JP2014160833A - 非酸化物単結晶基板の研磨方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】炭化ケイ素単結晶基板等の非酸化物単結晶基板を、使用研磨液を回収し再使用して研磨するに当たり、高い研磨速度を長時間維持できる研磨方法を提供する。
【解決手段】過マンガン酸イオンと水を含み砥粒を含まない研磨液を研磨パッドに供給し、非酸化物単結晶基板の被研磨面と前記研磨パッドとを接触させ、両者間の相対運動により研磨する方法であり、前記研磨パッドに供給され研磨に使用された研磨液を回収し、回収した研磨液中の、前記過マンガン酸イオンの還元により生成したマンガン酸化物を除去した後、この研磨液を再び前記研磨パッドに供給する研磨方法。
【選択図】図1
【解決手段】過マンガン酸イオンと水を含み砥粒を含まない研磨液を研磨パッドに供給し、非酸化物単結晶基板の被研磨面と前記研磨パッドとを接触させ、両者間の相対運動により研磨する方法であり、前記研磨パッドに供給され研磨に使用された研磨液を回収し、回収した研磨液中の、前記過マンガン酸イオンの還元により生成したマンガン酸化物を除去した後、この研磨液を再び前記研磨パッドに供給する研磨方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、非酸化物単結晶基板の研磨方法に係り、特に、炭化ケイ素単結晶基板等の研磨に適した研磨方法に関する。
炭化ケイ素(SiC)半導体は、シリコン半導体よりも絶縁破壊電界、電子の飽和ドリフト速度および熱伝導率が大きいため、炭化ケイ素半導体を用いて、従来のシリコンデバイスよりも高温、高速で動作が可能なパワーデバイスを実現する研究や開発がなされている。なかでも、電動二輪車、電気自動車やハイブリッドカー等のモータを駆動するための電源に使用する、効率の高いスイッチング素子の開発が注目されている。このようなパワーデバイスを実現するためには、高品質の炭化ケイ素半導体層をエピタキシャル成長させるための、表面平滑な炭化ケイ素単結晶基板が必要である。
また、高密度で情報を記録するための光源として、青色レーザダイオードが注目されており、さらに蛍光灯や電球に替わる光源として、青色ダイオードを用いる白色発光素子へのニーズが高まっている。青色ダイオードは窒化ガリウム(GaN)半導体を用いて作製され、高品質の窒化ガリウム半導体層を形成するための基板として、炭化ケイ素単結晶基板が使用されている。
これらの用途に用いられる炭化ケイ素単結晶基板には、基板の平坦度や表面の平滑性等において高い加工精度が要求される。しかし、炭化ケイ素単結晶は硬度が極めて高く、かつ耐腐食性に優れるため、基板を作製する場合の加工性が悪く、平滑性が高く低スクラッチ性の炭化ケイ素単結晶基板を高い研磨速度で得ることは難しい。
従来から、炭化ケイ素単結晶基板の研磨は、砥粒と酸化剤と水を含む研磨剤を循環させて繰り返し使用(以下、「循環使用」という。)する方法で行われている。すなわち、研磨パッド上に供給して研磨に使用した研磨剤を回収し、回収された研磨剤を再び研磨パッド上に供給して研磨に使用する方法(以下、「循環研磨」の方法という。)で行われている。このような方法では、使用した研磨剤を1回の使用毎に廃棄する、いわゆるかけ流し研磨の方法と比べて、研磨剤の使用量を減らすことができるので、コストの低減や環境負荷の低減等を達成できる。
しかしながら、従来からの循環研磨の方法では、研磨時間が長くなるにしたがって、循環使用される研磨剤中の酸化剤の劣化または分解や、砥粒の凝集やゲル化等を招きやすく、次第に研磨速度が低下するばかりでなく、炭化ケイ素単結晶基板の平滑性の悪化、スクラッチ発生等の不具合が生じやすい。そのため、良好な研磨を継続できる時間が短く、生産性の低下やコストの増加が生じていた。また、研磨剤の使用量削減によるコスト低減および環境負荷低減という前記効果も、十分ではなかった。
さらなる研磨剤使用量の削減のために、高い研磨速度を長時間維持することができ、研磨を継続できる時間が長い循環研磨の方法が求められている。
さらなる研磨剤使用量の削減のために、高い研磨速度を長時間維持することができ、研磨を継続できる時間が長い循環研磨の方法が求められている。
炭化ケイ素単結晶基板の表面を高い研磨速度で研磨し、かつ砥粒凝集によるスクラッチ発生等を抑制して高い平滑性を得る研磨方法として、砥粒を内包しない研磨パッドに、過マンガン酸イオンのような酸化還元電位が0.5V以上の酸化剤と、水とを含み、砥粒を含まない研磨液を供給して研磨する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載された研磨液を使用して循環研磨を行った場合には、研磨液の回収と再使用の繰り返し回数の増加に伴って、研磨液中の酸化剤である過マンガン酸イオンの還元による過マンガン酸イオンの減少、および研磨液のpHの上昇が生じる。また、研磨の継続中だけでなく、研磨パッドの交換や研磨装置のクリーニング、部品交換等のために研磨を停止し、研磨液をタンク等で保管中においても、研磨液中の過マンガン酸イオンの減少および研磨液のpHの上昇が経時的に進行する。そのため、研磨速度の低下が引き起こされるという問題があった。
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、炭化ケイ素単結晶基板等の硬度が高く化学的安定性が高い非酸化物単結晶基板を、使用研磨液を回収し再使用して研磨するに当たり、高い研磨速度を長時間維持することが可能な研磨方法の提供を目的とする。
本発明の非酸化物単結晶基板の研磨方法は、過マンガン酸イオンと水を含み砥粒を含まない研磨液を研磨パッドに供給し、非酸化物単結晶基板の被研磨面と前記研磨パッドとを接触させ、両者間の相対運動により研磨する方法であり、前記研磨パッドに供給され研磨に使用された研磨液を回収し、回収した研磨液中の、前記過マンガン酸イオンの還元により生成したマンガン酸化物を除去した後、この研磨液を再び前記研磨パッドに供給することを特徴とする。
