JP2008125897A - カテーテル - Google Patents

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Abstract

【課題】ガイドワイヤに沿って体外からカテーテルを挿入していく場合の操作性を向上させ、且つ拡張流体の流路を低減させることなしに、不測の事態においてもシャフトが過度に延伸・変形しにくく、コアワイヤ後端によるシャフトや血管等の損傷の危険性を顕著に低減させるカテーテルを提供する。
【解決手段】樹脂製チューブから構成される先端側シャフト2、先端側シャフトよりも剛性が高い後端側シャフト3、ガイドワイヤルーメン5を少なくとも有するカテーテルであって、先端側シャフト後端側2Bが先端側シャフト先端側2Aよりも硬く且つ後端側シャフトよりも柔らかくなるように柔軟性を調整するコアワイヤが配設され、ガイドワイヤルーメンの後端側開口部付近においてコアワイヤが前記先端側シャフトに固着され、樹脂チューブの破断強度を増強させたり、伸びを制御することが可能となる先端と後端を有する補強部材が配設される構成とする。
【選択図】図3

Description

本発明は医療用途に使用されるカテーテルに関し、さらに詳しくは末梢血管成形、冠状動脈成形及び弁膜成形等を実施する際の経皮的血管形成術(PTA:Percutaneous Transluminal Angioplasty,PTCA:Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty)において使用されるバルーンカテーテルや狭窄部貫通用の穿通カテーテル、局所部位に治療物質を投与可能な注入カテーテル等に関するものである。
従来より、経皮的血管形成術は血管内腔の狭窄部や閉塞部などを拡張治療し、冠動脈や末梢血管などの血流の回復または改善を目的として広く用いられている。経皮的血管形成術に使用されるバルーンカテーテルは、シャフトの先端部に内圧調節により膨張・収縮自在のバルーンを接合してなるものであり、該シャフトの内部にはガイドワイヤが挿通される内腔(ガイドワイヤルーメン)と、バルーン内圧調整用の圧力流体を供給するルーメン(インフレーションルーメン)とがシャフトの長軸方向に沿って設けられている構造が一般的である。
このようなバルーンカテーテルを用いたPTCAの一般的な術例は以下のとおりである。まず、ガイドカテーテルを大腿動脈、上腕動脈、橈骨動脈等の穿刺部位から挿通し大動脈を経由させて冠状動脈の入口にその先端を配置する。次に前記ガイドワイヤルーメンに挿通したガイドワイヤを冠状動脈の狭窄部位を越えて前進させ、このガイドワイヤに沿ってバルーンカテーテルを挿入してバルーンを狭窄部に一致させる。次いで、インデフレーター等のデバイスを用いてインフレーションルーメンを経由して圧力流体を前記バルーンに供給し、前記バルーンを膨張させることで当該狭窄部を拡張治療する。当該狭窄部を拡張治療した後は、バルーンを減圧収縮させて体外へ抜去することでPTCAを終了する。
狭窄度が非常に高い病変や慢性完全閉塞病変等に対しては、狭窄部位を越えてガイドワイヤを前進させられず治療が行えない場合がある。このような場合には穿通カテーテルが使用され、狭窄部位を越えてのガイドワイヤの前進が実現される。
また、PTCAに際して、狭窄部位への治療物質の局所投与が必要となる場合がある。血栓溶解剤を局所投与して血栓を溶解させる治療等が一例として挙げられる。このような場合には治療物質を局所投与する注入カテーテルが使用される。
上述した各カテーテルは先端側シャフトと後端側シャフトが接合され、後端側シャフトの後端にカテーテル保持用のハブが接続された構造であり、ガイドワイヤルーメンの長さにより大きく2つに分類される。以下では先端側シャフトの先端側にバルーンが接続され、ハブにバルーンの内圧調節用の圧力流体を供給するポートを有する一般的なバルーンカテーテルを例に説明する。
1つは図1に示すようにガイドワイヤルーメンがカテーテルの全長にわたって設けられ、ハブにガイドワイヤルーメンの後端側開口部が設けられ、バルーンの最先端部またはバルーンの最先端部よりも先端側にガイドワイヤルーメンの先端側開口部が設けられているオーバー・ザ・ワイヤ型(OTW型)である。もう1つは図2に示すようにガイドワイヤルーメンがバルーンカテーテルの先端側にのみ存在し、ガイドワイヤルーメンの後端側開口部が先端側シャフトの途中に設けられている高速交換型(RX型)である。OTW型はバルーンカテーテルの全長にわたってガイドワイヤルーメンが存在するため、ガイドワイヤを通過させるのが困難な病変に対してガイドワイヤを通過させるためにしばしば用いられるが、ガイドワイヤを病変部に留置したままバルーンカテーテルを抜去する作業が煩雑である問題がある。すなわち、OTW型ではガイドワイヤを病変部に留置したままバルーンカテーテルを抜去するためには、交換用の延長ワイヤの取り付け等の特殊なデバイスや操作が必要になる。
一方、RX型ではガイドワイヤルーメンがバルーンカテーテルの先端側にのみ存在するため、ガイドワイヤを病変部に留置したままバルーンカテーテルの抜去、交換、再挿入が容易に実施可能であり、操作性が非常に良好であるばかりか術時間も短縮でき、使用するデバイスの数量を軽減することが可能である。
以上では先端側シャフトの先端側にバルーンを設けたバルーンカテーテルを例示しているが、OTW型とRX型の特徴はバルーンカテーテルだけに限定されず、狭窄部貫通用の穿通カテーテル、治療物質投与用の注入カテーテル、その他のカテーテルにも共通である。本発明はこうしたRX型のカテーテルに関するものである。
上記のRX型カテーテルの操作性をさらに向上させるための種々の技術が開示されている。
特許文献1では、RX型のバルーン拡張カテーテルで、中間部分と基部部分との接合領域にガイドワイヤルーメンの開口を有し、ガイドワイヤがガイドワイヤルーメンに収容されたときに、カテーテルが全長にわたって連続的な長手方向の支持を受けるようになされたことを特徴とするバルーン拡張カテーテルが開示されている。
本先行技術では、ガイドワイヤが収容された状態ではカテーテルが連続的な長手方向の支持を受けるため良好な操作性を実現することが可能であるが、カテーテルそのものは長さ方向の剛性の変化が不連続であるため、ガイドワイヤに沿って体外からカテーテルを挿入していく場合には中間部分と基部部分の接合領域でカテーテルが折れやすく、操作性が極めて低い欠点があった。
