JP2008127346A - 自己免疫疾患、炎症および神経疾患を治療および予防するための医薬 - Google Patents

自己免疫疾患、炎症および神経疾患を治療および予防するための医薬 Download PDF

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忠彦 加藤
Hitoshi Kurihara
仁 栗原
Akira Asari
晃 浅利
Hibiki Takahashi
響 高橋
Hiroko Yamanoguchi
裕子 山之口
Masaki Kosemura
政樹 小瀬村
Takahiro Tsukasa
孝浩 政
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Abstract

【課題】 自己免疫疾患、炎症および/または神経疾患を治療および/または予防するための医薬を提供することを目的とする。
【解決手段】 自己免疫疾患、炎症および/または神経疾患を治療および/または予防するための経鼻投与用医薬であって、ヒアルロナンを有効成分として含む医薬が提供される。特に、脱髄性疾患が、多発性硬化症であることが好ましく、ヒアルロナンが、4糖のヒアルロナンであるD−グルクロン酸−β−1,3−D−N−アセチルグルコサミン−β−1,4−D−グルクロン酸−β−1,3−D−N−アセチルグルコサミンであることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、自己免疫疾患、炎症および/または神経疾患を治療および/または予防するための医薬に関し、特に、多発性硬化症を治療および/または予防するための医薬に関する。
ヒアルロナンは、D−グルクロン酸とD−N−アセチルグルコサミンとの2糖繰り返し単位から構成されている多糖であり、長鎖の多糖のものばかりでなく、オリゴ糖のものも知られている。ヒアルロナンは、鶏冠、さい体、皮膚、関節液などの生体組織からの抽出液から、またはストレプトコッカス属等の細菌を用いる発酵法などにより製造することができる。ヒアルロナンは、毒性学的および免疫学的作用を示さず、医薬や化粧品として利用されている。例えば、ヒアルロナンを関節内に注射することにより関節炎を治療できることがよく知られている。以下、4糖のヒアルロナンをHA4と記載する。
HA4が、臓器保存剤として利用できることや、肝障害および胃潰瘍に対する治療、抑制効果を有することが報告されている(特許文献1:WO 2002/004471参照)。また、HA4が、ストレスタンパク発現増強作用および細胞死抑制作用を有することが知られている(非特許文献1:Xu H et al.参照)。
一方、多発性硬化症(MS: multiple sclerosis)は、多くは思春期から40歳代のあいだに発症し、歩くとふらつく、目がかすむ、二重に見える、尿が出にくい、および痛みやしびれなどの症状を示す。子供や若い人が多発性硬化症を発症する場合には、てんかんが出ることもある。多発性硬化症においては、症状を現す原因となる病巣が、大脳や脊髄神経に、一つ以上散在的に現れることがある。また、多発性硬化症は、空間的に病巣が散在しているだけでなく、時間的にも次々と症状が出たり消失を呈することがある。多発性硬化症の病態には免疫系が絡むことから、多発性硬化症は、自己免疫疾患や炎症の一つと捉えられている。また、多発性硬化症においては脊髄神経が侵されることから、多発性硬化症は神経疾患の一つとしても捉えられている。実験的自己免疫性脳脊髄炎(Experimental autoimmune encephalomyelitis: EAE)は中枢神経系の自己免疫疾患であり、ヒトの多発性硬化症の疾患モデルとして広く用いられている(非特許文献3:S. Youssef et al.参照)。
多発性硬化症は、このように寛解と再発をきたすヒトの中枢神経系の自己免疫疾患であり、炎症に伴って中枢神経系の髄鞘のみが崩壊する代表的な脱髄性疾患と知られている。近年、多発性硬化症の予防薬として、インターフェロンβ1bが使用されており、Th1系細胞からTh2系細胞への免疫シフトにより再発予防に効果があると考えられている(非特許文献2:Yong VW et al.参照)。しかしながら、当該医薬は高価であり、長期的に使用する際の経済的負担の大きさが問題となっている。さらに、当該医薬は、長期的に使用する際に、中和抗体が産生されることにより予防効果が低下することなどの問題を有している。このように、短期間の投与で長期に効果を示す多発性硬化症の治療薬および予防薬の開発が急務である。
WO 2002/004471 Xu H, Ito T, Tawada A, Maeda H, Yamanokuchi H, Isahara K, Yoshida K, Uchiyama Y, Asari A., "Effect of hyaluronan oligosaccharideson the expression of heat shock protein 72." J. BiolChem., (2002) 10; 277(19): 17308-14 Yong VW, Chabot S, Stuve O et al., "Interferon beta in treatment of multiple sclerosis. Mechanisms of action", Neurology, (1998) 51: 682-689 S. Youssef, O. Stuve, J.C. Patarroyo et al., "The HMG-CoA reductase inhibitor, atrovasratin, promotes a Th2 bias and reverses paralysis in central nervous system autoimmune disease", Nature, (2002) 420: 78-84
本発明は、自己免疫疾患、炎症および/または神経疾患を治療および/または予防するための医薬を提供することを目的とする。
本発明の一の側面によると、自己免疫疾患、炎症および/または神経疾患を治療および/または予防するための経鼻投与用医薬であって、ヒアルロナンを有効成分として含む医薬が提供される。
本発明にかかる医薬は、ヒアルロナンを有効成分とするものであるから、比較的安価にかつ容易に大量生産できる。さらに、ヒアルロナンは、毒性や抗原性がほとんどなく、また、生体が元来有している治癒能力や疾患の防止作用を増強することで、その作用効果を発揮すると考えられている。このため、本発明にかかる医薬は、副作用の極めて少ない医薬として期待される。このように、本発明によれば、自己免疫疾患、炎症および/または神経疾患に有効な新規な医薬を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。もっとも、以下の記載は、本発明を具体的に説明するためのものであって、本発明の技術的範囲を限定することを意図するものではない。
上記したように、本発明によると、自己免疫疾患、炎症および/または神経疾患を治療および/または予防するための経鼻投与用医薬であって、ヒアルロナンを有効成分として含む医薬が提供される。
本発明において、ヒアルロナンは、交互にグリコシド結合したD−グルクロン酸とD−N−アセチルグルコサミンとを含む多糖、もしくはその誘導体、または薬学的に許容されるその塩である。特に、ヒアルロナンは、D−グルクロン酸の1位とD−N−アセチルグルコサミンの3位との結合が、存在する場合、β1−3結合であり、D−N−アセチルグルコサミンの1位とD−グルクロン酸の4位との結合が、存在する場合、β1−4結合であることが好ましい。
