JP2004168112A - 自動車用インストルメントパネル - Google Patents
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Abstract
【課題】助手席側のエアバック展開時にリッド破断ティア部の破損による飛散を防止すると共に、射出成形時の不具合を解決した自動車用のインストルメントパネルを得る。また、表面ヒケなどの外観不具合を無くした自動車用インストルメントパネルを得る。
【解決手段】射出成形により成形され助手席側にエアバック展開部6を備えたインスト本体3のエアバック展開部6の裏面に、オレフィン系エラストマー成形品5またはポリプロピレンを主成分としたポリプロピレン成形品5を振動溶着または超音波溶着して一体化形成されたことを特徴とする。
【選択図】 図2
【解決手段】射出成形により成形され助手席側にエアバック展開部6を備えたインスト本体3のエアバック展開部6の裏面に、オレフィン系エラストマー成形品5またはポリプロピレンを主成分としたポリプロピレン成形品5を振動溶着または超音波溶着して一体化形成されたことを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、四輪自動車の室内側の車体前部に組付けられた自動車用インストルメントパネルであり、特に、エアバック装置が組み込まれた助手席側の自動車用インストルメントパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、エアバック装置を標準装備とした四輪自動車が増加している。エアバック装置は、シートベルトと同様、四輪自動車の搭乗者である運転者及び助手席同乗者を衝突時の衝撃から保護するための装置であり、シートベルトのみでは搭乗者への頭部等への反動が抑えきれないことから、搭乗者の顔面への衝撃を緩和するために設置される装置である。エアバック装置は、例えば、約25km/h以上の速度で平らな壁に正面衝突すると作動し、また、車のフロントの左右で約30°以内の強い衝突による衝突範囲で作動し、予め設定された速度や衝突範囲を超えた場合に作動するものである。
【0003】
エアバック装置は、運転席側及び助手席側に各々個別に設置されており、運転手側のエアバック装置は操向ホイールに組み込まれ、助手席側のエアバック装置は搭乗者シート前方のインストルメントパネルに組み込まれている。
【0004】
従来、インストルメントパネル内に組み込まれた助手席側のエアバック装置は、インストルメントパネル本体にエアバックリッドが別体として形成されており、エアバック装置の作動時、エアバック装置のエアバック袋体がインストルメントパネル内からエアバックリッドを介して搭乗者の前方に突出し、搭乗者の頭部を保護する。しかし、インストルメントパネル本体とエアバックリッドとは別体として形成されていたため、継ぎ目が意匠上の外観を損ねており、また、両者を一体化するための工程が必要となり製品の製造コストが高騰していた。このため、近年、コスト低減及び意匠上の観点から、インストルメントパネル本体とエアバックリッドとを一体化したシームレスインストルメントパネルが開発されている。例えば、第1の樹脂材料から全体を構成し、第1の樹脂材料の内部に、第1の樹脂よりも軟質な第2の樹脂材料を流入させてエアバックドア部を形成し、第1及び第2の樹脂材料により一体化した自動車用インストルメントパネルが開示されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、エアバック展開時のエアバックリッド部による飛散対策として、エアバック展開部にネットを介在させたインストルメントパネルが開発されている。ネットを介在させる方法としては、インストルメントパネルの射出成形の際、ネットをインサートして同時成形する工法やネット付きの成形品をインサート射出成形する工法がある。従来の製造工程について図10を用いて説明する。
【0006】
図10は、助手席側のインストルメントパネルの製造方法についての概略工程を示す図である。本図に示すように、まず、表面がオレフィン系エラストマーから成り、裏面がEPDM(エチレン・プロピレン・ディエンモノマー)入りPP(ポリプロピレン)から成る2層シートを準備し(工程20)、2層シートを凸引き真空成形した後(工程21)、トリムする(工程22)。次に、インストルメントパネル裏面にネットを貼付し(工程23)、ネットを貼付したインストルメントパネルをインスト射出型にインサートし(工程24)、さらに助手席側裏面エアバック部をティア加工して(工程25)、インストルメントパネルとした。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−294060号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記製造方法により作製されたインストルメントパネルは、射出型にネットをインサート成形する際、ネット自体に剛性が無いことから、射出型にネットをセットするのが困難であるという問題を有していた。
【0009】
また、射出成形時に樹脂が流動してしまい、これに伴いネットの配置位置が変動し、その結果、射出成形された自動者用インストルメントパネルの形状にばらつきが生じてしまい、ばらつき調整が必要になる等の問題を有していた。
【0010】
本発明は、上記問題を解決するためのものであり、助手席側のエアバック展開時にインストルメントパネルのリッド破断ティア部の破損による飛散を防止し、かつ、射出成形による不具合を解決した自動車用インストルメントパネルを提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、表面ヒケなどの外観不具合を無くした自動車用インストルメントパネルを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明者は種々研究した結果、インスト本体を予め射出成形しておくと共に、インスト本体に溶着する成形品を予め成形しておき、得られたインスト本体と成形品とを溶融して溶着することにより、高精度に両者を溶着できることを見出した。また、エアバック展開時にリッド破断ティア部の破損による飛散対策として、溶着面にネットを介在させた場合であっても、振動溶着または超音波溶着により溶融溶着することにより、溶着面に配置したネットのずれ等を防止できるだけでなく、リッド破断ティア部の破損による飛散を防止できることを見出し、本発明の完成に至ったものである。
