剛性は低下する。従って、上記各ポケット部分の剛性を高くしたい場合には、これら各ポケットと整合する部分に通孔を形成する事は好ましくない。一方、上記通孔は、補強リングと主部との結合強度を高める点からは、形成した方が好ましい。従って、上記各ポケット部分の剛性が要求される場合には、隣り合うポケット同士の間部分に整合する部分に、上記通孔を形成する。
[実施の形態の第1例]
図1〜5は、請求項1、2、8に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例の特徴は、玉軸受1(図15参照)に保持器7bを組み込んだ場合に、この保持器7bに振れ回りが生じたり、この保持器7bが軸方向変位或は傾斜しても、この保持器7bに結合固定した補強リング12aが、上記玉軸受1を構成する外輪3の内周面、或は、内輪5の外周面、更には、シールリング14、14(図15参照)の側面に直接接触する事を防止する点にある。その他の部分の構成及び作用は、前述の図15〜16に示した従来構造の場合と同様であるから、同等部分に関する説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の場合、上記保持器7bを構成する主部9aの軸方向他面(図1〜3、5の下面)に、合成樹脂よりも剛性の高い金属板製の補強材である、炭素鋼板(例えばSPCC)、ステンレス鋼板等の金属製の、上記補強リング12aを結合固定している。特に、本例の場合には、上記主部9aの軸方向他面の内径側及び外径側部分のそれぞれに、軸方向他方(図1〜3、5の下方)に突出する鍔部15a、15bを、全周に亙って形成している。そして、上記主部9aの軸方向他面に全周に亙って連続する円環状の凹部17を設けている。又、上記両鍔部15a、15bの先端部には、互いに近づく方向に突出した突部16a、16bを、それぞれ全周に亙って、或は、円周方向複数個所に間欠的に形成している。従って、上記凹部17は、開口部の幅が狭く、奥部の幅が広くなった、あり溝状である。
上記補強リング12aは上記凹部17内に配置されている。この凹部17を構成する、上記両鍔部15a、15bの内側面同士の自由状態での間隔は、上記補強リング12aの径方向の幅よりも僅かに小さい。又、上記凹部17の底面と上記突部16a、16bの内面との自由状態での間隔は、上記補強リング12aの厚さよりも僅かに小さい。従って、上記凹部17内に配置される上記補強リング12aは、上記両鍔部15a、15bに弾性的に挟持されると共に、上記突部16a、16bと上記凹部17の底面との間でも弾性的に挟持される。この結果、上記補強リング12aがこの凹部17内から不用意に脱落する事を防止できる。この補強リング12aをこの凹部17内に配置する際には、上記突部16a、16b及び上記両鍔部15a、15bを弾性的に押し広げて、上記補強リング12aをこの凹部17内に押し込む。
本例の場合、上述の様に、凹部17内に補強リング12aを組み込んだ状態で、この補強リング12aの外径側部分と内径側部分とが、合成樹脂製の鍔部15a、15bにより、それぞれ覆われる。又、保持器7bの主部9aの軸方向他面のうち、この補強リング12aから外れた部分に存在する合成樹脂部分である、上記両鍔部15a、15bの先端部が、この補強リング12aよりも軸方向他側に突出する。図示の例の場合、上記補強リング12aの軸方向他面よりも、上記突部16a、16bを含む上記両鍔部15a、15bの先端部が、軸方向他側に突出している。
尚、上述の補強リングとして、例えば、図4に示す様な形状のものが挙げられる。即ち、図4(A)に示す様な円輪状の補強リング12b、図4(B)に示す様な、複数(図示の例では4個)の部分円輪状の部材を組み合わせた補強リング12c、図4(C)に示す様な欠円輪状の補強リング12dが挙げられる。この様な補強リング12b〜12dは、図5(A)〜(C)に示す様に、主部9aに組み込む。尚、図5では、主部9aの軸方向片面(図5の上面)に形成されるポケットを省略して示している。