また、上記誘導体には、構成要素中のD−グルクロン酸および/またはD−N−アセチルグルコサミンの少なくとも1つが、これらの不飽和糖であるものが含まれる。特に、上記誘導体には、構成要素中の非還元末端糖が、その不飽和糖であるものが含まれる。特に、上記誘導体には、非還元末端に位置するD−グルクロン酸が、その4,5位炭素間が不飽和である不飽和糖であるものが含まれる。また、上記誘導体には、構成要素中の少なくとも1つの水酸基が保護基により保護されているものが含まれる。保護基は、加水分解性であることが好ましく、例えばアシル基(RCO−(式中、Rは、低級アルキル、好ましくはC1〜C6アルキルを示す。)であってもよい。
また、本発明においては、ヒアルロナンは、薬学的に許容される塩であってもよい。具体的には、薬学的に許容される塩は、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、トリ(n−ブチル)アミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、アミノ酸塩等のアミン塩などが含まれる。
また、本発明において、ヒアルロナンは2糖以上の多糖である。すなわち、本発明に用いることができるヒアルロナンは、2糖程度の低分子のヒアルロナンから、重量平均分子量400万程度の高分子量のヒアルロナンまで含む。特に、組織における浸透性などの点で優れるため、ヒアルロナンは、重量平均分子量380程度〜900,000程度のものが好ましい。特に、ヒアルロナンは2〜60糖であることが好ましく、4〜20糖であることが好ましく、4糖であることが最も好ましい。なお、本明細書において、重量平均分子量は、GPC法によるポリスチレン換算値をいうものとする。
特に、ヒアルロナンは、(1)D−グルクロン酸−β−1,3−D−N−アセチルグルコサミン−β−1,4−D−グルクロン酸−β−1,3−D−N−アセチルグルコサミン、(2)D−N−アセチルグルコサミン−β−1,4−D−グルクロン酸−β−1,3−D−N−アセチルグルコサミン−β−1,4−D−グルクロン酸、もしくはこれらの誘導体、または薬学的に許容されるこれらの塩であることが好ましい。
本発明にかかる医薬は、単一の種類のヒアルロナンのみを含んでもよく、また複数種類のヒアルロナンを含んでもよい。
なお、これらの種々のヒアルロナンは、特許文献1において、その物性および調製方法が詳細に示されている。
ヒアルロナンは、特許文献1に記載の方法を含め、公知の種々の方法により調製することができる。例えば、ヒアルロナンは、動物等の天然物や培養された微生物から抽出することができ、また、化学的または酵素的に合成することができる(Glycoconjugate J., (1993) p435-439、WO93/20827)。より具体的には、ヒアルロナンは、鶏冠、さい体、皮膚、関節液などの生体組織から公知の方法で抽出、精製することができる。また、ヒアルロナンは、ストレプトコッカス属等の細菌等を用いた発酵法によって製造することができる。
特に、分子量の低いヒアルロナンは、酵素分解法(例えばTawada A, Masa T, Oonuki Y, Watanabe A, Matsuzaki Y, Asari A, "Large-scale preparation, purification, and characterization of hyaluronan oligosaccharides from 4-mers to 52-mers.", Glycobiology, (2002) 12(7):421-6参照)、酸加水分解法、アルカリ分解法、加熱処理法、超音波処理法(Biochem., 33 (1994) p6503-6507)等の公知の方法によってより高分子のヒアルロナンを低分子化することで調製することができる。また、分子量の低いヒアルロナンは、化学的または酵素的に合成することでも調製することができる。
例えば、酵素分解法としては、ヒアルロナン分解酵素(ヒアルロニダーゼ(睾丸由来)、ヒアルロニダーゼ(Streptomyces由来)、ヒアルロニダーゼSDなど)、コンドロイチナーゼAC、コンドロイチナーゼACII、コンドロイチナーゼACIII、コンドロイチナーゼABCなどのヒアルロナンを分解する酵素をヒアルロナンに作用させてヒアルロナンオリゴ糖を生成する方法(新生化学実験講座「糖質II−プロテオグリカンとグリコサミノグリカン−」p244-248、1991年発行、東京化学同人参照)などが挙げられる。また、アルカリ分解法としては、例えばヒアルロナンの溶液に1N程度の水酸化ナトリウム等の塩基を加え、数時間加温して低分子化させた後、塩酸等の酸を加えて中和して、低分子量のヒアルロナンを得る方法などが挙げられる。
本発明にかかる医薬は、ヒト、マウス、ラットを含む哺乳動物に用いることができ、これらの自己免疫疾患、炎症および/または神経疾患の治療および/または予防に用いることができる。特に、本発明にかかる医薬は、脱髄性疾患の治療および/または予防に用いることができる。具体的には、本発明にかかる医薬を適用できる脱髄性疾患には、多発性硬化症、急性散在性脳脊髄炎、脊髄神経根神経障害、急性播種性脳脊髄炎、視神経脊髄炎、副腎白質ジストロフィー、および異染性白質ジストロフィーが含まれる。特に、本発明にかかる医薬は、多発性硬化症の治療および/または予防に用いることができる。しかしながら、本発明にかかる医薬は、多発性硬化症のみならず、その他の自己免疫疾患および炎症(例えば、リウマチ、全身性エリテマトーデス、炎症性腸炎、ブドウ膜炎、腎炎、腎症、1型糖尿病、アトピー性皮膚炎、シェーグレン症候群、インスリン受容体異常症、血管炎、重症筋無力症、多発性筋炎、喘息、橋本病)にも適用することができる。また、本発明にかかる医薬は、多発性硬化症のみならず、その他の神経疾患(例えば、神経炎、神経痛、神経麻痺、脳卒中、脳性麻痺、欝病、老人性痴呆症、パーキンソン病、アルツハイマー病、レックリングハウゼン病、もやもや病、クラッベ病、筋萎縮性側索硬化症、末梢神経障害(末梢神経損傷、ギランバレー症候群、絞扼性神経障害、腕神経叢麻痺、糖尿病性ニューロパチーなど))にも適用することができる。
すなわち、以下に詳細に説明するように、本発明者らによると、驚くべきことに、ヒアルロナンが、経鼻投与によっても、神経学的に実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の予防および治療効果を有することが見出された。経鼻投与実験に使用したマウスモデルは抗原接種後10日程度で発症し、尾の末端の緊張(tonus)低下に始まり、尾の全体の緊張(tonus)低下、後肢不完全麻痺、後肢完全麻痺、四肢の不完全麻痺と重症化が進み、抗原接種後13日程度で臨床症状の極期を迎える。HA4を抗原接種後投与開始した場合、生理食塩水群での臨床症状は、発症極期において、後肢の不完全麻痺、完全麻痺および四肢の不完全麻痺と言った四肢の運動機能障害が認められたが、HA4投与群、特に10mg/kg/2回/日投与群では、尾の先端あるいは全体の緊張(tonus)低下および後肢不完全麻痺がみられたのみであり、生理食塩水群と比較して、明らかな臨床症状の軽減化が認められた。また、HA4投与群においては、投与期間終了後に、臨床症状の増悪はみられなかった。発症時(尾の先端あるいは全体の緊張(tonus)低下)投与開始においても、上記と同様に、明らかな臨床症状の軽減化が認められた。従って、ヒアルロナンは、経鼻投与によっても、多発性硬化症や急性散在性脳脊髄炎等の脱髄性疾患を含む上記疾患の予防や症状改善に有効と考えられる。
