JP2008126860A - エアバッグドア - Google Patents
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Abstract
【課題】低温環境下においてドアパネルが開放する際に、該ドアパネルやドア隣接部位が破損したり、破断予定部以外で破断することを防止する。
【解決手段】エアバッグドアADは、インストルメントパネル10を構成する基材12に破断予定部22を形成することで該基材12の一部として構成されるドアパネル20と、ドアパネル20の裏側に配設されて該ドアパネル20を補強する可動補強部34とを有する。基材12を形成する合成樹脂より脆化温度が低い特性を有する合成樹脂から形成したインサート部材60を、ドアパネル20において、破断予定部22と可動補強部34,34との間に配設する。また、基材12のドア隣接部位14において、破断予定部22と固定補強部32との間に、インサート部材60を配設する。インサート部材60は、熱可塑性エラストマーから形成されている。
【選択図】図2
【解決手段】エアバッグドアADは、インストルメントパネル10を構成する基材12に破断予定部22を形成することで該基材12の一部として構成されるドアパネル20と、ドアパネル20の裏側に配設されて該ドアパネル20を補強する可動補強部34とを有する。基材12を形成する合成樹脂より脆化温度が低い特性を有する合成樹脂から形成したインサート部材60を、ドアパネル20において、破断予定部22と可動補強部34,34との間に配設する。また、基材12のドア隣接部位14において、破断予定部22と固定補強部32との間に、インサート部材60を配設する。インサート部材60は、熱可塑性エラストマーから形成されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、エアバッグドアに関し、更に詳細には、車両内装部材を構成する基材に破断予定部を形成することで該基材の一部として構成されるドアパネルと、前記ドアパネルの裏側に配設されて該ドアパネルを補強するドア補強部とを有するエアバッグドアに関するものである。
図13に示すように、車両の乗員室前方に設置される車両内装部材であるインストルメントパネル10には、助手席乗員の保護を図るためのエアバッグ装置40が格納されている。従ってインストルメントパネル10の基材12には、エアバッグ装置40に対応する部位に、該エアバッグ装置40の作動時に開放してエアバッグ42が乗員室内へ膨張展開し得るようにするエアバッグドアAD1が設けられている。
前述したエアバッグドアAD1は、インストルメントパネル10の質感向上を図るため、当該パネルに設けられていることが外側(乗員室)から認識できない所謂インビジブルタイプが主流となっている。従って、図13に示した単層タイプ(基材12が乗員室内へ露出する)の基材12からなるインストルメントパネル10では、該基材12自体に該エアバッグドアAD1を構成するドアパネル20が設けられている。すなわち図14に示すように、基材12の裏面においてエアバッグ装置40に対応する部位に、ドアパネル20の外縁輪郭ラインに沿う溝24を形成することで該ドアパネル20の外周囲に脆弱化させた破断予定部22を設けてあり、エアバッグ装置40の作動により膨張するエアバッグ42の押圧力がドアパネル20の裏面に加わると、該破断予定部22が破断してドアパネル20が基材12から分離するよう構成されている。
なお、図13および図14に示したエアバッグドアAD1は、インストルメントパネル10の前後方向(図14の左右方向)に向け開放する2枚のドアパネル20,20を有した両開きタイプである。従って破断予定部22は、略「日字形」をなすように設けられており、ドアパネル20とドア隣接部位14との境界ラインに沿って形成された外縁破断予定部22Aと、両ドアパネル20,20間の境界ラインに沿って形成された中央破断予定部22Bとから構成される。
前述した基材12は、インストルメントパネル10に要求される剛性を確保するため、例えばポリプロピレン(PP)やガラス繊維強化AS(ASG)等の比較的硬質の合成樹脂から形成されている。しかし、これらの合成樹脂は、一般的に、JIS K7216に基づく脆化温度は−10℃程度となっている。従って、−10℃以下となる冬期等の低温環境下においては、基材12が「低温脆性」により脆弱した状態となるため、このような低温時にエアバッグ装置40が作動した場合には、エアバッグ42の衝撃を伴った押圧力によりドアパネル20およびドア隣接部位14が破損し易くなっている。従って、別途成形されたドア補強部材30をドアパネル20およびドア隣接部位14の裏側に装着することで、これらドアパネル20およびドア隣接部位14の破損防止を図るよう構成されている。