さらに特許文献2では、金属管により構成される主軸、バルーン、主軸とバルーンの間のプラスチック製軸部分、主軸に取り付けられ基端方向にプラスチック製軸部分内に伸長し主軸部分より硬くない中間部材、ガイドワイヤ内腔を備え、ガイドワイヤ入口が主軸部分の基端から基端方向に離間されることを特徴とする血管内カテーテルが開示されている。
本先行技術では推進性や追従性が増したカテーテルを実現しており、ガイドワイヤに沿って体外からカテーテルを挿入していく場合の操作性も向上されているものの、製造面での問題がある。つまり、主軸部分より硬くない中間部材を主軸に取り付けるためのろう付けやレーザーボンディング等の工程が必要であり、大掛かりな設備導入による製造コストの増加、工程の煩雑化等の問題があった。
また、特許文献3ではカテーテルシャフトの圧縮強度及び軸方向の力の伝達性(押込性)を増大させるスタイレットを有することを特徴とする拡張カテーテルが開示されている。
本先行技術ではスタイレットの存在により軸方向力の伝達性(押込性)が向上すると同時に、ガイドワイヤに沿って体外からカテーテルを挿入していく場合の操作性が向上しているものの、前記スタイレットの基端がカテーテルシャフトの基端部分を含むハブ部材で終端する構造となっているため、バルーンカテーテルの場合はインフレーションルーメンの大部分に該スタイレットが存在し、バルーンの拡張・収縮の応答性が悪いことが問題点となる。また、注入カテーテルの場合はインフュージョンルーメン(治療物質注入用のルーメン)の大部分に該スタイレットが存在し、治療物質注入時の操作性が低いことが問題点となる。
特許文献4では後端側シャフトが金属管からなるRX型のバルーンカテーテルにおいて、柔軟性を調整するコアワイヤがガイドワイヤルーメンの後端側開口部付近においてのみ先端側シャフトに固着された構造が開示されている。
本先行技術ではガイドワイヤに沿って体外からカテーテルを挿入していく場合の操作性およびバルーンの拡張・収縮の応答性が工程の煩雑化や製造コストの増大を伴わずに実現されている。しかし、本先行技術においてはコアワイヤがガイドワイヤルーメンの後端側開口部付近においてのみ先端側シャフトに固着された構造であるため、以下のようなシャフト損傷の危険性が全くないとは言い難い。すなわち、バルーンカテーテル使用時に血栓等の付着によりガイドワイヤとバルーンカテーテルの摺動性が顕著に低下した場合、該バルーンカテーテルを摺動あるいは抜去するために後端側シャフトに力を加えると該バルーンカテーテル自身に軸方向の張力が付与される。該張力により、先端側シャフト後端側が延伸・変形し、後端側シャフト内部に存在していたコアワイヤ後端が先端側シャフト後端側に位置する可能性がゼロであるとは言えず、コアワイヤ後端により延伸・変形した先端側シャフト後端側を損傷させる可能性や、先端側シャフト後端側を突き破ったコアワイヤ後端が血管等を損傷させる可能性は否めない。
特開平2−277465号公報 特表平6−507105号公報 特表平9−503411号公報 特開2003−102841号公報
そこで、以上の問題に鑑み本発明が解決しようとするところは、ガイドワイヤに沿って体外からカテーテルを挿入していく場合の操作性を向上させ、且つ拡張流体の流路を低減させることなしに、不測の事態においてもシャフトが過度に延伸・変形しにくく、コアワイヤ後端によるシャフトや血管等の損傷の危険性を顕著に低減させたカテーテルを工程の煩雑化や製造コストの増大を伴わずに行う点にある。
前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、樹脂製チューブから構成される先端側シャフト、前記先端側シャフトよりも剛性が高い後端側シャフト、内部にガイドワイヤを収容可能で且つ先端側開口部と後端側開口部を有するガイドワイヤルーメンを少なくとも有し、前記ガイドワイヤルーメンは前記カテーテルの先端方向へ延在し、前記カテーテルの最先端部に前記先端側開口部を形成すると同時に前記先端側シャフトの途中に前記後端側開口部を形成し、前記後端側シャフトの先端部と前記先端側シャフトの後端部が重なり合って接合された部分を有し、前記先端側シャフトの前記ガイドワイヤルーメンの後端側開口部よりも後端側(以下先端側シャフト後端側と呼称)が前記先端側シャフトの前記ガイドワイヤルーメンの後端側開口部よりも先端側(以下先端側シャフト先端側)よりも硬く且つ前記後端側シャフトよりも柔らかくなるように前記先端側シャフト後端側の柔軟性を調整するコアワイヤが前記カテーテル内に配設され、前記ガイドワイヤルーメンの後端側開口部付近において前記コアワイヤが前記先端側シャフトに固着されているカテーテルであって、前記重なり合って接合された部分から前記先端シャフトの先端側に先端と後端を有する1つ以上の補強部材が配設され、前記補強部材の後端部分は、前記重なり合って接合された部分の先端側シャフトに固着され、少なくとも前記補強部材の先端部分は前記先端側シャフトに固着されることを特徴とするカテーテルを発明するに至った。
ここで、前記補強部材が前記先端側シャフトに完全に埋没されることが好ましい。
また、前記補強部材が芯線構造、コイル構造、編組構造のいずれかの構造を有することが好ましい。
また、前記補強部材の先端部分と前記補強部材の後端部分の少なくとも一方は、前記補強部材の中央部分の外径よりも徐々に小さくなり、柔軟になることが好ましい。
また、前記補強部材の先端部分は、前記ガイドワイヤルーメンの後端側開口部付近に固着されることが好ましい。
また、前記先端側シャフトに前記コアワイヤが固着される固着部位において、前記先端側シャフトの内面と溶融可能な樹脂層により前記コアワイヤが包含されて固着されたことが好ましい。
また、前記コアワイヤの先端部が前記ガイドワイヤルーメンの後端側開口部を越えて先端側に延在することが好ましく、前記コアワイヤの後端部が前記後端側シャフト内部に延在し、且つ前記後端側シャフトの後端までは延在していないことが好ましい。
また、前記先端側シャフト後端側に位置する部分の前記コアワイヤの少なくとも一部分が前記コアワイヤの先端側に行くほど前記コアワイヤの外径が小さくなるテーパー形状を呈することが好ましい。
