JP2008127414A - 脂環式ポリエーテル系重合体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、耐熱性および透明性に優れ、低吸水性で、耐アルカリ性に優れる脂環式ポリエーテル系重合体およびその製造方法に関する。
近年、光学用樹脂に対してはますます高度な物性が要求されており、高い耐熱性、低吸水性および高い透明性を兼ね備える高品質の光学用樹脂を、簡単な方法で低コストで製造することが求められている。しかしながら、従来の光学用樹脂は、前記した諸物性を高い次元でバランスよく兼ね備えておらず、光学用樹脂として種々の欠点を有する。
透明性の高い光学用樹脂としては、従来、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネートなどが汎用されてきた。しかし、ポリメタクリル酸メチルは、透明性が高く、複屈折率が小さくて、光学的な性質には優れているものの、吸水性が大きいために寸法が変化し易く、しかも耐熱性に劣るという欠点を有する。また、ポリカーボネートは、ガラス転移温度(Tg)が高くて耐熱性に優れているが、吸水性がやや大きく、アルカリによって加水分解を起こし易いという欠点を有する。
耐熱性に優れ、吸水性が小さく、かつ透明性に優れる光学用樹脂として、ノルボルネン系単量体の開環重合体の水素添加物、ノルボルネン系単量体とエチレンとの付加型共重合体が知られている(特許文献1〜4)。
しかしながら、ノルボルネン系単量体の開環重合体の水素添加物は、開環重合後に水素添加反応を行う必要があるため、製造工程が多く不経済であり、しかも水素添加反応に使用した触媒を十分に除去しにくくという問題がある。
また、ノルボルネン系単量体とエチレンとの付加型共重合体は、炭化水素のみから形成されていて極性基や極性原子を持たないため、各種基材との密着性や接着性に劣っており、複合材料が形成しにくい。
しかしながら、ノルボルネン系単量体の開環重合体の水素添加物は、開環重合後に水素添加反応を行う必要があるため、製造工程が多く不経済であり、しかも水素添加反応に使用した触媒を十分に除去しにくくという問題がある。
また、ノルボルネン系単量体とエチレンとの付加型共重合体は、炭化水素のみから形成されていて極性基や極性原子を持たないため、各種基材との密着性や接着性に劣っており、複合材料が形成しにくい。
上記した問題を改善した光学用樹脂として、ノルボルナン系ポリエーテル重合体が知られている(特許文献5)。しかし、このノルボンナン系ポリエーテル重合体は、ガラス転移温度が十分に高いとは言えず、耐熱性に優れる光学用樹脂に対する近年の高度な要求に必ずしも適合しているとは言い難い。
本発明の目的は、高いガラス転移温度を有していて耐熱性に優れ、透明性が高く、低吸水性で、耐アルカリ性に優れ、しかも各種基材との密着性や接着性に優れ、その上、水素添加工程などの特別の工程を必要とせず、簡単に製造することのできる、光学用などとして好適に使用できる重合体およびその製造方法を提供することである
本発明者らは、前記した目的を達成するために鋭意検討を重ねてきた。その結果、特定の脂環式エーテル構造単位を有する従来にない脂環式ポリエーテル系重合体が、高いガラス転移温度を有していて耐熱性に優れ、透明性が高く、吸水性が低くて、耐アルカリ性に優れ、しかも各種基材との密着性や接着性に優れていて、近年の光学用樹脂に対する高い要求物性を兼ね備えていることを見出して本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1) 下記の一般式(I);
すなわち、本発明は、
(1) 下記の一般式(I);
(式中、R1〜R14はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基であり、pは1または2、qは0または1である。)
で表される脂環式エーテル構造単位(I)のみからなる重合体であるか、または前記の脂環式エーテル構造単位(I)と下記の一般式(II);
[式中、Eは、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基(但し、−E−O−が前記の一般式(I)と同じ構造単位になる炭化水素基を除く)を示す。]
で表されるエーテル構造単位(II)とからなり脂環式エーテル構造単位(I)の含有割合が50質量%以上である重合体であることを特徴とする脂環式ポリエーテル系重合体である。
そして、本発明は、
(2) 重量平均分子量が1000以上である前記(1)の脂環式ポリエーテル系重合体;
(3) ガラス転移温度が165℃以上である前記(1)または(2)の脂環式ポリエーテル系重合体;
(4) エーテル構造単位(II)が、オキシラン環を有する化合物に由来する構造単位である前記(1)〜(3)のいずれかの脂環式ポリエーテル系重合体;
(5) 前記の一般式(I)で表される脂環式エーテル構造単位(I)が、下記の一般式(I−1);
(2) 重量平均分子量が1000以上である前記(1)の脂環式ポリエーテル系重合体;
(3) ガラス転移温度が165℃以上である前記(1)または(2)の脂環式ポリエーテル系重合体;
(4) エーテル構造単位(II)が、オキシラン環を有する化合物に由来する構造単位である前記(1)〜(3)のいずれかの脂環式ポリエーテル系重合体;
(5) 前記の一般式(I)で表される脂環式エーテル構造単位(I)が、下記の一般式(I−1);
(式中、R1〜R14は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基である。)
で表される脂環式エーテル構造単位(I−1)である前記(1)〜(4)のいずれかの脂環式ポリエーテル系重合体;および、
(6) 前記の一般式(I)または一般式(I−1)において、R1〜R14がそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜10の1価の炭化水素基である前記(1)〜(5)のいずれかの脂環式ポリエーテル系重合体;
である。
さらに、本発明は、
(7) 下記の一般式(Ia);
(式中、R1〜R14はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基であり、pは1または2、qは0または1である。)
で表されるオキシラン環を有する脂環式単量体(Ia)の1種または2種以上のみを用いるか、または前記の脂環式単量体(Ia)の1種または2種以上と開環して下記の一般式(II);
[式中、Eは、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基(但し、−E−O−が脂環式単量体(Ia)に由来する構造単位と同じ構造になる炭化水素基を除く)を示す。]