ドア補強部材30は、図13および図14に示すように、例えばオレフィン系の熱可塑性エラストマー(TPO)等のJIS K7216に基づく脆化温度が低い(例えば−25℃程度)合成樹脂から形成され、エアバッグ装置40に掛止されると共にドア隣接部位14を裏側から補強する固定補強部(基材補強部)32と、各ドアパネル20を裏側から補強する可動補強部(ドア補強部)34,34と、これら固定補強部32と可動補強部34とを連設するヒンジ部36,36とを有している。そしてドア補強部材30は、公知の振動溶着技術等を利用して、ドア隣接部位14の裏側およびドアパネル20の裏側へ固定補強部32および可動補強部34,34を各々熱融着することで、基材12の裏側に接合されるようになっている。このようなエアバッグドアに関しては、例えば特許文献1に開示されている。
特開2003−137056号公報
ところで、従来のエアバッグドアAD1は、開放途中のドアパネル20が基材12(ドア隣接部位14)へ接触すると開放角度が小さくなったりするため、基材12から分離した該エアバッグドアAD1は、該基材12から上方へ浮上しながら開放するよう構成されている。従ってヒンジ部36は、図14に示すように、縦断面形状が略U字形をなす弛んだ形状に形成され(実線表示)、破断予定部22が破断してドアパネル20が基材12から分離した際には、エアバッグ42の押圧力により略U字形から直線状に伸長変形することで、該ドアパネル20および可動補強部34の浮上を発現させる構造となっている(図14に1点鎖線で表示)。
しかしながら、ヒンジ部36が上方へ開口した略U字形に形成されているため、図15に示すように、該ヒンジ部36に臨む外縁破断予定部22Aと可動補強部34との間に位置するドアパネル20のヒンジ端側20Aは、該可動補強部34による補強がなされない構造となっていた。このため、低温環境下において各ドアパネル20が開放する際に、該ドアパネル20のヒンジ端側20Aは、ドア隣接部位14(基材12)に接触すると破損してしまうおそれがあった。
また固定補強部32は、基材12に対するドア補強部材30の装着作業時の位置決め誤差を考慮して、破断予定部22(外縁破断予定部22A)より一回り大きい筒体状に形成されている場合が多い。すなわち、図15に示すように、ヒンジ部36に臨む外縁破断予定部22Aと固定補強部32との間に位置するドア隣接部位14の先端側14Aも、該固定補強部32による補強がなされない構造となっていた。従って、ドア隣接部位14の先端側14Aは、前述したドアパネル20のヒンジ端側20Aと同様に、低温環境下においてドアパネル20が開放する際に、該ドアパネル20のヒンジ端側20Aが接触したりすると破損してしまうおそれがあった。
更に、両開きタイプのエアバッグドアAD1に対応したドア補強部材30では、図16に示すように、両可動補強部34,34が隣接部分が若干の隙間を以て分離した状態に形成されている場合が多い。すなわち、中央破断予定部22Bと可動支持部34との間に位置する各ドアパネル20の開放端側20Bは、該可動補強部34で補強がなされない構造となっている。従って、ドアパネル20の開放端側20Bについても、低温環境下において該ドアパネル20が開放する際に、破断予定部22(中央破断予定部22B)以外で破断してしまうおそれがあった。
従って本発明では、低温環境下においてドアパネルが開放する際に、該ドアパネルやドア隣接部位が破損したり、破断予定部以外で破断することを防止したエアバッグドアを提供することを目的とする。
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に記載の発明は、車両内装部材を構成する基材に破断予定部を形成することで該基材の一部として構成されるドアパネルと、前記ドアパネルの裏側に配設されて該ドアパネルを補強するドア補強部とを有するエアバッグドアにおいて、
前記基材を形成する合成樹脂より脆化温度が低い特性を有する合成樹脂から形成したインサート部材を、前記ドアパネルにおいて、前記破断予定部と前記ドア補強部との間に配設したことを要旨とする。
前記基材を形成する合成樹脂より脆化温度が低い特性を有する合成樹脂から形成したインサート部材を、前記ドアパネルにおいて、前記破断予定部と前記ドア補強部との間に配設したことを要旨とする。