ここで、前記カテーテルはバルーンカテーテル、体腔狭窄部貫通用の穿通カテーテル体腔の局所部位に治療物質を投与可能な注入カテーテルのいずれであっても構わない。
そこで、以上の問題に鑑み本発明が解決しようとするところは、ガイドワイヤに沿って体外からカテーテルを挿入していく場合の操作性を向上させ、且つ拡張流体の流路を低減させることなしに、不測の事態においてもシャフトが過度に延伸・変形しにくく、コアワイヤ後端によるシャフトや血管等の損傷の危険性を顕著に低減させたカテーテルを工程の煩雑化や製造コストの増大を伴わずに行う点にある。
以下に本発明に係るカテーテルの種々の実施形態を該カテーテルがバルーンカテーテルである場合を主たる例として図に基づいて詳細に説明する。
本発明に係るカテーテルはガイドワイヤルーメンが前記カテーテルの先端側にのみ存在し、前記ガイドワイヤルーメンの後端側開口部が前記先端側シャフトの途中に設けられている高速交換型(RX型)に関するものである。この場合、先端側シャフト先端側にはガイドワイヤルーメンが設けられてさえいれば、その構造は制限されない。つまり、図3、図4に示すように、先端側シャフト先端側2Aは同軸二重管状に外側チューブ8と内側チューブ9が配設され、内側チューブ9の内面によって画定されるガイドワイヤルーメン及び外側チューブ8の内面と内側チューブ9の外面によって画定第二ルーメンを有するコアキシャル型(co−axial type)の構造でも良い。該カテーテルがバルーンカテーテルである場合、第二ルーメンはインフレーションルーメンとなり、該カテーテルが注入カテーテルである場合、第二ルーメンはインフュージョンルーメンとなる。また、図5、図6に示すように2つのルーメンが平行に並んだバイアキシャル型(bi−axial type)の構造でも良い。また、それ以外の構造でも発明の効果を何ら制限するものではない。
本発明に係るカテーテルは図7〜図17に示すように、先端側シャフト2の途中にガイドワイヤルーメンの後端側開口部5Bを有し、先端側シャフト後端側2Bが先端側シャフト先端側2Aよりも硬く且つ後端側シャフト3よりも柔らかくなるように先端側シャフト後端側2Bの柔軟性を調整するコアワイヤ11が配設され、ガイドワイヤルーメンの後端側開口部5B付近においてコアワイヤ11が先端側シャフト2に固着され、さらに補強部材が配設されていることを特徴とするものである。
補強部材が配設されることなく、コアワイヤ11がガイドワイヤルーメンの後端側開口部5B付近においてのみ先端側シャフト2に固着されている構造の場合、カテーテル使用時に血栓等の付着によりガイドワイヤとカテーテルの摺動性が顕著に低下すると、該カテーテルを摺動あるいは抜去するために後端側シャフト3に力を加えると該カテーテル自身に軸方向の張力が付与される。該張力により、先端側シャフト後端側2Bが延伸・変形し、後端側シャフト内部に存在していたコアワイヤ後端が先端側シャフト後端側2Bに位置する可能性がある。この場合、コアワイヤ後端により延伸・変形した先端側シャフト後端側2Bを損傷させる可能性や万が一、先端側シャフト後端側2Bを突き破ったコアワイヤ後端が血管等を損傷させる可能性は否めない。さらに先端側シャフト後端側2Bの損傷によりカテーテルの破断、体腔内への残留等にもつながる可能性がないとは言い難い。
しかし、本発明に示したように、補強部材が先端側シャフト2に固着される構造の場合、上記と同様の現象により該カテーテル自身に軸方向の張力が付与されても、補強部材が先端側シャフト2に固着されている部位間の先端側シャフト後端側2Bの延伸・変形は発生しない。
図18から図20のように、前記補強部材14は、破断強度を増強させるものであれば、特に制限を受けないが、編組構造やコイル構造などは、押出し機により、樹脂で容易に被覆できることから好ましい。芯線構造であれば、容易に作成することができるため、さらに好ましい。図21から図23に示すように、芯線は、先端側シャフト2の内面と補強部材14の間に接着剤を充填することで補強部材固着部分を形成する構造でもよく、先端側シャフト2に、補強部材14を先端側シャフト2の溶融した樹脂で補強部材を埋没させて補強部材固着部分を形成する構造でもよい。しかし、補強部材固着部分の細径化や工程の簡略化の観点から、補強部材14を先端側シャフト2の溶融した樹脂で補強部材を埋没させて補強部材固着部分を形成する構造が好ましい。
芯線の数については、限定しないが、1本で行えることが、外径を小さくでき、製造も容易であるため、さらに好ましい。
前記補強部材14は、金属であれば材料種は特に制限を受けず、先端側シャフト2や後端側シャフト3の寸法、材質、バルーンカテーテルの使用目的等を考慮して決定することができるが、加工性、生体への安全性からステンレス鋼あるいはニッケルチタン合金であることが好ましい。
このような補強部材の実施形態を、図24に示す。補強部材の先端部14Aのような細径部を作製する方法も特に制限されず、センタレス研削等の公知の方法が好適に使用される。
前記補強部材の後端部14Cは、前記重なり合って接合された部分15の先端側シャフト2に固着され、少なくとも前記補強部材の先端部14Aは前記先端側シャフト2に固着されていれば、前記樹脂チューブの破断強度を増強させたり、前記樹脂チューブの伸びを制御することが可能となる。さらには、前記補強部材14が前記先端側シャフト2に完全に埋没されていれば、インフレーションルーメンを確保できる点と、製造が容易である点があるため、さらに好ましい。
前記補強部材の先端部14Aと前記補強部材の後端部14Cの少なくとも一方は、前記補強部材の中央部14Bの外径よりも小さくなることが好ましい。特に、図24に示すように、前記補強部材の両端部14A、14Cが前記補強部材の中央部14Bの外径よりも小さくなることは、以下のようなメリットがあるため好ましい。すなわち、バルーンカテーテル使用時に血栓等の付着によりカテーテルがトラップされた場合、該バルーンカテーテルを摺動あるいは抜去するために後端側シャフト3に力を加えると該バルーンカテーテル自身に軸方向の張力が付与される。発生頻度は極めて低いものの該張力により、先端側シャフト後端側2Bが延伸・変形し、前記先端側シャフト2に埋没して存在していた補強部材14の端部が前記先端側シャフト2から露出する可能性は、ゼロであるとは言えない。従って、補強部材14の端部により延伸・変形した先端側シャフト後端側2Bを損傷させる可能性や万が一、先端側シャフト2を突き破った補強部材14の端部が血管等を損傷させる可能性は否めない。しかし、図23に示すように、補強部材14の両端部14A、14Bの外径が中央部14Bに比べて徐々に小さくなるなり、柔軟になることでリスクは避けられるため、好ましい。