【0013】
また、助手席のインスト本体の裏面取り付けボス等を配設するとインストルメントパネルに外観不良が生じるため、ボス等の配設位置を検討して、表面ヒケ等の外観不良を解決して本発明を完成させたものである。
【0014】
すなわち、本発明は、射出成形により成形され助手席側にエアバック展開部を備えたインスト本体の当該エアバック展開部の裏面に、オレフィン系エラストマー成形品またはポリプロピレンを主成分としたポリプロピレン成形品を振動溶着または超音波溶着して一体化形成された自動車用インストルメントパネルである。
【0015】
本発明によれば、インスト本体のエアバック展開部の裏面に射出成形品を高精度に溶着できるため、射出成形による不都合を解決することができる。
【0016】
また、本発明は、射出成形により成形され助手席側にエアバック展開部を備えたインスト本体の当該エアバック展開部の裏面に、ポリアミドまたはポリエステルを主成分としたネットを介し、オレフィン系エラストマー射出成形品またはポリプロピレンを主成分としたポリプロピレン射出成形品を振動溶着または超音波溶着して一体化形成された自動車用インストルメントパネルである。
【0017】
本発明によれば、エアバック展開部裏面にネットを介したため、エアバック展開時のリッド部破損による飛散を防止することができる。なお、本発明において、ポリプロピレンを主成分とした射出成形品と規定したが、ポリプロピレンに充填剤を入れた射出成形品を使用しても良い。
【0018】
また、上記発明において、前記オレフィン系エラストマー射出成形品または前記ポリプロピレン射出成形品は、前記インスト本体との溶着面と対向する面側に部品組み付け用のボスまたは位置決めピンが配設される。
【0019】
本発明によれば、ボス等の配設による表面ヒケ等の外観不良を防止することができる。
【0020】
さらに、本発明は、射出成形により成形され助手席側にエアバック展開部を備えたインスト本体の当該エアバック展開部の裏面に、ポリアミド繊維またはポリエステル繊維から成る繊維層とオレフィン系エラストマーまたはポリプロピレンから成る層とを有するシートを、前記繊維層が前記インスト本体側に配置されるべく振動溶着または超音波溶着して一体化形成された自動車用インストルメントパネルである。
【0021】
また、上記発明において、前記インスト本体を、主成分がポリプロピレンである材料から射出成形された射出成形品とし、インストルメントパネルをオレフィン系樹脂から構成した自動車用インストルメントパネルである。なお、本発明において、射出成形品は、ポリプロピレンを主成分とすると規定したが、ポリプロピレンにフィラーを充填しても良い。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の自動車用インストルメントパネルについて、図1〜図9を用いて説明する。
【0023】
第1実施形態(図1〜図6)
図1は、自動車用のインストルメントパネルの外観を示す斜視図である。図1に示すシームレスインストルメントパネル1の助手席側にエアバック装置2が組み込まれている。図1のX−X´線断面図を図2に示す。
【0024】
図2に示すように、内部にエアバック装置2が組み込まれた助手席側のシームレスインストルメントパネル(以下、「シームレスインスト」とする。)1は、本体となるインストルメントパネル本体(以下、「インスト本体」とする。)3に格子状に編まれたネット4を介して射出成形品5が振動溶着により一体化形成される。
【0025】
インスト本体3は、その肉厚が2〜5mmであり、0.6mmと薄肉化したエアバック破断展開部6a,6b,6cが形成されると共に、インスト本体3と振動溶着により一体化される射出成形品5には、インスト本体の接着面側にリブ先端幅2mm、高さ3mmの格子状リブ7a,7bが配設される。なお、格子状リブは、インスト本体3である射出成形品の裏面に配設しても良いが、射出成形品の表面にヒケ、艶ムラ等の外観上の問題が発生する可能性もあるため、振動溶着により一体化される射出成形品5に配設することが好ましい。
【0026】
上記インスト本体3は、フィラー及びEPDM(エチレン・プロピレン・ディエンモノマー)入りポリプロピレン材から成形した射出成形品から構成される。エアバック破断展開部6a,6b,6cの肉厚精度は高いほど良いが、肉厚精度のばらつきをゼロとすることが望ましい。インスト本体3の肉厚は、外観上のヒケ、艶ムラ、ウェルド上の問題が無ければ薄いほど良いが、強度上の問題から肉厚を0.3mm〜0.8mmの間とすることが望ましい。なお、インスト本体3を構成する射出成形品を成形する際、外観上及び成形上の問題や成形バラツキが発生して射出成形品の肉厚として目的の厚みを確保出来ない場合には、超音波カッターや熱刃あるいはレーザー加工を施して目的の寸法を確保することが望ましい。
【0027】
ネット4は、低温(約−40℃)エアバック展開及び常温エアバック展開、高温(約85℃)エアバック展開において破断や破損しない材質から形成し、ポリアミド樹脂またはポリエステル樹脂を使用した。ネット4の繊維経及び格子寸法は、ネット材の強度を配慮してエアバック展開時に破断や破損が無いように決定した。なお、ネット4は、エアバック展開時のインスト本体3材の割れや飛散対策として配設したが、エアバック展開性能上必要が無ければ、コスト的あるいは射出成形品との振動溶着性からも設定しない方が望ましい。
【0028】
