JP2008126524A - 歯付ベルトの製造方法及び歯付ベルト - Google Patents

歯付ベルトの製造方法及び歯付ベルト Download PDF

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Toru Yamashita
亨 山下
Fumichika Nakagawa
文史 中川
Hiroyuki Nishio
裕之 西尾
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Abstract

【課題】1種類のスリーブ形成用モールドを用いて、サイズ(歯数)の異なる複数種類のベルトを製造することのできる歯付ベルトの製造方法を提供すること。
【解決手段】外周面に複数の溝部を有するモールドを用いて形成された半加硫スリーブを螺旋状に切断して、両端が切り離された長尺ベルト13を形成した後、この長尺ベルト13を幅方向に密着させながら複数の歯付プーリに巻き掛け、ベルト並列体を作製する。このとき、複数の歯付プーリへの長尺ベルト13の巻き掛け長さを調節することにより、ベルト並列体の内面に配置される歯部の数を調整する。その後、ベルト並列体を加硫して長尺ベルト13を一体化することにより加硫スリーブ15を作製し、この加硫スリーブ15を所定幅で切断して、歯付ベルト1を形成する。
【選択図】図8

Description

本発明は、歯付ベルトの製造方法及び歯付ベルトに関する。
従来から、長手方向に沿って配置された複数の歯部と、これら複数の歯部を被覆する帆布と、心線が埋設された背部とを有し、動力伝達等の用途に使用される歯付ベルトが知られている。このような歯付ベルトは、一般的に、以下のような工程によって製造される(例えば、特許文献1参照)。
まず、周方向に沿って複数の溝部が形成された円筒状又は円柱状のモールドの外周面に、帆布と心線と未加硫ゴムシートとを巻き付ける。次に、モールド外周面に巻き付けられた積層体を加熱加圧することにより、積層体の加硫を行いつつモールドの複数の溝部にゴムを流入させて、複数の溝部に対応した複数の歯部を内周面に有する筒状の加硫ベルトスリーブを作製する。そして、このベルトスリーブを所定幅で切断することにより、モールドの溝部と同数の歯部を有する歯付ベルトが形成される。
特開平11−336848号公報
しかし、前述した従来の歯付ベルトの製造方法においては、加硫ベルトスリーブの歯部形成に使用するモールドの溝部形状によって、最終製品である歯付ベルトの歯数(サイズ)が決まってしまう。従って、製造するベルトのサイズ(歯数)ごとに異なる種類のモールドを揃えておく必要があった。そのため、モールドの製作代や、それらの保管場所の確保等にかかるコストが大きくなり、ベルトの製造コストが高くなる要因の1つとなっていた。
本発明の目的は、1種類のスリーブ形成用モールドを用いて、サイズ(歯数)の異なる複数種類のベルトを製造することのできる歯付ベルトの製造方法を提供することである。
課題を解決するための手段及び発明の効果
第1の発明の歯付ベルトの製造方法は、周方向に所定間隔空けて設けられた複数の第1溝部を有する第1モールドの外周面に、第1帆布、心線、及び、前記複数の第1溝部の容積を超えるような厚さを有する未加硫ゴムシートをそれぞれ巻き付けた後、これらを加熱加圧して、内面に複数の歯部を有する筒状の半加硫スリーブを作製する半加硫スリーブ作製工程と、
前記半加硫スリーブを所定幅で螺旋状に切断して、両端が切り離された長尺ベルトを形成する第1切断工程と、
前記長尺ベルトを、幅方向に密着させた状態で複数の歯付プーリに並列的に巻き掛けつつ、周方向に配置される前記歯部の数を調整して、内面に所定数の前記歯部を有する筒状のベルト並列体を作製するベルト並列体作製工程と、
複数の第2溝部を有する平坦な第2モールドを、前記第2溝部に前記ベルト並列体の内面の前記歯部を嵌合させた状態で、前記歯付プーリの間に位置する所定の加工領域に設置する設置工程と、
前記加工領域において、前記ベルト並列体の外面に第2帆布を積層する積層工程と、
前記複数の歯付プーリにより前記ベルト並列体を送りながら、前記加工領域にある前記ベルト並列体を加熱加圧して加硫し、並列する前記長尺ベルトを一体化させて加硫スリーブを作製する加硫スリーブ作製工程と、