本発明の非酸化物単結晶基板の研磨方法において、研磨に使用された前記研磨液を回収し、回収した研磨液を、該研磨液中の前記マンガン酸化物を除去した後再び研磨パッドに供給する操作を繰り返し行い、研磨液を連続的に循環させることができる。また、前記研磨パッドは砥粒を含有しないことが好ましい。また、回収した前記研磨液中のマンガン酸化物の除去を、ろ過、沈降分離、遠心分離および限外ろ過から選択される少なくとも1種の処理方法により行うことが好ましい。
前記研磨パッド上で研磨に供される時点での前記研磨液のpHは5以下であることが好ましい。また、前記研磨パッドに供給される前記研磨液中の前記過マンガン酸イオンの含有割合は、0.05質量%以上5質量%以下であることが好ましい。さらに、前記非酸化物単結晶基板は、炭化ケイ素単結晶基板または窒化ガリウム単結晶基板とすることができる。
なお、本発明において、「被研磨面」とは、研磨対象物である非酸化物単結晶基板の研磨される面であり、例えば表面を意味する。
なお、本発明において、「被研磨面」とは、研磨対象物である非酸化物単結晶基板の研磨される面であり、例えば表面を意味する。
本発明の研磨方法によれば、研磨に使用された研磨液(以下、使用研磨液ともいう。)中から過マンガン酸イオンの還元により生成したマンガン酸化物を除去することで、研磨中の、非酸化物単結晶基板の酸化による以外の過マンガン酸イオンの還元反応や、研磨液保管中における過マンガン酸イオンの還元反応が抑制され、研磨液中の過マンガン酸イオンの減少およびpHの上昇が抑えられる。そのため、非酸化物単結晶基板を、高い研磨速度および被研磨面の高い平滑性と低スクラッチ性を長時間維持して、研磨することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[研磨方法]
本発明の非酸化物単結晶基板の研磨方法は、過マンガン酸イオンと水を含み砥粒を含まない研磨液を研磨パッドに供給し、非酸化物単結晶基板の被研磨面と前記研磨パッドとを接触させ、両者間の相対運動により研磨する方法である。そして、研磨に使用された研磨液を回収し、回収した研磨液(以下、回収研磨液という。)中の、過マンガン酸イオンの還元により生成したマンガン酸化物を除去した後、除去後の研磨液を再び研磨パッドに供給して使用することを特徴としている。
本発明の非酸化物単結晶基板の研磨方法は、過マンガン酸イオンと水を含み砥粒を含まない研磨液を研磨パッドに供給し、非酸化物単結晶基板の被研磨面と前記研磨パッドとを接触させ、両者間の相対運動により研磨する方法である。そして、研磨に使用された研磨液を回収し、回収した研磨液(以下、回収研磨液という。)中の、過マンガン酸イオンの還元により生成したマンガン酸化物を除去した後、除去後の研磨液を再び研磨パッドに供給して使用することを特徴としている。
本発明の研磨方法においては、使用研磨液を回収し、回収研磨液中のマンガン酸化物を除去した後、再び研磨パッドに供給する操作を繰り返し行い、研磨液を連続的に循環させることができる。すなわち、使用研磨液の回収、回収研磨液中のマンガン酸化物の除去、マンガン酸化物が除去された研磨液の研磨パッドへの再供給の操作を、繰り返し連続的に行うことで、研磨液を循環させて再使用することができる。
そして、回収研磨液中に存在する、過マンガン酸イオンの還元反応によって生成したマンガン酸化物が除去されることで、回収研磨液中での過マンガン酸イオンの還元反応が抑えられ、回収研磨液中の過マンガン酸イオンの濃度の減少、および回収研磨液のpHの上昇が抑制される。
すなわち、使用研磨液中には、過マンガン酸イオンによるSiC等の酸化の際に、以下の式(1)に示す過マンガン酸イオンの還元反応によって生じたマンガンイオンMn2+が存在する。
MnO4−+8H++5e− → Mn2++4H2O ………(1)
そして、このような過マンガン酸イオンの還元ではプロトンが消費されるため、液のpHは上昇し、pH上昇によってMn2+はマンガン酸化物となり沈降する。さらに、Mn2+やマンガン酸化物は、前記式(1)に示す過マンガン酸イオンの還元反応を促進する作用を持ち、さらに液のpHが上昇する。
MnO4−+8H++5e− → Mn2++4H2O ………(1)
そして、このような過マンガン酸イオンの還元ではプロトンが消費されるため、液のpHは上昇し、pH上昇によってMn2+はマンガン酸化物となり沈降する。さらに、Mn2+やマンガン酸化物は、前記式(1)に示す過マンガン酸イオンの還元反応を促進する作用を持ち、さらに液のpHが上昇する。
本発明の研磨方法においては、回収した使用研磨液中に存在するマンガン酸化物が除去されることで、過マンガン酸イオンの還元反応が抑えられるため、過マンガン酸イオンの濃度の減少およびpHの上昇が抑制され、研磨速度の低下が抑えられる。したがって、炭化ケイ素単結晶基板等の非酸化物単結晶基板を、高い研磨速度でかつ被研磨面の高い平滑性と低スクラッチ性を長時間維持して研磨することができる。
以下、本発明の研磨方法に使用する研磨液、研磨対象物である非酸化物単結晶基板、研磨方法、マンガン酸化物の除去方法、研磨装置等について説明する。
以下、本発明の研磨方法に使用する研磨液、研磨対象物である非酸化物単結晶基板、研磨方法、マンガン酸化物の除去方法、研磨装置等について説明する。
<研磨液>
本発明に使用する研磨液は、過マンガン酸イオンと水を含み、砥粒を含まない液である。
本発明に使用する研磨液は、過マンガン酸イオンと水を含み、砥粒を含まない液である。
(過マンガン酸イオン)
研磨液に含有される過マンガン酸イオンは、酸化還元電位が0.5V以上の酸化剤であり、後述する研磨対象物(例えば、SiC単結晶基板やGaN単結晶基板)の被研磨面に酸化層を形成する。この酸化層を機械的な力で被研磨面から除去することにより、研磨対象物の研磨が促進される。すなわち、SiCやGaN等の化合物半導体は非酸化物であり、難研磨材料であるが、研磨液中の過マンガン酸イオンにより酸化され、基板の表面に酸化層が形成される。形成された酸化層は、研磨対象物に比べて硬度が低く研磨されやすいので、砥粒を内包しない研磨パッドとの接触によっても除去することができ、十分に高い研磨速度を得ることができる。
