JP2008127525A - 水性塗料用改質材及び改質された水性塗料 - Google Patents
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Abstract
【課題】被添加水系塗料の最低造膜温度(MFT)を飛躍的に低下させることで、造膜助剤の使用量を劇的に減少でき、かつ耐候性能を向上させる水性塗料用改質材の提供。
【解決手段】下記一般式(I)(R1は水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基、Xは酸素原子又はイミノ基、Yは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基又はアルコキシル基、Zは水素原子又はシアノ基)で表される、分子内にピペリジル基を持つエチレン性不飽和単量体(a)6〜50質量部と、分子内にラジカル重合可能な不飽和二重結合を持つエチレン性不飽和単量体(b)50〜94質量部(ただし、単量体(a)及び(b)の合計は100質量部)を乳化重合することで得られ、最低造膜温度(MFT)が5℃以下であるエマルション(A)を含有する水性塗料用耐候性向上材。
【選択図】なし
【解決手段】下記一般式(I)(R1は水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基、Xは酸素原子又はイミノ基、Yは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基又はアルコキシル基、Zは水素原子又はシアノ基)で表される、分子内にピペリジル基を持つエチレン性不飽和単量体(a)6〜50質量部と、分子内にラジカル重合可能な不飽和二重結合を持つエチレン性不飽和単量体(b)50〜94質量部(ただし、単量体(a)及び(b)の合計は100質量部)を乳化重合することで得られ、最低造膜温度(MFT)が5℃以下であるエマルション(A)を含有する水性塗料用耐候性向上材。
【選択図】なし
Description
本発明は主として水性塗料の改質の用に供される水性塗料用改質材に関するものであり、より詳しくは各種水性塗料に添加することにより、造膜助剤の使用量を大幅に低減でき、さらに光沢保持性、耐黄変性、耐水性等の耐候性を向上させることができる水性塗料用改質材に関するものである。
近年、塗料分野においては、地球環境や塗装作業環境等への配慮から、有機溶剤を媒体とする溶剤系塗料から、水を分散媒とする水性塗料への変換が図られている。しかし、現在市販されている水性エマルション系塗料の多くは、造膜性向上のために造膜助剤と称される有機溶剤を添加して使用されており、水性塗料と雖も相当量のVOCを含有している問題があった。そのため、さらなるVOC低減を目的に造膜助剤を添加しなくても十分に造膜する水性塗料が検討され、樹脂Tgを極端に低下させた材料が提案されている。
しかしながら、樹脂Tgの低下に伴い、塗膜の耐候性、耐水性が低下するため、実用上極めて大きな問題であった。このような問題を解決するため、特許文献1には、Tgの高いコア部と、ポリプロピレンオキサイド基有するエチレン性不飽和単量体を共重合しかつ、低Tgのシェル部を有し造膜助剤を添加することなく造膜可能な水性被覆材によりVOC低減を図る技術が記載されている。しかし、この場合においてはTgが低くまたポリプロピレンオキサイド基により親水化されたシェル部により、耐水性、耐候性能が大幅に低下するため、高度な耐候性が求められる用途向けには不十分であった。
耐候性能の低下を補うための手段として、最低造膜温度(Minimum film forming temperature:以下、MFT)の低い、いわゆる低MFTエマルションに加えて、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン型ラジカル捕捉剤(以下HALS)、酸化防止剤などの耐候性向上剤を添加する方法が考えられる。特許文献2では、水性塗料に適した耐候性向上剤が提案されているが、耐候性向上剤の塗膜からのブリードアウトにより、長期に亘る耐候性付与は困難であった。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、極めて幅広い種類の水性塗料に対して適用可能な水性塗料用耐候性向上材であって、該耐候性向上材の所定量を被添加水性塗料に添加することにより、添加後の水性塗料のMFTを飛躍的に低下させることで、造膜助剤の使用量を劇的に減少でき、かつ耐候性能を向上させる水性塗料用改質材の提供、及びこの改質材を添加した環境対応型高耐候水性塗料を提供することを目的とする。
発明者らは、目的を達成するべく鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を持つ単量体を重合して得られるエマルションの中でも、特定のMFTを有するものは、各種被添加水性塗料に所定量添加した場合、水性塗料のMFTを飛躍的に低下させるばかりでなく、塗膜の耐候性を向上させることを見出した。
