JP2008123884A - 水素分離膜−電解質膜接合体およびそれを備えた燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 界面剥離を抑制することができる水素分離膜−電解質膜接合体およびそれを備えた燃料電池を提供する。
【解決手段】 水素分離膜−電解質膜接合体(100)は、第1金属元素を含み、水素透過性を有する水素分離膜(10)と、プロトン伝導性を有する電解質膜(30)と、第2金属元素を含有し、水素分離膜と電解質膜との間に配置された中間層(20)とを備え、第2金属元素は、第1金属元素の電気陰性度と電解質膜に含まれるいずれかの還元元素の電気陰性度との間の電気陰性度を有することを特徴とする。中間層を構成する金属が水素分離膜を構成する金属の電気陰性度と電解質膜を構成するいずれかの還元元素の電気陰性度との間の電気陰性度を有することから、水素分離膜と電解質膜との間における結合電子の偏りを抑制することができる。その結果、水素分離膜と電解質膜との剥離を抑制することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 水素分離膜−電解質膜接合体(100)は、第1金属元素を含み、水素透過性を有する水素分離膜(10)と、プロトン伝導性を有する電解質膜(30)と、第2金属元素を含有し、水素分離膜と電解質膜との間に配置された中間層(20)とを備え、第2金属元素は、第1金属元素の電気陰性度と電解質膜に含まれるいずれかの還元元素の電気陰性度との間の電気陰性度を有することを特徴とする。中間層を構成する金属が水素分離膜を構成する金属の電気陰性度と電解質膜を構成するいずれかの還元元素の電気陰性度との間の電気陰性度を有することから、水素分離膜と電解質膜との間における結合電子の偏りを抑制することができる。その結果、水素分離膜と電解質膜との剥離を抑制することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、水素分離膜−電解質膜接合体およびそれを備えた燃料電池に関する。
燃料電池は、一般的には水素および酸素を燃料として電気エネルギを得る装置である。この燃料電池は、環境面において優れており、また高いエネルギ効率を実現できることから、今後のエネルギ供給システムとして広く開発が進められてきている。
燃料電池のうち固体の電解質を用いたものには、固体高分子型燃料電池、固体酸化物型燃料電池、水素分離膜電池等がある。ここで、水素分離膜電池とは、緻密な水素分離膜を備えた燃料電池である。緻密な水素分離膜は水素透過性を有する金属によって形成される層であり、アノードとしても機能する。水素分離膜電池は、この水素分離膜上にプロトン伝導性を有する電解質が積層された構造をとっている(例えば、特許文献1参照)。水素分離膜に供給された水素はプロトンに変換され、プロトン伝導性の電解質中を移動し、カソードにおいて酸素と結合して発電が行われる。
この水素分離膜電池においては、水素分離膜が金属からなり電解質膜が固体酸化物からなる場合には、水素分離膜と電解質膜との界面の結合強度が弱くなる場合がある。その結果、界面剥離が生じるおそれがある。
本発明は、界面剥離を抑制することができる水素分離膜−電解質膜接合体およびそれを備えた燃料電池を提供することを目的とする。
本発明に係る水素分離膜−電解質膜接合体は、第1金属元素を含み、水素透過性を有する水素分離膜と、プロトン伝導性を有する電解質膜と、第2金属元素を含有し、水素分離膜と電解質膜との間に配置された中間層とを備え、第2金属元素は、第1金属元素の電気陰性度と電解質膜に含まれるいずれかの還元元素の電気陰性度との間の電気陰性度を有することを特徴とするものである。本発明に係る水素分離膜−電解質膜接合体においては、中間層を構成する金属が水素分離膜を構成する金属の電気陰性度と電解質膜を構成するいずれかの還元元素の電気陰性度との間の電気陰性度を有することから、水素分離膜と電解質膜との間における結合電子の偏りを抑制することができる。その結果、水素分離膜と電解質膜との剥離を抑制することができる。