上述の様に構成する本例の場合、補強リング12a(12b〜12dも同様)を、保持器7bの主部9aに結合固定した状態で、この補強リング12aの外径側部分と内径側部分とが、合成樹脂部分である鍔部15a、15bにより覆われる。この為、本例の保持器7bを、例えば、前述の図15に示した様な玉軸受1に組み込んだ場合に、この保持器7bに振れ回りが生じても、この保持器7bに結合固定した上記補強リング12aが、外輪3の内周面や内輪5の外周面に接触する事を防止できる。尚、合成樹脂部分である鍔部15a、15bは、少なくとも一方を省略しても良い。即ち、保持器7bが、外周面を外輪3の内周面に近接させる外輪案内の場合には、内径側に存在する鍔部15aを省略しても良い。又、保持器7bが、内周面を内輪5の外周面に近接させる内輪案内の場合には、外径側に存在する鍔部15bを省略しても良い。この様に一方の鍔部を省略する場合、補強リング12aは、保持器7bの射出成形時にインサートする事により結合する。
又、本例の場合、上記保持器7bの主部9aの軸方向他面のうち、上記補強リング12aから外れた部分に存在する合成樹脂部分である、前記両鍔部15a、15bを、上記補強リング12aよりも軸方向他側に突出させている。この為、上記保持器7bを、上記図14に示した様な、シールリング14、14を有する玉軸受1に組み込んだ場合に、上記保持器7bが軸方向に変位したり、傾斜しても、上記補強リング12aが上記シーリング14、14の側面と直接接触する事を防止できる。又、本例の場合、上記補強リング12aを前記主部9aの凹部17内に押し込む事により配置している為、この補強リング12aを組み込む作業を容易に行なえる。
本例の場合、上述の様に、保持器7bの軸方向他面に結合固定した補強リング12aが、外輪3の内周面や内輪5の外周面、更にはシーリング14、14の側面と接触する事を防止できる為、玉軸受1の軸受内部の発熱量が増大する事を防止できる。そして、軸受内部の温度上昇を抑えて、グリースの劣化や、熱により保持器が変形し易くなる事を防止できる。又、グリースの劣化を防止できれば、軸受寿命の低下を防止できる。
[実施の形態の第2例]
図6、7は、請求項1、2、7、8に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合、上述の第1例と異なり、保持器7cの主部9bの軸方向他面(図6、7の下面)の内径側及び外径側部分にそれぞれ形成した鍔部15a、15bの先端部に、互いに近づく方向に突出する突部を形成していない。この為、本例の場合、補強リング12eは、上記保持器7cを射出成形する際、成形型内にこの補強リング12eをインサートする事によって、上記主部9bの軸方向他面に結合固定している。
又、本例の場合、上記補強リング12eの円周方向複数個所で、上記主部9bの軸方向(図6、7の上下方向)に関して各ポケット8、8と整合する部分に、通孔18、18を形成している。そして、射出成形時に、上記主部9bを構成する合成樹脂の一部を、これら各通孔18、18内に進入させて固化させている。これにより、上記主部9bと上記補強リング12eとを強固に結合している。又、この補強リング12eの存在に拘らず、上記主部9bのうちで、軸方向に関する厚さ寸法が最も小さくなった部分25、25に、合成樹脂をまんべんなく行き渡らせる事ができる。そして、これら各部分25、25に、欠損等の不具合が発生する事を、有効に防止できる。即ち、これら各部分25、25は、元々厚さ寸法が小さいところに上記補強リング12eが設置される為、そのままでは合成樹脂が行き渡りにくくなる。これに対して本例の場合には、上記各通孔18、18を形成する事により、これら各通孔18、18を通じて流通可能となり、上記各部分25、25に合成樹脂を、まんべんなく行き渡らせる事ができる。尚、この場合、金型の上記各通孔18、18と整合する部分に凹部を設ける等して、これら各通孔18、18内に、溶融した合成樹脂が進入し易くする事が好ましい。そして、合成樹脂の固化後は、これら各通孔18、18から突出している部分を切除する。その他の構造及び作用は、上述の実施の形態の第1例と同様である。
[実施の形態の第3例]
図8〜12は、請求項1、3、7〜9に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、保持器7dを構成する主部9cの軸方向他面(図8、10、12の下面)に、補強リング12fを結合固定している。この補強リング12fは、全体を円輪状に形成しており、断面形状を山形としている。即ち、この補強リング12fの径方向中央部を、軸方向に対し直交する方向に存在する平板部19としている。又、内径寄り部分を、上記主部9cの軸方向片面側(図8〜10、12の上面)、即ち、この主部9cに結合固定した状態で各ポケット8、8が存在する側に折れ曲がった、内径側折れ曲がり部20としている。更に、外径寄り部分を、上記軸方向片面側に折れ曲がった、外径側折れ曲がり部21としている。又、上記平板部19の円周方向複数個所には、円周方向に長い透孔22、22と円形の通孔18、18とを、円周方向に関して交互に、それぞれポケット8、8と同じピッチで形成している。