前記補強部材の先端部14Aは、前記ガイドワイヤルーメンの後端側開口部5B付近に固着されることは、製造が容易なため好ましい。
コアワイヤ11はガイドワイヤルーメンの後端側開口部5B付近において先端側シャフト2に固着されている。ガイドワイヤルーメンの後端側開口部5Bにおける固着部位の構造は、図7から図10に示すように先端側シャフト先端側2Aがコアキシャル型の構造の場合、先端側シャフト2の内面(外側チューブ8の内面と内側チューブ9の外面の間)とコアワイヤ11の間に接着剤を充填することでコアワイヤを包含してコアワイヤ固着部分12を形成する構造でもよく、先端側シャフト2の内面(外側チューブ8の内面と内側チューブ9の外面の間)とコアワイヤ11の間に溶融した樹脂を充填することでコアワイヤ11を包含してコアワイヤ固着部分12を形成する構造でもよいが、コアワイヤ固着部分12の細径化や工程の簡略化の観点から、溶融した樹脂を充填することでコアワイヤ固着部分12を形成する構造が好ましい。また、外側チューブ8の内面及び内側チューブ9の外面は溶融可能な樹脂種で構成されていることが好ましい。
また、図11から図14に示したバイアキシャル型の構造の場合も、デュアルルーメンチューブの片側のルーメンとコアワイヤ11の間に接着剤を充填することでコアワイヤ11を包含してコアワイヤ固着部分12を形成する構造でもよく、溶融した樹脂を充填することでコアワイヤ11を包含してコアワイヤ固着部分12を形成する構造でも良い。コアキシャル型の構造の場合と同様の理由から、溶融した樹脂を充填することでコアワイヤ固着部分12を形成する構造が好ましい。
いずれのコアワイヤ固着部分12の構造においても、カテーテルの用途によっては、コアワイヤ固着部分12において、第二ルーメンが確保され、先端側と基端側が連通している必要がある。コアワイヤ固着部分12において、第二ルーメンを確保するためには、任意寸法・形状の芯材を挿入した状態でコアワイヤ固着部分12を作製すればよく、加工終了後に芯材を除去することを考慮に入れると芯材の外表面にはポリテトラフルオロエチレン、パリレン等をコーティングし不活性な表面としておくことが好ましい。また使用する前記芯材の断面形状は本発明の効果を何ら制限するものではない。つまり、加工時の作業性や必要とされるルーメンの断面積等を考慮して、略矩形状、楕円形状等の芯材を使用して加工しても良い。図8、図9、図12、図13にはルーメンを確保するために断面形状が略円形の芯材を使用し、確保されたルーメンの断面形状が略円形となった実施形態を示す。
コアワイヤ11はガイドワイヤルーメン5の後端側開口部5B付近において先端側シャフト2に固着されており、後端側シャフト3とは固着されていない。従って、特許文献2において開示されているコアワイヤと後端側シャフトの固定工程(ろう付けやレーザーボンディング等)を省略することができ、製造工程の簡略化や製造コストの低減を図ることができる。
ガイドワイヤに沿って体外からカテーテルを挿入していく場合の操作性はカテーテルの長さ方向における剛性の連続性に支配されることは当業者には自明である。剛性が不連続な部分が存在すると、ガイドワイヤに沿って体外からカテーテルを押し進めていく際にカテーテルのキンク(折れ)が生じる危険性がある。また、カテーテルの先端に術者が加えた力が効率よく伝達せず、狭窄病変の通過性が著しく低下する。上述のキンク防止の観点から、コアワイヤ11は図7や図11に示すように、ガイドワイヤルーメン5の後端側開口部5Bを越えて先端側に延在することが好ましい。
本発明に係るカテーテルがバルーンカテーテルの場合、後端側シャフト3の内腔はインフレーションルーメンを形成するため、後端側シャフト3の内部に延在するコアワイヤ11の長さが長くなればなるほど、インフレーションルーメンの狭められた範囲が長くなり、バルーンの拡張・収縮の応答性が低下する。また、本発明に係るカテーテルが注入カテーテルの場合、後端側シャフト3の内腔はインフュージョンルーメンを形成するため、後端側シャフト3の内部に延在するコアワイヤ11の長さが長くなればなるほど、インフュージョンルーメンの狭められた範囲が長くなり、治療物質の投与効率が低下する。従って、本発明の目的を達成するためにはコアワイヤ11は後端側シャフト3の内部にある程度達していればよく、後端側シャフト3の後端までは延在していないことが好ましい。後端側シャフト3の内部に延在するコアワイヤ11の長さは、該カテーテルに軸方向の張力が付与された場合に延伸・変形可能な先端側シャフト後端側2Bの長さを考慮して、延伸・変形可能な先端側シャフト後端側2Bが最大限延伸されてもコアワイヤ後端部11Cが後端側シャフト3から飛び出さないような長さとすることが重要であり、さらに該カテーテルがバルーンカテーテルの場合はバルーンの拡張・収縮の応答性、つまりバルーン内部の体積や先端側シャフト2あるいは後端側シャフト3のそれぞれにおけるインフレーションルーメンの大きさ等を、また該カテーテルが注入カテーテルである場合は使用する治療物質の物性(粘度等)、治療物質量、先端側シャフトあるいは後端側シャフト3のそれぞれにおけるインフュージョンルーメンの大きさ等を勘案して決定することが好ましい。
また、コアワイヤ後端部11Cの外径が小さくテーパー形状であることは、連続した剛性の変化を保ったまま、第二ルーメン6を大きくできるため、好ましい。また、補強部材14をチューブに埋没することにより、外径を大きくすることなく、第二ルーメンを大きくできる。
特許文献3では補強スタイレットがカテーテルシャフトの基端付近からバルーンの基端側まで延在する先行技術が開示されており、好ましい実施形態では補強スタイレットの基部はハブの中に埋め込まれている。つまり、本先行技術では補強スタイレットがインフレーションルーメンの殆どの部分に渡って延在しているため、バルーンの拡張・収縮の応答性を高めるためにはカテーテルシャフトの大径化が必要となる。しかし、本発明では後端側シャフト3の内部に延在するコアワイヤ11の長さを短くすることが可能なため、先端側シャフト2や後端側シャフト3を細径化してもバルーンの拡張・収縮の応答性が損なわれることはないので、細径化によりバルーンカテーテルの操作性が飛躍的に向上する利点がある。
コアワイヤ11の役割はガイドワイヤに沿って体外からカテーテルを押し進めていく際の操作性を向上させること、カテーテルに加えた力を効率よく伝達すること、カテーテルのキンク(折れ)を防止することである。そのためにはカテーテルの長さ方向における剛性の分布を連続的にすることが必要である。特に先端側シャフト後端側2Bの内部に位置するコアワイヤ11の外径の一部が先端方向に行くほど小さくなるテーパー形状とすることで、より連続的な剛性の分布を実現できる。図15に示すようなコアワイヤの一実施形態の場合、コアワイヤ中間部11Bが先端側シャフト後端側2Bの内部に位置することが好ましい。
ガイドワイヤルーメンの後端側開口部5Bは先端側シャフト後端側2Bの長さ分だけ後端側シャフト3よりも先端側に存在するが、この場合に先端側シャフト2、つまり、先端側シャフト先端側2Aや先端側シャフト後端側2Bの長さは特に制限されず、カテーテルの使用部位に応じて選択可能である。例えば、PTCA用のバルーンカテーテルの場合、先端側シャフト2の長さは100mmから600mm、好ましくは200mmから500mmであり、先端側シャフト先端側2Aの長さ(≒ガイドワイヤルーメンの長さ)は50mmから450mm、好ましくは150mmから350mmである。また、先端側シャフト後端側2Bの長さは50mmから300mm、好ましくは50mmから200mmである。上記の範囲内でバルーンカテーテルの使用部位に応じて、それぞれの部位の長さを調整可能である。また、該カテーテルが穿通カテーテルの場合、あるいは注入カテーテルの場合も同様に目的に応じて調整可能である。
また、先端側シャフト2、つまり、先端側シャフト先端側2Aや先端側シャフト後端側2B、あるいは後端側シャフト3の内径及び外径も特に制限はされない。いずれの部位の外径とも細ければ細いほどカテーテルで治療を受ける患者の負担は軽減されるが、該カテーテルがバルーンカテーテルの場合、バルーンの拡張・収縮の応答性に大きな影響を及ぼす第二ルーメン6の径方向断面積や断面形状、先端側シャフト2および後端側シャフト3の耐圧強度、先端側シャフト2、後端側シャフト3、コアワイヤ11の剛性等を考慮に入れて選択する必要がある。外径について一例を挙げると、PTCA用のバルーンカテーテルの場合、先端側シャフト先端側2Aや先端側シャフト後端側2Bの外径は0.75mmから1.10mm、好ましくは0.80mmから0.95mmである。また、後端側シャフト3の外径は0.50mmから1.50mm、好ましくは0.60mmから1.20mmである。
コアワイヤ11の形状や寸法は先端側シャフト2や後端側シャフト3の寸法、材質、カテーテルの使用目的等を考慮して決定することができる。図15にコアワイヤ11の形状の一実施形態を示すが、本実施形態によりコアワイヤ11の形状や寸法が制限されるものではない。図15に示した一実施形態では、先端に行くほど外径が小さくなるテーパー形状を呈したコアワイヤ中間部11Bが先端側シャフト後端側2Bの内部に位置することが好ましい。また、コアワイヤ先端部11Aは先端側シャフト先端側2Aの内部に位置し、ガイドワイヤルーメンの後端側開口部5B付近でコアワイヤ先端部11Aの後端部が固着されることが好ましい。PTCA用のバルーンカテーテルの場合、コアワイヤ先端部11Aは外径0.08mmから0.30mm、長さ20mmから200mm、好ましくは外径0.10mmから0.25mm、長さ30mmから150mmであり、コアワイヤ後端部11Cは外径0.20mmから0.50mm、長さ20mmから200mmであり、好ましくは外径0.25mmから0.40mm、長さ30mmから150mmである。コアワイヤ中間部11Bは長さ10mmから100mm、好ましくは20mmから80mmであり、外径はコアワイヤ先端部11A及びコアワイヤ後端部11Cの外径と同じ寸法とすればよい。
コアワイヤは金属であれば材料種は特に制限を受けず、先端側シャフトや後端側シャフトの寸法、材質、バルーンカテーテルの使用目的等を考慮して決定することができるが、加工性、生体への安全性からステンレス鋼あるいはニッケルチタン合金であることが好ましい。また、コアワイヤ11にコアワイヤ中間部11Bのようなテーパー形状部や、コアワイヤ先端部11Aのような細径部を作製する方法も特に制限されず、センタレス研削等の公知の方法が好適に使用される。
該カテーテルがバルーンカテーテルの場合、内圧調節により膨張・収縮可能なバルーンの製造方法としてはディッピング成形、ブロー成形等があり、使用用途に応じて適当な方法を選択することができる。PTCA用のバルーンカテーテルの場合は、十分な耐圧強度を得るためにブロー成形が好ましい。ブロー成形によるバルーンの製造方法の一例を以下に示す。
まず、押出成形等により任意寸法のチューブ状パリソンを成形する。このチューブ状パリソンを当該バルーン形状に一致する型を有する金型内に配置し、二軸延伸工程により軸方向と径方向に延伸することにより、前記金型と同一形状のバルーンを成形する。尚、二軸延伸工程は加熱条件下で行われても良いし、複数回行われても良い。また、軸方向の延伸は径方向の延伸と同時に若しくはその前後に行われても良い。さらに、バルーンの形状や寸法を安定させるために、アニーリング処理を実施しても良い。
バルーン1はバルーン直管部1Bとその先端側及び後端側にバルーン接合部1Cを有し、バルーン直管部1Bとバルーン接合部1Cの間にバルーンテーパー部1Aを有している。バルーン1の寸法はバルーンカテーテルの使用用途により決定されるが、内圧の調節により拡張されたときの直管部の外径が1.50mmから35.00mm、好ましくは1.50mmから30.00mmであり、直管部の長さが5.00mmから80.00mm、好ましくは7.00mmから60.00mmである。
前記チューブ状パリソンの樹脂種は特に限定されるものではなく、例えば、ポリオレフィン、ポリオレフィンエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン及びポリウレタンエラストマーなどが使用可能であり、これらの樹脂の2種類以上を混合したブレンド材料や2種類以上を積層した多層構造を有する材料であっても構わない。