で表されるエーテル構造単位(II)を形成する単量体(IIa)の1種または2種以上との単量体混合物であって脂環式単量体(Ia)の含有割合が50質量%以上である単量体混合物を用いて、開環重合触媒の存在下に開環重合することを特徴とする、下記の一般式(I);
そして、本発明は、
(8) 前記の単量体(IIa)が、オキシラン環を有する化合物である前記(7)の製造方法;および、
(9) 前記の一般式(Ia)で表されるオキシラン環を有する脂環式単量体(Ia)が、下記の一般式(Ia−1);
(8) 前記の単量体(IIa)が、オキシラン環を有する化合物である前記(7)の製造方法;および、
(9) 前記の一般式(Ia)で表されるオキシラン環を有する脂環式単量体(Ia)が、下記の一般式(Ia−1);
本発明の脂環式ポリエーテル系重合体は、高いガラス転移温度を有していて耐熱性に優れ、透明性が高く、吸水性が低く、耐アルカリ性に優れ、しかもエーテル結合を有していて各種基材との密着性や接着性に優れているため、光学材料、ランプユニット、電気・電子材料をはじめとして、種々の用途に有効に使用することができる。
本発明の方法により、前記した優れた特性を兼ね備える本発明の脂環式ポリエーテル系重合体を、水素添加処理などの特別の工程を要することなく、簡単に製造することができる。
本発明の方法により、前記した優れた特性を兼ね備える本発明の脂環式ポリエーテル系重合体を、水素添加処理などの特別の工程を要することなく、簡単に製造することができる。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の脂環式ポリエーテル系重合体は、下記の一般式(I);
本発明の脂環式ポリエーテル系重合体は、下記の一般式(I);
(式中、R1〜R14はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基であり、pは1または2、qは0または1である。)
で表される脂環式エーテル構造単位(I)の1種または2種以上だけを繰り返し構造単位とする脂環式エーテル構造単位(I)100質量%の重合体であるか、または前記の脂環式エーテル構造単位(I)の1種または2種以上を脂環式ポリエーテル系重合体の全質量に基づいて50質量%以上の割合で有する、脂環式エーテル構造単位(I)と下記の一般式(II);
[式中、Eは、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基(但し、−E−O−が前記の一般式(I)と同じ構造単位になる炭化水素基を除く)を示す。]
で表されるエーテル構造単位(II)とからなる共重合体である。
本発明の脂環式ポリエーテル系重合体は、耐熱性がより高くなる点から、脂環式ポリエーテル系重合体の質量に基づいて、脂環式エーテル構造単位(I)の1種または2種以上を70質量%以上の割合で有していることが好ましく、80質量%以上の割合で有していることがより好ましく、100質量%の割合で有していることが更に好ましい。
上記の一般式(I)において、R1〜R14はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基であり、pは1または2、およびqは0または1である。
R1〜R14のうちの1つまたは2つ以上が1価の有機基である場合の有機基の代表例としては、1価の炭化水素基、極性基によって置換された1価の炭化水素基、式:−COOR15(式中R15は水素原子、1価の炭化水素基を示す)で表される基などを挙げることができる。
原料である単量体またはそのための前駆体化合物の入手容易性、重合体の製造の容易性などの点から、R1〜R14は水素原子および/または炭素数1〜10の炭化水素基であることが好ましく、水素原子および/または炭素数1〜4のアルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチルなど)であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
そのうちでも、本発明の脂環式ポリエーテル系重合体は、上記の一般式(I)で表される脂環式エーテル構造単位(I)において、pが1で且つqが0である、下記の一般式(I−1);
R1〜R14のうちの1つまたは2つ以上が1価の有機基である場合の有機基の代表例としては、1価の炭化水素基、極性基によって置換された1価の炭化水素基、式:−COOR15(式中R15は水素原子、1価の炭化水素基を示す)で表される基などを挙げることができる。
原料である単量体またはそのための前駆体化合物の入手容易性、重合体の製造の容易性などの点から、R1〜R14は水素原子および/または炭素数1〜10の炭化水素基であることが好ましく、水素原子および/または炭素数1〜4のアルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチルなど)であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
そのうちでも、本発明の脂環式ポリエーテル系重合体は、上記の一般式(I)で表される脂環式エーテル構造単位(I)において、pが1で且つqが0である、下記の一般式(I−1);
[式中、R1〜R14は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基、好ましくは水素原子および/または炭素数1〜10の1価の炭化水素基、より好ましくは水素原子および/または炭素数1〜10(特に炭素数1〜4)のアルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチルなど)、更に好ましくは水素原子である。]
で表される脂環式エーテル構造単位(I−1)の1種または2種以上のみからなる重合体、或いは当該脂環式エーテル構造単位(I−1)の1種または2種以上を50質量%以上、更には70質量%以上、特に80質量%以上の割合で有し且つ下記の一般式(II);
(式中、Eは上記と同じ。)
で表されるエーテル構造単位(II)の1種または2種以上を50質量%以下、更には30質量%以下、特に20質量%以下の割合で有する重合体であることが、脂環式ポリエーテル系重合体の製造の容易性、耐熱性などの点から好ましい。
一般式(I)で表される脂環式エーテル構造単位(I)、そのうちでも特に一般式(I−1)で表される脂環式エーテル構造単位(I−1)の具体例としては、オキシラン環を有する脂環式単量体(Ia)、特に脂環式単量体(Ia−1)として後で具体的に例示するオキシラン環含有脂環式単量体の1種または2種以上に由来する構造単位を挙げることができる。