研磨液に含有される過マンガン酸イオンは、酸化還元電位が0.5V以上の酸化剤であり、後述する研磨対象物(例えば、SiC単結晶基板やGaN単結晶基板)の被研磨面に酸化層を形成する。この酸化層を機械的な力で被研磨面から除去することにより、研磨対象物の研磨が促進される。すなわち、SiCやGaN等の化合物半導体は非酸化物であり、難研磨材料であるが、研磨液中の過マンガン酸イオンにより酸化され、基板の表面に酸化層が形成される。形成された酸化層は、研磨対象物に比べて硬度が低く研磨されやすいので、砥粒を内包しない研磨パッドとの接触によっても除去することができ、十分に高い研磨速度を得ることができる。
過マンガン酸イオンの供給源としては、過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウム等の過マンガン酸塩が好ましい。
SiC単結晶基板の研磨において、酸化剤として過マンガン酸イオンが特に好ましい理由を以下に示す。
(1)過マンガン酸イオンは、SiC単結晶を酸化する酸化力が強い。
酸化剤の酸化力が弱すぎると、SiC単結晶基板の被研磨面との反応が不十分となり、その結果十分に平滑な表面を得ることができない。酸化剤が物質を酸化する酸化力の指標として、酸化還元電位が用いられる。過マンガン酸イオンの酸化還元電位は1.70Vであり、酸化剤として一般に用いられる過塩素酸カリウム(KClO4)(酸化還元電位1.20V)や次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)(酸化還元電位1.63V)に比べて、酸化還元電位が高い。
(2)過マンガン酸イオンは反応速度が大きい。
過マンガン酸イオンは、酸化力の強い酸化剤として知られている過酸化水素(酸化還元電位1.76V)に比べて、酸化反応の反応速度が大きいので、酸化力の強さを速やかに発揮できる。
(3)過マンガン酸イオンは、人体に対して毒性が低く安全である。
(4)過マンガン酸塩は、後述する分散媒である水に完全に溶解する。したがって、溶解残渣が基板の平滑性に悪影響を与えることがない。
(1)過マンガン酸イオンは、SiC単結晶を酸化する酸化力が強い。
酸化剤の酸化力が弱すぎると、SiC単結晶基板の被研磨面との反応が不十分となり、その結果十分に平滑な表面を得ることができない。酸化剤が物質を酸化する酸化力の指標として、酸化還元電位が用いられる。過マンガン酸イオンの酸化還元電位は1.70Vであり、酸化剤として一般に用いられる過塩素酸カリウム(KClO4)(酸化還元電位1.20V)や次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)(酸化還元電位1.63V)に比べて、酸化還元電位が高い。
(2)過マンガン酸イオンは反応速度が大きい。
過マンガン酸イオンは、酸化力の強い酸化剤として知られている過酸化水素(酸化還元電位1.76V)に比べて、酸化反応の反応速度が大きいので、酸化力の強さを速やかに発揮できる。
(3)過マンガン酸イオンは、人体に対して毒性が低く安全である。
(4)過マンガン酸塩は、後述する分散媒である水に完全に溶解する。したがって、溶解残渣が基板の平滑性に悪影響を与えることがない。
高い研磨速度を得るために、研磨液中の過マンガン酸イオンの含有割合(以下、濃度ともいう。)は、0.05質量%以上5質量%以下が好ましい。0.05質量%未満では、酸化剤としての効果が期待できず、研磨により平滑な面を形成するのに非常に長時間を要する。過マンガン酸イオンの含有割合が5質量%を超えると、研磨液の温度によっては、過マンガン酸イオンの供給源である過マンガン酸塩が完全に溶解しきれずに析出し、固体の過マンガン酸塩が被研磨面と接触することにより、スクラッチが発生するおそれがある。研磨液に含まれる過マンガン酸イオンの含有割合は、0.1質量%以上4.5質量%以下がさらに好ましく、0.2質量%以上4.0質量%以下が特に好ましい。
なお、この過マンガン酸イオンの濃度は、研磨液が研磨パッドに供給される時点での研磨液中の濃度をいう。
なお、この過マンガン酸イオンの濃度は、研磨液が研磨パッドに供給される時点での研磨液中の濃度をいう。
(水)
本発明に使用する研磨液において、水は、過マンガン酸イオンを溶解させ、必要に応じて添加される任意成分(後述する)を溶解または分散させるための媒体である。水については、特に制限はないが、配合成分に対する影響、不純物の混入、pH等への影響の観点から、純水、超純水、イオン交換水(脱イオン水)が好ましい。
本発明に使用する研磨液において、水は、過マンガン酸イオンを溶解させ、必要に応じて添加される任意成分(後述する)を溶解または分散させるための媒体である。水については、特に制限はないが、配合成分に対する影響、不純物の混入、pH等への影響の観点から、純水、超純水、イオン交換水(脱イオン水)が好ましい。
(砥粒)
本発明に使用する研磨液は、研磨砥粒を含有していないことを特徴とする。研磨液が砥粒を含有しないので、砥粒の分散性に留意することなく、研磨液を使用できる。また、マンガン酸化物の除去の際に、砥粒の除去の可能性を考慮することなく、除去方法を選択することができる。さらに、研磨液の保管や循環・再使用の際に、砥粒の凝集が生じないため、被研磨対象物の表面へのダメージが発生するおそれがない。
本発明に使用する研磨液は、研磨砥粒を含有していないことを特徴とする。研磨液が砥粒を含有しないので、砥粒の分散性に留意することなく、研磨液を使用できる。また、マンガン酸化物の除去の際に、砥粒の除去の可能性を考慮することなく、除去方法を選択することができる。さらに、研磨液の保管や循環・再使用の際に、砥粒の凝集が生じないため、被研磨対象物の表面へのダメージが発生するおそれがない。
(pHおよびpH調整剤)
高い研磨速度を達成するために、本発明に使用する研磨液のpHは、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。なお、この研磨液のpHは、研磨パッドに供給され研磨に使用される時点での研磨液のpHをいう。すなわち、研磨パッドに供給された時点での研磨液のpHが前記範囲であれば、そのまま研磨に供することができるが、前記範囲を外れるpHの研磨液を供給しても、この研磨液に研磨パッド上で後述するpH調整剤を混合することで、研磨の時点での研磨液のpHを前記範囲に調整することができる。