前記先端側シャフト2、つまり、先端側シャフト先端側2Aあるいは先端側シャフト後端側2Bの材質は特に限定されない。先端側シャフト先端側2Aがコアキシャル型の構造である場合、内側チューブ9として、ポリオレフィン、ポリオレフィンエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマーなどが使用可能であるが、内側チューブ9の内面によりガイドワイヤルーメン5が画定されるため、ガイドワイヤの摺動性を考慮するとポリエチレン、中でも高密度ポリエチレンであることが好ましく、内側チューブ9の少なくとも一部を多層構造として、最内層を高密度ポリエチレン、最外層をバルーン1や外側チューブ8と溶融可能な材料から構成することがさらに好ましい。この多層構造部位をコアワイヤ固着部位12とすることで本発明を容易に実現することが可能である。また、ガイドワイヤの摺動性を高めるために内側チューブ9の内面にシリコンやポリテトラフルオロエチレン等のコーティングを施すことも可能である。
先端側シャフト先端側2Aがコアキシャル型の構造である場合、外側チューブ8の材質も特に限定はされない。つまり、ポリオレフィン、ポリオレフィンエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマーなどが使用可能である。
先端側シャフト先端側がバイアキシャル型の構造或いはそれ以外の構造を有する場合でも、内側チューブ9や外側チューブ8として使用可能な上述の材質を用いることができ、公知の技術により多層化等も可能である。また、先端側シャフト後端側2Bを形成する外側チューブ8についても上述の材質が好適に使用できることは言うまでもなく、カテーテルの剛性の分布等を考慮して先端側シャフト先端側2Aを形成する外側チューブ8と先端側シャフト後端側2Bを形成する外側チューブ8の材質、寸法等は自由に設定することができる。
該カテーテルが注入カテーテルである場合、図16に例示するように先端側シャフト2に注入孔を設けても良い。注入孔の大きさ、位置、数等は本発明の効果を制限するものでなく、使用する治療物質の特性に合わせて任意に設定できる。また、注入孔の作製方法も特に限定されず、切削加工、レーザー加工等が使用可能である。
後端側シャフト3は先端側シャフト2より剛性が高ければ材料種を制限されることはなく、先端側シャフト2の寸法、材質、カテーテルの使用目的等を考慮して決定することができるが、加工性、生体への安全性等からステンレス鋼等の金属、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン等の高剛性樹脂材料であることが好ましい。また、カテーテルの長さ方向の剛性を連続的に分布させるために、後端側シャフト3の先端側に螺旋状の切り込みや溝、スリット等を形成することで、後端側シャフトの先端側の剛性を後端側シャフトの後端側よりも低下させ、より剛性の分布を連続化させることができる。
ハブ4を構成する材質としては、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリサルホン、ポリアリレート、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリオレフィン等の樹脂が好適に使用できる。
各接合部位の接合方法は特に限定されず、公知の技術を応用することが可能である。例を挙げると接着剤による接着、融着可能な材質から構成される場合は融着等の方法が使用可能である。また、接着剤を使用する場合、接着剤の組成及び化学構造、硬化形式は限定されない。つまり、組成及び化学構造の点からは、ウレタン型、シリコーン型、エポキシ型、シアノアクリレート型等の接着剤が好適に使用され、硬化形式の点からは、2液混合型、UV硬化型、吸水硬化型、加熱硬化型等の接着剤が好適に使用される。接着剤を使用する場合、接合部位の剛性が、該接合部位の前後で不連続に変化しない程度の硬化後の硬度を有する接着剤を使用することが好ましく、接合部位の材質、寸法、剛性等を考慮して接着剤を選択することが可能である。また、該接合部位の細径化を実現するために接合部を加熱処理しても良く、ポリオレフィン等の難接着性の材質の場合は、接合部位を酸素ガス等でプラズマ処理し接着性を向上させた上で接着しても良い。
本発明に係るカテーテルを用いた治療中に該カテーテルの特定部位の視認性を向上させ、該カテーテルの位置決めを容易に行うためにX線不透過マーカー7を設けても良い。X線不透過マーカー7はX線不透過性を有する材料であれば良く、金属や樹脂等の材料の種類は問われない。また、設ける位置、個数等も問われず、カテーテルの使用目的に応じて設定することが可能である。
また、カテーテルの外面には、血管内或いはガイドカテーテル内への挿入を容易にする為に親水性のコーティングを施すことができる。すなわち、先端側シャフト2や後端側シャフト3等の血液と接触する部位の少なくとも一部に血液と接触した際に潤滑性を呈する親水性のコーティングを施すことが可能である。但し、親水性のコーティングを施す部位、施す長さについてはカテーテルの使用目的に応じて決定できる。親水性のコーティングの種類は本発明の効果を制限するものではなく、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタアクリレート)、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーが好適に使用でき、コーティング方法も限定されない。
該カテーテルがバルーンカテーテルである場合、使用目的によっては、バルーン1の拡張時にバルーン1がスリッピングを生じないように、バルーン1の外面に疎水性のコーティングを施すことができる。疎水性のコーティングの種類は特に限定されず、シリコン等の疎水性ポリマーが好適に使用できる。
以下に本発明に係る具体的な実施例及び比較例について詳説するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
(実施例1)
図7及び図20に示す本発明のカテーテルを以下の様に作成した。
ポリアミドエラストマー(PEBAX7233SA01、elf atochem社製)を用いて押出成形によりチューブ状パリソン(内径0.43mm、外径0.89mm)を作製し、次いでこのパリソンを用いて二軸延伸ブロー成形を行い、直管部の外径が3.0mm、直管部の長さが20mmのバルーンを作製した。