本発明の脂環式ポリエーテル系重合体が、上記のエーテル構造単位(II)の1種または2種以上を50質量%以下の割合で有するものである場合は、エーテル構造単位(II)は前記の一般式(II)で表される構造単位を有するものであればいずれでもよいが、そのうちでもオキシラン環(エチレンオキサイド環)を有する化合物に由来する構造単位であることが、原料の入手容易性、本発明の脂環式ポリエーテル系重合体の製造の容易性などの点から好ましく、特に脂環を構成する隣り合う2個の炭素原子に1個の酸素がまたがって結合してオキシラン環を形成している化合物に由来するエーテル構造単位であることが、得られる脂環式ポリエーテル系重合体の耐熱性が高くなる点から好ましい。
エーテル構造単位(II)の具体例としては、エーテル構造単位(II)を形成する単量体(IIa)として後で具体的に例示する単量体、特にオキシラン環を有する単量体の1種または2種以上に由来する構造単位を挙げることができる。
エーテル構造単位(II)の具体例としては、エーテル構造単位(II)を形成する単量体(IIa)として後で具体的に例示する単量体、特にオキシラン環を有する単量体の1種または2種以上に由来する構造単位を挙げることができる。
本発明の脂環式ポリエーテル系重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算で求めた重量平均分子量が、1000以上、特に1500以上であることが耐熱性、低吸水性などの点から好ましく、耐熱性、低吸水性、製造の容易性などの点からは2000〜1000000であることがより好ましい。
また、本発明の脂環式ポリエーテル系重合体は、耐熱性などの点から、ガラス転移温度が130℃以上であることが好ましく、165℃以上であることがより好ましく、175℃以上であることが更に好ましい。
本発明の脂環式ポリエーテル系重合体は、下記の一般式(Ia);
(式中、R1〜R14はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基であり、pは1または2、qは0または1である。)
で表されるオキシラン環を有する脂環式単量体(Ia)の1種または2種以上のみを用いるか、または前記の脂環式単量体(Ia)の1種または2種以上と開環して上記の一般式(II)で表されるエーテル構造単位(II)を形成する単量体(IIa)の1種または2種以上との単量体混合物であって脂環式単量体(Ia)の含有割合が50質量%以上である単量体混合物を用いて、それらの単量体または単量体混合物を、開環重合触媒の存在下に開環重合する本発明の方法によって製造することができる。
上記の一般式(Ia)で表されるオキシラン環を有する脂環式単量体(Ia)において、R1〜R14のうちの1つまたは2つ以上が1価の有機基である場合の代表例としては、1価の炭化水素基、極性基によって置換された1価の炭化水素基、式:−COOR15[式中R15は水素原子、1価の炭化水素基を示す(好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチルなどの炭素数1〜4のアルキル基)]で表される基などを挙げることができる。
一般式(Ia)で表されるオキシラン環を有する脂環式単量体(Ia)としては、R1〜R14が水素原子および/または炭素数1〜10の炭化水素基である単量体が好ましく、R1〜R14が水素原子および/または炭素数1〜4のアルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチルなど)である単量体がより好ましく、R1〜R14のすべてが水素原子である単量体が更に好ましい。
そのうちでも、オキシラン環を有する脂環式単量体(Ia)としては、上記の一般式(Ia)において、pが1で且つqが0である、下記の一般式(Ia−1);
一般式(Ia)で表されるオキシラン環を有する脂環式単量体(Ia)としては、R1〜R14が水素原子および/または炭素数1〜10の炭化水素基である単量体が好ましく、R1〜R14が水素原子および/または炭素数1〜4のアルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチルなど)である単量体がより好ましく、R1〜R14のすべてが水素原子である単量体が更に好ましい。
そのうちでも、オキシラン環を有する脂環式単量体(Ia)としては、上記の一般式(Ia)において、pが1で且つqが0である、下記の一般式(Ia−1);
本発明の脂環式ポリエーテル系重合体の製造に用い得る、上記の一般式(Ia)または一般式(Ia−1)で表されるオキシラン環を有する脂環式単量体(Ia)または脂環式単量体(Ia−1)の具体例としては、テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−エポキシ−ドデカン、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .02,7 .09,14]−4−エポキシ−ヘプタデカン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,14]−4−エポキシ−ヘキサデカン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]―4―エポキシ−ペンタデカン、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9 .14,7 .111,17 .03,8 .012,16 ]−5−エポキシ−エイコサン、ペンタシクロ[4.7.0.12,5 .08,13.19,12]―3―エポキシ−ペンタデカン、8−カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−エポキシ−ドデカン、8−カルボキシエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−エポキシ−ドデカン、8−カルボキシn−プロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−エポキシ−ドデカン、8−カルボキシイソプロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−エポキシ−ドデカン、8−カルボキシn−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−エポキシ−ドデカン、8−メチル−8−カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−エポキシ−ドデカン、8−メチル−8−カルボキシエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−エポキシ−ドデカン、8−メチル−8−カルボキシn−プロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−エポキシ−ドデカン、8−メチル−8−カルボキシイソプロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−エポキシ−ドデカン、8−メチル−8−カルボキシn−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−エポキシ−ドデカン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−エポキシ−ドデカン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−エポキシ−ドデカン、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−エポキシ−ドデカン、8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−エポキシ−ドデカン、5,10−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−エポキシ−ドデカン、ペンタシクロ[8.4.0.12,5 .19,12.08,13]−3−エポキシ−ヘキサデカン、ペンタシクロ[7.4.0.12,5 .19,12.08,13]−3−エポキシ−ペンタデカン、ヘプタシクロ[8.7.0.13,6 .110,17 .112,15 .02,7 .011,16 ]−4−エポキシ−エイコサン、ヘプタシクロ[8.8.0.14,7 .111,13 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−エポキシ−ヘンエイコサンなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
これらの化合物は、市販のものを用いてもよいし、またはそれぞれの化合物に該当する原料化合物(エポキシ基に相当する部分が不飽和二重結合になっているそれぞれの化合物に該当する構造を有する原料化合物)を酸化して、不飽和二重結合部分をエポキシ基に変えることによって製造することができる。
これらの化合物は、市販のものを用いてもよいし、またはそれぞれの化合物に該当する原料化合物(エポキシ基に相当する部分が不飽和二重結合になっているそれぞれの化合物に該当する構造を有する原料化合物)を酸化して、不飽和二重結合部分をエポキシ基に変えることによって製造することができる。
前記した脂環式単量体のうちでも、脂環式単量体(Ia)としては、テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−エポキシ−ドデカンが、脂環式単量体(Ia)の製造の容易性、脂環式単量体(Ia)を製造するための原料の入手容易性、得られる脂環式ポリエーテル系重合体の耐熱性などの点から好ましく用いられる。
また、一般式(II)で表されるエーテル構造単位(II)を形成する単量体(IIa)の具体例としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイド類;エポキシシクロペンタン、エポキシシクロヘプタン、エポキシシクヘキサン、エポキシシクロオクタン、1,2−エポキシ−4−メチルシクロオクタン、1,2−エポキシ−1−メチル−4−エチルシクロオクタン、エポキシ−1,6−ジメチルシクロオクタン、1,2−エポキシ−5−メチルシクロオクタン、1,2−エポキシ−1,5−ジメチルシクロオクタン、1,2−エポキシ−4,8−ジメチルシクロオクタン、ノルボルネンエポキシド、5,6−ジヒドロジシクロペンタジエンエポキシド等の環状エポキシドなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
そのうちでも、シクロヘキセンオキシド、エポキシシクロオクタンなどの脂環式エポキシ化合物を用いることが、耐熱性に優れる脂環式ポリエーテル系重合体が得られる点から好ましい。
そのうちでも、シクロヘキセンオキシド、エポキシシクロオクタンなどの脂環式エポキシ化合物を用いることが、耐熱性に優れる脂環式ポリエーテル系重合体が得られる点から好ましい。
上記したオキシラン環を有する脂環式単量体(Ia)の1種または2種を単独で用いるか、または脂環式単量体(Ia)と単量体(IIa)を用いて本発明の脂環式ポリエーテル系重合体を製造するための重合法(すなわち開環重合法)としては、カチオン重合法、アニオン重合法、配位重合法などを挙げることができる。
カチオン重合法で脂環式ポリエーテル系重合体を製造する場合の重合触媒として、公知のルイス酸またはプロトン酸を使用することができ、当該重合触媒の具体例としては、BF3、BF3OEt2、BBr3、BBr3OEt2、AlCl3、AlBr3、AlI3、TiCl4、TiBr4、TiI4、FeCl3、FeCl2、SnCl2、SnCl4、WCl6、MoCl5、SbCl5、TeCl2などの周期律表IIIA族からVIII族までの金属ハロゲン化合物;HF、HCl、HBrなどの水素酸;H2SO4、H3BO3、HClO4、CH3COOH、CH2ClCOOH、CHCl2COOH、CCl3COOH、CF3COOH、パラトルエンスルホン酸、CF3SO3H、H3PO4、P2O5などのオキソ酸、およびこれらの基を有するイオン交換樹脂などの高分子化合物;燐モリブデン酸、燐タングステン酸などのヘテロポリ酸;SiO2、Al2O3、SiO2−Al2O3、MgO−SiO2、B2O3−Al2O3、WO3−Al2O3、Zr2O3−SiO2、硫酸化ジルコニア、タングステン酸ジルコニア、H+または希土類元素と交換したゼオライト、活性白土、酸性白土、γ−Al2O3、P2O5をケイソウ土と担持させた固体燐などの固体酸などを挙げることができる。これらの酸性化合物は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよいし、また他の化合物と併用してもよい。その場合の他の化合物としては、当該化合物を添加することによって酸性化合物の活性を向上させることのできる化合物などであり、そのような化合物の具体例としては、MeLi、EtLi、BuLi、Et2Mg、EtMgBr、Et3Al、Et2AlCl、EtAlCl2、Et3Al2Cl3、(i−Bu)3Al、Et2Al(OEt)、Me4Sn、Et4Sn、Bu4Sn、Bu3SnClなどの金属アルキル化合物などを挙げることができる。
アニオン重合法によって本発明の脂環式ポリエーテル系重合体を製造する場合に使用可能な重合触媒の具体例としては、例えば、リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド;ナフタレンナトリウム、アルキルリチウム、アルキルカリウム等の有機アルカリ金属などが挙げられる。