従って、請求項1に係る発明によれば、ドアパネルにおけるドア補強部で補強されない部分が、基材より脆化温度の低いインサート部材で補強されているため、低温環境下においてドアパネルが開放する際に、該ドアパネルが破損することを防止し得る。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記破断予定部を挟んで前記ドアパネルの外側に位置し、基材補強部で裏側から補強される前記基材のドア隣接部位において、該破断予定部と前記基材補強部との間に前記インサート部材を配設したことを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、ドア隣接部位における基材補強部で補強されない部分が、基材より脆化温度が低いインサート部材で補強されているため、低温環境下においてドアパネルが開放する際に、該ドア隣接部位(基材)が破損することを防止し得る。
従って、請求項2に係る発明によれば、ドア隣接部位における基材補強部で補強されない部分が、基材より脆化温度が低いインサート部材で補強されているため、低温環境下においてドアパネルが開放する際に、該ドア隣接部位(基材)が破損することを防止し得る。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記インサート部材を、前記破断予定部と前記ドア補強部との間において、前記ドアパネルを支持するヒンジ部に臨む部分に配設したことを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、ドアパネルにおいて、ヒンジ部に臨みかつドア補強部で補強されない部分が、基材より脆化温度の低いインサート部材で補強されているため、低温環境下においてドアパネルが開放する際にドア隣接部位に接触しても、該ドアパネルが破損することを防止し得る。
従って、請求項3に係る発明によれば、ドアパネルにおいて、ヒンジ部に臨みかつドア補強部で補強されない部分が、基材より脆化温度の低いインサート部材で補強されているため、低温環境下においてドアパネルが開放する際にドア隣接部位に接触しても、該ドアパネルが破損することを防止し得る。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の発明において、前記インサート部材は、前記ドア補強部と同材料である熱可塑性エラストマーから形成したことを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、低温時にエアバッグ装置が作動したとしても、インサート部材がドア補強部と同等の強度を発現するため、ドアパネルおよびドア隣接部位(基材)が破損したり、破断予定部以外で破断することを防止し得る。
従って、請求項4に係る発明によれば、低温時にエアバッグ装置が作動したとしても、インサート部材がドア補強部と同等の強度を発現するため、ドアパネルおよびドア隣接部位(基材)が破損したり、破断予定部以外で破断することを防止し得る。
本発明に係るエアバッグドアによれば、低温環境下においてドアパネルが開放する際に、該ドアパネルやドア隣接部位が破損したり、破断予定部以外で破断することを好適に防止し得る。
次に、本発明に係るエアバッグドアにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお実施例では、車両内装部材であるインストルメントパネルに設けた両開きタイプのエアバッグドアについて説明する。従って、図13〜図16に既出の部材、部位と同一の部材、部位については、同一の符号を付して説明する。
図1は、実施例のエアバッグドアを設けたインストルメントパネルを、エアバッグドアを設けた部位だけを一部破断して示した部分平面図であり、図2は、図1のII−II線断面図である。インストルメントパネル10は、従来と同様に、合成樹脂製の基材12を主体とする単層タイプであり、この基材12は複雑な凹凸形状および3次元曲面形状を合わせた外面形状を有している。そして基材12は、車両乗員室の前方へ設置した際に、車体を構成する部材に固定されたエアバッグ装置40を被覆すると共に、図示しないメーターパネル、空調操作パネル、オーディオ機器等の種々車両搭載機器が取り付けられる。なお基材12は、ポリプロピレン(PP)やガラス繊維強化AS(ASG)等の比較的硬質の合成樹脂から形成されており、JIS K7216に基づく脆化温度は−10℃程度となっている。