内側チューブ9(内径0.42mm、外径0.56mm、長さ300mm)および外側チューブ8(内径0.71mm、外径0.88mm、長さ450mm)はポリアミドエラストマー(PEBAX7233SA01、elf atochem社製)を用いて押出成形により作製された。バルーン1と外側チューブ8を熱溶着により接合した後、内側チューブ9と外側チューブ8を同軸二重管状に配置し、バルーン1と内側チューブ9を熱溶着により接合した。外側チューブ8の先端から260mmの位置に円周方向に半周分の長さの切込みを入れ、そこから内側チューブ9を外側チューブ8の外面に露出させた状態にし、熱溶着し、ガイドワイヤルーメンの後端側開口部5Bを作製したものを先端側シャフト2とした。
後端側シャフト3(内径0.50mm、外径0.66mm、長さ1,100mm)はSUS316Lステンレス鋼から作製された。また、図15に例示した形状のコアワイヤ11(コアワイヤ先端部外径:0.15mm、コアワイヤ先端部長さ:120mm、コアワイヤ中間部長さ:80mm、コアワイヤ後端部外径:0.35mm、コアワイヤ後端部長さ:150mm)をSUS304ステンレス鋼により作製した。また図24に示した形状の芯線の補強部材14(芯線先端部外径:0.12mm、芯線先端部長さ5mm、芯線中間部外径:0.25mm、芯線中間部長さ:100mm、芯線後端部外径:0.12mm、芯線後端部長さ5mm)をSUS304ステンレス鋼により作製した。
図20に示すように、芯線の補強部材先端部14Aおよび、コアワイヤ先端部11Aの後端がガイドワイヤルーメンの後端側開口部5Bに位置するように先端側シャフト2内に配置し、第二ルーメン6(インフレーションルーメン)を確保するためのポリテトラフルオロエチレンコーティングが施されたSUS304ステンレス芯材(外径0.30mm)を配置した後、外側に先端側シャフト後端側2Bを形成する押出成形で作製したポリアミドエラストマー製チューブ(内径1.05mm、外径1.20mm)をかぶせて熱溶着し、芯線の補強部材14および、コアワイヤ固着部位12を作製した。
先端側シャフト後端側2Bに第二ルーメン6(インフレーションルーメン)を確保するためのポリテトラフルオロエチレンコーティングが施されたSUS304ステンレス芯材(外径0.75mm)を配置した後、芯線の補強部材14を熱溶着により完全に埋没させた。
先端側シャフト2と後端側シャフト3を2液混合型ウレタン系接着剤(UR0531、H.B.Fuller社製)で接着した。先端側シャフト2と後端側シャフト3の重ねしろを10mmとした。ポリカーボネート(Makloron2658、Bayer社製)を用いて射出成形にてハブ4を成形し、後端側シャフト3の後端に2液混合型ウレタン系接着剤(UR0531、H.B.Fuller社製)で接着した。バルーンをラッピングし、エチレンオキサイドガス滅菌処理したものをバルーンカテーテルとした。サンプル作製個数は3本とした。
(実施例2)
図17に示したようにバルーン1を接合せず、外側チューブ8と内側チューブ9を接合した以外は実施例1と同様に作製したものを穿通カテーテルとした。
(実施例3)
図16に示したように外側チューブ8の先端側に100μmの穴を4個作製し注入孔13とした以外は実施例2と同様に作製したものを注入カテーテルとした。
(比較例1)
コアワイヤ固着部位12をガイドワイヤルーメンの後端側開口部5B付近のみとし、実施例1と同様に作製したが、補強部材14を配置しなかった。
(比較例2)
コアワイヤ固着部位12をガイドワイヤルーメンの後端側開口部5B付近のみとし、実施例2と同様に作製したが、補強部材14を配置しなかった。
(比較例3)
コアワイヤ固着部位12をガイドワイヤルーメンの後端側開口部5B付近のみとし、実施例3と同様に作製したが、補強部材14を配置しなかった。
(評価)
ガイドワイヤとカテーテルの摺動性が顕著に低下した状態のモデルとして、実施例1から3および比較例1から3のそれぞれのガイドワイヤルーメン5に市販のガイドワイヤ(外径0.014”)を挿入し、2液混合型ウレタン系接着剤(UR0531、H.B.Fuller社製)を用いてガイドワイヤルーメンの後端側開口部5Bで各カテーテルと接着し評価サンプルを作製した。
各サンプルを37℃の温水中に配置して、ガイドワイヤルーメンの後端側開口部5Bを把持した状態でハブを引っ張り、コアワイヤ11による先端側シャフト2の損傷が発生するか否かを評価した。また、実施例1と比較例1について、バルーン収縮時間の測定を行った。
比較例1から3の全例ではコアワイヤ後端部11Cが延伸・変形した先端側シャフト後端側2Bに位置することが確認された。しかし、本発明に係る実施例1から3では、先端側シャフト2の破断強度が増強し、さらに、先端側シャフト2が破断するまで引っ張りつづけても、コアワイヤ後端部11Cは後端側シャフト3内に位置しており、コアワイヤ後端部11Cによる先端側シャフト2の損傷は発生しなかった。
また、バルーン収縮速度は、実施例1と比較例1で同等であった。
一般的なバルーンカテーテルのうち、オーバー・ザ・ワイヤ型(OTW型)の概略斜視図である。 一般的なバルーンカテーテルのうち、高速交換型(RX型)の概略斜視図である。 一般的なRX型バルーンカテーテルで先端側シャフト先端側がコアキシャル構造の縦断面を示す一部概略側面図である。 図3のA−A’断面図である。 一般的なRX型バルーンカテーテルで先端側シャフト先端側がバイアキシャル構造の縦断面を示す一部概略側面図である。 図5のA−A’断面図である。 本発明に係る一実施例のRX型バルーンカテーテルで先端側シャフト先端側がコアキシャル構造の縦断面を示す一部概略側面図である。 図7のA−A’断面図である。 図7のB−B’断面図である。 図7のC−C’断面図である。 本発明に係る一実施例のRX型バルーンカテーテルで先端側シャフト先端側がバイアキシャル構造の縦断面を示す一部概略側面図である。 図11のA−A’断面図である。 図11のB−B’断面図である。 図11のC−C’断面図である。 本発明に係るコアワイヤの一実施例を示した概略斜視図である。 本発明に係る一実施例のRX型注入カテーテルで先端側シャフト先端側がコアキシャル構造の縦断面を示す一部概略側面図である。 本発明に係る一実施例のRX型穿通カテーテルで先端側シャフト先端側がコアキシャル構造の縦断面を示す一部概略側面図である。 本発明に係る一実施例のRX型カテーテルの先端側シャフトと後端側シャフトの接続部分の縦断面を示す一部概略側面図である。 本発明に係る一実施例のRX型カテーテルの先端側シャフトと後端側シャフトの接続部分の縦断面を示す一部概略側面図である。 本発明に係る一実施例のRX型カテーテルの先端側シャフトと後端側シャフトの接続部分の縦断面を示す一部概略側面図である。 図20のA−A’断面図である。 図20のB−B’断面図である。 図20のC−C’断面図である。 本発明に係る補強部材の一実施例を示した概略斜視図である。