配位重合法によって本発明の脂環式ポリエーテル系重合体を製造する場合に使用可能な重合触媒の具体例としては、アルミニウムアルコキシド系触媒;トリエチルアルミニウム−水、メチルアルミノオキサン−水等の、エチルアルミニウムハライド−水等の有機アルミニウム−水系触媒;トリエチルアルミニウム−メタノール、エチルアルミニウムハライド−メタノール、テトラフェニルポルフィリンアルミニウム錯体−メタノール等の有機アルミニウム−アルコール系触媒;トリエチルアルミニウム−トリエチルアミン、エチルアルミニウムハライド−トリエチルアミンなどの有機アルミニウム−アミン系触媒;ジエチル亜鉛−メタノール等のアルキル亜鉛−アルコール系触媒、トリイソプロポキシアルミニウム−塩化亜鉛などのアルミニウムアルコキシド−塩化亜鉛系触媒などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
本発明の脂環式ポリエーテル系重合体の製造に当たっては、前記したカチオン重合法、アニオン重合法、配位重合法のうちでも、配位重合法が、高分子量で、耐熱性により優れる脂環式ポリエーテル系重合体を製造できる点から好ましく採用される。
重合触媒の使用量は、オキシラン環を有する脂環式単量体(Ia)および単量体(IIa)の種類、使用割合、触媒の種類、目的とする脂環式ポリエーテル系重合体の分子量などによって異なり得るが、一般的には、単量体100質量部に対し、0.001〜1000質量部であることが好ましく、0.01〜100質量部であることがより好ましく、0.01〜10質量部であることが更に好ましい。重合触媒の使用量が少な過ぎると開環反応の進行が遅く、重合に時間がかかったり、目的とする脂環式ポリエーテル系重合体が得られにくくなり、一方多すぎるとコストの上昇などを招き、不経済である。
本発明の脂環式ポリエーテル系重合体の製造に当たっては、オキシラン環を有する脂環式単量体(Ia)の1種または2種以上を有機溶媒に溶解させるか、または脂環式単量体(Ia)の1種または2種以上と単量体(IIa)の1種または2種以上を有機溶媒に溶解させた後、上記した重合触媒を不活性ガス雰囲気下で溶液に添加して、重合を行うのがよい。有機溶媒の種類は特に制限されず、前記した単量体を溶解し、しかも重合触媒の失活などを招かない不活性な有機溶媒であればいずれでもよく、具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;塩化メチル、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒;エステル、エーテルなどの含酸素系有機溶媒などを挙げることができる。反応性を考慮すると、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒などが好ましい。これらの溶媒は単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
重合反応に用いる有機溶媒を使用量は特に限定されないが、一般的には単量体100質量部に対して100〜10000質量部が好ましく、150〜5000質量部がより好ましく、200〜3000重量部が更に好ましい。有機溶媒の使用量が少なすぎると、重合系への重合触媒を均一に混合することが困難になって反応に斑が生じて、品質の均一な樹脂が得られにくくなり、しかも反応の制御が困難になり易い。一方、有機溶媒の使用量が多すぎると、生産性の低下が生じ易い。
重合温度は通常−40℃〜200℃が好ましく、0℃〜150℃がより好ましく、20℃〜130℃が更に好ましい。反応温度が低すぎると反応の進行が遅くなり易く、一方高すぎると反応の制御が困難で、再現性が得られにくくなる。
重合反応を行う際の反応圧力は特に限定されないが、一般的には、0.05〜5MPa(0.5〜50気圧)が好ましく、0.07〜1MPa(0.7〜10気圧)がより好ましい。かかる点から、本発明の脂環式ポリエーテル系重合体を製造するための重合反応は、常圧下で良好に進行する。
重合時間は、特に限定されず、用いる脂環式単量体(Ia)および単量体(IIa)の種類や量、重合触媒の種類や量、反応温度、反応圧力などに応じて、所望する性能の重合体が得られるように、反応時間を適宜決めればよい。一般的には、0.01時間〜24時間、好ましくは0.2時間〜10時間が採用される。
重合反応(開環重合)により生成した脂環式ポリエーテル系重合体は、例えば、再沈澱、加熱下での溶媒除去、減圧下での溶媒除去、水蒸気による溶媒の除去(スチームストリッピング)などのような、重合体を溶液から単離するために通常採用されている方法によって、反応混合物から分離・取得することができる。
本発明の脂環式ポリエーテル系重合体は、その優れた耐熱性、低吸水性、透明性などの特質を活かして種々の用途に使用することができ、そのうちでも各種の光学材料、ランプユニット、電気・電子材料などとして使用することができる。限定されるものではないが、本発明の脂環式ポリエーテル系重合体の用途としては、例えば、レンズ、非球面レンズ、フレネルレンズ、銀塩カメラ用レンズ、デジタル電子カメラ用レンズ、ビデオカメラ用レンズ、プロジェクター用レンズ、複写機用レンズ、携帯電話用カメラレンズ、メガネ用レンズ、コンタクトレンズ、青色発光ダイオードを使用するデジタル光ディスク装置用非球面ピックアップレンズ、ロッドレンズ、ロッドレンズアレー、マイクロレンズ、マイクロレンズアレー、比較的高温の熱環境下で使用する上記の各種レンズ、各種レンズアレー、ステップインデックス型、グラジエントインデックス型、シングルモード型、マルチコア型、偏波面保存型、側面発光型などの光ファイバー、光ファイバーコネクタ、光ファイバー用接着剤、デジタル光ディスク(コンパクトディスク、光磁気ディスク、デジタルディスク、ビデオディスク、コンピュータディスク、青色発光ダイオード等)などの各種ディスク基板、液晶用偏光フィルム、バックライト用またはフロントライト用液晶用導光板、液晶用光拡散板、異なる屈折率を有する微粒子を分散させた液晶用光拡散板、液晶用ガラス基板代替フィルム、位相差フィルム、液晶用位相差板、携帯電話の液晶用導板、有機エレクトロルミネッセンス用位相差板、液晶用カラーフィルター、フラットパネルディスプレー用反射防止フィルム、タッチパネル用基板、透明導電性フィルム、反射防止フィルム、防げんフィルム、電子ペーパー用基板、有機エレクトロルミネッセンス用基板、プラズマディスプレー用前面保護板、プラズマディスプレー用電磁波防止板、フィールドエミッションディスプレー用前面保護板、圧電素子を使用し特定部位の光を前面拡散させる導光板、偏光子、検光子等を構成するプリズム、回折格子、内視鏡、高エネルギーレーザーを導波する内視鏡、ダハミラーに代表されるカメラ用ミラーもしくはハーフミラー、自動車用ヘッドライトレンズ、自動車用ヘッドライト用リフレクター、太陽電池用前面保護板、住宅用窓ガラス、移動体(自動車、電車、船舶、航空機、宇宙船、宇宙基地、人工衛星等)用窓ガラス、窓ガラス用反射防止フィルム、半導体露光時の防塵フィルム、電子写真感光材用保護フィルム、紫外光により書き込みもしくは書き換え可能な半導体(EPROM等)封止材、発光ダイオード封止材、紫外光発光ダイオード封止材、白色発光ダイオード封止材、SAWフィルター、光学的バンドパスフィルター、第二次高調波発生体、カー効果発生体、光スイッチ、光インターコネクション、光アイソレーター、光導波路、有機エレクトロルミネッセンスを使用した面発光体、半導体微粒子を分散させた面発光体、蛍光物質を溶解または分散させた蛍光体などを挙げることができる。