本実施例のエアバッグドアADは、インストルメントパネル10の基材12に破断予定部22を形成することで、開放前には該基材12の一部として構成される2枚のドアパネル20,20を有している。またエアバッグドアADは、インストルメントパネル10の裏側に設けられてエアバッグ装置40に連結され、両ドアパネル20およびドア隣接部位14を裏側から補強するドア補強部材30を備えている。
破断予定部22は、各ドアパネル20,20とドア隣接部位14との境界ラインに沿って形成された外縁破断予定部22Aと、両ドアパネル20,20間の境界ラインに沿って形成された中央破断予定部22Bとからなり、全体的には略「日字形」を呈している。この破断予定部22は、基材12の裏側にドアパネル20の外縁輪郭ラインに沿って所要深さの溝24を形成したり、または多数の有底孔をミシン目状に形成することで、該ドアパネル20の外周に沿って延在する脆弱化された部分であり、基材12をインジェクション成形する際に該基材12に形成したり、基材成形後の後工程においてエンドミルやレーザー等により形成される。
ドア補強部材30は、図2および図3に示すように、JIS K7216に基づく脆化温度が−25℃以下とされるオレフィン系の熱可塑性エラストマー(TPO)からインジェクション成形され、2枚のドアパネル20,20をインストルメントパネル10の前後方向へ適切に開放させるよう機能する。すなわちドア補強部材30は、ドア隣接部位14の裏側に接合されて基材12を裏側から支持する筒体状の固定補強部(基材補強部)32と、両ドアパネル20,20の裏面に夫々接合されて対応のドアパネル20,20を裏側から支持する可動補強部(ドア補強部)34,34と、これら可動補強部34,34の端縁部および固定補強部32の内壁部に夫々接合されるヒンジ部36,36とを有している。なお固定補強部32は、エアバッグ装置40のケース体に設けた各掛止片が掛止する掛止孔が穿設された筒体部32Aと、この筒体部32Aの上縁部から外方へ延出してドア隣接部位14の裏側に接合される取付片部32Bとを有している。
そして、各可動補強部34のヒンジ部36に隣接した部位には、図2および図3に示すように、該ヒンジ部36に沿って延在する段差部50が形成されており、各可動補強部34は、ヒンジ部36に沿った側が所要幅に亘って一段低くなっている。また、固定補強部32における取付片部32Bのヒンジ部36に隣接した部位には、該ヒンジ部36に沿って延在する段差部52が形成されており、該取付片部32Bは、ヒンジ部36に沿った部位が所要幅に亘って一段低くなっている。これら段差部50,52により画成される陥凹部54は、図2および図7に示すように、基材12の裏側に配設される後述のインサート部材60が整合するようになる。
そして、実施例のエアバッグドアADでは、図1〜図4に示すように、帯板状のインサート部材60を、ドアパネル20の裏側において、破断予定部22の外縁破断予定部22Aと可動補強部34との間に配設してある。また、帯板状のインサート部材60を、ドア隣接部位14の裏側において、破断予定部22の外縁破断予定部22Aと固定補強部32との間にも配設してある。このインサート部材60は、ドア補強部材30と同一の合成樹脂、すなわちJIS K7216に基づく脆化温度が−25℃以下とされるオレフィン系の熱可塑性エラストマー(TPO)からインジェクション成形されたものである。従って、インサート部材60の脆化温度は約−25℃であり、基材12の脆化温度が約−10℃であるから、該インサート部材60の脆化温度が基材12の脆化温度より15℃ほど低くなっている。
各インサート部材60は、図3および図6に示すように、基材12の厚さと略同一の厚さに形成された帯板状の本体部62と、該本体部62の1/2程度の厚さで該本体部62の端縁に沿って所要幅で形成された鍔部64とからなっている。鍔部64は、本体部62の厚み方向において、基材12に密着するようになる該本体部62の第1外面62Aと同一平面となるように形成されており、該基材12の裏側に露出するようになる第2外面62Bとは段差状となっている。なお、同一のヒンジ部36に臨むドアパネル20に配設したインサート部材60とドア隣接部位14に配設したインサート部材60は、単一のインサート部材成形体として形成されて基材12に装着した後に、外縁破断予定部22Aを形成するための溝24を形成することで2つに分割されたものである。