高い研磨速度を達成するために、本発明に使用する研磨液のpHは、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。なお、この研磨液のpHは、研磨パッドに供給され研磨に使用される時点での研磨液のpHをいう。すなわち、研磨パッドに供給された時点での研磨液のpHが前記範囲であれば、そのまま研磨に供することができるが、前記範囲を外れるpHの研磨液を供給しても、この研磨液に研磨パッド上で後述するpH調整剤を混合することで、研磨の時点での研磨液のpHを前記範囲に調整することができる。
このように研磨の時点での研磨液のpHを5以下とした場合には、酸化剤である過マンガン酸イオンが効果的に作用するため、研磨速度が高く研磨特性が良好である。pHが5超では、十分に高い研磨速度が得られないばかりでなく、被研磨面の平滑性が悪化するおそれがある。
研磨液のpHを5以下に調整するために、研磨液にはpH調整剤である酸または塩基性化合物を添加できる。酸としては、硝酸、硫酸、リン酸、塩酸のような無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等の飽和カルボン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸等のヒドロキシ酸、フタル酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸等のジカルボン酸、アミノ酸、複素環系のカルボン酸のような有機酸を使用できる。硝酸またはリン酸の使用が好ましく、中でも硝酸の使用が特に好ましい。塩基性化合物としては、アンモニア、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、テトラメチルアンモニウム等の4級アンモニウム化合物、モノエタノールアミン、エチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、プロピレンジアミン等の有機アミンを使用できる。水酸化カリウム、水酸化ナトリウムの使用が好ましく、中でも水酸化カリウムが特に好ましい。
酸の含有割合(濃度)は、研磨液のpHを上記所定の範囲(pH5以下、より好ましくは3以下)に調整する量とする。
(研磨液の調製および任意成分)
本発明に使用する研磨液は、前記した成分が前記所定の割合で含有され、均一に溶解した混合状態になるように調製され使用される。混合には、研磨液の調製に通常用いられる撹拌翼による撹拌混合方法を採ることができる。研磨液は、予め構成する研磨成分をすべて混合したものとして、研磨の場である研磨パッド上に供給される必要はない。研磨の場に供給されたときに、研磨成分が混合されて研磨液の組成になるようにしてもよい。
本発明に使用する研磨液は、前記した成分が前記所定の割合で含有され、均一に溶解した混合状態になるように調製され使用される。混合には、研磨液の調製に通常用いられる撹拌翼による撹拌混合方法を採ることができる。研磨液は、予め構成する研磨成分をすべて混合したものとして、研磨の場である研磨パッド上に供給される必要はない。研磨の場に供給されたときに、研磨成分が混合されて研磨液の組成になるようにしてもよい。
研磨液には、本発明の趣旨に反しない限り、潤滑剤、キレート化剤、還元剤、粘性付与剤または粘度調節剤、防錆剤等を必要に応じて適宜含有させることができる。ただし、これらの添加剤が、pH調整剤である酸または塩基性化合物の機能を有する場合は、pH調整剤として扱うものとする。
潤滑剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性の界面活性剤、多糖類、水溶性高分子等を使用できる。
界面活性剤としては、疎水基として脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基を有し、またそれら疎水基内にエステル、エーテル、アミド等の結合基、アシル基、アルコキシル基等の連結基を1つ以上導入したもの、親水基として、カルボン酸、スルホン酸、硫酸エステル、リン酸、リン酸エステル、アミノ酸からなるものを使用できる。
多糖類としては、アルギン酸、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、カードラン、プルラン、キサンタンガム、カラギナン、ジェランガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、タマリンド、サイリウム等を使用できる。
水溶性高分子としては、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリスチレンスルホン酸等を使用できる。
界面活性剤としては、疎水基として脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基を有し、またそれら疎水基内にエステル、エーテル、アミド等の結合基、アシル基、アルコキシル基等の連結基を1つ以上導入したもの、親水基として、カルボン酸、スルホン酸、硫酸エステル、リン酸、リン酸エステル、アミノ酸からなるものを使用できる。
多糖類としては、アルギン酸、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、カードラン、プルラン、キサンタンガム、カラギナン、ジェランガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、タマリンド、サイリウム等を使用できる。
水溶性高分子としては、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリスチレンスルホン酸等を使用できる。
<研磨対象物>
本発明において、このような研磨液を使用して研磨する研磨対象物は、非酸化物単結晶基板である。非酸化物単結晶基板としては、SiC単結晶基板やGaN単結晶基板のような化合物半導体基板が挙げられる。特に、SiC単結晶基板やGaN単結晶基板のような、修正モース硬度が10以上の単結晶基板の被研磨面を、前記研磨液を使用して研磨することで、研磨速度向上の効果をよりいっそう上げることができる。
本発明において、このような研磨液を使用して研磨する研磨対象物は、非酸化物単結晶基板である。非酸化物単結晶基板としては、SiC単結晶基板やGaN単結晶基板のような化合物半導体基板が挙げられる。特に、SiC単結晶基板やGaN単結晶基板のような、修正モース硬度が10以上の単結晶基板の被研磨面を、前記研磨液を使用して研磨することで、研磨速度向上の効果をよりいっそう上げることができる。