本発明の脂環式ポリエーテル系重合体は、他の成分を加えずに単独で使用することもできるし、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリオレフィン、ポリスチレン、スチレン系ブロック共重合体などの他の重合体と配合した組成物として使用することもできる。
また、本発明の脂環式ポリエーテル系重合体に、安定剤、滑剤、顔料、耐衝撃性改良剤、加工助剤、補強剤、着色剤、難燃剤、耐候性改良剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防かび剤、抗菌剤、光安定剤、耐電防止剤、シリコンオイル、ブロッキング防止剤、離型剤、発泡剤、香料などの各種添加剤;ガラス繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維などの各種繊維;炭素繊維、アルミナ繊維、タルク、マイカ、モンモリロナイト、スメクタイト、シリカ、木粉などの充填剤;各種カップリング剤などの任意成分の1種または2種以上を必要に応じて配合することができる。
また、本発明の脂環式ポリエーテル系重合体に、安定剤、滑剤、顔料、耐衝撃性改良剤、加工助剤、補強剤、着色剤、難燃剤、耐候性改良剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防かび剤、抗菌剤、光安定剤、耐電防止剤、シリコンオイル、ブロッキング防止剤、離型剤、発泡剤、香料などの各種添加剤;ガラス繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維などの各種繊維;炭素繊維、アルミナ繊維、タルク、マイカ、モンモリロナイト、スメクタイト、シリカ、木粉などの充填剤;各種カップリング剤などの任意成分の1種または2種以上を必要に応じて配合することができる。
以下に、本発明を実施例などによりさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例などに何ら限定されない。なお、以下の実施例および比較例における各物性値は、下記の方法により測定した。
(1)重合体の組成:
以下の実施例または比較例で得られた重合体について、その組成(重合体を構成する各構造単位の質量比)を、NMR装置(日本電子データム社製「JNM−LA400型」)を使用して、溶媒としてCDCl3を用いて、1H−NMRスペクトルにより求めた。
以下の実施例または比較例で得られた重合体について、その組成(重合体を構成する各構造単位の質量比)を、NMR装置(日本電子データム社製「JNM−LA400型」)を使用して、溶媒としてCDCl3を用いて、1H−NMRスペクトルにより求めた。
(2)重合体の重量平均分子量:
以下の実施例または比較例で得られた重合体について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置として東ソー株式会社製「HLC−8020(品番)」を使用し、カラムとして東ソー株式会社製「TSKgel GMH−M」を2本と「G2000H」1本を直列に連結したものを使用して、ポリスチレン換算で重合体の重量平均分子量を測定した。
以下の実施例または比較例で得られた重合体について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置として東ソー株式会社製「HLC−8020(品番)」を使用し、カラムとして東ソー株式会社製「TSKgel GMH−M」を2本と「G2000H」1本を直列に連結したものを使用して、ポリスチレン換算で重合体の重量平均分子量を測定した。
(3)重合体のガラス転移温度(Tg):
以下の実施例または比較例で得られた重合体を、100℃で3分間加熱・乾燥して溶媒を除去した後、示差走査熱量測定法(DSC)(メトラートレド社製「DSC30」)を使用して測定した。
具体的には、窒素気流下(100ml/分)に、重合体試料を25℃から昇温速度10℃/分で200℃まで昇温して図1に例示するようなDSCカーブを得、次に図1に示すDSCカーブの中央接線4と転移前のベースライン5の交点を通り温度軸2に対して平行な平行線7と、中央接線4と転移後のベースライン6の交点を通り温度軸2に対して平行な平行線8を引き、2本の平行線7および8を2等分する平行線9とDSCカーブの交点における温度3をガラス転移温度(Tg)とした。
以下の実施例または比較例で得られた重合体を、100℃で3分間加熱・乾燥して溶媒を除去した後、示差走査熱量測定法(DSC)(メトラートレド社製「DSC30」)を使用して測定した。
具体的には、窒素気流下(100ml/分)に、重合体試料を25℃から昇温速度10℃/分で200℃まで昇温して図1に例示するようなDSCカーブを得、次に図1に示すDSCカーブの中央接線4と転移前のベースライン5の交点を通り温度軸2に対して平行な平行線7と、中央接線4と転移後のベースライン6の交点を通り温度軸2に対して平行な平行線8を引き、2本の平行線7および8を2等分する平行線9とDSCカーブの交点における温度3をガラス転移温度(Tg)とした。
(4)重合体の全光線透過率:
以下の実施例または比較例で得られた重合体を用いて厚さ1mmのプレス板を作製し、当該プレス板について、ヘーズメータ(村上色彩社製「HR−100型 ヘーズメータ」)を使用して全光線透過率(%)を測定した。
以下の実施例または比較例で得られた重合体を用いて厚さ1mmのプレス板を作製し、当該プレス板について、ヘーズメータ(村上色彩社製「HR−100型 ヘーズメータ」)を使用して全光線透過率(%)を測定した。
《参考例1》(テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−エポキシ−ドデカンの製造)