射出成形品5は、オレフィン系エラストマーあるいはポリプロピレンまたは充填剤入りポリプロピレンを射出成形し、エアバック展開時のヒンジとなる部位を凹形状に成形した。なお、凹形状は、後述するように、エアバック展開時にヒンジ部を形成して破損及び飛散を防止するものである。このため、ヒンジ部の形状は、エアバック展開時のエアバックリッド部が材料の伸びを考慮せずに成立する余裕寸法を配慮して設定し、設定したヒンジ部の寸法に応じて凹形状を成形することが望ましい。
【0029】
上記構成のシームレスインスト1の助手席側に組み込まれたエアバック装置2は、シームレスインスト1側が開口したエアバックケース8内にエアバック袋体9が折り畳まれて収納され、エアバック袋体9には高圧ガスを発生させるインフレータ等の図示しない高圧ガス発生手段が接続される。自動車走行時に急ブレーキをかけた場合等に、高圧ガス発生手段から発生される高圧ガスによりエアバック袋体9が膨張し、膨張したエアバック袋体9はシームレスインスト1に接触してインスト本体3のエアバック破断展開部6cを破断する。
【0030】
図3は、エアバック展開時のインストルメントパネル助手席側の断面を示す図であり、本図に示すように、インスト本体3のエアバック破断展開部6cが破断され、一方、エアバック破断展開部6a,6bは射出成形品5に形成された格子状リブ7a,7b及びネット4によりヒンジ部10a,10bが形成される。これにより、エアバック袋体9はエアバック破断展開部6cからシームレスインスト1の前方に突出する。
【0031】
次に、上記構成のシームレスインスト1の製造方法について、図4〜図6により説明する。図4は、製造方法の概略工程を示す図であり、本図に示すように、まず、インスト本体を射出成形し(工程1)、インスト本体の助手席側の裏面エアバック部をティア加工した(工程2)。次に、インスト本体の裏面にネットを貼付し(工程3)、射出成形品をセットして振動溶着した(工程4)。
【0032】
振動溶着は、一方の部品を固定し他方の部品を加圧しながら水平方向に振動させることにより接合面を溶融・溶着させるものであり、上記工程4の振動溶着は、図5に示す上下の対向する上側11aおよび下側11bから構成される振動溶着治具を使用した。
【0033】
まず、下側の振動溶着治具11bにインスト本体3をセットし、インスト本体3の助手席エアバック開口部に規定のサイズで打ち抜いたポリアミド繊維を束ねた外形φ1mmの繊維体を3mmの格子状に編んだネット4を配置した。インスト本体3の裏面に配置したネット4の形状は、エアバック展開時の展開部の形状とし、エアバック破断展開部6cから3mm離れた部位に配設すると共に、ヒンジ部が形成されるエアバック展開部6a,6bにも配置した。なお、ヒンジ部のネット配設量は20mmとしたが、ヒンジ部の配設量は可能な限り多くすることが望ましい。
【0034】
次に、上側の振動溶着治具11aにオレフィン系エラストマーからインスト本体3と同形状に射出成形した射出成形品をセットした。そして、下側の振動溶着治具11aに配置されたネット上に射出成型品を配置し、振動させながら接合面を溶融・溶着させて一体化してシームレスインスト1とした。
【0035】
なお、上記振動溶着により発生したバリは、エアバック展開時、飛散する可能性があるため、端末に析出しないようにすることが好ましい。例えば、格子リブの外周は、溶着とせずバリ止めとして高さを短くすると良い。リブの溶着量を1mmとした場合、最外周のリブ高さを2.0〜2.3とし、最外周のリブは溶着せず溶着バリを発生させないようにする。発生したバリがエアバック展開時、飛散することの無いように配慮することが望ましい。
【0036】
図6は、図5に示すA部の拡大図であり、振動溶着時の射出成形品5を固定する発振機側の接面端形状を示す図である。本図に示すように、発振機側11aの接面端形状は、射出成形品とホーンとの接合面での滑りを防止すべく先端にシャープな凹凸形状12を形成した。本実施形態においては、接面端形状を凹凸形状としたが、接面端形状は凹凸形状に限定されるものではなく滑りを防止できる形状であればどのような形状であっても良い。なお、図6に示す13は溶接量である。
【0037】
本実施形態によれば、予め射出成形したインスト本体と、本インスト本体に振動溶着して一体化形成される射出成形品とを使用して、一方の射出成形品を固定して振動溶着により他方の射出成形品を溶着して一体化したため、高精度に溶着できると共に、溶着面に配置したネットのずれ等を防止でき、その結果、高精度なシームレスインストを得ることができる。また、インスト本体に振動溶着して一体化形成される射出成形品に凹部を形成したため、エアバック展開時にヒンジ部が形成され、ヒンジ部の破損及び飛散を防止することができる。
【0038】
第2実施形態(図7)
本実施形態では、エアバック展開時の樹脂割れによる飛散対策として、ネット及び射出成形品をエアバック展開部裏面だけでなく、エアバック展開部の外周であるエアバック否展開部にも配設した。なお、シームレスインストの製造方法は、第1実施形態とほぼ同様であるため、その説明は省略し、同一箇所には同一の符号を使用した。
【0039】
本実施形態において、ネット及び射出成形品をエアバック否展開部にも配置するため、エアバック否展開部まで被覆可能なサイズのネットを使用した。
【0040】
図7は、エアバック否展開部にまでネット及び射出成形品を配設した図である。本図に示すように、インスト本体3裏面にネット4を配置し、このネット4上にエアバック破断展開部6を切り欠いた形状とし外周をネットと同様のオレフィン系エラストマーで射出成形した射出成形品5を配置した。ネット4上に配置された射出成形品5の溶着部裏面には、部品14取り付け用のボス15が形成されている。上記インスト本体3、ネット4及び射出成形品5を振動溶着により一体化してシームレスインスト1とした。
【0041】