すなわち、本発明の水性塗料用改質材は、下記一般式(I)で表される、分子内にピペリジル基を持つエチレン性不飽和単量体(a)6〜50質量部と、分子内にラジカル重合可能な不飽和二重結合を持つエチレン性不飽和単量体(b)50〜94質量部(ただし、単量体(a)及び(b)の合計は100質量部)を乳化重合することで得られ、MFTが5℃以下であるエマルション(A)を含有することを特徴とするものであって、各種水性塗料に対し、一定量添加することにより、MFTを飛躍的に低下せしめるばかりでなく、塗膜の耐候性を飛躍的に向上できるものである。
(R1は水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基、Xは酸素原子又はイミノ基、Yは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基又はアルコキシル基、Zは水素原子又はシアノ基を示す。)
本発明によれば、各種被添加水性塗料に添加した場合、得られた水性塗料のMFTを飛躍的に低下させ、かつ塗膜の光沢保持性、耐黄変性、耐水性等の耐候性を向上せしめる水性塗料用改質材及び改質された水性塗料を提供できる。
本発明の水性塗料用改質材(以下、改質材という)は、上記一般式(I)で表される、分子内にピペリジル基を持つエチレン性不飽和単量体(a)6〜50質量部と、分子内にラジカル重合可能な不飽和二重結合を持つエチレン性不飽和単量体(b)50〜94質量部(ただし、単量体(a)及び(b)の合計は100質量部)を乳化重合することで得られ、MFTが5℃以下であるエマルション(A)を含有することを特徴とする水性樹脂であり、各種水性塗料に添加されることによって、水性塗料のMFTを飛躍的に低下させ、かつ塗膜の耐候性を向上させるものである。
本発明の改質材を構成するエマルション(A)は、該改質材を添加する水性塗料のMFT低下と耐候性発現のバランスの点及び重合安定性の点から、重合時の全単量体量を100質量部としたとき、一般式(I)で表されるエチレン性不飽和単量体(a)が6〜50質量部である必要ある。単量体(a)の含有量が6質量部以上であれば、被添加水性塗料のMFT以外の特性を低下させない程度の添加量で、耐候性能を向上できる。また、50質量部以下であれば、十分な重合安定性が得られる。より好ましい含有量は、10〜50質量部であり、10〜40質量部が最も好ましい。
単量体(a)としては、紫外線安定化機能(ラジカル捕捉機能)を有するものを使用することができ、例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。これらは必要に応じて1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
また、本発明の改質材を構成するエマルション(A)はMFTが5℃以下である必要がある。MFTが5℃以下であれば、被添加水性塗料のMFT以外の特性を低下させることがない程度の添加量で十分に添加後の水性塗料のMFTを低下できる。
また、単量体(b)として使用できる単量体は特に規定されず、単量体(a)と共重合可能であって、エマルション(A)のMFTを5℃以下にできるものであれば良く、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、i−アミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、p−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−(3−)ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有ラジカル重合性単量体類;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、ビニルイミダゾールなどの窒素含有重合性単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等のハロゲン含有単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族単量体;酢酸ビニル等のビニルエステル;ビニルエーテル;(メタ)アクリロニトリル等の重合性シアン化合物、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、フマル酸、フマル酸モノメチル、フマル酸モノブチル、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチルなどの如きカルボキシル基含有単量体;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸及びスルホエチル(メタ)アクリレート等の如きスルホン酸基含有単量体;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルフェニルリン酸等の酸性リン酸エステル系単量体等の酸性官能基含有不飽和単量体等を用いることができる。上記単量体は単独、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの単量体(b)は、50〜94質量部含有する必要がある。これらの単量体(b)の中でも、MFTを5℃以下としかつ、耐候性向上能をより向上させるためには、n−ブチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレートの中から選択される1つ以上の単量体を用いることが好ましく、この選択された単量体は、重合時の全単量体量を100質量部としたとき、40質量部以上含まれることが特に好ましい。これらの単量体(b)を単独もしくは併せて50質量部以上含有した場合、十分なMFT低下効果が容易に得られるばかりでなく、ヒンダードアミン基の運動性を向上させることができるため、耐候性向上能をもより向上することができる。またホモポリマーの計算Tgが30℃を越える不飽和単量体を用いる場合、ヒンダードアミン基の運動性の観点から、そのような単量体は30質量部以下であることが好ましい。