<研磨方法>
本発明の研磨方法においては、公知の研磨パッドを使用し、この研磨パッドに前記した研磨液を供給しながら、研磨対象物である非酸化物単結晶基板の被研磨面と研磨パッドとを接触させ、両者間の相対運動により研磨を行う。研磨パッドとしては、砥粒を内包しないパッドの使用が好ましい。
本発明の研磨方法においては、公知の研磨パッドを使用し、この研磨パッドに前記した研磨液を供給しながら、研磨対象物である非酸化物単結晶基板の被研磨面と研磨パッドとを接触させ、両者間の相対運動により研磨を行う。研磨パッドとしては、砥粒を内包しないパッドの使用が好ましい。
<マンガン酸化物の除去方法>
本発明においては、研磨に使用された研磨液(使用研磨液)を回収し、回収した研磨液(回収研磨液)中のマンガン酸化物を除去した後、この除去後の研磨液を再び研磨パッドに供給して、研磨に使用する。
本発明においては、研磨に使用された研磨液(使用研磨液)を回収し、回収した研磨液(回収研磨液)中のマンガン酸化物を除去した後、この除去後の研磨液を再び研磨パッドに供給して、研磨に使用する。
本発明の研磨方法では、使用研磨液を再供給する態様の違いにより、(i)連続循環方式と、(ii)バッチ方式との2つの態様がある。(i)連続循環方式は、使用研磨液の回収から研磨パッドへの再供給までを連続的に行い、研磨液を、その回収部と研磨パッドへの再供給部との間を循環させる方式である。また、(ii)バッチ方式は、回収研磨液を一定時間タンクに保管した後、研磨パッドに供給して再使用する方式である。
そして、それぞれの態様において、使用研磨液中のマンガン酸化物を除去する方法として、以下の方法を挙げることができる。
そして、それぞれの態様において、使用研磨液中のマンガン酸化物を除去する方法として、以下の方法を挙げることができる。
使用研磨液の再供給において、(i)連続循環方式を採る研磨態様においては、使用研磨液の回収部から研磨パッドへの再供給部までの循環ラインの途中に、所定の孔径のフィルタを設置し、使用研磨液を連続的に(I)ろ過(フィルタリング)する方法で、マンガン酸化物を除去することができる。フィルタとしては、例えばメンブレンフィルタやデプスフィルタ等が挙げられる。この方法により、研磨作業および研磨液の循環を停止することなく、使用研磨液中のマンガン酸化物を除去することができる。
ここで、フィルタの設置位置は、循環ラインの中間に貯留または保管のためのタンク等が設けられている場合、保管時の過マンガン酸イオンの還元を抑制する観点から、使用研磨液の回収部からタンクまでの間が好ましく、タンクの入口にフィルタを設置するのがより好ましい。
なお、通常の研磨作業中は連続循環方式で研磨液が循環されている場合でも、研磨パッド交換作業や研磨装置のクリーニング等により一時的に作業を停止する場合は、使用研磨液は専用のタンク内等で一定時間保管される。この場合、タンク内に保管された使用研磨液については、後述するバッチ方式での除去方法を用いて、マンガン酸化物を除去することが好ましい。
なお、通常の研磨作業中は連続循環方式で研磨液が循環されている場合でも、研磨パッド交換作業や研磨装置のクリーニング等により一時的に作業を停止する場合は、使用研磨液は専用のタンク内等で一定時間保管される。この場合、タンク内に保管された使用研磨液については、後述するバッチ方式での除去方法を用いて、マンガン酸化物を除去することが好ましい。
使用研磨液の再供給において、(ii)バッチ方式を採る態様においては、使用研磨液中のマンガン酸化物を、(I)ろ過、(II)沈降分離、(III)遠心分離および(IV)限外ろ過から選択される少なくとも1種の方法で除去することが好ましい。
ここで、(I)ろ過の方法は、タンク内の使用研磨液を別タンクへ送液する際に、前記フィルタを用いて、液中のマンガン酸化物を除去する方法である。
(II)沈降分離は、使用研磨液をタンク内に静置してマンガン酸化物を沈降させ、上澄み液を取り出す方法である。
(III)遠心分離は、タンク内の使用研磨液に遠心処理を施し、マンガン酸化物を沈降させて上澄み液を取り出す方法である。
(IV)限外ろ過は、粒径が1nmから1μmの微細な粒子を、粒の大きさに対応した多孔性の高分子膜によりろ過する方法である。
ここで、(I)ろ過の方法は、タンク内の使用研磨液を別タンクへ送液する際に、前記フィルタを用いて、液中のマンガン酸化物を除去する方法である。
(II)沈降分離は、使用研磨液をタンク内に静置してマンガン酸化物を沈降させ、上澄み液を取り出す方法である。
(III)遠心分離は、タンク内の使用研磨液に遠心処理を施し、マンガン酸化物を沈降させて上澄み液を取り出す方法である。
(IV)限外ろ過は、粒径が1nmから1μmの微細な粒子を、粒の大きさに対応した多孔性の高分子膜によりろ過する方法である。
なお、使用研磨液中では、マンガン酸化物の存在により過マンガン酸イオンが還元される分解反応が促進されて、さらにマンガン酸化物の生成および研磨液のpH上昇が進行するので、(II)沈降分離、(III)遠心分離および(IV)限外ろ過のいずれの方法も、保管の初期にできるだけ早く行うことが好ましい。
<研磨装置>
本発明の研磨方法に使用可能な研磨装置の一例を、図1に示す。図1では、研磨に使用した研磨液を回収し、回収した研磨液を循環させて研磨パッドに再び供給する、上記(i)連続循環方式の態様に使用される液循環方式の研磨装置について説明する。
本発明の研磨方法に使用可能な研磨装置の一例を、図1に示す。図1では、研磨に使用した研磨液を回収し、回収した研磨液を循環させて研磨パッドに再び供給する、上記(i)連続循環方式の態様に使用される液循環方式の研磨装置について説明する。
この液循環方式の研磨装置10は、研磨対象物1である非酸化物単結晶基板を保持する研磨ヘッド2と、研磨定盤3と、研磨定盤3の表面に貼り付けられた研磨パッド4と、研磨液5を貯留するタンク6と、タンク6から研磨液供給手段(図示せず)を用いて、研磨パッド4に研磨液5を供給する研磨液供給配管7とを備えている。