前述した各インサート部材60は、図示しない成形型により前述した本体部62および鍔部64を一体的にインジェクション成形した後、図6に示すように、基材12をインジェクション成形するに際し、インサート成形法により基材12の成形と同時に該基材12に密着的に装着されるようになっている。基材成形用の成形型70は、図6(a)に示すように、基材12の裏面形状と同一形状の成形面72Aを有する第1成形型72と、該基材12の表面形状と同一形状の成形面74Aを有する第2成形型74とを有し、第1成形型72の成形面72Aには、2つのインサート部材60,60が一体化したインサート部材成形体66をセットするための陥凹部72Bが凹設されている。なお陥凹部72Bは、鍔部64を含むインサート部材成形体66の外形サイズより一回り大きく設定されており、第2外面62Bが第1成形型72に密着する向きで該インサート部材60をセットするようになっている。
そして基材12は、図6(b)に示すように、インサート部材成形体66を陥凹部72Bにセットした第1成形型72と第2成形型74とを型閉めした後、成形型70内に画成されたキャビティ内へ溶融樹脂Pを射出することで、該インサート部材成形体66をインサートした状態で成形される。射出された溶融樹脂Pは、キャビティ全体へ行き渡るに際して各インサート部材60,60の第1外面62Aと融着しながら固化すると共に、陥凹部72Bと鍔部64と間に画成された空間内にも回り込み、該鍔部64を包み込みなから固化する。
従って各インサート部材60は、基材12の成形と同時に第1外面62Aが該基材12に溶着され、基材12に対して物理的に固定された状態となっている。またインサート部材60は、溶融樹脂Pが鍔部64を包み込みながら固化することで基材12と一体的に形成された係止部16に該鍔部64が係止され、基材12に対して機械的にも固定された状態となっている。すなわちインサート部材60は、基材12に対して物理的に接着していると共に機械的に係止されているため、該基材12と分離不能に強固に固定される。
そして、図示省略するが、インサート部材60,60(インサート部材成形体66)を配設した基材12に対し、例えばレーザー等により裏側から溝24を形成して、ドアパネル20,20の外縁輪郭ラインに沿った破断予定部22を形成する。なお溝24は、基材12の厚さの半分程度の深さまで到達するため、インサート部材成形体66は破断予定部22に沿って2つに分割されて、各インサート部材60,60が外縁破断予定部22Aに沿った位置で分離するようになる。これにより、一方のインサート部材60は、ドアパネル20におけるヒンジ端側20Aの裏側に配設され、他方のインサート部材60は、ドア隣接部位14における先端側14Aの裏側に配設される。
基材12に対する溝加工が完了したら、図7に示すように、別途成形したドア補強部材30を基材12の裏側にセットし、振動溶着技術により該ドア補強部材30を該基材12の裏側に接合する。なお接合作業に際しては、インサート部材60の本体部62における長手方向の両端部分および係止部16が、ドア補強部材30に形成した段差部50,52において固定補強部32および可動補強部34に夫々接触しているため、これら本体部62および係止部16が可動補強部34および固定補強部32に夫々接合されるようになる。
従って、基材12に対するドア補強部材30の接合が完了すると、図2および図4等に示すと共に前述したように、ドアパネル20のヒンジ端側20Aに配設されたインサート部材60は、外縁破断予定部22Aと可動補強部34との間に位置してヒンジ部36に臨み、本体部62の長手方向の一端部分が該可動補強部34に接合されている。これにより、可動補強部34で補強されないドアパネル20のヒンジ端側20Aは、インサート部材60により全面的に補強された状態となる。また、ドア隣接部位14の先端側14Aに配設されたインサート部材60は、外縁破断予定部22Aと固定補強部32との間に位置してヒンジ部36に臨み、本体部62の長手方向の一端部分が該固定補強部32に接合されている。これにより、固定補強部32で補強されないドア隣接部位14の先端側14Aも、インサート部材60により全面的に補強された状態となる。
なお図4に示すように、一方のインサート部材60と可動補強部34とのオーバーラップ量S1および他方のインサート部材60と固定補強部32とのオーバーラップ量S2は、何れも3mm以上、可能であれば5mm以上に設定するのが望ましい。