また、ヒアルロナンは、炎症性サイトカインの発現抑制作用(実験例4参照)、MAPキナーゼキナーゼキナーゼ発現増強作用(実験例5参照)が認められていることから、ヒアルロナンは、経鼻投与によっても、上記の自己免疫疾患および炎症疾患の予防や症状改善に有効であると考えられる。さらにヒアルロナンにはシナプス伝達促進作用(実験例6参照)が認められていることから、ヒアルロナンは、経鼻投与によっても、上記の神経疾患の予防や症状改善に有効であると考えられる。
本発明にかかる医薬は、治療および/または予防に有効な量のヒアルロナンを含む。有効量は、対象とする疾患、被検体、患者の年令、健康状態、体重等に応じて適宜決定することができる。一般には、有効量は、0.05〜50mg/kg/日とすることができる。なお、本発明にかかる医薬は、1日1回または複数回に分けて投与することができる。
なお、ヒアルロナンは、治療および/または予防に有効な量において、ほとんどまたは全く細胞毒性を示さなかった。
本発明にかかる医薬は、経鼻投与用である。本発明者らによると、驚くべきことに、髄腔内投与のみならず、経鼻投与によっても、ヒアルロナンが上記治療および予防に有効であることが見出された。これまでにヒアルロナンの経鼻投与による神経疾患等の治療および予防を目的とした報告例(実験例)はみられない。また、以下のように、経鼻投与は他の投与経路と比較して利点が多いと考えられる。すなわち、経鼻投与においては、患者自身で投与が可能であり、抵抗感も少ないと考えられ、場所を選ばずに投与が可能であり、侵襲性が現存の薬剤による投与経路と比較して極端に低く、痛みがないことから患者への肉体的な負担が大変軽い。代表的な現存の薬剤であるインターフェロンβは患者自身により皮下注射を行うため、実施場所を選ぶ必要があり、侵襲性が高く痛みを伴う。したがって、ヒアルロナンの経鼻投与用医薬は患者に対し、扱いやすい医薬となる。なおかつ経鼻投与であることにより、患者が自宅で適宜投与することが可能となり、患者の負担が低くなる。ヒアルロナンが安価であることも併せると、本発明により、現存の薬剤に比べて経済的な負担が非常に低く、医療経済的にも大変有用な医薬が提供されると考えられる。
本発明にかかる医薬は、経鼻投与に適した任意の剤型に製剤化することができる。例えば、経鼻投与に適した剤型は、液性製剤、固形製剤、エアゾール製剤等を含む。液性製剤は、溶液剤、懸濁液剤、乳液剤等を含む。溶液剤は、活性物質を溶媒に溶解させたものをいう。懸濁液剤は、必要に応じて懸濁化剤その他の適当な添加剤と共に、固形活性物質を溶媒中に分散させた液剤をいう。乳液剤は、溶解した活性物質を含む溶媒を、他の溶媒中に分散させた液剤をいい、油中水型、水中油型、水中油中水型、油中水中油型等いずれの型のものも含む。固形製剤は、粉末剤、顆粒剤等を含む。粉末剤は、必要に応じて賦形剤、結合剤、崩壊剤またはその他の適当な添加剤と共に、活性物質を粉末状としたものである。顆粒剤は、必要に応じて賦形剤、結合剤、崩壊剤またはその他の適当な添加剤と共に、活性物質を粒状としたものである。エアゾール製剤は、溶解した活性物質を含む溶媒または固体活性物質を、気体中に分散させるよう製剤化されたものをいい、例えば、活性物質を含む溶液、懸濁液などを、これと同一または別の容器に充填した液化ガスまたは圧縮ガスの圧力により、用時噴出して用いるよう製剤化されたものである。また、本発明にかかる医薬は、用時溶解型製剤とすることができる。より具体的には、例えば、本発明にかかる医薬は、活性物質を凍結乾燥物、真空乾燥物等とし、用時に、これを適切な溶解液により溶解して用いることができる。これらの各剤形への製剤化は、公知の種々の方法により行うことができる。
本発明にかかる医薬は、必要に応じて、担体、賦形剤その他の添加物をさらに含むことができる。その他の添加物には、例えば、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、溶剤、溶解補助剤、増粘剤、懸濁化剤、乳化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤、安定化剤、保存剤(防腐剤)、pH調整剤、清涼化剤、抗酸化剤、湿潤化剤、粘着剤等が含まれる。当業者であれば、目的とする医薬用途や剤型に応じて、これらの添加物を適宜選択することができる。より具体的には、例えば、等張化剤には、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グリセリン、ソルビトールマンニトール、グルコース、ほう酸、白糖、ポリエチレングリコール、ツイーン80、リン酸−水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどが含まれる。また、緩衝剤には、クエン酸ナトリウム、ほう酸、ほう砂、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどが含まれる。また、保存剤には、メチルパラベン等のパラベン類、塩化ベンザルコニウム等の逆性石けん類、ベンジルアルコール等のアルコール誘導体、ソルビン酸等の有機酸およびその塩類、フェノール等の保存剤などが含まれる。また、安定化剤には、システイン、チオソルビトール、酒石酸、クエン酸、炭酸ナトリウム、アスコルビン酸、グリシン、亜硫酸ナトリウムなどが含まれる。また、造粘剤には、グリセリン、ポリエチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニールアルコール、ポリビニールピロリドンなどが含まれる。また、懸濁剤には、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、ツイーン80が含まれる。
本発明にかかる医薬は、任意の経鼻投与用器具を用いて投与することができる。例えば、吸入器具や粉末噴霧器を用いることで、1回投与分の固形製剤を収容したカプセルに孔を開け、吸入により、あるいは噴霧器により空気を導入することにより、経鼻投与することができる。また、スプレーを用いることで、液性製剤を経鼻投与することができる。
以下、本発明の実験例を、添付図面を参照しながら説明する。もっとも、以下の記載は、本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の技術的範囲を限定することを意図するものではない。
[実験例1:髄腔内投与によるHA4の実験的自己免疫性脳脊髄炎への効果]
本実験例では、多発性硬化症モデル動物である実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を誘導したモデル動物にHA4を投与し、その効果を検討した。予防および治療効果の評価として、神経症状発症前後の多発性硬化症モデル動物にHA4を投与し、神経症状改善効果を検討した。
〔EAEモデル動物の作製〕
4週齢のLewisラットを購入し、5週齢になってから使用した(平均体重130g)。柴木らの方法(柴木謙次、野村恭一、大野良三、島津邦男:人参養栄湯による実験的自己免疫性脳脊髄炎の抑制.神経治療 19(2):159-166,2002)に準じて、モルモットミエリン塩基性タンパク(Guinea pig myelin basic protein (GPMBP)、Sigma社製)300μg/匹をPBS 50μLに溶解し、1.5mg/mLに濃度を調節した結核死菌(MT、Difco社製)を含む等量のフロインド完全アジュバント(Freund's Complete Adjuvant (FCA))と混合して接種用抗原を調製した。得られた接種用抗原を動物の左右後肢足蹠皮下に50μLずつ接種した。これにより、EAEが誘導される。