上記構成において、中間層は、第2金属元素からなる金属層または第2金属元素の酸化物からなる金属酸化物層であってもよい。上記構成において、電解質膜は、プロトン伝導性を有する金属酸化物からなるものであってもよく、組成式AB(1−x)MxO3によって表されるペロブスカイト型の金属酸化物であってもよい。
上記構成において、電解質膜に含まれる還元元素は、組成式AB(1−x)MxO3のAサイト、Bサイトまたは金属Mであってもよい。この場合、第2金属元素は、AサイトおよびBサイトの両方の電気陰性度と第1金属元素の電気陰性度との間の電気陰性度を有するものであることが好ましい。この構成によれば、水素分離膜と電解質膜との間における結合電子の偏りを抑制することができる。さらに、第2金属元素は、Aサイト、Bサイトおよび金属Mの電気陰性度と第1金属元素の電気陰性度を有するものであることがより好ましい。この構成によれば、水素分離膜と電解質膜との間における結合電子の偏りを、水素分離膜と電解質膜との界面全体において抑制することができる。
上記構成において、水素分離膜は、複数の金属元素からなる合金であり、第1金属元素は、複数の金属元素のいずれかであってもよい。この場合、第2金属元素は、合金を構成する複数の金属元素の電気陰性度と還元元素の電気陰性度との間の電気陰性度を有するものであることが好ましい。この構成によれば、水素分離膜と電解質膜との間における結合電子の偏りをより抑制することができる。
上記構成において、中間層は、水素透過性を有するものであることが好ましい。この構成によれば、水素透過性を維持しつつ、結合電子の偏りを抑制することができる。
上記構成において、中間層は、複数の層からなり、複数の層に含まれる各金属元素は、第1金属元素の電気陰性度と還元元素の電気陰性度との間の電気陰性度を有し、複数の層は、複数の層に含まれる各金属元素の電気陰性度が第1金属元素の電気陰性度から還元元素の電気陰性度にかけて順次並ぶように配置されているものであってもよい。この場合、隣り合う層を構成する元素間の電気陰性度差が小さくなる。それにより、水素分離膜と電解質膜との間における結合電子の偏りをより緩和することができる。そのため、水素分離膜と電解質膜との剥離をより抑制することができる。
本発明に係る燃料電池は、請求項1〜11のいずれかに記載の水素分離膜―電解質膜接合体と、電解質膜の水素分離膜と反対側の面に形成されたカソードとを備えることを特徴とするものである。本発明に係る燃料電池においては、請求項1〜11のいずれかに記載の水素分離膜−電解質膜接合体を使用しているため、水素分離膜と電解質膜との剥離が抑制される。その結果、燃料電池の発電効率低下または発電不能を抑制することができる。
本発明によれば、水素分離膜と電解質膜との界面剥離を抑制することができる水素分離膜−電解質膜接合体およびそれを備えた燃料電池を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施例に係る水素分離膜−電解質膜接合体100の模式的断面図である。図1に示すように、水素分離膜−電解質膜接合体100は、水素分離膜10上に中間層20および電解質膜30が順に形成された構造を有する。水素分離膜10は、水素透過性金属からなり、電解質膜30を支持および補強する支持体として機能する。本実施例においては、水素分離膜10は、パラジウム(Pd)からなる。水素分離膜10の膜厚は、特に限定されないが、例えば20μm程度である。
電解質膜30は、AB(1−x)MxO3構造を有するペロブスカイト型のプロトン伝導性電解質からなる。すなわち、電解質膜30は、Bサイトの一部が金属Mによって置換されたペロブスカイトからなる。なお、Mは+4価よりも小さい価数を有するドープ金属である。また、xは0<x<1を満たす値である。本実施例においては、電解質膜30は、SrZr(1−x)InxO3である(Sr:ストロンチウム、Zr:ジルコニウム、In:インジウム)。また、電解質膜30の膜厚は、特に限定されないが、例えば1μm程度である。電解質膜30の成膜方法としては、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)等の方法を用いることができる。