エマルション(A)を構成する乳化重合体の重量平均分子量(以下、Mw)は、特に規定しないが、本発明の改質材を添加する水性塗料のMFT低下及び耐候性向上能の点から、5,000〜100,000の範囲であることが好ましい。Mwが5,000以上であれば、塗膜からの溶出による長期耐候性付与能低下の度合いを極度に低下できる。Mwが100,000以下であれば、塗膜中での十分な拡散性が得られ、十分な耐候性向上能が発現する。少量の添加で水性塗料のMFTを低下させるために、好ましいMwは5,000〜70,000であり、5,000〜50,000が最も好ましい。Mwを調整する方法は特に規定しないが、開始剤量の調整による方法の他、連鎖移動剤を用いるのも有効な手段である。連鎖移動剤としては、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化合物;α−メチルスチレンダイマー等の公知の連鎖移動剤を用いればよい。連鎖移動剤の使用量は、使用する連鎖移動剤の種類や不飽和単量体の構成比に応じて変化させれば良い。上記連鎖移動剤は、単独、もしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本発明の改質材に用いられるエマルション(A)を乳化重合する際には、乳化剤を使用することが好ましい。使用する乳化剤としては、従来より知られる各種のアニオン性、またはノニオン性の非反応性乳化剤、さらには高分子乳化剤を使用できる。乳化剤としては、例えば、日本乳化剤社製商品名「ニューコール560SF」、「同562SF」、「同707SF」、「同707SN」、「同714SF」、「同723SF」、「同740SF」、「同2308SF」、「同2320SN」、「同1305SN」、「同271A」、「同271NH」、「同210」、「同220」、「同RA331」、「同RA332」、花王社製商品名「ラテムルB−118E」、「レベノールWZ」、「ネオペレックスG15」、第一工業製薬社製商品名「ハイテノールN08」などの如きアニオン性乳化剤、例えば三洋化成工業社製商品名「ノニポール200」、「ニューポールPE−68」などの如きノニオン性乳化剤等が挙げられる。高分子乳化剤としては、例えばポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。反応性乳化剤としては、例えば日本乳化剤社製商品名「Antox MS−60」、「同MS−2N」、三洋化成工業社製商品名「エレミノールJS−2」、花王社製「ラテムルS−120」、「同S−180」、「同S−180A」、「同PD−104」、(株)ADEKA製商品名「アデカリアソープSR−10」、「同SE−10」、第一工業製薬社製商品名「アクアロンKH−05」、「同KH−10」、「同HS−10」等の反応性アニオン性乳化剤、例えば(株)ADEKA製商品名「アデカリアソープNE−10」、「同ER−10」、「同NE−20」、「同ER−20」、「同NE−30」、「同ER−30」、「同NE−40」、「同ER−40」、第一工業製薬社製商品名「アクアロンRN−10」、「同RN−20」、「同RN−30」、「同RN−50」等の反応性ノニオン性乳化剤などが挙げられる。これらは必要に応じて1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの乳化剤の中でも、被添加水性塗料の耐候性、耐水性の点で反応性乳化剤を用いることが好ましく、反応性アニオン性乳化剤が特に好ましい。尚、本発明の改質材に用いられるエマルション(A)を構成する乳化重合体の重合時における不飽和単量体には、反応性乳化剤は含まないものとする。
本発明の改質材に用いられるエマルション(A)は、例えば水媒体中で不飽和単量体(a)、(b)を用い、ラジカル性重合開始剤を用いて乳化重合することで作ることができる。尚、エマルション(A)中に含まれる乳化重合体粒子は、単層構造であっても多層構造であってもよいが、多層構造の場合、生産効率及び粒子径制御の観点から、3層構造以下であることが好ましい。