前記加硫スリーブを所定幅で周方向に切断して歯付ベルトを作製する第2切断工程と、
を備えていることを特徴とするものである。
この歯付ベルトの製造方法によれば、半加硫(加硫不完全な)状態の筒状の半加硫スリーブを一旦螺旋状に切断して、両端が切り離された長尺ベルトを形成する。次に、この長尺ベルトを幅方向に密着させながら複数の歯付プーリに巻き掛け、ベルト並列体を作製する。このとき、複数の歯付プーリへの長尺ベルトの巻き掛け長さを調節することにより、ベルト並列体の内面に周方向に配置される歯部の数を調整して、半加硫スリーブの歯部の数と異ならせることができる。その後、ベルト並列体を加硫して長尺ベルトを一体化することにより加硫スリーブを作製してから、加硫スリーブを所定幅で切断することで、長尺ベルトを複数の歯付プーリに巻き掛ける際に調整された数の歯部を有する歯付ベルトが作製される。つまり、所定数の溝部を有する1種類の第1モールドを用いて、歯数の異なる複数種類の歯付ベルトを製造することができる。従って、ベルトの種類毎に異なるモールドをそれぞれ用意する必要がないことから、歯付ベルトの製造コストを低減することが可能となる。
また、半加硫状態のスリーブを一旦螺旋状に切断して長尺ベルトを形成してから、歯数を調整した後に完全に加硫して、並列する長尺ベルトを一体化することから、第2切断工程において加硫スリーブが切断されて歯付ベルトとなった後に、第1切断工程における螺旋状の切断面においてベルトが分離するのが防止される。さらに、ベルト並列体の外面に第2帆布を積層してから、加硫スリーブ作製工程においてベルト並列体を完全に加硫するため、並列した長尺ベルトの間にゴム等が浸入することがなく、長尺ベルト間の接着不良が防止される。また、外面の帆布によりベルトの引張強度が向上することから、螺旋状切断面における分離がさらに確実に防止される。これらに加えて、さらに、歯付プーリの間の所定の加工領域に平坦な第2モールドを設置し、この第2モールドの第2溝部をベルト並列体の歯部に嵌合させてから、加硫スリーブ作製工程において複数の歯付ベルトによりベルト並列体を送るため、並列した長尺ベルト同士が送り方向にずれた状態で加硫されてしまうことがない。
第2の発明の歯付ベルトの製造方法は、前記第1の発明において、前記加硫スリーブ作製工程を行う前に、前記ベルト並列体の幅方向両側に、加硫時のゴム流れを阻止するためのバリアベルトを設置することを特徴とするものである。この構成によれば、ベルト並列体の加硫時に、ゴムが幅方向両側に流れ出るのがバリアベルトによって確実に阻止される。
第3の発明の歯付ベルトは、長手方向に沿って所定間隔で配置された複数の歯部と、心線が埋設された背部と、前記複数の歯部を被覆する第1帆布を有し、
さらに、その内面に周方向に所定間隔を空けて配置された複数の前記歯部を有する半加硫スリーブが螺旋状に切断されることによって、両端が切り離された長尺ベルトが形成され、この長尺ベルトが並列的に巻き直されてから外面が第2帆布で被覆された状態で加硫されて、並列する前記長尺ベルトが一体化した加硫スリーブを、所定幅で切断されることによって得られた歯付ベルトであって、
前記複数の歯部及び前記背部に、前記半加硫スリーブが螺旋状に切断された後に再び一体化することによって生じた境界線が、前記長手方向に対して傾斜して延在しており、
前記第2帆布は、前記境界線を跨ぐように前記背部を被覆していることを特徴とするものである。
本発明によれば、所定数の歯部を有する半加硫スリーブから、この半加硫スリーブとは歯数の異なる複数種類の歯付ベルトを得ることが可能である。従って、ベルトの種類毎に、スリーブ形成用のモールドをそれぞれ用意する必要がなく、歯付ベルトの製造コストを低減することが可能となる。また、並列した長尺ベルトからなるベルト並列体は、その外面が帆布で被覆された状態で加硫される。そのため、並列した長尺ベルトの間にゴム等が浸入することがなく、長尺ベルト間の接着不良が防止される。また、第2帆布が、半加硫スリーブが螺旋状に切断されてから再び一体化することによって現れる境界線を跨ぐように、背部を被覆しており、ベルトの引張強度が向上することから、境界線における分離が確実に防止される。
