JP2008124213A - 使用済みcmpスラリの再生方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来技術よりもより簡易かつ安価に、そして、より確実に、使用済みCMPスラリからCMPスラリ新液とほぼ同等のCMPスラリを得る方法を提供する。
【解決手段】 本発明にかかる使用済みCMPスラリの再生方法は、使用済みCMPスラリ中の砥粒は溶かさないが異物粒子は溶解する溶解液を用いて使用済みCMPスラリに対しその異物粒子を溶解するための溶解処理を施す工程と、使用済みCMPスラリに含まれていた砥粒に対し砥粒からイオンを除去するためのリンス処理を施す工程と、前工程で得られた被処理液に対し固体と液体を分離するための固液分離処理を施す工程とを含む、ことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明にかかる使用済みCMPスラリの再生方法は、使用済みCMPスラリ中の砥粒は溶かさないが異物粒子は溶解する溶解液を用いて使用済みCMPスラリに対しその異物粒子を溶解するための溶解処理を施す工程と、使用済みCMPスラリに含まれていた砥粒に対し砥粒からイオンを除去するためのリンス処理を施す工程と、前工程で得られた被処理液に対し固体と液体を分離するための固液分離処理を施す工程とを含む、ことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、半導体産業におけるデバイスウェーハの表面平坦化加工に使用される化学機械研磨用組成物の再生方法に関するものであり、詳しくは、研磨に使用後のCMPスラリ廃液を再利用可能な状態に再生する方法に関する。
近年、ULSIデバイスやメモリーハードディスクに要求される鏡面品質は益々厳しさを増している。たとえば、ULSIデバイスの高集積化が進み、配線パターンのさらなる微細化や素子のさらなる多層積層構造化が取り入れられ、これに伴い、層間絶縁膜の平坦化、プラグやダマシン配線の形成、STI(Shallow Trench Isolation)等のプロセスが不可欠となってきている。
そのため、半導体製造プロセスにおいて、化学機械研磨CMP(Chemical Mechanical Polishing)が必須の技術となっている。このCMP加工技術は、配線材料であるタングステン、アルミニウム、銅等の金属材料で配線されたデバイス表面を、シリカ微粒子のような砥粒を超純水に分散させてなるスラリ(以下、「CMPスラリ」という)を用いて迅速かつ高品質に研磨し、半導体基板上に形成された各種の配線金属パタ−ンを平坦化するものである。
そのため、半導体製造プロセスにおいて、化学機械研磨CMP(Chemical Mechanical Polishing)が必須の技術となっている。このCMP加工技術は、配線材料であるタングステン、アルミニウム、銅等の金属材料で配線されたデバイス表面を、シリカ微粒子のような砥粒を超純水に分散させてなるスラリ(以下、「CMPスラリ」という)を用いて迅速かつ高品質に研磨し、半導体基板上に形成された各種の配線金属パタ−ンを平坦化するものである。
この平坦化プロセスでは、一般に、回転テーブル表面の研磨パッドに半導体基板を押し当てた状態で、研磨用スラリを供給しながら回転テーブルを回転することにより、ウェーハ表面のバリア膜を削り取り、ウェーハ表面の平坦化を行う。このとき、ウェーハ配線である金属材料を研磨しやすくするため、CMPスラリ中に過酸化水素や鉄塩などの酸化剤を添加しておいて金属材料の酸化を行うようにし、さらに、この酸化を促進するために触媒、酸化剤の安定剤や金属の腐食剤などを添加しておくのも、一般的である。
ところで、使用済みCMPスラリには、まだ、再使用可能な砥粒が沢山含まれているため、経済的な観点からは、使用済みCMPスラリを再使用することが望ましい。しかし、CMPプロセスから排出された廃液は、削り取られたバリア膜や金属材料からなる研磨屑、研磨作業に伴い損傷して生じるパッド片など、砥粒よりも大きな異物を多量に含んでいるため、そのままでは再使用することができない。そのまま廃棄することは、資源の無駄であるし、汚染源を増やすことにつながる。
ところで、使用済みCMPスラリには、まだ、再使用可能な砥粒が沢山含まれているため、経済的な観点からは、使用済みCMPスラリを再使用することが望ましい。しかし、CMPプロセスから排出された廃液は、削り取られたバリア膜や金属材料からなる研磨屑、研磨作業に伴い損傷して生じるパッド片など、砥粒よりも大きな異物を多量に含んでいるため、そのままでは再使用することができない。そのまま廃棄することは、資源の無駄であるし、汚染源を増やすことにつながる。
そこで、使用済みCMPスラリの再生について種々の工夫、提案がなされている。特許文献1は、そのうちの1つの再生方法を提案するものであり、CMPスラリ廃液を濾過器に掛けて、廃液中の研磨屑、バリア膜片、パッド片などの粗大異物を除去しておき、濾過器を透過した液を限外濾過膜で濃縮し、pH調整して、CMPスラリとして再利用することを提案している。
他方、CMPプロセスを経て排出されるスラリ廃液は、金属材料の酸化により生じたイオンを高濃度に含んでいるため、そのまま使用すると、このイオンが半導体製品における電気的特性の劣化や歩留まり低下の原因となる。
他方、CMPプロセスを経て排出されるスラリ廃液は、金属材料の酸化により生じたイオンを高濃度に含んでいるため、そのまま使用すると、このイオンが半導体製品における電気的特性の劣化や歩留まり低下の原因となる。