温度計、滴下ロート、還流管および攪拌機を装着した500ml容の三つ口フラスコに、テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン(東京化成製)5.9g(0.037mol)と炭酸水素ナトリウム3.6g(0.042mol)およびクロロホルム300mlを入れて混合溶液を調製し、氷冷にて0℃に保持した。この溶液に、攪拌下に、m−クロロ−過安息香酸7.0g(0.040mol)を徐々に添加し、氷冷した状態で30分攪拌した後、室温でさらに24時間攪拌した。析出した固体をろ過、洗浄した後、反応溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液500mlに投入し、クロロホルム300mlで3回抽出後、有機相を1つにまとめて減圧下に溶媒を留去した。その後、減圧下に精密蒸留を行って(温度92℃、圧力0.5kPa)、テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−エポキシ−ドデカン5.9g(収率90%)を得た。
テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−エポキシ−ドデカンが生成したことの分析は、1H−NMRを用いて行った。それにより得られた1H−NMRスペクトルを図2に示す。図2に基づく分析結果は次のとおりである。
・1H−NMR(溶媒CDCl3):δ3.18(s,2,CH−O)、δ2.58(s,2,CH)、δ2.26(s,2,CH)、δ0.58〜1.9(m,10)
温度計、滴下ロート、還流管および攪拌機を装着した500ml容の三つ口フラスコに、テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン(東京化成製)5.9g(0.037mol)と炭酸水素ナトリウム3.6g(0.042mol)およびクロロホルム300mlを入れて混合溶液を調製し、氷冷にて0℃に保持した。この溶液に、攪拌下に、m−クロロ−過安息香酸7.0g(0.040mol)を徐々に添加し、氷冷した状態で30分攪拌した後、室温でさらに24時間攪拌した。析出した固体をろ過、洗浄した後、反応溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液500mlに投入し、クロロホルム300mlで3回抽出後、有機相を1つにまとめて減圧下に溶媒を留去した。その後、減圧下に精密蒸留を行って(温度92℃、圧力0.5kPa)、テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−エポキシ−ドデカン5.9g(収率90%)を得た。
テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−エポキシ−ドデカンが生成したことの分析は、1H−NMRを用いて行った。それにより得られた1H−NMRスペクトルを図2に示す。図2に基づく分析結果は次のとおりである。
・1H−NMR(溶媒CDCl3):δ3.18(s,2,CH−O)、δ2.58(s,2,CH)、δ2.26(s,2,CH)、δ0.58〜1.9(m,10)
《実施例1》
(1) 十分乾燥したガラス製コック付フラスコに、窒素気流下で参考例1で製造したテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−エポキシ−ドデカン(以下、「TCED」と略す)100質量部を加え、さらに十分乾燥したトルエン60質量部を加え、−40℃に冷却した後、撹拌しながら窒素気流下でメチルアルミノキサン(7.5質量%トルエン溶液:東ソーファインケミカル社製)を60質量部添加して重合を開始した。−40℃でさらに20時間反応させた後、メタノール10質量部を添加して反応を終了させた。得られた重合溶液を3質量%塩酸水溶液200質量部で2回分液洗浄した後、さらに蒸留水を加えて水層が中性になるまで洗浄して触媒を除去した。得られたトルエン層をメタノールに再沈後、十分に乾燥して(温度120℃で120分間乾燥)、重合体[以下「重合体(A1)」という]を得た(収率15%)。
(2) 上記(1)で得られた重合体(A1)の重量平均分子量、ガラス転移温度および全光線透過率を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(1) 十分乾燥したガラス製コック付フラスコに、窒素気流下で参考例1で製造したテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−エポキシ−ドデカン(以下、「TCED」と略す)100質量部を加え、さらに十分乾燥したトルエン60質量部を加え、−40℃に冷却した後、撹拌しながら窒素気流下でメチルアルミノキサン(7.5質量%トルエン溶液:東ソーファインケミカル社製)を60質量部添加して重合を開始した。−40℃でさらに20時間反応させた後、メタノール10質量部を添加して反応を終了させた。得られた重合溶液を3質量%塩酸水溶液200質量部で2回分液洗浄した後、さらに蒸留水を加えて水層が中性になるまで洗浄して触媒を除去した。得られたトルエン層をメタノールに再沈後、十分に乾燥して(温度120℃で120分間乾燥)、重合体[以下「重合体(A1)」という]を得た(収率15%)。
(2) 上記(1)で得られた重合体(A1)の重量平均分子量、ガラス転移温度および全光線透過率を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
《実施例2》
(1) 実施例1で用いたTCED100質量部の代わりに、TCED80質量部とシクロヘキセンオキシド(以下「CHO」と略す)和光純薬製)20質量部の混合物を用い、それ以外は実施例1と同様にして重合体[以下「重合体(A2)」という]を得た(収率21%)。
(2) 上記(1)で得られた重合体(A2)の組成(重合体を構成するTCED由来の構造単位とCHO由来の構造単位の質量比)、重量平均分子量、ガラス転移温度および全光線透過率を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(1) 実施例1で用いたTCED100質量部の代わりに、TCED80質量部とシクロヘキセンオキシド(以下「CHO」と略す)和光純薬製)20質量部の混合物を用い、それ以外は実施例1と同様にして重合体[以下「重合体(A2)」という]を得た(収率21%)。
(2) 上記(1)で得られた重合体(A2)の組成(重合体を構成するTCED由来の構造単位とCHO由来の構造単位の質量比)、重量平均分子量、ガラス転移温度および全光線透過率を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
《比較例1》