本発明の改質材に用いられるエマルション(A)を構成する乳化重合体を重合するための重合開始剤は、一般的にラジカル重合に使用されるものが使用可能であり、その具体例としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類;アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等の油溶性アゾ化合物類;2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシエチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]及びその塩類、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]及びその塩類、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]及びその塩類、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}及びその塩類、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)及びその塩類2,2’−アゾビス(2−メチルプロピンアミジン)及びその塩類、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]及びその塩類等の水溶性アゾ化合物;過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物類等が挙げられる。これらの開始剤は単独でも使用できるほか、2種類以上の混合物としても使用できる。また、重合速度の促進、70℃以下での低温の重合が望まれるときには、例えば、重亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄、アスコルビン酸塩等の還元剤をラジカル重合触媒と組み合わせて用いると有利である。
ラジカル重合開始剤の添加量は、通常、エチレン性不飽和単量体の全量に対して0.01〜10質量%の範囲であるが、反応性HALSの含有量に応じて上記重量平均分子量の範囲内になるよう変化させればよい。
また、本発明の改質材に用いられるエマルション(A)中の乳化重合体粒子の粒子径は特に規定しないが、重量平均粒子径で300nm以下であることが好ましい。重量平均粒子径が300nm以下の場合、本発明の改質材を添加する水性塗料の種類や成膜条件に拘わらず、ラジカル捕捉機能を有する官能基が十分に分散でき、高度な耐候性向上性能が発現する。重量平均粒子径としては、170nm以下がより好ましく、140nm以下が特に好ましい。また乳化剤の増加による耐水性低下を防ぐためには、重量平均粒子径が30nm以上であることが好ましい。
乳化重合法により得たエマルション(A)は、重合後、塩基性化合物の添加により系のpHを弱アルカリ性、すなわちpH7.5〜10.0程度の範囲に調整することで系の安定性を高めることができる。この塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジブチルアミン、アミルアミン、1−アミノオクタン、2−ジメチルアミノエタノール、エチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、2−プロピルアミノエタノール、エトキシプロピルアミン、アミノベンジルアルコール、モルホリン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。VOCを含まないことが望まれる内装用途などの場合は、無機系塩基化合物を用いることが好ましい。さらに僅かな臭気もないことが望まれる場合は、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の不揮発性無機系塩基化合物を用いることが好ましい。
本発明の改質材は、通常、エマルション(A)全量を100質量部としたとき、固形分20〜80質量部の範囲で使用されるが、これに限定されるものではなく、本発明の改質材を添加する水性塗料の粘度に応じて使用すればよい。本発明の改質材は、(メタ)アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、エポキシ系、アルキッド系等の各種水性塗料に対して、水性塗料の目標耐候性能に応じて添加量を変えて添加することにより用いることができる。添加量については特に規定されないが、固形分比で1〜50質量%の範囲で添加することが好ましい。すなわち、本発明の改質材を構成するエマルション(A)と被添加水性塗料に含まれるエマルション(B)との質量比が、(A)の固形分:(B)の固形分の比率で1:99〜50:50の範囲内であることが好ましい。エマルション(A)の添加量が固形分比で1質量%以上であれば、本発明の改質材を含む水性塗料の耐候性および低温造膜性を向上することができる。エマルション(A)の添加量が固形分比で50質量%以下であれば、本発明の改質材を含む水性塗料の特性である、耐水性、顔料分散性、汚染性などの塗料物性、塗膜物性を維持できる。本発明の改質材を含む水性塗料のMFTが10℃以下であれば、一般的な塗装条件において造膜助剤を用いることなく造膜可能であるため、環境保護、造膜助剤残りによる耐水性低下を抑制できる。また造膜助剤を全く用いることなく低温造膜性に優れ、かつ高度な耐候性能を有する塗料を得るためには、本発明の改質材を固形分比で5質量%〜30質量%の割合で用いることがより好ましい。本発明の改質材は、同一組成のエマルションを単独で使用しても、組成の異なるエマルションを2種以上組み合わせて使用しても良い。本発明の改質材及び該改質材を含む水性塗料に高度な性能を発現させるために、各種顔料、消泡剤、顔料分散剤、レベリング剤、たれ防止剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、紫外線安定化材、酸化防止剤、耐熱性向上剤、スリップ剤、防腐剤を、改質材又は水性塗料に添加しても良い。