そこで、特許文献2は、キレート繊維を用いて金属イオンを除去する方法を提案している。キレート樹脂やイオン交換樹脂は、CMPスラリ廃液中の鉄イオン、銅イオン、タングステンイオンなどの陽イオンに対し大きな吸着性能を示し、比較的簡便に金属イオンを除去できるという利点を有する。
特許第3341601号公報
特開2005−262061号公報
しかし、本発明者の追試したところによれば、使用済みCMPスラリに対し上述の諸方法を適用して再生したCMPスラリには、いまだ、ウェーハにスクラッチ(研磨傷)が発生するという問題、半導体製品に電気特性劣化や歩留まり低下が起きるという問題の起きることが分かった。
使用済みCMPスラリには、前述した粗大異物のみでなく、微細な異物や金属由来の陰イオンも大量に含まれており、前述した濾過法ではこの微細な異物が除けておらず、前述したキレート樹脂やイオン交換樹脂では陰イオンが除けていないからである。前述した触媒、安定剤や腐食剤などが原因となって微細な異物や陰イオンが生じる場合もあるが、これらも、前述した濾過法や陽イオン除去法では除くことができない。
使用済みCMPスラリには、前述した粗大異物のみでなく、微細な異物や金属由来の陰イオンも大量に含まれており、前述した濾過法ではこの微細な異物が除けておらず、前述したキレート樹脂やイオン交換樹脂では陰イオンが除けていないからである。前述した触媒、安定剤や腐食剤などが原因となって微細な異物や陰イオンが生じる場合もあるが、これらも、前述した濾過法や陽イオン除去法では除くことができない。
タングステン配線のなされたウェーハにおいては、窒化チタンがバリア膜として使用されているが、このバリア膜の材料が化学的に非常に安定であり、しかも、一般的に砥粒よりも硬いため、化学研磨後においても非常に安定に存在している。その粗大粒子は濾過法で除くことができるが、微細粒子は濾過膜を通過して、再生スラリ中に紛れ込むのである。また、スラリ廃液に多く含まれているタングステン由来のイオンは、陽イオンでなく、大部分が陰イオンとして存在している。そのため、キレート繊維や陽イオン交換樹脂によるイオンの捕捉が困難である。もちろん、陰イオン交換樹脂を用いれば陰イオンの吸着除去ができるが、イオン吸着率が非常に低いため、イオンの効率的な捕捉は困難である。以上のことはタングステン由来のイオンに限ったものでなく、レアメタルの多くが酸化物を形成し、溶液中で陰イオンとして存在するため、同様のことが起きている。
そこで、本発明は、使用済みCMPスラリ中の異物微粒子を確実に除くとともに、陰イオンをも安価に除去して、使用済みCMPスラリを前述の問題を持つことなく再利用可能にする方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明にかかる使用済みCMPスラリの再生方法は、使用済みCMPスラリ中の砥粒は溶かさないが異物粒子は溶解する溶解液を用いて使用済みCMPスラリに対しその異物粒子を溶解するための溶解処理を施す工程と、使用済みCMPスラリに含まれていた砥粒に対し砥粒からイオンを除去するためのリンス処理を施す工程と、前工程で得られた被処理液に対し固体と液体を分離するための固液分離処理を施す工程とを含む。
本発明にかかる使用済みCMPスラリの再生方法は、上記において、溶解処理工程では異物粗大粒子を予め除いておいた使用済みCMPスラリに対し溶解処理を施すようにすることが好ましく、リンス処理工程と固液分離処理工程とを複数回繰り返すことが好ましく、さらに、固液分離処理後の砥粒を含みpH値と組成が調整されている再生CMPスラリを得るための調整工程をも含むことが好ましい。
本発明にかかる使用済みCMPスラリの再生方法は、上記において、溶解処理工程では異物粗大粒子を予め除いておいた使用済みCMPスラリに対し溶解処理を施すようにすることが好ましく、リンス処理工程と固液分離処理工程とを複数回繰り返すことが好ましく、さらに、固液分離処理後の砥粒を含みpH値と組成が調整されている再生CMPスラリを得るための調整工程をも含むことが好ましい。
そして、本発明にかかる使用済みCMPスラリの再生方法は、使用済みCMPスラリがタングステン配線されたデバイスのCMP工程において排出される使用済みCMPスラリであると、より一層、優れた効果を発揮する。
本発明の方法によって使用済みCMPスラリを再生することにより、従来技術よりもより簡易かつ安価に、そして、より確実に、使用済みCMPスラリからCMPスラリ新液とほぼ同等のCMPスラリを得ることができ、CMPプロセスにおける廃棄物量の低減と経済性の向上をもたらす。
〔CMPスラリ〕
本発明において再生の対象となるCMPスラリとしては、例えば、特開平10−265766号公報、特開平11−116948号公報などに記載されているスラリなどがある。具体例を挙げれば、平均粒径0.02μmから0.5μmの粒度範囲を持つ煙霧質シリカ微粒子などの砥粒と、過酸化水素などの酸化剤、硝酸第二鉄などの触媒、有機酸などの酸化剤用安定剤、アミノ酸などの金属腐食剤等の添加剤を水などの分散媒に分散させ溶解させたスラリなどである。砥粒の材料としては、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化セリウム、窒化ケイ素、酸化ジルコニウムなどが挙げられる。
本発明において再生の対象となるCMPスラリとしては、例えば、特開平10−265766号公報、特開平11−116948号公報などに記載されているスラリなどがある。具体例を挙げれば、平均粒径0.02μmから0.5μmの粒度範囲を持つ煙霧質シリカ微粒子などの砥粒と、過酸化水素などの酸化剤、硝酸第二鉄などの触媒、有機酸などの酸化剤用安定剤、アミノ酸などの金属腐食剤等の添加剤を水などの分散媒に分散させ溶解させたスラリなどである。砥粒の材料としては、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化セリウム、窒化ケイ素、酸化ジルコニウムなどが挙げられる。