符号の説明
1 バルーン
1A バルーンテーパー部
1B バルーン直管部
1C バルーン接合部
2 先端側シャフト
2A 先端側シャフト先端側
2B 先端側シャフト後端側
3 後端側シャフト
4 ハブ
5 ガイドワイヤルーメン
5A ガイドワイヤルーメンの先端側開口部
5B ガイドワイヤルーメンの後端側開口部
6 第二ルーメン
7 X線不透過マーカー
8 外側チューブ
9 内側チューブ
10 デュアルルーメンチューブ
11 コアワイヤ
11A コアワイヤ先端部
11B コアワイヤ中間部
11C コアワイヤ後端部
12 コアワイヤ固着部分
13 注入孔
14 補強部材
14A 補強部材先端部
14B 補強部材中間部
14C 補強部材後端部
15 重なり合って接合された部分

Claims (15)

  1. 樹脂製チューブから構成される先端側シャフト、前記先端側シャフトよりも剛性が高い後端側シャフト、内部にガイドワイヤを収容可能で且つ先端側開口部と後端側開口部を有するガイドワイヤルーメンを少なくとも有し、前記ガイドワイヤルーメンは前記カテーテルの先端方向へ延在し、前記カテーテルの最先端部に前記先端側開口部を形成すると同時に前記先端側シャフトの途中に前記後端側開口部を形成し、前記後端側シャフトの先端部と前記先端側シャフトの後端部が重なり合って接合された部分を有し、前記先端側シャフトの前記ガイドワイヤルーメンの後端側開口部よりも後端側(以下先端側シャフト後端側と呼称)が前記先端側シャフトの前記ガイドワイヤルーメンの後端側開口部よりも先端側(以下先端側シャフト先端側)よりも硬く且つ前記後端側シャフトよりも柔らかくなるように前記先端側シャフト後端側の柔軟性を調整するコアワイヤが前記カテーテル内に配設され、前記ガイドワイヤルーメンの後端側開口部付近においてのみ前記コアワイヤが前記先端側シャフトに固着されているカテーテルであって、前記重なり合って接合された部分から前記先端シャフトの先端側に先端と後端を有する1つ以上の補強部材が配設され、前記補強部材の後端部分は、前記重なり合って接合された部分の先端側シャフトに固着され、少なくとも前記補強部材の先端部分は前記先端側シャフトに固着されることを特徴とするカテーテル。
  2. 前記補強部材は前記先端側シャフトに完全に埋没されて固着されることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
  3. 前記補強部材が芯線構造を有することを特徴とする請求項1から2のいずれかに記載のカテーテル。
  4. 前記補強部材がコイル構造を有することを特徴とする請求項1から2のいずれかに記載のカテーテル。
  5. 前記補強部材が編組構造を有することを特徴とする請求項1から2のいずれかに記載のカテーテル。
  6. 前記補強部材の先端部分と前記補強部材の後端部分の少なくとも一方は、前記補強部材の中央部分の外径よりも徐々に小さくなり、柔軟になることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のカテーテル。
  7. 前記補強部材の先端部分は、前記ガイドワイヤルーメンの後端側開口部付近に固着されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のカテーテル。
  8. 前記先端側シャフトに前記コアワイヤが固着される固着部位において、前記先端側シャフトの内面と溶融可能な樹脂層により前記コアワイヤが包含されて固着されたことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のカテーテル。
  9. 前記コアワイヤの先端部が前記ガイドワイヤルーメンの後端側開口部を越えて先端側に延在することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のカテーテル。
  10. 前記コアワイヤの後端部が前記後端側シャフト内部に延在し、且つ前記後端側シャフトの後端までは延在していないことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のカテーテル。
  11. 前記先端側シャフト後端側に位置する部分の前記コアワイヤの少なくとも一部分が前記コアワイヤの先端側に行くほど前記コアワイヤの外径が小さくなるテーパー形状を呈することを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のカテーテル。
  12. 前記コアワイヤの後端側は中央部分よりも外径が小さくなるテーパー形状を呈することを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のカテーテル。
  13. 前記カテーテルがバルーンカテーテルであることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載のカテーテル。
  14. 前記カテーテルが体腔狭窄部貫通用の穿通カテーテルであることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載のカテーテル。
  15. 前記カテーテルが体腔の局所部位に治療物質を投与可能な注入カテーテルであることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載のカテーテル。
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