本実験例では、接種直後のEAEモデル動物、および神経症状発症時のEAEモデル動物を用いた。
〔被検物質の投与〕
本実験例では、1mg/mLおよび10mg/mLの濃度となるように生理食塩水に溶解したHA4を用いた。これらのHA4は、D−グルクロン酸−β−1,3−D−N−アセチルグルコサミン−β−1,4−D−グルクロン酸−β−1,3−D−N−アセチルグルコサミンの2Na塩である。図1に、本実験例で用いたHA4のESI−MS(Electoron Spray Ionization-Mass Spectorometory)による測定結果を示す。図1中、m/zが775のピークがHA4の塩でない状態のもの、797のピークがHA4の1Na塩を表す。なお、対照として、生理食塩水(生食)を用いた。
接種直後、および神経症状観察で発症が確認できた時点の2時点において、EAEモデル動物の髄腔内(硬膜下腔)にカテーテルを留置し、設定した投与期間で被検物質を硬膜内投与した。具体的には、群1、2および3では、吐出量が6μL/日に設定された浸透圧ポンプ(Model2004、Alzet)を用いた。群1および2は22日間、群3は11日間の持続投与を行った。群4では、カテーテルを留置後、マイクロシリンジ(25μL、(株)伊藤製作所)を接続し、投与液量6μLを1回投与した。なお、投与群の構成を表1に示す。
〔EAE神経症状の評価〕
抗原接種後より毎日、2名の観察者により神経症状を以下の5段階に分けて観察した。
(EAEスコア)
0:無症状
1:尾の緊張(tonus)の低下
2:後肢不完全麻痺
3:時に尿便失禁を伴う後肢完全麻痺
4:四肢麻痺
〔結果〕
(1−1.接種(惹起)直後からのHA4髄腔内持続投与の効果(予防))
図2に、抗原接種直後からHA4を髄腔内持続投与した群(群1−2)および対照群(群1−1)におけるEAE神経症状の評価値(平均値)の推移を示す。図2に示すように、抗原接種直後からHA4を髄腔内持続投与した群(群1−2)においては、EAE対照群(群1−1)と比較して、明らかな神経兆候の軽症化が認められた。EAE極期の神経兆候を比較すると、EAE対照群(群1−1)においては抗原接種後13日目の臨床スコアが2.2±0.41であったのに対し、HA4持続投与群(群1−2)においては0.2±0.41であり、有意に低い値であった(P<0.001)。また、HA4持続投与群(群1−2)では発症例数は1/6例のみであった。これらの結果から、ヒアルロナンを有効成分として含有する医薬が、EAEの予防に有効であることが分かる。
(1−2.発症後からのHA4髄腔内持続投与の効果(治療))
図3に、発症後からHA4を髄腔内持続投与した群(群1−3)および対照群(群1−1)におけるEAE神経症状の評価値(平均値)の推移を示す。図3に示すように、発症後からHA4を髄腔内持続投与した群(群1−3)においては、EAE対照群(群1−1)と比較して、明らかな神経兆候の軽症化が認められた。EAE極期の神経兆候を比較すると、EAE対照群(群1−1)においては抗原接種後13日目の臨床スコアが2.2±0.41であったのに対し、発症後HA4持続投与群(群1−3)においては1.5±1.0であり、低い値であった。また、罹患期間を比較すると、EAE対照群(群1−1)においては6.5±0.55日であったのに対し、発症後HA4持続投与群(群1−3)においては4.3±1.5日であり、有意な短縮が認められた(P<0.01)。これらの結果から、ヒアルロナンを有効成分として含有する医薬が、EAEの治療に有効であることが分かる。
(1−3.発症後からのHA4髄腔内単回投与の効果(治療))
図4に、発症後、HA4を髄腔内単回投与した群(群1−4)および対照群(群1−1)におけるEAE神経症状の評価値(平均値)の推移を示す。図4に示すように、発症後、HA4を髄腔内単回投与した群(群1−4)においては、EAE対照群(群1−1)と比較して、明らかな神経兆侯の軽症化が認められた。EAE極期の神経兆候を比較すると、EAE対照群(群1−1)においては、抗原接種後13日目の臨床スコアが2.2±0.41であったのに対し、発症後HA4単回投与群(群1−4)においては1.8±0.5であり、低い値であった。また、罹患期間を比較すると、EAE対照群(群1−1)においては6.5±0.55日であったのに対し、発症後HA4単回投与群(群1−4)においては5.0±1.5日であり、有意な短縮が認められた(P<0.001)。これらの結果から、ヒアルロナンを有効成分として含有する医薬が、EAEの治療に有効であることが分かる。
[実験例2:経鼻投与によるHA4の実験的自己免疫性脳脊髄炎への効果]
本実験例では、EAEモデル動物にHA4を経鼻投与し、その効果を検討した。予防および治療効果の評価として、神経症状発症前後の多発性硬化症モデル動物にHA4を経鼻投与し、神経症状改善効果を検討した。予防効果の評価については、抗原接種日(0日目)から22日間(4群、対照群を含む)、治療効果の評価については、EAE発症後から12日間(1群)をHA4の投与を行い、検討した。
〔EAEモデル動物の作製〕
実験動物として、雌9週齢のSJL/Jマウス 34匹(日本チャールス・リバー(株))を用いた(平均体重20g)。また、EAEの抗原として、プロテオリピド・プロテイン・ペプチド139-151(Proteolipid protein peptide 139-151 (PLP)、(株)ベックス)を用いた。PLP p139-151 100μg/匹を生理食塩水50μLに溶解し、4mg/mLに濃度を調節した結核死菌(MT、H37Ra、Difco社製)を含む等量のフロインド完全アジュバントと混合して接種用抗原を調製した。動物を腹臥位に保定し、70%アルコールで清拭後、得られた接種用抗原を横腹および尾根部皮下に各50μLずつ接種した(非特許文献3:S. Youssef et al.参照)。これにより、EAEが誘導される。
本実験例では、接種直後のEAEモデル動物、および神経症状発症時のEAEモデル動物を用いた。
〔被検物質の投与〕
本実験例では、2、10および50mg/mLのHA4を用いた。このHA4は、構造およびHA4溶液の組成は実験例1において記載したものと同様である。ただし、発症後投与群のみ媒体を20%マンニトール(20%マンニットール注射液「日研」)とした。また、対照として、生理食塩水を用いた。
接種後投与群は抗原接種日(0日目)から22日間、発症後投与群は発症時から12日間、各群2回/日(午前、午後)、EAEモデル動物の鼻腔内に被検物質を投与した。なお、経鼻投与には、マイクロシリンジ(25μL、(株)伊藤製作所)を用いた。投与群の構成を表2に示す。
〔EAE神経症候の評価〕
抗原接種後より毎日、2名の観察者により神経症状を7以下の段階に分けて観察した。(EAEスコア)
0: 無症状
0.5:尾先端の緊張(tonus)低下
1: 尾の緊張(tonus)低下
2: 後肢不完全麻痺
3: 後肢完全麻痺
4: 四肢不全麻痺
5: 死亡
〔統計学的解析〕
得られたデータから、平均値、標準偏差および標準誤差を算出し、Dunnett'sの多重比較検定を実施し、危険率5%未満を有意差ありとした。
〔結果〕
(2−1.接種(惹起)直後からのHA4経鼻投与の効果(予防))