以上説明した実施例のエアバッグドアADでは、基材12を形成する合成樹脂より脆化温度が低い特性を有する合成樹脂から形成したインサート部材60を、ドアパネル20における外縁破断予定部22Aと可動補強部34との間(ヒンジ端側20A)に配設すると共に、ドア隣接部位14における外縁破断予定部22Aと固定補強部32との間(先端側14A)に配設したことにより、次のような作用効果を奏する。すなわち、ドア補強部材30の可動補強部34により補強されていないドアパネル20のヒンジ端側20Aと、該ドア補強部材30の固定補強部32により補強されていないドア隣接部位14の先端側14Aが、夫々基材12より脆化温度の低いインサート部材60,60で補強されているため、低温環境下において外縁破断予定部22Aのヒンジ部36に臨む部分が破断する際に、該外縁破断予定部22A以外での破断が好適に防止される。また、低温環境下においてドアパネル20,20が開放する際に、該ドアパネル20のヒンジ端側20Aがドア隣接部位14の先端側14Aに接触したとしても、ドアパネル20およびドア隣接部位14(基材12)が破損することが好適に防止される。
特にインサート部材60は、ドア補強部材30と同材料の熱可塑性エラストマーで形成されているため、−25℃程度までの低温時にエアバッグ装置40が作動したとしても、該インサート部材60は所定の強度を発現するため、ドアパネル20およびドア隣接部位14(基材12)が破損することを防止し得る。
またインサート部材60は、基材12の成形と同時に該基材12に装着されるようになるため、該インサート部材60の配設に係る作業工数が増加することがない。更にインサート部材60は、基材12を成形するに際して該基材12に溶着されて該基材12に対して物理的に固定されていると共に、基材12に一体成形された係止部16により該基材12に機械的にも固定されているため、外縁破断予定部22Aが破断する際や、該ドアパネル20が開放途中にドア隣接部位14(基材12)に接触した際でも、該インサート部材60がドアパネル20およびドア隣接部位14から剥離することが防止される。
なおインサート部材60は、ヒンジ部36に臨む部分だけでなく、これ以外の部分に配設してもよい。例えば図8(a)および図8(b)は、ドアパネル20における開放端側20Bの裏側にも、インサート部材60を配設した場合を示している。可動補強部34がドアパネル20より一回り小さく設定されている場合は、図8(b)に示すように、ドアパネル20における開放端側20B、すなわち中央破断予定部22Bと可動補強部34との間が該可動補強部34で補強されていないため、該開放端側20Bの裏側にインサート部材60を配設することで、該開放端側20Bはインサート部材60により補強されるようになる。このようにインサート部材60を配設した場合は、前述した実施例の形態による作用効果に加えて、低温環境下において破断予定部22の中央破断予定部22Bが破断する際に、該中央破断予定部22B以外で破断することが好適に防止される。
また図9は、ドアパネル20の外端縁部の全周に亘って、破断予定部22と可動補強部34との間にインサート部材60を配設すると共に、ドア隣接部位14の内端縁部の全周に亘って、破断予定部22と固定補強部32との間にインサート部材60を配設した場合を例示している。このように、インサート部材60の破断予定部22の全長に亘って配設した場合には、前述した実施例および図8に示した形態による作用効果に加えて、ドアパネル20の外縁破断予定部22Aに隣接した左右の側端20C,20Cが該インサート部材60により補強されると共に、ドアパネル20の左右の側端20C,20Cに隣接するドア隣接部位14の左側部分および右側部分も該インサート部材60により補強されるため、低温環境下において外縁破断予定部22Aが破断する際に、該外縁破断予定部22A以外で破断することが好適に防止される。
なおインサート部材60は、ヒンジ部36に臨む部分以外の部分だけに配設してもよく、例えばドアパネル20における開放端側20Bの裏側にだけインサート部材60を配設したり(図10(a))、ドアパネル20における左右の側端20C,20Cと、該左右の側端20C,20Cに対向するドア隣接部位14に配設するようにしてもよい(図10(b))。
また前述した実施例では、インサート部材60の厚さを基材12の厚さと略同一に設定した場合を例示したが、該インサート部材60の厚さはこれに限定されるものではない。例えば、インサート部材60の厚さを基材12の厚さの半分程度に設定する場合は、図11に示すように、基材12の裏側に埋め込んだ状態に配設してもよい。この場合には、インサート部材60が基材12の裏面から突出しないため、ドア補強部材30に前述した段差部50,52を設ける必要がなくなり、図14に示した従来のドア補強部材30をそのまま流用することが可能である。