上述の様な補強リング12fは、上記保持器7dを射出成形する際、成形型内にこの補強リング12fをセットしておくインサート成形をする事によって、上記主部9cの軸方向他面に結合固定されている。即ち、射出成形時に上記補強リング12fを、射出成形用の金型のキャビティ内の所定位置にセットしておく。この所定位置とは、軸方向に関しては、上記主部9cを形成すべき位置であり、円周方向に関しては、上記各透孔22、22が各弾性片10、10の基部を含む円周方向に隣り合うポケット8、8同士の間部分23、23に、上記各通孔18、18が上記各ポケット8、8と整合する部分で上記主部9cの軸方向の厚さ寸法が最も小さくなっている部分に、それぞれ整合する位置である。更に、射出成形時には、上記各透孔22、22に、何れかの金型から上記キャビティ内に突出した中子突起を挿通しておく。
上述の様に、上記キャビティ内に上記補強リング12fをセットした状態で、このキャビティ内に溶融した合成樹脂を送り込めば、上記保持器7dが射出成形されると同時に、この保持器7dを構成する上記主部9cの軸方向他面に、上記補強リング12fが結合固定される。この状態で、この補強リング12fを構成する、前記内径側折れ曲がり部20及び外径側折れ曲がり部21が、それぞれ上記主部9c内に包埋される。従って、この内径側折れ曲がり部20の内径側、及び、上記外径側折れ曲がり部21の外径側には、それぞれ上記主部9cを構成する合成樹脂が存在する。又、上記各間部分23、23のうちで上記各透孔22、22に整合する部分には、(上記中子突起に基づく)肉抜き凹部24、24が形成される。この様にして得られた保持器7dは、上記合成樹脂が冷却固化後に金型を開いて取り出した後、前述の図15に示す様に、ラジアル玉軸受に組み込む。
本例の場合、玉軸受1(図15参照)に保持器7dを組み込んだ場合に、シールリング14(図15の右側のシールリング14)の側面とこの保持器7dの端面(即ち、補強リング12fの軸方向他面)とが接触しない様に、これらシールリング14の側面と保持器7dの端面との間隔と、この保持器7dのポケット8、8の内周面と各玉6、6(図15参照)の転動面との隙間であるポケット隙間との関係を規制している。具体的には、上記保持器7dがこのポケット隙間分軸方向に移動した場合、或は、このポケット隙間に基づいて傾斜した場合でも、上記保持器7dの端面と上記シールリング14の側面とが接触しない様に、上記ポケット隙間を小さくする。又、このポケット隙間は、上記各玉6、6の転動面と上記各ポケット8、8の内周面との間にグリースが存在できる分を確保する。従って、上記ポケット隙間は、上記保持器7dの端面と上記シールリング14の側面との間隔と、この保持器7dが軸方向に変位する量或は傾斜角度とを考慮すると共に、上記グリースを存在させる事ができる隙間を確保する点とを考慮して定める。
上述の様に構成する本例の場合、保持器7dを構成する合成樹脂製の主部9cに結合固定する上記補強リング12fの断面係数は、断面形状が屈曲している事に伴って大きく、捩り剛性が大きい。この為、温度上昇に伴って軟化した上記各弾性片10、10の先端部が、高速運転に伴って加わる遠心力により径方向外方に変位する傾向になり、これに伴って上記主部9cが捻れ方向に変形する傾向になっても、上記補強リング12fがこの主部9cの変形を十分に抑える。この為、上記各弾性片10、10の先端縁が外輪3(図15参照)の一部内周面と擦れ合う事を、より確実に防止できる。この結果、この外輪3と内輪5(図15参照)との相対回転に要するトルクが増大したり、運転に伴って発生する熱に基づく温度上昇や異音が著しくなる事を防止できる。
