JP2008127487A - ポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】融点が160℃以上であり、230℃でのメルトフローレートが6g/10分以上であるプロピレン系重合体(A)96〜99.8重量%と、
密度が940Kg/m3以上であり、190℃でのメルトフローレートが16g/10分以上であるエチレン系重合体(B)0.2〜4重量%とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物(但し、プロピレン系重合体(A)とエチレン系重合体(B)との合計を100重量%とする)。
【選択図】なし
Description
例えば、特開平6−16884号公報には、透明性と、かつ透明性の製膜条件依存性や厚み依存性を改良する具体的なものとして、結晶性プロピレンとメルトフローレートが15g/10分である結晶性エチレン共重合体からなるポリプロピレン組成物が記載されている。透明性に優れ、かつ透明性の製膜条件依存性が小さいポリプロピレン組成物、及びそのフィルムが開示されている。
かかる現状に鑑み、本発明の目的は、透明性、剛性および寸法安定性に優れたフィルムを得ることができるポリプロピレン系樹脂組成物を提供することである。
密度が940Kg/m3以上であり、190℃でのメルトフローレートが16g/10分以上であるエチレン系重合体(B)0.2〜4重量%とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物(但し、プロピレン系重合体(A)とエチレン系重合体(B)との合計を100重量%とする)に係るものである。
また、本発明は、プロピレン系重合体(A)がプロピレン単独重合体である前記ポリプロピレン系樹脂組成物に係るものである。
また本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)の230℃でのメルトフローレートは、6g/10分以上である。6g/10分未満であった場合には透明性や加工適性に劣る場合がある。加工適性やフィルム外観を良好にするという観点から、好ましくは6g/10分〜15g/10分、さらに好ましくは、6〜12g/10分である。プロピレン系重合体のメルトフローレートは、重合時の温度、圧力を調整する手法、重合時に分子量調節剤として水素などを添加する手法により制御することができる。
公知の重合触媒としては、例えば、マグネシウム化合物にTi化合物を複合化させた固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物および必要に応じて電子供与性化合物等の第3成分を組み合わせた触媒等が挙げられる。
好ましくは、例えば、特開昭61−218606号公報、特開昭61−287904号公報、特開平7−216017号公報、特開2004−67850号公報等に記載されたマグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分、ならびに有機アルミニウム化合物および電子供与性化合物からなる触媒である。
本発明のプロピレン系重合体(A)は、必要な場合に、触媒の失活、脱モノマー、脱溶媒、造粒、乾燥などを行うことができる。ここで、触媒の失活とは、例えば水などの失活剤と接触させる工程であり、脱モノマーとは、重合槽から重合体およびモノマーを抜き出し、圧力を開放することによりモノマーを離脱させる工程であり、脱溶媒とは、気流、加熱、減圧などの手法により重合時に用いられた溶媒等を重合体から除く工程であり、造粒とは、添加剤と重合体とを、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ナウターブレンダー、タンブルミキサー等のミキサーで均一に混合した後、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー等を使用して、溶融混練してペレット化する工程であり、乾燥とは、気流、加熱、減圧などの手法により重合時に用いられた溶媒および重合体中の低分子量物質を除去ないしは減少させる工程である。
また本発明で用いられるエチレン重合体(B)の190℃でのメルトフローレートは、16g/10分以上である必要がある。16g/10分未満であった場合には、透明性に劣る場合がある。透明性を高める観点から、好ましくは20g/10分〜60g/10分、さらに好ましくは25g/10分〜45g/10分である。エチレン系重合体(B)のメルトフローレートは、重合時の温度、圧力を調整する手法、重合時に分子量調節剤として水素などを添加する手法により制御することができる。
公知の重合触媒としては、例えば、チーグラー・ナッタ系触媒、クロム系触媒、モリブデン系触媒などの固体触媒、メタロセン系錯体や非メタロセン系錯体などの錯体系触媒が挙げられる。