本発明の改質材を含む水性塗料を用いて各種材料の表面に塗膜を形成するためには、例えば、噴霧コート法、ローラーコート法、バーコート法、エアナイフコート法、刷毛塗り法、ディッピング法等の各種の塗装法を適宜選択して実施すればよい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。尚、以下の記載において「部」は質量基準である。
水性樹脂としての評価は、下記方法に従って以下の項目について試験を実施した。
<試験方法>
(1)機械安定性試験
実施例1〜3、比較例1〜2の水性樹脂について、各100gをマローン試験機にて15kgのシェアをかけて10分間試験を行い、100メッシュのナイロン紗によってろ過し、その残渣の量を測定し、以下の基準で評価をした。
「◎」 :残渣の量が0.01g以下であるかほとんど見られない。
「○」 :残渣の量が0.01〜0.1gである。
「△」 :残渣の量が0.1〜0.5gである。
「×」 :残渣の量が0.5g以上である、又は試験中にゲル化する。
(1)機械安定性試験
実施例1〜3、比較例1〜2の水性樹脂について、各100gをマローン試験機にて15kgのシェアをかけて10分間試験を行い、100メッシュのナイロン紗によってろ過し、その残渣の量を測定し、以下の基準で評価をした。
「◎」 :残渣の量が0.01g以下であるかほとんど見られない。
「○」 :残渣の量が0.01〜0.1gである。
「△」 :残渣の量が0.1〜0.5gである。
「×」 :残渣の量が0.5g以上である、又は試験中にゲル化する。
(2)貯蔵安定性
実施例1〜3、比較例1〜2の水性樹脂について、各200gを密栓可能なガラスビンに入れ、50℃の恒温水槽に1週間入れる。その後取り出し、凝固物の有無と粘度を確認し、以下の基準で評価をした。
「◎」 :凝固物も無く、粘度の変化率は±20%以内である。
「○」 :凝固物も無く、粘度の変化率は±20%以上±35%以内である。
「△」 :凝固物も無く、粘度の変化率は±20%以上±50%以内である。
「×」 :凝固物が見られる。
実施例1〜3、比較例1〜2の水性樹脂について、各200gを密栓可能なガラスビンに入れ、50℃の恒温水槽に1週間入れる。その後取り出し、凝固物の有無と粘度を確認し、以下の基準で評価をした。
「◎」 :凝固物も無く、粘度の変化率は±20%以内である。
「○」 :凝固物も無く、粘度の変化率は±20%以上±35%以内である。
「△」 :凝固物も無く、粘度の変化率は±20%以上±50%以内である。
「×」 :凝固物が見られる。
(3)重合安定性
実施例1〜3、比較例1〜2において重合時のカレットについて、100メッシュのナイロン紗でろ過捕集し、50℃の乾燥炉で24時間乾燥させその重量を測定し、以下の基準で評価した。
「◎」 :ドライ状態のカレット量が100ppm以下である。
「○」 :ドライ状態のカレット量が100ppm以上1000ppm以下である。
「△」 :ドライ状態のカレット量は1000ppm以上であるが、重合可能。
「×」 :不安定なため、重合不可能。
実施例1〜3、比較例1〜2において重合時のカレットについて、100メッシュのナイロン紗でろ過捕集し、50℃の乾燥炉で24時間乾燥させその重量を測定し、以下の基準で評価した。
「◎」 :ドライ状態のカレット量が100ppm以下である。
「○」 :ドライ状態のカレット量が100ppm以上1000ppm以下である。
「△」 :ドライ状態のカレット量は1000ppm以上であるが、重合可能。
「×」 :不安定なため、重合不可能。
また、本発明の水性樹脂を添加した水性塗料としての試験については、下記方法で成膜用塗料を調製後、下記方法に従って試験を実施した。
(4)重量平均分子量(Mw)
実施例1〜3、比較例1〜2について、各0.1gをサンプル瓶に採取し、テトラヒドロフラン(THF)10gを添加して室温で一晩放置する。調製した試料溶液を東ソー(株)製HLC-8120を用いて以下の条件にて測定し、重量平均分子量(Mw)を得た。
カラム:TSK-gel TSL-gel SuperHM-M×4本(6.0mmI.D.×15cmL)
溶離液:THF
流量:0.6ml/min
注入量:20μl
カラム温度:40℃
検出器:示唆屈折率検出器(RI)
実施例1〜3、比較例1〜2について、各0.1gをサンプル瓶に採取し、テトラヒドロフラン(THF)10gを添加して室温で一晩放置する。調製した試料溶液を東ソー(株)製HLC-8120を用いて以下の条件にて測定し、重量平均分子量(Mw)を得た。
カラム:TSK-gel TSL-gel SuperHM-M×4本(6.0mmI.D.×15cmL)
溶離液:THF
流量:0.6ml/min
注入量:20μl
カラム温度:40℃