又、本例の場合、上記保持器7dを前記玉軸受1に組み込んだ状態で、前記シールリング14の側面とこの保持器7dの端面との間隔と、この保持器7dのポケット隙間との関係を、前述した様に規制している為、この保持器7dの端面が、上記シールリング14の側面と擦れ合う事も防止できる。即ち、本例の場合、上述した様に、保持器7dの端面には、補強リング12fが存在し、この補強リング12fの平板部19の軸方向他面が露出している。又、前述の第1、2例の様に、主部9cの合成樹脂部分を補強リング12fよりも軸方向他側に突出させていない。この為、本例の場合には、前述の第1、2例で、合成樹脂部分である鍔部15a、15bを補強リング12a〜12eの軸方向他面よりも突出させる代わりに、上記シールリング14の側面と保持器7dの端面との間隔と、この保持器7dのポケット隙間との関係を規制している。これにより、この保持器7dの端面に結合固定した補強リング12fの一部が、上記シールリング14の側面と接触する事を防止している。
又、上記補強リング12fの内径側、外径側両折れ曲がり部20、21の折れ曲がり方向は、前記各ポケット8、8の内面の湾曲方向と一致している。従って、前記平板部19に対する上記両折れ曲がり部20、21の折れ曲がり角度を適正に規制すれば、上記補強リング12fの剛性を確保すべく、この補強リング12fを構成する金属板の厚さ寸法を確保しても(厚くしても)、この補強リング12fの一部が上記各ポケット8、8の内面の一部に露出する事がない。この事は、前記主部9cの軸方向に関する厚さ寸法の増大を抑えて前記保持器7dの大型化を防止しつつ、上記補強リング12fの剛性向上を図る面から有利である。逆に言えば、必要とする剛性が同じであれば、この補強リング12fを構成する金属板の厚さ寸法の低減により、この補強リング12fを結合固定した上記保持器7bの小型・軽量化を図れる。尚、本例の場合、上記補強リング12fの内径側、外径側両折れ曲がり部20、21が、合成樹脂製の上記主部9cの内部に包埋されている為、長期間に亙る厳しい使用条件の下でも、この主部9cから分離する事はなく、上記作用・効果は、長期間に亙り安定して得られる。
又、本例の場合には、上記補強リング12fの一部で上記主部9cの軸方向に関して上記各ポケット8、8と整合する部分に、前記各通孔18、18を形成しているので、上記補強リング12fの存在に拘らず、上記主部9cのうちで、軸方向に関する厚さ寸法が最も小さくなった部分25、25に、合成樹脂をまんべんなく行き渡らせる事ができる。そして、これら各部分25、25に、欠損等の不具合が発生する事を、有効に防止できる。
更に、本例の場合には、上記補強リング12fの一部で前記各間部分23、23に整合する部分に形成した透孔22、22を通じて、これら各間部分23、23の内側に、肉抜き凹部24、24を形成しているので、これら各間部分23、23に、引けと呼ばれる不具合が発生する事を、有効に防止できる。即ち、上記各肉抜き凹部24、24を形成して上記各間部分23、23の肉厚を小さく抑えているので、上述の様な引けが発生する事を防止して、引けに基づく形状の歪みを抑え、前記各ポケット8、8の内面と玉の転動面との摩擦状態を良好に保てる。
尚、本例の場合も、前述の実施の形態の第1、2例と同様に、補強リング12fの外径側及び内径側に合成樹脂が存在する為、保持器7dに振れ回りが生じても、この保持器7dに結合固定した上記補強リング12fが、外輪3の内周面や内輪5の外周面に接触する事を防止できる。その他の構造及び作用は、上記第1、2例と同様である。
[実施の形態の第4例]
図13は、請求項1、2、4〜6、8に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合、補強リング12gを、金属板を、円周方向に関して隣り合う部分を軸方向(図13の上下方向)に関して互いに逆方向に、それぞれ円弧状に曲げ形成して、上記補強リング12gの軸方向両面を、軸方向に起伏した凹凸を円周方向に関して交互に連続させた、波型形状としている。そして、この様な、補強リング12gを保持器7eの主部9dの軸方向他面(図13の下面)に結合固定している。
本例の場合、前述の実施の形態の第2例及び上述の第3例と同様に、射出成形の際に、金型内に上記補強リング12gをセットしておいてインサート成形する事により、この補強リング12gを上記主部9dの軸方向他面に結合固定している。そして、この主部9dの軸方向他面の内径側及び外径側部分で、上記補強リング12gを径方向両側から挟む位置には、前述の図6、7に示した上記第2例の構造と同様に、それぞれ鍔部15a、15bを形成している。これら両鍔部15a、15bの先端部は、上記補強リング12gの軸方向他面のうち、最も軸方向他側に突出している部分よりも、軸方向他方に突出させている。