被研磨材としては、タングステン配線ウェーハや銅配線ウェーハなどが挙げられる。タングステン配線ウェーハの場合の金属材料はタングステンであり、バリア膜材料は窒化物や酸化物などである。また、銅配線ウェーハの場合の金属材料は銅であり、バリア膜材料は同様に窒化物や酸化物などである。
バリア膜は、ウェーハの金属配線を絶縁保護するとともにウェーハ(シリコン)への接着性をよくするために、ウェーハ表面に被覆形成されるが、その材料としては、チタン、タンタル、ニオブ、タングステン、バナジウム、ジルコニウム、モリブデン、クロムなどの金属の窒化物および酸化物、シリサイドなどであり、たとえば、TiN、TaN、WN、SiN、SiC、NbN、VN、ZrN、TiSi2、MoSi2、WSi2、VSi2、NbSi2、TaSi2、CrSi、TaSiN、WSiN2 などが挙げられる。これらの材料からなるバリア膜は、CMPプロセス過程で砕片や微細粒子になるが、特に、TiN、TiSi2からなるバリア膜の場合、CMPプロセス後の分散媒中に存在する全チタン量のうち、約3/4が微粒子として存在する。
バリア膜は、ウェーハの金属配線を絶縁保護するとともにウェーハ(シリコン)への接着性をよくするために、ウェーハ表面に被覆形成されるが、その材料としては、チタン、タンタル、ニオブ、タングステン、バナジウム、ジルコニウム、モリブデン、クロムなどの金属の窒化物および酸化物、シリサイドなどであり、たとえば、TiN、TaN、WN、SiN、SiC、NbN、VN、ZrN、TiSi2、MoSi2、WSi2、VSi2、NbSi2、TaSi2、CrSi、TaSiN、WSiN2 などが挙げられる。これらの材料からなるバリア膜は、CMPプロセス過程で砕片や微細粒子になるが、特に、TiN、TiSi2からなるバリア膜の場合、CMPプロセス後の分散媒中に存在する全チタン量のうち、約3/4が微粒子として存在する。
パッドの材料としては、例えば、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
ウェーハの金属配線は、CMPプロセス過程でスラリに含まれる酸化剤により酸化され、分散媒中にイオンとして存在する。この場合、陽イオンの金属種としては、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、亜鉛、クロム、モリブデン、タングステン、チタン、タンタル、ジルコニウムなどが代表例であり、陰イオン種としては、タングステン酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、水酸化イオン、燐酸イオン、有機酸イオン、金属酸化物イオン、ハロゲンイオンなどが代表例である。
本発明の再生方法が対象とする「使用済みCMPスラリ」は、CMPスラリとして使用済みのもの、すなわち、CMPスラリ新液または本発明の再生法により再生されたCMPスラリがCMP処理に使用されることで排出される廃液を意味する。
ウェーハの金属配線は、CMPプロセス過程でスラリに含まれる酸化剤により酸化され、分散媒中にイオンとして存在する。この場合、陽イオンの金属種としては、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、亜鉛、クロム、モリブデン、タングステン、チタン、タンタル、ジルコニウムなどが代表例であり、陰イオン種としては、タングステン酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、水酸化イオン、燐酸イオン、有機酸イオン、金属酸化物イオン、ハロゲンイオンなどが代表例である。
本発明の再生方法が対象とする「使用済みCMPスラリ」は、CMPスラリとして使用済みのもの、すなわち、CMPスラリ新液または本発明の再生法により再生されたCMPスラリがCMP処理に使用されることで排出される廃液を意味する。
また、以下に述べる各工程において、「スラリ」と称するものは、いわゆる「スラリ」すなわち、砥粒を含む泥状のものを指すに止まらず、CMP処理と以下に説明する溶解処理以下の各処理工程中に供給される多量の水により、いわゆる「スラリ」が希釈されて泥状から液状になったものや、固液分離処理により砥粒が固結した状態のものまでをも含む概念である。
〔溶解処理工程〕
本発明の再生法は、上述の異物砕片や異物微粒子を化学反応で溶解液に溶解させる溶解処理工程を備える。
〔溶解処理工程〕
本発明の再生法は、上述の異物砕片や異物微粒子を化学反応で溶解液に溶解させる溶解処理工程を備える。
この工程では、使用済みCMPスラリに溶解液を添加するか、使用済みCMPスラリを溶解液に添加したのち、攪拌処理するか、および/または、超音波処理することで、異物砕片や異物微粒子など異物の溶解を促進するのが好ましい。すなわち、超音波照射を行うことで、異物の溶解反応が効率的に進行し、異物が短時間で溶解する。また、メカニカルスターラーなどで攪拌を行うことにより、異物がより短時間で溶解するのである。
また、微粒子の分散媒中への溶解反応を促進させるために、温度をかけて溶解することが好ましく、より効率的に溶解反応が進行する。溶解する温度条件としては室温〜80℃で行うことが望ましい。好ましくは室温〜50℃で行う。
また、微粒子の分散媒中への溶解反応を促進させるために、温度をかけて溶解することが好ましく、より効率的に溶解反応が進行する。溶解する温度条件としては室温〜80℃で行うことが望ましい。好ましくは室温〜50℃で行う。