本発明のエチレン系重合体(B)は、プロピレン系重合体(A)と同様に、触媒の失活、脱モノマー、脱溶媒、造粒、乾燥などを行うことができる。
プロピレン系重合体(A)の含有量が96重量%未満の場合(すなわち、エチレン重合体(B)の含有量が4重量%を超える場合)また、プロピレン系重合体(A)の含有量が99.8重量%を超える場合(すなわち、エチレン重合体(B)の含有量が0.2重量%未満の場合)には、透明性が悪化することがある。
(1)プロピレン系重合体(A)を溶融混練する時に、エチレン系重合体(B)をも混合し、併せて溶融混練して、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を製造する方法
(2)溶融混練されたプロピレン系重合体(A)と、溶融混練されたエチレン系重合体(B)とを所定の割合に混合し、さらに溶融混練して、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を製造する方法
(3)溶融混練されたプロピレン系重合体(A)と、溶融混練されたエチレン系重合体(B)とを混合する方法(この方法の場合、成形時にプロピレン系重合体(A)と、エチレン系重合体(B)の溶融混練が行われる)。
フィルム全体の厚みとしては、好ましくは10〜500μmであり、より好ましくは10〜100μmである。フィルムには、通常工業的に採用されている方法によって、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理を施しても良い。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を成形してなるフィルムは、例えば、食品、繊維、雑貨等の包装用フィルム、または電化製品もしくは家具、自動車などの工業製品の保護用フィルムにも好ましく用いられる。
JIS K7210に従って測定した。プロピレン系重合体のメルトフローレートは、温度230℃、荷重2.16kgfで測定した。エチレン系重合体のメルトフローレートは、温度190℃、荷重2.16kgで測定した。
高分子ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されている方法従って求めた。
示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC)を用いて、試片約10mgを窒素雰囲気下220℃で溶融させた後、急速に150℃まで冷却した。150℃で1分間保持した後、5℃/分の降温速度で50℃まで降温した。
その後に50℃で1分保持した後、5℃/分で昇温させて、得られた融解吸熱カーブの最大ピーク温度の小数位以下を四捨五入してTm(融点)とした。ピークが複数あるものは、高温側のピークを採用した。
なお、本測定器を用いて5℃/分の降温速度ならびに昇温速度で測定したインジウム(In)のTmは156.6℃であった。
JIS K6760に従って測定した。
JIS K7105に従って測定した。
120mm×30mmのフィルム(製膜方向(MD)と長辺方向が一致するように採取した。)を用いて、23℃、湿度50%の雰囲気下において、安田精機製作所製オートストレインを用いて、つかみ間隔60mm、引張速度5mm/分で引張り試験を行い、引張−応力カーブのゼロ点での接線から初期弾性率を測定した。
打ち抜き刃を用いて90mm×90mm(製膜方向とその直交方向(TD))のサンプルを作成し、MD方向及びTD方向について中央部(45mmの位置)の寸法を測定した。目開き2.5mmのステンレス製金網2枚の間に保持し、120℃に設定したシリコーンオイルバス中に投入し、5秒間保持した。オイルバスから引き上げた後、直ちにオイルを除去し、室温で30分以上安定化させた。試験前と同様に寸法を測定し、以下の式を用いてMD方向、TD方向それぞれの熱収縮率を求めた。
(熱収縮率:%)=100×((加熱前のサンプル寸法(mm))−(試験後のサンプル寸法(mm)))/((加熱前のサンプル寸法(mm))
(固体触媒の合成および予備活性化)
特開2004−067850号公報の実施例に従って製造されたマグネシウム、チタンおよびハロゲンを含む固体触媒成分15gに対して、十分に脱水脱気処理したn−ヘキサン1.5L、トリエチルアルミニウムを37.5ミリモル、シクロヘキシルエチルジメトキシシランを3.75ミリモル添加し、槽内温度を5〜15℃に保ちながらプロピレン35gを連続的に供給して予備活性化を行った。