中間層20は、水素分離膜10に含まれる金属元素の電気陰性度と電解質膜30に含まれるいずれかの還元元素の電気陰性度との間の電気陰性度を有する金属層からなる。ここで、還元元素とは、酸素等によって酸化される金属または半金属元素のことをいう。本実施例においては、Sr、ZrまたはInが還元元素に相当する。また、水素分離膜10を構成するPdの電気陰性度は、2.20である。また、電解質膜30を構成するSrの電気陰性度は、0.95であり、Zrの電気陰性度は、1.33であり、Inの電気陰性度は、1.78である。したがって、本実施例においては、中間層20を構成する金属は、0.95と2.20との間の電気陰性度を有していればよい。例えば、中間層20を構成する金属としては、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、コバルト(Co)等が挙げられる。なお、Mnの電気陰性度は、1.55であり、Crの電気陰性度は、1.66であり、Coの電気陰性度は、1.88である。
中間層20の厚さは、中間層20における水素透過に支障がない程度であり、例えば数nm程度である。なお、中間層20は層状であってもよく、島状であってもよい。中間層20の成層方法としては、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)等の方法を用いることができる。
このように、中間層20を構成する金属が水素分離膜10を構成する金属の電気陰性度と電解質膜30を構成するいずれかの還元元素の電気陰性度との間の電気陰性度を有することから、水素分離膜10と電解質膜30との間における結合電子の偏りを抑制することができる。その結果、水素分離膜10と電解質膜30との剥離を抑制することができる。
以下、この原理について説明する。水素分離膜10を構成する金属の電気陰性度と電解質膜30を構成する還元元素の電気陰性度とが異なる場合、水素分離膜10と電解質膜30との間の結合電子は電気陰性度の大きい元素側に引き寄せられる。特に、上記電気陰性度差が大きい場合には、結合電子は電気陰性度の大きい元素側に偏って分布する。この場合、水素分離膜10と電解質膜30との界面における結合力が低下する。それにより、水素分離膜10と電解質膜30との剥離が生じやすくなる。
したがって、水素分離膜10と電解質膜30との間における結合電子の偏りを抑制することによって、水素分離膜10と電解質膜30との界面における結合力低下を抑制することができる。この場合、水素分離膜10と電解質膜30との剥離を抑制することができる。
本実施例においては、水素分離膜10を構成する金属と中間層20を構成する金属との電気陰性度差は、水素分離膜10を構成する金属と電解質膜30を構成する還元元素との電気陰性度差に比較して小さくなっている。したがって、水素分離膜10と中間層20との間における結合電子の偏りを抑制することができる。
また、中間層20を構成する金属と電解質膜30を構成する還元元素との電気陰性度差は、水素分離膜10を構成する金属と電解質膜30を構成する還元元素との電気陰性度差に比較して小さくなっている。したがって、中間層20と電解質膜30との間における結合電子の偏りを抑制することができる。以上のことから、中間層20が設けられていない場合に比較して、水素分離膜10と電解質膜30との間における結合電子の偏りを抑制することができる。その結果、水素分離膜10と電解質膜30との剥離を抑制することができる。
例えば、水素分離膜10を構成するPdの電気陰性度と電解質膜30を構成するSrの電気陰性度との差は、1.25である。一方、中間層20としてMnを用いた場合、Pdの電気陰性度とMnの電気陰性度との差は、0.65であり、Mnの電気陰性度とSrの電気陰性度との差は、0.60である。したがって、中間層20を設けることによって、水素分離膜10と電解質膜30との間における結合電子の偏りを抑制することができる。