図5に、抗原接種直後からHA4を経鼻投与した群(群2−1〜2−3)および対照群(群2−5)におけるEAE神経症状の評価値(平均値)の推移を示す。図5に示すように、抗原接種直後からHA4を経鼻投与した群(群2−1〜2−3)においては、EAE対照群(群2−5)と比較して、明らかな神経兆候の軽症化が認められた。EAE極期の神経兆候を比較すると、EAE対照群(群2−5)においては抗原接種後13日目の臨床スコアが2.4±0.30であったのに対し、HA4 0.4mg/kg投与群(群2−1)においては1.8±0.15であり、HA4 2mg/kg投与群(群2−2)においては1.7±0.79であり、HA4 10mg/kg投与群(群2−3)においては1.6±0.24であり、HA4投与各群(群2−1〜2−3)で低い値を示す傾向があった。また、HA4投与各群(群2−1〜2−3)において、抗原接種後18日目から試験終了時点までの殆どの観察時点で臨床スコアが有意に低い値を示した。また、HA4投与各群(群2−1〜2−3)において、投与終了後から試験終了までに明らかな臨床症状の増悪はみられなかった。これらの結果から、ヒアルロナンを有効成分として含有する医薬が、経鼻投与によっても、EAEの予防に有効であることが分かる。
(2−2.発症後からのHA4経鼻投与の効果(治療))
図6に、発症後からHA4を経鼻投与した群(群2−4)および対照群(群2−5)におけるEAE神経症状の評価値(平均値)の推移を示す。図6に示すように、発症後からHA4を経鼻投与した群(群2−4)においては、EAE対照群(群2−5)と比較して、明らかな神経兆候の軽症化が認められた。EAE極期の神経兆候を比較すると、EAE対照群(群2−5)においては抗原接種後13日目の臨床スコアが2.4±0.30であったのに対し、発症後HA4 10mg/kg投与群(群2−4)においては1.6±0.35であり、有意に低い値であった。また、HA4投与群(群2−4)において、抗原接種後13日目から試験終了時点までの殆どの観察時点で臨床スコアが有意に低い値を示した。これらの結果から、ヒアルロナンを有効成分として含有する医薬が、経鼻投与によっても、EAEの治療に有効であることが分かる。
〔結論〕
以上の結果から、HA4が、経鼻投与においても、神経学的にEAEの予防および治療効果を有することが見出された。また、以下に詳細に述べるように、ヒアルロナンは、炎症性サイトカインの発現抑制作用(実験例4参照)、MAPキナーゼキナーゼキナーゼ発現増強作用(実験例5参照)、シナプス伝達促進作用(実験例6参照)が認められる。このため、上記したように、HA4は、経鼻投与においても、多発性硬化症や急性散在性脳脊髄炎等の脱髄性疾患を含む上記疾患の予防や症状改善に有効と考えられる。
[実験例3:[3H]標識HA4糖をサルに鼻腔内投与したときの頭部オートラジオルミノグラフィー]
HA4糖の鼻腔内投与時における薬効のメカニズムを推定することを目的に、[3H]標識HA4糖(3H−HA4糖)を腔内投与したサルの頭部オートラジオルミノグラム(ARLGM)を作成した。
〔材料および方法〕
<被験物質:放射性同位元素標識体>
株式会社糖質科学研究所提供のHA4を標識した[3H]標識HA4糖(パーキンエルマー製)を用いた(比放射能26.6GBq/mmol(1.2mCi/1.67μmol/mL=44.4MBq/mL)、分子量820(Naフォーム)、2%エタノール溶液)。
<試験動物>
株式会社新日本科学 安全性研究所(SNBL DSR)から入手した1匹のカニクイザル(雄性、3歳)を試験に供した。試験動物の体重は、2.52kg(投与日投与前)であった。
<投与液の調製法>
3H]標識HA4糖の2%エタノール溶液4mLを分取し、減圧気流下で溶媒を留去した。得られた残留物を注射用水0.4mLに溶解し、10.7mg/344MBq/mL(実測値)の投与液を調製した。
<被験物質の投与>
投与量および容量は1.07mg/34.4MBq/0.1mL/bodyとし、単回鼻腔内投与を行った。フォーレン(イソフルラン)で麻酔した動物を仰臥位に寝かせ、鼻孔が天井を向くように頭部を保定した。カテーテルおよび注射筒を用いて、投与液100μL/headを左鼻腔内に投与した。投与後も保定および麻酔を維持した。また、投与後、一般状態を観察するとともにくしゃみをしないか観察した。
<血漿中放射能濃度測定>
(採血および血漿分離)
被験物質を投与後15および30分に、1000unit/mLのヘパリンナトリウムで内壁を処理したディスポーザブル注射筒および注射針を用いて、左又は右の大腿静脈から各時点約0.5mLの血液を採取した。血液から血漿を遠心分離(設定:約9000X
g,1分,4℃)した。
(測定用試料の調製方法)
血漿100μLをPEバイアルに分取し(n=1)、ハイオニックフロー約10mLを加え、総放射能濃度測定用試料とした。また、血漿100μLをPEバイアルに分取し(n=1)、窒素気流下で濃縮乾固した。乾固した血漿を超純水500μLに再溶解し、ハイオニックフロー約10mLを加え、不揮発性放射能濃度測定用試料とした。
<脳脊髄液中放射能濃度測定>
(採取)
被験物質を投与後30分の採血後に、注射針を用いて、動物の頸背部から約0.8mLの脳脊髄液を採取した。
(測定用試料の調製方法)
脳脊髄液100μLをPEバイアルに分取し(n=1)、ハイオニックフロー約10mLを加え、総放射能濃度測定用試料とした。また、脳脊髄液100μLをPEバイアルに分取し(n=1)、窒素気流下で濃縮乾固した。乾固した脳脊髄液を超純水500μLに再溶解し、ハイオニックフロー約10mLを加え、不揮発性放射能濃度測定用試料とした。
<頭部オートラジオルミノグラフィー>
(動物の処置)
投与後30分の採血後に過用量のペントバルビタールナトリウム水溶液(64.8mg/mL,2mL/kg)を橈側皮静脈から静脈内投与した。過麻酔死後、バリカンで除毛して、5w/v% カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC Na)水溶液を口腔および耳孔につめ、鼻孔に塗布した後、頭部にゴム手袋を被せ、ドライアイス・ヘキサン浴中で全身を凍結した。凍結時間は約30分間とした。凍結後は乾燥を防ぐためアルミ箔およびプラスチックフィルムを巻き,ポリ袋に入れて冷凍(実測値:−24.4〜−17.8℃)で24時間以上保存して凍結固定した。
(凍結ブロックの作製)
凍結固定した動物の首および耳介をバンドソー(250型、近江屋製作所)で切断した。頭部の表面に3w/v% CMC Na水溶液を塗布した。次いで、5% CMC Na水溶液に包埋してドライアイス・ヘキサン浴中で凍結させ、凍結ブロックを作製した。凍結ブロックは、切片採取時まで冷凍(実測値:−23.6〜−20.3℃)で保存した。
(凍結切片の採取および露出)
クライオミクロトーム(Leica CM3600、Leica Instruments GmbH、庫内温度設定値:−20℃)を用いて、各凍結ブロックから厚さ40μmの頭部凍結切片を得た。得られた切片をクライオミクロトーム庫内(庫内温度設定値:−20℃)で凍結乾燥させた。乾燥切片を台紙に貼り、イメージングプレート(IP)に密着させ、24または48時間露出させた。露出終了後、直ちにバイオイメージングアナライザー(BAS-2500、富士写真フイルム株式会社)で読み取りを行い、ARLGMを作製した。データ処理ソフトとして、Image Reader Version 2.2およびImage Gauge Version 4.0(富士写真フイルム株式会社)を用いた。
<放射能の測定および結果の表示>
(液体シンチレーションアナライザーによる放射能の測定)