一体化したインスト本体3裏面のエアバック破断展開部6には、ネット4が存在しているため、超音波カッター等でエアバック展開に支障が無いように完全にカットした。なお、ネットをカットする際には、エアバック破断展開部6にカッター等の傷がつかないようにカットする必要がある。また、エアバック破断展開部6の射出成形品の破断部切り欠き量は、エアバック展開時の破断及びネットカット時の加工に支障が無い最小限の寸法とすることが好ましい。
【0042】
本実施形態によれば、エアバック破断展開部だけでなく、その外周であるエアバック否展開部にもネット及び射出成形品を配置したため、破断ティア部の破損による飛散を防止することができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、インスト本体裏面にボスを配設するのではなく、射出成形品5の溶着部裏面にボスを配設したため、インスト表面のヒケ等の発生を防止でき、その結果、表面外観が良好なシームレスインストを得ることができる。なお、本実施形態では、ボスを配設した具体例を示したが、ボスに限定されず補強用のリブを配設する場合にも本実施形態のように配設することにより同様の効果を得ることができる。
【0044】
第3実施形態(図8,図9)
本実施形態では、第1実施形態で使用したオレフィン系エラストマー成形品またはポリプロピレン射出成形品の代替として、シートを使用した。
【0045】
本実施形態で使用したシートは、ポリアミド繊維またはポリエステル繊維から成る繊維層とオレフィン系エラストマーまたはポリプロピレンから成る層とを有するシートである。本シートをエアバック展開時の樹脂割れによる飛散対策として、エアバック展開部裏面あるいはエアバック展開部の外周であるエアバック否展開部のいずれかに配置するかに応じて、カットするシートのサイズを変えた。具体的には、シートの配置位置に応じてシートのサイズを第1実施形態及び第2実施形態で示したネットと同様のサイズにカットした。
【0046】
図8は、シートを使用したシームレスインストの製造方法の概略工程を示す図である。本図に示すように、まず、インスト本体を射出成形し(工程10)、インスト本体の助手席側の裏面エアバック部をティア加工した(工程11)。次に、ネット付きシート打ち抜き品をセットし(工程12)、振動溶着した(工程13)。
【0047】
図9は、インスト本体にシート及びネットを配設した図である。本図に示すように、インスト本体3裏面にネット4を配置し、このネット4上に外周をネット4と同様のシート16を配置した。なお、ネット4上に配置されたシート16の溶着部裏面には、格子状リブ7が形成される。
【0048】
上記製造方法により助手席側エアバック展開部裏面に溶着されるポリアミドまたはポリエステル等のエアバック展開時のリッド部による飛散対策であるネット4を介し、インスト本体3、ネット4及びシート16が振動溶着により一体化形成されシームレスインスト1が形成される。
【0049】
また、シートを振動溶着する際、シート端末まで実施すると第1実施形態にて説明したように溶着バリがシート端末に発生する。このため、エアバック展開時の飛散が懸念されることから、シートの溶着範囲は、外周端末から1mm以上内側にすることが好ましい。また、振動溶着時のシートを固定する発振機側の接面端形状は、シートとホーンの接面が滑らないように先端にシャープな凹凸の形状を設けるなどの配慮をすることが望ましい。
【0050】
本実施形態によれば、インスト本体にシートを振動溶着することにより、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0051】
なお、上述した第1実施形態から第3実施形態までにおいては、振動溶着を用いて溶着した具体例を示したが、本発明は当然に振動溶着に限定されるものではなく、例えば、超音波溶着により接合面を溶着するものであっても良い。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、シームレスかつ高精度であり、助手席側シームレスインストのエアバック展開時にリッド破断ティア部の破損による飛散を防止した自動車用インストルメントパネルを得ることができる。また、表面ヒケ等の外観不具合を無くし、外観が良好な自動車用インストルメントパネルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における、自動車用のインストルメントパネルの外観を示す斜視図。
【図2】図1に示すX−X´線断面図。
【図3】エアバック展開時における、図1に示すX−X´線断面図。
【図4】本発明の第1実施形態における、シームレスインストの製造方法を説明する概略工程図。
【図5】本発明の第1実施形態における、振動溶着治具を示す図。
【図6】図5に示すA部の拡大図であり、振動溶着時の射出成形品を固定する発振機側の接面端形状を示す図。
【図7】本発明の第2実施形態における、エアバック否展開部にまでネット及び射出成形品を配設した図。
【図8】本発明の第3実施形態における、シートを使用したシームレスインストの製造方法の概略工程を示す図。
【図9】本発明の第3実施形態における、インスト本体にシート及びネットを配置した図。
【図10】従来における助手席側シームレスインストルメントパネルの製造方法を示す概略工程図。
【符号の説明】
1 シームレスインスト(シームレスインストルメントパネル)
2 エアバック装置
3 インスト本体(インストルメントパネルの本体)
4 ネット
5 射出成形品
6a,6b,6c エアバック破断展開部
7a,7b 格子状リブ
8 エアバックケース
9 エアバック袋体
10a,10b ヒンジ部
11a,11b 振動溶着治具
12 シャープな凹凸形状
13 溶接量
14 部品
15 ボス
16 シート
【発明の属する技術分野】