この研磨装置10においては、研磨液供給配管7から研磨剤5を供給しながら、研磨ヘッド2に保持された研磨対象物1の被研磨面を研磨パッド4に接触させ、研磨ヘッド2と研磨定盤3とを相対的に回転運動させて研磨を行うように構成されている。
また、研磨に使用した研磨液5を研磨パッド4から回収する回収手段(図示せず)を有し、回収した研磨液5が回収液輸送配管8を通ってタンク6に送り込まれる構成となっている。そして、回収液輸送配管8の途中には、所定の孔径のフィルタ9が設置され、輸送される研磨液5中のマンガン酸化物がフィルタ9でろ過されて除去されるように構成されている。
フィルタ9によりマンガン酸化物が除去され、タンク6に送り込まれた研磨液5は、研磨液供給手段により研磨液供給配管7を経て研磨パッド4上に再び供給される。研磨液5は、このようにして循環使用される。
フィルタ9によりマンガン酸化物が除去され、タンク6に送り込まれた研磨液5は、研磨液供給手段により研磨液供給配管7を経て研磨パッド4上に再び供給される。研磨液5は、このようにして循環使用される。
このような研磨装置10を用いて、研磨対象物1の被研磨面の研磨を行うことができる。ここで、図1に示す研磨装置10は、研磨対象物の片面を被研磨面として研磨する装置であるが、例えば、研磨対象物1の上下面に研磨パッド10を配した構造とし、研磨対象物1の両面を研磨することも可能である。
研磨パッド4としては、不織布、発泡ポリウレタン等の多孔質樹脂等からなる公知のものを使用できる。砥粒を含有しないものが好ましい。また、研磨パッド4への研磨液5の供給を促進し、あるいは研磨パッド4に研磨液5が一定量溜まるようにするために、研磨パッド4の表面に格子状、同心円状、らせん状などの溝加工が施されていてもよい。さらに、必要により、パッドコンディショナーを研磨パッド4の表面に接触させて、研磨パッド4表面のコンディショニングを行いながら研磨してもよい。
研磨ヘッド2は、回転運動だけでなく直線運動をしてもよい。また、研磨定盤3および研磨パッド4は、研磨対象物1と同程度またはそれ以下の大きさであってもよい。その場合は、研磨ヘッド2と研磨定盤3とを相対的に移動させることにより、研磨対象物1の被研磨面の全面を研磨できるようにすることが好ましい。さらに、研磨定盤3および研磨パッド4は回転運動を行なうものでなくてもよく、例えばベルト式で一方向に移動するものであってもよい。
このような研磨装置10の研磨条件には特に制限はないが、研磨ヘッド2に荷重をかけて研磨パッド4に押しつけることで、より研磨圧力を高め、研磨速度を向上させることも可能である。研磨圧力は5〜80kPa程度が好ましく、研磨対象物1の被研磨面内における研磨速度の均一性、平坦性、スクラッチ等の研磨欠陥防止の観点から、10〜50kPa程度がより好ましい。研磨定盤3および研磨ヘッド2の回転数は、50〜500rpm程度が好ましいがこれに限定されない。また、研磨液5の供給量については、被研磨面構成材料や研磨液の組成、上記研磨条件等により適宜調整され選択される。
このように構成される研磨装置10を使用することで、研磨液5中に存在する過マンガン酸イオンの還元反応によって生じたマンガン酸化物が、研磨液5の循環ルートの途中で除去されるので、回収された研磨液中での過マンガン酸イオンの還元反応が抑えられて、過マンガン酸イオンの濃度の減少およびpHの上昇が抑制される結果、pHの上昇等による研磨速度の低下が抑えられる。したがって、炭化ケイ素単結晶基板等の非酸化物単結晶基板を、高い研磨速度でかつ被研磨面の高い平滑性と低スクラッチ性を長時間維持して研磨することができる。
本発明の研磨方法には、図2に示すような、研磨液をバッチ式で供給するように構成した研磨装置20を用いることもできる。図2に示す研磨装置において、図1に示す研磨装置と同じ構成の部分には、同一符号を付して説明を省略する。
図2に示す液バッチ供給式の研磨装置20では、回収手段により回収され回収液輸送配管8を通ってタンク6に送り込まれた研磨液5は、前記した(I)ろ過、(II)沈降分離、(III)遠心分離および(IV)限外ろ過から選択される少なくとも1種の方法で、液中のマンガン酸化物が除去される。なお、回収液輸送配管8の途中に、所定の孔径のフィルタを設置し、輸送される研磨液5中のマンガン酸化物をフィルタにより除去するようにしてもよい。このようにフィルタを設置した場合、タンク6内に送り込まれた研磨液5に対するマンガン酸化物の除去は、行わなくてもよいが、マンガン酸化物の除去をより完全に行うには、フィルタによる除去と前記(II)沈降分離、(III)遠心分離および(IV)限外ろ過から選択される少なくとも1種の除去手段を組み合わせて行うこともできる。
こうしてマンガン酸化物が除去された研磨液5は、保管タンク内等で所定の時間保管された後、研磨パッド4に再び供給される。
こうしてマンガン酸化物が除去された研磨液5は、保管タンク内等で所定の時間保管された後、研磨パッド4に再び供給される。
以下、本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
以下の例において、pHの測定は、横河電機社製のpH81−11を使用し、20℃±2℃で測定した。
以下の例において、pHの測定は、横河電機社製のpH81−11を使用し、20℃±2℃で測定した。
[実験例]
まず、過マンガン酸イオンと水を含む研磨液を調製し、研磨液中の過マンガン酸イオンの濃度および研磨液のpHと、研磨速度との関係を調べた。
まず、過マンガン酸イオンと水を含む研磨液を調製し、研磨液中の過マンガン酸イオンの濃度および研磨液のpHと、研磨速度との関係を調べた。
(研磨液の調製)
過マンガン酸カリウムを純水に加え、撹拌翼を用いて10分間撹拌し、次いでpH調整剤である硝酸を撹拌しながら徐々に添加して、研磨液全体に対する含有割合(濃度;質量%)が、過マンガン酸イオン濃度として、0.8質量%、1.9質量%、3.0質量%および3.8質量%で、pHがいずれも2.1である研磨液a〜dをそれぞれ調製した。
また、同様にして、pHが2.7、3.0および8.0であり、過マンガン酸イオン濃度がいずれも3.8質量%である研磨液e〜gをそれぞれ調製した。なお、pHが8.0である研磨液gは、pH調整剤としてKOHを撹拌しがら徐々に添加して調製した。