なお、中間層20を構成する金属は、水素分離膜10を構成する金属の電気陰性度と電解質膜30のAサイトおよびBサイトの両方の電気陰性度との間の電気陰性度を有していることが好ましい。水素分離膜10と電解質膜30との間における結合電子の偏りを、より抑制することができるからである。本実施例においては、例えば、Mn、Cr、Co等がこの条件を満足する。
また、中間層20を構成する金属は、水素分離膜10を構成する金属の電気陰性度と電解質膜30のAサイト、Bサイトおよびドープ金属Mの電気陰性度との間の電気陰性度を有していることが好ましい。水素分離膜10と電解質膜30との間における結合電子の偏りを、水素分離膜10と電解質膜30との界面全体において抑制することができるからである。本実施例においては、例えば、Co等がこの条件を満足する。
ここで、中間層20として、電解質膜30を構成するいずれかの還元元素を用いることも考えられる。具体的には、例えば、電解質膜30を構成するSrを中間層20として用いれば、電解質膜30と中間層20との界面において結合電子の偏りが生じにくくなる。この場合、電解質膜30と中間層20との界面剥離が抑制される。
しかしながら、この場合、中間層20を構成するSrと水素分離膜10を構成するPdとの電気陰性度の差は、低減されていない。したがって、中間層20と水素分離膜10との界面において電子の偏りによる界面剥離が生じ易くなる。本実施例においては、電解質膜30と中間層20との界面剥離と、中間層20と水素分離膜10との界面剥離との両方を抑制することができる。
なお、中間層20は、水素透過性を有するものであることが好ましい。この構成によれば、水素透過性を維持しつつ、結合電子の偏りを抑制することができるからである。例えば、バナジウム(V)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)等を中間層20として用いることができる。なお、Vの電気陰性度は、1.63であり、Tiの電気陰性度は、1.54であり、Taの電気陰性度は、1.50である。
本実施例においては、水素分離膜10を構成するPdが第1金属元素に相当し、電解質膜30を構成するSr、Zr、Inのいずれかが還元元素に相当し、中間層20を構成する金属が第2金属元素に相当する。
続いて、本発明の第2実施例に係る水素分離膜−電解質膜接合体100aについて説明する。図2は、水素分離膜−電解質膜接合体100aの模式的断面図である。図2に示すように、水素分離膜−電解質膜接合体100aが図1の水素分離膜−電解質膜接合体100と異なる点は、中間層20の代わりに中間層20aが設けられている点である。なお、その他の構成は実施例1と同じであるため説明を省略する。
中間層20aは、水素分離膜10を構成する金属元素の電気陰性度と電解質膜30を構成するいずれかの還元元素の電気陰性度との間の電気陰性度を有する金属の酸化物層からなる。本実施例においては、例えば、MnO2、Cr2O3、CoO等を中間層20aとして用いることができる。この場合、実施例1と同様に、水素分離膜10と電解質膜30との間における結合電子の偏りを抑制することができる。その結果、水素分離膜10と電解質膜30との剥離を抑制することができる。なお、中間層20aの厚さは、中間層20aにおける水素透過に支障がない程度であり、例えば数nm程度である。なお、中間層20aは層状であってもよく、島状であってもよい。中間層20aの成層方法としては、PVD、CVD等の方法を用いることができる。
続いて、本発明の第3実施例に係る水素分離膜−電解質膜接合体100bについて説明する。図3は、水素分離膜−電解質膜接合体100bの模式的断面図である。図3に示すように、水素分離膜−電解質膜接合体100bが図1の水素分離膜−電解質膜接合体100と異なる点は、水素分離膜10の代わりに水素分離膜10bが設けられている点である。水素分離膜10bは、水素透過性を有する合金からなる。本実施例においては、水素分離膜10bはPd合金からなる。この場合の合金元素としては、例えば、金(Au)、ロジウム(Rh)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、ガリウム(Ga)等を用いることができる。