本発明の実施の形態について説明する。まず、本実施形態の歯付ベルトについて説明する。図1に示すように、歯付ベルト1は、ベルトの長手方向に沿って所定間隔空けて配置された複数の歯部2と、心線3が埋設された背部4と、ベルト内面側の複数の歯部2を被覆する帆布5(第1帆布)と、ベルト外面側の背部4を被覆する帆布6(第2帆布)とを有する。
複数の歯部2と背部4はともにゴム組成物で形成されている。このゴム組成物としては、例えば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン─ブタジエン共重合体ゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴムのようなエチレン−α−オレフィン系共重合体ゴム、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、水素化ニトリルゴムに不飽和カルボン酸金属塩を添加したもの、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレンゴム(CSM)等を主成分とし、これにカーボンブラックのような補強剤、充填剤、軟化剤、老化防止剤、硫黄のような加硫助剤が添加混合されたものが用いられる。
背部4に埋設された心線3としては、例えば、Eガラスまたは高強度ガラスのフィラメントを撚り合わせたものを、ゴム組成物からなる保護剤あるいは接着剤であるレゾルシン−ホルマリン−ラテックス液等で処理されたものが用いられる。あるいは、有機繊維としては応力に対して伸びが小さく、引張強度が大きいパラ系アラミド繊維のフィラメントを撚り合わせ、レゾルシン−ホルマリン−ラテックス液、エポキシ溶液、イソシアネート溶液とゴム組成物との接着剤で処理された撚りコードが用いられてもよい。
歯部2と背部4をそれぞれ被覆する帆布5,6としては、6ナイロン、66ナイロン、ポリエステル、アラミド繊維等であって、これらが単独あるいは混合されたものであっても良い。帆布5,6の経糸(ベルト幅方向)や緯糸(ベルト長さ方向)の構成も前記繊維のフィラメント糸または紡績糸であり、織構成も平織物、綾織物、朱子織物でいずれでもよい。尚、緯糸には伸縮性を有するウーリーナイロン糸、ウレタン弾性糸、またはウレタン弾性糸とナイロンとの混撚りを一部使用するのが好ましい。
次に、歯付ベルト1の製造方法について図2〜図6を参照して説明する。
まず、図2に示すように、周方向に所定間隔空けて配置された複数の溝部10a(第1溝部)を有する円筒状のモールド10の外周面に、帆布5、心線3、及び、未加硫ゴムシート11をそれぞれ巻き付ける。尚、モールド10に巻き付けられる未加硫ゴムシート11は、複数の歯部2と背部4の両方を形成することができるように、複数の溝部10aの容積の総和を超えるような厚さを有するものが用いられる。そして、このモールド10にジャケット(図示省略)を被せて加硫缶内に設置し、帆布5、心線3、及び、未加硫ゴムシート11からなる積層体を加熱加圧する。
尚、この加熱加圧工程は、モールド10とその外側のジャケットの間に積層体を挟持した状態で、積層体が完全に加硫されることのないような所定の条件で行う。例えば、温度115〜125℃、圧力0.1〜1.0MPaの条件で、10〜15分程度加熱加圧する。このとき、未加硫ゴムシート11の内面側の部分が帆布5とともにモールド10の複数の溝部10a内に流入して複数の歯部2を形成する。一方、未加硫ゴムシート11の残りの部分(外面側の部分)は、心線3が埋設された背部4となる。これらの工程によって、内面に複数の歯部2を有する筒状の半加硫スリーブ12を作製する(半加硫スリーブ作製工程)。
次に、図3に示すように、半加硫スリーブ12を切断機20にセットする。切断機20は、半加硫スリーブ12が巻き掛けられる2つの主軸21と、半加硫スリーブ12に対して離接可能なカッター22と、このカッター22を保持するとともに、ガイド軸24に沿ってスリーブ12の幅方向(図3の左右方向)に移動可能なカッター保持部23を備えている。そして、2つの主軸21を回転させて半加硫スリーブ12を走行させながら、カッター22の刃先をスリーブ12に押圧しつつ、主軸21の回転と同期させてカッター保持部23をスリーブ12の幅方向に移動させる。すると、スリーブ12の走行に伴ってカッター22による切断位置が幅方向にずれることから、図3に一点鎖線で示すように、半加硫スリーブ12が所定幅Bで螺旋状に切断されることになる。これらの工程により、両端が切り離された長尺ベルト13(オープンエンドベルト)を形成する(第1切断工程)。尚、この第1切断工程において、カッター22による螺旋状の切断方向が心線3の巻き付け方向と平行でないと、カッター22によって心線3を切断してしまい、ベルトの引張強力が低下してしまう。そこで、切断方向は、心線3の巻き付け方向と略平行であることが好ましい。