攪拌機付き流動床反応器に、重合温度80℃、重合圧力20kg/cm2Gを保持するようにプロピレン、水素を供給しながら、予備活性化された固体触媒成分、トリエチルアルミニウム、シクロヘキシルエチルジメトキシシランを連続的に供給し、連続重合を行った。予備活性化された固体触媒成分とトリエチルアルミニウムの単位時間あたり供給量の重量比は1:1.6であり、トリエチルアルミニウムとシクロヘキシルエチルジメトキシシランの単位時間あたりの供給モル比は1:0.15であった。また、平均滞留時間は4時間であった。水素の供給量はプロピレン系重合体のMFRが7.5となるように調整した。プロピレン系重合体の融点は164℃であった。
(エチレン系重合体)
エチレン系重合体として、密度960kg/m3、MFR16g/10分のエチレン単独重合体(サンプル名:SX239:京葉ポリエチレン株式会社製)を入手した。
重合によって得られたプロピレン系重合体99.5重量部に対し、エチレン系重合体として密度960kg/m3、MFR40g/10分のエチレン単独重合体0.5重量部、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX1010)0.15重量部を加え、40mm単軸押出機(VS40−28型:田辺プラスチックス機械社製、フルフライト型スクリュー付き)を用いて230℃で溶融混練し、ポリプロピレン系樹脂組成物のペレットを得た。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物のペレットを、50mmTダイ製膜装置(田辺プラスチックス株式会社製V−50−F600型フィルム成型装置、400mm幅Tダイ付き)を用いて樹脂温度240℃で溶融押出を行った。溶融押出されたものを40℃の冷却水を通水した冷却ロールで冷却して、厚さ40μmのフィルムを得た。
エチレン系重合体として密度960Kg/m3、MFR26g/10分のエチレン単独重合体(サンプル名:S6920:京葉ポリエチレン株式会社製)0.5重量部を用いた以外は実施例1と同様に行った。
エチレン系重合体として密度960Kg/m3、MFR16g/10分のエチレン単独重合体(商品名:G1900:京葉ポリエチレン株式会社製)0.5重量部を用いた以外は実施例1と同様に行った。
ポリプロピレン系樹脂組成物の製造時に、プロピレン系重合体99.7重量部に対し、エチレン系重合体0.3重量部とした以外は実施例1と同様に行った。
ポリプロピレン系樹脂組成物の製造時に、プロピレン系重合体99重量部に対し、エチレン系重合体1重量部とした以外は実施例1と同様に行った。
プロピレン系重合体時の製造条件(水素濃度)を変化させることにより、MFRが3.0g/10分であるプロピレン単独重合体を製造して用いた以外は実施例1と同様に行った。
プロピレン系重合体時の製造時に、エチレンをコモノマ−として用い、さらに水素濃度、トリエチルアルミニウムとシクロヘキシルエチルジメトキシシランの単位時間あたりの供給モル比を変化させることにより、MFRが7.0g/10分、エチレン含量0.7重量%、融点が157℃であるプロピレン系重合体を製造して用いた以外は実施例1と同様に行った。
ポリプロピレン系樹脂組成物の製造時に、プロピレン系重合体100重量部を用い、エチレン系重合体を用いなかった以外は実施例1と同様に行った。
ポリプロピレン系樹脂組成物の製造時に、プロピレン系重合体95重量部に対し、エチレン系重合体5重量部とした以外は実施例1と同様に行った。
エチレン系重合体として密度960kg/m3、MFR8g/10分のエチレン単独重合体(商品名:G1801:京葉ポリエチレン株式会社製)0.5重量部を用いた以外は実施例1と同様に行った。
エチレン系重合体として密度920kg/m3、MFR20g/10分のエチレン単独重合体(商品名:スミカセンG801:住友化学株式会社製)0.5重量部を用いた以外は実施例1と同様に行った。
実施例のフィルムが透明性、剛性、寸法安定性のいずれにも優れているのに対し、比較例1、比較例4および比較例5のフィルムは透明性に劣り、比較例2のフィルムは剛性および寸法安定性に劣り、比較例3および比較例6のフィルムは透明性、剛性および寸法安定性に劣ることがわかる。
Claims (2)
- 融点が160℃以上であり、230℃でのメルトフローレートが6g/10分以上であるプロピレン系重合体(A)96〜99.8重量%と、
密度が940Kg/m3以上であり、190℃でのメルトフローレートが16g/10分以上であるエチレン系重合体(B)0.2〜4重量%とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物(但し、プロピレン系重合体(A)とエチレン系重合体(B)との合計を100重量%とする)。 - プロピレン系重合体(A)がプロピレンの単独重合体であることを特徴とする、請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
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