さらに、溶解処理の時間としては、攪拌処理や超音波処理の有無、用いる溶解液の種類、使用済みCMPスラリと溶解液の体積比率などによっても異なるが、通常1〜10時間行う。
本発明の再生方法における、この溶解処理工程では、CMPプロセスから出たスラリ廃液をそのままこの工程に掛けても良いが、そのようにしたときには、大量の異物粗大粒子も合わせて溶解させることになり、その処理を以後の工程に掛けることは無駄でもあるので、通常は、前述した特許文献1などの方法で、異物粗大粒子を濾過法で除いておき、異物微細粒子しか残っていない濾過液に対して、この溶解処理を施すことが好ましい。
本発明の再生方法における、この溶解処理工程では、CMPプロセスから出たスラリ廃液をそのままこの工程に掛けても良いが、そのようにしたときには、大量の異物粗大粒子も合わせて溶解させることになり、その処理を以後の工程に掛けることは無駄でもあるので、通常は、前述した特許文献1などの方法で、異物粗大粒子を濾過法で除いておき、異物微細粒子しか残っていない濾過液に対して、この溶解処理を施すことが好ましい。
また、溶解処理の前に、遠心分離法や濾過法により使用済みCMPスラリより分散媒の一部を除去し、新液程度まで濃縮しておけば、添加する溶解液が多量の分散媒によって希釈されることもなく、より少量の溶解液添加量で十分に異物微粒子を溶解させることができるなどといった点において効率的であり、より望ましい。新液程度まで濃縮するためには、特に限定するわけではないが、例えば、前記遠心分離法では、100〜4000rpmで10分〜24時間行えば良く、前記濾過法では、目開き0.2〜1μmのフィルターを用いれば良い。新液程度以上にまで濃縮しても良いが、その場合は、粘性が強くなり溶解処理工程で撹拌処理が行い難くなり、溶解処理の効率が低下するおそれがあるので、後述する溶解液を通常より多く用いるか、別途水を添加するなどして、粘性を低下させるのが好ましい。
前記溶解液としては、過酸化水素を溶質として含む水溶液であるか、または、さらにアンモニア、塩化水素、硫酸、硝酸、燐酸、フッ化水素およびフッ化アンモニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種をも溶質として含む水溶液であることが好ましい。過酸化水素は、最終的に水と酸素に分解するため、廃液処理などの後処理も比較的簡便に行えるという点において、好ましく使用できる。
溶解液の添加によって使用済みCMPスラリのpHを大きく変化させると、微粒子の凝集、沈殿の原因となることから、微粒子が安定に分散している状態を維持するために、使用済みCMPスラリのpHが酸性である場合は酸性水溶液を、アルカリ性である場合はアルカリ性水溶液を、それぞれ溶解液として用いることがより好ましい。
溶解液の添加によって使用済みCMPスラリのpHを大きく変化させると、微粒子の凝集、沈殿の原因となることから、微粒子が安定に分散している状態を維持するために、使用済みCMPスラリのpHが酸性である場合は酸性水溶液を、アルカリ性である場合はアルカリ性水溶液を、それぞれ溶解液として用いることがより好ましい。
溶解液として過酸化水素を単独で用いる場合、30〜35重量%の過酸化水素水として使用することができる。
溶解液として2種以上の溶質を組み合わせた水溶液を用いることも可能であり、上述のとおり、特に過酸化水素と上記に列挙した他の溶質を組み合わせたものが好適に用いられる。この場合、過酸化水素と組み合わせる前記他の溶質は、使用済みCMPスラリに含まれている溶質を基調とした溶解液であることが好ましい。具体的には、特に限定するわけではないが、例えば、CMPスラリとしてキャボット社製のW−2000を使用して排出された使用済みCMPスラリであれば、該使用済みCMPスラリ中には硝酸鉄(III)が含有されているため、硝酸を基調とした溶解液が有効である。溶質として過酸化水素と硝酸を併用した水溶液の場合、特に限定するわけではないが、前記水溶液中において、過酸化水素が30〜35重量%、硝酸が55〜70重量%で溶解したものが挙げられる。
溶解液として2種以上の溶質を組み合わせた水溶液を用いることも可能であり、上述のとおり、特に過酸化水素と上記に列挙した他の溶質を組み合わせたものが好適に用いられる。この場合、過酸化水素と組み合わせる前記他の溶質は、使用済みCMPスラリに含まれている溶質を基調とした溶解液であることが好ましい。具体的には、特に限定するわけではないが、例えば、CMPスラリとしてキャボット社製のW−2000を使用して排出された使用済みCMPスラリであれば、該使用済みCMPスラリ中には硝酸鉄(III)が含有されているため、硝酸を基調とした溶解液が有効である。溶質として過酸化水素と硝酸を併用した水溶液の場合、特に限定するわけではないが、前記水溶液中において、過酸化水素が30〜35重量%、硝酸が55〜70重量%で溶解したものが挙げられる。
実際に、溶解液として、過酸化水素と硝酸をともに溶質として含む水溶液を用いて溶解性を確認した。結果を以下に示す。
水に過酸化水素と硝酸をそれぞれ加えて溶解させ、水溶液を調製することもできるが、以下の例では、過酸化水素と硝酸が両方とも水溶液の状態のものを用いて、それらを混合させることにより、溶解液を得た。具体的には、30重量%過酸化水素水と69重量%硝酸水溶液を用いて溶解性を確認した。
窒化チタンからなる砕片に、水と、30重量%過酸化水素水単独、または、前記過酸化水素水および69重量%硝酸水溶液からなる水溶液を溶解液として加え、温度25℃で、超音波をかけつつ1時間経過させたときと、5時間経過させたときの溶解性を確認した。結果を表1に示す。