次に、図4、図5に示すように、それぞれ回転自在に配設された2軸の歯付プーリ30の溝部30aに長尺ベルト13の歯部2を嵌合させながら、これら2軸の歯付プーリ30の間に、長尺ベルト13を幅方向に密着させながら並列的に巻き掛ける。このとき、長尺ベルト13は両端が切り離されている(オープンエンドベルトである)ことから、長尺ベルト13の巻き掛け長さを調節することで、周方向に配置される歯部2の数を調整することができる。これにより、所定数(図2に示す半加硫スリーブ12の歯数と異なる数)の歯部2を有するベルト並列体14を作製する(ベルト並列体作製工程)。
次に、図6に示すように、ベルト幅方向(図6の紙面垂直方向)にそれぞれ延び、且つ、ベルト並列体14の歯部2とピッチが等しい複数の溝部32a(第2溝部)を有する、平坦な溝付モールド32(第2モールド)を、ベルト並列体14の内面に配置された歯部2を溝部32aに嵌合させた状態で、2軸の歯付プーリ30の間の領域(加工領域33)に設置する(設置工程)。
さらに、加工領域33において、ベルト並列体14の外面に、帆布6を接着剤で接着しながら積層し(積層工程)、ベルト並列体14の外面全体を帆布6で被覆する。この帆布6を接着する接着剤としては、ゴムを溶剤に溶かしたゴム糊などを使用できる。
そして、図6に示すように、2軸の歯付プーリ30によりベルト並列体14を送りながら、加工領域33にあるベルト並列体14を加熱加圧し、半加硫状態のベルト並列体14を完全に加硫する。具体的には、高温条件下で、加工領域33にあるベルト並列体14と溝付モールド32を上プレス板34と下プレス板35とで挟持して、ベルト並列体14を加圧する。このようにベルト並列体14を完全に加硫するには、例えば、150〜170℃の温度条件下において、0.1〜4MPaの圧力で15〜30分加圧する。そして、ある部分の加硫が完了すると2軸の歯付プーリ30によりベルト並列体14を送り、加工領域33に送られてくる未加硫の部分を順次加硫していくことで、ベルト並列体14全体の加硫を行う。この加硫により、分離状態で並列していた長尺ベルト13を幅方向に接合して一体化させて、加硫スリーブ15を作製する(加硫スリーブ作製工程)。
ここで、平坦な溝付モールド32の溝部32aをベルト並列体14の歯部2に嵌合させてから、2軸の歯付プーリ30によりベルト並列体14を送るため、並列した長尺ベルト13同士が送り方向にずれた状態で加硫(一体化)されてしまうことがない。
尚、この加硫スリーブ作製工程を行う前に、ベルト並列体14の幅方向両側に、加硫時のゴム流れを阻止するためのバリアベルトをそれぞれ設置することが好ましい。図6、図7に示すように、バリアベルト36は、例えば、歯付ベルトからなり、2軸の歯付プーリ30に巻き掛けられる。そして、前述した加硫スリーブ作製工程において、バリアベルト36はベルト並列体14とともに2軸の歯付プーリ30により駆動される。このように、ベルト並列体14の幅方向両側にバリアベルト36が設置されていると、ベルト並列体14の加硫時に、ゴムが幅方向両側に流れ出るのがバリアベルト36によって阻止される。
最後に、図8に示すように、加硫スリーブ15を切断機40にセットする。この切断機40は、前述した第1切断工程で使用される切断機20(図3参照)とほぼ同様の構成を有し、2つの主軸41、カッター42、及び、カッター保持部43等を備えている。そして、2つの主軸41により加硫スリーブ15を走行させながら、カッター42を加硫スリーブ15に押し付けて、加硫スリーブ15を所定幅で周方向に切断し、複数の環状の歯付ベルト1を形成する(第2切断工程)。このようにして得られた歯付ベルト1の歯部2の数は、歯数調整後のベルト並列体14の歯数に等しい。つまり、モールド10を用いて作製された半加硫スリーブ12(図2参照)の歯数とは異なることになる。
