JP2020021646A - メタルサポートセルの支持構造 - Google Patents
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Abstract
Description
図2は、セルユニット1Uの分解斜視図である。図2に示すように、セルユニット1Uは、メタルサポートセルアッセンブリー1A、ガスの流路を区画形成する流路部121を備えるセパレータ120、および集電補助層130を積層して構成される。なお、メタルサポートセルアッセンブリー1Aと集電補助層130との間に両者を導通接触させる接点材を配置してもよいし、集電補助層130を省く構造としてもよい。
図4に示すように、メタルサポートセル10は、カソード層30、電解質層40、アノード層50および金属支持層60を積層して構成される。以下、カソード層30およびアノード層50を総称して電極層30、50と称することもある。
図3〜図5に示すように、電解質電極接合体20は、電解質層40の一方の面にカソード層30、他方の面にアノード層50を積層して構成される。
カソード層30は、酸化剤極であって、カソードガス(例えば空気に含まれる酸素)と電子を反応させて、酸素分子を酸化物イオンに変換する。カソード層30は、酸化雰囲気に耐性を有し、カソードガスを透過させるガス透過性および電気(電子およびイオン)伝導度が高い。さらに、カソード層30は、酸素分子を酸素イオンに変換する触媒機能を有する。
電解質層40は、アノードガスとカソードガスを分離する機能を有する。電解質層40は、カソード層30からアノード層50に向かって酸化物イオンを通過させつつ、ガスと電子を通過させない。酸素イオンが発電の伝導体である場合には、電解質層40は、酸素イオンの伝導性が高い材料から形成されることが好ましい。
アノード層50は、燃料極であって、アノードガス(例えば水素)と酸化物イオンを反応させて、アノードガスの酸化物を生成するとともに電子を取り出す。アノード層50は、還元雰囲気に耐性を有し、アノードガスを透過させるガス透過性および電気(電子およびイオン)伝導度が高い。さらに、アノード層50は、アノードガスを酸化物イオンと反応させる触媒機能を有する。アノード層50の形成材料としては、例えば、NiやFe等の金属や、該金属と上記電解質層40の形成材料として挙げたセラミックとのサーメットなどが挙げられる。
金属支持層60は、図3および図4に示すように、電解質電極接合体20をアノード層50の側から支持するものである。金属支持層60によって電解質電極接合体20を支持することにより、電解質電極接合体20の機械的強度を向上させて破損を抑制することができる。
金属フレーム70は、図3および図4に示すように、メタルサポートセル10を周囲から保持するものである。図3に示すように、金属フレーム70は、開口部70Hを有する。金属フレーム70の開口部70Hには、メタルサポートセル10が配置される。メタルサポートセル10の電解質層40は、金属フレーム70の開口部70Hの内縁に焼結結合により面接合される。
図2に示すように、セパレータ120の流路部121は、凹凸形状が一方向(Y方向)に延在するように略直線状に形成されている。従って、流路部121に沿って流れるガスの流れ方向は、Y方向となる。
集電補助層130は、ガスを通す空間を形成しつつ面圧を均等にして、メタルサポートセル10とセパレータ120との電気的な接触を補助する。集電補助層130は、例えば、金網状のエキスパンドメタル等によって形成することができる。
室温(約15℃〜30℃)から製造時の焼成温度(約1000℃〜1400℃)の温度領域において、線膨張率(CTE)は、セラミック材料からなる電解質層40よりも金属材料からなる金属支持層60および金属フレーム70の方が大きい。
金属フレーム70は、金属支持層60と同程度の曲げ剛性を有するように形成されている。曲げ剛性は、ヤング率Eと断面形状から定まる断面2次モーメントIとの積EIである。曲げ剛性EIは、曲りの程度を表わす曲率1/ρ(中立面の曲率半径ρの逆数)に反比例するため、1/ρ=M/EI(Mは曲げモーメント)となる。従って、曲げモーメントは、M=(1/ρ)×EIとなる。
図5は、燃料電池スタック1の端部を拡大して示す部分断面図である。図5の破線で囲んだ部分に示すように、電解質層40、アノード層50、金属支持層60および金属フレーム70は、焼結接合によって一体化されている。なお、図5の左側は、発電反応に寄与するアクティブエリアを示し、左側はフレーム領域(端部)を示す。
図6は、図4に示すメタルサポートセルアッセンブリーA1の各層の内部応力を説明するための部分断面図である。メタルサポートセル10は、後述する製造方法によって各層が内部応力を有するように形成される。なお、本明細書において、「内部応力」とは、圧縮残留応力および引張残留応力を含み、外力に関係なく材料自体が各層の内部に保有または発生している応力のことを意味する。
次に、メタルサポートセルアッセンブリー1Aの製造方法について説明する。図7は、本実施形態に係るメタルサポートセルアッセンブリー1Aの製造方法を説明するための概略図である。