本実施例においては、中間層20は、水素分離膜10bを構成するいずれかの金属元素の電気陰性度と電解質膜30を構成するいずれかの還元元素の電気陰性度との間の電気陰性度を有する金属層からなる。この場合、実施例1と同様に、水素分離膜10bと電解質膜30との間における結合電子の偏りを抑制することができる。その結果、水素分離膜10bと電解質膜30との剥離を抑制することができる。表1に、各金属元素の電気陰性度を示す。
なお、中間層20を構成する金属は、水素分離膜10bを構成する各合金元素の電気陰性度と、電解質膜30を構成するいずれかの還元元素の電気陰性度との間の電気陰性度を有していることが好ましい。水素分離膜10bと電解質膜30との間における結合電子の偏りを、より抑制することができるからである。例えば、水素分離膜10bがPdおよびAgからなる場合、中間層20を構成する金属は、0.95と1.93との間の電気陰性度を有していることが好ましい。
また、中間層20を構成する金属は、水素分離膜10bを構成する各合金元素の電気陰性度と電解質膜30のAサイトおよびBサイトの両方の電気陰性度との間の電気陰性度を有していることが好ましく、水素分離膜10bを構成する各合金元素の電気陰性度と電解質膜30のAサイト、Bサイトおよびドープ金属Mの電気陰性度との間の電気陰性度を有していることがさらに好ましい。水素分離膜10bと電解質膜30との界面全体において、水素分離膜10bと電解質膜30との間における結合電子の偏りを抑制することができるからである。
なお、水素分離膜−電解質膜接合体100bは、中間層20の代わりに実施例2に係る中間層20aを備えていてもよい。本実施例においては、水素分離膜10bを構成するいずれかの合金元素が第1金属元素に相当する。
続いて、本発明の第4実施例に係る水素分離膜−電解質膜接合体100cについて説明する。図4は、水素分離膜−電解質膜接合体100cの模式的断面図である。図4に示すように、水素分離膜−電解質膜接合体100cが、図1の水素分離膜―電解質膜接合体100と異なる点は、中間層20の代わりに中間層20cが設けられている点である。中間層20cは複数の層から構成されている。中間層20cは、水素分離膜10側に第1中間層40を備え、電解質膜30側に第2中間層50を備える。その他の構成は実施例1と同じであるため説明を省略する。
第1中間層40および第2中間層50は、水素分離膜10に含まれる金属元素の電気陰性度と電解質膜30に含まれるいずれかの還元元素の電気陰性度との間の電気陰性度を有する金属層からなる。第1中間層40および第2中間層50は、例えば、Mn、Cr、Co等から構成される。この場合、実施例1と同様に、水素分離膜10と電解質膜30との間における結合電子の偏りを抑制することができる。その結果、水素分離膜10と電解質膜30との剥離を抑制することができる。なお、第1中間層40および第2中間層50の厚さは、水素透過に支障がない程度であり、例えば数nm程度である。なお、第1中間層40および第2中間層50は層状であってもよく、島状であってもよい。第1中間層40および第2中間層50の成層方法としては、PVD、CVD等の方法を用いることができる。
また、第1中間層40は、水素分離膜10に含まれる金属元素の電気陰性度と第2中間層50に含まれる金属元素の電気陰性度との間の電気陰性度を有する金属層からなり、かつ、第2中間層50は、第1中間層40に含まれる金属元素の電気陰性度と電解質膜30に含まれるいずれかの還元元素の電気陰性度との間の電気陰性度を有する金属層からなることが望ましい。すなわち、第1中間層40および第2中間層50を構成する金属元素の電気陰性度が、水素分離膜10を構成する金属元素の電気陰性度から電解質膜30を構成するいずれかの還元元素の電気陰性度にかけて順次並ぶように、第1中間層40及び第2中間層50が配置されることが望ましい。