過マンガン酸カリウムを純水に加え、撹拌翼を用いて10分間撹拌し、次いでpH調整剤である硝酸を撹拌しながら徐々に添加して、研磨液全体に対する含有割合(濃度;質量%)が、過マンガン酸イオン濃度として、0.8質量%、1.9質量%、3.0質量%および3.8質量%で、pHがいずれも2.1である研磨液a〜dをそれぞれ調製した。
また、同様にして、pHが2.7、3.0および8.0であり、過マンガン酸イオン濃度がいずれも3.8質量%である研磨液e〜gをそれぞれ調製した。なお、pHが8.0である研磨液gは、pH調整剤としてKOHを撹拌しがら徐々に添加して調製した。
(研磨条件)
研磨機としては、研磨定盤の直径が16インチの小型片面研磨装置(MAT社製、製品名:BC−15)を使用した。研磨パッドとしては、SUBA800−XY−groove(ニッタハース社製)を使用し、研磨前にダイヤディスクおよびブラシを用いて、研磨パッドのコンディショニングを行った。
研磨機としては、研磨定盤の直径が16インチの小型片面研磨装置(MAT社製、製品名:BC−15)を使用した。研磨パッドとしては、SUBA800−XY−groove(ニッタハース社製)を使用し、研磨前にダイヤディスクおよびブラシを用いて、研磨パッドのコンディショニングを行った。
研磨液の研磨パッド上への供給速度を0.025L/分、研磨定盤の回転数を90rpm、基板保持部の回転数を90rpm、研磨圧を5psi(34.5kPa)として、研磨液のかけ流し方式で60分間研磨を行った。
(被研磨物)
被研磨物として、ダイヤモンド砥粒を用いて予備研磨処理を行った3インチ径の4H−SiC基板を使用し、主面(0001)がC軸に対して4°+0.5°以内のSiC単結晶基板のSi面側を研磨した。
被研磨物として、ダイヤモンド砥粒を用いて予備研磨処理を行った3インチ径の4H−SiC基板を使用し、主面(0001)がC軸に対して4°+0.5°以内のSiC単結晶基板のSi面側を研磨した。
(研磨速度の測定)
研磨速度は、研磨前後における、単位時間当たりの基板の厚さの変化量(nm/hr)で評価した。具体的には、厚さが既知の未研磨基板の質量と研磨後の基板質量とを測定し、その差から質量変化を求めた。そして、この質量変化から求めた基板の厚さの時間当たりの変化を、下記の式を用いて算出した。
研磨速度は、研磨前後における、単位時間当たりの基板の厚さの変化量(nm/hr)で評価した。具体的には、厚さが既知の未研磨基板の質量と研磨後の基板質量とを測定し、その差から質量変化を求めた。そして、この質量変化から求めた基板の厚さの時間当たりの変化を、下記の式を用いて算出した。
(研磨速度(V)の計算式)
Δm=m0−m1
V=Δm/m0 × T0 × 60/t
(式中、Δm(g)は研磨前後の質量変化、m0(g)は未研磨基板の質量、m1(g)は研磨後基板の質量、Vは研磨速度(nm/hr)、T0は未研磨基板の厚さ(nm)、tは研磨時間(min)を表す。)
Δm=m0−m1
V=Δm/m0 × T0 × 60/t
(式中、Δm(g)は研磨前後の質量変化、m0(g)は未研磨基板の質量、m1(g)は研磨後基板の質量、Vは研磨速度(nm/hr)、T0は未研磨基板の厚さ(nm)、tは研磨時間(min)を表す。)
(実験結果)
pH2.1で過マンガン酸イオン濃度が異なる研磨液a〜dを使用し、前記研磨条件でかけ流し研磨を行った結果、表1に示す研磨速度が得られた。この測定結果を図3に示す。
また、過マンガン酸イオン濃度が3.8質量%でpHが異なる研磨液d〜gを使用し、前記研磨条件でかけ流し研磨を行った結果、表2に示す研磨速度が得られた。この測定結果を図4に示す。
pH2.1で過マンガン酸イオン濃度が異なる研磨液a〜dを使用し、前記研磨条件でかけ流し研磨を行った結果、表1に示す研磨速度が得られた。この測定結果を図3に示す。
また、過マンガン酸イオン濃度が3.8質量%でpHが異なる研磨液d〜gを使用し、前記研磨条件でかけ流し研磨を行った結果、表2に示す研磨速度が得られた。この測定結果を図4に示す。
表1および図3から、同一のpHの研磨液を使用して研磨を行った場合、研磨液中の過マンガン酸イオン濃度が高いほど、研磨速度が高いことがわかる。
また、表2および図4から、過マンガン酸イオン濃度が同じ研磨液を使用して研磨を行った場合、研磨液のpHが低いほど研磨速度が高いことがわかる。
また、表2および図4から、過マンガン酸イオン濃度が同じ研磨液を使用して研磨を行った場合、研磨液のpHが低いほど研磨速度が高いことがわかる。
[実施例]
(研磨液の調製)
前記実験例における研磨液の調製方法と同様にして、過マンガン酸イオン濃度が3.8質量%でpHが2.1の研磨液を調製した。
(研磨液の調製)
前記実験例における研磨液の調製方法と同様にして、過マンガン酸イオン濃度が3.8質量%でpHが2.1の研磨液を調製した。
(循環研磨の条件)
この研磨液を図1に示す循環研磨装置に使用し、前記かけ流し研磨と同様な3インチ径の4H−SiC基板に対し、以下に示す条件で循環研磨を行った。
研磨液の研磨パッド上への供給速度;0.4L/分
タンク内に貯留された研磨液量;2000L
研磨定盤の回転数;90rpm
基板保持部の回転数;90rpm
研磨圧;5psi(34.5kPa)
なお、研磨時間は累積で17時間とした。また、SiC基板の研磨量(厚さ)は、累積で約16μmであった。
この研磨液を図1に示す循環研磨装置に使用し、前記かけ流し研磨と同様な3インチ径の4H−SiC基板に対し、以下に示す条件で循環研磨を行った。
研磨液の研磨パッド上への供給速度;0.4L/分
タンク内に貯留された研磨液量;2000L
研磨定盤の回転数;90rpm
基板保持部の回転数;90rpm
研磨圧;5psi(34.5kPa)
なお、研磨時間は累積で17時間とした。また、SiC基板の研磨量(厚さ)は、累積で約16μmであった。
このような循環研磨を行った後タンク内に貯留された研磨液に対して、遠心分離機(株式会社コクサン社製、製品名:H−103N)を用いて、回転数3000rpmで15分間の遠心分離処理を行い、循環研磨中に過マンガン酸イオンの還元により生成したマンガン酸化物を除去した。その後、マンガン酸化物除去後の研磨液に、硝酸を撹拌しながら徐々に添加し、pHを2.1に調整した。このpH調整済みの研磨液を、密閉した硝子容器に入れて、大気中室温で保管した。そして、保管開始時、および7日、14日、26日、35日の各保管日数後の、研磨液のpHと過マンガン酸イオン濃度をそれぞれ測定した。測定結果を表3に示す。