本発明は、四輪自動車の室内側の車体前部に組付けられた自動車用インストルメントパネルであり、特に、エアバック装置が組み込まれた助手席側の自動車用インストルメントパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、エアバック装置を標準装備とした四輪自動車が増加している。エアバック装置は、シートベルトと同様、四輪自動車の搭乗者である運転者及び助手席同乗者を衝突時の衝撃から保護するための装置であり、シートベルトのみでは搭乗者への頭部等への反動が抑えきれないことから、搭乗者の顔面への衝撃を緩和するために設置される装置である。エアバック装置は、例えば、約25km/h以上の速度で平らな壁に正面衝突すると作動し、また、車のフロントの左右で約30°以内の強い衝突による衝突範囲で作動し、予め設定された速度や衝突範囲を超えた場合に作動するものである。
【0003】
エアバック装置は、運転席側及び助手席側に各々個別に設置されており、運転手側のエアバック装置は操向ホイールに組み込まれ、助手席側のエアバック装置は搭乗者シート前方のインストルメントパネルに組み込まれている。
【0004】
従来、インストルメントパネル内に組み込まれた助手席側のエアバック装置は、インストルメントパネル本体にエアバックリッドが別体として形成されており、エアバック装置の作動時、エアバック装置のエアバック袋体がインストルメントパネル内からエアバックリッドを介して搭乗者の前方に突出し、搭乗者の頭部を保護する。しかし、インストルメントパネル本体とエアバックリッドとは別体として形成されていたため、継ぎ目が意匠上の外観を損ねており、また、両者を一体化するための工程が必要となり製品の製造コストが高騰していた。このため、近年、コスト低減及び意匠上の観点から、インストルメントパネル本体とエアバックリッドとを一体化したシームレスインストルメントパネルが開発されている。例えば、第1の樹脂材料から全体を構成し、第1の樹脂材料の内部に、第1の樹脂よりも軟質な第2の樹脂材料を流入させてエアバックドア部を形成し、第1及び第2の樹脂材料により一体化した自動車用インストルメントパネルが開示されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、エアバック展開時のエアバックリッド部による飛散対策として、エアバック展開部にネットを介在させたインストルメントパネルが開発されている。ネットを介在させる方法としては、インストルメントパネルの射出成形の際、ネットをインサートして同時成形する工法やネット付きの成形品をインサート射出成形する工法がある。従来の製造工程について図10を用いて説明する。
【0006】
図10は、助手席側のインストルメントパネルの製造方法についての概略工程を示す図である。本図に示すように、まず、表面がオレフィン系エラストマーから成り、裏面がEPDM(エチレン・プロピレン・ディエンモノマー)入りPP(ポリプロピレン)から成る2層シートを準備し(工程20)、2層シートを凸引き真空成形した後(工程21)、トリムする(工程22)。次に、インストルメントパネル裏面にネットを貼付し(工程23)、ネットを貼付したインストルメントパネルをインスト射出型にインサートし(工程24)、さらに助手席側裏面エアバック部をティア加工して(工程25)、インストルメントパネルとした。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−294060号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記製造方法により作製されたインストルメントパネルは、射出型にネットをインサート成形する際、ネット自体に剛性が無いことから、射出型にネットをセットするのが困難であるという問題を有していた。
【0009】
また、射出成形時に樹脂が流動してしまい、これに伴いネットの配置位置が変動し、その結果、射出成形された自動者用インストルメントパネルの形状にばらつきが生じてしまい、ばらつき調整が必要になる等の問題を有していた。
【0010】
本発明は、上記問題を解決するためのものであり、助手席側のエアバック展開時にインストルメントパネルのリッド破断ティア部の破損による飛散を防止し、かつ、射出成形による不具合を解決した自動車用インストルメントパネルを提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、表面ヒケなどの外観不具合を無くした自動車用インストルメントパネルを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明者は種々研究した結果、インスト本体を予め射出成形しておくと共に、インスト本体に溶着する成形品を予め成形しておき、得られたインスト本体と成形品とを溶融して溶着することにより、高精度に両者を溶着できることを見出した。また、エアバック展開時にリッド破断ティア部の破損による飛散対策として、溶着面にネットを介在させた場合であっても、振動溶着または超音波溶着により溶融溶着することにより、溶着面に配置したネットのずれ等を防止できるだけでなく、リッド破断ティア部の破損による飛散を防止できることを見出し、本発明の完成に至ったものである。
【0013】
また、助手席のインスト本体の裏面取り付けボス等を配設するとインストルメントパネルに外観不良が生じるため、ボス等の配設位置を検討して、表面ヒケ等の外観不良を解決して本発明を完成させたものである。
【0014】
すなわち、本発明は、射出成形により成形され助手席側にエアバック展開部を備えたインスト本体の当該エアバック展開部の裏面に、オレフィン系エラストマー成形品またはポリプロピレンを主成分としたポリプロピレン成形品を振動溶着または超音波溶着して一体化形成された自動車用インストルメントパネルである。
【0015】
本発明によれば、インスト本体のエアバック展開部の裏面に射出成形品を高精度に溶着できるため、射出成形による不都合を解決することができる。
【0016】