すなわち、例えば、第1中間層40を構成する金属元素がCr、第2中間層50を構成する金属元素がMnであれば、水素分離膜10から電解質膜30にかけて、電気陰性度が、2.20、1.66、1.55、0.95と、順次並ぶように構成される。このように中間層が配置されれば、第1中間層40を構成する金属元素がMn、第2中間層50を構成する金属元素がCrと配置される場合に比較して、第1中間層40と水素分離膜10との間および第2中間層50と電解質膜30との間の電気陰性度の差が小さくなる。すなわち、隣り合う層を構成する元素間の電気陰性度差が小さくなる。この結果、水素分離膜10と電解質膜30との間における結合電子の偏りが緩和される。その結果、水素分離膜10と電解質膜30との剥離が抑制される。なお、第1中間層40および第2中間層50は、金属酸化物であってもよい。
なお、中間層20cは、3以上の中間層からなるものであってもよい。この場合においても、各層に含まれる金属元素の電気陰性度が水素分離膜10に含まれる金属元素の電気陰性度と電解質膜30に含まれるいずれかの還元元素の電気陰性度との間の電気陰性度を有していれば本発明の効果が得られる。この場合、各層に含まれる金属元素の電気陰性度が水素分離膜10を構成する金属元素の電気陰性度から電解質膜30を構成するいずれかの還元元素の電気陰性度にかけて順次並ぶように配置されていることが好ましい。
続いて、本発明の第5実施例に係る燃料電池200について説明する。図5は、本実施例に係る燃料電池200の模式的断面図である。図5に示すように、燃料電池200は、実施例1に係る水素分離膜−電解質膜接合体100の電解質膜30の上に、カソード60が形成された構造を有する。本実施例においては、水素分離膜10は、電解質膜30を支持および補強する支持体として機能するとともに、燃料ガスが供給されるアノードとしても機能する。その他の構成は、実施例1と同じであるため、説明を省略する。
続いて、燃料電池200の動作について説明する。燃料電池200では、まず、水素を含有する燃料ガスが水素分離膜10に供給される。燃料ガス中の水素は、水素分離膜10および中間層20を透過して電解質膜30に到達する。電解質膜30に到達した水素は、プロトンと電子とに解離する。プロトンは、電解質膜30を伝導し、カソード60に到達する。一方、酸素を含有する酸化剤ガスは、カソード60に供給される。カソード60においては、酸化剤ガス中の酸素とカソード60に到達したプロトンとから、水が発生するとともに、電力が発生する。以上の動作により、燃料電池200による発電が行われる。
燃料電池200においては、実施例1に係る水素分離膜−電解質膜接合体100を使用していることから、水素分離膜10と電解質膜30との剥離が抑制される。その結果、燃料電池200の発電効率低下または発電不能を抑制することができる。なお、本実施例においては、電解質膜30のプロトン輸率は、0.9以上であることが好ましい。
なお、実施例1〜5において、水素分離膜10,10bを構成する金属は、Pd以外の水素透過性金属あるいは水素透過性合金でもよい。この場合においても、中間層20,20a,20cが、水素分離膜10,10bに含まれるいずれかの金属元素の電気陰性度と電解質膜30に含まれるいずれかの還元元素の電気陰性度との間の電気陰性度を有する金属を含む金属層または金属酸化物層からなれば、水素分離膜10,10bと電解質膜30との間における結合電子の偏りを抑制することができる。その結果、水素分離膜10,10bと電解質膜30との剥離を抑制することができる。
また、実施例1〜5において、電解質膜30は、SrZr(1−x)InxO3以外の電解質であってもよい。また、電解質膜30は、ペロブスカイトに限定されない。例えば、電解質膜30は、1mol%Sr−CePO4(モナザイト型)、La5.8WO11.7(蛍石型)、Sr3Ca(Zr0.5Ta1.5)O8.75(複合ペロブスカイト型)等の電解質であってもよい。このように、電解質膜30を構成する還元元素は、金属に限定されずリン(P)のような半金属を含んでいてもよい。この場合においても、中間層20,20a,20cが、水素分離膜10,10bに含まれるいずれかの金属元素の電気陰性度と電解質膜30に含まれるいずれかの還元元素の電気陰性度との間の電気陰性度を有する金属を含む金属層または金属酸化物層からなれば、水素分離膜10,10bと電解質膜30との間における結合電子の偏りを抑制することができる。その結果、水素分離膜10,10bと電解質膜30との剥離を抑制することができる。