検出器:示唆屈折率検出器(RI)
(5)低温造膜性試験
井元製作所(株)製、最低造膜温度測定器にて、8MILアプリケーターを用いて表2記載の混合液を塗布し、乾燥後の造膜性を目視で確認した。判定は以下の基準で行った。
「○」 :10℃以上の部位にクラックが見られない。
「×」 :10℃以上の部位の端部又は中央部にクラックが見られる。
井元製作所(株)製、最低造膜温度測定器にて、8MILアプリケーターを用いて表2記載の混合液を塗布し、乾燥後の造膜性を目視で確認した。判定は以下の基準で行った。
「○」 :10℃以上の部位にクラックが見られない。
「×」 :10℃以上の部位の端部又は中央部にクラックが見られる。
(6)相溶性試験
ガラス板上に8MILアプリケーターを用いてクリアー塗料を塗布し、その後室温にて1時間乾燥させた後、80℃で1時間強制乾燥したものを、相溶性評価用の塗板とした。塗膜の状態を目視で確認し、以下の基準で判定した。
「○」 :ヘイズが見られないか、見られたとしても極めて僅かである。
「×」 :ヘイズが明確に見られる。
ガラス板上に8MILアプリケーターを用いてクリアー塗料を塗布し、その後室温にて1時間乾燥させた後、80℃で1時間強制乾燥したものを、相溶性評価用の塗板とした。塗膜の状態を目視で確認し、以下の基準で判定した。
「○」 :ヘイズが見られないか、見られたとしても極めて僅かである。
「×」 :ヘイズが明確に見られる。
(7)耐水性試験
ガラス板上に8MILアプリケーターを用いてクリアー塗料を塗布し、その後室温にて1時間乾燥させた後、80℃で1時間強制乾燥したものを、耐温水性評価用の塗板とした。評価塗板を室温(約20℃)にて水に1週間浸漬させた。取り出し直後の塗膜白化を目視で確認し、以下の基準で判定した。
「○」 :全く白化が見られない。
「△」 :わずかに白化が見られる。
「×」 :著しい白化が見られる。
ガラス板上に8MILアプリケーターを用いてクリアー塗料を塗布し、その後室温にて1時間乾燥させた後、80℃で1時間強制乾燥したものを、耐温水性評価用の塗板とした。評価塗板を室温(約20℃)にて水に1週間浸漬させた。取り出し直後の塗膜白化を目視で確認し、以下の基準で判定した。
「○」 :全く白化が見られない。
「△」 :わずかに白化が見られる。
「×」 :著しい白化が見られる。
(8)耐候性試験
サンシャインカーボンウエザオメーター(スガ試験機製、WEL−SUN−HC−B型)耐候試験機(ブラックパネル温度63±3℃、降雨12分間、照射48分間のサイクル)を用いて3000時間試験を行い、光沢保持率を測定し、以下の基準で判定した。
「◎」 :85%以上。
「○」 :70%以上、85%未満。
「△」 :50%以上、70%未満。
「×」 :50%未満。
サンシャインカーボンウエザオメーター(スガ試験機製、WEL−SUN−HC−B型)耐候試験機(ブラックパネル温度63±3℃、降雨12分間、照射48分間のサイクル)を用いて3000時間試験を行い、光沢保持率を測定し、以下の基準で判定した。
「◎」 :85%以上。
「○」 :70%以上、85%未満。
「△」 :50%以上、70%未満。
「×」 :50%未満。
(9)耐候性向上評価
<クリアー>
「◎」 :耐候性評価において、被添加塗膜の耐候性を3段階向上させる。
「○」 :耐候性評価において、被添加塗膜の耐候性を2段階向上させる。
「△」 :耐候性評価において、被添加塗膜の耐候性を1段階向上させる。
「×」 :耐候性評価における、被添加塗膜の耐候性向上が見られないか、みられたとしても1段階の向上効果もない。
<クリアー>
「◎」 :耐候性評価において、被添加塗膜の耐候性を3段階向上させる。
「○」 :耐候性評価において、被添加塗膜の耐候性を2段階向上させる。
「△」 :耐候性評価において、被添加塗膜の耐候性を1段階向上させる。
「×」 :耐候性評価における、被添加塗膜の耐候性向上が見られないか、みられたとしても1段階の向上効果もない。
<実施例>
(実施例1)
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置、滴下ポンプおよび窒素導入管を備えたフラスコに、脱イオン水45部、表1に示す割合で配合された乳化物Aのうちの5質量%を反応容器内に仕込み、反応容器内部を窒素で置換しながら75℃まで昇温した後、過硫酸アンモニウム(重合開始剤)0.1部を1部の水に溶解した開始剤溶液を加えシード粒子を形成した。溶液の温度を温度計にて計測し、発熱ピークを確認した後、乳化物Aの残り95質量%を内温75℃で4時間かけて滴下し、さらに内温75℃のまま2時間熟成することで乳化物Aの単量体の重合を行い、共重合体粒子(A)を形成した。
(実施例1)
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置、滴下ポンプおよび窒素導入管を備えたフラスコに、脱イオン水45部、表1に示す割合で配合された乳化物Aのうちの5質量%を反応容器内に仕込み、反応容器内部を窒素で置換しながら75℃まで昇温した後、過硫酸アンモニウム(重合開始剤)0.1部を1部の水に溶解した開始剤溶液を加えシード粒子を形成した。溶液の温度を温度計にて計測し、発熱ピークを確認した後、乳化物Aの残り95質量%を内温75℃で4時間かけて滴下し、さらに内温75℃のまま2時間熟成することで乳化物Aの単量体の重合を行い、共重合体粒子(A)を形成した。