また、本発明は、射出成形により成形され助手席側にエアバック展開部を備えたインスト本体の当該エアバック展開部の裏面に、ポリアミドまたはポリエステルを主成分としたネットを介し、オレフィン系エラストマー射出成形品またはポリプロピレンを主成分としたポリプロピレン射出成形品を振動溶着または超音波溶着して一体化形成された自動車用インストルメントパネルである。
【0017】
本発明によれば、エアバック展開部裏面にネットを介したため、エアバック展開時のリッド部破損による飛散を防止することができる。なお、本発明において、ポリプロピレンを主成分とした射出成形品と規定したが、ポリプロピレンに充填剤を入れた射出成形品を使用しても良い。
【0018】
また、上記発明において、前記オレフィン系エラストマー射出成形品または前記ポリプロピレン射出成形品は、前記インスト本体との溶着面と対向する面側に部品組み付け用のボスまたは位置決めピンが配設される。
【0019】
本発明によれば、ボス等の配設による表面ヒケ等の外観不良を防止することができる。
【0020】
さらに、本発明は、射出成形により成形され助手席側にエアバック展開部を備えたインスト本体の当該エアバック展開部の裏面に、ポリアミド繊維またはポリエステル繊維から成る繊維層とオレフィン系エラストマーまたはポリプロピレンから成る層とを有するシートを、前記繊維層が前記インスト本体側に配置されるべく振動溶着または超音波溶着して一体化形成された自動車用インストルメントパネルである。
【0021】
また、上記発明において、前記インスト本体を、主成分がポリプロピレンである材料から射出成形された射出成形品とし、インストルメントパネルをオレフィン系樹脂から構成した自動車用インストルメントパネルである。なお、本発明において、射出成形品は、ポリプロピレンを主成分とすると規定したが、ポリプロピレンにフィラーを充填しても良い。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の自動車用インストルメントパネルについて、図1〜図9を用いて説明する。
【0023】
第1実施形態(図1〜図6)
図1は、自動車用のインストルメントパネルの外観を示す斜視図である。図1に示すシームレスインストルメントパネル1の助手席側にエアバック装置2が組み込まれている。図1のX−X´線断面図を図2に示す。
【0024】
図2に示すように、内部にエアバック装置2が組み込まれた助手席側のシームレスインストルメントパネル(以下、「シームレスインスト」とする。)1は、本体となるインストルメントパネル本体(以下、「インスト本体」とする。)3に格子状に編まれたネット4を介して射出成形品5が振動溶着により一体化形成される。
【0025】
インスト本体3は、その肉厚が2〜5mmであり、0.6mmと薄肉化したエアバック破断展開部6a,6b,6cが形成されると共に、インスト本体3と振動溶着により一体化される射出成形品5には、インスト本体の接着面側にリブ先端幅2mm、高さ3mmの格子状リブ7a,7bが配設される。なお、格子状リブは、インスト本体3である射出成形品の裏面に配設しても良いが、射出成形品の表面にヒケ、艶ムラ等の外観上の問題が発生する可能性もあるため、振動溶着により一体化される射出成形品5に配設することが好ましい。
【0026】
上記インスト本体3は、フィラー及びEPDM(エチレン・プロピレン・ディエンモノマー)入りポリプロピレン材から成形した射出成形品から構成される。エアバック破断展開部6a,6b,6cの肉厚精度は高いほど良いが、肉厚精度のばらつきをゼロとすることが望ましい。インスト本体3の肉厚は、外観上のヒケ、艶ムラ、ウェルド上の問題が無ければ薄いほど良いが、強度上の問題から肉厚を0.3mm〜0.8mmの間とすることが望ましい。なお、インスト本体3を構成する射出成形品を成形する際、外観上及び成形上の問題や成形バラツキが発生して射出成形品の肉厚として目的の厚みを確保出来ない場合には、超音波カッターや熱刃あるいはレーザー加工を施して目的の寸法を確保することが望ましい。
【0027】
ネット4は、低温(約−40℃)エアバック展開及び常温エアバック展開、高温(約85℃)エアバック展開において破断や破損しない材質から形成し、ポリアミド樹脂またはポリエステル樹脂を使用した。ネット4の繊維経及び格子寸法は、ネット材の強度を配慮してエアバック展開時に破断や破損が無いように決定した。なお、ネット4は、エアバック展開時のインスト本体3材の割れや飛散対策として配設したが、エアバック展開性能上必要が無ければ、コスト的あるいは射出成形品との振動溶着性からも設定しない方が望ましい。
【0028】
射出成形品5は、オレフィン系エラストマーあるいはポリプロピレンまたは充填剤入りポリプロピレンを射出成形し、エアバック展開時のヒンジとなる部位を凹形状に成形した。なお、凹形状は、後述するように、エアバック展開時にヒンジ部を形成して破損及び飛散を防止するものである。このため、ヒンジ部の形状は、エアバック展開時のエアバックリッド部が材料の伸びを考慮せずに成立する余裕寸法を配慮して設定し、設定したヒンジ部の寸法に応じて凹形状を成形することが望ましい。
【0029】
上記構成のシームレスインスト1の助手席側に組み込まれたエアバック装置2は、シームレスインスト1側が開口したエアバックケース8内にエアバック袋体9が折り畳まれて収納され、エアバック袋体9には高圧ガスを発生させるインフレータ等の図示しない高圧ガス発生手段が接続される。自動車走行時に急ブレーキをかけた場合等に、高圧ガス発生手段から発生される高圧ガスによりエアバック袋体9が膨張し、膨張したエアバック袋体9はシームレスインスト1に接触してインスト本体3のエアバック破断展開部6cを破断する。
【0030】
図3は、エアバック展開時のインストルメントパネル助手席側の断面を示す図であり、本図に示すように、インスト本体3のエアバック破断展開部6cが破断され、一方、エアバック破断展開部6a,6bは射出成形品5に形成された格子状リブ7a,7b及びネット4によりヒンジ部10a,10bが形成される。これにより、エアバック袋体9はエアバック破断展開部6cからシームレスインスト1の前方に突出する。