尚、図1、図8に示すように、最終的に得られた歯付ベルト1の複数の歯部2及び背部4には、第1切断工程(図3参照)において螺旋状に切断したときの切断面Pが、後の完全加硫により並列する長尺ベルト13が一体化することによって、歯付ベルト1の長手方向に対して所定角度傾いた境界線として現れる。そして、この螺旋状の切断面Pにおける歯付ベルト1の強度は他の部分よりも多少低くなるのは避けられないことであり、それゆえ、製品(歯付ベルト1)となった後に、この切断面Pにおいてベルト1が分離してしまう(横裂きが生じる)虞がある。これを防止するために、本実施形態では、加硫スリーブ作製工程の前に、ベルト並列体14の外面に帆布6を積層することで(積層工程:図6参照)、帆布6で切断面Pを跨ぐように背部4の表面を被覆して、最終製品である歯付ベルト1の強度を高めているのである。
また、この切断面Pでの分離を一層防止するために、半加硫スリーブ12を螺旋状に切断する第1切断工程における切断幅(図3の幅B)は可能な限り広いことも好ましい。その一方で、この切断幅B(即ち、長尺ベルト13の幅)をあまり広くしすぎると、長尺ベルト13の巻き掛け長さを調節することによる歯数の調整が難しくなり、1種類のモールド10を用いて作製できる歯付ベルト1の歯数範囲が狭くなってしまう。そこで、製品化後の分離(横裂き)防止と歯数調整の容易さの両方の観点から、第1切断工程における螺旋状の切断幅Bを適切な値に決定する必要がある。本実施形態では、その切断幅を15〜60mmに設定している。
以上説明した歯付ベルト1の製造方法によれば、次のような効果が得られる。
半加硫スリーブ12を一旦螺旋状に切断して長尺ベルト13を形成してから、複数の歯付プーリ30への長尺ベルト13の巻き掛け長さを調節することにより、ベルト並列体14の歯数を調整して、半加硫スリーブ12の歯数と異ならせることができる。そして、このベルト並列体14を加硫して並列した長尺ベルト13を一体化した後に、得られた加硫スリーブを所定幅で周方向に切断することによって、長尺ベルト13を2軸の歯付プーリ30に巻き掛ける際に調整された歯数と同数の歯部2を有する歯付ベルト1が作製されることになる。つまり、1種類の半加硫スリーブ形成用モールドを使用して、歯数の異なる複数種類の歯付ベルト1を製造することができ、ベルトの種類毎に異なるモールド10を用意する必要がないことから、歯付ベルト1の製造コストを低減することが可能となる。
また、半加硫スリーブ12を一旦螺旋状に切断して長尺ベルト13を形成して、長尺ベルト13のベルト並列体14の歯数を調整した後に、ベルト並列体14を完全に加硫して並列する長尺ベルト13を一体化するため、第2切断工程を経て歯付ベルト1が製造された後で、螺旋状の切断面Pでベルト1が分離するのが防止される。さらに、ベルト並列体14の外面に帆布6を積層してから、加硫スリーブ作製工程においてベルト並列体14を完全に加硫するため、並列した長尺ベルト13の間にゴム等が浸入することがなく、長尺ベルト13間の接着不良が防止される。また、この帆布6によって歯付ベルト1の強度が高まることから、螺旋状の切断面Pでベルト1が分離するのがさらに確実に防止される。
また、複数の歯付プーリ30の間の加工領域33に平坦な溝付モールド32を設置し、この溝付モールド32の溝部をベルト並列体14の歯部2に嵌合させてから、加硫スリーブ作製工程において、2軸の歯付ベルト1によりベルト並列体14を送るため、並列した長尺ベルト13が送り方向にずれた状態で加硫されてしまうのが防止される。
以上、本発明を適用した形態の一例について説明したが、本発明を適用可能な形態はこれに限られない。例えば、前記実施形態では、長尺ベルト13を2軸の歯付プーリ30に巻き掛けてベルト並列体14を作製しているが(図4、図5参照)、長尺ベルト13を3以上の複数の歯付プーリ30に巻き掛けてもよい。
また、前記実施形態では、完全に加硫される前のベルト並列体14の両側に設置するバリアベルトとして、歯付ベルトが例として挙げられているが、平ベルトなどの他の形状を有するベルトがバリアベルトとして用いられてもよい。また、バリアベルトの設置は必須ではなく、ベルト並列体14の加硫時におけるゴム流れが問題にならない場合、あるいは、他の装置構成を工夫することによりゴム流れを防止することができる場合などには、バリアベルトの設置は不要である。