(1) 実施例1で用いたTCED100質量部の代わりに、TCED30質量部とCHOの70質量部の混合物を用い、それ以外は実施例1と同様にして重合体[以下「重合体(B1)」という]を得た(収率37%)。
(2) 上記(1)で得られた重合体(B1)の組成(重合体を構成するTCED由来の構造単位とCHO由来の構造単位の質量比)、重量平均分子量、ガラス転移温度および全光線透過率を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(1) 実施例1で用いたTCED100質量部の代わりに、TCED30質量部とCHOの70質量部の混合物を用い、それ以外は実施例1と同様にして重合体[以下「重合体(B1)」という]を得た(収率37%)。
(2) 上記(1)で得られた重合体(B1)の組成(重合体を構成するTCED由来の構造単位とCHO由来の構造単位の質量比)、重量平均分子量、ガラス転移温度および全光線透過率を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
《比較例2》
(1) 単量体として5,6−ジヒドロジシクロペンタジエンエポキシド(以下「DCPE」と略す)を使用した以外は実施例1と同様にして重合体[以下「重合体(B2)」という]を得た(収率18%)。
(2) 上記(1)で得られた重合体(B2)の重量平均分子量、ガラス転移温度および全光線透過率を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(1) 単量体として5,6−ジヒドロジシクロペンタジエンエポキシド(以下「DCPE」と略す)を使用した以外は実施例1と同様にして重合体[以下「重合体(B2)」という]を得た(収率18%)。
(2) 上記(1)で得られた重合体(B2)の重量平均分子量、ガラス転移温度および全光線透過率を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
本発明の脂環式ポリエーテル系重合体は、高いガラス転移温度を有していて耐熱性に優れ、透明性が高く、吸水性が低く、耐アルカリ性に優れ、しかもエーテル結合を有していて各種基材との密着性や接着性に優れているため、光学材料、ランプユニット、電気・電子材料をはじめとして、種々の用途に有用である。
1 発熱方向
2 温度(温度軸)
3 ガラス転移温度(Tg)
4 中央接線
5 転移前のベースライン
6 転移後のベースライン
7 中央接線と転移前のベースラインの交点を通る平行線
8 中央接線と転移後のベースラインの交点を通る平行線
9 平行線7と平行線9を2等分する平行線
2 温度(温度軸)
3 ガラス転移温度(Tg)
4 中央接線
5 転移前のベースライン
6 転移後のベースライン
7 中央接線と転移前のベースラインの交点を通る平行線
8 中央接線と転移後のベースラインの交点を通る平行線
9 平行線7と平行線9を2等分する平行線
Claims (10)
- 重量平均分子量が1000以上である請求項1に記載の脂環式ポリエーテル系重合体。
- ガラス転移温度が165℃以上である請求項1または2に記載の脂環式ポリエーテル系重合体。
- エーテル構造単位(II)が、オキシラン環を有する化合物に由来する構造単位である請求項1〜3のいずれか1項に記載の脂環式ポリエーテル系重合体。
- 前記の一般式(I)または一般式(I−1)において、R1〜R14がそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜10の1価の炭化水素基である請求項1〜5のいずれか1項に記載の脂環式ポリエーテル系重合体。
- 下記の一般式(Ia);
(式中、R1〜R14はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基であり、pは1または2、qは0または1である。)
で表されるオキシラン環を有する脂環式単量体(Ia)の1種または2種以上のみを用いるか、または前記の脂環式単量体(Ia)の1種または2種以上と開環して下記の一般式(II);
[式中、Eは、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基(但し、−E−O−が脂環式単量体(Ia)に由来する構造単位と同じ構造になる炭化水素基を除く)を示す。]
で表されるエーテル構造単位(II)を形成する単量体(IIa)の1種または2種以上との単量体混合物であって脂環式単量体(Ia)の含有割合が50質量%以上である単量体混合物を用いて、開環重合触媒の存在下に開環重合することを特徴とする、下記の一般式(I);
(式中、R1〜R14、pおよびqは前記と同じ。)
で表される脂環式エーテル構造単位(I)のみからなる重合体、または前記の脂環式エーテル構造単位(I)と下記の一般式(II);
(式中、Eは前記と同じ。)
で表されるエーテル構造単位(II)とからなり脂環式エーテル構造単位(I)の含有割合が50質量%以上である重合体よりなる脂環式ポリエーテル系重合体の製造方法。 - 前記の単量体(IIa)が、オキシラン環を有する化合物である請求項7に記載の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の脂環式ポリエーテル系重合体を用いてなる光学材料。
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JP2006311205A Pending JP2008127414A (ja) | 2006-11-17 | 2006-11-17 | 脂環式ポリエーテル系重合体およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008127414A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013053194A (ja) * | 2011-09-01 | 2013-03-21 | Yamagata Univ | 芳香族ポリケトンの製造方法と芳香族ポリケトン |
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2006
- 2006-11-17 JP JP2006311205A patent/JP2008127414A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013053194A (ja) * | 2011-09-01 | 2013-03-21 | Yamagata Univ | 芳香族ポリケトンの製造方法と芳香族ポリケトン |
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