水に過酸化水素と硝酸をそれぞれ加えて溶解させ、水溶液を調製することもできるが、以下の例では、過酸化水素と硝酸が両方とも水溶液の状態のものを用いて、それらを混合させることにより、溶解液を得た。具体的には、30重量%過酸化水素水と69重量%硝酸水溶液を用いて溶解性を確認した。
窒化チタンからなる砕片に、水と、30重量%過酸化水素水単独、または、前記過酸化水素水および69重量%硝酸水溶液からなる水溶液を溶解液として加え、温度25℃で、超音波をかけつつ1時間経過させたときと、5時間経過させたときの溶解性を確認した。結果を表1に示す。
表1から、いずれについても窒化チタンが全溶解できることが確認された。特に、過酸化水素および硝酸を用いた溶解液では、過酸化水素を単独で用いた溶解液よりも少量で溶解させることが可能で、硝酸水溶液の量を増加させると、より良好な溶解性を示すことを確認した。
上記同様にして、30重量%過酸化水素水とアンモニア、塩化水素、硫酸、燐酸、フッ化水素およびフッ化アンモニウムの何れかを溶質として含む水溶液を組み合わせた溶解液を用いて、温度25℃で、超音波をかけつつ5時間経過させたときの溶解性を確認したところ、いずれについても窒化チタンが全溶解できることを確認した。
上記同様にして、30重量%過酸化水素水とアンモニア、塩化水素、硫酸、燐酸、フッ化水素およびフッ化アンモニウムの何れかを溶質として含む水溶液を組み合わせた溶解液を用いて、温度25℃で、超音波をかけつつ5時間経過させたときの溶解性を確認したところ、いずれについても窒化チタンが全溶解できることを確認した。
このとき、アンモニアは25重量%のアンモニア水、塩化水素は35重量%の塩酸、硫酸は95重量%の硫酸水溶液、燐酸は85重量%のリン酸水溶液、フッ化水素は46重量%のフッ酸、フッ化アンモニウムは50重量%のフッ化アンモニウム水溶液として、それぞれ使用し、前記各水溶液を30重量%過酸化水素水と体積比率1:1で混合して、それぞれ溶解性を確認した。
次に、使用済みCMPスラリと前記溶解液との体積比率としては、特に限定されないが、例えば、溶解液が30重量%過酸化水素水と69重量%硝酸水溶液の混合溶液である場合、400:1〜25:1であれば、溶解性に優れ、好ましい。
次に、使用済みCMPスラリと前記溶解液との体積比率としては、特に限定されないが、例えば、溶解液が30重量%過酸化水素水と69重量%硝酸水溶液の混合溶液である場合、400:1〜25:1であれば、溶解性に優れ、好ましい。
実際に、異物粗大粒子を予め除いておき、新液程度まで濃縮した使用済みCMPスラリに、過酸化水素水および硝酸水溶液が体積比率1:1で混合された溶解液を加え、温度25℃で、攪拌と超音波照射を行いつつ、1時間掛けたときと、5時間掛けたときの異物微粒子の溶解性について、HP4500(横河アナリティカルシステムズ社製)を用い、ICP―MS法によって試料のTi総量(固形分とイオン分)とTiの溶解分(イオン分、0.2mmフィルターで固形分を除去したもの)を分析し、以下の表2に示す結果を得た。なお、表2中の「廃液」は使用済みCMPスラリのことを意味する。
表2から、いずれについても5時間という実用的な時間で使用済みCMPスラリ中の異物を100%溶解できることを確認した。特に、使用済みCMPスラリと前記溶解液の体積比率が125:1のときに、1時間という短時間で使用済みCMPスラリ中の異物を100%溶解できることが確認できた。
〔リンス処理工程〕
本発明の再生法は、使用済みCMPスラリに含まれていた砥粒に対し砥粒からイオンを除去するためのリンス処理を施す工程を備える。
溶解処理後の使用済みCMPスラリはイオンの多くが砥粒の分散媒に溶解しているため、前処理として固液分離処理を行い、砥粒とイオンを含む分散媒とを分離しておくことが好ましい。この前処理を行うことで、リンス処理工程でリンス液を添加したとき、砥粒に吸着したイオンがイオン濃度の低いリンス液中へと容易に拡散し、リンス処理工程でほとんどのイオンを砥粒から除去することが可能となる。
〔リンス処理工程〕
本発明の再生法は、使用済みCMPスラリに含まれていた砥粒に対し砥粒からイオンを除去するためのリンス処理を施す工程を備える。
溶解処理後の使用済みCMPスラリはイオンの多くが砥粒の分散媒に溶解しているため、前処理として固液分離処理を行い、砥粒とイオンを含む分散媒とを分離しておくことが好ましい。この前処理を行うことで、リンス処理工程でリンス液を添加したとき、砥粒に吸着したイオンがイオン濃度の低いリンス液中へと容易に拡散し、リンス処理工程でほとんどのイオンを砥粒から除去することが可能となる。
以下に、リンス工程について説明する。
リンス工程では、砥粒からイオンを除去するためのリンス液が添加される。前記リンス液は、塩化水素、硫酸、硝酸、有機酸およびフッ化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種を溶質として含む水溶液または水であることが望ましい。また、リンス液は、砥粒が凝集しないpHで行うことがより好ましい。さらに、リンス処理に際しては、イオンを除去した砥粒をリンス液中に再度分散させるための攪拌処理および/または超音波処理を行うことが好ましい。撹拌処理および/または超音波処理を行う場合の処理温度および処理時間は、特に限定するわけではないが、例えば、25〜60℃で、1分〜3時間行うことができる。