【0031】
次に、上記構成のシームレスインスト1の製造方法について、図4〜図6により説明する。図4は、製造方法の概略工程を示す図であり、本図に示すように、まず、インスト本体を射出成形し(工程1)、インスト本体の助手席側の裏面エアバック部をティア加工した(工程2)。次に、インスト本体の裏面にネットを貼付し(工程3)、射出成形品をセットして振動溶着した(工程4)。
【0032】
振動溶着は、一方の部品を固定し他方の部品を加圧しながら水平方向に振動させることにより接合面を溶融・溶着させるものであり、上記工程4の振動溶着は、図5に示す上下の対向する上側11aおよび下側11bから構成される振動溶着治具を使用した。
【0033】
まず、下側の振動溶着治具11bにインスト本体3をセットし、インスト本体3の助手席エアバック開口部に規定のサイズで打ち抜いたポリアミド繊維を束ねた外形φ1mmの繊維体を3mmの格子状に編んだネット4を配置した。インスト本体3の裏面に配置したネット4の形状は、エアバック展開時の展開部の形状とし、エアバック破断展開部6cから3mm離れた部位に配設すると共に、ヒンジ部が形成されるエアバック展開部6a,6bにも配置した。なお、ヒンジ部のネット配設量は20mmとしたが、ヒンジ部の配設量は可能な限り多くすることが望ましい。
【0034】
次に、上側の振動溶着治具11aにオレフィン系エラストマーからインスト本体3と同形状に射出成形した射出成形品をセットした。そして、下側の振動溶着治具11aに配置されたネット上に射出成型品を配置し、振動させながら接合面を溶融・溶着させて一体化してシームレスインスト1とした。
【0035】
なお、上記振動溶着により発生したバリは、エアバック展開時、飛散する可能性があるため、端末に析出しないようにすることが好ましい。例えば、格子リブの外周は、溶着とせずバリ止めとして高さを短くすると良い。リブの溶着量を1mmとした場合、最外周のリブ高さを2.0〜2.3とし、最外周のリブは溶着せず溶着バリを発生させないようにする。発生したバリがエアバック展開時、飛散することの無いように配慮することが望ましい。
【0036】
図6は、図5に示すA部の拡大図であり、振動溶着時の射出成形品5を固定する発振機側の接面端形状を示す図である。本図に示すように、発振機側11aの接面端形状は、射出成形品とホーンとの接合面での滑りを防止すべく先端にシャープな凹凸形状12を形成した。本実施形態においては、接面端形状を凹凸形状としたが、接面端形状は凹凸形状に限定されるものではなく滑りを防止できる形状であればどのような形状であっても良い。なお、図6に示す13は溶接量である。
【0037】
本実施形態によれば、予め射出成形したインスト本体と、本インスト本体に振動溶着して一体化形成される射出成形品とを使用して、一方の射出成形品を固定して振動溶着により他方の射出成形品を溶着して一体化したため、高精度に溶着できると共に、溶着面に配置したネットのずれ等を防止でき、その結果、高精度なシームレスインストを得ることができる。また、インスト本体に振動溶着して一体化形成される射出成形品に凹部を形成したため、エアバック展開時にヒンジ部が形成され、ヒンジ部の破損及び飛散を防止することができる。
【0038】
第2実施形態(図7)
本実施形態では、エアバック展開時の樹脂割れによる飛散対策として、ネット及び射出成形品をエアバック展開部裏面だけでなく、エアバック展開部の外周であるエアバック否展開部にも配設した。なお、シームレスインストの製造方法は、第1実施形態とほぼ同様であるため、その説明は省略し、同一箇所には同一の符号を使用した。
【0039】
本実施形態において、ネット及び射出成形品をエアバック否展開部にも配置するため、エアバック否展開部まで被覆可能なサイズのネットを使用した。
【0040】
図7は、エアバック否展開部にまでネット及び射出成形品を配設した図である。本図に示すように、インスト本体3裏面にネット4を配置し、このネット4上にエアバック破断展開部6を切り欠いた形状とし外周をネットと同様のオレフィン系エラストマーで射出成形した射出成形品5を配置した。ネット4上に配置された射出成形品5の溶着部裏面には、部品14取り付け用のボス15が形成されている。上記インスト本体3、ネット4及び射出成形品5を振動溶着により一体化してシームレスインスト1とした。
【0041】
一体化したインスト本体3裏面のエアバック破断展開部6には、ネット4が存在しているため、超音波カッター等でエアバック展開に支障が無いように完全にカットした。なお、ネットをカットする際には、エアバック破断展開部6にカッター等の傷がつかないようにカットする必要がある。また、エアバック破断展開部6の射出成形品の破断部切り欠き量は、エアバック展開時の破断及びネットカット時の加工に支障が無い最小限の寸法とすることが好ましい。
【0042】
本実施形態によれば、エアバック破断展開部だけでなく、その外周であるエアバック否展開部にもネット及び射出成形品を配置したため、破断ティア部の破損による飛散を防止することができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、インスト本体裏面にボスを配設するのではなく、射出成形品5の溶着部裏面にボスを配設したため、インスト表面のヒケ等の発生を防止でき、その結果、表面外観が良好なシームレスインストを得ることができる。なお、本実施形態では、ボスを配設した具体例を示したが、ボスに限定されず補強用のリブを配設する場合にも本実施形態のように配設することにより同様の効果を得ることができる。
【0044】
第3実施形態(図8,図9)
本実施形態では、第1実施形態で使用したオレフィン系エラストマー成形品またはポリプロピレン射出成形品の代替として、シートを使用した。
【0045】