又、本例の場合、上記補強リング12gの軸方向他面のうちの軸方向片側(図13の上側)に凹んだ部分、即ち、この軸方向他面に存在する複数の凹部26、26と凸部27、27とのうちの凹部26、26にも合成樹脂を存在させる。又、これら各凹部26、26内の合成樹脂と、上記補強リング12gの外径側部分及び内径側部分に存在する、上記両鍔部15a、15bとを連続させている。即ち、保持器7eを構成する合成樹脂を射出成形する際に、合成樹脂の一部を、上記両鍔部15a、15bが形成される部分を通じて、上記補強リング12gの軸方向他面のうちの上記各凹部26、26にも行き渡らせる。この結果、これら各凹部26、26内に、上記両鍔部15a、15bと連続した合成樹脂を存在させられる。尚、本例の場合、この様に合成樹脂を各凹部26、26内に行き渡らせて、保持器7eの主部9dの軸方向他面のうち、径方向に関して補強リング12gが存在する部分が平面となる様にしている。即ち、この補強リング12gの軸方向他面のうちの凸部27、27の頂点と、上記各凹部26、26内に存在する合成樹脂部分とが面一となる様にしている。
上述の様に構成する本例の場合には、上記保持器7eの主部9dと結合する面である、上記補強リング12gの軸方向片面が波型である為、これら主部9dと補強リング12gとの接触面積を増大させる事ができ、これら主部9dと補強リング12gとの密着性を向上させる事ができる。又、上記補強リング12gとして、金属板を、円周方向に関して隣り合う部分を軸方向に関して互いに逆方向に折り曲げる事により形成したものを使用している為、上記補強リング12gの肉厚を一定にして、密着性の向上とこの補強リング12gの軽量化とを両立させられる。更に、本例の場合、上記補強リング12gの軸方向他面のうちの各凹部26、26内にも合成樹脂を存在させ、これら各凹部26、26内の合成樹脂と前記鍔部15a、15bとを連続させている為、上記主部9dと補強リング12gとの結合力をより高める事ができる。そして、長期間に亙る厳しい使用条件の下でも、上記補強リング12gが、上記主部9dから分離する事を防止できる。その他の構造及び作用は、前述の実施の形態の第2例と同様である。
前述の図1〜7及び上述の図13に示した実施の形態の第1、2、4例の場合、補強リングの軸方向他面よりも保持器を構成する主部の合成樹脂部分を突出させて、この合成樹脂部分とシールリングの側面とが接触する構造としているが、前述の図8〜12に示した実施の形態の第3例の様に、ポケット隙間を規制して、補強リングとシールリングとの側面とが接触する事を防止する構造とする事もできる。又、上記図8〜12に示した第3例の構造で、補強リングの軸方向他面よりも主部の合成樹脂部分を突出させる構造とする事もできる。この場合、ポケット隙間を厳密に規制する必要がなくなる。又、図14(A)(B)に示す様に、前述の図2に示した、実施の形態の第1例の構造で、鍔部15a、15bの先端部にそれぞれ設けた突部16a、16bのうち、少なくとも一方を省略しても良い。この場合、補強リング12aの脱落防止の為、保持器7f、7gを射出成形する際に、この補強リング12aをインサートする事により、この補強リング12aと主部9e、9fとを結合する事が好ましい。
本発明の実施の形態の第1例を示す、保持器の部分斜視図。 図1のA−A拡大切断端面図。 同じく、補強リングを取り外して示す部分斜視図。 補強リングの3例を示す斜視図。 これら補強リングを組み込んだ保持器の3例を、ポケットを省略して示す部分切断斜視図。 本発明の実施の形態の第2例を示す、保持器の部分斜視図。 図6のB−B拡大切断端面図。 本発明の実施の形態の第3例を示す、保持器の部分斜視図。 この保持器に包埋する補強リングの部分斜視図。 図8の右上端部を切断してC矢印方向から見た部分拡大斜視図。 図10の下側から見た部分拡大斜視図。 図10の右側から見た部分拡大斜視図。 本発明の実施の形態の第4例を示す、保持器の部分斜視図。 本発明の実施の形態の別の2例を示す、図2の下半部に相当する図。 本発明の対象となる合成樹脂製冠型保持器を組み込んだラジアル玉軸受の断面図。 従来から知られている合成樹脂製冠型保持器の第1例を示す斜視図。 同じく第2例を示す部分斜視図。
符号の説明
1 玉軸受
2 外輪軌道
3 外輪
4 内輪軌道
5 内輪
6 玉
7、7a、7b、7c、7d、7e、7f、7g 保持器
8 ポケット
9、9a、9b、9c、9d、9e、9f 主部