リンス工程では、砥粒からイオンを除去するためのリンス液が添加される。前記リンス液は、塩化水素、硫酸、硝酸、有機酸およびフッ化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種を溶質として含む水溶液または水であることが望ましい。また、リンス液は、砥粒が凝集しないpHで行うことがより好ましい。さらに、リンス処理に際しては、イオンを除去した砥粒をリンス液中に再度分散させるための攪拌処理および/または超音波処理を行うことが好ましい。撹拌処理および/または超音波処理を行う場合の処理温度および処理時間は、特に限定するわけではないが、例えば、25〜60℃で、1分〜3時間行うことができる。
前記リンス液の添加量としては、特に限定されないが、例えば、溶解処理後の使用済みCMPスラリとリンス液との体積比率を、1:10〜10:1とすることができる。
リンス工程後に、後処理として固液分離処理を行う。この後処理を行うことで、イオンを含むリンス液の大部分を除き、イオンのほとんどが除去された砥粒を分離回収することができる。
上記リンス処理工程と固液分離処理工程とを繰り返し少なくとも3回以上行うことが望ましい。3回以上であれば、砥粒に吸着しているイオンをより確実に除去することができる。具体的には、溶解処理後の使用済みCMPスラリ(好ましくは、前処理として固液分離処理を行った使用済みCMPスラリ)にリンス液を添加し、超音波や攪拌などの方法により砥粒を分散媒中に再分散してから、後処理として固液分離を行う。次いで、再度、リンス液添加、砥粒再分散、そして、再び固液分離、というように、上記工程を繰り返し行い、これにより、結果的に砥粒からイオンを大幅に減少させることが可能となる。
リンス工程後に、後処理として固液分離処理を行う。この後処理を行うことで、イオンを含むリンス液の大部分を除き、イオンのほとんどが除去された砥粒を分離回収することができる。
上記リンス処理工程と固液分離処理工程とを繰り返し少なくとも3回以上行うことが望ましい。3回以上であれば、砥粒に吸着しているイオンをより確実に除去することができる。具体的には、溶解処理後の使用済みCMPスラリ(好ましくは、前処理として固液分離処理を行った使用済みCMPスラリ)にリンス液を添加し、超音波や攪拌などの方法により砥粒を分散媒中に再分散してから、後処理として固液分離を行う。次いで、再度、リンス液添加、砥粒再分散、そして、再び固液分離、というように、上記工程を繰り返し行い、これにより、結果的に砥粒からイオンを大幅に減少させることが可能となる。
上記のリンス処理後の後処理によって生じるイオン、酸を含んだリンス液は、電気透析によるイオンおよび酸の除去、イオン交換樹脂、キレート樹脂によるイオンの捕集、精密濾過(MF)膜、限外濾過(UF)膜、ナノ濾過(NF)膜および逆浸透(RO)などの公知の技術により廃液処理または再生を行うことができ、再生した溶液を再使用することも可能である。すなわち、リンス処理工程で使用されるリンス液は、廃棄物として処理することもできるが、既存の技術による水処理をおこなって再使用するようにしてもよいのである。
〔固液分離処理工程〕
本発明の再生法は、固体と液体を分離するための固液分離処理を施す工程を備える。
〔固液分離処理工程〕
本発明の再生法は、固体と液体を分離するための固液分離処理を施す工程を備える。
この工程は、前記リンス工程によって砥粒から除去されたイオンが再び砥粒に吸着しないよう、分散媒中に含まれるイオンを砥粒との接触範囲から分離するために、前記リンス処理工程の後処理として行われるものである。リンス処理の前処理としても行うのが好ましいこと、また、リンス処理工程と本工程を複数回にわたって繰り返し行うことが好ましいことについては、リンス処理工程の説明の中で既に述べたとおりである。以下に、固液分離処理工程について詳しく説明する。
固液分離処理としては、例えば、遠心分離法やクロスフロー濾過などの方法が挙げられ、このような操作によって溶解処理またはリンス処理後のイオンを含む分散媒を除去することができる。
固液分離処理としては、例えば、遠心分離法やクロスフロー濾過などの方法が挙げられ、このような操作によって溶解処理またはリンス処理後のイオンを含む分散媒を除去することができる。
前記遠心分離法では、遠心分離により砥粒を沈殿させ、イオンを含む分散媒を上澄み溶液として除去することで、結果的に溶解処理またはリンス処理を経た使用済みCMPスラリが濃縮される。また、クロスフロー濾過では、セラミックフィルターに溶解処理またはリンス処理を経た使用済みCMPスラリを通液し、イオンを含む分散媒をセラミックフィルターの孔を通過させて除去することで、結果的に使用済みCMPスラリが濃縮される。
固液分離処理の条件によって、前記濃縮の程度を調整することができる。具体的には、例えば、CMPスラリ新液程度にまで濃縮する場合、遠心分離の条件としては、500〜4000rpmで10分〜24時間に設定することができ、クロスフロー濾過の条件としては、セラミックフィルターの目開きを0.2〜1μmに設定することができる。
固液分離処理の条件によって、前記濃縮の程度を調整することができる。具体的には、例えば、CMPスラリ新液程度にまで濃縮する場合、遠心分離の条件としては、500〜4000rpmで10分〜24時間に設定することができ、クロスフロー濾過の条件としては、セラミックフィルターの目開きを0.2〜1μmに設定することができる。
濃縮の程度が高い場合、イオンを含む分散媒をより多く分離できるという点では好ましいが、固液分離後に、流動性を失ってゲル状となり、スラリとしての性状を示さなくなる場合がある。このような場合には、後述の調整工程で濃度を調整すると良い。
〔調整工程〕
リンス処理工程の後処理としての固液分離処理工程を経て得られるスラリまたは固体状ゲルは、通常、研磨に使用する前のCMPスラリ新液とは異なったpH値および組成成分となっているため、新液に近い成分とするために、溶液を添加してpH値および組成成分を調整することが好ましい。