その後冷却を行い、60℃以下の温度で25質量%アンモニア水をpH9になるまで添加し、エマルションを得た。得られたエマルション中の固形分濃度、pH、粘度、MFT、Tg、重量平均分子量(Mw)は下記表1に示す通りであった。
(実施例2、3、比較例1、2)
実施例1と同様な方法で、表1に示された組成のエマルションを調製した。得られたエマルション中の固形分濃度(NV)、pH、粘度、MFT、Tg、重量平均分子量(Mw)は下記表1に示す通りであった。
実施例1と同様な方法で、表1に示された組成のエマルションを調製した。得られたエマルション中の固形分濃度(NV)、pH、粘度、MFT、Tg、重量平均分子量(Mw)は下記表1に示す通りであった。
(参考例1:被添加水性塗料の調製)
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置、滴下ポンプ及び窒素導入管を備えたフラスコに、脱イオン水45部と乳化剤「アデカリアソープSR−10」(商品名、(株)ADEKA製)0.2部を仕込み、反応容器内部を窒素で置換した。スチレン20部、メチルメタクリレート33部、n−ブチルアクリレート45部、脱イオン水50部、乳化剤「SR−10」 3部をプレ乳化し、乳化物(α)とした。乳化物(α)のうち5質量%を反応容器中に仕込み、75℃まで昇温した後、過硫酸アンモニウム(重合開始剤)0.2部を5部の水に溶解した開始剤溶液を加えシード粒子を形成した。溶液の温度を温度計にて計測し、発熱ピークを確認した後、乳化物(α)のうち45質量%を内温75℃で2時間かけて滴下し、乳化物(β)とした。残りの乳化物(α)50質量%に対し2部のアクリル酸を加え再度プレ乳化し乳化物(γ)とし、乳化物(β)調製1時間後より、乳化物(γ)を内温75℃で2時間かけて乳化物(β)に滴下した。その後内温75℃のまま2時間熟成することで単量体の重合を行い、その後冷却し、60℃以下の温度で28質量%アンモニア水溶液1部を添加して、被添加水性塗料を調製した(固形分(NV):50質量%)。
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置、滴下ポンプ及び窒素導入管を備えたフラスコに、脱イオン水45部と乳化剤「アデカリアソープSR−10」(商品名、(株)ADEKA製)0.2部を仕込み、反応容器内部を窒素で置換した。スチレン20部、メチルメタクリレート33部、n−ブチルアクリレート45部、脱イオン水50部、乳化剤「SR−10」 3部をプレ乳化し、乳化物(α)とした。乳化物(α)のうち5質量%を反応容器中に仕込み、75℃まで昇温した後、過硫酸アンモニウム(重合開始剤)0.2部を5部の水に溶解した開始剤溶液を加えシード粒子を形成した。溶液の温度を温度計にて計測し、発熱ピークを確認した後、乳化物(α)のうち45質量%を内温75℃で2時間かけて滴下し、乳化物(β)とした。残りの乳化物(α)50質量%に対し2部のアクリル酸を加え再度プレ乳化し乳化物(γ)とし、乳化物(β)調製1時間後より、乳化物(γ)を内温75℃で2時間かけて乳化物(β)に滴下した。その後内温75℃のまま2時間熟成することで単量体の重合を行い、その後冷却し、60℃以下の温度で28質量%アンモニア水溶液1部を添加して、被添加水性塗料を調製した(固形分(NV):50質量%)。
(実施例4)
実施例1のエマルション(A)10gと参考例1の水性塗料90gを密栓可能なガラス瓶に採取し、ガラス棒で5分間十分に攪拌し、密栓して一晩放置し、低温造膜性試験用の水性塗料とした。また同様の比率で混合し、MFT10℃以上のものは、10℃未満となる量の造膜助剤「キョーワノールM」(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートの商品名:協和発酵ケミカル(株)製)を添加し、密栓して一晩放置したものを塗膜評価用水性塗料とした。
実施例1のエマルション(A)10gと参考例1の水性塗料90gを密栓可能なガラス瓶に採取し、ガラス棒で5分間十分に攪拌し、密栓して一晩放置し、低温造膜性試験用の水性塗料とした。また同様の比率で混合し、MFT10℃以上のものは、10℃未満となる量の造膜助剤「キョーワノールM」(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートの商品名:協和発酵ケミカル(株)製)を添加し、密栓して一晩放置したものを塗膜評価用水性塗料とした。
(実施例5、6)
実施例4と同様な方法で、表2に示された比率の水性塗料を調製した。
実施例4と同様な方法で、表2に示された比率の水性塗料を調製した。
(比較例3)
参考例1の水性塗料をそのまま低温造膜性試験用の水性塗料とした。また参考例1の水性塗料100gに対し、5gの造膜助剤「キョーワノールM」を加えMFTを10℃未満とし、塗膜評価用塗料として用いた。
参考例1の水性塗料をそのまま低温造膜性試験用の水性塗料とした。また参考例1の水性塗料100gに対し、5gの造膜助剤「キョーワノールM」を加えMFTを10℃未満とし、塗膜評価用塗料として用いた。