10 弾性片
11 凹面部
12、12a、12b、12c、12d、12e、12f、12g 補強リング
13 通孔
14 シールリング
15a、15b 鍔部
16a、16b 突部
17 凹部
18 通孔
19 平板部
20 内径側折れ曲がり部
21 外径側折れ曲がり部
22 透孔
23 間部分
24 肉抜き凹部
25 部分
26 凹部
27 凸部

Claims (9)

  1. 円環状の主部と、この主部の軸方向片面に円周方向に関して互いに間隔をあけ、軸方向に突出する状態で形成した複数の弾性片と、円周方向に隣り合う1対ずつの弾性片の互いに対向する面と上記主部の軸方向片面でこれら両弾性片により挟まれた部分とにより囲まれた部分であって、それぞれの内面を部分球面状の凹面とした複数のポケットと、上記主部の軸方向他面に結合固定された金属板製の補強リングとを備えたラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器に於いて、この補強リングを上記主部に結合固定した状態で、少なくともこの補強リングの外径側部分と内径側部分とのうちの少なくとも一方の部分を、合成樹脂により覆っている事を特徴とするラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器。
  2. 保持器の主部の軸方向他面のうち、この軸方向他面に結合固定された補強リングから外れた部分に存在する合成樹脂部分を、この補強リングよりも軸方向他側に突出させている、請求項1に記載したラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器。
  3. 補強リングが、径方向中央部に配置され軸方向に対し直交する方向に存在する平板部と、内径寄り部分及び外径寄り部分に配置され、それぞれ軸方向片面側に折れ曲がった内径側折れ曲がり部及び外径側折れ曲がり部とを備えるものである、請求項1又は請求項2に記載したラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器。
  4. 補強リングの少なくとも軸方向片面を、軸方向に起伏した凹凸を円周方向に関して交互に連続させた波型としている、請求項1又は請求項2に記載したラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器。
  5. 補強リングが、金属板を、円周方向に関して隣り合う部分を軸方向に関して互いに逆方向に曲げ形成して波形に構成されている、請求項4に記載したラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器。
  6. 補強リングの軸方向他面のうちの軸方向片側に凹んだ部分にも合成樹脂を存在させ、この部分に存在する合成樹脂と、上記補強リングの外径側部分及び内径側部分に存在する合成樹脂とを連続させた、請求項5に記載したラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器。
  7. 補強リングの一部で主部の軸方向に関して各ポケットと整合する部分、又は、隣り合うポケット同士の間部分に整合する部分に、それぞれ通孔が形成されている、請求項1〜6のうちの何れか1項に記載したラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器。
  8. 内周面に外輪軌道を有する外輪と、外周面に内輪軌道を有する内輪と、これら外輪軌道と内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の玉と、これら各玉を保持する保持器とを備えたラジアル玉軸受に於いて、この保持器が請求項1〜7のうちの何れか1項に記載したラジアル玉軸受用合成樹脂製冠型保持器である事を特徴とするラジアル玉軸受。
  9. 外輪の両端部内周面と内輪の両端部外周面との間に設けられ、各玉が存在する空間と外部空間とを遮断するシールリングを備えており、このシールリングの側面と保持器の端面とが接触しない様に、これらシールリングの側面と保持器の端面との間隔と、この保持器のポケット内周面と上記各玉の転動面との隙間であるポケット隙間との関係を規制している、請求項8に記載したラジアル玉軸受。
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