〔調整工程〕
リンス処理工程の後処理としての固液分離処理工程を経て得られるスラリまたは固体状ゲルは、通常、研磨に使用する前のCMPスラリ新液とは異なったpH値および組成成分となっているため、新液に近い成分とするために、溶液を添加してpH値および組成成分を調整することが好ましい。
このとき、pH値および組成成分調整は、1種ずつの溶液添加でも可能であるが、多工程になる可能性があるため、あらかじめpH値および組成成分を調整しておいた溶液を添加する方法のほうが好ましい。
pH値調整では、具体的には、例えば、硝酸を水で希釈し、CMPスラリ溶液(新液)のpH値と同等のpH値となる調整液を作成しておき、pH計でpH値をモニターしながら、調整液を滴下して、pHを調整する方法が行われる。
組成成分の調整では、具体的には、例えば、酸化剤として硝酸鉄、錯化剤としてマロン酸が含有されている、キャボット社製W−2000の場合、前記酸化剤や錯化剤を含む水溶液を添加する。
pH値調整では、具体的には、例えば、硝酸を水で希釈し、CMPスラリ溶液(新液)のpH値と同等のpH値となる調整液を作成しておき、pH計でpH値をモニターしながら、調整液を滴下して、pHを調整する方法が行われる。
組成成分の調整では、具体的には、例えば、酸化剤として硝酸鉄、錯化剤としてマロン酸が含有されている、キャボット社製W−2000の場合、前記酸化剤や錯化剤を含む水溶液を添加する。
以下では、本発明にかかる使用済みCMPスラリの再生方法に関し、その具体的な実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施例の一例を示す構成図である。
この実施形態は、廃液貯蔵タンク1、溶解処理タンク2、リンス処理装置3、固液分離処理装置(濃縮部)4および調整装置5によって実施される。溶解処理タンク2とリンス処理装置3は、固形分の分散を良くするための攪拌手段や超音波処理手段を備えている。
廃液貯蔵タンク1は、使用済みCMPスラリや研磨工程後の洗浄廃液等が収容されるタンクであり、溶解処理タンク2は、使用済みCMPスラリに含まれる成分のうち、研磨材以外の微粒子成分を溶解するための溶解液が収容されていて、ここに移されたスラリ廃液に溶解処理が施される装置であり、リンス処理装置3は、砥粒からイオンを除去するためにリンス液を添加するための装置であり、固液分離処理装置(濃縮部)4は、前工程で得られたスラリから分散媒の大部分を除去するため、溶液の固相および液相を遠心分離、またはクロスフロー濾過などの方法で分離し、固体分を濃縮させる装置であり、調整装置5は、新液に近い成分にするため、新たに溶液が添加されスラリのpH値および組成成分の調整を行う装置である。図1に示すように、リンス処理装置3によるリンス処理と固液分離処理装置4による固液分離処理については、繰り返し行われるのが通常であり、繰り返し回数が多いほど、砥粒に吸着したイオンの除去がより確実となる。リンス処理装置3によるリンス処理の前に、前処理として固液分離処理装置4による固液分離処理を行っておくと、さらに好ましい。
図1は、本発明の実施例の一例を示す構成図である。
この実施形態は、廃液貯蔵タンク1、溶解処理タンク2、リンス処理装置3、固液分離処理装置(濃縮部)4および調整装置5によって実施される。溶解処理タンク2とリンス処理装置3は、固形分の分散を良くするための攪拌手段や超音波処理手段を備えている。
廃液貯蔵タンク1は、使用済みCMPスラリや研磨工程後の洗浄廃液等が収容されるタンクであり、溶解処理タンク2は、使用済みCMPスラリに含まれる成分のうち、研磨材以外の微粒子成分を溶解するための溶解液が収容されていて、ここに移されたスラリ廃液に溶解処理が施される装置であり、リンス処理装置3は、砥粒からイオンを除去するためにリンス液を添加するための装置であり、固液分離処理装置(濃縮部)4は、前工程で得られたスラリから分散媒の大部分を除去するため、溶液の固相および液相を遠心分離、またはクロスフロー濾過などの方法で分離し、固体分を濃縮させる装置であり、調整装置5は、新液に近い成分にするため、新たに溶液が添加されスラリのpH値および組成成分の調整を行う装置である。図1に示すように、リンス処理装置3によるリンス処理と固液分離処理装置4による固液分離処理については、繰り返し行われるのが通常であり、繰り返し回数が多いほど、砥粒に吸着したイオンの除去がより確実となる。リンス処理装置3によるリンス処理の前に、前処理として固液分離処理装置4による固液分離処理を行っておくと、さらに好ましい。
以下では、本発明の実施例を説明する。
実施例1における測定方法を以下に示す。
<タングステンおよびチタン濃度の測定方法>
タングステンおよびチタン濃度を以下の方法により測定した。
対象とする試料に超音波を25℃で10分間照射し、シリカを均一分散させた。前記分散液に濃フッ酸を添加してシリカを完全に溶解させた。シリカが完全溶解した前記溶液を希硝酸で希釈した後、HP4500(横河アナリティカルシステムズ社製)を用いて、ICP−MS法によりタングステンおよびチタンの定量分析を行った。希釈液にはあらかじめ内部標準元素を添加しておいた。
実施例1における測定方法を以下に示す。
<タングステンおよびチタン濃度の測定方法>
タングステンおよびチタン濃度を以下の方法により測定した。
対象とする試料に超音波を25℃で10分間照射し、シリカを均一分散させた。前記分散液に濃フッ酸を添加してシリカを完全に溶解させた。シリカが完全溶解した前記溶液を希硝酸で希釈した後、HP4500(横河アナリティカルシステムズ社製)を用いて、ICP−MS法によりタングステンおよびチタンの定量分析を行った。希釈液にはあらかじめ内部標準元素を添加しておいた。