一方、前述した実施例では、基材12に一体成形した係止部16によりインサート部材60を係止する構成を例示したが、基材12に対してインサート部材60が強固に熱融着される場合には、該係止部16を省略することもできる。
更に、前述した実施例では、インサート成形法を利用して、インサート部材60を基材12へ装着する場合を例示したが、該インサート部材60の装着方法はこれに限定されるものではなく、例えばホットメルト等の接着剤を使用してインサート部材60を基材12に接着するようにしてもよい。インサート部材60を基材12に対して接着しても、破断予定部22が破断する際や、ドアパネル20が開放途中に基材12に接触した際でも、該インサート部材60がドアパネル20や基材12から剥離することを防止できる。
更に、前述した実施例では、ドアパネル20の裏側およびドア隣接部位14の裏側に夫々インサート部材60,60を配設する場合を例示したが、図12に示すように、ドア隣接部位14が固定補強部32で全面的に補強される場合には、該インサート部材60を、ドアパネル20の裏側だけに配設するようにしてもよい。
本願が対象とするエアバッグドアは、前述した2枚のドアパネル20,20を有する両開きタイプに限定されるものではない。すなわち、1枚のドアパネルを有する片開きタイプや、4枚のドアパネルを有する四方開きタイプ等にも実施可能である。
また、前述した実施例では、単層タイプのインストルメントパネル10に設けたエアバッグドアを例示したが、本願のエアバッグドアは、基材の表側に表皮材を貼り込んだ2層タイプのインストルメントパネルに設けたものや、基材の表側に表皮材および発泡体を配設した3層タイプのインストルメントパネルに設けたものも対象とされる。
そして、前述した2層タイプまたは3層タイプのインストルメントパネルに設けられるエアバッグドアの場合は、基材12の表側にインサート部材60を配設するようにしてもよい。すなわち、基材12の表側に配設したインサート部材60は、表皮材または発泡体により被覆されてしまうため、インストルメントパネル10の質感低下を来たすことはない。
更に、本願が対象とするエアバッグドアは、前述したインストルメントパネルに設けたものに限定されず、例えばフロントドアまたはリアドアの内張内装部材やピラーガーニッシュ等に設けたものも含まれる。
本発明に係るエアバッグドアは、車両内装部材を構成する基材に破断予定部を形成することで該基材の一部として構成されるドアパネルと、前記ドアパネルの裏側に配設されて該ドアパネルを補強するドア補強部とを有するもので、自動車等のインストルメントパネル等に設けたエアバッグドアとして好適に実施可能である。
12 基材,20 ドアパネル,22 破断予定部,32 固定補強部(基材補強部),
34 可動補強部(ドア補強部),36 ヒンジ部,60 インサート部材
34 可動補強部(ドア補強部),36 ヒンジ部,60 インサート部材
Claims (4)
- 車両内装部材を構成する基材に破断予定部を形成することで該基材の一部として構成されるドアパネルと、前記ドアパネルの裏側に配設されて該ドアパネルを補強するドア補強部とを有するエアバッグドアにおいて、
前記基材を形成する合成樹脂より脆化温度が低い特性を有する合成樹脂から形成したインサート部材を、前記ドアパネルにおいて、前記破断予定部と前記ドア補強部との間に配設した
ことを特徴とするエアバッグドア。 - 前記破断予定部を挟んで前記ドアパネルの外側に位置し、基材補強部で裏側から補強される前記基材のドア隣接部位において、該破断予定部と前記基材補強部との間に前記インサート部材を配設した請求項1記載のエアバッグドア。
- 前記インサート部材を、前記破断予定部と前記ドア補強部との間において、前記ドアパネルを支持するヒンジ部に臨む部分に配設した請求項1または2記載のエアバッグドア。
- 前記インサート部材は、前記ドア補強部と同材料の熱可塑性エラストマーから形成した請求項1〜3の何れか一項に記載のエアバッグドア。
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2006
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