(比較例4、5)
実施例4と同様な方法で、表2に示された比率の水性塗料を調製した。
実施例4と同様な方法で、表2に示された比率の水性塗料を調製した。
実施例1〜3、比較例1〜2で得たエマルションについて、固形分(NV)、粘度、共重合粒子(A)の平均粒子径、重合安定性評価結果、機械安定性試験結果、貯蔵安定性試験結果を下記表1にまとめて示す。粘度は、エマルションの温度を25℃にし、東機産業(株)社製R−100型粘度計にて測定した値を用いた。平均粒子径は、固形分濃度1%に調整した試料を、大塚電子(株)社製濃厚系アナライザーFPAR−1000を用い、25℃にて測定して得られた値を用いた。さらに、実施例4〜6、比較例3〜5で調製した水性塗料の耐水性、耐候性評価試験結果を表2にまとめて示す。
HALS1:4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン
HALS2:4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
MMA:メチルメタクリレート
St:スチレン
n−BMA:ノルマルブチルメタクリレート
n−BA:ノルマルブチルアクリレート
2−EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
SR−10:反応型アニオン性界面活性剤「アデカリアソープSR−10」(商品名、(株)ADEKA製)
ER−30:反応型ノニオン性界面活性剤「アデカリアソープER−30」(商品名、(株)ADEKA製)
NDM:ノルマルドデシルメルカプタン
HALS2:4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
MMA:メチルメタクリレート
St:スチレン
n−BMA:ノルマルブチルメタクリレート
n−BA:ノルマルブチルアクリレート
2−EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
SR−10:反応型アニオン性界面活性剤「アデカリアソープSR−10」(商品名、(株)ADEKA製)
ER−30:反応型ノニオン性界面活性剤「アデカリアソープER−30」(商品名、(株)ADEKA製)
NDM:ノルマルドデシルメルカプタン
表1及び表2から明らかなように、本発明の改質材は、機械安定性、貯蔵安定性、重合安定性に優れると共に、各種水性塗料に添加した場合、顕著な耐候性向上と低温造膜性向上が図れる。
これに対して、比較例1,2の共重合体(水性樹脂)は、本発明の特定の組成範囲に入っていないものであり、水性塗料に添加した場合、耐候性向上機能又は低温造膜性が十分ではない。
したがって、本発明によれば、重合安定性、機械的安定性、貯蔵安定性が良く、顕著な耐候性と低温造膜性を付与することができる水性塗料用改質材及び、高耐候かつVOC低減可能な水性塗料を提供できることが分かる。
本発明の改質材は、セメントモルタル、スレート板、石膏ボード、押し出し成形板、発泡性コンクリート、金属、ガラス、磁器タイル、アスファルト、木材、防水ゴム材、プラスチック、珪酸カルシウム基材等の各種素材の表面仕上げに使用される水性塗料に添加することにより、長期間に亘って耐候性を向上させることができ、工業上極めて有益なものである。
Claims (3)
- 請求項1記載の水性塗料用改質材を含む水性塗料。
- 請求項1記載の水性塗料用改質材を構成するエマルション(A)と被添加水性塗料に含まれるエマルション(B)との質量比が、(A)の固形分:(B)の固形分の比率で1:99〜50:50の範囲内であることを特徴とする請求項2に記載の水性塗料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006317064A JP2008127525A (ja) | 2006-11-24 | 2006-11-24 | 水性塗料用改質材及び改質された水性塗料 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2006317064A JP2008127525A (ja) | 2006-11-24 | 2006-11-24 | 水性塗料用改質材及び改質された水性塗料 |
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JP2008127525A true JP2008127525A (ja) | 2008-06-05 |
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JP2006317064A Pending JP2008127525A (ja) | 2006-11-24 | 2006-11-24 | 水性塗料用改質材及び改質された水性塗料 |
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- 2006-11-24 JP JP2006317064A patent/JP2008127525A/ja active Pending
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