〔実施例1〕
実施例1はTi/TiNをバリア膜としたタングステンプラグを研磨したCMPスラリの再生に関するものである。予め濾過処理を施すことにより異物粗大粒子を取り除いておき、新液程度まで濃縮した使用済みCMPスラリであって、タングステンが44000ppb、チタンが1430ppb含有された使用済みCMPスラリ(25ml)に、溶解液として、30重量%過酸化水素水(0.5ml)および69重量%硝酸水溶液(0.5ml)の混合水溶液を加え、試料溶液〔使用済みCMPスラリ:(硝酸水溶液+過酸化水素水)=25:1〕を得た。前記試料溶液を、30℃の恒温槽で攪拌させながら、超音波を照射して5時間溶解処理を施した。溶解処理後、リンス処理の前処理として、遠心分離装置(12時間、回転数3000rpm)を用いて固液分離し、上澄み溶液の除去(廃棄)を行った。上澄み溶液を除去した固体状ゲルにリンス液としてpH2.3に調整した硝酸水溶液を20ml添加した後、攪拌および超音波照射を行い、分散媒中にシリカ微粒子を再分散させた。前記リンス処理の後処理として、再び、遠心分離装置による固液分離を行った。この一連のリンス工程および後処理としての固液分離工程を5回以上行った。処理済みCMPスラリ中に含有されたタングステンとチタン濃度を測定したところ、タングステンが50ppb以下、チタンが10ppb以下であった。この方法によりCMPスラリ新液に近い機能を有するCMPスラリを得ることが可能である。
実施例1はTi/TiNをバリア膜としたタングステンプラグを研磨したCMPスラリの再生に関するものである。予め濾過処理を施すことにより異物粗大粒子を取り除いておき、新液程度まで濃縮した使用済みCMPスラリであって、タングステンが44000ppb、チタンが1430ppb含有された使用済みCMPスラリ(25ml)に、溶解液として、30重量%過酸化水素水(0.5ml)および69重量%硝酸水溶液(0.5ml)の混合水溶液を加え、試料溶液〔使用済みCMPスラリ:(硝酸水溶液+過酸化水素水)=25:1〕を得た。前記試料溶液を、30℃の恒温槽で攪拌させながら、超音波を照射して5時間溶解処理を施した。溶解処理後、リンス処理の前処理として、遠心分離装置(12時間、回転数3000rpm)を用いて固液分離し、上澄み溶液の除去(廃棄)を行った。上澄み溶液を除去した固体状ゲルにリンス液としてpH2.3に調整した硝酸水溶液を20ml添加した後、攪拌および超音波照射を行い、分散媒中にシリカ微粒子を再分散させた。前記リンス処理の後処理として、再び、遠心分離装置による固液分離を行った。この一連のリンス工程および後処理としての固液分離工程を5回以上行った。処理済みCMPスラリ中に含有されたタングステンとチタン濃度を測定したところ、タングステンが50ppb以下、チタンが10ppb以下であった。この方法によりCMPスラリ新液に近い機能を有するCMPスラリを得ることが可能である。
本発明の使用済みCMPスラリの再生方法は、例えば、タングステン配線や銅配線のウェーハの表面平坦化処理などに使用されたCMPスラリ廃液の再利用など、半導体産業におけるCMPスラリの反復的な利用に好適に用いることができる。
1.廃液貯蔵タンク
2.溶解処理タンク
3.リンス処理装置
4.固液分離処理装置
5.調整装置
2.溶解処理タンク
3.リンス処理装置
4.固液分離処理装置
5.調整装置
Claims (7)
- 使用済みCMPスラリ中の砥粒は溶かさないが異物粒子は溶解する溶解液を用いて使用済みCMPスラリに対しその異物粒子を溶解するための溶解処理を施す工程と、使用済みCMPスラリに含まれていた砥粒に対し砥粒からイオンを除去するためのリンス処理を施す工程と、前工程で得られた被処理液に対し固体と液体を分離するための固液分離処理を施す工程とを含む、使用済みCMPスラリの再生方法。
- 溶解処理工程では、異物粗大粒子を予め除いておいた使用済みCMPスラリに対し溶解処理を施すようにする、請求項1に記載の使用済みCMPスラリの再生方法。
- リンス処理工程と固液分離処理工程とを複数回繰り返す、請求項1または2に記載の使用済みCMPスラリの再生方法。
- 固液分離処理後の砥粒を含みpH値と組成が調整されている再生CMPスラリを得る工程をも含む、請求項1から3までのいずれかに記載の使用済みCMPスラリの再生方法。
- 前記溶解液が、過酸化水素を溶質として含む水溶液であるか、または、さらにアンモニア、塩化水素、硫酸、硝酸、燐酸、フッ化水素およびフッ化アンモニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種をも溶質として含む水溶液である、請求項1から4までのいずれかに記載の使用済みCMPスラリの再生方法。
- 前記リンス液が、塩化水素、硫酸、硝酸、有機酸およびフッ化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種を溶質として含む水溶液または水である、請求項1から5までのいずれかに記載の使用済みCMPスラリの再生方法。
- 前記使用済みCMPスラリが、タングステン配線が施されたデバイスのCMP工程において排出されるものである、請求項1から6までのいずれかに記載の使用済みCMPスラリの再生方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2006
- 2006-11-10 JP JP2006305768A patent/JP2008124213A/ja not_active Withdrawn
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