なお、過マンガン酸イオン濃度の測定は、以下に示す方法で行った。
なお、過マンガン酸イオン濃度の測定は、以下に示す方法で行った。
(研磨液中の過マンガン酸イオン濃度の測定)
過マンガン酸イオン濃度が3.8質量%、1.9質量%、0.8質量%の各研磨液に純水を添加して2000倍に希釈し、この希釈研磨液の波長530nmの光に対する吸光度を、光電比色計(OPTIMA製、製品名:AC−114)を用いて測定した。こうして測定した結果を用いて、過マンガン酸イオン濃度と前記吸光度との関係を示す検量線を作成した。そして、この検量線を用いて、測定した吸光度から研磨液中の過マンガン酸イオン濃度を調べた。
過マンガン酸イオン濃度が3.8質量%、1.9質量%、0.8質量%の各研磨液に純水を添加して2000倍に希釈し、この希釈研磨液の波長530nmの光に対する吸光度を、光電比色計(OPTIMA製、製品名:AC−114)を用いて測定した。こうして測定した結果を用いて、過マンガン酸イオン濃度と前記吸光度との関係を示す検量線を作成した。そして、この検量線を用いて、測定した吸光度から研磨液中の過マンガン酸イオン濃度を調べた。
[比較例]
循環研磨に使用した研磨液に対して、遠心分離機によるマンガン酸化物除去の処理を行わず、そのまま硝酸を添加しpHを2.1に調整した。このpH調整済みの研磨液を、実施例と同様に保管し、保管開始時、および7日、14日、26日、35日の各保管日数後の、研磨液のpHと過マンガン酸イオン濃度をそれぞれ実施例と同様にして測定した。測定結果を表4に示す。
循環研磨に使用した研磨液に対して、遠心分離機によるマンガン酸化物除去の処理を行わず、そのまま硝酸を添加しpHを2.1に調整した。このpH調整済みの研磨液を、実施例と同様に保管し、保管開始時、および7日、14日、26日、35日の各保管日数後の、研磨液のpHと過マンガン酸イオン濃度をそれぞれ実施例と同様にして測定した。測定結果を表4に示す。
表3および表4から、以下のことがわかる。すなわち、マンガン酸化物除去の処理を行わず、マンガン酸化物を含んだまま保管した比較例の研磨液は、保管日数の増加とともに、過マンガン酸イオンの還元によって過マンガン酸イオンの濃度が低下する。また、過マンガン酸イオンの還元反応により、研磨液のpHが上昇してくる。これに対して、マンガン酸化物の除去を行った実施例の研磨液では、保管日数を重ねても過マンガン酸イオン濃度に変化がなく、pHの上昇も大幅に抑制されていることがわかる。
そして、過マンガン酸イオンと水とを含み、砥粒を含有しない研磨液において、前記実験例で得られた図3および図4のグラフから、同一のpHで過マンガン酸イオン濃度が高いほど研磨速度が高く、また過マンガン酸イオン濃度が同じ研磨液ではpHが低いほど研磨速度が高いこと確かめられているので、実施例では、循環研磨に使用された研磨液中のマンガン酸化物を除去することで、保管中の過マンガン酸イオンの還元による過マンガン酸イオンの濃度低下が抑制されるとともに、研磨液のpH上昇が抑制されており、高い研磨速度が可能であることがわかる。
本発明によれば、非酸化物単結晶基板、特にSiC単結晶基板等の硬度が高く化学的安定性の高い化合物半導体基板の研磨において、研磨液中の過マンガン酸イオンの還元により生成するマンガン酸化物を除去することで、高い研磨速度を維持しつつ、研磨液を長時間使用することができる。したがって、非酸化物単結晶基板の生産性の向上に寄与するところが大きい。
1…研磨対象物、2…研磨ヘッド、3…研磨定盤、4…研磨パッド、5…研磨液、6…タンク、7…研磨液供給配管、8…回収液輸送配管、9…フィルタ、10…液循環方式の研磨装置、20…液バッチ供給式の研磨装置。
Claims (7)
- 過マンガン酸イオンと水を含み砥粒を含まない研磨液を研磨パッドに供給し、非酸化物単結晶基板の被研磨面と前記研磨パッドとを接触させ、両者間の相対運動により研磨する方法であり、
前記研磨パッドに供給され研磨に使用された研磨液を回収し、回収した研磨液中の、前記過マンガン酸イオンの還元により生成したマンガン酸化物を除去した後、この研磨液を再び前記研磨パッドに供給することを特徴とする非酸化物単結晶基板の研磨方法。 - 研磨に使用された前記研磨液を回収し、回収した研磨液を、該研磨液中の前記マンガン酸化物を除去した後再び研磨パッドに供給する操作を繰り返し行い、研磨液を連続的に循環させることを特徴とする請求項1に記載の非酸化物単結晶基板の研磨方法。
- 前記研磨パッドは砥粒を含有しない、請求項1または2に記載の非酸化物単結晶基板の研磨方法。
- 回収した前記研磨液中のマンガン酸化物の除去を、ろ過、沈降分離、遠心分離および限外ろ過から選択される少なくとも1種の処理方法により行う、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非酸化物単結晶基板の研磨方法。
- 前記研磨パッド上で研磨に供される時点での前記研磨液のpHは5以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非酸化物単結晶基板の研磨方法。
- 前記研磨パッドに供給される前記研磨液中の前記過マンガン酸イオンの含有割合は、0.05質量%以上5質量%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の非酸化物単結晶基板の研磨方法。
- 前記非酸化物単結晶基板は、炭化ケイ素単結晶基板または窒化ガリウム単結晶基板である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の非酸化物単結晶基板の研磨方法。
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KR20170094213A (ko) * | 2014-12-15 | 2017-08-17 | 신에쯔 한도타이 가부시키가이샤 | 실리콘 웨이퍼의 연마방법 |
-
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