まず、スラリー調製工程では、スラリー原料を混合して電解質層用スラリー、アノード層用スラリー、金属支持層用スラリーおよび金属フレーム層用スラリーを調製する。スラリー原料の混合には、公知の攪拌装置を適宜選択して使用することができる。
次に、塗工工程では、ナイフコート、ドクターブレードなどの塗工装置を用いたテープキャスト法などのシート成形法を用いて上記スラリー調製工程で調製した各スラリーをシート状に成形する。得られたシート状のスラリーを、乾燥後、必要に応じて加熱処理することによって電解質層用シート、アノード層用シート、金属支持層用シートおよび金属フレーム用シートを得ることができる。電解質層用シート、アノード層用シート、金属支持層用シートおよび金属フレーム用シートは、一般的にグリーンシートと呼ばれる。
次に、貼り合わせ工程では、電解質層用シート、アノード層用シートおよび金属支持層用シートを貼り合わせて、電解質層40、アノード層50および金属支持層60を積層したハーフセルを形成する。
焼成工程では、上記積層体を脱脂して、還元雰囲気で共焼成する。焼成温度は、例えば、1000℃〜1400℃とすることができる。
冷却工程では、上記積層体を冷却する。冷却は、室温(15℃〜30℃)に放置して自然冷却させる。なお、冷却工程では、酸化防止のために還元雰囲気中で冷却してもよいし、大気中で冷却してもよい。
再び図7を参照して、冷却工程の後、アノード層50に金属支持層60側から触媒を含浸させてか焼する。その後、電解質層40の表面にPVD(物理蒸着)によってバリア層を形成する。最後に、カソード材料を溶媒中に分散したペーストをバリア層上に塗工して焼成する。これにより、電解質層40の表面にバリア層を介してカソード層30が形成されて、メタルサポートセルアッセンブリー1Aが得られる。ここで、バリア層は、製造過程においてカソード層30を焼成する際や運転中に、電解質層40とカソード層30とが反応して高抵抗物質層を形成することを抑制する。これにより、バリア層は、高抵抗物質層の形成による発電性能の低下を抑制する。なお、電解質層40とカソード層30との間にバリア層を形成する構成に限定されず、電解質層40の表面に直接にカソード層30を形成してもよい。
次に、メタルサポートセルの支持構造の変形例について説明する。以下の変形例1および変形例2では、本発明に含まれる複数の形態の一例を説明するが、本発明は、前述した実施形態および後述する変形例に限定されるものではない。なお、前述した実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図9は、変形例1に係るメタルサポートセルを示す断面図である。変形例1に係るメタルサポートセルは、金属支持層260および金属フレーム270がそれぞれ2層構造を有する点で前述した実施形態と異なる。
図10〜図12を参照して変形例2に係るメタルサポートセルの支持構造について説明する。図10は、変形例2に係る燃料電池スタックの端部を拡大して示す部分断面図である。なお、図10の左側は、発電反応に寄与するアクティブエリアを示し、左側はフレーム領域(端部)を示す。図11は、変形例2に係るメタルサポートセルアッセンブリーの各層の内部応力を説明するための部分断面図である。図12は、変形例2に係るメタルサポートセルアッセンブリーの焼結中および焼結後の各層の内部応力を説明するための部分断面図である。
1U セルユニット、
1A メタルサポートセルアッセンブリー、
10 メタルサポートセル、
20 電解質電極接合体、
30 カソード層(電極層)、
40 電解質層、
50 アノード層(電極層)、
60、260 金属支持層、
261 第1金属支持層、
262 第2金属支持層、
70、270、370 金属フレーム、
271、371 第1金属フレーム、
272、372 第2金属フレーム、
120 セパレータ、
130 集電補助層。
Claims (5)
- 電解質層を電極層を介して金属支持層に固着したメタルサポートセルと、
前記メタルサポートセルの周囲を囲曉する金属フレームと、を有し、
前記電解質層は、面方向に沿う圧縮残留応力を有し、
前記金属フレームは、前記電解質層に焼結結合され、
前記金属フレームの線膨張率は、前記金属支持層の線膨張率と同程度である、メタルサポートセルの支持構造。 - 前記金属フレームおよび前記金属支持層は、前記電解質層よりも線膨張率が大きい材料で形成される、請求項1に記載のメタルサポートセルの支持構造。
- 前記金属フレームは、前記金属支持層と同程度の曲げ剛性を有する、請求項1または請求項2に記載のメタルサポートセルの支持構造。
- 前記金属フレームおよび前記金属支持層は、それぞれ2層構造を有し、
前記金属フレームおよび前記金属支持層の2層のうち、
前記電解質層から遠い層は、圧縮残留応力を有し、
前記電解質層から近い層は、引張残留応力を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のメタルサポートセルの支持構造。 - 前記金属フレームは、前記メタルサポートセルの前記電解質層側および前記金属支持層側の両側に配置される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のメタルサポートセルの支持構造。
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