試料中およびBKGの放射能を液体シンチレーションアナライザー(TRI-CARB 2700TR、株式会社パーキンエルマージャパン)で測定した。測定時間は2分間とした。BKG試料は、ハイオニックフロー約10mLをPEバイアルに分取したもの(n=3)とした。外部標準線源法により計数効率を補正した。
(投与液中放射能濃度)
投与液中放射能濃度は、測定値からBKGを差し引いた後、放射能濃度(MBq/mL)を求め、投与液中放射能濃度とした。
(血漿および脳脊髄液中放射能濃度)
血漿、脳脊髄液中放射能濃度は測定値からBKGを差し引いた後、投与液の比放射能から未変化体に換算(ng eq./mL)した。
〔結果および考察〕
サルに[3H]標識HA4糖を約1.07mg/bodyの用量で鼻腔内投与し、HA4糖の吸収について検討を行った。まず、サルに[3H]標識HA4糖を投与後15および30分の血漿および投与後30分の脳脊髄液を採取し、血漿および脳脊髄液中放射能濃度を測定した。なお、本試験で使用した[3H]標識HA4糖は3H−H交換により3H標識しており、生体内でトリチウム水が生成する可能性が考えられることから、各試料中の放射能濃度は、総放射能濃度およびトリチウム水を除いた不揮発性放射能濃度を測定した。
表3および4に、3H−HAオリゴ糖をカニクイザルに単回鼻腔内投与した後の血漿および脳脊髄液における放射能濃度を示す。
表3および4に示すように、投与後15および30分の血漿中総放射能濃度はそれぞれ86.0および79.9ng eq./mLならびに不揮発性放射能濃度はそれぞれ75.6および67.9ng eq./mLと血漿中放射能濃度はほぼ同じであり、約10ng eq./mL相当の放射能がトリチウム水に置換されていることが確認された。投与後30分の脳脊髄液中総放射能濃度は20.8ng eq./mLおよび不揮発性放射能濃度は7.09ng eq./mLであった。
図7に、サルに[3H]標識HA4糖を鼻腔内投与後30分の頭部ARLGMを示す。投与部位である嗅粘膜と嗅球に多量の放射能が分布し、背矢状静脈洞に僅かながら放射能の分布が見られた。
以上の結果、HA4糖は鼻腔内投与することにより脳内へ取り込まれることが明らかとなり、脳脊髄液内濃度は血漿中濃度の約1/10になるものと推察された。このように、驚くべきことに、経鼻投与したHA4は血液のみならず脳脊髄液に移行し、これにより、HA4が、経鼻投与した場合であっても髄腔内投与した場合と同様にEAEの治療および予防に有効であることが分かる。
[実験例4:HA4の炎症性サイトカイン発現抑制作用]
本実験例では、HA4によるサイトカイン関連遺伝子およびケモカイン関連遺伝子の発現抑制作用を、遺伝子の発現促進および抑制をモニターすることができるDNAチップを用いて評価した。
〔実験方法〕
まず、1、2群に分けてK562をRPMI培地で培養した。両群は、42℃で20分、次いで37℃で30分の培養条件でインキュベートした。なお、2群の培地には、HA4を終濃度10ng/mLで添加した。
培養の後、1000rpmで遠心分離して、培養液から培地を除去した。得られた細胞を−60℃ディープフリーザーにて保存した。保存した細胞から、定法に従ってRNAを抽出した。抽出したRNAを用いてDNAチップにより遺伝子発現を解析した。DNAチップによる遺伝子発現解析はDNAチップ研究所に外注した。詳細には、DNAチップ研究所製、商品名:AceGene Human Oligo Chip 30K l Chip Versionを使用した。
〔結果〕
DNAチップによる発現解析の結果、HA4を含む培地で培養した細胞においては、表5にあげる、細胞の賦活に関する多くの遺伝子の発現プロファイルに有意な変化が観察された。
表5に示すように、HA4処理によって、複数のサイトカイン関連遺伝子およびケモカイン関連遺伝子の発現が抑制されていることが明らかになった。表5に示したサイトカイン関連遺伝子およびケモカイン関連遺伝子のなかで、IFN−γ遺伝子については、Schroder K, Hertzog PJ, Ravasi T, Hume DA, Interferon-gamma: an overview of signals, mechanisms and functions. J Leukoc Biol. 2004 75(2):163-89.を参照することができる。また、Mig(CXCL9)遺伝子については、Farber JM, Mig and IP-10: CXC chemokines that target lymphocytes. J Leukoc Biol. 1997 61(3): 246-57.を参照することができる。また、IL−5遺伝子については、Adachi T, Alam R. The mechanism of IL-5 signal transduction. Am J Physiol. 1998 275(3 Pt 1):C623-33.を参照することができる。さらに、IL一17bについては、LI H, Chen J, Huang A, Stinson J, Heldens S, foster J, Dowd P, Gurney AL, Wood WI, Cloning and characterization of IL-17B and IL-17C, two new members of the IL-17 cytokine family. Proc Natl Acad Sci USA. 2000 18 97(2):773-8.を参照することができる。さらにまた、IL−18RAPについては、Cheung H, Chen NJ, Cao Z, Ono N, Ohashi PS, Yeh WC, Accessory protein-like is essential for IL-18-mediated signaling. J Immunol. 2005 174(9): 5351-7.を参照することができる。さらにまた、CCL28については、Wang W, Soto H, Oldham ER, Buchanan ME, Homey B, Catron D, Jenkins N, Copeland NG, Gilbert DJ, Nguyen N, Abrams J, Kershenovich D, Smith K, McClanahan T, Vicari AP, Zlotnik A, Identification of a novel chemokine (CCL28), which binds CCR10 (GPR2). J Biol Chem. 2000 275(29): 22313-23.を参照することができる。さらにまた、IL−1βについては、Okamura H, IL-1 family (IL-1alpha/beta, IL-1Ra, IL-18), IL-16, IL-17, Nippon Rinsho, 2005 63 Suppl 4:226-33.を参照することができる。さらにまた、IFN−ω1については、Bekisz J, Schmeisser H, Hernandez J, Goldman ND, Zoon KC, Human interferons alpha, beta and omega, Growth Factors, 2004 22(4):243-51.およびAdolf GR, Maurer-Fogy I, Kalsner I, Cantell K, Purification and characterization of natural human interferon omega 1. Two alternative cleavage sites for the signal peptidase. J Biol Chem. 1990 265(16):9290-5.を参照することができる。