本実施形態で使用したシートは、ポリアミド繊維またはポリエステル繊維から成る繊維層とオレフィン系エラストマーまたはポリプロピレンから成る層とを有するシートである。本シートをエアバック展開時の樹脂割れによる飛散対策として、エアバック展開部裏面あるいはエアバック展開部の外周であるエアバック否展開部のいずれかに配置するかに応じて、カットするシートのサイズを変えた。具体的には、シートの配置位置に応じてシートのサイズを第1実施形態及び第2実施形態で示したネットと同様のサイズにカットした。
【0046】
図8は、シートを使用したシームレスインストの製造方法の概略工程を示す図である。本図に示すように、まず、インスト本体を射出成形し(工程10)、インスト本体の助手席側の裏面エアバック部をティア加工した(工程11)。次に、ネット付きシート打ち抜き品をセットし(工程12)、振動溶着した(工程13)。
【0047】
図9は、インスト本体にシート及びネットを配設した図である。本図に示すように、インスト本体3裏面にネット4を配置し、このネット4上に外周をネット4と同様のシート16を配置した。なお、ネット4上に配置されたシート16の溶着部裏面には、格子状リブ7が形成される。
【0048】
上記製造方法により助手席側エアバック展開部裏面に溶着されるポリアミドまたはポリエステル等のエアバック展開時のリッド部による飛散対策であるネット4を介し、インスト本体3、ネット4及びシート16が振動溶着により一体化形成されシームレスインスト1が形成される。
【0049】
また、シートを振動溶着する際、シート端末まで実施すると第1実施形態にて説明したように溶着バリがシート端末に発生する。このため、エアバック展開時の飛散が懸念されることから、シートの溶着範囲は、外周端末から1mm以上内側にすることが好ましい。また、振動溶着時のシートを固定する発振機側の接面端形状は、シートとホーンの接面が滑らないように先端にシャープな凹凸の形状を設けるなどの配慮をすることが望ましい。
【0050】
本実施形態によれば、インスト本体にシートを振動溶着することにより、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0051】
なお、上述した第1実施形態から第3実施形態までにおいては、振動溶着を用いて溶着した具体例を示したが、本発明は当然に振動溶着に限定されるものではなく、例えば、超音波溶着により接合面を溶着するものであっても良い。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、シームレスかつ高精度であり、助手席側シームレスインストのエアバック展開時にリッド破断ティア部の破損による飛散を防止した自動車用インストルメントパネルを得ることができる。また、表面ヒケ等の外観不具合を無くし、外観が良好な自動車用インストルメントパネルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における、自動車用のインストルメントパネルの外観を示す斜視図。
【図2】図1に示すX−X´線断面図。
【図3】エアバック展開時における、図1に示すX−X´線断面図。
【図4】本発明の第1実施形態における、シームレスインストの製造方法を説明する概略工程図。
【図5】本発明の第1実施形態における、振動溶着治具を示す図。
【図6】図5に示すA部の拡大図であり、振動溶着時の射出成形品を固定する発振機側の接面端形状を示す図。
【図7】本発明の第2実施形態における、エアバック否展開部にまでネット及び射出成形品を配設した図。
【図8】本発明の第3実施形態における、シートを使用したシームレスインストの製造方法の概略工程を示す図。
【図9】本発明の第3実施形態における、インスト本体にシート及びネットを配置した図。
【図10】従来における助手席側シームレスインストルメントパネルの製造方法を示す概略工程図。
【符号の説明】
1 シームレスインスト(シームレスインストルメントパネル)
2 エアバック装置
3 インスト本体(インストルメントパネルの本体)
4 ネット
5 射出成形品
6a,6b,6c エアバック破断展開部
7a,7b 格子状リブ
8 エアバックケース
9 エアバック袋体
10a,10b ヒンジ部
11a,11b 振動溶着治具
12 シャープな凹凸形状
13 溶接量
14 部品
15 ボス
16 シート
Claims (5)
- 射出成形により成形され助手席側にエアバック展開部を備えたインスト本体の当該エアバック展開部の裏面に、オレフィン系エラストマー成形品またはポリプロピレンを主成分としたポリプロピレン成形品を振動溶着または超音波溶着して一体化形成されたことを特徴とする自動車用インストルメントパネル。
- 射出成形により成形され助手席側にエアバック展開部を備えたインスト本体の当該エアバック展開部の裏面に、ポリアミドまたはポリエステルを主成分としたネットを介し、オレフィン系エラストマー射出成形品またはポリプロピレンを主成分としたポリプロピレン射出成形品を振動溶着または超音波溶着して一体化形成されたことを特徴とする自動車用インストルメントパネル。
- 射出成形により成形され助手席側にエアバック展開部を備えたインスト本体の当該エアバック展開部の裏面に、ポリアミド繊維またはポリエステル繊維から成る繊維層とオレフィン系エラストマーまたはポリプロピレンから成る層とを有するシートを、前記繊維層が前記インスト本体側に配置されるべく振動溶着または超音波溶着して一体化形成されたことを特徴とする自動車用インストルメントパネル。
- 前記インスト本体を、主成分がポリプロピレンである材料から射出成形された射出成形品とし、インストルメントパネルをオレフィン系樹脂から構成した請求項1乃至3のいずれか1項に記載の自動車用インストルメントパネル。
- 前記オレフィン系エラストマー射出成形品または前記ポリプロピレン射出成形品は、前記インスト本体との溶着面と対向する面側に部品組み付け用のボスまたは位置決めピンが配設されたことを特徴とする請求項2記載の自動車用インストルメントパネル。
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