本発明の実施形態に係る歯付ベルトの一部拡大斜視図である。 半加硫スリーブ作製工程における、円筒状のモールドに帆布、心線、及び、未加硫ゴムシートが巻き付けられた状態を示すモールド断面図である。 半加硫スリーブを切断して長尺ベルトを形成する第1切断工程を示す図である。 ベルト並列体作製工程において、2軸の歯付プーリに長尺ベルトが巻き掛けて作製されたベルト並列体の平面図である。 図4の側面図である。 加硫スリーブ作製工程において、加工領域に溝付モールドが設置された状態でベルト並列体を加熱加圧している状態を示す図である。 図6のVII-VII線断面図である。 加硫スリーブを切断して歯付ベルトを形成する第2切断工程を示す図である。
符号の説明
1 歯付ベルト
2 歯部
3 心線
4 背部
5 帆布(第1帆布)
6 帆布(第2帆布)
10 モールド(第1モールド)
10a 溝部(第1溝部)
11 未加硫ゴムシート
12 半加硫スリーブ
13 長尺ベルト
14 ベルト並列体
15 加硫スリーブ
30 歯付プーリ
32 溝付モールド(第2モールド)
32a 溝部(第2溝部)
33 加工領域
36 バリアベルト

Claims (3)

  1. 周方向に所定間隔空けて設けられた複数の第1溝部を有する第1モールドの外周面に、第1帆布、心線、及び、前記複数の第1溝部の容積を超えるような厚さを有する未加硫ゴムシートをそれぞれ巻き付けた後、これらを加熱加圧して、内面に複数の歯部を有する筒状の半加硫スリーブを作製する半加硫スリーブ作製工程と、
    前記半加硫スリーブを所定幅で螺旋状に切断して、両端が切り離された長尺ベルトを形成する第1切断工程と、
    前記長尺ベルトを、幅方向に密着させた状態で複数の歯付プーリに並列的に巻き掛けつつ、周方向に配置される前記歯部の数を調整して、内面に所定数の前記歯部を有する筒状のベルト並列体を作製するベルト並列体作製工程と、
    複数の第2溝部を有する平坦な第2モールドを、前記第2溝部に前記ベルト並列体の内面の前記歯部を嵌合させた状態で、前記歯付プーリの間に位置する所定の加工領域に設置する設置工程と、
    前記加工領域において、前記ベルト並列体の外面に第2帆布を積層する積層工程と、
    前記複数の歯付プーリにより前記ベルト並列体を送りながら、前記加工領域にある前記ベルト並列体を加熱加圧して加硫し、並列する前記長尺ベルトを一体化させて加硫スリーブを作製する加硫スリーブ作製工程と、
    前記加硫スリーブを所定幅で周方向に切断して歯付ベルトを作製する第2切断工程と、
    を備えていることを特徴とする歯付ベルトの製造方法。
  2. 前記加硫スリーブ作製工程を行う前に、前記ベルト並列体の幅方向両側に、加硫時のゴム流れを阻止するためのバリアベルトを設置することを特徴とする請求項1に記載の歯付ベルトの製造方法。
  3. 長手方向に沿って所定間隔で配置された複数の歯部と、心線が埋設された背部と、前記複数の歯部を被覆する第1帆布を有し、
    さらに、その内面に周方向に所定間隔を空けて配置された複数の前記歯部を有する半加硫スリーブが螺旋状に切断されることによって、両端が切り離された長尺ベルトが形成され、この長尺ベルトが並列的に巻き直されてから外面が第2帆布で被覆された状態で加硫されて、並列する前記長尺ベルトが一体化した加硫スリーブが、所定幅で切断されることによって得られた歯付ベルトであって、
    前記複数の歯部及び前記背部に、前記半加硫スリーブが螺旋状に切断された後に再び一体化することによって生じた境界線が、前記長手方向に対して傾斜して延在しており、
    前記第2帆布は、前記境界線を跨ぐように前記背部を被覆していることを特徴とする歯付ベルト。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017067288A (ja) * 2015-09-30 2017-04-06 三ツ星ベルト株式会社 未加硫ゴムベルトの形成装置、及び未加硫ゴムベルトの形成方法

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JP2017067288A (ja) * 2015-09-30 2017-04-06 三ツ星ベルト株式会社 未加硫ゴムベルトの形成装置、及び未加硫ゴムベルトの形成方法

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