〔考察〕
本実験例において、HA4の添加により、サイトカイン関連遺伝子およびケモカイン関連遺伝子の発現抑制が認められた。本実験例で使用したK562細胞は、白血球系の細胞であることから、本来的にサイトカイン関連遺伝子およびケモカイン関連遺伝子の発現がある。HA4はHsp72発現を増強させる(非特許文献1)ことから、In vivoでは、そのHsp72がγδT細胞に認識されてIL−10産生がおこり、そのIL−10が各種炎症性サイトカインやケモカイン産生を抑制することが考えられる。しかし、本実験例においては、γδT細胞を含まないことから、炎症や自己免疫疾患に関与するサイトカイン関連遺伝子およびケモカイン関連遺伝子の発現がHA4により、直接抑制されたことが分かる。
[実験例5:HA4のMAPキナーゼキナーゼキナーゼ発現増強作用]
本実験例では、HA4によるMAPKKK遺伝子の発現増強作用を、遺伝子の発現増強および抑制をモニターすることができるDNAチップを用いて評価した。
〔実験方法〕
まず、1、2群に分けてK562をRPRI培地で培養した。両群は、42℃で20分、次いで37℃で30分の培養条件でインキュベートした。なお、2群の培地には、HA4を終濃度10ng/mLで添加した。
培養の後、1000rpmで遠心分離して、培養液から培地を除去した。得られた細胞を−60℃ディープフリーザーにて保存した。保存した細胞から、定法に従ってRNAを抽出した。抽出したRNAを用いて、MAPKKK13遺伝子に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドが固定化されたDNAチップにより遺伝子発現を解析した。DNAチップによる遺伝子発現解析はDNAチップ研究所に外注した。詳細には、DNAチップ研究所製、商品名:AceGene Human Oligo Chip 30K 1 Chip Versionを使用した。
〔結果〕
DNAチップを用いたMAPKKK13遺伝子の発現解析の結果として、1群における発現強度と2群における発現強度との比(〔2群の発現強度〕/〔1群の発現強度〕)を算出した。MAPKKK13遺伝子について発現強度比は11.43であった。
〔考察〕
本実験例において、HA4の添加により、MAPKKK遺伝子の発現増強が認められた。本実験例では、K562以外の細胞が入っていないので、他の種類の細胞による影響は排除される。また、本実験例では、20分の42℃の熱ショック終了後、37℃30分のインキュベートの時点では、新規mRNA発現はあるものの、新規のタンパク質発現はほとんど起きていないと考えられる。例えば、Hsp72についてはmRNA発現増強はあっても、タンパク質レベルでは変化がないと言える。したがって、本実験例で示したMAPKKK遺伝子のmRNA発現増強は、HA4による直接的な影響であり、他の因子を介した2次的現象ではないと言える。以上の結果からHA4が、MAPKKK遺伝子に対して発現増強作用を有することが分かる。
[実験例6:HA4のシナプス伝達促進作用]
本実験例では、ラット脊髄損傷モデルに、生理食塩液(生食群)またはHA4を含む生理食塩液(HA4群)を髄腔内持続投与後、脊髄組織を採取し、抗Hsp72抗体および/または抗シナプトフィジン抗体にて免疫染色した。また、本実験例では、偽手術(Sham-operation)を施したラットを非損傷の対照とした(偽手術群)。
ラット脊髄損傷モデルは、Wistarラット(入荷時11週齢、使用時12週齢)を以下のように処置することで作製した。まず、ラットをペントバルビタール麻酔下に、頸部から臀部にかけて電気バリカンで剪毛し、70%アルコールおよびイソジンで剪毛部位を清拭した。次に、背部皮膚を切開し、第5から第10胸椎を露出後、第6胸椎を半椎弓切除した。次に、硬膜に小切開を加え、キシロカインで局所麻酔後、マイクロフォーセップ(先端を0.3mmに加工)の先端を脊髄後索の幅(約1.5mm)で腹部側椎体にマイクロフォーセップの先端が接触するまで刺入し、マイクロフォーセップを10秒間抓み、脊髄を挫滅した(以下、1次損傷部位と称す)。なお、ラット脊髄損傷モデルにおいては、1次損傷部位から、軸索の変性や細胞死などが伝播し、広がってできた損傷部位として定義される2次損傷部位が形成される。なお、2次損傷部位は、1次損傷部位に浸潤してきた炎症性細胞の作用も関与していると考えられている。
脊髄挫滅後、直ちにチューブの先端(OD:0.3mm)を損傷部頭側に留置後、浸透圧ポンプ(AlzetポンプModel 2004(Alza Corporation))を接続し、設定した投与期間で硬膜内持続投与を行った。損傷部と周囲組織の隔離のために、ゼラチンスポンジ(Gelform、ファルマシア)を置き、創部を縫合後、飼育ケージに戻した。
なお、偽手術群のラットは、硬膜切開し、その後、縫合することで作製した。
以上のように作製した偽手術群のラットを1群とした。また、ラット脊髄損傷モデルのラットのうち、生理食塩液を髄腔内持続投与したものを2群とした。さらに、ラット脊髄損傷モデルのラットのうち、HA4を含む生理食塩液を髄腔内持続投与したものを3群とした。これら群の構成を表6に示す。
なお、3群に投与したHA4を含む生理食塩液は、上記Tawadaらの方法(Tawada A, et al. 2002)により調製した。
これら各群のラットを用いて、1次損傷部位および2次損傷部位の横断面の組織切片を作製し、ホルマリン固定後、通常の方法にて免疫染色を行った。Hsp72については、1次抗体として抗Hsp72抗体(アマシャム社製)を使用し、2重染色の場合には2次抗体としてペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgG抗体(Texas Red標識抗ウサギIgG抗体)を使用した。また、シナプトフィジンについては、1次抗体として抗シナプトフィジン抗体(フナコシ社製)を使用し、2重染色の場合には2次抗体としてペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体(FITC標識抗マウスIgG抗体)を使用した。
〔結果〕
1次損傷部位および2次損傷部位におけるHsp72の免疫染色試験の結果を、それぞれ図8および図9に示す。図8および図9において、a)は各群における組織切片の写真であり、b)はNIHイメージにより測定した各群の光強度を示す特性図である。図8および図9に示すように、Hsp72は、1群ではほとんど認められず、2群において軽度の染色性が認められ、3群ではさらに強い染色性が認められた。これら染色性については、1次損傷部位と2次損傷部位とで違いが認められなかった。
1次損傷部位および2次損傷部位におけるシナプトフィジンの免疫染色試験の結果を、それぞれ図10および図11に示す。図10および図11において、a)は各群における組織切片の写真であり、b)はNIHイメージにより測定した各群の光強度を示す特性図である。図10および図11に示すように、シナプトフィジンは、1群では強い発現が灰白質に中等度発現が白質に認められたが、2群ではその発現がほとんど認められなかった。これに対して3群では、1群に近い発現が認められた。この染色性については、1次損傷部位と2次損傷部位とで違いが認められなかった。