なお、上記各実施例における電気陰性度は、J.E.Huheey,E.A.Keiter and R.L.Keiter;“Inorganic Chemistry-principles of structure and reactivity”,4th ed.(Hapere Collins,New York,1993)から抜粋した値である。
10 水素分離膜
20 中間層
30 電解質膜
40 第1中間層
50 第2中間層
60 カソード
100 水素分離膜−電解質膜接合体
200 燃料電池
20 中間層
30 電解質膜
40 第1中間層
50 第2中間層
60 カソード
100 水素分離膜−電解質膜接合体
200 燃料電池
Claims (12)
- 第1金属元素を含み、水素透過性を有する水素分離膜と、
プロトン伝導性を有する電解質膜と、
第2金属元素を含有し、前記水素分離膜と前記電解質膜との間に配置された中間層と、を備え、
前記第2金属元素は、前記第1金属元素の電気陰性度と前記電解質膜に含まれるいずれかの還元元素の電気陰性度との間の電気陰性度を有することを特徴とする水素分離膜−電解質膜接合体。 - 前記中間層は、前記第2金属元素からなる金属層または前記第2金属元素の酸化物からなる金属酸化物層であることを特徴とする請求項1記載の水素分離膜−電解質膜接合体。
- 前記電解質膜は、プロトン伝導性を有する金属酸化物からなることを特徴とする請求項1または2記載の水素分離膜−電解質膜接合体。
- 前記金属酸化物は、組成式AB(1−x)MxO3によって表されるペロブスカイト型の金属酸化物であることを特徴とする請求項3記載の水素分離膜−電解質膜接合体。
- 前記還元元素は、組成式AB(1−x)MxO3のAサイト、Bサイトまたは金属Mであることを特徴とする請求項4記載の水素分離膜−電解質膜接合体。
- 前記第2金属元素は、前記Aサイトおよび前記Bサイトの両方の電気陰性度と前記第1金属元素の電気陰性度との間の電気陰性度を有することを特徴とする請求項4記載の水素分離膜−電解質膜接合体。
- 前記第2金属元素は、前記Aサイト、前記Bサイトおよび前記金属Mの電気陰性度と前記第1金属元素の電気陰性度との間の電気陰性度を有することを特徴とする請求項4記載の水素分離膜−電解質膜接合体。
- 前記水素分離膜は、複数の金属元素からなる合金であり、
前記第1金属元素は、前記複数の金属元素のいずれかであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の水素分離膜−電解質膜接合体。 - 前記第2金属元素は、前記合金を構成する複数の金属元素の電気陰性度と前記還元元素の電気陰性度との間の電気陰性度を有することを特徴とする請求項8記載の水素分離膜−電解質膜接合体。
- 前記中間層は、水素透過性を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の水素分離膜−電解質膜接合体。
- 前記中間層は、複数の層からなり、
前記複数の層のそれぞれは、金属層または金属酸化物層からなり、
前記複数の層に含まれる各金属元素は、前記第1金属元素の電気陰性度と前記還元元素の電気陰性度との間の電気陰性度を有し、
前記複数の層は、前記複数の層に含まれる各金属元素の電気陰性度が前記第1金属元素の電気陰性度から前記還元元素の電気陰性度にかけて順次並ぶように配置されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の水素分離膜−電解質膜接合体。 - 請求項1〜11のいずれかに記載の水素分離膜―電解質膜接合体と、
前記電解質膜の前記水素分離膜と反対側の面に形成されたカソードと、を備えることを特徴とする燃料電池。
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