また、3群のラットについて、Hsp72およびシナプトアィジンの2重染色した結果を図12および図13に示す。図12は、灰白質および白質の写真である。図13の右側はHsp72を赤色として示す写真(灰白質)であり、左側はシナプトフィジンを緑色として示す写真(灰白質)であり、中央は右側写真と左側写真を重ねた写真(灰白質)である。なお図13の中央の写真において、Hsp72とシナプトフィジンが共に発現している場合には黄色となっている。図12に示すように、3群において、Hsp72はユビキタスな染色性を示した。一方で、図13に示すように、Hsp72とシナプトフィジンとは一致した局在性を示した。
〔考察〕
HA4投与により脊髄損傷部位においてHsp72発現が増強した。この場合、Hsp72は、ユビキタスに存在したが、シナプトフィジンと局在性を同じにしたことは特筆に値する。すなわち、シナプトフィジンは、シナプス小胞に存在しシナプス伝達に関与する。したがって、HA4は、シナプス小胞におけるHsp72の発現増強を介して、シナプス小胞およびシナプトフィジンを保護することが考えられる(図14における左側)。海馬シナプスにおける伝達効率の長期増強はスコポラミン(scopolamine)により抑制されるが、あらかじめ海馬を熱処理してHsp70を誘導させておくとその抑制が起きないことが知られている(Lin YW, Yang HW, Min MY, Chiu TH. "Heat-shock pretreatment prevents suppression of long-term potentiation induced by scopolamine in rat Hippocampal CA1 synapses. Brain Res. 2004; 5; 999(2): 222-6.)。HA4によって発現増強されたHsp72(Hsp70ファミリーのひとつ)も、シャペロンとしてシナプス伝達にかかわるタンパク質機能を介添えし、その機能を促進および回復させると考えられる。なお、シナプス小胞においてHsp72発現を増強させる薬剤は現在まで報告が無い。本実験例によって、HA4が、シナプス小胞においてHsp72発現を増強させる作用を有することが分かる。
実験例1〜6で用いたHA4(実験例3については標識前のもの)のESI−MS(Electoron Spray Ionization-Mass Spectorometory)による測定結果を示すグラフである。 EAEモデル動物において、抗原接種直後から22日間、HA4を髄腔内持続投与した群(群1−2)および対照群(群1−1)におけるEAE神経症状の評価値(平均値)の推移を示すグラフである。接種を0日目とする経過日数を横軸に、上述したEAE神経症状の評価値の平均値を縦軸に示す。P値は対照群(生理食塩水)に対するもので、Tukey法によった。 EAEモデル動物において、発症後から11日間、HA4を髄腔内持続投与した群(群1−3)および対照群(群1−1)におけるEAE神経症状の評価値(平均値)の推移を示すグラフである。接種を0日目とする経過日数を横軸に、上述したEAE神経症状の評価値の平均値を縦軸に示す。P値は対照群(生理食塩水)に対するもので、Tukey法によった。 EAEモデル動物において、発症後、HA4を髄腔内単回投与した群(群1−4)および対照群(群1−1)におけるEAE神経症状の評価値(平均値)の推移を示すグラフである。接種を0日目とする経過日数を横軸に、上述したEAE神経症状の評価値の平均値を縦軸に示す。P値は対照群(生理食塩水)に対するもので、Tukey法によった。 EAEモデル動物において、抗原接種直後からHA4を経鼻投与した群(群2−1〜2−3)および対照群(群2−5)におけるEAE神経症状の評価値(平均値)の推移を示すグラフである。接種を0日目とする経過日数を横軸に、上述したEAE神経症状の評価値の平均値を縦軸に示す。P値は対照群(生理食塩水)に対するもので、Dunnett'sの多重比較検定によった。 発症後からHA4を経鼻投与した群(群2−4)および対照群(群2−5)におけるEAE神経症状の評価値(平均値)の推移を示すグラフである。接種を0日目とする経過日数を横軸に、上述したEAE神経症状の評価値の平均値を縦軸に示す。P値は対照群(生理食塩水)に対するもので、Dunnett'sの多重比較検定によった。 サルに[3H]標識HA4糖を鼻腔内投与後30分の頭部ARLGMを示す。 1次損傷部位におけるHsp72の免疫染色の結果を示す図であり、(a)は染色後における各群の切片を撮像した写真であり、(b)はHsp72の免疫染色の光強度を測定した結果を示す特性図である。 2次損傷部位におけるHsp72の免疫染色の結果を示す図であり、(a)は染色後における各群の切片を撮像した写真であり、(b)はHsp72の免疫染色の光強度を測定した結果を示す特性図である。 1次損傷部位におけるシナプトフィジンの免疫染色の結果を示す図であり、(a)は染色後における各群の切片を撮像した写真であり、(b)はシナプトフィジンの免疫染色の光強度を測定した結果を示す特性図である。 2次損傷部位におけるシナプトフィジンの免疫染色の結果を示す図であり、(a)は染色後における各群の切片を撮像した写真であり、(b)はシナプトフィジンの免疫染色の光強度を測定した結果を示す特性図である。 Hsp72およびシナプトフィジンの2重染色後の灰白質および白質を撮像した写真である。 Hsp72およびシナプトフィジンの2重染色後の灰白質を撮像した写真であり、右側はHsp72を赤色として示す写真であり、左側はシナプトフィジンを緑色として示す写真であり、中央は右側写真と左側写真を重ねた写真である。 シナプスにおけるHsp72の機能を説明するための模式図であって、左側は障害のあるシナプスを示し、右側はHsp72により保護されたシナプスを示す。

Claims (9)

  1. 自己免疫疾患、炎症および/または神経疾患を治療および/または予防するための経鼻投与用医薬であって、ヒアルロナンを有効成分として含む医薬。
  2. 前記自己免疫疾患、炎症および/または神経疾患が、脱髄性疾患である、請求項1に記載の医薬。
  3. 前記脱髄性疾患が、多発性硬化症、急性散在性脳脊髄炎、脊髄神経根神経障害、急性播種性脳脊髄炎、視神経脊髄炎、副腎白質ジストロフィー、および異染性白質ジストロフィーからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項2に記載の医薬。
  4. 前記脱髄性疾患が、多発性硬化症である、請求項3に記載の医薬。
  5. 前記ヒアルロナンが、交互にグリコシド結合したD−グルクロン酸とD−N−アセチルグルコサミンとを含む多糖、もしくはその誘導体、または薬学的に許容されるその塩である、請求項1〜4のいずれかに記載の医薬。
  6. D−グルクロン酸の1位とD−N−アセチルグルコサミンの3位との結合が、存在する場合、β1−3結合であり、D−N−アセチルグルコサミンの1位とD−グルクロン酸の4位との結合が、存在する場合、β1−4結合である、請求項5に記載の医薬。
  7. 前記ヒアルロナンが2〜60糖である、請求項1〜6のいずれかに記載の医薬。
  8. 前記ヒアルロナンが4糖である、請求項7に記載の医薬。
  9. 前記ヒアルロナンが、D−グルクロン酸−β−1,3−D−N−アセチルグルコサミン−β−1,4−D−グルクロン酸−β−1,3−D−N−アセチルグルコサミン、もしくはその誘導体、または薬学的に許容されるその塩である、請求項1〜8に記載の医薬。
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JP2016518464A (ja) * 2013-03-14 2016-06-23 アナコティ リミテッド ヒアルロン酸誘導体
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